JP2010175881A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた感度特性を有する電子写真感光体及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】結着樹脂と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を有する電子写真感光体及び画像形成装置であって、電子輸送剤として、下記一般式(1)等で表わされるキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも一つのキノン誘導体を含む。

(R1及びR2は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar1は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、優れた感度特性を有する電子写真感光体及びそれを備えた画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、結着樹脂、電荷発生剤及び電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)等からなる有機感光体(OPC)が用いられている。
かかる有機感光体は、従来の無機感光体と比較して、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
しかしながら、有機感光体で用いられる材料の一つである電子輸送剤は、一般に結着樹脂に対する相溶性、電子受容性及び電子移動性等の諸特性が不十分であることから、有機感光体において使用した場合には、十分な感度特性を発揮させることが困難であるという問題が見られた。
そこで、有機感光体における電子輸送剤として、下記一般式(33)で表わされるナフトキノン誘導体が提案されている(例えば、特許文献1)。
(一般式(33)中、R7は置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示し、R8は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または下記式(34)で表わされる基を示す。)
(一般式(34)中、R9は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
特開平9−151157号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載されているナフトキノン誘導体は、ある程度、結着樹脂に対する相溶性、電子受容性及び電子移動性等の諸特性を向上させてはいるものの、特に電子移動性が十分でないことから、電子輸送剤として使用した場合、電子写真感光体に対して十分な感度特性を付与することが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、特定構造を有するキノン誘導体であれば、結着樹脂との相溶性、電子受容性及び電子移動性を効果的に向上させることができることを見出した。
その結果、電子写真感光体において、電子輸送剤として、かかる特定構造を有するキノン誘導体を用いることにより、電子写真感光体の感度特性を、効果的に向上させることができることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、優れた感度特性を有する電子写真感光体及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、結着樹脂と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を有する電子写真感光体であって、電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも一つのキノン誘導体を含むことを特徴とする電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(一般式(1)中、R1及びR2は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar1は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
(一般式(2)中、R3及びR4は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar2は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
(一般式(3)中、R5及びR6は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar3は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
すなわち、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体であれば、所定の基本骨格を有するとともに、電子吸引基としてのカルボニル基及びニトロ基を、それぞれ所定箇所に有することから、結着樹脂に対する相溶性、電子受容性及び電子移動性を効果的に発揮することができる。
したがって、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体であれば、感光層中に均一に分散させることができるとともに、電荷発生剤において発生した電子を効果的に引き抜き、かつ、帯電電位に沿って感光層中を移動させることができることから、電子写真感光体における感度特性を効果的に向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3が、ニトロ基以外の置換基を有さないことが好ましい。
このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性を、より効果的に発揮させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するパラ位のみを、ニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性を効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、ナフチル基であるとともに、当該ナフチル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対する4位のみを、ニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性をより効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するメタ位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性をより効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するオルト位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性をより効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、キノン誘導体の分子量を、250〜400の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、キノン誘導体の結着樹脂に対する相溶性を、より向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、単層型の感光層であることが好ましい。
