JP2010179642A - 透明導電性基板、色素増感型太陽電池用透明導電性基板及び透明導電性基板の製造方法 - Google Patents

透明導電性基板、色素増感型太陽電池用透明導電性基板及び透明導電性基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗で透明性に優れる、第一導電性層、透明性の高い接着層及び第二導電性層を有する透明導電性基板及び該透明導電性基板を安価に製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】金属微粒子分散溶液を基材2上に塗布し乾燥させ、網目状の第一導電性層3を基材2上に形成させた後、第一導電性層3を透明性の高い接着層7で完全に覆い、前記基材2と被転写基板8とを貼り合せた後、熱転写して基材2を剥離する。これにより第一導電性層3と接着層7が一体的に被転写基板8に熱転写させる。その後、熱転写された転写層10の表面14に導電性樹脂を含む樹脂を塗布し、第一導電性層3と接続する第二導電性層5を形成する。これにより低抵抗で透明性に優れる透明導電性基板20が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、低抵抗で透明性に優れる透明導電性基板及びその製造方法に関し、特に第一導電性層及び第二導電性層を有する、色素増感型太陽電池用透明導電性基板として好適に使用可能な透明導電性基板及びその製造方法に関する。
近年、太陽光を用いたエネルギー創出法である太陽電池においては、化石燃料の高騰や枯渇、アジア諸国の経済成長に伴う消費電力の増加、化石燃料による炭酸ガス増加などの環境問題などを背景に注目され、研究開発が活発になされている。
中でも結晶性シリコン又はアモルファスシリコンを用いた太陽電池が主流である。しかしながら結晶性シリコンなどを製造するためには多大なエネルギーが必要であり、省エネルギーを目指すに当たり、シリコンを利用することは太陽電池の本来の意図とは相反するものとなってしまう。また、シリコンは集積回路の基本となる材料でもあるため、シリコン需要の増加によるシリコンの不足及びシリコンの高価格化が生じている。
このような理由から、シリコン太陽電池に比べて低エネルギーで作製でき、低コスト化が可能である色素増感型太陽電池が注目されている。
代表的な色素増感型太陽電池は、ガラス基板上の片面に透明酸化物の電極(ITO:酸化錫と酸化インジウムの複合酸化物)が製膜され、その上に色素を含有した多孔質酸化チタンが形成され、電解質としてヨウ素及びヨウ素化合物を含んだ電解質溶液が用いられ、その上に対電極(白金電極又は白金−炭素電極)が配置された構造を有している。
一般的に基板にはガラス基板が用いられているが、透明樹脂基板を用いることで、軽量でかつ柔軟性に富んだ色素増感型太陽電池を作製することができ、太陽電池の設置場所を拡大させることが可能となる。
電解質にヨウ素及びヨウ素化合物を用いるのは、発電時のレドックス反応の担い手として、I/I が利用されるためである。前記ヨウ素系は電解質として効率がよいため一般的に良く用いられるが、電極に透明酸化物の代わりに、より低抵抗な金属材料を用いると金属電極が腐食してしまうという問題がある。そのため、腐食してしまう金属材料を保護するために、耐食性のある金属でめっきする方法や導電性樹脂などで保護する方法が検討されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開2008−66212号公報 特開2008−226753号公報
特許文献1に記載の技術は、網目状の第一導電性部を覆うように導電性樹脂が形成された構成であり、該構成では過剰な導電性樹脂により全光線透過率が低下してしまうとともに、導電性にほとんど寄与しない導電性樹脂が必要になるため低コストな基板を得る手法とは言い難い。
特許文献2に記載の技術は、前記課題を解決する手段として、網目状の第一導電性層の開口部を透過率の高い中間樹脂により埋設し、さらにその上に導電性樹脂を被覆する構成になっている。該構成では導電性にほとんど寄与しない導電性樹脂を使用せずに済むとともに、全光線透過率を導電性樹脂により低下させることがないため、有効な構成であると言える。
特許文献2に記載されている構成で、高い透過率と低抵抗性の両方の効果を十分に得るためには、網目状の第一導電性層と第二導電性層が特許文献2の図面の図1に記載されている構成になる必要がある。模式図を図2(a)に示す。すなわち、網目状の第一導電性層3と中間樹脂層4の表面が同じ高さで段差がない構造であることが好ましい。また色素増感型太陽電池の場合、透明導電性基板1の上にさらに酸化チタンなどの半導体層が積層されるため、第二導電性層5の表面の平坦性も重要となる。この点からも網目状の第一導電性層3と中間樹脂層4の表面が同じ高さで段差がない構造であることが好ましい。
