JP2010177526A - 電解コンデンサ及び電気機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解液の蒸発ガスを気密的に覆うカバー部材をケースに強固に取付けることができる電解コンデンサ及びこの電解コンデンサを備える電気機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電解液を含むコンデンサ素子1aを密封状態に収納するとともに内部圧力が所定以上になった場合に電解液の蒸発ガスを噴出する安全弁6が設けられたケース3と、このケース3に取付けられ前記安全弁6を覆うように設けられるカバー部材10と、前記電解液の蒸発ガスが噴出したときに、カバー部材10がケース3から離脱するのを抑止する第1の固定手段12と、この第1の固定手段12による抑止作用を補強する第2の固定手段11aとを備えた電解コンデンサ1である。
【選択図】図2

Description

本発明は、電解コンデンサ及びこの電解コンデンサを用いる電気回路を備えた電気機器に関する。
従来、電気機器として、例えば、放電灯を点灯させる点灯装置は、一般的には、フィルタ回路、整流平滑回路、高周波変換回路及びランプ点灯回路等から構成されており、整流平滑回路には、直流電源の平滑のため電解コンデンサが接続されている。電解コンデンサは、例えば、陽極箔と陰極箔からなる一対の電極間に電解紙を挟み巻回した電解コンデンサ素子に電解液を含浸させ、この含浸済みの素子に封口ゴムを取付け、有底筒状のケース内に入れて封止されている。
電解コンデンサは、経年変化に伴って、電解液が蒸発して減少し、寿命末期には、電解液の減少による容量低下に加えて電解液の等価直列抵抗(ESR)が上昇し、温度上昇する。やがて、リップル電流により発熱が大きくなり、熱暴走を引き起こし、急激に温度上昇し、電解液の沸点を超えて電解液の蒸発ガスが発生し、その圧力でケースが破裂する虞がある。そのためケースの一部に安全弁が設けられたものがあり、電解液の蒸発ガスでケース内の圧力が所定圧力以上に達した場合、安全弁が作動し、電解液の蒸発ガスを外部に噴出させ、ケースが破裂するのを防止するようにしている。安全弁が作動することは、ケース内の異常な圧力上昇を抑えることを目的とした正常な動作であるが、外部に噴出した電解液の蒸発ガスが煙に見えることから、使用者が焼損による発煙と誤認し、火災と判断してしまいやすい現象を呈する。
従来、このような現象を防止するため、安全弁から外部に放出された気体を収容する外側気密手段を備えた電解コンデンサ(特許文献1参照)や収容部、縦伸縮部及び環状伸縮部からなるキャップを取付けた電解コンデンサ(特許文献2参照)が提案されている。
特開2005−44868号公報 特開2006−286969号公報
しかしながら、特許文献1に示されたものは、外側気密手段の開口端を金属ケースにおける大径の上部と小径の下部との間の段部に引っ掛けることにより、外側気密手段を金属ケースに係止するものである。また、特許文献2に示されたものは、環状のゴム等を内蔵した環状伸縮部によって、その収縮でキャップを金属ケースに取付けるものである。このような外側気密手段の係止やキャップの取付け方法では、電解液の蒸発ガスの噴出力に対応するには十分ではなく、外側気密手段やキャップが蒸発ガスの噴出力によって金属ケースから離脱してしまう可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、電解液の蒸発ガスを気密的に覆うカバー部材をケースに強固に取付けることができる電解コンデンサ及びこの電解コンデンサを備える電気機器を提供することを目的とする。
請求項1に記載の電解コンデンサは、電解液を含むコンデンサ素子を密封状態に収納するとともに内部圧力が所定以上になった場合に電解液の蒸発ガスを噴出する安全弁が設けられたケースと;このケースに取付けられ前記安全弁を覆うように設けられるカバー部材と;前記電解液の蒸発ガスが噴出したときに、カバー部材がケースから離脱するのを抑止する第1の固定手段と;この第1の固定手段による抑止作用を補強する第2の固定手段と;を具備することを特徴とする。
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。安全弁は、ケースの内部圧力が所定以上になった場合に電解液の蒸発ガスを逃がす機能を有していればよく、その形態や配設位置は格別限定されるものではなく、また、カバー部材は、シリコーン樹脂等の材料が適用できるが、その材料に格別限定されるものではない。
請求項2に記載の電解コンデンサは、請求項1に記載の電解コンデンサにおいて、前記カバー部材は、開口部を有しており、前記第1の固定手段は、カバー部材を外周側からケースに締め付けるように固定するリング状部材であり、前記第2の固定手段は、開口部の周縁に形成された肉厚部であることを特徴とする。