このように構成することにより、構成が簡易であるにもかかわらず、感度特性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、キノン誘導体の含有量を、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、キノン誘導体の結晶化を抑制しつつも、電子写真感光体の感度特性を、より効果的に向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、上述した電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び定着手段を配置してあることを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、電子輸送剤として、特定の構造を有するキノン誘導体を含んだ、感度特性に優れる電子写真感光体を搭載していることから、高品質画像を安定的に形成することができる。
図1(a)〜(b)は、本発明の単層型電子写真感光体を説明するために供する図である。 図2(a)〜(b)は、本発明の積層型電子写真感光体を説明するために供する図である。 図3は、本発明の画像形成装置を説明するために供する図である。 図4は、実施例2で用いたチタニルフタロシアニン結晶(テトラヒドロフラン中で、24時間貯蔵後)のCuKα特性X線回折スペクトルである。 図5は、実施例2で用いたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析チャートである。 図6は、本発明におけるキノン誘導体としてのETM−2の赤外線分光チャートを示す図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、結着樹脂と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を有する電子写真感光体であって、電子輸送剤として、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも一つのキノン誘導体を含むことを特徴とする電子写真感光体である。
以下、本発明の第1の実施形態としての電子写真感光体について、主に単層型電子写真感光体の場合を例に挙げて、具体的に説明する。
1.基本的構成
本発明の電子写真感光体10は、図1(a)に示すような、基体12上に、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、結着樹脂と、からなる単層型感光層14を設けた単層型電子写真感光体10であることが好ましい。
この理由は、構成が簡易であるにもかかわらず、感度特性に優れた電子写真感光体を得ることができるためである。
また、単層型電子写真感光体であれば、正帯電型として使用することができ、帯電工程におけるオゾン等の発生を効果的に抑制することができるためである。
なお、本発明の電子写真感光体は、図1(b)に例示するように、感光層14と、基体12と、の間に、中間層16を形成した単層型電子写真感光体10´とすることもできる。
2.基体
また、基体の構成材料としては、種々の材料を使用することができる。
例えば、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよく、また、使用に際して、充分な機械的強度を有していればよい。
3.中間層
また、図1(b)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層16を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制し、さらに、カブリや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
また、この中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、中間層厚が厚くなりすぎると、感光体表面に残留電位が生じやすくなり、電気特性を低下させる要因となる場合があるためである。その一方で、中間層厚が薄くなりすぎると、基体表面の凹凸を十分緩和させることができなくなり、基体と感光層との密着性を得ることができなくなる場合があるためである。
したがって、中間層の膜厚を、0.2〜40μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.感光層
(1)電子輸送剤
(1)−1 種類
本発明の電子写真感光体においては、電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも一つのキノン誘導体を含むことを特徴とする。
(一般式(1)中、R1及びR2は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar1は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
(一般式(2)中、R3及びR4は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar2は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
(一般式(3)中、R5及びR6は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar3は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
この理由は、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体であれば、所定の基本骨格を有するとともに、電子吸引基としてのカルボニル基及びニトロ基を、それぞれ所定箇所に有することから、結着樹脂に対する相溶性、電子受容性及び電子移動性を効果的に発揮することができるためである。
したがって、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体であれば、感光層中に均一に分散させることができるとともに、電荷発生剤において発生した電荷を効果的に引き抜き、かつ、帯電電位に沿って感光層中を移動させることができることから、電子写真感光体における感度特性を効果的に向上させることができる。
すなわち、一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体であれば、その基本骨格が、「く」の字型の立体構造をとるため、例えば、特にポリカーボネート樹脂といった、極性基を有する結着樹脂に対して、効果的に相溶することができる。
また、電子吸引基としてのカルボニル基と、分子構造においてその対極に位置する別の電子吸引基としてのニトロ基とが、分子全体の電子受容性を効果的に向上させることから、優れた電子受容性を発揮することができる。
さらに、上述した電子吸引基としてのカルボニル基と、ニトロ基とが、それぞれπ電子を豊富に有するアリール基と結合していることから、優れた電子移動性を発揮することができる。
また、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3が、ニトロ基以外の置換基を有さないことが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性を、より効果的に発揮させることができ、Ar1〜Ar3部位の電子受容性を高めることが可能となるためである。
また、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するパラ位のみを、ニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
