JP2010179754A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乗物用シートSは、両側に位置するサイドフレーム15と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレーム1と、両側のサイドフレーム15の上部側と下部側に架設されたワイヤ21,22を介して連結されて可動する受圧部材20と、両側のサイドフレーム15の上部側で、少なくともサイドフレーム15の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により可動する回動部材50を備えている。
回動部材50は、ワイヤ21を介して受圧部材20を、シートバックフレーム1の前方側に付勢する引張りコイルばね55と連結されている。
【選択図】図2
Description
しかし、ばね係数を小さくする技術や、低反発クッション部材による技術では、乗物の後方への身体の沈み込みを大きくする(即ち、移動量を大きくする)ことができないという不都合があった。
しかし、特許文献3で示される技術は、乗員の上部側の移動量を確保することはできても、受圧部材の回動軸がシートバックフレームの下端部に設けられているので、大型化してしまうという不都合があった。
さらに請求項3のように、前記衝撃低減部材は、前記サイド部の下部側よりも上部側を小さくすると、上部側の少ないスペースに確実に配設できる。
また請求項4のように、前記衝撃低減部材は、前記サイド部の上部側と下部側で同じものを用いていると好適である。このように同じものを用いているので、部品点数の削減が可能で、誤った組付けを防止できる。
また、請求項5のように、前記両側のサイド部の上部側と下部側に配設された前記衝撃低減部材は、互いに独立して可動又は回動するようにすると、好適である。このようにすると、上部側と下部側の荷重に対応した乗員の移動が可能になる。
さらに請求項6のように、前記上部側と下部側に架設された連結部材は、上下方向で配置領域が重複していると好適である。このようにすると、乗員からの荷重を衝撃低減部材に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上側回動部材に伝える時に有効である。
このとき請求項7のように、前記上部側の連結部材が乗員の腰部に対応する位置まで下方に延出していると、好適である。このように構成すると、上部側の連結部材が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
請求項2の乗物用シートによれば、上部側及び下部側に衝撃低減部材を設けることで、衝撃荷重による沈み込みをスムーズに行なうことができる。
請求項3の乗物用シートによれば、上部側の少ないスペースに確実に配設できる。
請求項4の乗物用シートによれば、同じものを用いているので、部品点数の削減が可能で、誤った組付けを防止できる。
請求項5の乗物用シートによれば、上部側と下部側の荷重に対応した乗員の移動が可能になる。
請求項6の乗物用シートによれば、乗員からの荷重を衝撃低減部材に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上側回動部材に伝える時に有効である。
請求項7の乗物用シートによれば、上部側の連結部材が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの突起部15dから下部側の付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、下部側の引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
そして、上部側の回動部材50は、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に軸部52を介して回動自在に軸支され、連結部材としての上方位置のワイヤ21を係止すると共に、ワイヤ21を付勢する上部側の付勢手段としての引張りコイルばね55と連結されるものである。つまり、回動部材50は、付勢手段と連結しており、連結部材を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
また、本実施形態の上部側の回動部材50は、回動可能な軸部52と、この軸部52から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部51と、付勢手段の係止部(係止孔53)と、回動を阻止する回動阻止部59(ストッパ部59a,59b)と、を備えている。
この回動阻止部59(ストッパ部59a,59b)は、上部側の付勢手段(引張りコイルばね55)や連結部材(ワイヤ21)と干渉しない位置に形成される。各々の回動部材50は個別に作動するように構成され、回動部材50は、ヘッドレストS3と関係せずに、独立して作動するように構成されている。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
後面衝突時においては、図9乃至図11で示すように、後方から衝撃を受けて慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20(図9乃至図11では不図示)と、受圧部材20に係止されたワイヤ21,22を介して、回動部材30,50を後方(図9乃至図11では右側)に回動させる方向に張力がかかる。このときの張力は、回動部材30,50を初期位置に留めている引張りコイルばね35,55を伸長させ、回動部材30,50を後方に回動させるのに十分な荷重となる。
ここで、回動部材30,50が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
M1=F2×a、M1′=F2′×a′
M1,M1′回転モーメント
F1,F1′後方への荷重
F2,F2′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
F2′=F2+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
例えば、ばねの引張り力F2′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
F1×b≦F2×a ・・・(式1)
F1′×b′≧F2′×a′ ・・・(式2)
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
図12で示す実施形態は、上部側の衝撃低減部材を回動部材50とし、下部側は回動部材30ではなく、連結部材としてのワイヤを、直接サイドフレーム15の側板15aに係止した例を示すものである。この例では、側板15aに孔を形成し、ワイヤ22を取り付けたものである。図12で示すワイヤ22と側板15aの取り付けは、例示であり、ワイヤ22の抜け防止や、ワイヤ22のたわみを許容するため、ワイヤ22の端部側に折れ曲り部を形成する等を行なうことができる。
つまり、下部側のワイヤ22と上部側のワイヤ21は、凹凸部21a,21b,22a,22bが対向するように屈曲して形成され、下部側のワイヤ22は受圧部材20の下端部形状に沿って設けられている。そして、上部側のワイヤ21の凸部21aに下部側のワイヤ22の凸部22aが入り込み、下部側のワイヤ22の凹部22bに、上部側のワイヤ21の凹部21bが、乗員の腰部まで下方に伸びて、入り込むように配設されている。上部側のワイヤ21が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
また、凹凸部21a,21b,22a,22bが形成されていることによって、乗員からの荷重を回動部材30,50に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上部側の回動部材50に伝えるときに有効である。
さらに、図14で示すように、上部側のワイヤ21が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすくなる。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,21b,22a,22b 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30,50 回動部材(衝撃低減部材)
30a,50a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
50b 延出部
50d 切り欠き部
31,51 係止部
32,52 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34,53,54 係止孔
35,55 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39,59 回動阻止部
39a,39b,59a,59b ストッパ部
60 ワイヤ(連結部)
61 屈曲部
70 基台
71 係止突起部
72 側面
80 長尺状板体(連結部材)
Claims (7)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
前記両側のサイド部の上部側と下部側に架設された連結部材を介して連結されて可動する受圧部材と、
前記両側のサイド部の上部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により可動する衝撃低減部材と、を備え、
前記衝撃低減部材は、前記連結部材を介して前記受圧部材を、前記シートバックフレームの前方側に付勢する付勢手段と連結されたことを特徴とする乗物用シート。 - 前記衝撃低減部材は、前記両側のサイド部の上部側と下部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により回動又は可動することを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材は、前記サイド部の下部側よりも上部側を小さくしてなることを特徴とする請求項2記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材は、前記サイド部の上部側と下部側で同じものを用いていることを特徴とする請求項2記載の乗物用シート。
- 前記両側のサイド部の上部側と下部側に配設された前記衝撃低減部材は、互いに独立して可動又は回動するようにしてなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記上部側と下部側に架設された連結部材は、上下方向で配置領域が重複していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記上部側の連結部材が乗員の腰部に対応する位置まで下方に延出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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