JP4921859B2 - カテーテルチューブ製造用芯材及びその製造方法、並びにカテーテルチューブの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材とカテーテルチューブ
本発明のカテーテルチューブ製造用芯材を構成する金属細線の材料としては、鋼、銅、ステンレス鋼、アルミニウムを初めとする展延性の良好な金属が好ましく、これらの金属の表面に異種金属をメッキしたものでもよい。
(2)金属撚線からなるカテーテルチューブ製造用芯材
本発明のカテーテルチューブ製造用芯材となる金属撚線を構成する金属素線の材料としては、鋼、銅、ステンレス鋼、アルミニウムを初めとする展延性の良好な金属が好ましく、これらの金属の表面に異種金属をメッキしたものでもよい。
(3)ペースト状樹脂組成物
芯材を被覆するペースト状樹脂組成物としては、有機化合物を溶剤に溶解したもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリサルホンなどの熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。特に、ポリプロピレンを好ましく用いることができる。中でも、プロピレンをチーグラー−ナッタの触媒を用いて特別の条件下で高重合して得られるポリプロピレンは、アイソタクチック構造に富むため(80〜90%)、高い結晶性を示し、融点が高く(165℃)、密度は0.91g/cm3 でプラスチックの中で最も小さく、しかも、 機械的強度はポリエチレンに勝っている。また、このアイソタクチック構造を有するポリプロピレンは、メチル基がすべて片方の側に出ており、規則性を有し、結晶性が高く、半透明な樹脂で表面硬度が大きく、傷が付きにくく、耐薬品性や耐油性にも優れており、繰り返し曲げにも非常に強く、電気絶縁性も良いなど汎用プラスチックとして必要な諸性質を備えている。そこで、芯材を被覆するペースト状樹脂組成物としては、アイソタクチック構造を有するポリプロピレンが、特に好ましい。
A.ねじりを付与された金属細線からなる芯材を用いたカテーテルチューブの製造
(1)芯材の製造
イ.伸線および圧延による四角形断面を有する金属細線の製造
次の表1に示す組成(SUS304相当:重量%)の鋼を電気溶解炉で溶解し、熱間鍛造後、5.5mmの直径の線材を熱間圧延により得た。次いで、その線材に伸線と固溶化熱処理を繰り返し施すことにより直径0.43mmに冷間伸線した後、4方向圧延機にて一辺の幅が0.4mmで、角部の曲率半径が0.15mmで、各辺の平坦部長さが0.21mmである、断面がほぼ正四角形の角線を得、この四角形断面の線材を1000mmの長さに切断した。
図1に示す旋盤1のチャック2で四角形断面を有する線材3の一方の端部をつかみ、線材3の他方の端部を荷重4(固定部材)に接続し、且つ荷重4が自由に動かないように荷重4を旋盤1に固定し、線材3の長手方向に引張り荷重を付与した。
ハ.熱処理
上記各金属細線に施された伸線加工と圧延加工とねじり加工に伴う歪みの除去および軟化のために、連続熱処理炉を用いて、金属細線に1050℃の固溶化熱処理を施した。また、金属細線の破断伸びを測定するために、表1に示す組成の鋼から同上工程に従ってねじりを付与された金属細線を製造し、その金属細線に対する同上固溶化熱処理後の破断伸びを測定すると、60%であった。
(2)カテーテルチューブの製造
上記熱処理によって得られた芯材の外周に、通常の電線被覆法にてポリプロピレン(アイソタクチック構造を有するもの)を被覆した。次に、この芯材両端の約30mmのポリプロピレン被膜をサンドペーパーで削り取って芯材を露出させた。そして、露出した芯材の一端を固定し、他端を引っ張って芯材を細径化し、その後、芯材を抜脱し、図4に示すような長手方向断面を有するポリプロピレン製のカテーテルチューブ7を得た。図5は、図4のV−V矢視拡大断面図である。図4に示すように、カテーテルチューブ7の内面には、中心軸8に向かってスパイラル状に僅かに突出する帯状のワイヤガイド部9が形成されるとともに、帯状のワイヤガイド部9と9に挟まれたスパイラル状の部分10がワイヤガイド部9より僅かにへこむことにより、カテーテルチューブ7の内面の長手方向には、スパイラル状に僅かに突出する帯状のワイヤガイド部9とスパイラル状の起伏のある溝が交互に形成される。