一方、網目状の第一導電性層3の縦方向の高さに段差がある場合には、図2(b)又は図2(c)の構造が考えられる。図2(b)の場合には、第二導電性層5の均一な厚み制御と平坦性を出すためには、多くの導電性樹脂が必要となり、透過率が低下することが懸念される。さらに、開口部のみに中間樹脂を埋設するには、網目状の第一導電性層3上を中間樹脂が被覆しないように網目状のマスキングを用いるか、中間樹脂を全面に塗布した後、網目状の第一導電性層3上の中間樹脂4のみを化学的又は物理的に取り除くプロセスが必要になることが容易に考えられる。図2(c)の構成の場合では、網目状の第一導電性層3と第二導電性層5の電気的接続が困難であり、低抵抗性を得ることが困難であることは図より明らかである。
特許文献2の記載では、「中間樹脂層4が第一導電層3に積層された状態で5Ω/□にあればよい」との内容の記載があるが、実際には第一導電性層3の構造(具体的には高さのばらつき)により中間樹脂層4の形成状態が左右され、記載の5Ω/□以下にするためには、第一導電性層3の形成を厳密に行うことが重要になってくることが考えられる。
上述したように第一導電性層の構造制御(縦方向の高さの均一性)が重要であることを踏まえ、第一導電性層の作製手法について検討する。
特許文献2の実施例記載のスクリーン印刷法を用いることで、網目状の第一導電性層の縦方向の高さの制御はある程度可能と言える。しかし、大面積の基板上に網目状の第一導電性層を低コストで形成するには課題の残る方法である。また、特許文献2の本文中に記載の金属微粒子を基板上に全面に塗布した後に網目状にエッチング処理する方法や、基板に溝を掘り、該溝の中に金属微粒子を充填する方法なども網目状の第一導電性層を低コストで大面積に作製するには課題が残る方法と言える。
網目状の第一導電性層の形成法として、低コストで大面積化が可能な方法として、金属微粒子分散溶液を用いる方法が開示されている(例えば特許文献3、4参照)。該方法では金属微粒子の分散溶液を基材上に塗布、乾燥させるだけで、金属微粒子が自己組織化現象により網目状構造を形成し、その後の熱処理及び化学処理により高透過率で低抵抗な導電性層を形成することが可能である。
しかしながら、発明者らが前記特許文献3、4を参考に追試を行ったところ、金属微粒子の自己組織化現象による凝集は各場所で均一には生じないため、網目状の第一導電性層の縦方向の高さを制御することは困難であることが判明した。
以上のように、現状では、第一導電性層を形成した後、開口部を透過率の高い中間樹脂により埋設し、最後に第二導電性層を被覆する手法により、高透過率を有し低抵抗な透明導電性基板を低コストで製造することは困難である。
WO2005/115070号公報 特開2007−234299号公報
さらに、金属微粒子の第一導電性層の抵抗値を可能な限り下げるためには、出来るだけ加熱を行い金属微粒子同士の焼結を促進することが必要になってくるが、加熱温度は基板の軟化温度に制限を受けてしまう。そのため、網目状の第一導電性層を形成するのにスクリーン印刷にせよ金属微粒子分散溶液の塗布にせよ基板の耐熱性の制約又は低温で焼結が進行する金属微粒子を用いる必要がある。
本発明の目的は、低抵抗で透明性に優れる、第一導電性層及び第二導電性層を有する透明導電性基板及び該透明導電性基板を安価に製造可能な製造方法を提供することである。
請求項1に記載の本発明は、透明導電性基板の製造方法において、下記の1から4の製造工程にて製造することを特徴とする透明導電性基板の製造方法である。
1、金属微粒子分散溶液を基材上に塗布し乾燥させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程
2、前記第一導電性層を完全に覆う透明性の接着層を積層する接着層積層工程
3、前記接着層面と被転写基板とを貼り合せ、加熱加圧した後、基材を剥離し、第一導電性層と接着層が一体となった転写層を被転写基板に熱転写させる熱転写工程
4、熱転写された転写層の表面に第二導電性層を積層する第二導電性層形成工程
請求項2に記載の本発明は、透明導電性基板の製造方法において、下記の1から4の製造工程にて製造することを特徴とする透明導電性基板の製造方法である。
1、金属微粒子分散溶液を基材上に塗布し乾燥させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程
2、被転写基板に透明性の接着層を積層する接着層積層工程
3、前記第一導電性層面と被転写基板とを貼り合せ、加熱加圧した後、基材を剥離し、第一導電性層と接着層が一体となった転写層を被転写基板に熱転写させる熱転写工程
4、熱転写された転写層の表面に第二導電性層を積層する第二導電性層形成工程
請求項3に記載の本発明は、前記第一導電性層形成工程が、金属微粒子の前駆体である金属塩の溶液を、基材に塗布し乾燥させた後、金属微粒子の前駆体を加熱又は紫外線照射又は還元性ガスにより還元析出させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性基板の製造方法である。
請求項4に記載の本発明は、前記第一導電性層形成工程と、前記接着層積層工程との間に、前記第一導電性層に加熱処理及び/又は化学処理を行う工程を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法である。
請求項5に記載の本発明は、前記基材に前記金属微粒子分散溶液又は前記金属塩の溶液を塗布するに先立ち、前記基材に表面処理を施すことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法である。