あるいは、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3におけるアリール基部分が、ナフチル基であるとともに、当該ナフチル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対する4位のみを、ニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性を効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができるためである。
すなわち、このように構成することにより、ニトロ基の配位位置による置換基効果が最適化され、それぞれの電子受容性を効果的に高めることができるためである。
なお、ナフチル基において、C=N結合の窒素原子に対する4位の位置は、下記一般式(4)に示す通りである。
また、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するメタ位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性をより効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができるためである。
すなわち、このように構成することにより、ニトロ基の配位位置による置換基効果が最適化され、電子受容性を効果的に高めることができるためである。
また、一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するオルト位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ニトロ基による電子受容性をより効果的に発揮させることができるばかりか、結着樹脂に対する分散性についても向上させることができるためである。
すなわち、このように構成することにより、ニトロ基の配位位置による置換基効果が最適化され、電子受容性を効果的に高めることができるためである。
また、一般式(1)において、R1及びR2、あるいはいずれか一方は、カルボニル基に対してオルト位に位置することが好ましい。
また、一般式(2)において、R3及びR4のうちいずれか一方は、それぞれカルボニル基に対して2位に位置することが好ましい。
さらに、一般式(3)において、R5及びR6のうちいずれか一方は、それぞれカルボニル基に対して3位に位置することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、所定の電子受容性を保持しつつも、結着樹脂に対する相溶性をさらに向上させることができるためである。
また、かかる効果をより安定的に得るためには、一般式(1)〜(3)において、R1〜R6を、炭素数1〜6のアルキル基とすることが好ましい。
より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、s−ブチル、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
なお、一般式(2)において、カルボニル基に対して2位の位置は、下記一般式(5)に示す通りである。
また、一般式(3)において、カルボニル基に対して3位の位置は、下記一般式(6)に示す通りである。
また、R1及びR2のうち、少なくともいずれか一方は、水素原子以外の置換基であることが好ましい。
この理由は、R1及びR2を、共に水素原子とした場合、キノン誘導体の結着樹脂に対する相溶性が低下する場合があるためである。
なお、同様の理由から、R3及びR4のうち、少なくともいずれか一方を水素原子以外の置換基とすることが好ましく、R5及びR6のうち、少なくともいずれか一方についても、水素原子以外の置換基とすることが好ましい。
なお、R1〜R6として使用可能なその他の置換基としては、例えば、アルコキシ基であれば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブチル基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられるが、置換基として上述したアルキル基を有するフェニル基及びナフチル基全般が使用可能である。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等が挙げられるが、置換基として上述したアルキル基を有するベンジル基全般が使用可能である。
さらに、シクロアルキル基としては、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロへキサン、等が挙げられるが、これらのシクロアルキル基に対して、置換基として上述したアルキル基を有する場合であっても使用可能である。
また、Ar1〜Ar3におけるニトロ基部分以外の構造、すなわちアリール基部分の構造としては、例えば、単環のアリール基であれば、フェニル基等が挙げられる。
また、多環のアリール基としては、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
さらに、複素環基としては、ピリジル、チエニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル及びベンゾチアゾリルなどの基等が挙げられる。
(1)−2 具体例
以下に、本発明のキノン誘導体の具体例として、式(7)〜(12)で表わされる化合物(ETM−1〜6)を例示する。
また、従来公知の電子輸送剤を併用することも好ましい。かかる電子輸送剤の種類としては、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する種々の化合物が挙げられ、単独1種または2種以上をブレンドして使用してもよい。
(1)−3 分子量
また、特定構造を有するキノン誘導体の分子量を、250〜400の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定構造を有するキノン誘導体の分子量をかかる範囲とすることにより、特定構造を有するキノン誘導体の結着樹脂に対する相溶性を、より向上させることができるためである。
すなわち、特定構造を有するキノン誘導体の分子量が250未満の値となると、一般式(1)〜(3)における置換基R1〜R6が過度に制限され、特定構造を有するキノン誘導体の結着樹脂に対する相溶性が過度に低下する場合があるためである。一方、特定構造を有するキノン誘導体の分子量が400を超えた値となると、一般式(1)〜(3)における置換基R1〜R6が過度に大きくなって、特定構造を有するキノン誘導体の結着樹脂に対する相溶性を低下させたり、電子受容性を阻害させたりする場合があるためである。
したがって、特定構造を有するキノン誘導体の分子量を、250〜350の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)−4 含有量
また、特定構造を有するキノン誘導体の含有量を、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有するキノン誘導体の含有量をかかる範囲とすることにより、特定構造を有するキノン誘導体の結晶化を抑制しつつも、電子写真感光体の感度特性を、より効果的に向上させることができるためである。
すなわち、特定構造を有するキノン誘導体の含有量が、10重量部未満の値となると、特定構造を有するキノン誘導体の絶対量が不足して、電子写真感光体の感度特性を向上させる効果を十分に得ることが困難となる場合があるためである。一方、特定構造を有するキノン誘導体の含有量が、100重量部を超えた値となると、感光層中において、特定構造を有するキノン誘導体が結晶化を起こしやすくなる場合があるためである。
