JP2010179754A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトな構成で、乗員の上部側の移動量を確保できる後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に軽減する乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートSは、両側に位置するサイドフレーム15と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレーム1と、両側のサイドフレーム15の上部側と下部側に架設されたワイヤ21,22を介して連結されて可動する受圧部材20と、両側のサイドフレーム15の上部側で、少なくともサイドフレーム15の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により可動する回動部材50を備えている。
回動部材50は、ワイヤ21を介して受圧部材20を、シートバックフレーム1の前方側に付勢する引張りコイルばね55と連結されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、乗物用シートに係り、特に後面衝突時における衝撃の低減を図った乗物用シートに関する。
一般に、自動車などの乗物用シートの後部が追突されたり、後退走行時に大きく衝突したりするなど、いわゆる後面衝突の際には、着座している乗員の頭部が慣性力によって急激に後傾し、頸部が衝撃を受ける虞がある。
そのため、従来から自動車などの乗物用シートには、後面衝突時による衝撃から乗員の頭部や頚部を保護し、頸部への衝撃を軽減するために、シートバック上方に乗員の頭部を後方から受けるヘッドレストを設けている。
しかし、ヘッドレストを設けているだけでは、身体への衝撃を軽減できないだけでなく、後面衝突時に乗員の頭部とヘッドレストとの間の隙間を速やかに減少させないと、頸部へ加わる衝撃を十分に軽減できない場合がある。
このような問題を解消するために、後面衝突時に乗員の後方への移動荷重によってヘッドレストを前方に可動させ、乗員の頭部を支持して頸部への衝撃を軽減するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、シートバックフレームで、シートバッククッションを支持しているシートバックを備えた乗物用シートにおいて、シートバックの後面衝突時に乗員の背中部分が当接する部位を、他の部位よりもばね係数を小さくかつ減衰係数を大きくした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ヘッドレストを有する背凭シートにおいて、上部にヘッドレストを装着する固定フレームに、クッション材を支持するばね体を有する可動フレームを、この可動フレームの上部がその下部を中心に後方に回動するように取り付け、固定フレームと可動フレームとの間には通常の着座荷重は支持するが所定以上の衝撃荷重がかかると、可動フレームの後方回動を許容するばねを設けた乗物用シートが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−341402号公報 特開2005−028956号公報 特開2000−272395号公報
特許文献1及び特許文献2で開示される技術は、いずれも乗員の衝撃を緩和することにあるが、特許文献1に開示された技術は、後面衝突時に、乗員の胸部後方への移動を受圧部材で受け、この受圧部材の後方への移動に連動してヘッドレストを前方に移動させるものである。このような技術においては、ヘッドレストと連動させるため、別途ヘッドレストの移動機構を設ける必要があり、機構が複雑でコスト高になるだけでなく、シートバックフレームにヘッドレストを動かすための可動部分が必要であるため、剛性が弱くなるのを防ぐ必要があり、通常より剛性を高める必要が生じてしまう。
特許文献2に開示された技術は、シートバックの背中部分(特許文献2では「胸部」としている)が当接する部位のばね係数を小さくすることで、上半身の後方移動を大きくして頭部と背中部分の相対移動量を小さくするとともに、低反発クッション材を用いて減衰係数を大きくすることで、上半身の跳ね返りを抑制して頭部と背中部分の相対速度を低減することにより、頸部に作用するせん断力の低減を図っている。
しかし、ばね係数を小さくする技術や、低反発クッション部材による技術では、乗物の後方への身体の沈み込みを大きくする(即ち、移動量を大きくする)ことができないという不都合があった。
また、特許文献3で開示される技術は、ばねの弾力を衝撃荷重に対して設定するだけであるので、中央支持部の後方移動する作動荷重を確実に予測でき、必ず後方移動し、作動は確実なものとなる利点を有するものである。
しかし、特許文献3で示される技術は、乗員の上部側の移動量を確保することはできても、受圧部材の回動軸がシートバックフレームの下端部に設けられているので、大型化してしまうという不都合があった。
本発明の目的は、コンパクトな構成で、乗員の上部側の移動量を確保できる後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に軽減する乗物用シートを提供することにある。
前記課題は、請求項1の乗物用シートによれば、両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、前記両側のサイド部の上部側と下部側に架設された連結部材を介して連結されて可動する受圧部材と、前記両側のサイド部の上部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により可動する衝撃低減部材と、を備え、前記衝撃低減部材は、前記連結部材を介して前記受圧部材を、前記シートバックフレームの前方側に付勢する付勢手段と連結されたこと、により解決される。
