JP4921859B2 - カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法 - Google Patents

カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4921859B2
JP4921859B2 JP2006160811A JP2006160811A JP4921859B2 JP 4921859 B2 JP4921859 B2 JP 4921859B2 JP 2006160811 A JP2006160811 A JP 2006160811A JP 2006160811 A JP2006160811 A JP 2006160811A JP 4921859 B2 JP4921859 B2 JP 4921859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
catheter tube
core material
metal
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006160811A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007260382A (ja
Inventor
進 坂本
Original Assignee
金井 宏彰
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 金井 宏彰 filed Critical 金井 宏彰
Priority to JP2006160811A priority Critical patent/JP4921859B2/ja
Publication of JP2007260382A publication Critical patent/JP2007260382A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4921859B2 publication Critical patent/JP4921859B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)

Description

本発明は、治療や検査を必要とする血管、消化管、その他体腔(以下「要治療管」という)内に導入される細い管状のカテーテルチューブを製造するための芯材及びその製造方法並びにその芯材を用いて製造されたカテーテルチューブ及びその製造方法に関する。
治療や検査を必要とする人体の要治療管内にカテーテルチューブを導入するには、そのカテーテルチューブの導入に先だって医療用ガイドワイヤを所要部位まで導入することが必要である。すなわち、医療行為作業者(医者等)がカテーテルチューブを医療用ガイドワイヤに沿って所要部位までスムーズに導入するために、手元操作によって要治療管内にスムーズに挿入できて、カテーテルチューブを目的部位に正確に案内導入できることが医療用ガイドワイヤに要求される。このため、医療用ガイドワイヤには、その先端部が複雑に蛇行する要治療管内に対応し、且つ要治療管の内壁を傷つけることなく挿入し得る形態順応性(柔軟性)を備えるとともに、先端部に続く基端部が手元での微妙な操作量でも正確にトルクを伝達しうるトルク伝達性を備えていることが要求される。
一方、医療用ガイドワイヤにガイドされて要治療管内を移動するカテーテルチューブには、弾力性と強靭性が求められる。また、当然ながら、カテーテルチューブは要治療管内を移動するため、可能な限り薄肉、細径であることが求められる。このような特性を有するカテーテルチューブの構成材料としては、熱可塑性樹脂が一般的に用いられている。
例えば、特許文献1には、図11(a)に示すように、ロッド状の芯材41の外周に液状体を塗布して液状体被覆層42を形成し、その後、図11(b)に示すように、上記液状体被覆層42を硬化させて被膜43を形成し、その後、上記芯材41を上記被膜43より抜脱して、図11(c)に示すように、カテーテルチューブ44を得る方法が記載されている。ところが、芯材41の断面が円形であるため、カテーテルチューブ44の内面は滑らかな円形である。しかし、内面が滑らかな円形であると、医療用ガイドワイヤに沿ってカテーテルチューブを導入する際に、カテーテルチューブの内面とガイドワイヤとの全面接触による大きな摩擦抵抗が生じ、カテーテルチューブをスムーズに導入することが困難になる。さらに、より細い要治療管内にカテーテルチューブを導入するために、最初に挿入したガイドワイヤを抜いて、最初のものより細径のガイドワイヤをカテーテルチューブに挿入し、細径のガイドワイヤが挿入された後、最初のカテーテルチューブを抜いて、最初のものより細径のカテーテルチューブを細径のガイドワイヤに沿って所要部位まで導入することが必要な場合もある。このような事情を考慮すると、医療用ガイドワイヤに沿ったカテーテルチューブの導入とカテーテルチューブ内への医療用ガイドワイヤの挿入をスムーズに行うためには、カテーテルチューブと医療用ガイドワイヤとの接触面積を減らすことにより摩擦抵抗を減らすことが必要である。そこで、カテーテルチューブの素材をポリテトラフルオロエチレン等の摩擦抵抗の小さいフッ素樹脂としたり、カテーテルチューブ内面に微小な凹凸を形成することによって挿入されるガイドワイヤとの接触面積を減らすことで摩擦抵抗を軽減して潤滑性を向上させるという提案がされている。
