JP2010188317A - 金属板の表面処理方法及び表面処理金属板 - Google Patents

金属板の表面処理方法及び表面処理金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の処理液間で互いの性能を妨げることなく金属板を処理することができて、目的とする機能を金属板に付与せしめて、表面処理の効果を最大限発揮させることができる金属板の表面処理方法を提供する。
【解決手段】金属イオンを含み、金属板に防錆皮膜を形成する処理液を吐出するノズルと、樹脂成分を含み、金属板に樹脂皮膜を形成する処理液を吐出するノズルとを少なくとも備えたインクジェットプリンターを用いて、金属板の表面に2種以上の処理液を塗布して表面処理することを特徴とする金属板の表面処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属板の表面処理方法及び表面処理金属板に関し、詳しくは、金属板の表面にインクジェット方式により処理液を塗布して金属板を表面処理する方法、及びこれにより得られた表面処理金属板に関する。
亜鉛めっき鋼板や亜鉛合金めっき鋼板などの金属板は、屋根材、雨戸、外装材、シャッター、サイディング材等の建築材料から家電製品等に至るまで、幅広い分野で使用されている。これらの金属板は、耐食性や耐久性を向上させるために表面処理されたり、また、美麗な外観を得るために各種塗装が施されるのが通常である。なかでも、いわゆるプレコートメタルやポストコートメタルに共通して金属板に耐食性を付与する処理は必須であり、従来、亜鉛めっきした鋼板等をクロム酸溶液で処理してクロメート皮膜を形成することが行われてきた。ところが、環境面からこのクロメート処理は見直され、近年は、クロメート処理の代わりにリン酸系のクロメートフリーの処理が使用されてきている。
リン酸系のクロメートフリー処理は、金属板の表面に形成された酸化膜を取り除きながら、金属板から溶出したイオンと共に結晶質のリン酸塩膜を形成するため、クロメート皮膜と同様に金属板に防錆機能を付与することができる。また、このリン酸塩膜は塗膜との密着性を高めることにもなる。しかしながら、このようなリン酸塩処理によって形成される皮膜は結晶質であるためバリアー性が十分ではなく、クロメート処理に比べて防錆機能が劣ると言われている。
そこで、金属板の表面に形成したリン酸塩膜に他の金属塩を析出させて防錆機能を補強する方法や、リン酸塩膜の表面に樹脂皮膜を形成してバリアー性を高めることなどが検討されている。具体的には、リン酸を主体とした酸に金属化合物を溶解させた水溶液と共に、自己架橋性の変性エポキシ樹脂を含んだ表面処理剤(特許文献1参照)や、リン酸塩、金属酸素酸塩、縮合リン酸カルシウム等の防錆成分に加えて水系有機樹脂成分を含んだ亜鉛めっき系鋼板用の塗料組成物(特許文献2参照)などがその一例であり、様々な機能を有した表面処理剤の開発が進められている。
ところで、リン酸塩による処理や樹脂成分による処理は、厳密には金属板に対して異なる機能を付与せしめるものであり、本来であれば、それぞれの処理液を個別のロールでロールコートしたり、複数の処理浴を用意して個別にディップコートすることなどが考えられる。しかしながら、これらの方法では個別のロールを用いて処理液を塗布するため、当然に処理工程が煩雑になり、工業生産性に劣る。そこで、上記表面処理剤の例のように、一般には、異なる機能を付与するための処理液を一液とした組成物を用いて、ウレタンゴムロールによるロールコーター法等により金属板に塗布する方法が採用されている。ところが、ウレタンゴムロールは処理液により時間経過とともにゴム硬度が変化するため、金属板とゴムとの面接触の具合が変化し、特に薄膜時の膜厚制御(1μm以下)が困難であるといった問題がある。
また、リン酸塩処理のように金属板の表面を溶解しながら結晶質の膜を析出させる処理液や、金属酸素酸塩を含んだ処理液は、水溶性であるため、樹脂成分を併用して一液化するためには酸価の高い樹脂や乳化剤を多く含んだ樹脂を選定する必要がある。同様に、リン酸塩処理等に使用される処理液は、通常pH=2〜5程度の酸性であり、アミン中和等によって水溶解性にした樹脂は、エマルジョンが凝集して沈殿を生じるおそれがあることから、その対策として、例えばエチレンオキサイド(EO)やプロピレンオキサイド(PO)を樹脂に組み込むなどの変性が必要となる。このように、表面処理剤を一液にするためには保存安定性を考慮するなど、組成の選定には様々な制約があり、また、表面処理剤を一液にすることによって、各処理液成分の相互作用によりその本来の役割が希釈化され、金属板に十分な機能を付与することができていないといった問題もある。
特開2005−133173号公報 特開2006−77077号公報