上記のように、衝撃低減部材を上部側に設けることで、上部側の沈み込みを十分確保でき、後面衝突時に衝撃低減部材が動き易く大きく沈み込むことが可能となる。
また、請求項2のように、前記衝撃低減部材は、前記両側のサイド部の上部側と下部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により回動又は可動するように構成すると好適である。このように、上部側及び下部側に衝撃低減部材を設けることで、衝撃荷重による沈み込みをスムーズに行なうことができる。
さらに請求項3のように、前記衝撃低減部材は、前記サイド部の下部側よりも上部側を小さくすると、上部側の少ないスペースに確実に配設できる。
また請求項4のように、前記衝撃低減部材は、前記サイド部の上部側と下部側で同じものを用いていると好適である。このように同じものを用いているので、部品点数の削減が可能で、誤った組付けを防止できる。
また、請求項5のように、前記両側のサイド部の上部側と下部側に配設された前記衝撃低減部材は、互いに独立して可動又は回動するようにすると、好適である。このようにすると、上部側と下部側の荷重に対応した乗員の移動が可能になる。
さらに請求項6のように、前記上部側と下部側に架設された連結部材は、上下方向で配置領域が重複していると好適である。このようにすると、乗員からの荷重を衝撃低減部材に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上側回動部材に伝える時に有効である。
このとき請求項7のように、前記上部側の連結部材が乗員の腰部に対応する位置まで下方に延出していると、好適である。このように構成すると、上部側の連結部材が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
請求項1の乗物用シートによれば、衝撃低減部材を上部側に設けることで、上部側の沈み込みを十分確保でき、後面衝突時に衝撃低減部材が動き易く大きく沈み込むことが可能となる。
請求項2の乗物用シートによれば、上部側及び下部側に衝撃低減部材を設けることで、衝撃荷重による沈み込みをスムーズに行なうことができる。
請求項3の乗物用シートによれば、上部側の少ないスペースに確実に配設できる。
請求項4の乗物用シートによれば、同じものを用いているので、部品点数の削減が可能で、誤った組付けを防止できる。
請求項5の乗物用シートによれば、上部側と下部側の荷重に対応した乗員の移動が可能になる。
請求項6の乗物用シートによれば、乗員からの荷重を衝撃低減部材に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上側回動部材に伝える時に有効である。
請求項7の乗物用シートによれば、上部側の連結部材が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
シートの概略斜視図である。 シートフレームの概略斜視図である。 衝撃低減部材の可動前のシートバックフレームの概略断面説明図である。 衝撃低減部材の可動後のシートバックフレームの概略断面説明図である。 シートバックフレームの背面からの概略説明図である。 下部側の衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の関係を示す拡大説明図である。 下部側の衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の分解説明図である。 下部側の衝撃低減部材の説明図である。 下部側の後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の状態を示す説明図である。 下部側の後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の状態を示す説明図である。 上部側の後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段の状態を示す説明図である。 他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 また他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 更に他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 更に他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 また更に他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 更に他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。 また更に他の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。また通常の着座荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含むものである。また後面衝突時の荷重とは、後面衝突によって生じる大きな荷重であり、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突などを指すものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域のものは含まないものである。