この摩擦抵抗軽減対策として、例えば、押出成形によりカテーテルチューブ内面にエンボス加工を施すことが考えられる。具体的には、押出成形のダイスの樹脂出口付近(リップ)を冷却する方法、あるいは異形のダイスを用いて押出成形する方法が知られている。しかしながら、リップ冷却による方法は、チューブ外面については比較的広く行われているが、内面については、ダイスの構造上小径チューブでは非常に困難で、ダイの大きいインフレーション成形等で一部行われているのみである。また、異形ダイスを用いた成形では、帯状の筋を入れることができるのみで、チューブを樹脂で被覆できないため、小径のチューブを製造することができない。
さらに、カテーテルチューブと医療用ガイドワイヤとの摩擦抵抗軽減のための方法が、以下の特許文献2ないし4に提案されている。
すなわち、特許文献2には、熱可塑性樹脂を押出成形するとともに、この溶融樹脂通路に備えられた内型を振動させて前記樹脂における内型との接触面に凹凸を形成させる方法が記載されている。
また、特許文献3には、金属線状体上にシリコーン樹脂と無機物粉末とからなる塗料を塗布、焼付して一次塗膜を形成した後、チューブを形成するための樹脂を塗布、焼付し、その後、金属線状体に降伏点以下の伸びを与えてチューブを一次塗膜から剥離させ、内面に微少な凹凸を有するチューブを形成する方法が記載されている。
さらに、特許文献4には、エンボス加工によって外面に微少な凹部が多数形成された芯線上にチューブを構成する合成樹脂材料を被覆形成した後に、この芯線を引き抜く方法が記載されている。
特開平9−285545号公報 特公平1−16653号公報 特公平6−4301号公報 特開平8−24342号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、内型を振動させるための大がかりな装置を必要とするとともに、微少な凹凸を形成するための内型の振動ストロークや押出速度などの制御が非常に困難である。また、内型を振動させることによって偏肉が生じてチューブの外面側にも不要な凹凸が形成されてしまい、寸法安定性が低下してしまうという欠点がある。従って、高い寸法安定性が要求されるカテーテルチューブの製造に適用することは困難である。
また、特許文献3に記載の方法では、製造工程中に無機物粉末が金属線状体から脱落し、凹凸が不均一になったり、チューブ内に無機物粉末が残存し、カテーテルチューブを体内に挿入したときに悪影響を与える恐れがある。また、この方法では、金属線状体の上に無機物粉末の凸部が形成され、この上にチューブが形成されるため、得られたチューブは略平坦な内面に微小な凹凸が形成された構造となり、ガイドワイヤ挿入時の摩擦抵抗はそれほど低減しない。
さらに、特許文献4に記載の方法では、エンボス加工された芯線がチューブ内面に食い込んでいることから引き抜きが困難となる上に、無理に引き抜くとチューブ内面が傷ついてしまう恐れがある。
このように、内径1mm以下程度の小径のチューブで、ガイドワイヤの摩擦抵抗を有意に低減できる程度に内面に凹凸加工が施されたカテーテルチューブはいまだ得られていない。
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、安全で且つ潤滑性に富んだ(摩擦抵抗の小さい)カテーテルチューブを容易に得ることができるカテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法並びにその芯材を用いて製造されたカテーテルチューブ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のカテーテルチューブ製造用芯材は、多角形断面を有する金属細線をねじることによって得ることのできる、ねじりを付与された金属細線からなり、金属細線の破断伸びは50%以上であり、金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、ことを特徴としている。
