JP2010180074A - カーボン成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温付近での使用時のみならず、高温条件下、特に高温低湿条件下での使用時にも水性媒体、特に水に対する良好な濡れ性を有するカーボン成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂によって形成された親水性塗膜がカーボン基材上に設けられてなるカーボン成形体であって、該カルボジイミド樹脂が有機酸で変性されているカーボン成形体、ならびに、分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂の水溶液および/または水分散液である親水化処理液をカーボン基材上に塗布し、その後乾燥させることによって、カーボン基材上に該カルボジイミド樹脂を付与する樹脂付与工程と、該カルボジイミド樹脂を有機酸水溶液で処理する有機酸処理工程と、該処理されたカーボン基材を水洗する水洗工程とを含むカーボン成形体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、燃料電池用セパレータ、電極用導電材等の各種導電性構造体の他、磁気ヘッド用部品、各種の成型用型、治具等として好適に使用できるカーボン成形体およびその製造方法に関する。
従来、燃料電池用セパレータ、電極用導電材等の各種導電性構造体、磁気ヘッド用部品、各種の成型用型、治具等の用途において、水等の水性媒体に対する濡れ性に優れるカーボン成形体が求められている。例えば二次電池用電極板においては、電極活物質層に親水性カーボン粒子を用い、導電材が溶媒に分散しやすくなるようにして導電材を凝集し難くし、活物質に対して多量の導電材を含有させて活物質粒子の表面に効率的に導電材を配置することにより効果的な電子のパスを形成することが提案されている(特許文献1参照)。また燃料電池セパレータにおいては、比較的容易かつ経済的な方法で親水性を付与した燃料電池セパレータの製造を目的として、黒鉛粉と樹脂からなる燃料電池セパレータの表面をフレーム処理することにより親水性を付与すること(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2007−103066号公報 特開2002−313356号公報
例えば燃料電池用セパレータ等、高温条件下での使用が想定される用途では、室温付近のみならず高温条件下においてもカーボン成形体の表面が親水性を維持することが要求される。しかし高温条件下、特に高温低湿条件下では水性溶媒の蒸発等によってカーボン成形体表面の水性溶媒による濡れが低下しやすく、室温付近での使用時と比べてカーボン成形体表面の水性媒体による良好な濡れを確保することが難しいという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決し、室温付近での使用時のみならず、高温条件下、特に高温低湿条件下での使用時にも水性媒体、特に水に対する良好な濡れ性を有するカーボン成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂によって形成された親水性塗膜がカーボン基材上に設けられてなるカーボン成形体であって、該カルボジイミド樹脂が有機酸で変性されている、カーボン成形体を提供する。
また本発明は、上記有機酸がプロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかである上記カーボン成形体を提供する。
また本発明は、上記カーボン基材がカーボンとバインダーとを含む複合材である上記カーボン成形体を提供する。
また本発明は、上記親水性塗膜が第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含む上記カーボン成形体を提供する。
また本発明は、上記親水性塗膜がシランカップリング剤をさらに含む上記カーボン成形体を提供する。
また本発明は、分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂の水溶液および/または水分散液である親水化処理液をカーボン基材上に塗布し、その後乾燥させることによって、該カーボン基材上に該カルボジイミド樹脂を付与する樹脂付与工程と、
上記カルボジイミド樹脂を有機酸水溶液で処理する有機酸処理工程と、
上記処理されたカーボン基材を水洗する水洗工程と、
を含む、カーボン成形体の製造方法を提供する。