図1乃至図17は本発明に係る実施の形態を示し、図1はシートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3は衝撃低減部材の可動前のシートバックフレームの概略断面説明図、図4は衝撃低減部材の可動後のシートバックフレームの概略断面説明図、図5はシートバックフレームの背面からの概略説明図、図6は下部側の衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の関係を示す拡大説明図、図7は下部側の衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の分解説明図、図8は下部側の衝撃低減部材の説明図、図9及び図10は下部側の後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段と連結部材の状態を示す説明図、図11は上部側の後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段の状態を示す説明図、図12乃至図17は、それぞれ別の実施形態を示すシートフレームの概略斜視図である。
本実施の形態に係る乗物用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
乗物用シートSのシートフレームFは、図2で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施の形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体となっており、サイド部とアッパー部とロアー部を備えている。
サイド部は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在する2本のサイドフレーム15を有している。そして、サイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイド部から上方に延出し、アッパー部を構成している。
また、シートバックフレーム1のロアー部は、サイドフレーム15の下端部側を下部フレーム17で連結して形成されている。下部フレーム17は、サイドフレーム15の下側に連結され下方に延長した延長部17aと、両側を連結する中間部17bを有しており、延長部17aは、着座フレーム2との関係で、支障のない範囲で延長されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
本実施形態のサイドフレーム15は、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、図6で示すように、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側に折り返した前縁部15bと、後端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有しており、乗物前後方向に配置された側板15aの両端部(前縁部15bと後縁部15c)が、シートバックフレーム1(即ちシート)の内側方向へ屈曲した断面略コ字状をしたものとなっている。
本実施形態の前縁部15bには、図3、図6、図7で示すように、後縁部15c方向へ張り出した突起部15dが形成されており、この突起部15dには、下部側のばねを係止するための係止部としての係止孔34が形成されている。
また、前縁部15bの突起部15dから下部側の付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、下部側の引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
図2で示すように、上部フレーム16は、略U字状の部材であり、上部フレーム16の側面部16aは、サイドフレーム15の側板15aと一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。この上部フレーム16の側面部16aには、基台70が溶接等によって設けられ、この基台70上に、上部側の所定の衝撃荷重により可動する衝撃低減部材(後述する回動部材50)が配設されている。
また、アッパー部を構成する上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にパッド材3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。上部フレーム16には、ピラー支持部18が配設されている。このピラー支持部18には、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。
シートバックフレーム1の一部を構成するサイド部としてのサイドフレーム15は、前述のように、上下方向に所定の長さで構成されており、左右方向に所定間隔を有して対向して配設されている。そして、シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える姿勢保持部材としての受圧部材20が配設されている。
本実施形態の受圧部材20は、ヘッドレストS3と連携されずに構成されるもので、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の裏側の上部側と下部側には、図5で示されるように、ワイヤ21,22を係止するための爪部24,24,・・・が形成されている。
