JP5823192B2 - 動力工具 - Google Patents
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Description
本発明は、例えば動力工具に内装された不等ピッチファンについて、振動の低減を図ることを目的とする。
第1の発明は、複数の羽根を備え放射方向の全方向に風を吹き出す遠心ファンを内装した動力工具であって、ファンの羽根のピッチの少なくとも1箇所のピッチが他のピッチとは異なっており、この不等ピッチに起因して発生する吹き出し風量の不均一を是正するための風量ムラ是正対策が当該ファンに施された動力工具である。
第1の発明によれば、全方向吹き出し型の不等ピッチファンであることによりキーンという不快な羽根通過音(いわゆるNZ音)等の発生を抑制することができるので、これを吸塵ファンとして内装するハンディクリーナ等の動力工具の静音化を図ることができる。しかも、不等ピッチファンであることに起因する吹き出し風量の不均一が風量ムラ是正対策により是正されることから、当該風量ムラに起因する振動の低減を図ることができる。
このように、第1の発明によれば、当該ファンを例えば吸塵ファンとして内装するハンディクリーナや集塵機等の動力工具において、当該ファンが不等ピッチファンであることによりいわゆるNZ音等の不快な騒音を低減することができるとともに、当該ファンに施した風量ムラ是正対策により風量ムラに起因する振動をも低減することができ、これによりこの種の動力工具の使い勝手を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根のインデューサを不均一にした動力工具である。
第2の発明によれば、各羽根のインデューサの形状、大きさあるいは表面積を不均一にすることにより吹き出し風量が変化することを利用して不等ピッチに起因する風量ムラを是正して当該ファンの振動を低減することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根の厚さを不均一にした動力工具である。
第3の発明によれば、各羽根の厚さを不均一にすることにより吹き出し風量が変化することを利用して不等ピッチに起因する風量ムラを是正して当該ファンの振動を低減することができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根のスキュー角を不均一にした動力工具である。
第4の発明によれば、各羽根のスキュー角を不均一にすることにより吹き出し風量が変化することを利用して不等ピッチに起因する風量ムラを是正して当該ファンの振動を低減することができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根の放射方向に対する旋回角度を不均一にした動力工具である。
第5の発明によれば、各羽根の放射方向に対する旋回角度(倒れ)を不均一にすることにより吹き出し風量が変化することを利用して不等ピッチに起因する風量ムラを是正して当該ファンの振動を低減することができる。
第6の発明は、複数の羽根のピッチが不均一である不等ピッチファンを内装した動力工具である。
第6の発明によれば、NZ音等の不快な騒音の低減効果がある不等ピッチファンを例えばハンディクリーナ等の動力工具に吸塵ファンとして内装することにより、当該動力工具の静音化を図ることができる。
このハンディクリーナ1は、前部の吸塵ケース10と後部の本体部20を備えている。吸塵ケース10の前端に吸塵ノズル11が設けられている。吸塵ノズル11を経て吸塵ケース10内に粉塵が吸塵される。吸塵ノズル11の後方に吸塵フィルタ12が配置されている。この吸塵フィルタ12は、本体部20の前部に取り付けたフィルタフレーム13に被せた状態で装着されており、本体部20の前部から吸塵ケース10内に突き出す状態に設けられている。この吸塵フィルタ12によって吸塵ケース10内の粉塵の本体部20側への侵入が防止される。吸塵ケース10を本体部20から分離することにより、吸塵ケース10内に吸塵された粉塵を廃棄することができる。
本体部20は、吸塵ケース10内に吸塵力を発生させる機構部で、本体ハウジング21に駆動源としての電動モータ22と、この電動モータ22により回転する吸塵ファン30を内装した構成を備えている。この吸塵ファン30は円筒形状のファンケース24を介して本体部20の前部に内装されている。ファンケース24の特にその周壁部24dには、振動吸収用の弾性カバー23が被覆されている。ファンケース24は、この弾性カバー23を介して本体部20の本体ハウジング21に支持されている。本実施形態では弾性カバー23としてゴムカバーが用いられており、これが振動吸収部として機能する。このファンケース24の後面基台部24cに電動モータ22が取り付けられている。
本体ハウジング21の上部には、使用者が把持するループ形のハンドル部25が一体に設けられている。このハンドル部25の内周側前部に、使用者が指先で引き操作するトリガ形式のスイッチレバー28が設けられている。ハンドル部25を把持した手の指先でこのスイッチレバー28を引き操作(オン操作)すると、メインスイッチ29がオンして電動モータ22が起動する。また、スイッチレバー28をオン操作すると、ハンドル部25の前部に設けたLEDライトが点灯して、吸塵ノズル11の先端部付近が明るく照らされる。
本体部20の後部であってハンドル部25の下面には、電源としてのバッテリパック26が取り付けられている。このバッテリパック26は、例えば14.4Vのリチウムイオンバッテリで、ねじ締め工具や切断機等の主として手持ち式の電動工具の電源として広く用いられているものを利用することができる。このバッテリパック26は、スライド取り付け形式のバッテリ取り付け部27から取り外して、別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
基板31に対して複数の羽根33〜33が一体に成形されている。各羽根33は、基板31の中心(回転中心J)付近から放射方向に螺旋経路に沿って延びている。各羽根33の内周側基端部は、回転中心Jを中心とするほぼ同一円周上に位置しており、隣接する羽根33,33の内周側基端部間の周方向の間隔(ピッチ:角度θ)は一定ではなく、周方向に不規則な角度間隔にばらついている。但し、羽根33〜33の曲率は概ね揃えられている。このため、周方向に隣接する羽根33,33の外周側端部間の間隔は一定ではなく不均一になっている。
図4において、実線と二点鎖線で示すように各羽根33のインデューサ33aの形状は異なっている。各インデューサ33aの形状が適切に変化していることによりそれぞれの表面積が相互に異なっている。インデューサ33aの大きさ若しくは表面積が変化することにより、各羽根33の本体部33b側に流入する風量を制御することができる。インデューサ33aの大きさ若しくは表面積が大きいほど取り込む風量は多くなる。一方、隣接する羽根33,33間の間隔θが大きいほど吹き出し風量が大きくなり、その結果吹き出された風量の不均一(風量ムラ)により振動が発生するおそれがある。
このことから、羽根33,33間の間隔θが大きい部位についてはそのインデューサ33a,33aの表面積を小さくして取り込む風量を抑制し、これにより本体部33b,33b間から放射方向に吹き出される風量を抑制することにより、吸塵ファン30の全体として風量ムラを低減若しくはなくすことができる。このように、本実施形態ではこの風量ムラに起因する振動対策として、インデューサ33a〜33aの形状若しくは表面積を適切に変化させることにより、間隔θの不均一(不等ピッチ)による風量ムラが相殺されて振動が低減されるようになっている。
しかも、不等ピッチファンであることに起因する吹き出し風量のムラ(ばらつき)が各羽根33のインデューサ33aの表面積を適切に変化させることにより是正若しくは低減されており、これにより吹き出し風量の均一化を図って当該動力工具の低振動化を実現することができる。
不等ピッチファンであることに起因する風量ムラを是正若しくは低減するための対策(風量ムラ低減対策)としては、上記例示したようにインデューサ33aの大きさ若しくは表面積を適切に変化させることの他、以下のような別の対策を施すことができる。例えば、図5に示すように各羽根33の厚さを変化させることにより不等ピッチファンであることに起因する風量ムラを低減することができる。この第2実施形態の吸塵ファン40は、厚さ寸法d1の羽根41と、厚さ寸法d2の羽根41を備えている。羽根の厚さ寸法を大きくすることにより吹き出し風量を少なくすることができる。このため、ピッチの大きな羽根についてはその厚さ寸法を大きくすることによりピッチの小さな羽根と同等程度に吹き出し風量を揃える(是正する)ことができる。
さらに、図2において白抜きの矢印で示すように、羽根の放射方向に対する旋回角度であって放射方向に対する倒れ(平面的に見て羽根基端部(ファン始点)を通る放射方向に対する基板面方向の位置)を変化させることによっても吹き出し風量を制御することができる。
以上説明した様々な風量ムラ是正対策Mを一つ若しくは組み合わせて用いることにより、不等ピッチに起因する風量ムラを低減することができ、これにより不等ピッチであることによる静音化と、風量ムラ是正による低振動化を両立させることができる。
なお、図5に示すようにインデューサを備えない羽根41についてもその他の風量ムラ是正対策Mを施すことにより低振動化を実現できる。
また、動力工具としてハンディクリーナ1の吸塵ファン30を例示したが、本発明に係る風量ムラ是正対策Mは、モータ冷却用のファンあるいは集塵機やエンジンブロワー等の送風ファン等その他の動力工具に内装されるファンについても同様に適用することができる。
2…LEDライト
10…吸塵ケース
11…吸塵ノズル
12…吸塵フィルタ
13…フィルタフレーム
20…本体部
21…本体ハウジング
22…電動モータ
23…弾性カバー
24…ファンケース
24a…吸気口、24b…吹き出し口、24c…後面基台部、24d…周壁部
25…ハンドル部
26…バッテリパック
27…バッテリ取り付け部
28…スイッチレバー
29…メインスイッチ
30…吸塵ファン(第1実施形態)
31…基板(ディスク)
32…遮蔽板(シュラウド),32a…吸気孔
33…羽根、33a…インデューサ、33b…本体部
40…吸塵ファン(第2実施形態)
41…羽根
d1,d2…羽根の厚さ寸法
50…吸塵ファン(第3実施形態)
51…羽根
52…基板(ディスク)
α,β,γ…スキュー角
M…風量ムラ是正対策
J…ファンの回転中心
Claims (4)
- 本体ハウジングに、電動モータと、該電動モータにより回転する遠心ファンを内装したハンディクリーナであって、
前記遠心ファンは、前記電動モータの出力軸に固定した円形の基板と、該基板に対して平行に配置された円環形の遮蔽板との間に、放射方向に延びる複数の羽根を備え、該複数の羽根は、隣接する羽根の内周側基端部間の周方向の間隔及び外周側端部間の周方向の間隔が、それぞれ周方向について不均一である不等ピッチとされており、
該不等ピッチに起因して発生する吹き出し風量の不均一を是正するための風量ムラ是正対策として、前記各羽根の内周側基端部に、前記基板からの高さが変化するインデューサを前記遮蔽板の吸気孔内に張り出させて設け、該各羽根のインデューサの形状を不均一にしたハンディクリーナ。 - 請求項1記載のハンディクリーナであって、前記遠心ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根の厚さを不均一にしたハンディクリーナ。
- 請求項1又は2記載のハンディクリーナであって、前記遠心ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根のスキュー角を不均一にしたハンディクリーナ。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載したハンディクリーナであって、前記遠心ファンの風量ムラ是正対策として、各羽根の放射方向に対する旋回角度を不均一にしたハンディクリーナ。
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