B.複数本の金属素線を撚り合わせた金属撚線からなる芯材を用いたカテーテルチューブの製造
(1)芯材の製造
次の表2に示す組成(重量%)のSWRH62A相当(JIS規格)の直径5.5mmの鋼製線材に伸線と熱処理(焼鈍)を繰り返し施すことにより直径0.15mmに冷間伸線して金属素線を得た後、公知のバンチャー型撚線機を用いて、図9(a)に示すような側面と図9(b)に示すような断面を有する、5本の金属素線28を撚り合わせた単層撚りの金属撚線29を得た。この金属撚線29の束に対して、バッチ式熱処理炉を用いて、温度700℃で10時間の熱処理を施し、次いで、この金属撚線を1000mmの長さに切断してカテーテルチューブ製造用芯材を得た。熱処理後の金属撚線の引張り強さは508N/mm2で、破断伸びは22%であった。
上記熱処理によって得られた芯材の外周に、通常の電線被覆法にてポリプロピレン(アイソタクチック構造を有するもの)を被覆した。次に、この芯材両端の約30mmのポリプロピレン被膜をサンドペーパーで削り取って芯材を露出させた。そして、露出した芯材の一端を固定し、他端を引っ張って芯材を細径化し、その後、芯材を抜脱し、図10に示すような長手方向断面を有するポリプロピレン製のカテーテルチューブ30を得た。図10に示すように、カテーテルチューブ30の内面には、中心軸31に向かって僅かに突出するスパイラル状のワイヤガイド突条部32が形成されるとともに、スパイラル状のワイヤガイド突条部32と32に挟まれたスパイラル状の部分33がワイヤガイド突条部32より僅かにへこむことにより、カテーテルチューブ30の内面の長手方向には、スパイラル状のワイヤガイド突条部32とスパイラル状の起伏のある溝が交互に形成される。
2 チャック
3 線材
4 荷重
5 回転駆動部
6 金属細線
7 カテーテルチューブ
8 中心軸
9 スパイラル状に突出する帯状のワイヤガイド部
10 スパイラル状の部分
11 カテーテルチューブの内面
21 単層撚りスチールコード
22 単層撚りスチールコード
23 束撚りスチールコード
24 束撚りスチールコード
25 複層撚りスチールコード
26 複層撚りスチールコード
27 複層撚りスチールコード
28 金属素線
29 金属撚線
30 カテーテルチューブ
31 中心軸
32 スパイラル状のワイヤガイド突条部
33 スパイラル状の部分
M 金属素線
Claims (3)
- 多角形断面を有する金属細線をねじることによって得ることのできる、ねじりを付与された金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材であって、
金属細線の破断伸びは50%以上であり、
金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、
芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、カテーテルチューブ製造用芯材。 - 伸線加工を含む冷間加工を経て製造された多角形断面を有する金属細線にねじり加工を施し、その後、上記金属細線に対して加工に伴う歪みの除去及び軟化のための熱処理を施すことによって、ねじりを付与された金属細線からなるカテーテルチューブ製造用芯材を得ることを特徴とするカテーテルチューブ製造用芯材の製造方法であって、
カテーテルチューブ製造用芯材は、
金属細線の破断伸びは50%以上であり、
金属細線に付与されるねじりのピッチは、内接円の直径の2.5〜20倍であり、
芯材の外面と内接円を画定する線との距離の最大値は、内接円の直径の2〜15%である、カテーテルチューブ製造用芯材の製造方法。 - ペースト状樹脂組成物によって請求項1記載の芯材を被覆し、その後ペースト状樹脂組成物を固化させて樹脂被膜を形成し、さらに、上記芯材を樹脂被膜より抜脱して中空樹脂被膜からなるカテーテルチューブを得ることを特徴とするカテーテルチューブの製造方法。
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