また、本発明のカテーテルチューブ製造用芯材の製造方法は、伸線加工を含む冷間加工を経て製造された多角形断面を有する金属細線にねじり加工を施し、その後、上記金属細線に対して加工に伴う歪みの除去及び軟化のための熱処理を施すことによって、ねじりを付与された金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材を得る製造方法であって、金属細線の破断伸びは50%以上であり、金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、ことを特徴としている。
さらに、本発明のカテーテルチューブの製造方法は、ねじりを付与された金属細線または複数本の金属素線を撚り合わせた金属撚線からなる芯材をペースト状樹脂組成物によって被覆し、その後ペースト状樹脂組成物を固化させて樹脂被膜を形成し、さらに、上記芯材を樹脂被膜より抜脱して中空樹脂被膜からなるカテーテルチューブを得ることを特徴としている。
本発明は上記のように構成されているので、次の効果を奏する。
請求項1、2記載の発明によれば、安全で且つ潤滑性に富んだカテーテルチューブの製造用芯材として好適の金属細線または金属撚線を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、伸線加工を含む冷間加工を経て製造された多角形断面を有する金属細線にねじり加工を施し、その後、上記金属細線に対して加工に伴う歪みの除去及び軟化のための熱処理を施すことによって、高延性で繰り返し使用に耐え得るカテーテルチューブ製造用芯材を製造することができる。
請求項4、5記載の発明によれば、カテーテルチューブの内面長手方向にはスパイラル状の溝が形成されているので、係るカテーテルチューブ内にガイドワイヤを挿入する場合、カテーテルチューブの内面とガイドワイヤの接触面積が少なくなって摩擦抵抗が軽減され、カテーテルチューブ内面に形成されたスパイラル状に突出する帯状のワイヤガイド部またはスパイラル状のワイヤガイド突条部に沿って柔軟性のある医療用ガイドワイヤ先端部をスムーズに挿入することができる。また、摩擦抵抗が軽減されるので、カテーテルチューブの導入に先だって導入された医療用ガイドワイヤに沿ってカテーテルチューブをスムーズに所要部位まで導入することが可能になる。
請求項6記載の発明によれば、安全で且つ潤滑性に富んだカテーテルチューブを製造することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について、項目を分けて説明する。
(1)金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材とカテーテルチューブ
本発明のカテーテルチューブ製造用芯材を構成する金属細線の材料としては、鋼、銅、ステンレス鋼、アルミニウムを初めとする展延性の良好な金属が好ましく、これらの金属の表面に異種金属をメッキしたものでもよい。
多角形断面を有する金属細線としては、正八角形までの正多角形断面のものが好ましい。正八角形を超える正多角形では断面形状が円に近くなって、このような断面形状を有する金属細線にねじり加工を施すことによって得られる芯材で製造されたカテーテルチューブとガイドワイヤとの接触面積は大きくなって、摩擦抵抗の軽減効果が期待できないからである。
金属細線に付与されるねじりのピッチ(図2のP)は、内接円の直径(図5のD)の2.5〜20倍が好ましい。2.5倍未満では、ねじりのピッチが短かすぎて金属細線の製造時に断線が発生することがあり、一方、20倍を超えると、ねじりのピッチが長くなりすぎてスパイラル状の溝の形成による摩擦抵抗軽減効果が期待しにくくなるからである。
金属細線の破断伸びは50%以上であることが好ましい。50%未満であると、カテーテルチューブ製造時に、そのような金属細線から製造された芯材を中空樹脂被膜から抜脱しにくくなるからである。
金属細線にねじり加工を施すための手段としては、例えば、金属細線の長手方向の一方の端部を静置荷重に接続して金属細線の長手方向に引張り荷重を付与しながら、金属細線の長手方向の他方の端部を旋盤のチャックでつかみ、旋盤の主軸を低速(100〜400rpm)で回転させることによって金属細線にねじり加工を施すことができる。
また、公知のバンチャー型撚線機を用いても、金属細線にねじり加工を施すことができる。
加工に伴う歪みの除去および軟化のために金属細線に施す熱処理は、金属の種類にもよるが、約500〜1100℃の範囲で選択することができる。このような温度で金属細線に熱処理を施すことにより、加工に伴う歪みを除去するとともに、この金属細線を芯材として後記するような方法でカテーテルチューブを製造するときに、芯材を伸びやすくして樹脂被膜から抜脱しやすくすることができる。