請求項6に記載の本発明は、前記接着層の厚みは、前記第一導電性層の高さよりも高く、前記被転写基板に前記第一導電性層は接触しないことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法により得られる透明導電性基板である。
請求項8に記載の本発明は、前記第一導電性層と前記接着層の最大段差が300nm以下であり、表面の表面抵抗値が5Ω/□以下であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電性基板である。
請求項9に記載の本発明は、前記接着層がアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の接着剤を含有することを特徴とする請求項7又は8に記載の透明導電性基板である。
請求項10に記載の本発明は、請求項7から9のいずれか1項に記載の透明導電性基板であって、前記第二導電性層が電解質溶液に対して耐性を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用透明導電性基板である。
本発明に係る透明導電性基板の製造方法によれば、金属微粒子の分散溶液又は金属微粒子の前駆体である金属塩の溶液を用いた第一導電性層の形成法を用いるので低コストで、大面積な網目状の第一導電性層を形成することが出来る。さらに、耐熱性のある基材を用いることで金属微粒子の焼結に十分な加熱処理が行え、低抵抗な透明導電性膜が得られる。続いて、高透明性の接着層を介在させ、網目状の第一導電性層を所望の基板上に熱転写することにより、第一導電性層と接着層が一体となった転写層の表面が平坦となり、表面に被覆する第二導電性層の厚みが制御できるとともに電気的接続性が向上し、高透過率と低抵抗を同時に満足させることが可能となる。
また前記接着層の厚みを前記第一導電性層の高さよりも高くすることで、基板全面に接着層を接触させることができ接着力が向上する。
また本発明に係る透明導電性基板の製造方法によれば、高透過率と低抵抗を同時に満足させると共に、第二導電性層の表面の平坦性も高いので色素増感型太陽電池用透明導電性基板として好適に使用することができる。
本発明の実施の一形態としての透明導電性基板20の製造方法を模式的に示す図である。 従来の透明導電性基板1の製造方法を模式的に示す図である。
本発明に係る透明導電性基板の製造方法は、大略的には、予め基材上に金属微粒子の分散溶液を塗布、乾燥させ網目状の第一導電性層を形成し、その後必要に応じて第一導電性層に加熱処理及び/又は化学的処理を施し、その後、該網目状の第一導電性層を被転写基板上に、高透明性の接着層を介して、熱転写し、熱転写後の転写層の表面を第二導電性層で被覆し、透明導電性基板を製造する方法である。
図1は、本発明の実施の一形態としての透明導電性基板の製造方法を模式的に示す図である。以下、色素増感型太陽電池用の透明導電性基板20を例として製造方法を説明する。
まず、基材2上に金属微粒子の分散溶液を塗布、乾燥し、網目状構造物からなる第一導電性層3を基材2上に形成させる。さらに必要に応じて第一導電性層3に対して加熱処理及び/又は化学的処理を施す。これにより網目状構造物からなる第一導電性層3が積層された基材2を得ることができる。図1(a)は、第一導電性層3が積層された基材2を示す。
ここで使用可能な金属微粒子分散溶液は、基材2上へ塗布、乾燥後に、金属微粒子が自己組織化現象により網目状構造物を形成し、必要に応じて該積層基材を加熱処理及び化学処理又はいずれかの処理を行うことで網目状構造物が低抵抗、高透過率を示すものであればいずれの金属微粒子分散溶液を用いても良い。また金属微粒子分散溶液に代え、網目状構造物を形成可能な金属微粒子の前駆体である金属塩の溶液(以下、金属微粒子前駆体溶液と記す)を使用することもできる。金属微粒子前駆体溶液の場合、耐熱性及び/又は耐薬品性を有する基材2に塗布し乾燥させた後、金属微粒子の前駆体を加熱又は紫外線照射又は還元性ガスにより還元析出させることで網目状構造物を得ることができる。
金属微粒子分散容液又は金属微粒子前駆体溶液に含まれる金属微粒子は、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Zn、Al、Sn、Pd、Ti、Ta、W、Mo、In、Pt、Ruなどの金属微粒子又は金属合金微粒子又は金属酸化物微粒子又は金属硫化物微粒子、又は炭素を含む炭素微粒子又はカーボンナノチューブやフラーレン、カーボンナノホーンなどの所謂ナノカーボン材料、又は珪素を含む珪素微粒子又は珪素と他金属との珪素合金微粒子、珪素酸化物微粒子又は珪素炭化物微粒子、珪素窒化物微粒子を用いることができる。耐酸化性と低コストの導電性基板を得ることを考慮するとAu、Agの金属微粒子分散液又は金属微粒子前駆体溶液が好ましい。
金属微粒子の調製法としては、従来から用いられている気相法(ガス中蒸発法など)、液相法(金属塩と還元剤による液相還元法)、熱分解法(金属錯体の熱分解法など)などの手法を用いることが出来る。