そこで、本発明者等は、これら従来の表面処理法が抱える問題点を解決するため鋭意検討した結果、インクジェット方式により金属板の表面に複数の処理液を塗布する方法を採用することで、処理液の組成選定におけるこれまでの制約を取り払うことができると共に、それぞれの処理液が備える機能を最大限発揮させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、複数の処理液間で互いの性能を妨げることなく金属板を処理することができて、目的とする機能を金属板に付与せしめて、表面処理の効果を最大限発揮させることができる金属板の表面処理方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、金属イオンを含み、金属板に防錆皮膜を形成する処理液を吐出するノズルと、樹脂成分を含み、金属板に樹脂皮膜を形成する処理液を吐出するノズルとを少なくとも備えたインクジェットプリンターを用いて、金属板の表面に2種以上の処理液を塗布して表面処理することを特徴とする金属板の表面処理方法である。
また、本発明は、上記の表面処理方法によって得られたことを特徴とする表面処理金属板である。
本発明における金属板の表面処理方法では、先ず、金属イオンを含んだ処理液(以下、「処理液A」と呼ぶ場合がある)をインクジェットプリンターのノズルから吐出させて、金属板に防錆機能を付与する。詳しくは、金属板に対して犠牲防錆として作用するように、イオン化傾向が卑な金属を溶解させた処理液をインクジェットプリンターのノズルを介して塗布することで、防錆皮膜(不動態膜)を形成して金属板の耐食性を向上させる。このような金属種としては、好ましくは金属元素が複数の価数を有するものであるのがよく、例えばAl、Mg、Mn、Zn、Co、Ti、Sn、Ni、Fe、Zr、Sr、Y、Cu、Ca、V、Ba、W、Mo、Nb、In、Ta等が挙げられる。これらの金属種については、処理対象の金属板に応じて、犠牲防錆として作用するものを適宜選定すればよいが、アルミニウムイオン(Al3+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、マンガンイオン(Mn2+)又は亜鉛イオン(Zn2+)のいずれか1種又は2種以上を含んだ処理液とするのがより好ましい。これら4種のいずれかの金属イオンを含有することで、金属板に防錆皮膜を形成する際、緻密な皮膜が得られて防錆機能を飛躍的に向上させることができる。
金属イオンの含有量については、防錆機能を十分に発揮させる観点から、処理液Aにおける金属イオンの濃度(複数の金属イオンが含まれる場合はその合計濃度)が0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%となるようにするがよい。0.1質量%未満では、十分な耐食性を得ることができず、反対に20質量%を超えると、表面処理後の表面処理金属板を溶接加工する場合を考慮すると、その溶接性が劣化するおそれがあるため望ましくない。また、Al3+、Mg2+、Mn2+、又はZn2+を含有する場合には、処理液Aにおけるこれらの金属イオンの合計量が1〜10質量%になるようにするのがよく、好ましくはこれらの金属イオンの組成比が、Al3+/Mg2+/Mn2+/Zn2+=1/1/1/1〜1/2/1/1(質量比)となるようにするのがよい。
金属イオンを含んだ処理液を得る際、金属イオンは、金属又は金属化合物の状態で酸やアルカリに溶解させて、処理液中に供給することができる。ここで、金属化合物としては、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩のほか、金属酸化物、金属過酸化物、金属水酸化物等が挙げられる。金属や金属化合物を溶解する酸又はアルカリについては公知のものを用いることができ、酸としては、例えばリン酸、フィチン酸、硝酸、フッ酸、ジルコンフッ化水素酸、酢酸、カルボキシル基を含有する有機酸等を挙げることができる。これらの酸はいずれを使用してもよいが、皮膜中に残存した場合の諸特性への悪影響を低減させることができる観点から、好ましくはポリリン酸、オルソリン酸、亜リン酸等のリン酸を主体として使用するのが望ましい。
金属又は金属化合物に配合する酸やアルカリの比率については、金属又は金属化合物の溶解や金属板に対するエッチング作用を考慮しながら、得られる防錆皮膜の防錆機能、他の処理液により形成される塗膜との密着性等の観点から適宜設定するのがよい。特に酸であると、酸の種類によっても異なるが、金属板を必要以上にエッチングしてしまうと、外観むらや耐アルカリ性不良等を引き起こすおそれもあることから、例えばオルソリン酸の場合には、処理液Aにおける濃度が3〜40質量%、好ましくは5〜20質量%となるようにするのがよい。3質量%未満であると耐食性や液安定性が低下し、反対に40質量%を超えると外観むらや耐アルカリ性不良を起こすおそれがある。
また、酸やアルカリに溶解させて使用するものとは異なるが、例えば防錆顔料として知られるトリポリリン酸アルミニウム(AlHPO10・2HO)や縮合リン酸カルシウム等を水に分散させた処理液を用い、金属板の表面に防錆皮膜(不動態膜)を形成するようにしてもよい。なお、これらの分散体を使用する場合、分散体の粒径は、ノズル詰まりを防ぐために体積平均粒径が250nm以下とするのがよい。