本実施形態の受圧部材20は、連結部材に支持されている。すなわち、連結部材としての2本のワイヤ21,22が両側のサイドフレーム15間に架設され、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、所定位置に形成された爪部24によって受圧部材20と係合し、受圧部材20をクッションパッド1aの背面で、支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成され、図5で示されるように、両側のサイドフレーム15の途中に、屈曲部である凹凸部21a,22aが形成されている。
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、下方に位置するワイヤ22は、凹凸部22aが形成されていることによって、所定以上の荷重(後述する下部側の衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、上側に係止されたワイヤ21は、所定以上の荷重(後述する上部側の衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。つまり、上部側及び下部側に係止されたワイヤ21,22の両端部は、左右のサイドフレーム15に装着された回動部材30,50の係止部31,51に掛着されている。
下部側の衝撃低減部材としての回動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、下部側の連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に可動、すなわち回動するものであり、この下部側の回動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、乗員にかかる衝撃を低減することができる。
本実施形態の回動部材30は、図6乃至図8で示すように、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に軸部32(後述)を介して回動自在に軸支され、連結部材としての下方位置のワイヤ22を係止すると共に、ワイヤ22を付勢する下部側の付勢手段としての引張りコイルばね35と連結されるものである。つまり、回動部材30は、付勢手段と連結しており、連結部材を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
軸部32は、図7で示すように、軸部材32aと、回動部材30に設けられた軸孔32bと、サイドフレーム15の側板15aに設けられた孔部32cと、嵌め合わせ部材32dとから構成されており、軸部材32aを軸孔32bに挿通して孔部32cに嵌着し、軸部材32aの先端側から嵌め合わせ部材32dを嵌合して、回動部材30を回転自在に軸支している。
このように回動部材30は、サイドフレーム15の側板15aに沿って設けられており、側板15aと、前縁部15bと、後縁部15cとで囲まれた断面略コ字状のサイドフレーム15の内側に設けられているので、回動部材30がサイドフレーム15からシート内側方向へ突出する量を抑制でき、コンパクトな配置が可能となり、乗員との干渉を抑制できる。
図11で示すように、上部側の衝撃低減部材を配設する基台70には、横方向で前縁部15b方向に係止突起部71が形成され、この係止突起部71には、上部側のばねを係止するための係止部としての係止孔54が形成されている。また、係止突起部71と反対側の側面72は、後述する回動阻止部59と当接するものである。
そして、上部側の回動部材50は、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に軸部52を介して回動自在に軸支され、連結部材としての上方位置のワイヤ21を係止すると共に、ワイヤ21を付勢する上部側の付勢手段としての引張りコイルばね55と連結されるものである。つまり、回動部材50は、付勢手段と連結しており、連結部材を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
また、本実施形態の上部側の回動部材50は、回動可能な軸部52と、この軸部52から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部51と、付勢手段の係止部(係止孔53)と、回動を阻止する回動阻止部59(ストッパ部59a,59b)と、を備えている。
本実施形態における上部側の付勢手段は、ばね線材をコイリング成形した引張りコイルばね55であり、図11で示すように、回動部材50の係止孔53と基台70の係止突起部71に形成された係止孔54に係止され、これによって、回動部材50をシートバックフレーム1の前方側へ付勢するものである。また、引張りコイルばね55の両端部には、それぞれ係止するためのフックが半円状に成形されている。
本実施形態の上部側の回動阻止部59(ストッパ部59a,59b)は、回動部材50が回動したときに、回動を阻止するためのものであり、図11に示すように、軸部52を中心に回動した時に、基台70と摺接するベース部50aの外周側に連続してベース部50aより外方に延出した延出部50bが2箇所、所定間隔で形成されている。また、ベース部50aの引張りコイルばね55と対向する領域は、切り欠き部50dが形成されている。またサイドフレーム15の前縁部15bにも、引張りコイルばね55と対向する領域に乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部が形成されており、これらにより、引張りコイルばね55との干渉を防止することができる。