また本発明は、上記有機酸がプロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかである上記カーボン成形体の製造方法を提供する。
また本発明は、上記カーボン基材がカーボンとバインダーとを含む複合材である上記カーボン成形体の製造方法を提供する。
また本発明は、上記親水化処理液が第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含む上記カーボン成形体の製造方法を提供する。
また本発明は、上記親水化処理液がシランカップリング剤をさらに含む上記カーボン成形体の製造方法を提供する。
本発明によれば、室温付近での使用時のみならず、高温条件下、特に高温低湿条件下での使用時にも良好な親水性を示す表面を有するカーボン成形体およびその製造方法を提供することができる。
<カーボン成形体>
本発明は、分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂(以下、本明細書において「親水性基含有カルボジイミド樹脂」ともいう)によって形成された親水性塗膜がカーボン基材上に設けられてなるカーボン成形体であって、該親水性基含有カルボジイミド樹脂が有機酸で変性されている、カーボン成形体を提供する。ここでカルボジイミド樹脂とは主鎖に−N=C=N−の構造を有する樹脂である。
本明細書において、親水性基とは、静電的相互作用、水素結合等による水分子との弱い結合により水に対する親和性を示す原子団を意味する。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、アシル基、スルホ基、チオール基等の極性基の他、エーテル結合等が挙げられる。
親水性基含有カルボジイミド樹脂は、例えば、親水性基を含有する化合物を用いてカルボジイミド樹脂を変性させたものであることができ、このような変性としては例えばPEG(ポリエチレングリコール)、PPG(ポリプロピレングリコール)等のポリアルキレンオキシドによる変性等が挙げられる。変性されるカルボジイミド樹脂の分子量としては、これに限定されないが例えば数平均分子量で200〜100,000の範囲、さらに500〜50,000の範囲、さらに2,000〜6,000の範囲を好ましく例示できる。なお上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算で求めることができる。
親水性基含有カルボジイミド樹脂は、水性媒体に対する良好な濡れ性を示すとともにカーボン基材への密着性も良好である。水性媒体は、典型的には水であるが、例えばアルコール類、ケトン類、エーテル類等を含むものが例示される。理論に拘束されるものではないが、親水性基含有カルボジイミド樹脂の主鎖による疎水性部分と親水性基による親水性部分とがそれぞれカーボン基材への密着性と水性溶媒に対する濡れ性とに寄与している可能性がある。
親水性基含有カルボジイミド樹脂のより具体的な例としては、有効成分濃度40質量%の水溶液である「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」および「カルボジライトV−04」、ならびに、有効成分濃度40質量%の水分散液である「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−03A」および「カルボジライトE−04」(いずれも日清紡績株式会社製)が挙げられる。これらは単独でも2種以上の組合せでも使用できる。
本発明で形成される親水性塗膜においては、親水性基含有カルボジイミド樹脂が有機酸でさらに変性される。本明細書において、有機酸とは電子対受容体として作用する有機化合物を意味する。カルボジイミド樹脂との反応性が良好である点で、有機酸としては、脂肪族および芳香族のカルボン酸が好ましい。好ましい有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、リンゴ酸等の脂肪族モノヒドロキシジカルボン酸、酒石酸等の脂肪族ジヒドロキシジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸等の脂肪族モノヒドロキシトリカルボン酸、没食子酸等の芳香族トリヒドロキシモノカルボン酸、等が挙げられる。例えばカルボジイミド樹脂の架橋および高分子量化による温水耐久性の向上を目的として多塩基酸を採用する等、有機酸の種類およびその組合せは目的に応じて適宜選択できる。有機酸がプロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかであることは、親水性基含有カルボジイミド樹脂との反応性、取り扱い性等の点で好ましい。