したがって、特定構造を有するキノン誘導体の含有量を、感光層の結着樹脂100重量部に対して、20〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜45重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、特定構造を有するキノン誘導体以外の電子輸送剤を併用する場合には、かかる特定構造を有するキノン誘導体以外の電子輸送剤の含有量を、特定構造を有するキノン誘導体100重量部に対して、30〜90重量部の範囲内の値とすることが好ましく、50〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)正孔輸送剤
また、本発明の電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物(例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど)、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
また、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、正孔輸送剤の含有量を、かかる範囲とすることによって、かかる正孔輸送剤が感光層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた電気特性を得ることができるためである。
すなわち、正孔輸送剤の含有量が10重量部未満の値となると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、正孔輸送剤の含有量が100重量部を超えた値となると、かかる正孔輸送剤が過度に結晶化しやすくなって、感光層としての適正な膜を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の含有量を20〜90重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)電荷発生剤
また、本発明の電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の電荷発生剤の一種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、上述した顔料の中でも、特に下記式(13)で表わされるチタニルフタロシアニン化合物(CGM−1)の結晶を用いることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン結晶であれば、結着樹脂と、電荷発生剤と、の相溶性をさらに向上させることができるためである。
また、かかるチタニルフタロシアニン結晶は、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有することが好ましい(第1の光学特性)。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい(第2の光学特性)。
さらに、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.2°にピークを有さないことが好ましい(第3の光学特性)。
この理由は、かかる第1の光学特性を備えない場合には、このような光学特性を有するチタニルフタロシアニン結晶と比較して、結晶安定性、電荷発生能及び分散性が著しく低下する傾向にあるためである。逆に言えば、第1の光学特性、より好ましくは、第2の光学特性及び第3の光学特性を備えることにより、結晶安定性、電荷発生能及び分散性を向上させることができるためである。
また、かかるチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することが好ましい。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、結晶安定性、電荷発生能及び分散性を、さらに向上させることができるためである。
なお、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
なお、上述した光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るためには、チタニルフタロシアニン化合物を合成する際に、材料物質としてのチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、他の材料物質としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.40〜0.53モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.42〜0.50モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、かかるチタニルフタロシアニン化合物の合成を、尿素化合物の存在下にて行うことが好ましく、その際、尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.1〜0.95モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.2〜0.8モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)添加剤
また、感光層には、上述した電子輸送剤、正孔輸送剤及び電荷発生剤のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度特性をさらに向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
(5)結着樹脂
また、各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、ポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性に優れているばかりか、特定構造を有するキノン誘導体との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
(6)膜厚
また、感光層の膜厚は、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.製造方法
(1)キノン誘導体の製造方法
一般式(1)で表わされるキノン誘導体は、下記反応式(1)で表わされる反応を行うことにより、製造することができる。
すなわち、一般式(1a)で表わされるキノン化合物と、一般式(1b)で表わされるアリールアミン誘導体とを、溶媒中にて反応させて、一般式(1)で表わされるキノン誘導体を得ることができる。
このとき、材料物質の添加割合としては、一般式(1b)で表わされるアリールアミン誘導体を、一般式(1a)で表わされるキノン化合物1モルに対して、0.5〜2モルの範囲内の値とすることが好ましく、1〜1.5モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、触媒として、3フッ化ホウ素エーテル錯体等を使用することが好ましい。
かかる触媒の添加割合としては、一般式(1a)で表わされるキノン化合物1モルに対して、0.01〜1モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜0.2モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、使用される溶媒としては、dry−テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等を使用することが好ましい。