リング状部材は、合成樹脂や金属材料によって構成することができ、また、例えば、C字状に形成してもよく、さらに、バンド状の金具やワイヤを用いてカバー部材を外周側から巻き付けるようにしてもよい。
基本的には、第1の固定手段であるリング状部材によって、カバー部材の離脱は抑止されるが、例えば、電解液の蒸発ガスが噴出すると、一部の液状化した蒸発ガスがケースの外面とカバー部材の内面との間に入り込み、すなわち、リング状部材が取付けられている部分において、ケースの外面とカバー部材の内面との間に液状化した蒸発ガスが入り込み、この液状化した蒸発ガスが一種の潤滑剤のような作用を呈する場合がある。このような場合、蒸発ガスの噴出圧によって、カバー部材の内面がケースの外面上を滑り、カバー部材が上方へ移動し、カバー部材がケースから離脱してしまう可能性がある。しかしながら、第2の固定手段である肉厚部を設けることにより、カバー部材の移動をストップし、カバー部材の離脱を補強的に抑止できるものである。
請求項3に記載の電解コンデンサは、請求項2に記載の電解コンデンサにおいて、前記ケースの外面には、かしめ部が形成されており、前記第1の固定手段は、かしめ部を利用して取付けられることを特徴とする。
請求項4に記載の電気機器は、回路部品を有する電気回路と;回路部品として電気回路に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電解コンデンサと;を具備することを特徴とする。
電気回路は、例えば、光源の点灯回路やモータの駆動回路等があるが、格別限定されるものではない。回路部品には、例えば、電解コンデンサ等のコンデンサ、チョークコイル等の巻線部品、トランジスタ等のスイッチング素子等、電気回路を構成するうえで必要な部品が含まれる。
請求項1に記載の発明によれば、安全弁が作動した場合に、使用者が火災であると誤認することを防止できる。また、カバー部材は、第1の固定手段と第2の固定手段とによってケースから離脱するのを抑止されているため、蒸発ガスの噴出圧で離脱することがなく、取付け状態を確実に保持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、簡単な構成でカバー部材をケースに固定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、各請求項に記載の発明の効果に加え、第1の固定手段の取付け強度の向上を図ることが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、各請求項に記載の発明の効果を奏する電気機器を提供できる。
電解コンデンサの基本構成を示す平面図及び断面図である。 本発明の第1の実施形態(実施例1)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同分解して示す斜視図である。 同安全弁の作動時を模式的に示す断面図である。 同じく安全弁の作動時を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態(実施例2)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 カバー部材の実施例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同安全弁の作動時を模式的に示す断面図である。 本発明の第3の実施形態(実施例1)に係る電解コンデンサを示す断面図及び底面図である。 同基板への取付け状態を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態(実施例2)に係る電解コンデンサの基板への取付け状態を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態(実施例1)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 本発明の第4の実施形態(実施例2)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同分解して示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態(実施例1)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同分解して示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態(実施例2)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同分解して示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態(実施例3)に係る電解コンデンサを示す断面図である。 同分解して示す斜視図である。 本発明の電気機器の実施形態としての点灯装置を示すブロック図である。 同点灯装置を適用した照明器具を示す斜視図である。
