JP2010177256A - 磁気メモリ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気メモリ装置のメモリセルを縮小化する。
【解決手段】MTJ素子と選択トランジスタとが直列接続された1T1MTJメモリセルでは、MTJ素子に流す電流の向きによって選択トランジスタの電流駆動能力が異なることに鑑み、電流駆動能力の低い方でMTJ素子に流される書き込み電流が、電流駆動能力の高い方でMTJ素子に流される書き込み電流より小さくなるように、MTJ素子の特性を調整することで、より小さなサイズの選択トランジスタが使用できるようにする。
【選択図】図7

Description

本発明は、磁気メモリ装置に関する。
磁気メモリ装置の1つに、スピン注入磁化反転技術を利用したスピン注入型MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)がある(例えば、特許文献1参照。)。スピン注入型MRAMのメモリセルは、例えば、1つの磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction)素子と、MTJ素子への電流供給を制御する1つの選択トランジスタとを含む、所謂1T1MTJメモリセルとされる。MTJ素子に対する“1”,“0”のデータの書き込みは、そのMTJ素子に流す電流の向きを変えることによって制御される。
特開2007−266498号公報
スピン注入型MRAMでは、データの書き込みに要する書き込み電流を流すのに比較的大きな選択トランジスタが用いられる。そのため、メモリセルが大きくなってしまうという問題点があった。
本発明の一観点によれば、磁化方向が固定された固定層と、第1電源線に電気的に接続された、磁化方向が反転可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に設けられたトンネルバリア層とを有する磁気トンネル接合素子と、信号線に電気的に接続されたゲートと、前記固定層に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第1電極と、第2電源線に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第2電極とを有する選択トランジスタと、を備え、前記磁気トンネル接合素子は、前記第2電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第1電流が、前記第1電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第2電流より小さくなるように形成されている磁気メモリ装置が提供される。
開示の磁気メモリ装置によれば、選択トランジスタの縮小化、及びメモリセルの縮小化を図ることが可能になる。
スピン注入型MRAMの1T1MTJメモリセルの一例を示す図である。 MTJ素子の説明図であって、(A)はMTJ素子が低抵抗の状態を示す図、(B)はMTJ素子が高抵抗の状態を示す図である。 メモリセルの回路動作の説明図であって、(A)はフォワード動作の説明図、(B)はリバース動作の説明図である。 メモリセルの回路動作のシミュレーション結果を示す図である。 MTJ素子の構成例を示す図である。 MTJ素子の抵抗−磁場特性の一例を示す図である。 電流と素子面積抵抗の関係の一例を示す図である。 MTJ素子の抵抗−磁場特性の別例を示す図である。 電流と素子面積抵抗の関係の別例を示す図である。 抵抗−磁場特性のヒステリシスループのシフト量が0であるMTJ素子を用いたメモリセルの書き込み特性を示す図である。 抵抗−磁場特性のヒステリシスループが正磁場側にシフトされているMTJ素子を用いたメモリセルの書き込み特性を示す図である。 不良MTJ素子の抵抗−磁場特性の例を示す図であって、(A)はヒステリシスループのシフト量が負磁場側に大きい場合、(B)はヒステリシスループのシフト量が正磁場側に大きい場合である。 スピン注入型MRAMの回路構成の一例を示す図である。 スピン注入型MRAMのレイアウトの一例を示す図である。 図14のX−X断面模式図である。 図14のY−Y断面模式図である。 MTJ素子の一例の説明図である。 選択トランジスタ形成工程の説明図である。 第1プラグ形成工程の説明図である。 ソース線形成工程の説明図である。 第2プラグ形成工程の説明図である。 MTJ素子形成工程の説明図である。 第3プラグ形成工程の説明図である。 ビット線形成工程の説明図である。
図1はスピン注入型MRAMの1T1MTJメモリセルの一例を示す図である。図2はMTJ素子の説明図であって、(A)はMTJ素子が低抵抗の状態を示す図、(B)はMTJ素子が高抵抗の状態を示す図である。なお、図1及び図2には、MTJ素子の要部を図示している。
図1には、1つのMTJ素子20と、MTJ素子20に電気的に接続された1つの選択トランジスタ30とを含む、1T1MTJのメモリセル10を例示している。
MTJ素子20は、磁化方向が一方向に固定された固定層21、磁化方向が固定層21の磁化方向に対して平行又は反平行に反転する自由層22、及び固定層21と自由層22との間に設けられたトンネルバリア層23を有している。自由層22は、ビット線BLに電気的に接続されている。
選択トランジスタ30には、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。選択トランジスタ30のゲートは、ワード線WLに電気的に接続されている。また、選択トランジスタ30の一方のソース/ドレインは、MTJ素子20の固定層21に電気的に接続され、他方のソース/ドレインは、ソース線SLに電気的に接続されている。
ビット線BL及びソース線SLには、書き込みパルス及び読み出しバイアスを発生するバイポーラ電源40が電気的に接続されている。MTJ素子20へのデータの書き込み時には、バイポーラ電源40により、MTJ素子20の自由層22の磁化方向を反転させる、スピン分極した所定の大きさの反転電流(書き込み電流)が、ビット線BL側又はソース線SL側から流されるようになっている。