この延出部50bの端部側で後方(図11の紙面より後方)が折れ曲がったストッパ部59a,59bとなっており、回動部材50の回動の規制を行うものである。ストッパ部59a,59b間の所定間隔は、回動部材50の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、常時にはストッパ部59aが基台70の側面72に当接して、回動部材50の回動を阻止しているが、後面衝突によって回動部材50が回動したときに、ストッパ部59bが基台70の側面72に当接して回動が止まるように設定されている。つまり、回動部材50の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、回動前の初期位置を設定するストッパ部59aと、回動後の停止位置を設定するストッパ部59bとが、所定の間隔をおいて形成されている。
この回動阻止部59(ストッパ部59a,59b)は、上部側の付勢手段(引張りコイルばね55)や連結部材(ワイヤ21)と干渉しない位置に形成される。各々の回動部材50は個別に作動するように構成され、回動部材50は、ヘッドレストS3と関係せずに、独立して作動するように構成されている。
本実施形態では、回動部材50が、両側の基台70に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材50は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材50が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ21を介して、回動部材50を後方回動させる張力が生じるが、一方、引張りコイルばね55が回動部材50をシートバックフレーム1の前方側へ回動させるように付勢している。ここで、回動部材50に連結されている引張りコイルばね55は、通常の着座時において生じる荷重領域ではたわまない荷重特性を有しているため、回動部材50は常に初期位置側のストッパ部59a基台70の側面72に当接し、初期位置に制止されている。つまり、回動部材50を回動させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成している。
一方、本実施形態の下部側の連結部材(ワイヤ22)の係止部31は、連結部材であるワイヤ22の折れ曲がった鈎状端部を取り付けるのを容易とするために、長孔から形成されている。この係止部31の形成部30cは、回動部材30を構成するベース部30aの外周側に連続して第1立上り部30bをベース部30aから立ち上がるように形成し、この第1立上り部30bから外周方向に延出して形成されている。第1立上り部30bは、軸部32を中心とした場合に、回動阻止部39のストッパ部39a,39b間の所定間隔の間の位置から概略90度離れた位置に形成している。
本実施形態の下部側の付勢手段の係止部(係止孔33)は、付勢手段である引張りコイルばね35の端部を係止するものであり、上記係止部31が形成される形成部30cの、係止部31より乗物前方側に形成されている。すなわち、図6に示すように、係止孔33は軸部32と係止部31のワイヤ22が掛着される位置を結ぶ線Yより乗物前方の位置に形成されている。
本実施形態における下部側の付勢手段は、ばね線材をコイリング成形した引張りコイルばね35であり、図6で示すように、回動部材30の係止孔33とサイドフレーム15の突起部15dの係止孔34に係止され、これによって、回動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ付勢するものである。また、引張りコイルばね35の両端部には、それぞれ係止するためのフック35aが半円状に成形されている。
本実施形態の下部側の回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、回動部材30が回動したときに、回動を阻止するためのものであり、図8に示すように、軸部32を中心に回動した時に側板15aと摺接するベース部30aの外周側に連続してベース部30aより立ち上がった第2立上り部30dから更に外周方向に延出した延出部が2箇所、所定間隔で(凹部を介して)形成されている。
この延出部がストッパ部39a,39bとなっており、回動部材30の回動の規制を行うものである。ストッパ部39a,39b間の所定間隔は、回動部材30の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、常時にはストッパ部39aがサイドフレーム15の後縁部15cに当接して、回動部材30の回動を阻止しているが、後面衝突によって回動部材30が回動したときに、ストッパ部39bが後縁部15cに当接して回動が止まるように設定されている。つまり、回動部材30の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、回動前の初期位置を設定するストッパ部39aと、回動後の停止位置を設定するストッパ部39bとが、所定の間隔をおいて形成されている。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
