JP2010045342A - 電気機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解コンデンサの寿命末期時に電解液の蒸発ガスが外部に噴出するのを防止できる電気機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電気回路21を構成する回路部品と、回路部品の一部として電気回路21に設けられ、電解液を含むコンデンサ素子1aと、このコンデンサ素子1aを密封状態に収納するとともにコンデンサ素子1aの温度上昇により変形する部位を有するケース本体2とを備えた電解コンデンサ1と、前記変形する部位に対応して配設され、前記変形する部位の変形に応じて動作し、前記電気回路21に流れる電流を減少又は停止させる通電制御手段10とを備える電気機器20である。
【選択図】図2
【解決手段】電気回路21を構成する回路部品と、回路部品の一部として電気回路21に設けられ、電解液を含むコンデンサ素子1aと、このコンデンサ素子1aを密封状態に収納するとともにコンデンサ素子1aの温度上昇により変形する部位を有するケース本体2とを備えた電解コンデンサ1と、前記変形する部位に対応して配設され、前記変形する部位の変形に応じて動作し、前記電気回路21に流れる電流を減少又は停止させる通電制御手段10とを備える電気機器20である。
【選択図】図2
Description
本発明は、電解コンデンサを用いる電気回路を備えた電気機器に関する。
従来、電気機器として、例えば、放電灯を点灯させる点灯装置は、一般的には、フィルタ回路、整流平滑回路、高周波変換回路及びランプ点灯回路等から構成されており、整流平滑回路には、直流電源の平滑のため電解コンデンサが接続されている。電解コンデンサは、例えば、陽極箔と陰極箔からなる一対の電極間に電解紙を挟み巻回した電解コンデンサ素子に電解液を含浸させ、この含浸済みの素子に封口ゴムを取付け、有底筒状のケース内に入れて封止されている。
電解コンデンサは、経年変化に伴って、電解液が蒸発して減少し、寿命末期には、電解液の減少による容量低下に加えて電解液の等価直列抵抗(ESR)が上昇し、温度上昇する。やがて、リップル電流により発熱が大きくなり、熱暴走を引き起こし、急激に温度上昇し、電解液の沸点を超えて電解液の蒸発ガスの圧力でケースが破裂する虞がある。そのためケースの一部に安全弁が設けられたものがあり、電解液の蒸発ガスでケース内の圧力が所定圧力以上に達した場合、安全弁が作動し、電解液の蒸発ガスを外部に噴出させ、ケースが破裂するのを防止するようにしている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
また、電解コンデンサの充電時間、リップル電流及び温度等の特性変化を回路上に特別に設けた検出回路で検出し、その検出された特性変化に基づいて寿命判定回路で電解コンデンサの寿命を判定するようにした点灯装置がある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、電解コンデンサにおいて、安全弁が作動することは、ケース内の異常な圧力上昇を抑えることを目的とした正常な動作であるが、外部に噴出した電解液の蒸発ガスが煙に見えることから、使用者が焼損による発煙と誤認し、火災と判断してしまいやすい現象を呈する。また、電解コンデンサの寿命を判定するようにした点灯装置では、電解コンデンサの特性変化を検出する検出回路を回路上に別に設けているが、電解コンデンサの特性を間接的に検出するものであり、回路上のノイズ等の変動要素の影響により、特性変化を確実に検出できない虞もある。さらに、検出された特性変化に基づいて電解コンデンサの寿命を判定する寿命判定回路を新たに設ける構成であるため、部品が多くなってしまうとともに、寿命判定回路自体が経年変化や異常等が生じる虞があり、電解コンデンサの寿命を正確に判断できず、回路の動作停止等の対処ができない問題を含んでいる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、電解コンデンサの寿命末期時に電解液の蒸発ガスが外部に噴出するのを防止できる電気機器を提供することを目的とする。
請求項1に記載の電気機器は、電気回路を構成する回路部品と;回路部品の一部として電気回路に設けられ、電解液を含むコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を密封状態に収納するとともにコンデンサ素子の温度上昇により変形する部位を有するケース本体とを備えた電解コンデンサと;前記変形する部位に対応して配設され、前記変形する部位の変形に応じて動作し、前記電気回路に流れる電流を減少又は停止させる通電制御手段と;を具備することを特徴とする。
電気回路は、例えば、光源の点灯回路やモータの駆動回路等があるが、格別限定されるものではない。回路部品には、例えば、電解コンデンサ等のコンデンサ、チョークコイル等の巻線部品、トランジスタ等のスイッチング素子等、電気回路を構成するうえで必要な部品が含まれる。通電制御手段は、電気回路を直接的又は間接的に遮断、又は実質的に電気回路として機能しない程度に電気回路に流れる電流を減少させるものである。また、通電制御手段には、電解コンデンサに直接的又は間接的に電源が供給されないように供給を停止する機能をなすものや電解コンデンサに流れる通電量を減少させる機能をなすものが含まれる。
請求項2に記載の電気機器は、請求項1に記載の電気機器において、前記変形する部位は、ケース本体の内部圧力の上昇によって変形するように設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の電気機器は、請求項1に記載の電気機器において、前記ケース本体は、ケース本体の外面を覆いコンデンサ素子の温度上昇により変形する熱収縮性の絶縁性スリーブを備えており、前記変形する部位として絶縁性スリーブを用いたことを特徴とする。
請求項4に記載の電気機器は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電気機器において、前記電気回路は、光源を点灯させる点灯回路であることを特徴とする。光源は、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ等いずれも適用可能である。
請求項1に記載の発明によれば、電解コンデンサの寿命末期時にケース本体の破裂を防止することができ、また、電解液の蒸発ガスが外部に噴出するのを防止することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ケース本体の内部圧力の上昇による変形に応じて通電制御手段を動作させることができ、動作の確実性を高めることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ケース本体の温度上昇による絶縁性スリーブの変形に応じて通電制御手段を動作させることができ、請求項2に記載の発明と同様に、動作の確実性を高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば、点灯回路の適用対象は、照明器具等であり、この場合、電解コンデンサの寿命末期による劣化状態が非常に分かり難い問題を含んでいるが、異常時には、電気回路に流れる電流を減少又は停止させることができるので、安全性が高く、ケース本体の破裂を防止でき、電解液の蒸発ガスが外部に噴出するのを防止することができる電気機器を提供できる。
以下、本発明の第1の実施形態に係る電気機器について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、電解コンデンサの基本構成を示す正面図、図2は、本実施形態の要部を示す正面図、図3は、電気機器としての点灯装置を示すブロック図、図4は、点灯装置を適用した照明器具を示す斜視図である。
まず、電解コンデンサの基本的構成を説明する。図1において、電解コンデンサ1は、ケース本体2を備えている。ケース本体2は、開口部3aを有する有底円筒状のアルミニウム製のケース3、封口材としての封口ゴム4及び熱収縮性の絶縁性スリーブ5とを備えている。ケース3内には、陽極箔と陰極箔からなる一対の電極間に電解紙を挟み巻回し、電解液を含浸させた電解コンデンサ素子1aが収納されている。また、ケース3の開口部3aには封口ゴム4が挿入されており、封口ゴム4に開口部3aをかしめてケース3は封止、密封されている。
一方、ケース3の開口部3aとは反対側の端面には、ケース3の内部圧力が所定以上になった場合に、ケース3の一部が破れて電解液の蒸発ガスを外部に逃がす安全弁6が設けられている。安全弁6は、ケース3の内部圧力が所定以上になったときに破れるように、ケース3に、例えば、X字形、Y字形やK字形の肉薄部を形成して構成されている。また、ケース3は、円筒状の絶縁性スリーブ5によって外周表面が覆われている。絶縁性スリーブ5は、定格電圧、静電容量、極性等が印刷されたPET樹脂や塩化ビニル樹脂からなる熱収縮性のスリーブであり、ケース3に被せた後、熱を加え、その収縮によってケース3の外周表面に被覆されるものである。さらに、ケース3の開口部3a側には、陽極箔と陰極箔に接続され、封口ゴム4を貫通したリード線7が導出されている。
次に、図2において、電解コンデンサ1をプリント基板8に実装した状態を示している。ケース本体2の開口部3a側、すなわち、封口ゴム4とプリント基板8の実装面との間に通電制御手段として回路遮断手段である検知素子、すなわち、スイッチ素子10が配設されている。このスイッチ素子10は、ON/OFFスイッチであり、常時は、ON状態を保持し、動作時は、OFF状態となり、このOFF状態を保持する非復帰の機能を有している。スイッチ素子10からは、リード線10aが導出されており、電気回路上、電解コンデンサ1と直列に接続されている。なお、この電解コンデンサ1には、前記安全弁は設けられていない。
図3において、電気機器としての点灯装置20は、電気回路として点灯回路21を備えている。点灯回路21は、フィルタ回路22、整流平滑回路23、高周波変換回路24及びランプ点灯回路25とから構成されており、ランプ点灯回路25には光源としての蛍光ランプ26が接続されるようになっている。フィルタ回路22は、商用交流電源ACに接続され、ノイズによる機器の誤動作や他の機器への障害を防止する機能をなし、整流平滑回路23は、商用交流を整流平滑し、高周波変換回路24は、直流を高周波に変換し、ランプ点灯回路25は、ランプの始動、点灯維持機能を有する。ここで、整流平滑回路23には、電解コンデンサ1とスイッチ素子10とが直列に接続された直列回路が接続されている。
図4において、照明器具30は、天井面に埋め込まれて設置される埋込形の器具であり、器具本体31の長手方向の両端にソケット32が取付けられおり、このソケット32に光源としての直管形蛍光ランプ26が接続されている。器具本体31内には、前記点灯装置20が収納されている。
次に、このように構成された点灯装置20の動作を説明する。商用交流電源ACを投入すると、フィルタ回路22を通じて整流平滑回路23の電解コンデンサ1が充電され、高周波変換回路24を介して、充電された電圧が高周波電圧として蛍光ランプ26に供給され、蛍光ランプ26が点灯する。
ところで、電解コンデンサ1に過電圧が加わった場合や寿命末期の異常時において、ケース本体2の内部圧力が上昇し、ケース本体2が破裂する虞がある。寿命末期においては、電解液が蒸発して減少し、電解液の減少による容量低下に加えて電解液の等価直列抵抗(ESR)が上昇し、発熱の増加を来たし、さらに、熱暴走を引き起こし、急激に温度が上昇して電解液の沸点を超えた蒸発ガスの圧力でケースが破裂する虞がある。本実施形態では、図2に示すように、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により外方、すなわち、プリント基板8の実装面方向に膨出変形し、この変形によりスイッチ素子10が押圧されOFF状態に動作するように作用する。換言すれば、スイッチ素子10が変形を検知し、動作するようになっている。したがって、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができる。勿論、電解液の蒸発ガスが噴出することもない。
以上のように本実施形態によれば、電解コンデンサ1の寿命末期時にケース本体2の破裂を防止することができ、また、電解液の蒸発ガスが外部に噴出するのを防止することができる。
なお、本実施形態においては、スイッチ素子10のON/OFFの動作により、検知信号を出力し、この出力により回路を遮断する構成を適用してもよい。さらに、上述において、スイッチ素子10は、常時は、ON状態を保持し、動作時は、OFF状態となるものについて説明したが、逆に、常時は、OFF状態を保持し、動作時は、ON状態となるものであってもよい。この場合は、スイッチ素子10がON状態になることにより、検知信号を出力し、回路を遮断する等の構成にすればよい。また、二重に安全性を担保する意味で安全弁を設けることを妨げるものではない。安全弁を設ける場合には、安全弁の作動より前に、回路遮断手段、すなわち、スイッチ素子10が動作するように設定することが必要である。さらにまた、スイッチ素子10は、プリント基板8側に取付けても、電解コンデンサ1側に取付けてもよい。電解コンデンサ1側に取付ける場合には、封口ゴム4の部分に凹部を形成し、この凹部にスイッチ素子10を配設するようにしてもよい。加えて、封口材は、ゴム製に限らず、所定の弾性を有する合成樹脂等の材料で形成されたものを適用することができる。
また、回路遮断手段としてスイッチ素子10に替えて圧電素子等を適用してもよい。圧電素子を用いた場合には、封口ゴム4の膨出変形により圧電素子が押圧され、その圧力を圧電素子が検知し、所定の電圧に変換されるため、これを検知信号として出力し、回路を遮断する等の構成にすればよい。したがって、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流を遮断することができ、内部圧力の上昇を停止し、ケース本体2の破裂、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る電気機器について図5を参照して説明する。図5(a)は要部を示す平面図、(b)は同正面図である。なお、以降各実施形態において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。本実施形態では、ケース本体2の開口部3a側と反対側、すなわち、図示上、上部に凹部11を形成し、この凹部11に回路遮断手段としてスイッチ素子10を配設したものである。凹部11は、断面V字状で略円錐状をなしており、この凹部11には、X字形の肉薄部11aを形成して安全弁6が構成されている(図5(a)参照)。
以上のような構成によれば、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、その圧力により凹部11が外方に膨出変形してくる。凹部11には肉薄部11aが形成されており、この部分が内部圧力に対し変形しやすいためである。この変形によりスイッチ素子10が押圧されOFF状態に動作するように作用する。したがって、安全弁6が動作する前に、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。安全弁6は、ケース本体2の破裂を防止するために二重に安全性を担保する機能をなしている。
以上のように本実施形態によれば、安全弁6が動作する前に、回路遮断手段としてのスイッチ素子10が動作するので、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
なお、第1の実施形態において述べたのと同様に回路遮断手段としては、圧電素子等を適用してもよい。また、凹部11は、安全弁6として構成しなくてもよく、例えば、凹部11の全体の肉厚を薄くして、内部圧力に対し変形しやすい部分として構成してもよい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る電気機器について図6を参照して説明する。図6は、要部を示す斜視図である。本実施形態では、回路遮断手段として回路パターン12を熱収縮性の絶縁性スリーブ5の外周面に配設したものである。回路パターン12は銅箔等から形成されており、絶縁性スリーブ5の外周面に弧状に接着材等によって配設されて、その両端は、プリント基板8の回路パターンに接続されている。回路パターン12は、電気的には、電解コンデンサ1と直列につながる接続部分をなしている。
このような構成によれば、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が上昇し、温度が上昇してきた場合、その温度上昇により絶縁性スリーブ5が熱収縮して変形してくる。この変形によって回路パターン12は切断され、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止する。したがって、安全弁6が動作する前に内部圧力の上昇が停止するので、安全弁6が動作することによる電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
以上のように本実施形態によれば、安全弁6が動作する前に、回路遮断手段としての回路パターン12が動作するので、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
なお、回路パターン12は銅箔に限らず、他の材料で構成してもよく、また、絶縁被覆をしてもよく、要は、回路部品の接続をなし、絶縁性スリーブ5の熱変形に応動して切断される回路接続手段であればよい。また、回路パターン12に替えて絶縁性スリーブ5の熱変形に応動するような検知素子を絶縁性スリーブ5に配設するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態に係る電気機器について図7を参照して説明する。図7は、要部を示す斜視図である。本実施形態では、第3の実施形態と同様に、回路遮断手段として回路パターン12を熱収縮性の絶縁性スリーブ5の外周面に配設したものであるが、両外側周面から上部にかけて配設したものである。本実施形態によれば、第3の実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る電気機器について図8を参照して説明する。図8は、要部を示す正面図である。本実施形態では、回路遮断手段として回路パターン12をプリント基板8上のケース本体2の開口部3a側、すなわち、封口ゴム4の下に配設したものである。また、回路パターン12に対応するプリント基板8の部分8aの厚さ寸法は、他の部分に比し1/2以下に薄く形成されている。
このような構成によれば、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により外方、すなわち、プリント基板8の実装面方向に膨出変形し、この変形により回路パター12が変形し、また、この回路パター12の変形に伴い、プリント基板8の薄い部分8aが変形又は破壊され、回路パター12は切断されるに至る。したがって、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
以上のように本実施形態によれば、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
次に、本発明の第6の実施形態に係る電気機器について図9乃至図12を参照して説明する。各図は、電気機器の要部である電解コンデンサを示したものであり、本実施形態では、回路遮断手段としてリード部材の一部を脆弱に構成したものである。
(実施例1)図9は、電解コンデンサを示す平面図及び断面図である。図に示すように、電解コンデンサ1は、ケース本体2を備え、ケース本体2は、アルミニウム製のケース3、封口ゴム4及び熱収縮性の絶縁性スリーブ5を備えている。ケース3内には、陽極箔と陰極箔からなる一対の電極間に電解紙を挟み巻回し、電解液を含浸させた電解コンデンサ素子1aが収納されている。
ケース3の一端面には、電解液の蒸発ガスを外部に逃がす安全弁6が設けられている。安全弁6は、ケース3の内部圧力が所定以上になったときに破れるように、肉薄部を形成して構成されている。さらに、ケース3の開口部3a側には、陽極箔と陰極箔にかしめや超音波溶接等で接続されたリード部材が封口ゴム4を貫通して導出されている。このリード部材は、リード線7及びリード板7aから構成されており、リード線7は、銅覆鉄線に錫めっきがなされて形成されており、リード板7aは、アルミニウム材によって薄板状に形成されている。そして、このリード板7aの電解コンデンサ素子1a側の一部は、細幅に形成され、すなわち、脆弱部Wとして形成されている。
このような構成によれば、図10に示すように、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により外方、すなわち、プリント基板8の実装面方向に膨出変形する(図中、破線で示す)。この封口ゴム4の膨出変形に伴い、リード部材は、プリント基板8の実装面方向に引っ張られ、リード板7aの脆弱部Wにおいて破断する。したがって、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。なお、脆弱部Wの部分のみをアルミニウム材によらず、別の材料で形成して接続するようにしてもよい。
以上のように本実施例によれば、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
(実施例2)図11に示すように、本実施例では、前記実施例1におけるリード板7aの脆弱部Wを陰極側に形成したものである。したがって、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4の膨出変形に伴い、リード板7aの陰極側における脆弱部Wにおいて破断する。この陰極側における破断の場合、陽極側に印加される高電圧が直接的に破断部に加わることなく、電解コンデンサ素子1aを介して間接的に加わることとなるので安全性の点で有利となる。
(実施例3)図12に示すように、本実施例では、リード板7aの中間部に細幅の脆弱部Wを形成したものである。このような構成によっても封口ゴム4の膨出変形に伴い、脆弱部Wにおいて破断させることが可能である。この場合も脆弱部Wの部分のみをアルミニウム材によらず、別の材料で形成して接続するようにしてもよい。
なお、本実施形態の脆弱部Wは、封口ゴム4の膨出変形に伴い、破断され、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断されればよく、リード部材における配設位置は、格別限定されるものではない。また、脆弱部Wは、封口ゴム4の膨出変形に伴い、破断されるように構成できればよく、リード部材を部分的に細くしたり、材料を替えたりして形成できる。
次に、本発明の第7の実施形態に係る電気機器について図13を参照して説明する。図は、電気機器の要部である電解コンデンサを示したものであり、本実施形態では、回路遮断手段としてガラスヒューズ13を用いたものである。
図において、電解コンデンサ1をプリント基板8に実装した状態を示している。ケース本体2の開口部3a側、すなわち、封口ゴム4とプリント基板8の実装面との間に回路遮断手段として検知素子、すなわち、ガラスヒューズ13が配設されている。このガラスヒューズ13からは、リード線13aが導出されており、電気回路上、電解コンデンサ1と直列に接続されている。
このような構成によれば、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により外方、すなわち、プリント基板8の実装面方向に膨出変形し、この変形によりガラスヒューズ13に押圧力が加わり、ガラスヒューズ13は破壊され断線するように作用する。
したがって、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
続いて、本発明の第8の実施形態に係る電気機器について図14及び図15を参照して説明する。図は、電気機器の要部である電解コンデンサを示したものであり、本実施形態では、電解コンデンサのリード部材が接続されるプリント基板8のランド8aを利用して回路遮断手段を構成したものである。
図14に示すように、プリント基板8には、電解コンデンサ1のリード線7が挿入され、半田付けによって接続される銅箔のランド8aが基板8の表裏を貫通する貫通孔に形成されている。そして、このランド8aの内径は、通常よりも小さい寸法に形成され、リード線7の外径と略同寸法に形成されており、リード線7はランド8aにタイトに挿入されている。
このような構成によれば、図15に模式的に示すように、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により、プリント基板8の実装面方向に膨出変形すると、その封口ゴム4とともにリード部材が図示上、下側に移動する。このとき、リード線7の下側への移動に伴い、ランド8aは、半田付けされた部分が破断され、基板8の貫通孔から外れる状態となり断線される。なお、リード線7とランド8aとの半田付けは、基板8の裏面側から行うようにしてもよい。
以上のように本実施形態によれば、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
次に、本発明の第9の実施形態に係る電気機器について図16を参照して説明する。図は、電気機器の要部である電解コンデンサを示したものである。
図に示すように、チップ形電解コンデンサ1は、ケース本体2の開口部3a側に、リード線7が貫通可能な貫通孔を有する座板14を備えている。座板14は、樹脂等からなる絶縁材で形成されており、この座板14の底面側には、座板14を貫通したリード線7が外側に向かって折り曲げられて配置される溝14aが形成されている。したがって、この溝14aに配置されたリード線7によって表面実装が可能な形態となっている。
このようなチップ形電解コンデンサ1において、一方のリード線7は、その中間部がコ字状に折曲されて、中央方向に突出する折曲部7bが形成されている。また、折曲部7bに対応して、封口ゴム4には、くさび状のカット部4aが形成されている。
以上のような構成において、電解コンデンサ1のケース本体2の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、封口ゴム4がその圧力により、プリント基板8の実装面方向に膨出変形する。そうすると、カット部4aの先端が折曲部7bを押圧し、折曲部7bを切断するように作用する。この折曲部7bが切断されることにより、電解コンデンサ1に印加される電圧、電流が遮断され、内部圧力の上昇が停止し、ケース本体2の破裂を防止することができるとともに、電解液の蒸発ガスの噴出を防止することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。回路遮断手段は、上記各実施形態では、主として、電解コンデンサに印加される電圧、電流を遮断するものとして説明したが、例えば、印加される電圧、電流を減少させるような動作を行うものであってもよい。そのような意味から、回路遮断手段の本質は、通電制御機能であり、通電制御手段である。したがって、通電制御手段としては、例えば、電解コンデンサのケース本体の内部圧力が所定以上上昇してきた場合、それに伴う変形によって、回路を遮断することなく、電解コンデンサに流れる通電量を減少制御するように動作するものであってもよい。
さらに、例えば、安全弁を設けるか否か、また、その作動点をどこに設定するか等は、設計上、適宜選択可能である。電気機器としては、点灯装置に限らず、例えば、モータを制御する駆動制御装置等にも適用でき、さらに、電解コンデンサを用いる電気回路を備えた他の電気機器にも適用できる。
1・・・電解コンデンサ、1a・・・コンデンサ素子、2・・・ケース本体、
4・・・封口ゴム、5・・・絶縁性スリーブ、10・・・スイッチ素子、
12・・・回路パターン、20・・・電気機器(点灯装置)、
21・・・電気回路(点灯回路)
4・・・封口ゴム、5・・・絶縁性スリーブ、10・・・スイッチ素子、
12・・・回路パターン、20・・・電気機器(点灯装置)、
21・・・電気回路(点灯回路)
Claims (4)
- 電気回路を構成する回路部品と;
回路部品の一部として電気回路に設けられ、電解液を含むコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を密封状態に収納するとともにコンデンサ素子の温度上昇により変形する部位を有するケース本体とを備えた電解コンデンサと;
前記変形する部位に対応して配設され、前記変形する部位の変形に応じて動作し、前記電気回路に流れる電流を減少又は停止させる通電制御手段と;
を具備することを特徴とする電気機器。 - 前記変形する部位は、ケース本体の内部圧力の上昇によって変形するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
- 前記ケース本体は、ケース本体の外面を覆いコンデンサ素子の温度上昇により変形する熱収縮性の絶縁性スリーブを備えており、前記変形する部位として絶縁性スリーブを用いたことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
- 前記電気回路は、光源を点灯させる点灯回路であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電気機器。
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JPS53163540U (ja) * | 1977-05-28 | 1978-12-21 |
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2009
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Patent Citations (1)
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JPS53163540U (ja) * | 1977-05-28 | 1978-12-21 |
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JP2014053446A (ja) * | 2012-09-07 | 2014-03-20 | Nippon Chemicon Corp | コンデンサおよびその製造方法 |
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