金属細線からなる芯材で製造されたカテーテルチューブの内面が内接円(内接円の直径はガイドワイヤの直径に相当)を画定する線から離間している部分において、カテーテルチューブの内面(図5の11)と内接円を画定する線(図5において円を画定する点線)との距離の最大値(図5のt)は、内接円の直径(図5のD)の2〜15%が好ましい。2%未満であると、溝が浅すぎて摩擦抵抗軽減効果が期待しにくいという不都合があるからである。一方、15%を超えると、カテーテルチューブの厚みが薄くなって破損しやすくなり、この破損を防止するためにこの部分のカテーテルチューブの厚みを厚くすると、他の部分も厚くなってカテーテルチューブの柔軟性が低下するからである。
(2)金属撚線からなるカテーテルチューブ製造用芯材
本発明のカテーテルチューブ製造用芯材となる金属撚線を構成する金属素線の材料としては、鋼、銅、ステンレス鋼、アルミニウムを初めとする展延性の良好な金属が好ましく、これらの金属の表面に異種金属をメッキしたものでもよい。
金属撚線の例としては、図6(a)(b)に示すように、単層撚りと称される1×n撚り構造(nは金属素線数で、n=3〜6)のスチールコード21、22を用いることができる。スチールコード21の金属素線Mの数は3であり、スチールコード22の金属素線Mの数は5である。また、図7(a)(b)に示すように、束撚りと称される1×n撚り構造(nは金属素線数で、n=12、19、27)のスチールコード23、24を用いることができる。スチールコード23の金属素線Mの数は12、スチールコード24の金属素線Mの数は27である。さらに、図8(a)(b)(c)に示すように、複層撚りと称されるk+mまたはk+m+n撚り構造(kは最内側層の金属素線数でk=1〜3、mは中間層の金属素線数でm=6〜9、nは最外側層の金属素線数でn=12〜15)のスチールコード25、26、27を用いることができる。スチールコード25の金属素線数kは3、金属素線数mは9であり、スチールコード26の金属素線数kは1、金属素線数mは6、金属素線数nは12であり、スチールコード27の金属素線数kは3、金属素線数mは9、金属素線数nは15である。
金属撚線としては図6ないし図8に示すもの以外にも、安全で且つ潤滑性に富んだカテーテルチューブの製造に適したものであれば、他の撚り構造の金属撚線を採用しうることは言うまでもない。
これらの金属撚線は、公知のバンチャー型撚線機またはチューブラー型撚線機を用いて製造することができる。
また、金属撚線に対しても、撚り加工に伴う歪みの除去および軟化のために熱処理を施すことが好ましい。この熱処理温度は、金属素線の種類にもよるが、約500〜1100℃の範囲で選択することができる。このような温度で金属撚線に熱処理を施すことにより、加工に伴う歪みを除去するとともに、この金属撚線を芯材として後記するような方法でカテーテルチューブを製造するときに、芯材を伸びやすくして樹脂被膜から抜脱しやすくすることができる。
(3)ペースト状樹脂組成物
芯材を被覆するペースト状樹脂組成物としては、有機化合物を溶剤に溶解したもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリサルホンなどの熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。特に、ポリプロピレンを好ましく用いることができる。中でも、プロピレンをチーグラー−ナッタの触媒を用いて特別の条件下で高重合して得られるポリプロピレンは、アイソタクチック構造に富むため(80〜90%)、高い結晶性を示し、融点が高く(165℃)、密度は0.91g/cm3 でプラスチックの中で最も小さく、しかも、 機械的強度はポリエチレンに勝っている。また、このアイソタクチック構造を有するポリプロピレンは、メチル基がすべて片方の側に出ており、規則性を有し、結晶性が高く、半透明な樹脂で表面硬度が大きく、傷が付きにくく、耐薬品性や耐油性にも優れており、繰り返し曲げにも非常に強く、電気絶縁性も良いなど汎用プラスチックとして必要な諸性質を備えている。そこで、芯材を被覆するペースト状樹脂組成物としては、アイソタクチック構造を有するポリプロピレンが、特に好ましい。
また、ペースト状樹脂組成物の芯材への被覆手段としては、芯材の外面上への樹脂材料の押出成形や塗布やディッピング等により行うことができる。そのうち、細長い芯材を長手方向に移動させながら小口のダイより樹脂を押し出し、順次被覆する電線被覆法によれば、中空樹脂被膜からなる小径のチューブを寸法安定性よく得ることができるので好ましい。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、適宜変更や修正が可能である。
A.ねじりを付与された金属細線からなる芯材を用いたカテーテルチューブの製造
(1)芯材の製造
イ.伸線および圧延による四角形断面を有する金属細線の製造
