JP2015126186A - 電極形成用ペースト、金属酸化物膜及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

電極形成用ペースト、金属酸化物膜及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Hiroyuki Sakamoto
裕之 坂本
中野 隆博
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隆博 中野
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Takeshi Fujita
健 藤田
豪 鈴木
Takeshi Suzuki
豪 鈴木
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Abstract

【課題】金属酸化物膜の形成において基板が加熱される工程を必要とせず、得られる色素増感型太陽電池が十分な性能を発揮できる電極形成用ペーストを提供すること。
【解決手段】色素増感型太陽電池用の電極形成用ペーストであって、金属酸化物粒子(A)と、分散助剤(B)と、水酸基含有高沸点溶剤(C)と、を含み、前記金属酸化物粒子(A)は、酸化亜鉛粒子を含み、前記金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、5〜40nmであり、前記分散助剤(B)は、ケトン基を有する化合物であり、前記水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、170℃以上であり、前記金属酸化物粒子(A)の含有量は、50〜75質量%であり、前記分散助剤(B)の含有量は、0.5〜6質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極形成用ペースト、金属酸化物膜及び色素増感型太陽電池に関する。
近年、安全及び環境保護の観点から、太陽電池が注目されている。特に、色素増感型太陽電池は、従来のシリコンを用いる太陽電池に比べて製造コストが低く、電池の基板に意匠性を付与できることから注目されている。
色素増感型太陽電池の光電極は、透明導電膜(基板)表面に形成される、金属酸化物の微粒子を含み且つ多孔質である金属酸化物膜を含む。従来、金属酸化物膜は、金属酸化物と、高分子化合物からなる結着剤と、を含むペーストを基板表面に塗布して焼成することによって形成される(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このように、金属酸化物膜の形成において基板上のペーストを焼成する工程が含まれる場合、基板が高温にさらされることから、プラスチックのように安価で柔軟性のある基板を用いるのが難しくなる。このような問題に対して、酸化亜鉛粒子と、水やアルコール等の溶媒とを含有するペーストを基板の表面に塗布して、温水浸漬処理によって基板上に塗布されたペーストから溶媒を除去する金属酸化物膜の形成方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、基板上のペーストを焼成する工程が必要ないので、プラスチック製の基板を用いることも可能である。
特開2013−30400号公報 特開2008−62181号公報
しかしながら、特許文献2で開示されたペーストを用いた場合でも、温水浸漬処理によって溶剤を完全に除くことが難しい場合がある。また、ペーストにおける金属酸化物粒子の分散性が低くなってしまう場合もある。このような場合には、得られる色素増感型太陽電池が十分な発電性能を発揮できない場合があった。
本発明は、金属酸化物膜の形成において基板が加熱される工程を必要とせず、得られる色素増感型太陽電池が十分な性能を発揮できる電極形成用ペーストを提供することを目的とする。
本発明は、色素増感型太陽電池用の電極形成用ペーストであって、金属酸化物粒子(A)と、分散助剤(B)と、水酸基含有高沸点溶剤(C)と、を含み、前記金属酸化物粒子(A)は、酸化亜鉛粒子を含み、前記金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、5〜40nmであり、前記分散助剤(B)は、ケトン基を有する化合物であり、前記水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、170℃以上であり、前記金属酸化物粒子(A)の含有量は、50〜75質量%であり、前記分散助剤(B)の含有量は、0.5〜6質量%である電極形成用ペーストに関する。
前記水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、200℃以上であることが好ましい。
前記水酸基含有溶剤(C)は、分子末端に水酸基を有することが好ましい。
前記水酸基含有高沸点溶剤(C)は、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として更に有することが好ましい。
前記電極形成用ペーストは、EH型粘度計による、100rpmにおける粘度(δB)に対する10rpmにおける粘度(δA)の比の値(δA/δB)は、1.5〜10であることが好ましい。
本発明は、前記電極形成用ペーストを、表面に導電層の形成された基板の前記導電層側に塗布する塗布工程と、前記塗布工程後の前記基板を浸漬処理する浸漬工程と、を含む金属酸化物膜形成方法に関する。
前記金属酸化物膜形成方法は、前記基板が200℃以上の温度に加熱される焼成工程を含まないことが好ましい。
前記基板は、プラスチックであることが好ましい。