上述した回動部材30は、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、両側のそれぞれの回動部材30の係止部31に、ワイヤ22の両端部である鈎部22cが掛着されており、各々の回動部材30が個別に作動するように構成されている。また、回動部材30は、ヘッドレストS3と関係せずに、独立して作動するように構成されている。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、回動部材30を後方回動させる張力が生じるが、一方、引張りコイルばね35が回動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ回動させるように付勢している。ここで、回動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域ではたわまない荷重特性を有しているため、回動部材30は常に初期位置側のストッパ部39aがサイドフレーム15の後縁側15cに当接し、初期位置に制止されている。つまり、回動部材30を回動させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成している。
後面衝突時の回動部材30,50について、図3は衝撃低減部材の回動前、図4は衝撃低減部材の回動後を示し、図9において鎖線は下部側の後面衝突前、実線は下部側の後面衝突後の状態を示しており、図10において図10(a)は下部側の後面衝突前、図10(b)は下部側の後面衝突後の状態を示し、図11において図11(a)は上部側の後面衝突前、図11(b)は上部側の後面衝突後の状態を示している。
後面衝突時においては、図9乃至図11で示すように、後方から衝撃を受けて慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20(図9乃至図11では不図示)と、受圧部材20に係止されたワイヤ21,22を介して、回動部材30,50を後方(図9乃至図11では右側)に回動させる方向に張力がかかる。このときの張力は、回動部材30,50を初期位置に留めている引張りコイルばね35,55を伸長させ、回動部材30,50を後方に回動させるのに十分な荷重となる。
回動部材30,50が回動を始める力の閾値は、通常の着座荷重よりも大きな値に設定されている。
ここで、回動部材30,50が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
前記のように、回動部材30,50を後方に回動させることで、係止部31,51に掛着されているワイヤ21、22が後方に移動し、それと共にワイヤ21,22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
以下に、後面衝突時の回動部材の回動特性について、回動部材30を例にして、図9及び図10を参照してさらに詳しく説明する。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。
つまり、初期状態において、引張りコイルばね35は距離xだけ伸びており、これにより回動部材30は、回転モーメントMで、図10(a)で示す矢印の回動方向に付勢されており、この回動部材30と連結された連結部材(ワイヤ22)が前方側に付勢されている。このとき、回動阻止部39のストッパ部39aが、サイドフレーム15の後縁部15cと当接して、引張りコイルばね35によって回動部材30がM1方向へ回動するのを阻止している。
後面衝突により、ワイヤ22に所定以上の張力が生じ、引張りコイルばね35に抗して回動部材30が回動を始めると、引張りコイルばね35が伸びて、回動部材30に設けた係止孔33は、軸部32の回動中心Oを中心に回動しつつ後方へ移動することになる。そして、図9で示すように、回動部材30は、回動阻止部39のストッパ部39bが、サイドフレーム15の後縁部15cと当接して、回動部材30の回動を阻止するまで回動する。これにより、図3で示す状態から図4で示す状態に、受圧部材20はシートフレーム1の後方へ大きく移動して、沈み込み量が大きくなる。
本実施形態では、回動部材30が回動して受圧部材20が移動するとき、引張りコイルばね35の上端部は、回動部材30の上方の係止孔34に固定されているため、係止孔33の移動方向と、引張りコイルばね35が伸長する方向が一致しない構成となっている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
つまり、引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32を回転中心とした円弧状の軌跡を描くのに対し、引張りコイルばね35の上端部を係止する係止孔34は、回動部材30の上方に固着接合されている固定端として形成されている。
このため、軸部32の回動中心Oと、引張りコイルばね35の両端が係止されている係止孔33,34が一直線状に並ぶときに引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)が最大となるが、この最大荷重点の直前域、すなわち、回動部材30側に取り付けられた係止孔33の描く軌跡が、引張りコイルばね35の他端部を係止している係止孔34と最も遠い位置となる回動量の近傍では、引張りコイルばね35を係止する係止孔33と係止孔34の間の距離の変化量が小さくなるために、回動角度に対する引張りコイルばね35の引張り荷重の変化量が微小となる領域が生じる。
本実施形態では、回動部材30がストッパ39bで制止される位置の後方回動量が、引張りコイルばね35の最大荷重点の直前になるように設定されている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
ここで、付勢手段(引張りコイルばね35)と、連結部材(ワイヤ22)と、衝撃低減部材(回動部材30)と、荷重との関係についてさらに説明する。図10(a)(b)で示される記号は、
=F×a、M′=F′×a′
,M′回転モーメント
,F′後方への荷重
,F′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