次の表1に示す組成(SUS304相当:重量%)の鋼を電気溶解炉で溶解し、熱間鍛造後、5.5mmの直径の線材を熱間圧延により得た。次いで、その線材に伸線と固溶化熱処理を繰り返し施すことにより直径0.43mmに冷間伸線した後、4方向圧延機にて一辺の幅が0.4mmで、角部の曲率半径が0.15mmで、各辺の平坦部長さが0.21mmである、断面がほぼ正四角形の角線を得、この四角形断面の線材を1000mmの長さに切断した。
なお、異形ダイスを使用すれば、伸線加工だけでも、多角形断面の線材を得ることが可能である。
Figure 0004921859
ロ.四角形断面を有する金属細線へのねじり加工
図1に示す旋盤1のチャック2で四角形断面を有する線材3の一方の端部をつかみ、線材3の他方の端部を荷重4(固定部材)に接続し、且つ荷重4が自由に動かないように荷重4を旋盤1に固定し、線材3の長手方向に引張り荷重を付与した。
そして、旋盤1の回転駆動部5内の主軸を回転させてチャック2とともに線材3の一方の端部側を250rpmの回転数で1分間回転させると、線材3の他方の端部側は荷重4に接続されているので、線材3に対してねじりが付与され、図2に示すような側面と図3に示すような断面を有する、ねじりを付与された金属細線6からなるカテーテルチューブ製造用芯材を得た。図2において、ねじりピッチPは約4mmである。図2において、白色の部分がもとの角形に近い形状をとどめている部分であり、このような芯材を用いて後記するような方法で製造されるカテーテルチューブ内面には、白色と白色に挟まれた灰色の部分に対応するスパイラル状に突出する帯状のワイヤガイド部が形成されるととともに白色のスパイラル状の部分と灰色のスパイラル状の部分によってスパイラル状の起伏のある溝が形成される。
ハ.熱処理
上記各金属細線に施された伸線加工と圧延加工とねじり加工に伴う歪みの除去および軟化のために、連続熱処理炉を用いて、金属細線に1050℃の固溶化熱処理を施した。また、金属細線の破断伸びを測定するために、表1に示す組成の鋼から同上工程に従ってねじりを付与された金属細線を製造し、その金属細線に対する同上固溶化熱処理後の破断伸びを測定すると、60%であった。
(2)カテーテルチューブの製造
上記熱処理によって得られた芯材の外周に、通常の電線被覆法にてポリプロピレン(アイソタクチック構造を有するもの)を被覆した。次に、この芯材両端の約30mmのポリプロピレン被膜をサンドペーパーで削り取って芯材を露出させた。そして、露出した芯材の一端を固定し、他端を引っ張って芯材を細径化し、その後、芯材を抜脱し、図4に示すような長手方向断面を有するポリプロピレン製のカテーテルチューブ7を得た。図5は、図4のV−V矢視拡大断面図である。図4に示すように、カテーテルチューブ7の内面には、中心軸8に向かってスパイラル状に僅かに突出する帯状のワイヤガイド部9が形成されるとともに、帯状のワイヤガイド部9と9に挟まれたスパイラル状の部分10がワイヤガイド部9より僅かにへこむことにより、カテーテルチューブ7の内面の長手方向には、スパイラル状に僅かに突出する帯状のワイヤガイド部9とスパイラル状の起伏のある溝が交互に形成される。
図5において、点線は内接円を示し、内接円の直径Dは0.4mmである。また、図5において、カテーテルチューブ7の内面11が内接円を画定する線(図5における点線)から離間している部分において、カテーテルチューブ7の内面11と内接円を画定する線との距離の最大値(t)は、0.015mm(内接円直径の3.75%)である。
B.複数本の金属素線を撚り合わせた金属撚線からなる芯材を用いたカテーテルチューブの製造
(1)芯材の製造
次の表2に示す組成(重量%)のSWRH62A相当(JIS規格)の直径5.5mmの鋼製線材に伸線と熱処理(焼鈍)を繰り返し施すことにより直径0.15mmに冷間伸線して金属素線を得た後、公知のバンチャー型撚線機を用いて、図9(a)に示すような側面と図9(b)に示すような断面を有する、5本の金属素線28を撚り合わせた単層撚りの金属撚線29を得た。この金属撚線29の束に対して、バッチ式熱処理炉を用いて、温度700℃で10時間の熱処理を施し、次いで、この金属撚線を1000mmの長さに切断してカテーテルチューブ製造用芯材を得た。熱処理後の金属撚線の引張り強さは508N/mm2で、破断伸びは22%であった。
なお、撚線加工前の金属素線に、伸線加工に伴う歪みの除去および軟化のための熱処理を施し、この熱処理後の複数本の金属素線を撚り合わせた金属撚線からなるカテーテルチューブ製造用芯材を得ることもできる。
Figure 0004921859
(2)カテーテルチューブの製造