本発明は、前記金属酸化物膜形成方法により形成された金属酸化物膜に関する。
前記金属酸化物膜における前記金属酸化物粒子(A)に由来する金属酸化物の含有量は、95質量%以上であることが好ましい。
本発明は、前記金属酸化物膜を有する色素増感型太陽電池に関する。
本発明によれば、金属酸化物膜の形成において基板が加熱される工程を必要とせず、得られる色素増感型太陽電池が十分な性能を発揮できる電極形成用ペーストを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<電極形成用ペースト>
本実施形態に係る電極形成用ペースト(以下、単にペーストと言う場合がある)は、金属酸化物粒子(A)と、分散助剤(B)と、水酸基含有高沸点溶剤(C)と、を含む。
[金属酸化物粒子(A)]
金属酸化物粒子(A)は、ペーストを用いて形成される後述する金属酸化物膜(半導体膜)に導電性を付与する。
金属酸化物粒子(A)としては、特に限定されないが、酸化亜鉛粒子を含む粒子を用いることが好ましい。つまり、金属酸化物粒子(A)としては、酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛粒子と他の金属酸化物粒子の混合物を好ましく用いることができる。他の金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化イットリウム等を例示することができる。また、酸化ニオブ亜鉛等の亜鉛と亜鉛以外の金属元素を含む複合酸化物を用いてもよい。
金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、5〜40nmである。金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径が、5nm未満であると、ペーストに金属酸化物粒子(A)を均一に分散させるのが難しく、また、金属酸化物膜を多孔質膜にするのが難しくなる。金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径が、40nmよりも大きいと、金属酸化物膜の強度が低くなり、基板への密着性も低下する。金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、10〜30nmであることが好ましい。
金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、SEMでの観察によって複数の粒子の長径を測定して、その長径を平均することで求めることができる。また、ペーストには、一次粒子の数平均粒子径の異なる2種類以上の微粒子を混合して添加してもよい。
ペーストにおける金属酸化物粒子(A)の含有量は、50〜75質量%である。ペーストにおける金属酸化物粒子(A)の含有量が、50質量%未満であると、ペーストの粘度が不十分となり、後述する浸漬処理において基板に塗布したペーストが流れてしまい、金属酸化物膜の形成が困難となる。ペーストにおける金属酸化物粒子(A)の含有量が、75質量%よりも多いと、金属酸化物粒子(A)がペースト中で分散し難い。ペーストにおける金属酸化物粒子(A)の含有量は、55〜65質量%であることが好ましい。
金属酸化物粒子(A)を構成する金属において亜鉛が占める比率は、亜鉛と亜鉛以外の金属との合計モル数に対し、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが更に好ましい。亜鉛が占める比率が70モル%未満であると、形成される金属酸化物膜の導電性が不十分となる傾向にある。
[分散助剤(B)]
分散助剤(B)は、金属酸化物粒子(A)がペースト中に良好に分散するよう補助する役割を果たす。
分散助剤(B)は、ケトン基を有する化合物である。ケトン基を有する化合物としては、例えばアセチルアセトン(ACAC)、ジピパロイルメタン(dpm)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−オクタンジオアセトン(TMOD)、テノイルトリフルオロアセトン(TTA)、1−フェニル−3−イソヘプチ−1,3−プロパンジオン、ジベンゾイルメタン(DBM)、ステアロイルベンゾイルメタン(SBM)、ベンゾイルアセトン、アセチルアセトン、デヒドロ酢酸、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、トリフルオロアセチルアセトン、プロピオニルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ジベンゾイルメタン等を挙げることができる。分散助剤(B)として、ケトン基を有する化合物を用いることで、分散助剤(B)のケトン基が金属酸化物粒子(A)に配位し、ペースト中に金属酸化物粒子(A)が良好に分散する。ケトン基を有する化合物としては、特にアセチルアセトンを用いることが好ましい。
なお、アミノ基やカルボキシル基を有する化合物を分散助剤(B)として用いた場合、金属酸化物が溶解することで金属酸化物膜の孔が閉塞してしまい、好ましくない。
また、水酸基を有する化合物を分散助剤(B)として用いた場合、分散剤(B)と金属酸化物粒子(A)との相互作用が、後述する水酸基含有高沸点溶剤(C)と酸化物粒子(A)との相互作用と重複してしまう。つまり、水酸基を有する化合物を分散助剤(B)を用いた場合には、分散助剤(B)と水酸基含有高沸点溶剤(C)とを併用することによる相乗効果が得られないことから好ましくない。