なお、反応条件としては、50〜100の温度条件下において、2〜5時間の範囲内で撹拌を行うことが好ましい。
また、反応式(1)で表わされる反応を行った後は、反応液を水に対して注ぎ、生成物としての一般式(1)で表わされるキノン誘導体を、クロロホルム等によって抽出することが好ましい。
そして、最後に、抽出した一般式(1)で表わされるキノン誘導体を、カラムクロマトグライー等にて精製し、不純物を除去することが好ましい。
また、一般式(2)及び(3)で表わされるキノン誘導体については、それぞれ下記反応式(2)及び(3)で表わされる反応を行うことにより、製造することができる。
なお、反応の詳細については、反応式(1)の場合と同様であるため、省略する。
(2)感光層の形成方法
単層型の感光体層を形成するにあたり、結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、を溶媒に添加して感光層用塗布液を作成する工程と、作成した感光層用塗布液を基体上に塗布する工程と、かかる感光層用塗布液を塗布した基体を乾燥する工程と、を含むことが好ましい。
以下、それぞれの工程について説明する。
(2)−1 塗布液作成工程
結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、を溶媒に添加して、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、固形分濃度が10〜30重量%の塗布液を作成することが好ましい。
また、塗布液を作成するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、電子輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
(2)−2 塗布工程
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、バリア層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
(2)−3 乾燥工程
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。
6.積層型電子写真感光体
また、本発明の電子写真感光体を、積層型電子写真感光体として構成してもよい。
すなわち、図2(a)に示すように、本発明の電子写真感光体を、基体12上に電荷発生層24と、電荷輸送層22と、からなる積層型感光層26を設けた積層型電子写真感光体20として構成してもよい。
また、積層型電子写真感光体は、図2(b)に示すように、基体12と電荷発生層24との間に、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層16が形成されている積層型電子写真感光体20´でもよい。
また、積層型電子写真感光体において用いられる基体や有機材料は、基本的に単層型電子写真感光体の場合と同様とすることができる。
また、電荷輸送層における一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体の含有量としては、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対して、30〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、電荷発生層における電荷発生剤の含有量としては、電荷発生層の結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、電荷輸送層の膜厚としては、5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、電荷発生層の膜厚としては、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、積層型感光層の形成方法としては、基体上に、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を、単層型感光層を形成する場合と同様にして、順次形成すればよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態として記載した電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び定着手段を配置してあることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態について具体的に説明する。
本発明の画像形成装置としては、図3に示すような複写機30を好適に使用することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿載置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である電子写真感光体41が備えられており、さらに、この電子写真感光体41の周囲には、帯電手段42、露光手段43、現像手段44、及び転写ローラ45、並びにクリーニング手段46が、電子写真感光体41の回転方向に沿って配置されている。
これらの構成部品のうち、電子写真感光体41は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電手段42により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光手段43により電子写真感光体41に対して露光プロセスが実施され、この電子写真感光体41の表面において静電潜像が形成される。
この静電潜像に基づき、現像手段44によりトナーを付着させて現像し、電子写真感光体41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、電子写真感光体41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
また、定着後の用紙Sは、排紙ユニット32に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ32aに送られた後、後処理が行われる。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ32aの下側に設けられた排紙トレイ32bに排紙される。なお、中間トレイ32a及び排紙トレイ32bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
次いで、上述したように転写が行われた後、電子写真感光体41に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング手段46で除去される。すなわち、電子写真感光体41がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
なお、本発明の画像形成装置であれば、電子輸送剤として、特定構造を有するキノン誘導体を含んだ、感度特性に優れる電子写真感光体を搭載していることから、高品質画像を安定的に形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.キノン誘導体の製造
式(7)で表わされるキノン誘導体(ETM−1)を、下記反応式(4)に沿って行った。