上記熱処理によって得られた芯材の外周に、通常の電線被覆法にてポリプロピレン(アイソタクチック構造を有するもの)を被覆した。次に、この芯材両端の約30mmのポリプロピレン被膜をサンドペーパーで削り取って芯材を露出させた。そして、露出した芯材の一端を固定し、他端を引っ張って芯材を細径化し、その後、芯材を抜脱し、図10に示すような長手方向断面を有するポリプロピレン製のカテーテルチューブ30を得た。図10に示すように、カテーテルチューブ30の内面には、中心軸31に向かって僅かに突出するスパイラル状のワイヤガイド突条部32が形成されるとともに、スパイラル状のワイヤガイド突条部32と32に挟まれたスパイラル状の部分33がワイヤガイド突条部32より僅かにへこむことにより、カテーテルチューブ30の内面の長手方向には、スパイラル状のワイヤガイド突条部32とスパイラル状の起伏のある溝が交互に形成される。
金属細線にねじり加工を施す方法を説明する図である。 本発明の方法に従ってねじり加工を施された金属細線の一例の長手方向の一部の拡大側面図である。 図2のIII−III矢視拡大断面図である。 本発明の方法に従って製造されたカテーテルチューブの一例の長手方向の一部の拡大断面図である。 図5のV−V矢視拡大断面図である。 図6(a)(b)は、それぞれ単層撚りのスチールコードの断面図である。 図7(a)(b)は、それぞれ束撚りのスチールコードの断面図である。 図8(a)(b)(c)は、それぞれ複層撚りのスチールコードの断面図である。 図9(a)は5本の金属素線を撚り合わせた単層撚りのスチールコードの長手方向の一部の拡大側面図、図9(b)は図9(a)のXI−XI矢視拡大断面図である。 本発明の方法に従って製造されたカテーテルチューブの他の例の長手方向の一部の拡大断面図である。 図11(a)(b)(c)は、従来のカテーテルチューブの製造方法の一例を示す図である。
符号の説明
1 旋盤
2 チャック
3 線材
4 荷重
5 回転駆動部
6 金属細線
7 カテーテルチューブ
8 中心軸
9 スパイラル状に突出する帯状のワイヤガイド部
10 スパイラル状の部分
11 カテーテルチューブの内面
21 単層撚りスチールコード
22 単層撚りスチールコード
23 束撚りスチールコード
24 束撚りスチールコード
25 複層撚りスチールコード
26 複層撚りスチールコード
27 複層撚りスチールコード
28 金属素線
29 金属撚線
30 カテーテルチューブ
31 中心軸
32 スパイラル状のワイヤガイド突条部
33 スパイラル状の部分
M 金属素線

Claims (3)

  1. 多角形断面を有する金属細線をねじることによって得ることのできる、ねじりを付与された金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材であって、
    金属細線の破断伸びは50%以上であり、
    金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、
    芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、カテーテルチューブ製造用芯材。
  2. 伸線加工を含む冷間加工を経て製造された多角形断面を有する金属細線にねじり加工を施し、その後、上記金属細線に対して加工に伴う歪みの除去及び軟化のための熱処理を施すことによって、ねじりを付与された金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材を得ることを特徴とするカテーテルチューブ製造用芯材の製造方法であって、
    カテーテルチューブ製造用芯材は、
    金属細線の破断伸びは50%以上であり、
    金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、
    芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、カテーテルチューブ製造用芯材の製造方法。
  3. ペースト状樹脂組成物によって請求項1記載の芯材を被覆し、その後ペースト状樹脂組成物を固化させて樹脂被膜を形成し、さらに、上記芯材を樹脂被膜より抜脱して中空樹脂被膜からなるカテーテルチューブを得ることを特徴とするカテーテルチューブの製造方法。
JP2006160811A 2006-03-03 2006-06-09 カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法 Expired - Fee Related JP4921859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006160811A JP4921859B2 (ja) 2006-03-03 2006-06-09 カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006057333 2006-03-03
JP2006057333 2006-03-03
