JP5414295B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
しかし、ばね係数を小さくする技術や、低反発クッション部材による技術では、乗物の後方への身体の沈み込みを大きくする(即ち、移動量を大きくする)ことができないという不都合があった。
しかし、特許文献3で示される技術は、固定フレームと可動フレームが、下部の取付軸で固定されているため、下部位置近傍での固定フレームと可動フレームの可動が非常に少なく、着座している身体の全体を乗物の後方側へ沈み込ませることができないという不都合がある。また特許文献3のばねは、大きく移動するに従って反力が大きくなって動きにくくなるだけでなく、固定フレームと可動フレームとの可動範囲は、極めて限定された移動範囲となり、大きく沈み込ませる移動量を確保することが難しいという問題があった。そして、可動フレームを用いているため、全体として装置が大きくなり、軽量化が困難であるという不都合もあった。
また、着座者に違和感を与えず、乗員の動きに合わせて乗員が後方に移動しやすくした、ヘッドレストと独立して後面衝突時における身体、頸部等への衝撃を効果的に軽減できる乗物用シートが望まれている。さらに、部品点数が少なく、組付けが容易で、コンパクト化が図れる技術が望まれている。
本発明の他の目的は、剛性が低くなりやすい部分を避けた位置に、コンパクトに衝撃低減部材を配置することができ、乗員との干渉を防止できる乗物用シートを提供することにある。
また衝撃低減部材及び受圧部材はそれぞれヘッドレストと独立しているので、衝撃低減部材及び受圧部材に生じる荷重をヘッドレストへ伝達する機構等が不要となり、単純化が図れると共に軽量化を図ることが可能となる。
このように構成すると、通常の着座荷重で生じる荷重領域で衝撃低減部材が可動又は回動しないことから、着座フィーリングに影響を及ぼさず、着座フィーリングを良好に保つことができる。また付勢手段が、衝撃低減部材を可動又は回動する力に抗して初期状態に復帰させる力が、初期は高く、可動するに従って低くなり、通常着座時に衝撃低減部材が回動できにくい状態となり、後面衝突時に衝撃低減部材が動き易い状態となる。
本発明の乗物用シートによれば、後面衝突によって、シートバックが後方へ傾倒しても、傾倒方向に沿って受圧部材を移動させることができ、後面衝突時に、荷重伝達効率の良い身体の全体の沈み込み移動を確保することができる。
本発明の乗物用シートによれば、剛性が低くなりやすいハーネス挿入孔を避けた位置で、コンパクトな配置が可能となる。
本発明の乗物用シートによれば、干渉を防止できるので、近接して配置することが可能となり、コンパクト化に寄与することができる。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの突起部15dから付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
また、本実施形態のサイドフレーム15ように、下方ほど乗物前後方向の幅が広く形成されている場合には、次述する連結部材(ワイヤ22)の係止部31や付勢手段(引張りコイルばね35)の係止孔33よりも下方に軸部32を設けると、配置領域を確保でき、スペース上も有利である。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、付勢手段(引張りコイルばね35)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の上端部を係止する係止孔33は、地面と垂直な線と軸部32とを結ぶ線Xと略同じ位置から乗物の前方側に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の下端部は回動部材30の下方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。因みに、本実施形態では、軸部32と係止部31のワイヤ22が掛着される位置を結ぶ線Yと、地面と垂直な線と軸部32とを結ぶ線Xが同じ位置となっており、係止孔33は乗物の前方側に位置している。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
以上のように、回動部材30が回動を始めるときの張力の閾値は、通常の着座荷重では回動しない高い値に設定されている。一方、後面衝突時にワイヤ22を介して回動部材30に掛かる張力は衝撃エネルギーであるため、閾値に比して大きな値を有している。
本実施形態では、軸部32と係止部31のワイヤ22が掛着される位置が、地面と垂直な線と軸部32とを結ぶ線Xより、乗物の前方側に位置している例を示すものである。他の構成は、前記実施形態と同様である。
このように構成すると、乗員の動きに合わせて乗員が後方に移動しやすく、衝撃が大きい場合にも乗員の浮き上がりを抑制することが可能となる。
本実施形態では、図13で示すように、回動部材30のベース部30aを変形させたものであり、連結部材であるワイヤ22と対向する位置に切り欠き部30fが形成されているものである。より具体的には、回動阻止部39のストッパ部39aとストッパ部39bとの間を大きく切り欠いて、ワイヤ22と干渉しないように構成している。このようにワイヤ22と回動部材30との干渉を防止できるので、ワイヤ22と回動部材を近接して配置することが可能となり、コンパクト化に寄与することができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
本実施形態では、図14で示すように、サイドフレーム15の下側端部が連結される下部フレーム17の両端部を上方に延出させた上方延出部17cを設け、この上方延出部17cに回動部材30の回動軸である軸部32を取り付けている。このとき、下部フレーム17の上方延出部17cのみに軸部32を取り付けることもできるが、サイドフレーム15と下部フレーム17の上方延出部17cが重合した部分に軸部32を取り付けると、軸部32の取り付け剛性が大幅に向上する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
17c 上方延出部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
30f,30g 切り欠き部
31 係止部
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部
40 穴
Claims (6)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームの内側で連結部材を介して連結されると共に、前記ヘッドレストと独立して可動する受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設され、前記連結部材と連結される連結部を有すると共に、前記ヘッドレストと独立して回動軸を中心に回動する衝撃低減部材と、
該衝撃低減部材に形成された取付部と前記シートバックフレームに形成された取付部に配設された付勢部材と、を備え、
前記衝撃低減部材に形成された連結部と、前記衝撃低減部材に形成された取付部のうち少なくとも一方より、前記衝撃低減部材の回動軸が、下方位置に形成されて、前記受圧部材の全体が、通常の着座荷重よりも大きな所定の衝撃荷重により乗物後方へ移動し、
前記衝撃低減部材と前記連結部材との前記連結部を下方に移動させて、前記受圧部材の全体が、通常の着座荷重よりも大きな所定の衝撃荷重により乗物後方へ移動することを特徴とする乗物用シート。 - 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームの内側で連結部材を介して連結されると共に、前記ヘッドレストと独立して可動する受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設され、前記連結部材と連結される連結部を有すると共に、前記ヘッドレストと独立して回動軸を中心に回動する衝撃低減部材と、
該衝撃低減部材に形成された取付部と前記シートバックフレームに形成された取付部に配設された付勢部材と、を備え、
前記衝撃低減部材に形成された連結部と、前記衝撃低減部材に形成された取付部のうち少なくとも一方より、前記衝撃低減部材の回動軸が、下方位置に形成されて、前記受圧部材の全体が、通常の着座荷重よりも大きな所定の衝撃荷重により乗物後方へ移動し、
前記衝撃低減部材と前記連結部材との前記連結部を上方向に移動後、下方に移動させて、前記受圧部材の全体が、通常の着座荷重よりも大きな所定の衝撃荷重により乗物後方へ移動することを特徴とする乗物用シート。 - 前記両側のサイド部の少なくとも一方には、ハーネス挿入孔を備え、前記シートバックフレームに形成された取付部は、前記ハーネス挿入孔より上方側で、前記ハーネス挿入孔と前記回動軸の間に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
- 前記両側のサイド部の少なくとも一方には、ハーネス挿入孔を備え、前記衝撃低減部材の下端部は、前記衝撃低減部材の作動前から作動後にわたって前記ハーネス挿入孔より上方側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材には、前記付勢部材と対向する位置に切り欠き部が形成され、前記付勢部材の後端が前記切り欠き部より前方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材には、前記連結部材と対向する位置に切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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