また、本発明の表面処理方法では、樹脂成分を含んだ処理液(以下、「処理液C」と呼ぶ場合がある)をインクジェットプリンターのノズルから吐出させて、バリアー機能を有した樹脂皮膜を金属板に形成する。樹脂成分としては、例えばアクリル系、アクリル−スチレン系、アクリル酢酸ビニル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、ウレタン系、エチレン系、ポリエステル系、エポキシ系などの基本骨格を有する樹脂を用いることができ、これらの樹脂は水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、ウレタン基等の官能基を付加して水溶解性にしたものを用いるようにしてもよいが、本発明では、例えば処理液Aとの相溶性等を考慮する必要がないことから、樹脂を水溶解性にする目的で行う官能基の付加は必須ではない。同様に、従来の一液型表面処理剤において相溶性を高める観点で必要であるアミン類を用いた樹脂の中和や、エマルジョン樹脂の使用等については、本発明では必須ではない。ただし、強固な樹脂皮膜の形成を目的としてイソシアネート構造(NCO構造)等を樹脂に導入したり、架橋性の官能基を付加するようなことを排除するものでは勿論ない。
これらの観点から、処理液Cにおける好適な皮膜形成用樹脂成分としては、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で使用してもよく、2種以上使用するようにしてもよいが、これら以外の樹脂成分を使用することも勿論可能である。また、処理液Cには、皮膜形成用の樹脂成分の種類に応じて、重合開始剤や硬化剤を配合することができ、本発明の目的から外れない範囲で、酸触媒や金属ドライヤー等の各種添加剤を配合してもよいが、処理液Cにおける固形分量が3〜40質量%となるようにするのがよい。固形分量が3質量%未満であると表面処理金属板にバリアー効果を十分に付与することができず、反対に40質量%を超えるとインクジェットプリンターからの吐出性が低下したり、塗装外観が不良となる。また、インクジェットプリンターからの吐出性を考慮して、20℃における処理液Cの粘度は2〜30mPa・s、好ましくは3〜20Pa・sとなるようにするのがよい。
また、処理液Cについては、使用する溶剤の種類に特に制限はなく、樹脂成分の種類に応じて、水系(エマルジョンを含む)の処理液を形成してもよく、有機溶剤系の処理液を形成するようにしてもよい。そのため、従来の一液型の表面処理剤を用いたロールコーター塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装等の仕様では不可能であったような、水系処理液と溶剤系処理液とを用いた2C1B(二回に分けての吐出時)及び1C1B(同時吐出時)仕様も可能となりバリアー性に優れた樹脂皮膜を得ることができる。なお、処理液Cを吐出する際、直近に塗布された処理液が水系の場合には、処理液Cを塗布した時のウエット膜のはじきを防止する為に、処理液Cはアルコール系、グリコール系等の水溶性溶剤を含有させるのが望ましい。
また、本発明の表面処理方法では、金属酸素酸塩を含んだ処理液(以下、「処理液B」と呼ぶ場合がある)をインクジェットプリンターのノズルから吐出させることで、処理液Aにより形成した防錆皮膜をより緻密にして、防錆機能や耐疵付き性を一層向上させるようにしてもよい。この金属酸素酸塩は、処理液Aにより形成された皮膜を安定化させる目的から、例えばタングステン酸塩、錫酸塩、モリブデン酸塩、リン酸塩、バナジン酸塩、硼酸塩、アルミン酸塩、過マンガン酸塩等であるのがよく、なかでも遷移金属を有するのがより好ましい。これらの1種又は2種以上を含んだ処理液であるのがよいが、酸化能力がより高く、金属板の表面の不活性化に一層効果がある観点から、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、及びタングステン酸塩からなる群から選ばれたいずれか1種又は2種以上の金属酸素酸塩を含んだ処理液であるのがより好ましい。
金属酸素酸塩は、通常、水溶性であるため、水に溶解させて処理液Bを得ることができる。そのため、金属板の表面をエッチングするようなことはなく、また、金属酸素酸塩は、処理液Aにより金属板の表面から溶出した金属イオンと錯体を形成することから、処理液Aによって形成された防錆皮膜の安定化に寄与する。処理液Bにおける金属酸素酸塩の配合量については、0.2〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%(いずれも固形分換算)であるのがよい。0.2質量%未満であると、金属酸素酸塩による酸化能力が不足して耐食性を付与する効果が十分でなく、反対に30質量%を超えると水可溶性分が多くなるため耐水性や耐食性が低下する。なお、仮にこの処理液B1を処理液Aと混合して一液にすると、キレート効果等によって沈殿を生じるおそれがあるため、従来の一液型の表面処理剤では、キレート化剤を添加してキレート形成させる必要がある。