′=F+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
本実施形態においては、通常の乗車時にも着座状態を良好に保持するために、ある程度反力を有する必要があり、通常着座時の回動部材30の保持荷重を一定にしたまま、衝突時の作動荷重を低くすることが好ましい。このため回動部材30が作動する時の荷重を低く設定することが好ましく、回動部材30を回動する力に対する反力、すなわち引っ張りコイルばね35が回動部材30を回動させるモーメントが、初期(通常の着座時)に最も高く、回動すると低くなるように設定される。
本実施形態では、図10に示すように、回動部材30が回動していけば回動していくほど引張りコイルばね35が回動中心Oに近づき、距離aが短くなるように構成されている。したがって、初期状態の回転モーメントM(F×a)が最も高く、回動する時(及び回動後)の回転モーメントM′(F′×a′)が回転モーメントMより低くなるような引張りコイルばね35を用いており、回動部材30を回動させる回転モーメントが、初期は高く、回動するにつれて徐々に低くなっている。
例えば、ばねの引張り力F′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
このように、衝撃低減部材としての回動部材30は、初期状態の回転モーメントM(F×a)が最も高く、回動するにしたがって回転モーメントM′(F′×a′)が回転モーメントMより低くなる、すなわち、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が徐々に低下していくため、後面衝突時に回動部材30が回動を始めるとその後は動きやすくなる。
図10(a)(b)において、回動部材30と引張りコイルばね35と連結部材(ワイヤ22)との間で、静止状態において、つり合うためには、回転モーメント(M=F×a)、後方への荷重(F)、ばねの引張り力(F)、回動中心とばねの固定位置との距離(a)、回動中心と連結部材(ワイヤ22)との距離(b)とすると、式1で示されるように、F×b:乗員からの力(回動部材30を動かす力)とF×a:回転モーメント(留まる力)が均衡しているか、或いは、回転モーメントが大きい必要がある。なお、回転モーメントが大きい場合には、回動部材30はストッパ部39aで回動が阻止される。
×b≦F×a ・・・(式1)
一方、衝撃低減部材が動いた状態において、つり合うためには、式2で示されるように、F′×b′:乗員からの力(回動部材30を動かす力)とF′×a′:回転モーメント(留まる力)が均衡している或いは、乗員からの力が大きい必要がある。なお、乗員からの力が大きい場合で所定位置まで衝撃低減部材が動いた場合には、回動部材30はストッパ部39bで回動が阻止される。
′×b′≧F′×a′ ・・・(式2)
以上のように、回動部材30が回動を始めるときの張力の閾値は、通常の着座荷重では回動しない高い値に設定されている。一方、後面衝突時にワイヤ22を介して回動部材30に掛かる張力は衝撃エネルギーであるため、閾値に比して大きな値を有している。
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
回動部材30は、ワイヤ22を介して生じる張力に対し、上述したような回動特性を有しているために、後面衝突が生じた場合は確実に、且つ効率よく乗員をシートバックS1のクッションパッド1aに沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
図12乃至図18は、それぞれ異なる実施形態を示すものであり、各実施形態において、前記実施形態と同一部材、同様配置等には、同一符号を付してその説明を省略する。
図12で示す実施形態は、上部側の衝撃低減部材を回動部材50とし、下部側は回動部材30ではなく、連結部材としてのワイヤを、直接サイドフレーム15の側板15aに係止した例を示すものである。この例では、側板15aに孔を形成し、ワイヤ22を取り付けたものである。図12で示すワイヤ22と側板15aの取り付けは、例示であり、ワイヤ22の抜け防止や、ワイヤ22のたわみを許容するため、ワイヤ22の端部側に折れ曲り部を形成する等を行なうことができる。
図13で示す実施形態では、上部側及び下部側の衝撃低減部材を同一の回動部材50を用いた例を示すものである。このように同じものを用いているので、部品点数の削減が可能で、誤った組付けを防止できる。
図14で示す実施形態は、上部側と下部側に架設された連結部材としての2本のワイヤ21,22が上下方向で配置領域が重複している例を示すものである。すなわち、受圧部材20に係止されたワイヤ21,22には、凹凸部21a,21b,22a,22bがそれぞれ形成されている。
つまり、下部側のワイヤ22と上部側のワイヤ21は、凹凸部21a,21b,22a,22bが対向するように屈曲して形成され、下部側のワイヤ22は受圧部材20の下端部形状に沿って設けられている。そして、上部側のワイヤ21の凸部21aに下部側のワイヤ22の凸部22aが入り込み、下部側のワイヤ22の凹部22bに、上部側のワイヤ21の凹部21bが、乗員の腰部まで下方に伸びて、入り込むように配設されている。上部側のワイヤ21が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすい。
この例では、上部側のワイヤ21の凹部21bが下部側のワイヤ22と回動部材30との連結部である係止部31よりも下方位置まで延出している。このように、下方まで延ばせば、一層、伝達効率が向上する。
また、凹凸部21a,21b,22a,22bが形成されていることによって、乗員からの荷重を回動部材30,50に効率よく伝わりやすくなる。特に、乗員の腰部からの荷重を上部側の回動部材50に伝えるときに有効である。