以下、本発明の第1の実施形態に係る電解コンデンサについて図1乃至図7を参照して説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
まず、電解コンデンサの基本的構成を説明する。図1(a)、(b)において、電解コンデンサ1は、ケース本体2を備えている。ケース本体2は、開口部3aを有する有底円筒状のアルミニウム製のケース3、封口材としての封口ゴム4及び熱収縮性の絶縁性スリーブ5とを備えている。ケース3内には、陽極箔と陰極箔からなる一対の電極間に電解紙を挟み巻回し、例えば、エチレングリコール系の電解液を含浸させた電解コンデンサ素子1aが収納されている。また、ケース3の開口部3aには封口ゴム4が挿入されており、封口ゴム4に開口部3aをかしめてケース3は封止、密封されている。なお、このかしめ部3bはリング状凹部を形成している。
一方、ケース3の開口部3aとは反対側の端面には、ケース3の内部圧力が所定以上になった場合に、ケース3の一部が破れて電解液の蒸発ガスを外部に逃がす安全弁6が設けられている。安全弁6は、ケース3の内部圧力が所定以上になったときに破れるように、ケース3にK字形の肉薄部を形成して構成されている。この肉薄部は、X字形やY字形に形成してもよい。また、ケース3は、円筒状の絶縁性スリーブ5によって外周表面が覆われている。絶縁性スリーブ5は、定格電圧、静電容量、極性等が印刷されたPET樹脂や塩化ビニル樹脂からなる熱収縮性のスリーブであり、ケース3に被せた後、熱を加え、その収縮によってケース3の外周表面に被覆されるものである。さらに、ケース3の開口部3a側には、陽極箔と陰極箔に接続され、封口ゴム4を貫通したリード線7が導出されている。
(実施例1)図2に示すように、電解コンデンサ1には、安全弁6を含んでケース本体2の上面及び側周面を覆うカバー部材10が取付けられている。このカバー部材10は、半透明のシリコーン樹脂及びその変性化合物からなるエラストマー、フッ素系やポリエーテルイミドの化合物を含むエラストマー等で形成されおり、伸縮性、耐熱性、弾性を有し、円筒形をなすキャップ状であり、一端部には開口部11が形成されている。また、この開口部11の周端縁には、断面が四角形状の肉厚部11aが形成されている。
そして、カバー部材10の開口部11側は、外周側から弾性を有するリング状部材12によって締め付けられてケース3に固定されている。このリング状部材12は、前記ケース3の開口部3aのかしめ部3bを利用して取付けられており、カバー部材10の固定を確実なものとしている。なお、リング状部材12は、合成樹脂や金属材料によって構成することができ、また、C字状に形成されたものでもよく、さらに、バンド状の金具やワイヤを用いてカバー部材10の開口部11側を外周側から巻き付けるようにしてもよい。
したがって、カバー部材10の内側とケース3の外側とで形成される空間は密閉状態であり、ケース3は、カバー部材10により気密的に覆われている。なお、カバー部材10は、伸縮性、耐熱性、弾性、また、電解液に対する耐侵食性が高い材料で形成するのが好ましい。
カバー部材10のケース3への取付けにあたっては、図3に代表して示されるように、キャップ状のカバー部材10の開口部11をケース3の上面側から被せる。この状態では、ケース3の上面及び側周面がカバー部材10によって被覆される状態となる。続いて、リング状部材12を上方から、その内径を弾性力に抗して広げながらかしめ部3bに位置させる。ここで、弾性力に抗する力を解くと、リング状部材12は、自己の弾性復帰力によりかしめ部3bのリング状凹部に嵌合し、カバー部材10の外周をケース3に締め付けるように固定する。なお、カバー部材10は、その内径がケース3の外径より小さいものを用いてもよい。この場合は、カバー部材10の開口部11をケース3の上面側から被せる際には、開口部11を広げながらケース3に被せるようにする。
次に、このように構成された電解コンデンサ1の作用について図4を参照して説明する。電解コンデンサ1に過電圧が加わった場合や寿命末期の異常時において、電解液の蒸発ガスでケース3内の圧力が所定圧力以上に達した場合、ケース3が破裂するのを防止するため安全弁6が作動し、K字形の肉薄部が破れ、電解液の蒸発ガスが外部に噴出する。また、可燃性ガス及び異臭が発生する場合もある。カバー部材10は、伸縮性を有し、ケース本体2を気密的に覆っているので膨らむことが可能であり、安全弁6が作動した場合、蒸発ガスの噴出圧によって、外方に袋状となって膨らむ状態となる。この状態では、蒸発ガスは、カバー部材10内に滞留しているので、外部に流出することを防止することができる。このとき、カバー部材10は、開口部11側をリング状部材12によって固定されているので、蒸発ガスの噴出圧でケース3から離脱するのを抑止され、取付け状態を確実に保持することができる。