更に、本発明の表面処理方法では、固体潤滑剤を含んだ処理液(以下、順に「処理液D」と呼ぶ場合がある)をインクジェットプリンターのノズルから吐出させるようにしてもよい。固体潤滑剤を含んだ処理液Dは、本発明の表面処理金属板を所定の形状に加工する際の潤滑性付与や加工性向上に寄与する。固体潤滑剤としては、例えばポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フッ素樹脂系ワックス、混合ワックス等を挙げることができ、固体潤滑剤を吐出する場合、その粒径は、プリンターヘッドのノズル詰まりを防ぐために体積平均粒径200nm以下にするのが好ましい。なお、固体潤滑剤の多くは有機系成分を含有するものであり、従来の一液型の表面処理剤を用いる方法では、通常、これらのワックス成分が処理液中に共存しているため、得られる皮膜の内部に分布することがあり、その機能を発揮させるためにはワックス成分を多く配合する必要がある。また、ワックス成分は表面張力が小さいため泡を発生しやすく、例えばロールコーター塗装においては塗膜欠陥を生じることがある。本発明では、インクジェットプリンターを用いることで、皮膜の表面に選択的にワックス成分を分布させることができ、効果的に表面処理金属板の摺動性を向上させることができる。
本発明においては、上述した用いる各処理液の表面張力が、20℃において20〜50mN/m、好ましくは25〜40mN/mとなるようにするのが望ましい。処理液の表面張力が20mN/m未満であるとインクジェットでの吐出において撥水膜との表面張力差が小さくなり吐出安定性が低下し、反対に50mN/mを超えるとインクジェットプリンターのノズルからの吐出において、ノズルを有したヘッド内部で泡が発生しやすくなり吐出安定性が低下する。また、好ましくは、各処理液間での表面張力の差が10mN/m以内となるようにするのがよい。処理液間で10mN/mを超える差があると、処理液ごとのノズルからの吐出制御が困難になり、結果として吐出不良が生じるおそれがある。また、金属板上で各処理液成分が混合された際に、その表面張力差によりはじき等の塗膜外観に影響を与える。各処理液の表面張力を調整する必要がある場合には、例えば、シリコン系、アクリル系、フッソ変性、リン酸変性等の界面活性剤を用いることができる。
更には、処理液Cにおいて既に一部述べたが、上述した各処理液の粘度については、ノズルからの吐出時を想定して、20℃において2〜30mPa・s、好ましくは3〜20Pa・sとなるようにするのがよい。処理液の粘度が2mPa・s未満であるとインクジェットでの吐出においてノズルでの液滴形成が悪くなり、吐出安定性が低下する。反対に30mPa・sを超えるとインクジェットでの吐出においてノズルからの吐出が悪くなり吐出安定性が低下する。処理液の粘度を調整するためには、例えば各処理液に水溶性有機樹脂を配合することができる。具体的にはカルボキシル基含有単量体の重合体、又はカルボキシル基含有単量体とその他の重合単量体との共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いるのがよい。すなわち、重合体の少なくとも1種、共重合体の少なくとも1種、又は重合体の少なくとも1種と重合体の少なくとも1種の混合体である。
このうち、カルボキシル基含有単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸とその誘導体を挙げることができる。エチレン性不飽和カルボン酸は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸である。誘導体としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などを例示できる。このうち、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸の誘導体である。また、カルボキシル基含有重合体と共重合する単量体としては、水酸基含有単量体、各種のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル化合物、その他のビニル化合物などを挙げることができ、スルフォン酸基含有ビニル化合物、リン酸基含有ビニル化合物などを使用することもできる。好適な単量体としては、スチレン、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル類などである。更には、カルボキシル基含有単量体を、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、エポキシ樹脂、エステル変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂などに共重合または付加したものを配合することができる。カルボキシル基含有単量体とその他の重合単量体との共重合体の場合、カルボキシル基含有単量体の含有量が全共重合体の0.5重量%以上であることが好ましい。カルボキシル基含有単量体が0.5重量%以上であると、皮膜の緻密性が増大し、例えば金属板の亜鉛めっき素地との密着性も確保できることという効果が得られる。なお、共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、一般には1万〜数十万程度である。
また、本発明においては、金属板に塗布する各処理液の固形分濃度を1〜40質量%、好ましくは5〜35質量%となるようにするのがよい。固形分濃度が1質量%未満であると、耐食性等の機能を金属板に十分付与することができず、表面処理の効果が不十分になるおそれがあり、反対に40質量%を超えると、インクジェットプリンターのノズルで吐出不良が生じるおそれがある。更には、金属板に塗布される各処理液の塗布量を合計して、無機成分/有機成分の固形分重量比率が1/99〜95/5の範囲となるようにするのがよく、好ましくは10/90〜80/20の範囲である。有機成分量がこの範囲より少なくなると、本発明によって得られた表面処理金属板に塗装等を行う場合、塗膜との密着性が劣るおそれがあり、また、腐食因子のバリアー効果が小さくなるため耐食性が低下する。ここで、有機成分は、無機成分を金属板に定着させ、また、後に表面処理金属板に塗装を行う場合の塗膜との密着性を向上させる機能を有し、無機成分は金属板の耐食性向上に寄与する。そのため無機成分が少ない場合には、金属との防食層の形成能力が小さいため耐食性が不良となる。更に、本発明の表面処理金属板は、特に制限を受けるものではないが、乾燥後、金属板の表面に膜厚0.2〜2μm程度、より好ましくは0.3〜1μm程度の皮膜を形成するようにするのがよい。
本発明の表面処理方法で用いるインクジェットプリンターについては、ノズルを使い分けて、金属板に塗布するそれぞれの処理液を個別に吐出することができるものであれば特に制限はなく、コンティニュアス型(連続吐出型)又はオンデマンド型のいずれであってもよく、例えば荷重制御方式、インクオンディマンド方式、ピエゾ振動方式、サーマル方式等のインクジェットプリンターを挙げることができる。また、本発明の表面処理方法では、複数のノズルを有したインクジェットプリンターのヘッドを移動させながら金属板に処理液を塗布して表面処理するようにしてもよく、或いはヘッドを固定した状態で金属板を移動させて表面処理するようにしてもよい。連続処理を可能にして生産性を向上させる観点から、好ましくはインクジェットプリンターのヘッドを固定し、搬送手段によって金属板を搬送させながら、ノズルから処理液を吐出して金属板を表面処理するのがよい。金属板の搬送手段としては、例えば所定のサイズに切り出された金属板をコンベアによって搬送する方法や、ロール状に巻き取られた金属板を巻き出し駆動ロールや巻取り駆動ロール等を用いて搬送する方法などが挙げられる。
搬送手段によって金属板を搬送させながら、インクジェットプリンターのノズルから各処理液を吐出して表面処理する場合、インクジェットプリンターについては、金属板の幅方向にノズルが配列されたノズル列を有すると共に、このノズル列を金属板の進行方向(幅方向に対して直交方向)の前後に複数列配置して、それぞれのノズル列から異なる処理液を吐出し、金属板に各処理液を塗布するようにするのがひとつの好ましい態様である。この場合、例えば処理液Aを吐出するノズル列を、金属板の進行方向の先頭側に少なくとも一列配置し、処理液Cを吐出するノズル列をそれより後方の位置に配置して、金属板に処理液Aが塗布された上から処理液Cを塗布することで、効果的に金属板を表面処理することができる。また、耐食性のさらなる向上を目的として処理液Bを使用する場合は、処理液Aのノズル列と処理液Cのノズル列との間に処理液Bを吐出するノズル列を配置するのがよい。更に、固体潤滑剤を含んだ処理液Dを使用する場合は、処理液Cのノズル列より後方で吐出するようにすると、目的の機能を表面処理金属板に十分に付与することができる。なお、処理液毎にノズル列をそれぞれ複数設けるようにしてもよく、異なる処理液を吐出するノズル列を金属板の進行方向に交互に配置して、繰り返し塗布するようにしてもよい。また、金属板の幅方向とは、コンベア搬送の場合はコンベアの幅方向であり、ロール状に巻き取られた金属板の場合にはロール幅方向に相当し、一方、金属板の進行方向とは、コンベア搬送の場合はコンベアの移動方向であり、ロール状に巻き取られた金属板の場合には巻取り(巻き出し)方向である。
インクジェットプリンターのノズルについては、処理液の吐出性や金属板への塗布処理性を考慮して、ノズル孔の内径は10〜200μm程度のものを使用するのがよい。搬送手段によって搬送されている金属板に対してインクジェットプリンターのノズルから処理液を吐出する場合、ノズル列における各ノズル間の距離は30〜100μm程度にするのがよく、また、金属板の表面処理を確実に行うと共に生産性等を考慮して、金属板の移動速度は10m/分〜100m/分程度にするのがよい。更には、金属板の進行方向下流側には、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等の加熱手段を備えた加熱室を設けて、処理液が塗布された金属板を加熱・乾燥処理するようにしてもよい。この加熱・乾燥処理は、常温〜数百℃の温度で数秒〜数十分の時間で処理するのがよい。
本発明の表面処理方法は、いわゆるプレコートメタルやポストコートメタルとして製品となる全ての金属板に適用可能であり、例えば鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、などや、これらの表面に金属めっき処理されたものなどを例示することができる。具体的には、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミ(Zn-5%Al)溶融めっき鋼板、亜鉛−アルミ(Zn-55%Al)溶融めっき鋼板などの亜鉛系めっき鋼板、熱延鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板、銅めっき鋼板、アルミニウム板、溶融すず−亜鉛(Sn-10%Sn)めっき鋼板、溶融アルミめっき鋼板、ターン(Pb-10%Sn)めっき鋼板、などが挙げられる。
本発明の表面処理方法によれば、処理液の組成選定におけるこれまでの制約を取り払うことができるため、複数の処理液間で互いの性能を妨げることなく金属板を処理することができ、それぞれの処理液が備える機能を最大限発揮させて表面処理金属板を得ることができる。また、本発明の方法によれば、互いに相溶しないなどの性質が異なる成分を予め混ぜ合わせる必要が無いため、処理液の変質や沈殿が生じ難く、インクジェットヘッドのノズル詰まりを起こすようなおそれもなく、処理液の貯蔵安定性にも優れる。
更には、本発明では、インクジェット方式を採用することにより、金属板に対して非接触で処理液を塗布することができるため、ロールコーター法などのように、いわゆる工程間による液の持ち込みがなくなり、処理の途中で処理液が劣化するようなおそれもなく、更には、金属板に対して均一に表面処理液を塗布することができるため、ロールコーター法等における特有のスジムラ現象もなく、均一な表面処理皮膜を形成することができ、膜厚の調整も容易であって、金属板の任意に位置に処理液を塗布する塗り分けも可能である。
図1は、実施例の表面処理に用いたインクジェットプリンターのヘッドを拡大した模式図である。 図2は、実施例の表面処理における試験用鋼板の動きとインクジェットプリンターヘッドの動きを示す模式図である。
以下、本発明について、実施例及び比較例に基づいて、更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」や「%」はいずれも質量を基準にしたものである。
[処理液A1の調製]
水74.4部とリン酸10.4部を混合し、金属種(Al、Zn、Mn、Mg)を各1部ずつ全金属含有量として4部溶解させた。この水溶液に水溶性ポリアクリル樹脂(商品名:アクアリックHL415 日本触媒社製)を15部添加し、また、リン酸変性の界面活性剤(共栄社化学製、TG-655)を0.2部添加して、表面張力が36mN/m、粘度が5mPa・sになるように調製した。この処理液A1の固形分濃度は19.8%であった。表1に表面張力等をまとめて示す。なお、表面張力はCBVP-Z(協和界面科学社製)を用いて測定し、粘度についてはオストワルト粘度計で測定した20℃での値である。また、固形分濃度の測定はJIS K 5601−1−2法にて測定した(以下の処理液についても同様である)。
[処理液A2の調製]
トリポリリン酸アルミニウム(AlHPO10・2HO)を分散させた水溶液を水で希釈(乾燥固形分7%)したものを65部、及び水溶性ポリアクリル樹脂(商品名:アクアリックHL415 日本触媒社製)を34部添加し、また、リン酸変性の界面活性剤(共栄社化学製、TG-655)を1部添加して、表面張力が35mN/m、粘度が5.4mPa・sになるように調製した。なお、トリポリリン酸アルミニウムの水分散体の体積平均粒径は200nmであった(日機装(株)社製 ナノトラックUPA-EX150で測定)。また、この処理液A2の固形分濃度は20.9%であった。
[処理液A3の調製]
縮合リン酸カルシウムを分散させた水溶液を水で希釈(乾燥固形分8%)したものを65部、及び水溶性ポリアクリル樹脂(商品名:アクアリックHL415 日本触媒社製)を34部添加し、また、リン酸変性の界面活性剤(共栄社化学製、TG-655)を1部添加して、表面張力が35mN/m、粘度が5.6mPa・sになるように調製した。なお、縮合リン酸カルシウムの水分散体の体積平均粒径は190nmであった(日機装(株)社製 ナノトラックUPA-EX150で測定)。また、この処理液A3の固形分濃度は21.5%であった。
[処理液Bの調製]
バナジン酸ソーダ14.56部(有効成分68%)を水85.44部に溶解させ、9.9%のバナジン酸ソーダ水溶液を作製した。この9.9%バナジン酸水溶液66部に水溶性ポリアクリル樹脂(商品名:アクアリックHL415 日本触媒社製)を33.5部添加し、また、リン酸変性の界面活性剤(共栄社化学製、TG-655)を0.5部添加して、表面張力が37mN/m、粘度が5.7mPa・sになるように調製した。この処理液Bの固形分濃度は22.1%であった。
[処理液C1の調製]
水溶性エポキシ樹脂(旭電化工業社製 0718NT:乾燥固形分40%)15部に水69.7部を加えて希釈し、これに水溶性ポリアクリル樹脂(商品名:アクアリックHL415 日本触媒社製)を15部添加し、また、リン酸変性の界面活性剤(共栄社化学製、TG-655)を0.3部添加して、表面張力が35mN/m、粘度が5.6mPa・sになるように調製した。この処理液C1の固形分濃度は12%であった。
[処理液C2の調製]
有機溶剤系エポキシ樹脂(DIC社製、エポキシ樹脂EPICLON H-301-35PX)を、メタノール:エチレングリコールモノプロピルエーテル=2:3(質量比)の有機溶剤で乾燥固形分が3%になるように希釈し、表面張力が38mN/m、粘度が5.8mPa・sになるように調製した。
[処理液Dの調製]
固体潤滑剤(BYK社製、AQUACER593)66.7部に水33.3部を加えて希釈し、表面張力が31.7mN/m、粘度が4.9mPa・sになるように調製した。この処理液Dの固形分濃度は20%であった。
[処理液Eの調製]
上記で得た処理液A1を35部、処理液B1を10部、及び処理液C55部を混合して処理液Eを得た。
[試験用鋼板の調整]
100mm×200mm×厚さ0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛目付量30g/m)をアルカリ脱脂剤(パーカーライジング社製)で脱脂後、水洗し、乾燥し調整した。
Figure 2010188317
<実施例1>
エプソン社製インクジェットプリンター(Colorio PM630)を使用して、上記で準備した試験用鋼板2に対して以下のようにして各処理液を塗布し、試験用表面処理鋼板を得た。ここで、使用したインクジェットプリンターは、図1に示すように、内径20μmのノズル孔がノズル間距離x=140μmで180個並んだノズル列を2列備えたヘッド1を有し、ノズル列間距離y=2.2mmである。このうち、一本のノズル列は、3種類の処理液を吐出できるように3つのノズル群(各60個のノズル孔)に分かれており、他方のノズル列は1種類の処理液を吐出するノズル群を構成する。なお、ノズル群1〜3では、それぞれ端のひとつのノズルは使用しないようにした(図1において×を付けた箇所)。
本実施例1においては、ノズル群1に接続されたインクジェットプリンタータンク(図示外)に上記で準備した処理液A1を入れ、ノズル群2に接続されたタンクには処理液Bを入れ、ノズル群3に接続されたタンクには処理液C1を入れた(ノズル群4は未使用)。そして、試験用鋼板2の進行方向先頭側にヘッド1をセットし、試験用鋼板2は停止させて、ノズル先端と試験用鋼板2との距離が0.5mmとなるように保ったまま、図2(A)に示すように、先ずはノズル群1から処理液A1を塗布量約0.3g/mで吐出しながら、ヘッド1を試験用鋼板2の幅方向に(図中左側から右側へ向かって)速度425mm/秒で移動させた(第1スキャン)。ヘッド1が試験用鋼板2の右端側に到着したところで、ヘッド1を元の位置に戻し、更には、試験用鋼板2をヘッド1の長さ1/3相当分だけ前進させて停止し、第1スキャンと同じくノズル先端と試験用鋼板2との距離0.5mmを保ったまま、第1スキャンと同様に鋼板2の幅方向に同じ速度425mm/秒でヘッド1を右端側まで移動させた(第2スキャン)。この際、図2(B)に示すように、ノズル群1からは処理液A1を第1スキャンと同じ塗布量で吐出すると共に、ノズル群2からは処理液Bを塗布量約0.1g/mで吐出して、第1スキャンで塗布された処理液A1に重ねるようにした。ヘッド1が再び試験用鋼板2の右端側に到着したところで、ヘッド1を元の位置に戻し、試験用鋼板2をヘッド1の長さ1/3相当分だけ更に前進させて停止し、第1スキャン及び第2スキャンと同様に、ヘッド1を右端側まで移動させた(第3スキャン)。この際、図2(C)に示すように、ノズル群1及び2から吐出される各処理液の塗布量は保ったまま塗布し、ノズル群3からは処理液C1を約0.1g/mの塗布量で吐出して、第2スキャンで塗布された処理液Bに処理液C1を重ねるように塗布した。これら第1〜3スキャンを繰り返しながら、試験用鋼板2の150mm×75mmの領域が処理液A1、B及びC1の順で塗り重ねられるように塗布した。次いで、この試験用鋼板2を加熱室(図示外)に入れ、大気中で160℃(最高到達板温度)、20秒間の乾燥焼付を行い、実施例1に係る試験用表面処理鋼板を得た。
上記で得られた実施例1に係る試験用表面処理鋼板について、以下のようにして耐食性を評価した。また、実施例1で使用した各処理液の貯蔵安定性を以下のようにして評価した。結果を表2に示す。なお、試験用鋼板2に塗布した全処理液合計の無機成分/有機成分の固形分重量比率もあわせて示す。
[耐食性]
試験用表面処理鋼板を70mm×150mmの大きさに切断後、端面部をポリエステル製シールにてシールした試験片の塩水噴霧試験(JIS Z-2371)を行い、試験片表面に白錆が全体の面積の5%発生するまでに要した時間を下記評価基準に従い評価した。
○:120時間以上
△:96時間以上、120時間未満
×:96時間未満
[貯蔵安定性]
各処理液を個別に容器に入れ密封し、50℃恒温器にそれぞれ2週間放置し後、#300のナイロンメッシュで濾過して濾過残査を目視評価でした。
○:残査物なし
×:残査物あり
<実施例2〜5>
処理液の組合せ及びそれぞれの塗布量を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして試験用表面処理鋼板を得た。得られた実施例2〜5に係る試験用表面処理鋼板について、それぞれ実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。なお、各実施例における処理液の塗布は、表2に示した吐出順が先のものから順に、ノズル群1、ノズル群2、及びノズル群3を使用するようにした。例えば実施例2では、ノズル群1から処理液A1を吐出し、ノズル群2から処理液Bを吐出し、ノズル群3から処理液C2を吐出するようにして、ノズル群4は未使用とした。また、実施例5については、処理液Dはノズル群4から吐出するようにした。この場合、ノズル群1〜3を使用して第1〜3スキャンの繰り返しを行った後、ヘッド1を元の位置に戻すと共に、試験用鋼板2についても処理開始時のスタート地点まで後退させて、再度ノズル群4のみを使用して所定の回数のスキャンを行い、処理液A1、B及びC1が塗布された全ての領域に処理液Dを重ねるように塗布した。
<比較例1>
ロールコーターを用いて、実施例1と同様に用意した試験用鋼板に対して処理液Gを塗布し、その後、実施例1と同様の乾燥焼付を行った。得られた表面処理鋼板について、蛍光X線装置(島津製作所社製)を用いて塗布量を検量線法にて測定したところ0.5g/mであった。また、得られた表面処理鋼板の耐食性と、比較例1で使用した処理液Gの貯蔵安定性とについて、それぞれ実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2010188317
本発明によれば、処理液の組成選定におけるこれまでの制約を取り払いながら、複数の処理液間で互いの性能を妨げることなく金属板を処理することができ、脱脂後の耐食性、導電性、上塗塗料密着性に優れた表面処理金属板を得ることができる。そのため、耐食性の付与などを目的とした種々の金属板の表面処理に適用できることは勿論、特にクロムフリーの処理液を用いて十分な耐食性を付与せしめる表面処理方法として好適であり、従来の自動車、家電、建材分野等で使用されているクロメート処理板に代替し得る表面処理金属板を得ることができる。また、クロムを含有しない無公害の表面処理金属板を得ることができるため、容器関連、食器関連、屋内用建材等に至るまで幅広い分野での適用が可能になる。
1:インクジェットプリンターヘッド
2:試験用鋼板

Claims (12)

  1. 金属イオンを含み、金属板に防錆皮膜を形成する処理液を吐出するノズルと、樹脂成分を含み、金属板に樹脂皮膜を形成する処理液を吐出するノズルとを少なくとも備えたインクジェットプリンターを用いて、金属板の表面に2種以上の処理液を塗布して表面処理することを特徴とする金属板の表面処理方法。
  2. インクジェットプリンターが、金属酸素酸塩を含んだ処理液を吐出するノズルを更に備える請求項1に記載の金属板の表面処理方法。
  3. インクジェットプリンターが、固体潤滑剤を含んだ処理液を吐出するノズルを更に備える請求項1又は2に記載の金属板の表面処理方法。
  4. 20℃における処理液の表面張力がいずれも20〜50mN/mであり、かつ、処理液間の表面張力の差が10mN/m以内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  5. ノズルからの吐出時の処理液の粘度が2〜30mPa・sである請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  6. 金属板に塗布される処理液の合計のうち、無機成分/有機成分の固形分重量比率が1/99〜95/5である請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  7. 金属板に塗布される各処理液の固形分濃度が1〜40質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  8. 金属板が、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、又はこれらいずれかの金属めっき板である請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  9. 搬送手段によって搬送されている金属板の表面に、インクジェットプリンターのノズルから吐出された処理液を塗布する請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属板の表面処理方法。
  10. インクジェットプリンターが、金属板の幅方向にノズルが配列されたノズル列を有すると共に、このノズル列が金属板の進行方向の前後に複数列配置されており、それぞれのノズル列から異なる処理液を吐出する請求項9に記載の金属板の表面処理方法。
  11. 処理液が塗布された金属板を、金属板の進行方向下流側に設けられた加熱室で加熱・乾燥処理する請求項9又は10に記載の金属板の表面処理方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面処理方法により得られた表面処理金属板。
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