さらに、図14で示すように、上部側のワイヤ21が乗員の腰部まで下方に延出しているので、一層、乗員の腰部からの荷重を伝達しやすくなる。
このとき、図15で示すように、下部側のワイヤ22を、上部側のワイヤ21と回動部材50との連結部51よりも上方位置まで延出していると、上方まで延ばすことになり、一層、伝達効率が向上する。
また、図16で示すように、上部側の回動部材50と下部側の回動部材30を連結する連結部60を設けても良い。例えば、ワイヤあるいはリンクで部側の回動部材50と下部側の回動部材30を連結すれば、連結部60により上部側と下部側の荷重の伝達が可能となり乗員の移動量を確保しやすくなる。
上記図16において、例えば図17で示すように、連結部としてワイヤ60を用いた場合に、ワイヤに屈曲部61を形成する(本例では乗物前方に向けて凸状の屈曲部)。そして、このワイヤ60は、一定の荷重を超えると変形するように構成している。このように構成すると、上部側と下部側でスタックが生じたとしても、一方側は、ワイヤ60の屈曲部61が変形することで、沈み込みを確保することができる。
また図18で示すように、下部側の左右の回動部材30を同時に可動又は回動させる連結部材80によって連結することもできる。本実施形態では、連結部材80として長尺状の板体を複数用いているが、ワイヤやリンク等で構成することもできる。このように構成すると、左右の回動部材30が同期して、可動又は回動するので、荷重の左右のバラツキを抑制することができる。このため、乗員を安定して乗物後方に移動させることが可能となる。
前記各実施形態では、衝撃低減部材をサイドフレームの両側に設けた例を示しているが、一方側のサイドフレームのみに設ける構成としてもよい。この場合には、衝撃低減部材が設けられていない側のサイドフレームには、連結部材(ワイヤ)を直接係止するように構成することができる。また、各実施形態について、本発明の趣旨に反しない範囲で、上記説明した技術内容を組み合わせることができることは勿論である。
また、本発明によれば、乗員がシートバックに沈み込む際に、ヘッドレストの前方への移動と連動しないため、後面衝突時の乗員の後方への移動エネルギーのロスが少なく、乗員をより深くシートクッションへ沈み込ませることができる。
なお、前記各実施形態では、具体例として、自動車のフロントシートのシートバックS1について説明したが、これに限らず、後部座席のシートバックについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
S 乗物用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,21b,22a,22b 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30,50 回動部材(衝撃低減部材)
30a,50a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
50b 延出部
50d 切り欠き部
31,51 係止部
32,52 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34,53,54 係止孔
35,55 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39,59 回動阻止部
39a,39b,59a,59b ストッパ部
60 ワイヤ(連結部)
61 屈曲部
70 基台
71 係止突起部
72 側面
80 長尺状板体(連結部材)

Claims (7)

  1. 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
    前記両側のサイド部の上部側と下部側に架設された連結部材を介して連結されて可動する受圧部材と、
    前記両側のサイド部の上部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により可動する衝撃低減部材と、を備え、
    前記衝撃低減部材は、前記連結部材を介して前記受圧部材を、前記シートバックフレームの前方側に付勢する付勢手段と連結されたことを特徴とする乗物用シート。
  2. 前記衝撃低減部材は、前記両側のサイド部の上部側と下部側で、少なくともサイド部の一方側に配設され、所定の衝撃荷重により回動又は可動することを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
  3. 前記衝撃低減部材は、前記サイド部の下部側よりも上部側を小さくしてなることを特徴とする請求項2記載の乗物用シート。
  4. 前記衝撃低減部材は、前記サイド部の上部側と下部側で同じものを用いていることを特徴とする請求項2記載の乗物用シート。
  5. 前記両側のサイド部の上部側と下部側に配設された前記衝撃低減部材は、互いに独立して可動又は回動するようにしてなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  6. 前記上部側と下部側に架設された連結部材は、上下方向で配置領域が重複していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  7. 前記上部側の連結部材が乗員の腰部に対応する位置まで下方に延出していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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