ここでは、ビット線BL側を高電圧にし、MTJ素子20にビット線BL側から所定の電流Iを流す(所定方向にスピン分極した電子eをソース線SL側から流す)ことで、図2(A)のように、自由層22の磁化方向を固定層21の磁化方向に対して平行化する。また、ソース線SL側を高電圧にし、MTJ素子20にソース線SL側から所定の電流Iを流す(所定方向にスピン分極した電子eをビット線BL側から流す)ことで、図2(B)のように、自由層22の磁化方向を固定層21の磁化方向に対して反平行化する。
図2(A)に示したように、固定層21と自由層22の磁化方向が平行になっているとき、MTJ素子20は低抵抗の状態になる。また、図2(B)に示したように、固定層21と自由層22の磁化方向が反平行になっているとき、MTJ素子20は高抵抗の状態になる。
データの読み出し時には、このように抵抗状態の異なるMTJ素子20に所定の読み出し電流が流され、図1に示したように、その時のビット線BLの電圧がセンスアンプ50によって増幅されて検出される。例えば、MTJ素子20が低抵抗(固定層21と自由層22の磁化方向が平行)であるときのビット線BLからの出力を“0”とし、MTJ素子20が高抵抗(固定層21と自由層22の磁化方向が反平行)であるときのビット線BLからの出力を“1”とする。
このように、メモリセル10は、MTJ素子20の抵抗状態に応じて“0”,“1”の2値データを記憶するメモリ素子として機能する。そして、このようなメモリセル10への“0”,“1”の書き込みは、上記のように、MTJ素子20に流す書き込み電流の向きを変えることで行われる(双方向書き込み)。
ところで、上記のように、MTJ素子20の固定層21側に選択トランジスタ30を直列接続したメモリセル10では、電流をビット線BL側から流す場合とソース線SL側から流す場合とで、選択トランジスタ30の電流駆動能力が異なってくる。
図3はメモリセルの回路動作の説明図であって、(A)はフォワード動作の説明図、(B)はリバース動作の説明図である。
図3(A),(B)には、上記メモリセル10の等価回路図を示している。このように選択トランジスタTr(選択トランジスタ30)と抵抗R(MTJ素子20)とを直列接続すると、電流Iの向きによって選択トランジスタTrの電流駆動能力が異なってくる。
即ち、抵抗Rにビット線BL側からソース線SL側に電流Iを流す場合は、ビット線BLの電圧VBLが高電圧とされ、ソース線SLの電圧VSLが接地電圧とされて、所謂ソース接地回路の動作となる(フォワード(Forward)動作という)。一方、抵抗Rにソース線SL側からビット線BL側に電流Iを流す場合は、ソース線SLの電圧VSLが高電圧とされ、ビット線BLの電圧VBLが接地電圧とされて、所謂ソースフォロワ回路の動作となる(リバース(Reverse)動作という)。リバース動作では、選択トランジスタTrのソース側に抵抗Rが接続されることで、次の図4のシミュレーション結果に示すように、フォワード動作の場合に比べ、その電流駆動能力が小さくなる。
図4はメモリセルの回路動作のシミュレーション結果を示す図である。
シミュレーションでは、選択トランジスタTrを、ゲート幅W=3μm、ゲート長L=0.34μmのnチャネル型MOSトランジスタとし、ゲート電圧(ワード線WLの電圧)VWL=3.3Vとしている。また、抵抗R=1kΩとしている。
図4に示したように、フォワード動作の場合は、ソース線SLの電圧VSLを0Vとし、ビット線BLの電圧VBLを0V〜3.3Vの範囲で変化させると(図3(A))、回路内を流れる電流Iが、電圧VBLの増加に伴って徐々に増加する傾向がある。
一方、図4に示したように、リバース動作の場合は、ビット線BLの電圧VBLを0Vとし、ソース線SLの電圧VSLを0V〜3.3Vの範囲で変化させると(図3(B))、回路内を流れる電流Iが、初期には電圧VSLの増加に伴って徐々に増加していく。その後は、電圧VSLの増加に対する電流Iの増加が小さくなり、電圧VSLが2V付近からは、電流Iがほぼ一定になる。
このように、シミュレーションによれば、印加する電圧が高くなるにつれ、リバース動作では、フォワード動作に比べ、電流Iが流れ難くなっていく。これは、リバース動作の場合、抵抗Rが選択トランジスタTrのソース側に接続されるため、電圧VSLを上げて電流Iを流していくと、ソース電位が上がって、ゲート−ソース間電圧が下がってくるためである。
即ち、上記のような構成のメモリセル10では、流せる電流Iの大きさが、MTJ素子20にビット線BL側から流すフォワード動作か、ソース線SL側から流すリバース動作かによって異なってくる。そして、このメモリセル10では、電流駆動能力の高いフォワード動作で磁化方向の平行化(“0”書き込み)を行い、電流駆動能力の低いリバース動作で磁化方向の反平行化(“1”書き込み)を行う。
そこで、このような回路動作の違いによる電流駆動能力の非対称性を考慮し、それに合わせてMTJ素子20の特性を調整する。例えば、電流駆動能力の低いリバース動作で流す書き込み電流の方が、電流駆動能力の高いフォワード動作で流す書き込み電流よりも小さくなるように、MTJ素子20の特性を調整する。
図5はMTJ素子の構成例を示す図である。なお、図5には、MTJ素子の要部を図示している。
この図5に示すMTJ素子20は、反強磁性層24上に、強磁性を示す固定層21、トンネルバリア層23、及び強磁性を示す自由層22が、順に積層された構造を有している。
反強磁性層24には、例えば、白金マンガン(PtMn)層が用いられる。固定層21には、例えば、第1強磁性層21aとしてコバルト鉄(CoFe)層、非磁性層21bとしてルテニウム(Ru)層、第2強磁性層21cとしてコバルト鉄ボロン(CoFeB)層が用いられ、それらを積層したものが用いられる。トンネルバリア層23には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)層が用いられる。自由層22には、例えば、CoFeB層が用いられる。