すなわち、還流機付きの容器内に、式(14)で表わされるキノン化合物1.36g(10モル)と、式(15)で表わされるアリールアミン誘導体1.38g(10モル)と、触媒としての3フッ化ホウ素エーテル錯体0.5ミリリットルと、反応溶媒としてのdry−テトラヒドロフラン50ミリリットルと、を収容し、80℃の環境下にて5時間撹拌還流を行い、反応液を得た。
次いで、得られた反応液を、水に対して注ぎ、生成物を、クロロホルムによって抽出した。
次いで、抽出した生成物からクロロホルムを留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(7)で表わされるキノン誘導体(ETM−1)を1.9g得た(収率75%)。
2.電子写真感光体の製造
超音波分散機内に、電荷発生剤として、下記式(16)で表される無金属フタロシアニン(CGM−2)のX型結晶(x−H2Pc)を3重量部と、正孔輸送剤として、下記式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体(HTM−1)を50重量部と、式(7)で表されるキノン誘導体(ETM−1)を50重量部と、結着樹脂として、下記式(18)で表される粘度平均分子量50,000の共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部とを、溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。
次いで、超音波分散機を用いて1時間混合分散して、感光層用塗布液を作成した。
次いで、得られた塗布液を、基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚30μmの単層型電子写真感光体を得た。
3.感度特性の評価
得られた電子写真感光体の感度特性を評価した。
すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)を用いて、得られた電子写真感光体における感光層の表面を、700Vになるように帯電させた。
次いで、ハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:16μW/cm2)を露光(照射時間:80msec)した。
そして、露光開始から330msec経過した時点での表面電位(残留電位)を測定し、得られた値を感度(V)とした。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2では、電子写真感光体を製造する際に、電荷発生剤として、式(13)で表わされるチタニルフタロシアニン(CGM−1)のY型結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、式(13)で表わされるチタニルフタロシアニン(CGM−1)のY型結晶は、以下のようにして製造した。
1.粗チタニルフタロシアニン結晶の合成
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、尿素2.28g(0.038mol)を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、粗チタニルフタロシアニン結晶としての青紫色の固体24gを合成した。
2.酸処理前工程
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
3.酸処理工程
上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。
次に、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させた。
次に、上述した液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。
次いで、液をガラスフィルターによって濾別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(13)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
4.チタニルフタロシアニン結晶の評価
(X線回折測定)
得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で24時間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、図4に示す。また、かかるスペクトルチャートは、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さない特徴を有していることから、得られたチタニルフタロシアニン結晶が、安定した所定の結晶型を有していることが確認できた。この理由は、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°におけるピークは、上述した所定の結晶型に特有のピークであり、26.2°におけるピークは、β型結晶に特有のピークであるためである。
なお、テトラヒドロフラン中に分散させる前の段階においても、図4に示すのと同様のスペクトルチャートが測定された。
かかるX線回折の測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
(示差走査熱量計測定)
また、示差走査熱量計(理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D)を用いて、得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査分析チャートを、図5に示す。また、かかるチャートにおいては、吸着水の気化にともなうピーク以外に、296℃において1つのピークが確認された。
なお、測定条件は下記の通りとした。
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
[実施例3]
実施例3では、キノン誘導体を製造する際に、式(8)で表わされるキノン誘導体(ETM−2)を、下記反応式(5)に沿って製造し、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、式(8)で表わされるキノン誘導体(ETM−2)の1H−NMRチャートを図6に示す。
なお、キノン誘導体の製造における詳細は、実施例1の場合に準ずるので、省略する。
[実施例4]
実施例4では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例3と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、キノン誘導体を製造する際に、式(9)で表わされるキノン誘導体(ETM−3)を、下記反応式(6)に沿って製造し、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、キノン誘導体の製造における詳細は、実施例1の場合に準ずるので、省略する。
[実施例6]
実施例6では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例5と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、キノン誘導体を製造する際に、式(10)で表わされるキノン誘導体(ETM−4)を、下記反応式(7)に沿って製造し、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、キノン誘導体の製造における詳細は、実施例1の場合に準ずるので、省略する。
[実施例8]
実施例8では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例7と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例9では、キノン誘導体を製造する際に、式(11)で表わされるキノン誘導体(ETM−5)を、下記反応式(8)に沿って製造し、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、キノン誘導体の製造における詳細は、実施例1の場合に準ずるので、省略する。
[実施例10]
実施例10では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例9と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、キノン誘導体を製造する際に、式(12)で表わされるキノン誘導体(ETM−6)を、下記反応式(9)に沿って製造し、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、キノン誘導体の製造における詳細は、実施例1の場合に準ずるので、省略する。
[実施例12]
実施例12では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、実施例11と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として下記式(29)で表わされるナフトキノン誘導体(ETM−7)を用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として下記式(30)で表わされるキノン誘導体(ETM−8)を用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例3と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として下記式(31)で表わされるキノン誘導体(ETM−9)を用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例6では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例5と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例7]
比較例7では、電子写真感光体を製造する際に、電子輸送剤として下記式(32)で表わされるキノン誘導体(ETM−10)を用いたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例8]
比較例8では、電荷発生剤として、実施例2で用いたY型チタニルフタロシアニン結晶(Y−TiOPc)を用いたほかは、比較例7と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
本発明に係る電子写真感光体及び画像形成装置によれば、電子写真感光体において、特定構造を有するキノン誘導体を用いることにより、電子写真感光体の感度特性を、効果的に向上させることができるようになった。
したがって、本発明に係る電子写真感光体及び画像形成装置は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高品質化に著しく寄与することが期待される。
10:単層型電子写真感光体、10´:中間層を有する単層型電子写真感光体、12:基体、14:単層型感光体層、16:中間層、20:積層型電子写真感光体、20´:中間層を有する積層型電子写真感光体、22:電荷輸送層、24:電荷発生層、26:積層型感光層、30:複写機、31:画像形成ユニット、31a:画像形成部、31b:給紙部、32:排紙ユニット、33:画像読取ユニット、33a:光源、33b:光学素子、34:原稿給送ユニット、34a:原稿載置トレイ、34b:原稿給送機構、34c:原稿排出トレイ、41:感光体ドラム、42:帯電器、43:露光源、44:現像器、45:転写ローラ、46:クリーニング装置

Claims (10)

  1. 結着樹脂と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を有する電子写真感光体であって、
    前記電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(3)で表わされるキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも一つのキノン誘導体を含むことを特徴とする電子写真感光体。

    (一般式(1)中、R1及びR2は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar1は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)

    (一般式(2)中、R3及びR4は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar2は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)

    (一般式(3)中、R5及びR6は、互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、アリール基、アラルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基にて置換されていてもよく、Ar3は、1または2個のニトロ基にて置換された炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20の複素環基である。)
  2. 前記一般式(1)〜(3)におけるAr1〜Ar3が、ニトロ基以外の置換基を有さないことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するパラ位のみを、ニトロ基にて置換されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、ナフチル基であるとともに、当該ナフチル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対する4位のみを、ニトロ基にて置換されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  5. 前記一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するメタ位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  6. 前記一般式(1)〜(3)におけるAr〜Ar3中のアリール基部分が、フェニル基であるとともに、当該フェニル基が、一般式(1)〜(3)におけるC=N結合の窒素原子に対するオルト位のみを、2つのニトロ基にて置換されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  7. 前記キノン誘導体の分子量を、250〜400の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記感光層が、単層型の感光層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記キノン誘導体の含有量を、感光層の結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び定着手段を配置してあることを特徴とする画像形成装置。
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