基本的には、上述のように、カバー部材10の離脱は抑止されるが、電解液の蒸発ガスが噴出すると、一部の液状化した蒸発ガスがケース本体2の外面とカバー部材10の内面との間に入り込み、すなわち、リング状部材12が取付けられているかしめ部3bの部分において、ケース本体2の外面とカバー部材10の内面との間に液状化した蒸発ガスが入り込み、この液状化した蒸発ガスが一種の潤滑剤のような作用を呈する場合がある。このような場合、蒸発ガスの噴出圧によって、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動し、カバー部材10がケース3から離脱してしまう可能性がある。
しかしながら、本実施例においては、図5に示すように、例え、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動したとしても、カバー部材10の開口部11には、肉厚部11aが形成されているので、カバー部材10の移動がストップされるようになっている。つまり、肉厚部11aは、その肉厚によりリング状部材12の内径側とケース本体2の外面側との間を通過することができないため、図示矢印のように動き、リング状部材12に引っ掛って、カバー部材10は、ケース3から離脱するのを抑止され、確実に保持されるものである。
以上のような構成において、リング状部材12は、カバー部材10がケース3から離脱するのを抑止し、肉厚部11aは、この抑止作用を補強する役目を担っており、したがって、リング状部材12は、第1の固定手段として構成され、肉厚部11aは、第2の固定手段として構成されている。
なお、安全弁6の作動時のケース3内の圧力は、8〜10kgf/cmと仮定できるのでカバー部材10の伸縮性と破れないように構成することを考慮すると、カバー部材10の厚さ寸法は、好ましくは50μm以上、より好ましくは0.2mm以上であることが望ましい。また、電解コンデンサ1の寿命末期時には、電解液が蒸発して減少し、容量は当初の60%以下になると推定される。このような現象に基づいて、電解液の蒸発ガスを確実にカバー部材10内で捕捉するには、カバー部材10の内容積換算で250%以上、より好ましくは500%以上の伸縮性を有することが望ましい。
以上のように本実施例によれば、安全弁6が作動し、電解液の蒸発ガスが噴出すると、カバー部材10が膨らみカバー部材10内に蒸発ガスが滞留し、蒸発ガスの外部への流出を防ぐことができる。これにより、安全弁6が作動した場合に、使用者が火災であると誤認することを防止できる。また、カバー部材10は、リング状部材12によってケース3に固定されて離脱するのを抑止され、さらに、肉厚部11aによってその抑止が補強されているので、カバー部材10の取付け状態を確実に保持することができる。
(実施例2)図6に示すように、本実施例においては、リング状部材12をかしめ部3bの若干上側の位置で、カバー部材10の外周側から取付けたものである。本実施例によっても、電解液の蒸発ガスが噴出した場合に、例え、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動したとしても、カバー部材10の開口部11には、肉厚部11aが形成されているので、カバー部材10の移動がストップされる。したがって、カバー部材10は、ケース3から離脱するのを抑止され、確実に保持されるものである。
以上のように本実施例によれば、実施例1と同様な効果を奏することができる。
次に、図7(a)〜(i)を参照してカバー部材10の各種実施例について説明する。これらは、第2の固定手段としての肉厚部11aの態様の変形例を示したものである。
図7(a)は、カバー部材10の開口部11の周端縁に断面が四角形状の肉厚部11aを内周方向に向けて突出するように形成したものである。図7(b)は、同様に、断面が四角形状の肉厚部11aを内周方向及び外周方向に向けて突出するように形成したものである。図7(c)及び(d)は、肉厚部11aを楔状に形成し、それぞれ内周方向及び外周方向に向けて突出するように形成したものである。図7(e)及び(f)は、肉厚部11aを三角形状に形成し、図7(g)、(h)及び(i)は、肉厚部11aを円形状に形成したものである。
以上のように構成された各実施例によれば、カバー部材10がケース3から離脱するのを抑止する作用を補強することが可能となる。また、肉厚部11aが内周方向に向けて突出するように形成されている場合には、カバー部材10のケース3への取付けにあたって、肉厚部11aの突出された部分がケース3の下面側に仮止めできるようになり、取付け作業が行い易い効果が期待できる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る電解コンデンサについて図8及び図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。本実施形態では、上記第1の実施形態の実施例1におけるカバー部材10の高さ寸法を大きく形成したものである。そして、カバー部材10の肉厚部11a側がケース3の底面より延出するように、カバー部材10をケース3に取付けたものである。
このような構成によれば、蒸発ガスの噴出圧によって、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、図9の矢印で示すように、カバー部材10が上方へ移動した場合、肉厚部11aによってカバー部材10の移動がストップされるとともに、移動した分、カバー部材10が大きく膨らむことができ、電解液の蒸発ガスの捕捉容量を大きくすることができる。
以上のように本実施例によれば、実施例1と同様な効果に加え、電解液の蒸発ガスの捕捉容量を大きくすることが可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る電解コンデンサについて図10乃至図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
(実施例1)図10に示すように、カバー部材10の開口部11は、縮径した形態をなし、その周縁は、リング状で肉厚の挟持部13として形成されている。そして、この挟持部13の下面側からは略等しい間隔をおいて4本の固定脚14が突出して形成されている。カバー部材10の取付けにあたっては、カバー部材10の開口部11を広げながらケース本体2に被せる。被せた状態では、挟持部13の内周側は、リード線7に当接し位置決めされる。なお、固定脚14の本数は格別限定されるものではない。
そして、図11に示すように、このカバー部材10が取付けられた電解コンデンサ1をプリント基板PWBに実装する。この場合、プリント基板PWBには、予め固定脚14に対応する挿入孔15が形成されており、この挿入孔15に固定脚14が挿入又は圧入されるようになっている。また、開口部11の周縁の挟持部13は、封口ゴム4とプリント基板PWBの表面との間で挟持された状態で固着され、挟持部13は、弾性を有しているので、封口ゴム4及びプリント基板PWBとの密着性が良好で、カバー部材10の内側とケース本体2の外側とで形成される空間は密閉状態に保持される。よって、封口ゴム4及びプリント基板PWBは、カバー部材10を固着するための固定手段を構成していることとなる。なお、挟持部13は、ケース本体2の底面とプリント基板PWBの表面との間で挟持するように構成してもよい。
このような構成において、封口ゴム4とプリント基板PWBの表面との間で挟持された挟持部13の固着力が弱まり、カバー部材10がケース2から離脱するような事態が発生したとしても、固定脚14がプリント基板PWBの挿入孔15に挿入又は圧入されているので、カバー部材10が離脱する方向に作用する力を抑止することができる。ここでは、封口ゴム4及びプリント基板PWBは、カバー部材10を固着するための第1の固定手段として構成されており、固定脚14は、第1の固定手段による固着を補強する第2の固定手段として構成されている。
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果に加え、カバー部材10は、封口ゴム4とプリント基板PWBの表面との間で挟持されるので、特別な部材を要することなく、第1の固定手段を構成することができる。
(実施例2)図12に示すように、本実施例では、第2の固定手段としての固定脚14の先端側を楔状に形成し、プリント基板PWBの挿入孔15の孔縁に係止するようにしたものである。したがって、本実施例によれば、固定脚14による補強を強化することが可能となる。
続いて、本発明の第4の実施形態に係る電解コンデンサについて図13乃至図14を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
(実施例1)図13に示すように、カバー部材10の開口部11の周縁は、リング状で肉厚の挟持部13として形成されている。この挟持部13は、内周側と外周側に突出しており、内周側の突出部がケース本体2の底面とプリント基板PWBの表面との間で挟持するように構成されている。また、外周側の突出部には、電解コンデンサ1の近傍に実装される電子部品15の下面が当接するように配置されている。
このような構成において、ケース本体2の底面とプリント基板PWBの表面との間で挟持された挟持部13の固着力が弱まり、カバー部材10がケース2から離脱するような事態が発生したとしても、電子部品15によってカバー部材10が離脱する方向に作用する力を抑止することができるので、カバー部材10の取付け状態を確実に保持することができる。
ここでは、ケース本体2及びプリント基板PWBは、カバー部材10を固定するための第1の固定手段として構成されており、電子部品15は、第1の固定手段による固定を補強する第2の固定手段として構成されている。なお、第1の固定手段、第2の固定手段は、必ずしも主従の関係である必要はなく、相補的関係であってもよい。なお、第2の固定手段として、電子部品15を用いず、特別に固定部材を設けるようにしてもよい。
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することが可能となる。
(実施例2)図14に示すように、カバー部材10の開口部11の周端縁には、リング状の肉厚部11aが形成されている。この肉厚部11aは、内周側と外周側に突出しており、内周側の突出部は、かしめ部3bのリング状凹部に嵌合し、外周側の突出部には、電子部品15の下面が当接するように配置されている。
このような構成において、電解液の蒸発ガスが噴出した場合に、例え、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動しようとしたとしても、カバー部材10の開口部11には、肉厚部11aが形成されているので、電子部品15によってカバー部材10の移動がストップされる。したがって、カバー部材10は、ケース3から離脱するのを抑止され、確実に保持されるものである。
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することが可能となる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る電解コンデンサについて図15及び図16を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
図15に示すように、カバー部材10の底面に縮径した開口部11を有している。したがって、カバー部材10は、安全弁6を含んでケース本体2の上面、側周面及び底面の所定範囲を覆うように取付けられている。カバー部材10のケース3への取付けにあたっては、図16に代表して示されるように、キャップ状のカバー部材10の開口部11を広げながらケース3の上面側から被せる。その後、リング状部材12を上方から、カバー部材10の外周をケース3に締め付けるように固定する。
このような構成において、電解液の蒸発ガスが噴出した場合に、例え、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動しようとしたとしても、カバー部材10の開口部11は、縮径されているのでカバー部材10の移動が抑止される。したがって、カバー部材10は、第1の固定手段としてのリング状部材12によってケース3に固定されて離脱するのを抑止され、さらに、第2の固定手段としての縮径された開口部11によってその抑止が補強されているので、カバー部材10の取付け状態を確実に保持することができる。
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
続いて、本発明の第6の実施形態に係る電解コンデンサについて図17及び図22を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
(実施例1)図17及び図18に示すように、カバー部材10の開口部11の周端縁には、断面が円形状の肉厚部11aが形成されている。そして、この肉厚部11aは、かしめ部3bのリング状凹部に嵌合するように配設されている。また、リング状部材12は、かしめ部3bの若干上側の位置で、カバー部材10の外周側から取付けられている。
カバー部材10の取付けにあたっては、カバー部材10の開口部11を広げながらケース本体2に被せ、肉厚部11aをかしめ部3bのリング状凹部に嵌合する。その後、リング状部材12を上方から、カバー部材10の外周をケース3に締め付けるように固定する。したがって、肉厚部11aをかしめ部3bに嵌合して仮止めができるので、カバー部材10の取付け作業が行い易い効果を奏する。
(実施例2)図19及び図20に示すように、実施例1と異なるのは、カバー部材10を逆円錐台形状に形成したものである。図20に示すように、カバー部材10の底面には縮径した開口部11が形成されている。したがって、カバー部材10の取付けにあたっては、カバー部材10の縮径された開口部11を広げながらケース本体2に被せる。この場合、肉厚部11aの縮径する弾性復帰力により、かしめ部3bに強固に取付けることが可能となる。
(実施例3)図21及び図22に示すように、カバー部材10は、全体形状が円筒状であるが、逆円錐台形状の中空部を形成したものである。したがって、カバー部材10は、上方から下方の開口部11に向かうに従い漸次肉厚になるように形成されている。カバー部材10の取付けにあたっては、上記実施例2と同様に、カバー部材10の縮径された肉厚の開口部11を広げながらケース本体2に被せる。この場合、肉厚部11aの縮径する弾性復帰力により、ケース3の外周に強固に取付けることが可能となる。その後、リング状部材12を上方から、カバー部材10の外周をケース3に締め付けるように固定する。
このような各実施例の構成において、例え、カバー部材10の内面がケース本体2の外面上を滑り、カバー部材10が上方へ移動したとしても、カバー部材10の開口部11側には、肉厚部11aが形成されているので、カバー部材10の移動がストップされるようになっている。
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
次に、本発明の電気機器の実施形態について図23及び図24を参照して説明する。図23は、電気機器としての点灯装置を示すブロック図、図24は、点灯装置を適用した照明器具を示す斜視図である。図23において、電気機器としての点灯装置20は、電気回路として点灯回路21を備えている。点灯回路21は、フィルタ回路22、整流平滑回路23、高周波変換回路24及びランプ点灯回路25とから構成されており、ランプ点灯回路25には光源としての蛍光ランプ26が接続されるようになっている。フィルタ回路22は、商用交流電源ACに接続され、ノイズによる機器の誤動作や他の機器への障害を防止する機能をなし、整流平滑回路23は、商用交流を整流平滑し、高周波変換回路24は、直流を高周波に変換し、ランプ点灯回路25は、ランプの始動、点灯維持機能を有する。ここで、整流平滑回路23には、上記各実施形態の電解コンデンサ1が用いられ、接続されている。
図24において、照明器具30は、天井面に埋め込まれて設置される埋込形の器具であり、器具本体31の長手方向の両端にソケット32が取付けられおり、このソケット32に光源としての直管形蛍光ランプ26が接続されている。器具本体31内には、前記点灯装置20が収納されている。
このように構成された点灯装置20に商用交流電源ACを投入すると、フィルタ回路22を通じて整流平滑回路23の電解コンデンサ1が充電され、高周波変換回路24を介して、充電された電圧が高周波電圧として蛍光ランプ26に供給され、蛍光ランプ26が点灯する。ここで、電解コンデンサ1の安全弁6が作動し、電解液の蒸発ガスが噴出した場合、カバー部材10によって蒸発ガスの外部への流出を防ぐことができ、使用者が火災であると誤認することを防止できる。また、カバー部材10は、ケース本体2に固着されているので、蒸発ガスの噴出圧で離脱することがなく、取付け状態を確実に保持することができ、安定してその機能を発揮することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、電気機器としては、点灯装置に限らず、モータを制御する駆動制御装置等にも適用でき、さらに、電解コンデンサを用いる電気回路を備えた他の電気機器にも適用できる。
1・・・電解コンデンサ、1a・・・コンデンサ素子、3・・・ケース、
3b・・・かしめ部、6・・・安全弁、10・・・カバー部材、
11・・・開口部、11a・・・第2の固定手段(肉厚部)、
12・・・第1の固定手段(リング状部材)、20・・・電気機器(点灯装置)、
21・・・電気回路(点灯回路)

Claims (4)

  1. 電解液を含むコンデンサ素子を密封状態に収納するとともに内部圧力が所定以上になった場合に電解液の蒸発ガスを噴出する安全弁が設けられたケースと;
    このケースに取付けられ前記安全弁を覆うように設けられるカバー部材と;
    前記電解液の蒸発ガスが噴出したときに、カバー部材がケースから離脱するのを抑止する第1の固定手段と;
    この第1の固定手段による抑止作用を補強する第2の固定手段と;
    を具備することを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記カバー部材は、開口部を有しており、前記第1の固定手段は、カバー部材を外周側からケースに締め付けるように固定するリング状部材であり、前記第2の固定手段は、開口部の周縁に形成された肉厚部であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記ケースの外面には、かしめ部が形成されており、前記第1の固定手段は、かしめ部を利用して取付けられることを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 回路部品を有する電気回路と;
    回路部品として電気回路に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電解コンデンサと;
    を具備することを特徴とする電気機器。
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