なお、分散助剤(B)として界面活性剤を用いた場合、界面活性剤の親水性の官能基が金属酸化物粒子(A)に強力に吸着するので、後述する浸漬処理によって界面活性剤(分散助剤(B))を除去するのが困難になる。
ペーストにおける分散助剤(B)の含有量は、0.5〜6質量%である。ペーストにおける分散助剤(B)の含有量が、0.5質量%未満であると、金属酸化物粒子(A)がペースト中で分散し難くなる。ペーストにおける分散助剤(B)の含有量が、6質量%よりも多いと、浸漬処理で分散助剤(B)を除去し難くなる。ペーストにおける分散助剤(B)の含有量は、1.0〜5.0質量%であることが好ましい。
[水酸基含有高沸点溶剤(C)]
水酸基含有高沸点溶剤(C)は、ペースト中で金属酸化物粒子(A)を分散させる。
水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、170℃以上であり、200℃以上であることが好ましい。水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、170℃以上であることで、後述する浸漬工程において、金属酸化物膜から水酸基含有高沸点溶剤(C)を、穏やかな条件下で除去できる。また、水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点が170℃未満であると、ペーストをスクリーン印刷に使用する際に、スクリーン版上で溶剤の揮発によるペーストの乾燥凝固を生じやすく、版を目詰まりさせ、印刷上の不具合を引き起こすおそれがある。更に、水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点が170℃未満であると、印刷した塗膜表面からの溶剤揮発速度が速いため、表面乾きによるクラック(割れ)を生じやすく、電池出力の低下を招くおそれがある。
水酸基含有高沸点溶剤(C)は、分子末端に水酸基を有することが好ましい。分子末端に水酸基を有する化合物(C−1)は水和性があり、後述する浸漬処理によって容易に除去することが可能である。
分子末端に水酸基を有する化合物(C−1)としては、イソプロピルジグリコール、1,3−ブタンジオール、デカノール、ノニルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキシルグリコール、2−エチルヘキシルグリコール及びフェニルグリコール等を挙げることができる。
また、水酸基含有高沸点溶剤(C)は、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として有する化合物ことがより好ましい。アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として有する化合物(C−2)は、ペースト中で金属酸化物粒子(A)に緩やかに会合する。従って、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として有する化合物(C−2)は、後述する浸漬処理によって容易に除去することが可能である。ここで、アルキル鎖とは、炭素原子2つ以上が連続する構造のことであり、アルキレンオキシド鎖とは、炭素原子2つ以上が連続する構造を有し且つ隣り合う炭素原子がエポキシ基を形成している構造のことである。
アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として有する化合物(C−2)としては、イソプロピルジグリコール、1,3−ブタンジオール、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール及びジメチルプロピレングリコール等を挙げることができる。
更に、水酸基含有高沸点溶剤(C)は、分子末端に水酸基を有し、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として更に有することがより好ましい。これにより、水酸基含有高沸点溶剤(C)を、後述する浸漬処理によってより容易に除去することが可能である。
分子末端に水酸基を有する化合物(C−1)であり、且つ、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として有する化合物(C−2)としては、イソプロピルジグリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシルグリコール及び2−エチルヘキシルグリコール等を挙げることができる。
ペーストにおける水酸基含有高沸点溶剤(C)の含有量は、25〜49.5質量%であることが好ましい。ペーストにおける水酸基含有高沸点溶剤(C)の含有量が、25質量%未満であると、金属酸化物粒子(A)がペースト中で分散し難くなる。ペーストにおける水酸基含有高沸点溶剤(C)の含有量が、49.5質量%よりも多いと、浸漬処理で水酸基含有高沸点溶剤(C)を除去し難くなる。ペーストにおける水酸基含有高沸点溶剤(C)の含有量は、30〜45質量%であることがより好ましい。
[その他の成分]
ペーストは、必要に応じて、金属酸化物粒子(A)、分散助剤(B)、水酸基含有高沸点溶剤(C)以外の成分を含有してもよい。他の成分としては、消泡剤や酸化防止剤が挙げられる。
しかし、ペーストは、高分子化合物からなる結着剤を含まないことが好ましい。ペーストが結着剤を含むと、金属酸化物膜を形成する際に焼成工程を設けて、金属酸化物粒子同士を結着させるとともに結着剤を除去する必要がある。つまり、結着剤は後述する浸漬処理によって金属酸化物膜から除くことができない。
ペーストは、上記成分を混合して撹拌することによって得ることができる。ここで、撹拌する方法や装置については特に限定されない。
[ペーストの物性(粘度)]
ペーストの、EH型粘度計による、100rpmにおける粘度(δB)に対する10rpmにおける粘度(δA)の比の値(δA/δB)は、1.5〜10であることが好ましい。EH型粘度計としては、例えば、コーンローターとして1°34’×R24を適用した東機産業株式会社製EH型回転粘度計を用いることができる。ペーストのδA/δBを、1.5〜10とすることで、基板の表面にペーストを塗布するのが容易であるにも関わらず、基板に塗布した後のペーストが流れ難くなる。より詳しくは、δA/δBが、1.5未満であると基板に塗布したペーストが流れやすくなる傾向にあり、10を超えると、形成される金属酸化物膜の表面が荒くなる傾向にある。
<金属酸化物膜形成方法>
本実施形態に係る金属酸化物膜形成方法は、基板上に金属酸化物膜を形成する方法である。金属酸化物膜形成方法は、塗布工程と、浸漬工程と、を含む。
[基板]
金属酸化物膜を形成する基板としては、透明な基板であれば特に限定されない。
なお、金属酸化物膜を形成する基板としては、ガラスが一般的である。しかし、本実施形態に係る金属酸化物膜形成方法は、プラスチックの基板に好ましく適用することが可能である。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン樹脂等が挙げられ、これらの単独又は混合、更には積層したものを用いることができる。プラスチックの基板は安価で柔軟性があることから好ましい。
基板には、表面に導電層が形成される。この導電層は、透明であることが好ましい。
[塗布工程]
塗布工程では、上記の電極形成用ペーストを基板の導電層側に塗布する。塗布方法については特に限定されないが、例えば、ドクターブレード法、ガラス棒による塗布、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、グラビア印刷法等を採用することが可能である。
[浸漬工程]
浸漬工程では、塗布工程後の前記基板を浸漬処理する。つまり、浸漬工程では、基板と基板の上に塗布されたペーストを、極性溶剤を主成分とする浸漬液に浸漬する。ここで、使用される極性溶剤は、プロトン性溶媒及び非プロトン性溶媒に分けることができる。プロトン性溶媒としては、例えば水、エタノール、酢酸等を挙げることができる。非プロトン性溶媒としては、例えばアセトニトリル、アセトン等を挙げることができる。浸漬液の主成分である極性溶剤としては、水が好ましい。
上記の浸漬液に対する金属酸化物の溶解性は極めて低い。しかし、浸漬処理により膜中の酸化亜鉛のうち極微量が浸漬液に溶解しこれが再析出する。これにより、金属酸化物の微粒子間のネッキング(連結)が進行する。金属酸化物の微粒子間のネッキングが進行することで、膜の機械的強度が向上するとともに膜の導電性の向上が実現される。このような浸漬処理を含む工程で酸化亜鉛の多孔質電極を製造することにより、高温もしくは高圧又は強酸もしくは強塩基条件下の処理工程を経ることなく高品位の多孔質膜(金属酸化物膜)を与えることができる。
浸漬処理に用いる浸漬液は、更に、酸又は塩基を含有することができる。酸としては、例えば、塩酸、酢酸等を挙げられる。また、塩基としては、例えば、アンモニア等を挙げられる。浸漬処理に用いる浸漬液は、これら酸又は塩基の添加によりそのpHを調整することができる。浸漬液のpHを適当な範囲に調整することにより、浸漬処理時間の短縮を図ることができる。浸漬液のpHとしては、4〜11の範囲であることが好ましい。pHが4未満である場合あるいは11を超える場合には、印刷したペースト膜が溶解したり、剥離しやすくなる傾向がある。
浸漬処理には、何らの溶質を含有しない極性溶剤のみからなる浸漬液を使用することができる。浸漬液としては、特に、水のみからなる浸漬液、金属酸化物及び水からなる浸漬液、酸及び水からなる浸漬液、塩基及び水からなる浸漬液を使用することが好ましい。
浸漬処理の際の浸漬液の温度としては、溶媒が液体状態にある凝固点以上沸点以下であれば任意に選ぶことができる。例えば、使用する溶媒が水の場合、常圧下においては0〜100℃だが、オートクレーブ等の耐圧容器を用いればより高い温度での処理も可能となる。処理温度をより高くすることにより、浸漬処理による溶解再析出反応の速度が増大するので、短い処理時間で微粒子間のネッキングが促進する等の効果を得ることができる。しかし、反応が過剰に速く進行すると、反応時間を最適に制御することが困難となるので、再現良く処理の効果が得られるように温度と時間双方を制御することが必要である。溶解再析出反応が過度に進行すると、膜が多孔質構造から緻密な構造に変化し、増感色素を吸着するための表面積が減ずるため、電池の性能が大幅に低下してしまう場合がある。
このような理由から、浸漬工程における処理温度及び時間は、処理液に使用する溶媒及び溶質の種類や濃度、更には浸漬液のpH等を考慮して最適条件を選択するべきである。例えば極性溶剤として水を用いる場合には、20〜80℃が好ましい温度範囲であり、処理時間としては1〜60分が好ましい。
浸漬処理後の酸化亜鉛の膜は、その後必要に応じて洗浄し、極性溶剤を除去することにができる。極性溶剤の除去に際しては、浸漬後の膜を、例えば空気中で加熱する方法、減圧にて乾燥する方法等によることができる。この場合の加熱温度は使用する基板の耐熱温度以下、すなわち、概ね40〜150℃の範囲で選べばよい。加熱時間は、好ましくは5〜120分である。なお、基板にガラス等の耐熱性材料を用いた場合でも、加熱温度を過度に高くすると金属酸化物の結晶化が進行し、金属酸化物膜の多孔質構造が失われる場合があるので、加熱温度は300℃以下の温度とすることが好ましい。
なお、本実施形態に係る金属酸化物膜形成方法は、浸漬工程を含むので、ペーストの含有する金属酸化物粒子(A)以外の成分が、金属酸化物膜が形成された段階でほとんど除かれる。従って、ペーストを焼成することで分散助剤(B)や溶剤を除く必要がない。具体的には、本実施形態に係る金属酸化物膜形成方法は、基板が200℃以上の温度に加熱される焼成工程を含まないことが好ましい。このように焼成工程を行う必要がないことで、プラスチックの基板を用いることができる。
<金属酸化物膜>
本実施形態に係る金属酸化物膜は、上記の金属酸化物膜形成方法により形成された金属酸化物膜である。
上記の金属酸化物膜形成方法の浸漬工程においてペースト中の金属酸化物粒子(A)以外の成分がほとんど除かれる。金属酸化物膜における、前記金属酸化物粒子(A)に由来する金属酸化物の含有量は、95質量%以上であることが好ましい。金属酸化物膜における、前記金属酸化物粒子(A)に由来する金属酸化物の含有量が、95質量%以上であることにより、金属酸化物膜が高い導電性を有する。
金属酸化物膜の膜厚(乾燥膜厚)は、3〜35μmであることが好ましい。金属酸化物膜の膜厚が、3μm未満であると、金属酸化物膜が基板から剥がれやすくなる傾向があり、また、十分に光を捕らえることができないことから電池の出力低下を招くおそれがある。金属酸化物膜の膜厚が、35μmよりも厚いと、金属酸化物膜にクラックが生じやすくなってしまう傾向にある。
<色素増感型太陽電池>
本実施形態に係る色素増感型太陽電池は、上記の金属酸化物膜を有する色素増感型太陽電池である。
色素増感型太陽電池は、以下のように製造される。まず、表面に上記の金属酸化物膜が形成された基盤を、増感色素を溶媒に溶解した溶液に浸透する。増感色素としては、従来の色素増感型太陽電池で使用されうる色素であれば使用でき、例えば無機顔料、有機金属錯体、有機色素又は天然色素を挙げることができる。溶媒としては、増感色素を溶解可能なものであればすべて使用することができるが、例えば水、アルコール、無水アルコール、芳香族化合物、ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルならびにこれらの混合溶媒等を挙げることができる。色素担持の際の浸漬温度は20〜90℃であることが好ましく、浸漬時間は3〜20分であることが好ましい。
増感色素を担持するための浸漬処理を施した後の酸化亜鉛多孔質電極は、好ましくは増感色素を溶解した溶媒と同じ溶媒で洗浄し、次いで溶媒を除去することにより、色素増感型太陽電池用の電極とすることができる。
このようにして得られた増感色素を担持した金属酸化物膜を有する色素増感型太陽電池用の電極(光電極)と、電解質層と、対向電極とをこの順で積層することにより、色素増感型太陽電池を製造することができる。具体的には、例えば、電解質を含有する溶液を光電極上に塗工し、電解質層を形成した後、対向電極を積層する方法や、光電極と電解質溶液注入口を有する対向電極とを積層した後、上記電解質溶液注入口から電解質溶液を注入する方法等により製造することができる。
対向電極としては、例えば、導電性を有する金属や金属酸化物、炭素材料や導電性高分子等が好適に用いられる。金属としては、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル及びそれらの合金等が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン等の金属酸化物を用いた場合、透明又は半透明であるため増感色素への入射光量を増加させることができる。
また、電解質層としては、電解質溶液からなるものであってもよく、電解質溶液をゲル化剤によって半固体化したものであってもよい。電解質層は、イオン性液体をを溶媒として含む。イオン性液体としては、例えば、カチオンが、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系;1−メチル−ピリジウム、1−ブチル−ピリジウム、1−ヘキシル−ピリジウム等のピリジウム系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系であるもの、アニオンが、臭素イオン、塩素イオン、フッ素系のイオンであるもの等が挙げられる。これらのなかでは、カチオンがイミダゾリウム系、アニオンがフッ素系の塩が好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<電極形成用ペーストの調製>
[製造例1]
ビーカーに、分散助剤としてアセチルアセトン3.0質量部、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコール27.0質量部、1,3−ブタンジオール10.0質量部を計りとり、液温25℃に調整し、手で撹拌した。更に、この混合液中に、酸化亜鉛超微粒子A(ZnO−650、住友大阪セメント株式会社製、BET法による比表面積が36.0m/g、一次粒子の数平均粒子径20nm)60.0質量部を徐々に加え、予備混合ペーストを得た。
次いで、この予備混合ペーストをセラミクス三本ロールミル(50I、EXAKT社製)にかけて、5回の循環分散(回転数250rpm)に供し、電極形成用ペースト1を得た。電極形成用ペースト1の固形分含有量は61.0質量%、粘比は2.5であった。ここで「固形分濃度」とは、150℃で30分間加熱後の固形分の濃度(質量%)である。また、「粘比」とは、回転粘度計(東機産業株式会社製EH型、コーンローターとして1°34’×R24を適用)を用いて測定した、回転数100rpmの際の粘度に対する10rpmの粘度の比の値である。
[製造例2]
酸化亜鉛超微粒子Aを酸化亜鉛超微粒子B(FZO−50Y、石原産業株式会社製、比表面積49.6m/g、一次粒子の数平均粒子径21nm)に変更した以外は、製造例1と同様の方法で電極形成用ペースト2を得た。電極形成用ペースト2の固形分濃度は61.1質量%、粘比は6.3であった。
[製造例3]
分散助剤としてアセチルアセトンを3.7g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを33.8g、1,3−ブタンジオールを12.5g、及び酸化亜鉛超微粒子Aを50.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト3を得た。電極形成用ペースト3の固形分濃度は50.0質量%、粘比は1.5であった。
[製造例4]
分散助剤としてアセチルアセトンを1.9g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを16.9g、1,3−ブタンジオールを6.2g、酸化亜鉛超微粒子Aを75.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト4を得た。電極形成用ペースト4の固形分濃度は75.3質量%、粘比は7.9であった。
[製造例5]
分散助剤としてアセチルアセトンを0.5g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを28.8g、1,3−ブタンジオールを10.7g、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト5を得た。電極形成用ペースト5の固形分濃度は60.8質量%、粘比は7.7であった。
[製造例6]
分散助剤としてアセチルアセトンを6.0g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを24.8g、1,3−ブタンジオールを9.2g、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト6を得た。電極形成用ペースト6の固形分濃度は60.9質量%、粘比は1.7であった。
[製造例7]
配合する分散助剤をアセチルアセトンから、ジアセトンアルコールに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト7を得た。電極形成用ペースト7の固形分濃度は60.7質量%、粘比は3.0であった。
[製造例8]
配合する分散助剤をアセチルアセトンから、シクロヘキサノンに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト8を得た。電極形成用ペースト8の固形分濃度は60.6質量%、粘比は3.3であった。
[製造例9]
分散助剤としてアセチルアセトンを3.0g用い、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコール37.0gのみとして1,3−ブタンジオールを配合せず、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとしたにする以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト9を得た。電極形成用ペースト9の固形分濃度は61.0質量%、粘比は3.6であった。
[製造例10]
分散助剤としてアセチルアセトンを3.0g用い、水酸基含有高沸点溶剤として1,3−ブタンジオール37.0gのみとしてイソプロピルジグリコールを配合せず、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト10を得た。電極形成用ペースト10の固形分濃度は60.9質量%、粘比は2.0であった。
[製造例11]
酸化亜鉛微粒子Aを、酸化亜鉛微粒子C(微細酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、比表面積10.0m/g、一次粒子の数平均粒子径290nm)に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト11を得た。電極形成用ペースト11の固形分濃度は60.8質量%、粘比は0.8であった。
[製造例12]
配合する分散助剤をアセチルアセトンから、カルボキシメチルセルロースに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト12を得た。電極形成用ペースト12の固形分濃度は62.8質量%、粘比は7.6であった。
[製造例13]
分散助剤としてアセチルアセトンを7.0g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを24.0g、1,3−ブタンジオールを10.0g、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト13を得た。電極形成用ペースト13の固形分濃度は60.3質量%、粘比は2.0であった。
[製造例14]
分散助剤を配合せず、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを29.2gとし、1,3−ブタンジオールを10.8gとし、酸化亜鉛超微粒子Aを60.0gとした以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト14を得た。電極形成用ペースト14の固形分濃度は60.8質量%、粘比は10.8であった。
[製造例15]
配合する分散助剤をアセチルアセトンから、ジエチレントリアミンに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト15を得た。電極形成用ペースト15の固形分濃度は60.3質量%、粘比は5.8であった。
[製造例16]
分散助剤としてアセチルアセトンを4.5g、水酸基含有高沸点溶剤としてイソプロピルジグリコールを40.5g、1,3−ブタンジオールを15.0gとし、金属酸化物微粒子を、酸化亜鉛超微粒子Aから酸化チタン超微粒子(AEROXIDE TiO P−25、EVONIK社製、比表面積57.5m/g、一次粒子の数平均粒子径20nm)に変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト16を得た。電極形成用ペースト16の固形分濃度は50.9質量%、粘比は15.6であった。
[製造例17]
配合する水酸基含有高沸点溶剤をイソプロピルジグリコールと1,3−ブタンジオールとの組み合わせから、プロピレングリコールモノメチルエーテル37.0gのみに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト17を得た。電極形成用ペースト17の固形分濃度は61.0質量%、粘比は22.2であった。なお、プロピレングリコールモノメチルエーテルの沸点は120℃である。
[製造例18]
配合する水酸基含有高沸点溶剤をイソプロピルジグリコールと1,3−ブタンジオールとの組み合わせから、ジエチレングリコールジエチルエーテル37.0gのみに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、電極形成用ペースト18を得た。電極形成用ペースト18の固形分濃度は60.5質量%、粘比は16.3であった。なお、ジエチレングリコールジエチルエーテルの沸点は188℃である。
<多孔質金属酸化物半導体の作製>
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート透明フィルム(テオネックス、帝人デュポンフィルム株式会社製)からなる透明基板上にSnOを真空蒸着した後にフッ素化合物ガスで処理して得られた、フッ素ドープSnO透明導電層を有する透明導電膜(基板)上に、以下の方法で金属酸化物膜を形成した。
上述の透明導電膜(FTO−PENフィルム、抵抗13Ω/sq.)の表面に、製造例1〜18で調製された電極形成用ペースト1〜18をスクリーン印刷法で、乾燥膜厚が10μm、φ=1.13mmの面積で円形状に印刷し、金属酸化物膜を得た。このようにして得た、金属酸化物膜を、純水液中の60℃にて5分間浸漬した後、120℃の空気中で15分間乾燥することで、導電プラスチックフィルム上に多孔質金属酸化物半導体膜を得た。
<増感色素の吸着>
増感色素として、ビス(4−カルボキシ−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体(N719dye、Solaronix社製)を使用した。上記の多孔質金属酸化物半導体膜を、色素濃度0.8mmol/Lに調整した無水エタノール溶液中に浸漬し、50℃に加温し、遮光下一時間静置した。その後、無水エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで太陽電池の多孔質金属酸化物半導体作用電極を作製した。
<電解液の調製>
次いで、電解質層を構成する電解液を調製した。溶媒として1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(フルオロスルホニル)イミドを用い、それに0.2mol/Lのヨウ素、2.0mol/Lの1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジンを溶かすことにより調製した。
<色素増感太陽電池セルの作製>
上記の工程で作製した多孔質金属酸化物半導体作用電極と、スパッタ法により得られたITO導電性PENフィルム(厚み100μm)上にスパッタ法によりPtを蒸着したPt対向電極との間に前述の電解質液を注入し、重ね合わせた。多孔質金属半導体作用電極周囲にUV硬化樹脂(TB−3035B、スリーボンド株式会社製)を塗布し、UV光を100mW/cmの強度で30秒照射することで封止することで、実施例及び比較例の色素増感太陽電池セルを作製した。
<分散性の評価>
電極形成用ペースト1〜18について、分散直後のペーストを50μm以下が測定範囲のグラインドゲージに入れて、ゲージを引いた。測定された粗粒の最大値により分散状態を判定した。評価基準を以下に示し、評価結果を表1に示した。最大粗粒の粒子径が10μm未満であれば合格とした。
「A」:最大粗粒の粒子径が5μm未満
「B」:最大粗粒の粒子径が5μm以上10μm未満
「C」:最大粗粒の粒子径が10μm以上20μm未満
「D」:最大粗粒の粒子径が20μm以上
<印刷適性の評価>
実施例及び比較例で得られた金属酸化物膜について、印刷面の目視外観によって、タレ(塗膜の流れ)とクラック(微細破断)の判定を実施した。ペーストが流れる状態では、設計図版通りの精密な再現が期待できない、いわゆる分解能の低い印刷となる。反対に、ペーストが硬い状態ではクラックが生じやすく、セルの出力安定性が損なわれやすく、耐久性も低下する。評価基準を以下に示し、評価結果を表1に示した。タレ(塗膜の流れ)は、まったく観察されないか、わずかに流れるとしても横方向への変位が50μm以内であれば合格とした。クラックは、まったく観察されないか、100μm以内のわずかな割れであれば合格とした。
(タレ(塗装面の流れ)についての評価基準)
「A」:塗膜の流れが全く観察されない
「B」:塗膜はわずかに流れるが、横方向への変位は50μm以内
「C」:塗膜はわずかに流れるが、横方向への変位は300μm以内
「D」:塗膜は流れ、横方向への変位が300μm以上となる
(クラックについての評価基準)
「A」:クラックは全く観察されない
「B」:100μm以内のわずかな割れを生じる
「C」:300μm以内の割れを生じるが、塗膜の剥離は観察されない
「D」:300μm以上の割れを生じる、又は、塗膜の剥離が観察される
Figure 2015126186
<色素増感太陽電池セルの評価>
(1)光電変換特性
実施例及び比較例で得られた色素増感太陽電池セルについて、AMフィルターを具備したキセノンランプのソーラーシュミレーターXES−502S(関西科学機械株式会社製)にて、AM1.5Gのスペクトル調整後、100mW/cmの照射条件下で、ポテンシオスタットによる負荷特性(I−V特性)を評価した。
色素増感太陽電池セルの評価値は、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、曲線形状因子(FF;フィルファクター)、変換効率η(%)が挙げられるが、最終的な太陽電池の性能の良否は、変換効率ηの大小で評価した。結果を表2に示した。セル作成直後の初期の変換効率η(%)が4.0以上であれば合格とした。
(2)耐久性評価
熱耐久性評価は、セル作成直後の初期の変換効率と、85℃・85%RHに保持した恒温恒湿度槽中で1000時間保持後、室温まで冷却したセルの変換効率ηを測定し、太陽電池性能保持率(耐久試験後のセルの変換効率η/初期の変換効率η)を算出した。なお、恒温恒湿度槽中に保持した太陽電池の状態は、開放状態とした。耐久性評価の結果(性能保持率)を表2に示す。なお、表2における「計測限界以下」とは、耐久試験後のセルの変換効率ηが計測限界以下であったことを示す。性能保持率が80%であれば合格とした。
Figure 2015126186
実施例と、比較例とを比べると、実施例において得られた電極形成用ペースト1〜10の方が、比較例において得られた電極形成用ペースト11〜18よりも、概ね分散性及び印刷性が良好であることが分かった。また、実施例で得られた色素増感型太陽電池の方が、比較例で得られた色素増感型太陽電池よりも、セルの耐久性が高いことも分かった。これらの事実から、特定の一次粒子の数平均粒子径を有する酸化亜鉛粒子を含む金属酸化物粒子(A)と、分散助剤(B)と、水酸基含有高沸点溶剤(C)と、を所定の比率で含有する電極形成用ペーストは、金属酸化物膜の形成において基板が加熱される工程を必要としない上に、得られる色素増感型太陽電池が十分な発電性能を発揮することが確認された。
本発明にかかる電極形成用ペーストは、分散性に優れ、屋外使用に耐えうる高温耐久性を有する。また、本発明にかかる電極形成用ペーストは、微弱光でも発電可能な屋内エナジーハーベスティング向け色素増感太陽電池に好ましく適用することで、当該太陽電池の電池特性を向上させることができる。更に、本発明にかかる電極形成用ペーストは、印刷適性に優れることから色素増感型太陽電池の効率的生産を可能にすることができる。

Claims (11)

  1. 色素増感型太陽電池用の電極形成用ペーストであって、
    金属酸化物粒子(A)と、分散助剤(B)と、水酸基含有高沸点溶剤(C)と、を含み、
    前記金属酸化物粒子(A)は、酸化亜鉛粒子を含み、
    前記金属酸化物粒子(A)の一次粒子の数平均粒子径は、5〜40nmであり、
    前記分散助剤(B)は、ケトン基を有する化合物であり、
    前記水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、170℃以上であり、
    前記金属酸化物粒子(A)の含有量は、50〜75質量%であり、
    前記分散助剤(B)の含有量は、0.5〜6質量%である電極形成用ペースト。
  2. 前記水酸基含有高沸点溶剤(C)の沸点は、200℃以上である請求項1記載の電極形成用ペースト。
  3. 前記水酸基含有高沸点溶剤(C)は、分子末端に水酸基を有する請求項1又は2記載の電極形成用ペースト。
  4. 前記水酸基含有高沸点溶剤(C)は、アルキル鎖及びアルキレンオキシド鎖の少なくとも一方を基本骨格として更に有する請求項3記載の電極形成用ペースト。
  5. EH型粘度計による、100rpmにおける粘度(δB)に対する10rpmにおける粘度(δA)の比の値(δA/δB)は、1.5〜10である請求項1ないし4いずれか記載の電極形成用ペースト。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の電極形成用ペーストを、表面に導電層の形成された基板の前記導電層側に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程後の前記基板を浸漬処理する浸漬工程と、を含む金属酸化物膜形成方法。
  7. 前記基板が200℃以上の温度に加熱される焼成工程を含まないことを特徴とする請求項6記載の金属酸化物膜形成方法。
  8. 前記基板は、プラスチックである請求項6又は7記載の金属酸化物膜形成方法。
  9. 請求項6ないし8いずれか記載の金属酸化物膜形成方法により形成された金属酸化物膜。
  10. 前記金属酸化物粒子(A)に由来する金属酸化物の含有量は、95質量%以上である請求項9記載の金属酸化物膜。
  11. 請求項10記載の金属酸化物膜を有する色素増感型太陽電池。
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