MTJ素子20を、この例のような構成とする場合、反強磁性層24は、例えば、膜厚15nmのPtMn層とすることができる。固定層21は、例えば、膜厚2.1nmのCoFe層、膜厚0.68nmのRu層、及び膜厚2.4nmのCoFeB層の積層体とすることができる。トンネルバリア層23は、例えば、膜厚1.16nmのMgO層とすることができる。自由層22は、例えば、膜厚2nmのCoFeB層とすることができる。このほか、MTJ素子20は、膜厚15nmのPtMn層、膜厚1.7nmのCoFe層、膜厚0.68nmのRu層、膜厚2.2nmのCoFeB層、膜厚1.2nmのMgO層、膜厚2nmのCoFeB層を積層した構成とすることもできる。
このような層構造としたMTJ素子20の磁場と抵抗の関係(抵抗−磁場特性)は、次の図6に示すようなヒステリシスループを示すようになる。
図6はMTJ素子の抵抗−磁場特性の一例を示す図である。また、図7は電流と素子面積抵抗の関係の一例を示す図である。なお、図6及び図7では、自由層22側から固定層21側に流れる電流の方向(フォワード動作で流れる電流の方向)を正方向としている。また、素子面積抵抗=素子抵抗×素子面積である。
図6に示すように、上記構成のMTJ素子20は、磁場が増加すると、所定の大きさの反転磁場Hc1で高抵抗から低抵抗の状態に変化し、磁場が減少すると、所定の大きさの反転磁場Hc2で低抵抗から高抵抗の状態に変化するヒステリシスループを示す。
MTJ素子20は、磁場の増加(自由層22側から固定層21側に流れる電流の増加)によって固定層21と自由層22の磁化方向が反平行から平行の状態に変化することで、高抵抗から低抵抗の状態に変化する(“0”書き込み)。また、MTJ素子20は、磁場の減少(固定層21側から自由層22側に流れる電流の増加)によって固定層21と自由層22の磁化方向が平行から反平行の状態に変化することで、低抵抗から高抵抗の状態に変化する(“1”書き込み)。
上記構成のMTJ素子20では、図6に示したように、抵抗−磁場特性のヒステリシスループが磁場0の軸を跨ぐ。磁場0の付近で高抵抗と低抵抗の2つの抵抗状態を維持できないと、MTJ素子20をメモリとして実用することが難しくなる。また、上記構成のMTJ素子20では、図6に示したように、抵抗−磁場特性のヒステリシスループが、磁場0の軸を中心とした対称型ではなく、ヒステリシスループの中心値Pが正磁場側に所定のシフト量Hshiftだけシフトしている(Hc1≠Hc2)。
このようなヒステリシスループを示すMTJ素子20では、図7に示したように、高抵抗から低抵抗の状態に変化(“0”書き込み)させる際の電流が1.5mA程度(絶対値)となる。また、低抵抗から高抵抗の状態に変化(“1”書き込み)させる際の電流は1mA程度(絶対値)となる。即ち、このMTJ素子20では、磁化方向を反平行化(“1”書き込み)する際の電流の方が、平行化(“0”書き込み)する際の電流よりも小さくなっている。
このような特性のMTJ素子20を、上記図1に示したメモリセル10に適用すると、電流駆動能力の高いフォワード動作で、“1”書き込みよりも大きな電流で書き込まれる“0”書き込みが行われることになる。また、電流駆動能力の低いリバース動作で、“0”書き込みよりも小さな電流で書き込まれる“1”書き込みが行われることになる。
ここで、比較のため、異なる構成のMTJ素子について説明する。ここでは、磁場と抵抗の関係について、次の図8に示すような抵抗−磁場特性を示すMTJ素子を想定する。
図8はMTJ素子の抵抗−磁場特性の別例を示す図である。また、図9は電流と素子面積抵抗の関係の別例を示す図である。なお、図8及び図9では、自由層22側から固定層21側に流れる電流の方向(フォワード動作で流れる電流の方向)を正方向としている。また、素子面積抵抗=素子抵抗×素子面積である。
ここで想定するMTJ素子は、図5及び図6に示したMTJ素子20の場合とは異なり、図8に示すように、シフト量Hshiftが0で、磁場0の軸を中心とした対称型のヒステリシスループを示す。このような抵抗−磁場特性は、例えば、膜厚15nmのPtMn層、膜厚2.3nmのCoFe層、膜厚0.68nmのRu層、膜厚2.2nmのCoFeB層、膜厚1.16nmのMgO層、膜厚2nmのCoFeB層を積層した構成を有するMTJ素子で見られる。このようなMTJ素子では、図8に示したように、磁場が増加すると、所定の大きさの反転磁場Hcで高抵抗から低抵抗の状態に変化し、磁場が減少すると、所定の大きさの反転磁場Hcで低抵抗から高抵抗の状態に変化する。
このように抵抗−磁場特性のヒステリシスループのシフト量Hshiftが0であるMTJ素子では、図9に示したように、高抵抗から低抵抗の状態に変化(“0”書き込み)させる際の電流が1mA程度(絶対値)となる。また、低抵抗から高抵抗の状態に変化(“1”書き込み)させる際の電流は1.5mA程度(絶対値)となる。即ち、磁化方向を反平行化(“1”書き込み)する際の電流の方が、平行化(“0”書き込み)する際の電流よりも大きくなる。このことは、理論的にも予測されている傾向である(Slonczewski理論)。また、後述のように、これまでは、通常、シフト量Hshiftが0になるように、MTJ素子の設計が行われてきた。
上記図1に示したメモリセル10に、MTJ素子20に替え、このようにシフト量Hshiftが0であるMTJ素子を適用した場合には、電流駆動能力の高いフォワード動作で、“1”書き込みよりも小さな電流で書き込まれる“0”書き込みが行われることになる。また、電流駆動能力の低いリバース動作で、“0”書き込みよりも大きな電流で書き込まれる“1”書き込みが行われることになる。このように、MTJ素子20に替え、抵抗−磁場特性のヒステリシスループのシフト量Hshiftが0であるMTJ素子を用いると、磁化方向を反平行化する、より書き込み電流が大きい“1”書き込みが、電流駆動能力の低いリバース動作で行われることになる。
これに対し、上記のMTJ素子20は、抵抗−磁場特性のヒステリシスループが正磁場側に所定のシフト量Hshiftだけシフトするように形成している。それにより、電流駆動能力の低いリバース動作で“1”書き込みを行う際の電流を、電流駆動能力の高いフォワード動作で“0”書き込みを行う際の電流よりも小さくする。そのため、メモリセル10の書き込み電流の向きによる回路動作の非対称性、即ち選択トランジスタ30の電流駆動能力の高低に対応した大きさの書き込み電流を、MTJ素子20に流すことが可能になっている。
ここで、このようなMTJ素子特性の違いが選択トランジスタ30のゲート幅Wに及ぼす影響について説明する。
図10は抵抗−磁場特性のヒステリシスループのシフト量が0であるMTJ素子を用いたメモリセルの書き込み特性を示す図、図11は抵抗−磁場特性のヒステリシスループが正磁場側にシフトされているMTJ素子を用いたメモリセルの書き込み特性を示す図である。
まず、上記の図8及び図9に示したように、抵抗−磁場特性のヒステリシスループのシフト量Hshiftが0であるMTJ素子を用いたメモリセルの場合について述べる。この場合は、より小さな電流(1mA程度)で書き込まれる“0”書き込みが、電流駆動能力の高いフォワード動作で行われ、より大きな電流(1.5mA程度)で書き込まれる“1”書き込みが、電流駆動能力の低いリバース動作で行われる。
そのため、ゲート幅Wが3μmといった小さなサイズの選択トランジスタ30では、電流駆動能力の低いリバース動作で、書き込み電流の大きい“1”書き込みを行うことが難しい。従って、ゲート幅Wが6μmといった、より大きなサイズの選択トランジスタ30が用いられる。
図10には、ゲート幅Wが6μmの選択トランジスタ30(Tr)を用いたときの、フォワード動作及びリバース動作の電圧(ビット線BLの電圧VBL又はソース線SLの電圧VSL)と電流Iの関係を例示している。リバース動作で“1”書き込みに必要な1.5mA程度の書き込み電流が流せるように、ゲート幅Wが6μmの選択トランジスタ30が用いられる。このとき、“0”書き込みについては、1mA程度のより小さな書き込み電流で済むが、フォワード動作で行うため、ゲート幅Wが6μmの選択トランジスタ30の電流駆動能力からすれば、流せる書き込み電流の大きさにまだ十分な余裕がある。
続いて、上記の図6及び図7に示したように、抵抗−磁場特性のヒステリシスループが正磁場側に所定シフト量HshiftだけシフトされているMTJ素子20を用いたメモリセルの場合について述べる。この場合は、より小さな電流(1mA程度)で書き込まれる“1”書き込みが、電流駆動能力の低いリバース動作で行われ、より大きな電流(1.5mA程度)で書き込まれる“0”書き込みが、電流駆動能力の高いフォワード動作で行われる。
このように書き込み電流の大きさを電流駆動能力の高低に対応させ、リバース動作で流す書き込み電流を小さくすることで、ゲート幅Wが3μmといった、より小さなサイズの選択トランジスタ30を用いることが可能になる。
図11には、ゲート幅Wが3μmの選択トランジスタ30(Tr)を用いたときの、フォワード動作及びリバース動作の電圧(ビット線BLの電圧VBL又はソース線SLの電圧VSL)と電流Iの関係を例示している。リバース動作で“1”書き込みに必要な1mA程度の書き込み電流を流すために、ゲート幅Wが3μmの選択トランジスタ30を用いる。このとき、“0”書き込みについては、1.5mA程度のより大きな書き込み電流が必要になるが、その程度の書き込み電流は、ゲート幅Wが3μmの選択トランジスタ30でも十分に流すことができる。
図11等に示したように、実用電圧範囲では、リバース動作での電流駆動能力は、フォワード動作での電流駆動能力と同等或いはそれを下回るようになる。そのため、選択トランジスタ30のゲート幅Wは、リバース動作での書き込みに要する電流を流すことのできるサイズに設定すればよい。その際、選択トランジスタ30のゲート幅Wを、リバース動作での書き込みに要する電流を流すことのできる最小の幅に設定すれば、選択トランジスタ30及びメモリセル10を効果的に縮小化することができるようになる。
このように、MTJ素子20を、電流駆動能力の低いリバース動作で流す書き込み電流の方が、電流駆動能力の高いフォワード動作で流す書き込み電流よりも小さくなるように調整する。それにより、より小さなゲート幅Wの選択トランジスタ30が使用可能になる。そのため、メモリセル10の縮小化を図ることが可能になり、その結果、MRAMの大型化やメモリ容量の低下等を回避することが可能になる。
ところで、MTJ素子を形成するうえでは、前述のように、磁場と抵抗の関係において、磁場0の付近で高抵抗と低抵抗の2つの抵抗状態を維持できないと、それをメモリとして実用することが難しくなる。
図12は不良MTJ素子の抵抗−磁場特性の例を示す図であって、(A)はヒステリシスループのシフト量が負磁場側に大きい場合、(B)はヒステリシスループのシフト量が正磁場側に大きい場合である。
図12(A)に示したように、シフト量Hshiftが負磁場側に大きく、負磁場領域でだけ高抵抗と低抵抗の両状態を取るような場合には、このようなヒステリシスループを示すMTJ素子は、メモリとして実用することが難しい。このほか、図12(B)に示したように、シフト量Hshiftが正磁場側に大きく、正磁場領域でだけ高抵抗と低抵抗の両状態を取るような場合には、このようなヒステリシスループを示すMTJ素子は、メモリとして実用することが難しい。
これまで、MTJ素子の形成時には、このようにシフト量Hshiftが大きくなってヒステリシスループが磁場0の軸から外れるのを避けるため、上記図8のように、シフト量Hshiftを0とするようなMTJ素子の設計が行われてきた。
一方、上記のMTJ素子20では、抵抗−磁場特性のヒステリシスループを正磁場側に所定のシフト量Hshiftだけシフトさせている。このようなヒステリシスループのシフトは、例えば、MTJ素子の固定層21を構成している層の膜厚を調整することによって行うことができる。例えば、固定層を、膜厚2.3nmのCoFe層、膜厚0.68nmのRu層、及び膜厚2.2nmのCoFeB層の積層体とした場合、シフト量Hshiftは0になる。一方、上記のMTJ素子20のように、固定層21を、例えば、膜厚2.1nmのCoFe層、膜厚0.68nmのRu層、及び膜厚2.4nmのCoFeB層の積層体とした場合には、シフト量Hshiftを15Oeとすることができる。MTJ素子20の形成に用いる製造装置を適切に選択すると、各層の膜厚を高精度で制御することができるため、所定のシフト量Hshiftで、且つ磁場0の軸から外れないヒステリシスループを示すものを形成することは可能である。
なお、MTJ素子20における反転磁場の和Hc1+Hc2は、ヒステリシスループをシフトしない場合の反転磁場の和2Hcと同じか同等レベルとしておくことが望ましい(図6,図8)。この値が小さくなると、MTJ素子20の熱安定性やリテンション特性が劣化する場合があるためである。
以下では、上記のようなメモリセルを備えたスピン注入型MRAMの構成例及びその形成方法の一例について説明する。
図13はスピン注入型MRAMの回路構成の一例を示す図、図14はスピン注入型MRAMのレイアウトの一例を示す図である。図15は図14のX−X断面模式図、図16は図14のY−Y断面模式図である。図17はMTJ素子の一例の説明図である。なお、図14では、半導体基板、素子分離領域、層間膜(絶縁膜)等の図示は省略している。
スピン注入型MRAMは、図13〜図16に示すように、1つの選択トランジスタ60と1つのMTJ素子70を含むメモリセル80を複数有している。
図14〜図16に示したように、選択トランジスタ60は、所定のゲート長L及びゲート幅WのMOSトランジスタで、素子分離領域90aを形成した半導体基板90に第1絶縁膜91を介してゲートが形成されており、そのゲートがワード線WLとして用いられる。選択トランジスタ60の一方のソース/ドレイン61は、第1絶縁膜91を貫通する第1プラグ92を介して、ソース線SLに電気的に接続されている。選択トランジスタ60のもう一方のソース/ドレイン62は、第1絶縁膜91及び第2絶縁膜93を貫通する第2プラグ94を介して、MTJ素子70に電気的に接続されている。
ここで、MTJ素子70は、図17に示すように、下部電極となる下地層71上に反強磁性層72が形成され、反強磁性層72上に、固定層73、トンネルバリア層74及び自由層75の積層体、並びに上部電極となるキャップ層76が形成されている。下地層71には、例えば、タンタル(Ta)層が用いられ、反強磁性層72には、例えば、PtMn層が用いられる。固定層73には、例えば、第1強磁性層73aとしてCoFe層、非磁性層73bとしてRu層、第2強磁性層73cとしてCoFeB層が順に積層されたものが用いられる。トンネルバリア層74には、例えば、MgO層が用いられ、自由層75には、例えば、CoFeB層が用いられる。また、キャップ層76には、例えば、第1キャップ層76aとしてRu層、第2キャップ層76bとしてTa層を順に積層したものが用いられる。
選択トランジスタ60のソース/ドレイン62は、第2プラグ94を介して、MTJ素子70の固定層73に電気的に接続されている。そして、このようなMTJ素子70が第3絶縁膜95によって覆われ、その自由層22が第3プラグ96を介してビット線BLに電気的に接続されている。
なお、この例では、ビット線BL及びソース線SLを、平行に且つワード線WLと直交するレイアウトとしている。また、小型化のため、ソース線SLとのコンタクト部を、隣接するメモリセル80で共用するようにしている。
上記のような構成を有するスピン注入型MRAMは、例えば、以下の図18〜図24に示すようなフローで形成することができる。
図18は選択トランジスタ形成工程の説明図、図19は第1プラグ形成工程の説明図、図20はソース線形成工程の説明図、図21は第2プラグ形成工程の説明図、図22はMTJ素子形成工程の説明図、図23は第3プラグ形成工程の説明図、図24はビット線形成工程の説明図である。なお、図18〜図24ではそれぞれ、便宜上、ビット線BL及びソース線SLを一図に含めてMRAMの構造を図示している。
まず、図18に示すように、STI(Shallow Trench Isolation)等の素子分離領域90aを形成したシリコン(Si)基板等の半導体基板90を用い、選択トランジスタ60を形成する。
例えば、素子分離領域90aで画定された素子領域に、ゲート絶縁膜を介してゲート(ワード線WL)を形成し、所定の不純物を半導体基板90にイオン注入してソース/ドレイン61,62を形成する。それにより、所定のゲート長L及びゲート幅Wの選択トランジスタ60の基本構造を得る。ここでは、1つのソース/ドレイン61を共用する、隣接する2つの選択トランジスタ60を図示している。
その後は、形成した選択トランジスタ60を覆うように、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて酸化シリコン(SiO)膜等の絶縁膜を形成し、さらに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化を行う。
なお、図18には、選択トランジスタ60を覆う絶縁膜や、ワード線WLと半導体基板90の間に形成するゲート絶縁膜等を、第1絶縁膜91として図示している。
次いで、図19に示すように、第1絶縁膜91を貫通し、選択トランジスタ60のソース/ドレイン61に達する第1プラグ92を形成する。例えば、エッチングにより、第1絶縁膜91に、ソース/ドレイン61に達するコンタクトホールを形成した後、タングステン(W)等を堆積し、CMPにより平坦化を行い、コンタクトホールをW等で埋め込むことで、第1プラグ92を形成する。
次いで、図20に示すように、第1プラグ92を形成した第1絶縁膜91上に、第1プラグ92上を通るソース線SLを形成する。例えば、スパッタ法により、第1絶縁膜91上にアルミニウム(Al)等を堆積し、そのパターニングを行うことで、直線状のソース線SLを形成する。
次いで、図21に示すように、ソース線SLを形成した第1絶縁膜91上に、ソース線SLを覆う第2絶縁膜93を形成し、さらに、第2絶縁膜93及び第1絶縁膜91を貫通して選択トランジスタ60のソース/ドレイン62に達する第2プラグ94を形成する。例えば、まず、CVD法を用い、SiO膜等を形成し、CMPでその平坦化を行うことで、第2絶縁膜93を形成する。続いて、エッチングにより、第2絶縁膜93及び第1絶縁膜91に、ソース/ドレイン62に達するコンタクトホールを形成した後、W等を堆積し、CMPにより平坦化を行い、コンタクトホールをW等で埋め込むことで、第2プラグ94を形成する。
なお、この第2プラグ94上には、次に述べるようにMTJ素子70を形成するため、その平坦性に十分に留意する。
このようにして第2プラグ94の形成まで行った後は、図22に示すように、MTJ素子70の形成を行う。MTJ素子70は、例えば、次のようにして形成される。
まず、第2プラグ94の形成まで行った基板をスパッタ装置のチャンバ内に搬入し、真空度を1×10-7Torrにした後、アルゴン(Ar)をチャンバ内に導入して所定の圧力に設定する。
続いて、その基板上に、下地層71として、Ta層を膜厚10nmで成膜し、反強磁性層72として、PtMn層を膜厚15nmで成膜する。次いで、固定層73として、CoFe層を膜厚1.7nmで、Ru層を膜厚0.68nmで、CoFeB層を膜厚2.2nmで、順次成膜する。次いで、トンネルバリア層74として、MgO層を膜厚1.2nmで成膜し、自由層75として、CoFeB層を膜厚2nmで成膜する。最後に、キャップ層76として、第1キャップ層76aのRu層を膜厚10nmで、第2キャップ層76bのTa層を膜厚30nmで、順次成膜する。成膜は、いずれも室温で行う。
成膜後は、フォトリソグラフィにより、最上層の第2キャップ層76b上にMTJ素子70形成用のレジストパターンを形成し、反応性イオンエッチング(RIE)により、積層膜の加工を行う。このRIEでは、エッチングする膜の種類に応じてエッチングガスを変える。例えば、まず、エッチングガスとしてテトラフルオロメタン(CF4)/Arガスを用い、第2キャップ層76bのパターニングを行う。次いで、エッチングガスとして一酸化炭素(CO)/アンモニア(NH3)ガスを用い、反強磁性層72のパターニングまで行う。次いで、エッチングガスとしてCF4/Arガスを用い、下地層71のパターニングを行う。これにより、所望の形状のMTJ素子70を形成する。
MTJ素子70の形成後は、図23に示すように、第3絶縁膜95を形成し、さらに、第3絶縁膜95を貫通してMTJ素子70のキャップ層76に達する第3プラグ96を形成する。例えば、まず、CVD法を用い、SiO膜等を形成し、CMPでその平坦化を行うことで、第3絶縁膜95を形成する。続いて、エッチングにより、第3絶縁膜95に、キャップ層76に達するコンタクトホールを形成した後、W等を堆積し、CMPにより平坦化を行い、コンタクトホールをW等で埋め込むことで、第3プラグ96を形成する。
次いで、図24に示すように、第3プラグ96を形成した第3絶縁膜95上に、第3プラグ96上を通るビット線BLを形成する。例えば、スパッタ法により、第3絶縁膜95上にAl等を堆積し、そのパターニングを行うことで、ビット線BLを形成する。
以後は、形成するスピン注入型MRAMの種類に応じ、必要な上層の配線層等を形成していけばよい。
以上例示したようなフローにより、スピン注入型MRAMを形成することができる。
なお、ここでは、ソース線SLを多層配線の第1配線層として形成し、ビット線BLを第2配線層として形成する場合を例示したが、ソース線SL及びビット線BLを形成する層は、多層配線内の第1配線層及び第2配線層に限定されるものではない。スピン注入型MRAMが、例えば、第1〜第5配線層を備える、5層構造の多層配線を有する場合であれば、ソース線SLを第3配線層として形成し、ビット線BLを第4配線層として形成する、といったことも可能である。
また、ここでは、ソース線SLを下層側に形成し、ビット線BLを上層側に形成する場合を例示したが、ビット線BLを下層側に形成し、ソース線SLを上層側に形成することも可能である。
ところで、ここに例示したスピン注入型MRAMでは、MTJ素子70の固定層73を下側、自由層75を上側に形成している。即ち、このスピン注入型MRAMは、下部電極となる下地層71側に固定層73が形成された、所謂ボトム・ピン型のMTJ素子70を備えている。これは、自由層75、トンネルバリア層74及び固定層73を形成してその上に反強磁性層72を形成するよりも、反強磁性層72上に固定層73、トンネルバリア層74及び自由層75を形成する方が、平坦な反強磁性層72を形成し易いためである。反強磁性層72の平坦性は、MTJ素子70の特性に影響してくる。ボトム・ピン型とすることにより、所望の抵抗−磁場特性を示すMTJ素子70が形成可能になる。
このようなボトム・ピン型のMTJ素子70の固定層73側に選択トランジスタ60を電気的に接続すると、MTJ素子70に対して選択トランジスタ60側に電流を流す場合と、選択トランジスタ60側から電流を流す場合とで、電流駆動能力に差が生じてくる。そして、これまでは、電流駆動能力が低い方の回路動作で、より大きな書き込み電流を要する書き込みを行い、電流駆動能力が高い方の回路動作で、より小さな書き込み電流で済む書き込みを行うようにしていた。
そこで、ここでは、上記のように、電流駆動能力の低い方の回路動作で、より小さな書き込み電流で済む書き込みが行われ、電流駆動能力の高い方の回路動作で、より大きな書き込み電流を要する書き込みが行われるように、MTJ素子70の特性を調整している。これにより、スピン注入型MRAMの構成に起因した電流駆動能力の高低に対応した大きさの書き込み電流を、MTJ素子70に流すことができるようになる。その結果、選択トランジスタ60のゲート幅Wの縮小化、さらにはメモリセル80の縮小化が図られるようになる。
なお、以上の説明では、MTJ素子の特性を、その固定層の各層の膜厚を調整することによって調整する場合について述べた。固定層の各層の膜厚は、メモリセルにおける電流駆動能力の低い方の回路動作で小さな書き込み電流を流し、電流駆動能力の高い方の回路動作で大きな書き込み電流を流すことができれば、上記例示した膜厚の値に限定されるものではない。
また、MTJ素子の各層の材質についても、上記の例に限定されるものではない。例えば、下地層には、Ta層とRu層の積層体、ニッケルクロム(NiCr)層、Ta層とニッケル鉄(NiFe)層の積層体等を用いることもできる。反強磁性層には、イリジウムマンガン(IrMn)層、パラジウム白金マンガン(PdPtMn)層等を用いることもできる。固定層には、CoFe層、Ru層、CoFe層の積層体等を用いることもできる。トンネルバリア層には、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)等を用いることもできる。自由層には、CoFe層等を用いることもできる。キャップ層には、チタン(Ti)層等を用いることもでき、また、Ti層の上にTa層とRu層の積層体を形成したものを用いることもできる。
また、以上の説明では、抵抗−磁場特性のヒステリシスループを所定シフト量だけ所定磁場方向にシフトさせることにより、電流駆動能力の低い方の回路動作で流す書き込み電流が、電流駆動能力の高い方の回路動作で流す書き込み電流よりも小さくなるようにした。但し、このような電流の大小関係に限定されるものではなく、電流駆動能力の低い方の回路動作で流す書き込み電流が、電流駆動能力の高い方の回路動作で流す書き込み電流より大きい場合であっても、上記同様、メモリセルの縮小化を図ることは可能である。
即ち、磁場と抵抗の間のヒステリシスループを所定磁場方向に少しでもシフトさせれば、シフト前に比べて、電流駆動能力の低い方の回路動作で流す書き込み電流を小さくし、電流駆動能力の高い方の回路動作で流す書き込み電流を大きくすることはできる。従って、そのようなMTJ素子を用いた場合には、ヒステリシスループをシフトしていないMTJ素子を用いた場合に比べ、選択トランジスタのゲート幅を縮小化し、さらにメモリセルを縮小化することが可能になる。電流駆動能力の低い方の回路動作で流す書き込み電流が、電流駆動能力の高い方の回路動作で流す書き込み電流よりも大きい場合であっても、ヒステリシスループの所定磁場方向へのシフトにより、メモリセルの縮小化について一定の効果を得ることは可能である。
以上説明した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 磁化方向が固定された固定層と、第1電源線に電気的に接続された、磁化方向が反転可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に設けられたトンネルバリア層とを有する磁気トンネル接合素子と、
信号線に電気的に接続されたゲートと、前記固定層に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第1電極と、第2電源線に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第2電極とを有する選択トランジスタと、
を備え、
前記磁気トンネル接合素子は、前記第2電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第1電流が、前記第1電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第2電流より小さくなるように形成されていることを特徴とする磁気メモリ装置。
(付記2) 前記磁気トンネル接合素子は、ゼロ磁場を跨ぐ磁場変化に対する抵抗変化がヒステリシスループを示し、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から、前記第1電流が小さくなり、且つ、前記第2電流が大きくなる磁場方向にシフトしていることを特徴とする付記1に記載の磁気メモリ装置。
(付記3) 前記磁気トンネル接合素子は、前記磁気トンネル接合素子に対して前記第1電源線側から前記第2電源線側に流れる電流の方向を正方向とした場合に、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から正磁場方向にシフトしていることを特徴とする付記2に記載の磁気メモリ装置。
(付記4) 前記ヒステリシスループの中心値のゼロ磁場からのシフト量が15Oeであることを特徴とする付記2又は3に記載の磁気メモリ装置。
(付記5) 磁化方向が固定された固定層と、第1電源線に電気的に接続された、磁化方向が反転可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に設けられたトンネルバリア層とを有する磁気トンネル接合素子と、
信号線に電気的に接続されたゲートと、前記固定層に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第1電極と、第2電源線に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第2電極とを有する選択トランジスタと、
を備え、
前記磁気トンネル接合素子は、ゼロ磁場を跨ぐ磁場変化に対する抵抗変化がヒステリシスループを示し、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から、前記第2電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第1電流が小さくなり、且つ、前記第1電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第2電流が大きくなる磁場方向にシフトしていることを特徴とする磁気メモリ装置。
(付記6) 前記磁気トンネル接合素子は、前記第1電流が前記第2電流より小さくなるように形成されていることを特徴とする付記5記載の磁気メモリ装置。