JP2006160811A JP4921859B2 (ja) 2006-03-03 2006-06-09 カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007260382A JP2007260382A (ja) 2007-10-11
JP4921859B2 true JP4921859B2 (ja) 2012-04-25

Family

ID=38633939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006160811A Expired - Fee Related JP4921859B2 (ja) 2006-03-03 2006-06-09 カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4921859B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112516434B (zh) * 2020-11-30 2022-04-22 临沂市兴华医用器材有限公司 一种麻醉导管

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04100629A (ja) * 1990-08-21 1992-04-02 Daido Steel Co Ltd 機械部品用帯材の製造方法
JPH10118188A (ja) * 1996-10-24 1998-05-12 Terumo Corp 体腔内挿入用医療用器具およびその製造方法
US20040215109A1 (en) * 2003-04-23 2004-10-28 Pingleton Edward D. Helical guidewire

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007260382A (ja) 2007-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6611237B2 (ja) 操作用中空撚り線
US5888436A (en) Manufacture of variable stiffness microtubing
JP4368678B2 (ja) 血管内カテーテルのための一体化されたポリマーおよび編組体
EP3546008A1 (en) Catheter and method for manufacturing catheter
JP6149855B2 (ja) 医療機器
JP4796534B2 (ja) カテーテル用チューブの製造方法
JP5870226B1 (ja) 操作用ロープ
JP2008036157A (ja) カテーテルチューブおよびその製造方法
JP5990907B2 (ja) 医療機器および医療機器の製造方法
US6841214B1 (en) Variable stiffness microtubing and methods of manufacture
JP5870227B1 (ja) 操作用ロープ
JP4921859B2 (ja) カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法
JP2022001164A (ja) コイル体
US20240300164A1 (en) A method
JP3635965B2 (ja) カテーテルチューブの製造方法
JP6616811B2 (ja) 医療機器の操作用ロープ
JP4397319B2 (ja) マイクロカテーテルの製造方法及びマイクロカテーテル
JP2010207321A (ja) カテーテル
JP2000225196A (ja) カテーテルチューブおよびその製造方法
JP6423374B2 (ja) 操作用中空撚り線
JP2010187947A (ja) 可撓性チューブおよびその製造方法
JP2024055315A (ja) 操作用ロープ
JP2006181258A (ja) マイクロカテーテルの製造方法及びマイクロカテーテル
JP2000262626A (ja) カテーテルチューブ及びその製造方法
WO2024166629A1 (ja) ガイドワイヤおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110531

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120131

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4921859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees