JP2010187947A - 可撓性チューブおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チューブに繰り返し外力を与えてもチューブ全長の縮みが小さい可撓性チューブおよび加工によるチューブ本体の伸びが小さい可撓性チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】外周面に軸と平行の縦溝11およびその縦溝と交差する螺旋溝12を備えた合成樹脂製のチューブ本体13と、そのチューブ本体の螺旋溝12に沿って設けられたコイル14と、前記チューブ本体およびコイルの上に設けられる合成樹脂コート15とからなる可撓性チューブ10。
【選択図】図1

Description

本発明は可撓性チューブに関する。詳しくは、鉗子等の医療器具を挿入し、湾曲した体内に挿入するための可撓性チューブに関する。
一般に内視鏡および鉗子等を挿入する可撓性チューブは、湾曲した体腔内に挿入されるため可撓性と共に、座屈強度が求められている。そして、可撓性チューブに強度を持たせるため、合成樹脂製のチューブ本体の外周に螺旋溝を形成し、その螺旋溝に沿ってコイルを巻きつけることが知られている(特許文献1)。
このような合成樹脂製の可撓性チューブの螺旋溝は、チューブ本体の外周面を塑性変形させることにより形成される(特許文献2)。
実公昭59−40002号公報 特開平5−184533号公報
しかし、螺旋溝加工を行うとき、チューブの全長がチューブ本体より13〜16%伸びる。そして、この伸びた可撓性チューブに対して、繰り返し屈曲させたり、繰り返し回転応力を加えると螺旋溝によるチューブの歪が緩和され、長さが縮まってしまうことがある。
このような縮みを防止するため、螺旋溝を形成した伸びた可撓性チューブを製造した後、最終工程で全長の最終寸法を調整する必要があり、手間がかかっていた。
本発明は、チューブに繰り返し外力を与えてもチューブ全長の縮みが小さい可撓性チューブおよび加工によるチューブ本体の伸びが小さい可撓性チューブの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の可撓性チューブは、外周面に軸と平行の縦溝およびその縦溝と交差する螺旋溝を備えた合成樹脂製のチューブ本体と、そのチューブ本体の螺旋溝に沿って設けられたコイルとを備えたことを特徴としている。
本発明の可撓性チューブの製造方法は、外周面にチューブ本体の軸と平行する縦溝を備えた円筒状のチューブ本体を成形し、そのチューブ本体の外周面に螺旋溝を形成し、その螺旋溝に沿ってコイルを装着し、チューブ本体およびコイルの上に合成樹脂コートを施すことを特徴としている。
(1)本発明の可撓性チューブは、外周面に軸と平行の縦溝およびその縦溝と交差する螺旋溝を備えた合成樹脂製のチューブ本体を備えているため、外周面に形成される螺旋溝の加工面積を小さくすることができ、螺旋溝の加工によるチューブ本体の伸縮が起こりにくい。また、縦溝の間の山がリブとして効果を奏し、チューブ本体に繰り返し外力を加えても塑性変形しにくい。つまり、耐久性が高い。
(2)このような可撓性チューブであって、合成樹脂コートが設けられている場合、可撓性チューブの破れ等を防止する。特に親水性の合成樹脂コートを設ける場合、体内への挿入を容易にする。
(3)前記縦溝が前記チューブの外周に等間隔で複数本形成されている場合、螺旋溝の加工面積が一層小さくなり、縦溝のリブとしての効果を一層発揮できる。縦溝が外周に等間隔で形成されているため、いずれの方向にも簡単に湾曲させることができ、操作性も高い。
(4)本発明の可撓性チューブの製造方法は、外周面にチューブ本体の軸と平行する縦溝が形成された円筒状のチューブ本体を成形し、そのチューブ本体の外周面に螺旋溝を形成しているため、螺旋溝を形成するとき、縦溝の部位は塑性変形する必要がなく、その加工面積または体積を少なくすることができる。つまり、螺旋溝加工の成形抵抗を軽減することができる。そのため、螺旋溝加工によるチューブ本体の伸びを抑えることができる。
図1a、b、cは本発明の可撓性チューブの一実施形態を示す側面図、断面図、側面断面図である。
図1aに示す可撓性チューブ10は、縦溝11および螺旋溝12とを備えたチューブ本体13と、その螺旋溝12に沿って設けられるコイル14と、チューブ本体13およびコイル14の上に設けられる合成樹脂コート15とを備えている。また、チューブ本体13の縦溝11と螺旋溝12とは交差するように形成されている。
チューブ本体13は、可撓性を有する合成樹脂製であり、特に四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いるのが好ましい。
チューブ本体13の内径は、挿入する医療器具にもよるが、一般的に0.1〜10mm、特に0.5〜5mm、鉗子を挿入する場合は、1〜10mm、特に2〜5mm、また内視鏡を挿入する場合は、内径が1〜20mm、特に5〜15mmのものが好ましい。
チューブ本体13の外径(縦溝の間の山の頂点を結ぶ円の径)は、挿入する医療器具にもよるが、一般的に0.2〜20mm、特に0.6〜7mm、鉗子を挿入する場合は、1.1〜14mm、特に2.1〜9mm、また内視鏡を挿入する場合は、外径が1.1〜54mm、特に5.1〜19mmのものが好ましい。
チューブ本体13の最小肉厚部(縦溝の谷の肉厚)は、0.1〜0.5mm、特に0.1〜0.3mmであるものが好ましい。0.1mmより薄いと使用により破れたりするおそれがある。0.5mmより厚いと操作性が悪くなる。
縦溝11は、チューブ本体13の外周面に、チューブ本体の軸と平行になるように形成されている。本実施形態では、20本の縦溝11が等間隔で形成されているが、1本以上あればよく、1〜50本、特に10〜30本が好ましい。
チューブ本体13に縦溝11を設けることにより、螺旋溝12の加工面積あるいは体積を少なくすることができ、螺旋溝加工の成形抵抗を軽減することができる。そのため、螺旋溝の加工によるチューブ本体13の伸びを防止することができる。また、縦溝11は、可撓性チューブ10のリブ的な効果も奏し、その座屈を防止する。
縦溝11は、押出成形でチューブ本体13の成形と共に形成される。つまり、内面に任意の本数の縦突条が形成された金型に、溶融させたチューブ本体の材料を通し、その後、冷却して形成される。しかし、断面円形のチューブ本体を成形し、その後、ダイス等により加熱しながらその外周を塑性変形し、あるいは、削って縦溝を形成してもよい。
螺旋溝12は、コイル14をチューブ本体13に固定するために設けられており、チューブ本体13の外周面に縦溝11と交差するように形成される。そのピッチは、0.1〜2mm、特に0.2〜1mmが好ましい。また、縦溝11の深さとほぼ同じか縦溝11より少し浅い方が好ましい。
螺旋溝12が縦溝11の深さに比して浅すぎると縦溝11のリブ的効果が大きくなりすぎ、可撓性チューブ10の湾曲性が損なわれ、操作性が悪くなる。一方、縦溝11の深さに対して深すぎると縦溝11の効果が得られない。螺旋溝12は通常1本であるが、2本以上形成してもよい。
螺旋溝12は、縦溝11が形成されたチューブ本体13に溝切りダイスを用いて塑性変形させることにより形成される。このとき、溝切りダイスを回転させながらチューブ本体13の軸方向に進めても、チューブ本体13を回転させながら軸方向に移動させてもよい。また、一方を回転させ、他方をチューブ本体13の軸方向に移動させてもよい。
コイル14は、スプリングコイルが好ましい。しかし、スプリング効果のないコイルを用いても良い。その材料としては、金属線、スプリング鋼、特にステンレス鋼が好ましい。そのピッチは螺旋溝12と同一の0.1〜2mm、特に0.2〜1mmが好ましいが、可撓性チューブ10の湾曲度等を考慮しながら、使用目的に応じて適宜設定することができる。コイルを2本以上巻いても良く、その場合、螺旋溝12の本数をコイルの数に合わせる。
合成樹脂コート15としては、シリコーンゴム、ウレタン、ナイロン等の合成樹脂が用いられる。特に、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性の合成樹脂コートを設けることにより、体内での滑り性が良くなり、操作性が向上する。その厚さは、0.01〜10mm、特に0.1〜5mmが好ましい。
この可撓性チューブ10の製造方法を次に示す。初めに、外周面に軸と平行する縦溝11を備えたチューブ本体13を押出成形により成形する。そのチューブ本体13の外周面に螺旋溝12を形成する。その後、螺旋溝12に沿ってコイル14を装着する。さらに、チューブ本体13およびコイル14の上に合成樹脂コート15を施してもよい。
内径が3.9mm、外径が4.6mm、縦溝の深さ0.15mm、縦溝の谷部の肉厚0.2mmとなるようにチューブを押出成形により成形した。このチューブは縦溝を等間隔で20本備えている。このチューブに螺旋溝を深さが縦溝と同じ位になるように加工した。その後、スプリングを装着し、得られた5本の可撓性チューブを実施例1とする。
内径が3.85mm、外径が4.5mmのチューブを押出成形により成形した。このチューブに螺旋溝を溝谷部肉厚が0.2mmとなるように加工した。その後、スプリングを装着し、得られた5本の可撓性チューブ10を比較例1とする。
実施例1および比較例1のデータを表1、表2に示す。
比較例1の可撓性チューブは伸び率が平均13.8%であるのに対し、実施例1の可撓性チューブは伸び率が平均6.5%であった。縦溝を設けることにより、螺旋溝加工によるチューブの伸びを減少させることができた。そのため、実施例1の可撓性チューブの方が耐久性が高く、繰り返し使用しても縮みにくいことがわかる。
また、比較例1の伸び率(伸び量/チューブ全長)は13.0〜15.7%であるのに対し、実施例1の伸び率は6.0〜7.1%であった。縦溝を設けることにより、再現性の高い可撓性チューブが得られた。そのため、生産工程において、品質の高い製品が得られる。
10 可撓性チューブ
11 縦溝
12 螺旋溝
13 チューブ本体
14 コイル
15 合成樹脂コート

Claims (5)

  1. 外周面に軸と平行の縦溝およびその縦溝と交差する螺旋溝を備えた合成樹脂製のチューブ本体と、
    そのチューブ本体の前記螺旋溝に沿って設けられたコイルとを備えた、可撓性チューブ。
  2. 前記チューブ本体およびコイルの上に設けられる合成樹脂コートをさらに備えた、請求項1記載の可撓性チューブ。
  3. 前記縦溝が前記チューブ本体の外周に等間隔で複数本設けられた、請求項1記載の可撓性チューブ。
  4. 外周面にチューブ本体の軸と平行する縦溝を備えた円筒状のチューブ本体を成形し、
    そのチューブ本体の外周面に螺旋溝を形成し、
    その螺旋溝に沿ってコイルを装着し、
    チューブ本体およびコイルの上に合成樹脂コートを施す、可撓性チューブの製造方法。
  5. 前記縦溝を備えたチューブ本体を押出成形により成形する、請求項4記載の製造方法。
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