(付記7) 前記磁気トンネル接合素子は、前記磁気トンネル接合素子に対して前記第1電源線側から前記第2電源線側に流れる電流の方向を正方向とした場合に、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から正磁場方向にシフトしていることを特徴とする付記5又は6に記載の磁気メモリ装置。
(付記8) 前記磁気トンネル接合素子は、前記第1電流によって前記自由層の磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して反平行化され、前記第2電流によって前記自由層の磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して平行化されることを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
(付記9) 前記ゲートは、半導体基板上方にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1電極及び前記第2電極は、前記ゲートの両側の前記半導体基板内に形成され、前記磁気トンネル接合素子は、前記選択トランジスタ上方に、前記固定層を前記選択トランジスタ側にして形成されていることを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
(付記10) 前記ゲートの幅が、前記第1電流を流すことのできる最小の幅に設定されていることを特徴とする付記1乃至9のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
10,80 メモリセル
20,70 MTJ素子
21,73 固定層
21a,73a 第1強磁性層
21b,73b 非磁性層
21c,73c 第2強磁性層
22,75 自由層
23,74 トンネルバリア層
24,72 反強磁性層
30,60 選択トランジスタ
40 バイポーラ電源
50 センスアンプ
61,62 ソース/ドレイン
71 下地層
76 キャップ層
76a 第1キャップ層
76b 第2キャップ層
90 半導体基板
90a 素子分離領域
91 第1絶縁膜
92 第1プラグ
93 第2絶縁膜
94 第2プラグ
95 第3絶縁膜
96 第3プラグ
BL ビット線
WL ワード線
SL ソース線

Claims (5)

  1. 磁化方向が固定された固定層と、第1電源線に電気的に接続された、磁化方向が反転可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に設けられたトンネルバリア層とを有する磁気トンネル接合素子と、
    信号線に電気的に接続されたゲートと、前記固定層に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第1電極と、第2電源線に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第2電極とを有する選択トランジスタと、
    を備え、
    前記磁気トンネル接合素子は、前記第2電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第1電流が、前記第1電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第2電流より小さくなるように形成されていることを特徴とする磁気メモリ装置。
  2. 前記磁気トンネル接合素子は、ゼロ磁場を跨ぐ磁場変化に対する抵抗変化がヒステリシスループを示し、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から、前記第1電流が小さくなり、且つ、前記第2電流が大きくなる磁場方向にシフトしていることを特徴とする請求項1に記載の磁気メモリ装置。
  3. 磁化方向が固定された固定層と、第1電源線に電気的に接続された、磁化方向が反転可能な自由層と、前記固定層と前記自由層との間に設けられたトンネルバリア層とを有する磁気トンネル接合素子と、
    信号線に電気的に接続されたゲートと、前記固定層に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第1電極と、第2電源線に電気的に接続されたソース又はドレインとして機能する第2電極とを有する選択トランジスタと、
    を備え、
    前記磁気トンネル接合素子は、ゼロ磁場を跨ぐ磁場変化に対する抵抗変化がヒステリシスループを示し、前記ヒステリシスループの中心値がゼロ磁場から、前記第2電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第1電流が小さくなり、且つ、前記第1電源線側から流されて前記自由層の磁化方向を反転させる第2電流が大きくなる磁場方向にシフトしていることを特徴とする磁気メモリ装置。
  4. 前記磁気トンネル接合素子は、前記第1電流によって前記自由層の磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して反平行化され、前記第2電流によって前記自由層の磁化方向が前記固定層の磁化方向に対して平行化されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
  5. 前記ゲートは、半導体基板上方にゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1電極及び前記第2電極は、前記ゲートの両側の前記半導体基板内に形成され、前記磁気トンネル接合素子は、前記選択トランジスタ上方に、前記固定層を前記選択トランジスタ側にして形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気メモリ装置。
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