カーボン基材は、典型的にはカーボンとバインダーとを含む複合材である。カーボンとしては例えば粒子状の黒鉛等が挙げられ、バインダーとしては例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂、およびピッチ等が挙げられる。より具体的には、例えばカーボン:バインダーの質量比が50:50〜95:5の範囲であるものが挙げられる。
本発明において設けられる親水性塗膜は、実質的に親水性基含有カルボジイミド樹脂の有機酸変性物のみから形成されてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で親水性基含有カルボジイミド樹脂以外の成分を副成分として含有してもよい。また本発明は親水性塗膜において副成分の質量割合が有機酸変性された親水性基含有カルボジイミド樹脂の質量割合を超えることを妨げるものではない。以下親水性塗膜の形成において使用できる副成分の例について説明する。
親水性塗膜には、親水性向上の目的で第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含有させることができる。第4級アンモニウムケイ酸塩としては、例えば下記一般式、
(R3N)2O・nSiO2
(式中、Rは炭素数1以上のアルキル基を表し、nは1以上の整数を表す。)
で示されるものが挙げられる。第4級アンモニウムケイ酸塩のより具体的な例としては、ジメチルエタノールアンモニウムシリケート、モノメチルトリプロパノールアンモニウムシリケート、ジメチルジプロパノールアンモニウムシリケート、モノエチルトリプロパノールアンモニウムシリケート等が挙げられる。第4級アンモニウムケイ酸塩のより具体的な例としては、「セラミカMS85」(ジメチルエタノールアンモニウムシリケート)(株式会社日板研究所製)等が挙げられる。
第4級アンモニウムケイ酸塩を用いる場合には、シランカップリング剤をさらに組合せることが好ましい。この場合、長期使用時にも親水性塗膜から第4級アンモニウムケイ酸塩が脱落しにくくなるという効果がある。シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル系シランカップリング剤等が挙げられる。
なお本発明における親水性塗膜は、カーボン基材表面に連続層として形成されてもよいし不連続な付着物として形成されてもよい。本発明のカーボン成形体における親水性塗膜の目付量は、カーボン基材表面の面積1m2当たり例えば0.1〜5g、より好ましくは0.2〜2gであることができる。
本発明が提供するカーボン成形体は、例えば、燃料電池用セパレータ、電極用導電材等の各種導電性構造体の他、各種の成型用型、磁気ヘッド用部品、治具等に使用できる。カーボン成形体の形状は用途に応じて適宜設計でき、例えば、粒子、薄膜、平板、および型を用いて成形される種々の形状等が挙げられる。
<カーボン成形体の製造方法>
また、本発明は、分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂の水溶液および/または水分散液をカーボン基材上に塗布し、その後乾燥させることによって、カーボン基材上にカルボジイミド樹脂を付与する樹脂付与工程と、
カルボジイミド樹脂を有機酸水溶液で処理する有機酸処理工程と、
処理されたカーボン基材を水洗する水洗工程と、
を含む、カーボン成形体の製造方法を提供する。
[樹脂付与工程]
樹脂付与工程においては、親水性基含有カルボジイミド樹脂の水溶液および/または水分散液をカーボン基材上に塗布する。用いる親水性基含有カルボジイミド樹脂およびカーボン基材の好ましい態様は<カーボン成形体>の項で前述した通りである。上記塗布に用いる親水性基含有カルボジイミド樹脂は、塗布時の使用温度において水溶液および/または水分散液の状態にできればよく、ここで該水分散液とは親水性基含有カルボジイミド樹脂の分散サイズが例えば10μm以下であるものを意味する。塗布の方法としては、浸漬、スプレー、カーテンフローコート、ロールコート等が挙げられる。例えば浸漬を採用する場合には、浸漬後、エアブロー等によりカーボン基材表面の余剰の水溶液および/または分散液を除去することが好ましい。浸漬は常圧下で行なってもよいし、加圧下または減圧下で行なってもよい。上記塗布後、塗布面を乾燥させて水を除去する。乾燥は、例えば100℃で1時間程度行なうことができる。以上の手順で、カーボン基材上に親水性基含有カルボジイミド樹脂を付与できる。
上記親水化処理液中の親水性基含有カルボジイミド樹脂の濃度は1〜40質量%の範囲であることが好ましく、2〜20質量%の範囲であることがより好ましい。該濃度が1質量%以上である場合カーボン基材に対する親水性付与効果がより良好であり、40質量%以下である場合液粘度が低くカーボン基材上への塗布性がより良好である。
親水化処理液は、本発明で形成される親水性塗膜の親水性向上の目的で第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含むことが好ましい。第4級アンモニウムケイ酸塩の好ましい具体例は<カーボン成形体>の項で前述した通りである。第4級アンモニウムケイ酸塩が含有される場合の親水化処理液中の第4級アンモニウムケイ酸塩の量は、親水性基含有カルボジイミド樹脂100質量部に対して0質量部超1900質量部以下であることができ、1900質量部以下である場合塗布むらを少なくできる点で好都合である。第4級アンモニウムケイ酸塩の上記量は1〜1900質量部の範囲であることがより好ましく、1質量部以上である場合親水性向上効果が良好になる点で好都合である。上記量は2〜400質量部の範囲であることがさらに好ましい。
また親水化処理液には、第4級アンモニウムケイ酸塩と組合せてシランカップリング剤が含有されることも好ましく、この場合長期使用時にも親水性塗膜から第4級アンモニウムケイ酸塩が脱落しにくくなるという効果がある。シランカップリング剤の好ましい具体例は<カーボン成形体>の項で前述した通りである。シランカップリング剤の量は、第4級アンモニウムケイ酸塩100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部の範囲、より好ましくは0.2〜2質量部の範囲である。上記量が0.1質量部以上の場合には上記効果がより顕著に得られる。また上記量が5質量部を超えてもシランカップリング剤の配合による上記効果は大きく変わらないため5質量部以下とすることが経済的に好ましい。
[有機酸処理工程]
有機酸処理工程においては、上記親水性基含有カルボジイミド樹脂を有機酸水溶液で処理する。用いる有機酸の好ましい種類は<カーボン成形体>の項で前述した通りであり、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましい。有機酸処理によって得られる、高温使用条件での水性媒体に対する濡れ性向上効果を良好に付与する観点で、有機酸水溶液中の有機酸濃度は、親水性基含有カルボジイミド樹脂の付与量に対して大過剰とすることが好ましく、例えば0.1〜5質量%の範囲、より典型的には1質量%程度であることが好ましい。
有機酸処理は、例えば、上記親水性基含有カルボジイミド樹脂が付与されたカーボン基材を有機酸水溶液に浸漬することにより実施できる。浸漬条件は、有機酸水溶液温度が室温以上100℃以下、浸漬時間が5分〜24時間の範囲であることができ、より典型的には有機酸水溶液温度80℃程度、浸漬時間12時間程度であることができる。
[水洗工程]
水洗工程では、例えば流水で10秒程度の水洗を行なってカーボン基材上の余剰の有機酸を洗い流す。水洗後、例えば100℃で1時間程度の乾燥を適宜行なう。
以上の方法で、本発明に係るカーボン成形体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
カーボン基材として燃料電池セパレータ用材料(「G347B」(東海カーボン株式会社製))(サイズ:100mm×100mm×3mm)を用いた。また表2〜5中に示す親水性基含有カルボジイミド樹脂液を用い、表1に示す組成の親水化処理液をそれぞれ調製した。表中の符号について以下に示す。
SV−02は、日清紡績株式会社製の「カルボジライトSV−02」(カルボジイミド当量=430、有効成分濃度40質量%の水溶液)であり、これを用いて作製した親水化処理液は水溶液である。
V−02−L2は、日清紡績株式会社製の「カルボジライトV−02−L2」(カルボジイミド当量=385、有効成分濃度40質量%の水溶液)であり、これを用いて作製した親水化処理液は水溶液である。
E−03Aは、日清紡績株式会社製の「カルボジライトE−03A」(カルボジイミド当量=365、有効成分濃度40質量%の水分散液)であり、これを用いて作製した親水化処理液は水分散液である。
[実施例1〜17]
カーボン基材を上述の親水化処理液中に室温で5秒間浸漬した後、エアブローで余剰の親水化処理液を吹き飛ばし、次いで100℃で1時間乾燥させ、カーボン基材上に親水性基含有カルボジイミド樹脂を付与した(表中の「含浸後」)。次いで、上記含浸後のカーボン基材を有機酸の1質量%水溶液に80℃で12時間浸漬し、その後流水で10秒程度の水洗を行ない、さらに100℃で1時間の乾燥を行なった(表中の「酸処理後」)。