金属微粒子の平均粒子径は10nm以上1μm以下が好ましい。より好ましくは平均粒子径が10nm〜500nmである。さらに好ましくは平均粒子径が50nm〜200nmである。平均粒子径が1μmを超える場合、又は10nm未満の場合には、良く発達した網目状構造が得にくくなり、結果、低抵抗と高透過率が得にくい。
上記のような金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液は、例えば、特許文献5〜7を参考に調製した金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液を用いることが出来る。
特開2007−234299号公報 特表2005−530005号公報 特開平10−312715号公報
基材2は、金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液を塗布し、網目状構造物を安定に形成させるものであり、金属微粒子分散溶液に含まれる有機溶剤に対して腐食又は溶解せず、続く加熱処理又は化学処理により網目状構造物の電気的特性(抵抗値)や光学的特性(透過率)が劣化しないものであれば特に限定されない。なお、基材2上に金属微粒子前駆体溶液を塗布し乾燥させた後、金属微粒子の前駆体を加熱又は紫外線照射又は還元性ガスにより還元析出させる場合には、これら操作に耐性を有するものである必要があることは言うまでもない。
また基材2は、表面6の平滑度が重要である。基材2上に形成された網目状構造物からなる第一導電性層3は、接着層7を介して被転写基板8上に熱転写されるため、基材2上の第一導電性層の底面9は、被転写基板8上では表面となる。このため基材の表面6の平滑度が低いと、最終的に得られる透明導電性基板20の表面11の平滑度が低くなる。
また、金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液を塗布する基材2の表面は、予め金属微粒子又は金属微粒子前駆体が網目状構造を再現性良く形成するため、プライマー処理又はコロナ処理、酸・アルカリ処理による洗浄などを行う方が好ましい。上記手法は特に限定されないが、各金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液に適した処理を行うことが好ましい。
また基材2上の第一導電性層3を被転写基板8に破壊されずスムーズに熱転写されるように、基材2上に予め離型層(図示省略)を設けることが好ましい。離型層はシリコーン系高分子やフッ素系高分子など塗工液として、乾燥厚みが0.01〜1.0μmで塗布することで形成する。上記離型層は金属微粒子あるいは金属微粒子前駆体の網目状構造を再現性良く形成させる程度に処理する。
基材2は、工業的にはより安価な樹脂フィルムを用いることが好ましい。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂フィルムを用いることが出来る。また熱転写時の操作性等を考慮すれば基材2は、柔軟性を有することが好ましい。基材2は繰り返し使用することもできる。基材2の厚みは、6〜200μmが好ましい。さらに、好ましくは、12〜150μmの厚みのものを使用する。特に好ましくは、25〜125μmの厚みのものを使用する。
金属微粒子分散溶液又は金属微粒子前駆体溶液の基材2上への塗布方法は、例えばバーコーター、ディップコーター、スプレーコーター、ダイコーター、スピンコーターなど同業者が一般的にコーティング時に用いる手法を用いることが出来る。
塗布した後は、静置乾燥又は一定流量で空気などのガスを通風しながら乾燥させる方法、さらに加熱を組み合わせる方法などを用いることができる。
金属微粒子分散溶液を塗布、乾燥させた後は、網目状構造物を加熱処理及び/又は化学的処理することが好ましい。化学処理は、金属微粒子中に含まれる分散剤や樹脂などを取り除き、網目状構造物の抵抗値をより低くすることを主目的とするものであり、有機溶剤及び無機酸又は有機酸に浸漬することが好ましい。有機溶剤してはアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が例示される。好ましくはアセトンなどのケトン類である。無機酸又は有機酸としては塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸が例示され、好ましくは塩酸又は蟻酸である。浸漬後は純水又はエタノールなどでリンスした後、静置乾燥又は加熱乾燥などにより乾燥させることが好ましい。
さらに、金属微粒子同士の焼結を促進し、抵抗値をより低くすることを目的に加熱処理を施すことがより好ましい。加熱処理温度は用いる基材2によって異なるが、十分な導電性を得るためには100〜300℃の範囲が好ましい。より好ましくは100〜200℃である。
金属微粒子前駆体を還元する場合には、加熱又は紫外線や放射線などの光照射又は還元性ガスの手法を組み合わせて行うことも出来る。
上述した網目状構造物からなる第一導電性層3の全光線透過率は70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
次に、基材2上に形成した網目状構造物からなる第一導電性層3を所望の被転写基板8に熱転写させるため、図1(b)に示すように第一導電性層3が積層された基材2の一面全体を透明性の高い接着剤で覆い接着層7を形成する。このとき第一導電性層3の全ての開口部12に接着剤を充填し、開口部12を接着剤で埋設することが重要である。第一導電性層3は、次の工程で、接着層7と一体的に熱転写されるため基材2上で底面9となっている第一導電性層の面が、熱転写後は表面となる(図1(c)、(d))。このため第一導電性層3の開口部12が接着剤で完全に埋設されていないと、熱転写後の転写層10(第一導電性層と接着層)の表面14は、局所的に穴の開いた状態となる。転写層10の表面はさらに次工程で、第二導電性層5を形成する樹脂が塗布されるため、転写層10の表面に局所的に穴が開いていると、第二導電性層5の表面は平坦とならず、又は第二導電性層5を形成する樹脂が穴に入り込み、透過率を低下させるので好ましくない。
また接着層7の厚みは、第一導電性層3の高さを僅かに超える高さとする。本発明では、第一導電性層3の高さとは、第一導電性層3の中の最大高さを指すものである。接着層7は、次工程で被転写基板8に第一導電性層3と一体的に熱転写される。このため、基材2上で表面となっている接着層7の表面13は、熱転写後は、被転写基板8と接触する面となる。このため基材2上の第一導電性層3が接着層7に完全に覆われていなければ、熱転写後、十分な接着強度を得ることができない。接着層7の高さを第一導電性層3の高さと同一とすると、熱転写後、被転写基板8との接着面に局所的に接着剤が存在しない部分が生じるので好ましくない。一方、接着層7の厚さを必要以上に高くすると、透過率が低下するため好ましくない。
接着層7は、基材2側に設ける代わりに被転写基板8の一面に設けておいてもよい。
接着層7に使用される接着剤としては各種接着剤が使用可能である。接着剤材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピロリドン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、塩素化ポリプロピレン、ポリイミド、ウレア、セルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの共重合体からなる群の少なくとも1つ、及び又はこれらいずれか混合物などが例示される。また、最終的に得られる透明導電性基板の電解質溶液に対する高い耐性を得ることを目的としてイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系等従来公知の硬化剤を添加することも可能である。
また、接着層7には添加剤として紫外線吸収剤、着色顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤等も適宜、必要に応じて使用することができる。
接着層7の形成方法としては、上記の接着剤材料を有機溶剤又は水に溶解あるいは水に分散し粘度を調整したコーティング剤を作製し、グラビヤコーティング、スピンコーティングなど従来公知のコーティング法により塗布乾燥する方法を用いることができる。接着層7の厚みは好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜30μmである。接着層7の厚みが0.5μm未満では第一導電性層3の開口部12が接着剤で完全に埋設されず、熱転写後の転写層10の表面14は、局所的に穴の開いた状態となる。転写層10の表面14はさらに次工程で、第二導電性層5を形成する樹脂が塗布されるため、転写層10の表面14に局所的に穴が開いていると、第二導電性層5の表面は平坦とならず、又は第二導電性層5を形成する樹脂が穴に入り込み、透過率を低下させるので好ましくない。また、接着層7の厚みが50μmよりも厚いと透明導電性基板20の透過率が低下するため好ましくない。
次に図1(c)に示すように、基材2と被転写基板8とを貼り合せた後、加熱処理、加圧処理などを行い、基材2を剥離し、第一導電性層3を接着層7を介して被転写基板8に熱転写させる。熱転写方法は、公知の熱転写方法が使用可能であり、使用する基材2と被転写基板8の材質、接着層に応じて、適宜選択すればよい。例えば、ホットラミネーターで熱転写する方法、ホットプレス機で熱転写する方法、サーマルヘッドで熱転写する方法などを用いることができる。
上記のようにして得られた被転写基板8上の転写層10の表面14は、基材2と被転写基板8とを貼り合せた後、基材2が剥離されるので、非常に平坦であり(図1(d))、熱転写後の第一導電性層3と接着層7の段差は300nm以下とすることで、転写層10の表面の表面抵抗値が5Ω/□以下となるようにする。上述の製造方法により調製した第一導電性層3の表面抵抗値に対して、熱転写後の表面抵抗値の上昇率が10%以下になるように熱転写を行うことが好ましい。熱転写後の表面抵抗値の上昇率が10%以上になる場合は、接着層7が第一導電性層3と第二導電性層5との間に挿入され、第二導電性層5を含めた透明導電性基板20の表面抵抗値を上昇させてしまうため好ましくない。
基材2の代わりに被転写基板8上に接着層7を設け、第一導電性層3を被転写基板8に熱転写させる場合も、基材2の第一導電性層面と被転写基板8とを貼り合せ、第一導電性層3の底面9を残した状態で第一導電性層3を接着層7に埋没させ、熱転写後、基材2を剥離することで、基材2に接着層7を設けた場合と同一の状態を得ることができる。
被転写基板8は、各用途によって広範に選択することが出来る。例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドの他、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、Si基材、多孔質セラミックスなどが例示される。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂フィルムを用いることが、ロールツーロールで安価に製造ができることから好ましい。
次に、熱転写後の転写層の表面14に導電性樹脂を含む樹脂を塗布し第二導電性層5を形成させる(図1(e))。
第二導電性層5としては従来公知の導電性ポリマーを主成分とする塗液を塗布乾燥して形成することが望ましい。導電性ポリマーの種類に特に制限はないが、好ましい導電性ポリマーとしてポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびその誘導体、並びにそれらの混合物を挙げることが出来る。中でもポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体が透明導電性に優れており特に好ましい。導電性ポリマーの塗液に含有される溶媒又は分散媒は導電性ポリマーを溶解または分散できるものであれば特に制限はなく、水、水系溶剤、有機溶剤のいずれもが使用可能である。
導電性ポリマーの塗布乾燥方法としては、上記の接着剤材料を有機溶剤又は水に溶解あるいは水に分散し粘度を調整したコーティング剤を作製し、グラビヤコーティング、スピンコーティングなど従来公知のコーティング法により塗布乾燥する方法を用いることができる。
水系溶剤の場合は、水と、水に混和可能な有機溶剤との混合溶剤が使用可能である。水に混和可能な有機溶剤は特に制限はないが、例えば、次の溶剤が挙げられる:メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのエチレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテート類;N−メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混和物。
溶媒又は分散媒が有機溶剤系の場合は、上記水と混和する溶剤として挙げた溶剤及び水と混和しない溶剤が挙げられ、後者としては、トルエン、キシレン(o-、m-、あるいはp-キシレン)、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタンなどが使用できる。なお、通常、導電性ポリマーや必要に応じて含有される添加剤が上記溶剤に完全に溶解している場合は、該溶剤は「溶媒」、何れかの成分が溶解せずに分散している場合は「分散媒」と記載される。
本発明の第二導電性層5が導電性ポリマーの場合、導電性を向上させる目的で導電性向上剤を含有させることができる。このような導電性向上剤としては、水に混和する有機溶剤が利用される。それには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノンなどがある。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの有機溶剤は、溶媒又は分散媒を兼ねて用いられてもよい。導電性向上剤が含有される場合には、その量は特に限定されないが、通常、組成物中に95質量%以下の割合で含有される。
導電性ポリマー塗液は、塗膜の耐傷性や表面硬度が高くなり、電解質溶液に対する耐性が向上することから、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン;ポリウレタン;ポリウレア;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリエーテル;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらバインダーは、有機溶剤に溶解されていてもよいし、スルホン酸基やカルボン酸基などの官能基が付与されて水溶液化されていてもよいし、乳化など水に分散されていてもよい。
バインダーの含有量は、導電性ポリマーに対して0.1〜1000倍量であることが好ましく、1〜100倍量であることがより好ましい。バインダーの含有量が前記下限値未満であると、得られる導電性塗膜の膜強度が低くなる傾向にあり、前記上限値を超えると、導電性ポリマー濃度の低下に起因する導電性の低下が起こることがある。
第二導電性層5の厚みは好ましくは、0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜3.5μmである。0.1μm未満であると、耐ヨウ素性が低下する。10μmを超えると透明性が劣化する。
以上の製造方法で得られる透明導電性基板20は、第二導電性層5が電解質溶液に対して耐性を有し、低抵抗で透明性に優れるので色素増感型太陽電池用の透明導電性基板として好適に使用することができる。
作成した透明導電性基板の電気抵抗の測定は、JIS−K−7194に準拠した形で、ロレスタ−GP(株式会社ダイアインスツルメンツ製、型番:MCP−T610)において直列4探針プローブ(ASP)を用いて4端子4探針法で実施した。
光学的透過率は全光線透過率として評価した。前記透明導電性基板をヘイズメーター(型番:NDH−2000、日本電飾工業株式会社製)を用いてJIS K−7105に準拠して測定した。
評価に利用したヨウ素電解質溶液は市販されている色素増感型太陽電池製作キットの内容物を用いた(西野田電工株式会社製)。作製した透明導電性基板の上に前記ヨウ素電解質溶液を塗布し、そのまま、室温下24時間暗所で静置した。前記ヨウ素電解質溶液を純水及びエタノールで洗浄した後、乾燥し、表面抵抗値を透明導電性基板作製後と耐ヨウ素性試験後で比較した。
実施例1
<銀微粒子1の調製法>
金属微粒子の例として銀微粒子の液相還元調製法を説明するが、金属微粒子の種類や製造法を限定するものではない。
硝酸銀40g、ブチルアミン37.9g、メタノール200mLを加え、1時間攪拌しA液を調製した。別にイソアスコルビン酸62.2gを取り、水400mLを加え攪拌して溶解し、続いてメタノール200mLを加えB液を調製した。B液をよく攪拌しA液をB液に1時間20分かけて滴下した。滴下終了後、3時間30分攪拌を継続した。攪拌終了後、30分間静置し固形物を沈降させた。上澄みをデカンテーションにより取り除いた後、新たに水500mLを加え、攪拌、静置、デカンテーションにより上澄み液を取り除いた。この精製操作を3回繰り返した。沈降した固形物を40℃の乾燥機中で乾燥し、水分を除去した。さらに、得られた銀微粒子20gとDISPERBYK−106(ビックケミージャパン社製)0.2gをメタノール100mLと純水5mLとの混合溶液中に混合し、1時間混合した後に、純水100mLを加えて、スラリーをろ過した後、40℃の乾燥機中で乾燥させて、銀微粒子1を得た。銀微粒子は電子顕微鏡による観察から一次粒子の平均粒子径が60nmであった。
<銀微粒子分散溶液2の調製>
銀微粒子の分散溶液の調製は、特許文献6を参考に行った(特表2005−530005号公報を参考に調製)。
すなわち、前記銀微粒子1を4g、トルエン30g、BYK−410(ビックケミージャパン社製)0.2gを混合し、出力180Wの超音波分散機で1.5分間分散化処理を行い、純水15gを添加し、得られた乳濁液を出力180Wの超音波分散機で30秒間分散処理を行い、銀微粒子分散溶液2を調製した。
<第一導電性層の形成法>
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート基材上に前記銀微粒子分散溶液2を、バーコーターを用いてコーティングした。続いて、大気中で自然乾燥させることで、銀微粒子が自己組織化現象により網目状構造を形成した。次に、150℃で2分間加熱した後、アセトン及び1N塩酸にそれぞれ浸漬した後、150℃で5分間加熱乾燥させ、第一導電性層を形成した。第一導電性層を基材上に形成した後の全光線透過率は85%、表面抵抗値は4.5Ω/□であった。
<接着層の形成>
第一導電性層が形成された基材の第一導電性層表面側に下記の接着層コーティング液1を乾燥後の厚みが5.1μm(実施例1)、6.0μm(実施例2)、6.5μm(実施例3)となるよう塗布し、100℃の温度で5分乾燥させて接着層を形成した。
<接着層コーティング液1>
アクリル樹脂(三菱レイヨン製、ダイヤナールBR83)8.5g+ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロン200)1.5g+トルエン75g+メチルエチルケトン15gを加えて攪拌し、接着層コーティング液1を作製した。
<熱転写>
厚み125μmのポリエチレンテレフタレート基板表面に、第一導電性層と接着層が形成された厚み100μmのポリエチレンテレフタレート基材の接着層が形成された表面を対向させ、ホットラミネーター(大成ラミネーター製、大成ファーストラミネーターVAII−700)を用いて180℃で熱圧接し、室温に下がるまで放置した後、ポリエチレンテレフタレート基材を剥離して第一導電性層及び接着層をポリエチレンテレフタレート基板上に熱転写した。
<第二導電層の形成>
転写層の表面に、ポリチオフェンを主成分とする導電性ポリマー塗液(ティーエーケミカル製、BaytronP)と熱硬化性メラミン樹脂(三和ケミカル製、ニカラックMW−30)を導電性ポリマー塗液の固形分重量:熱硬化性メラミン樹脂の固形分重量=40:60の比率で混合した塗液をアプリケーターで乾燥後の第二導電層厚みが1μmになるように塗布し、熱風オーブンで150℃、2分間乾燥させて透明導電性基板を作製した。
<耐ヨウ素性の評価結果>
作製した透明導電性基板の表面抵抗値と全光線透過率及び実施例1〜3で作製した透明導電性基板の耐ヨウ素性を表1に示した。
Figure 2010179642
比較例1
実施例1の方法でポリエチレンテレフタレート基材上に第一導電性層を形成させた。基板の断面をSEMで観察したところ、第一導電性層の高さは2μm〜5μmの幅を持っていた。表面抵抗値は4.5Ω/□、全光線透過率は85%であった。該第一導電性層を作製した基材上に、接着層として接着層コーティング液1を厚みが3μmになるようにアプリケーターで塗布し、熱硬化させた。得られた基材の塗工層の表面抵抗値は5.5Ω/□、全光線透過率は85%であった。続いて第二導電性層として実施例1〜3と同じ導電性塗工液を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布した後、乾燥させた。得られた基材の表面抵抗値は5.6Ω/□であり、第一導電性層に比べて24%も上昇した。全光線透過率は81%であった。
比較例2
実施例1と同様に、ポリエチレンテレフタレート基材上に第一導電性層を形成させた。基板の断面をSEMで観察したところ、第一導電性層の高さは2μm〜5μmの幅を持っていた。表面抵抗値は4.5Ω/□、全光線透過率は85%であった。該第一導電性層を作製した基材上に、接着層として接着層コーティング液1を厚みが1μmになるようにアプリケーターで塗布し、熱硬化させた。得られた基材の塗工層の表面抵抗値は4.5Ω/□、全光線透過率は83%であった。続いて第二導電性層として実施例1〜3と同じ導電性塗工液を乾燥後の厚みが4μmになるように塗布した後、乾燥させた。得られた基材の表面抵抗値は4.6Ω/□であり、全光線透過率は64%と透明性が劣化してした。
2 基材
3 第一導電性層
5 第二導電性層
7 接着層
8 被転写基板
10 転写層
14 転写層の表面
20 透明導電性基板

Claims (10)

  1. 透明導電性基板の製造方法において、下記の1から4の製造工程にて製造することを特徴とする透明導電性基板の製造方法。
    1、金属微粒子分散溶液を基材上に塗布し乾燥させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程
    2、前記第一導電性層を完全に覆う透明性の接着層を積層する接着層積層工程
    3、前記接着層面と被転写基板とを貼り合せ、加熱加圧した後、基材を剥離し、第一導電性層と接着層が一体となった転写層を被転写基板に熱転写させる熱転写工程
    4、熱転写された転写層の表面に第二導電性層を積層する第二導電性層形成工程
  2. 透明導電性基板の製造方法において、下記の1から4の製造工程にて製造することを特徴とする透明導電性基板の製造方法。
    1、金属微粒子分散溶液を基材上に塗布し乾燥させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程
    2、被転写基板に透明性の接着層を積層する接着層積層工程
    3、前記第一導電性層面と被転写基板とを貼り合せ、加熱加圧した後、基材を剥離し、第一導電性層と接着層が一体となった転写層を被転写基板に熱転写させる熱転写工程
    4、熱転写された転写層の表面に第二導電性層を積層する第二導電性層形成工程
  3. 前記第一導電性層形成工程が、金属微粒子の前駆体である金属塩の溶液を、基材に塗布し乾燥させた後、金属微粒子の前駆体を加熱又は紫外線照射又は還元性ガスにより還元析出させ、網目状の第一導電性層を基材上に形成させる第一導電性層形成工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性基板の製造方法。
  4. 前記第一導電性層形成工程と、前記接着層積層工程との間に、前記第一導電性層に加熱処理及び/又は化学処理を行う工程を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  5. 前記基材に前記金属微粒子分散溶液又は前記金属塩の溶液を塗布するに先立ち、前記基材に表面処理を施すことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  6. 前記接着層の厚みは、前記第一導電性層の高さよりも高く、前記被転写基板に前記第一導電性層は接触しないことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の透明導電性基板の製造方法により得られる透明導電性基板。
  8. 前記第一導電性層と前記接着層の最大段差が300nm以下であり、表面の表面抵抗値が5Ω/□以下であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電性基板。
  9. 前記接着層がアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の接着剤を含有することを特徴とする請求項7又は8に記載の透明導電性基板。
  10. 請求項7から9のいずれか1項に記載の透明導電性基板であって、前記第二導電性層が電解質溶液に対して耐性を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用透明導電性基板。
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