次いで、80℃で所定時間(表2〜6に示す時間)の温水への浸漬、および95℃で4時間の加熱(絶乾条件とした加熱器中)のサイクルを繰り返し、各時点での接触角を測定した。例えば表2は、80℃温水浸漬24時間、95℃絶乾加熱4時間、80℃温水浸漬291時間、95℃絶乾加熱4時間、80℃温水浸漬2151時間、95℃絶乾加熱4時間の順で浸漬、加熱のサイクルを繰り返して接触角を測定したことを示し、表3〜6についても同様(但し表6は表5の続きを示す)である。温水浸漬後については、温水から引き上げて室温で15分間静置した後、加熱後については加熱器から取り出して室温で15分間静置した後で、それぞれカーボン基材に対する水の接触角を測定した。なお水の接触角は、接触角計(協和界面科学株式会社製「DM500」)を用い、室温で水をカーボン基材上に滴下し、30秒間置いた後の接触角をθ/2法にて測定した。1試料につき表裏各5点、計10点の位置で測定し、10点の平均値を測定値として採用した。
[参考例1〜3]
上記「含浸後」までの処理を行なわない他は各実施例と同様の操作を行ない、水の接触角を測定した。
[参考例4〜12]
上記「含浸後」の後、有機酸中への浸漬、水洗および乾燥を行なわない他は各実施例と同様の操作を行ない、水の接触角を測定した。
[比較例1,2]
上記「酸処理後」までの処理を行なわない他は上記各実施例と同様の操作を行ない、水の接触角を測定した。
上記各実施例、参考例および比較例における水の接触角の測定結果を表2〜6に示す。
Figure 2010180074
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以上の結果より、本発明例である各実施例においては、カーボン基材を親水性基含有カルボジイミド樹脂および有機酸で処理することにより、これらの処理をいずれも行なっていない各比較例、およびいずれかのみ行なっている各参考例と比べ、特に絶乾条件で加熱した後の状態、すなわち高温低湿条件下での親水性に優れることが分かる。
本発明のカーボン成形体およびその製造方法は、例えば燃料電池用セパレータ、電極用導電材等の各種導電性構造体の他、各種の成型用型、磁気ヘッド用部品、治具等の用途に好適に適用できる。

Claims (10)

  1. 分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂によって形成された親水性塗膜がカーボン基材上に設けられてなるカーボン成形体であって、前記カルボジイミド樹脂が有機酸で変性されている、カーボン成形体。
  2. 前記有機酸が、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかである、請求項1に記載のカーボン成形体。
  3. 前記カーボン基材が、カーボンとバインダーとを含む複合材である、請求項1または2に記載のカーボン成形体。
  4. 前記親水性塗膜が、第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のカーボン成形体。
  5. 前記親水性塗膜が、シランカップリング剤をさらに含む、請求項4に記載のカーボン成形体。
  6. 分子内に親水性基を有するカルボジイミド樹脂の水溶液および/または水分散液である親水化処理液をカーボン基材上に塗布し、その後乾燥させることによって、前記カーボン基材上に前記カルボジイミド樹脂を付与する樹脂付与工程と、
    前記カルボジイミド樹脂を有機酸水溶液で処理する有機酸処理工程と、
    前記処理されたカーボン基材を水洗する水洗工程と、
    を含む、カーボン成形体の製造方法。
  7. 前記有機酸が、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される少なくともいずれかである、請求項6に記載のカーボン成形体の製造方法。
  8. 前記カーボン基材が、カーボンとバインダーとを含む複合材である、請求項6または7に記載のカーボン成形体の製造方法。
  9. 前記親水化処理液が、第4級アンモニウムケイ酸塩をさらに含む、請求項6〜8のいずれかに記載のカーボン成形体の製造方法。
  10. 前記親水化処理液が、シランカップリング剤をさらに含む、請求項9に記載のカーボン成形体の製造方法。
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