JP2010174178A - 酸化防止方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を添加する酸化防止方法、ならびに2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を含むポリエーテルポリオール、ゴム、潤滑油またはそれらの混合物からなる水性材料及びその乳化物に関する。
環境問題などから塗料、接着剤、粘着剤などの材料の脱溶剤化、水系化が進んでいる。これに伴って、水系で使用できる酸化防止剤が求められている。天然物由来の酸化防止剤の中にはアスコルビン酸に代表されるように、水に溶けるものがあり、これらが水系の酸化防止剤として使用されている。しかし、これらはいずれも酸化防止効果が弱いため、実用的ではない。
現在広く用いられている合成系の酸化防止剤はそのほとんどが水溶性ではなく、水に溶ける合成系の酸化防止剤の開発も行なわれているが、充分満足する結果は得られていない。一方水溶性をもつ合成系の酸化防止剤は存在するが、これらは着色安定性が乏しく、着色を嫌う用途では使用できない。
また、ラテックスなど乳化系の材料に使用可能な酸化防止剤としては、非水溶性の酸化防止剤の乳化物が広く用いられている。しかし、環境に対する安全性の面からも、乳化物に使用しても充分な酸化防止効果を得ることができる、水溶性の合成系の酸化防止剤が求められている。加えて、非水溶性の酸化防止剤を用いた場合には、酸化防止剤に含まれる乳化剤が、製品としての乳化物に対し異物になることがあり、その配合操作が煩雑になるという問題もあった。
特許文献1には感光要素に沃化銀或いは臭素銀を用いた場合に写真薬として知られる2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を漂白促進剤(還元剤)として使用可能なことが開示されている。特許文献2には臭化銀のように比較的脱銀が困難な条件でも充分な効果を発揮する漂白促進剤として本願に係るN,N’−ジ(3−プロピオン酸)ベンズイミダゾリン−2−チオンの使用が提案されている。また、特許文献3には複素環メルカプト化合物の一例として2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を写真薬に添加したときに生じる諧調の軟調化を防ぐために、上記誘導体の添加時に露光照度を段階的に増減させながら現像処理することにより所望とするポジカラー画像を得ることが開示されている。しかしながらいずれの文献も2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体が酸化防止剤として効果を有することについては何ら言及していない。
そこで、水性塗料、接着剤、インク、塗料、粘着剤、水槽、自動販売機の前面板、車両用透明部材、透明シート用部材、レンズ、プリズム、光ディスク等の光学機器部材、半導体用部材、電子材料、高級水性樹脂、繊維、又は塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原料であるモノマー・オリゴマー等に使用可能であって、さらにこれらの添加する酸化防止剤を乳化させるためのみに特別な乳化剤を用いることなく乳化物に対しても使用可能な、水溶性かつ低着色の酸化防止剤の出現が待望されている。
水系の基材、基材と水との混合物、さらに基材と水とを混合したものを乳化させた乳化物などの材料に実用的に使用可能であって、水溶性かつ十分な酸化防止効果をもち、着色安定性が高い酸化防止剤、及び同剤を使用した酸化防止方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々検討の結果、水溶性の化合物である2−メルカプトベンズイミダゾールの誘導体が優れた酸化防止性能と低い着色性を有していることを見出し、本発明を完成させたものである。なお、本発明に係る酸化防止方法に使用する2−メルカプトベンズイミダゾールの誘導体は、基材と水とを混合したものを乳化させた乳化物に対しても使用できることを見いだし本発明を完成させたものである。
又は、下式II:
で表される2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を基材、基材と水との混合物、又はその乳化物に対して酸化防止のために用いることに関する。本発明において使用する2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体は、水溶性であり、かつ基材の着色を抑制でき、安全性の面でも問題の少ない物質である。
さらに、本発明において使用する2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体の金属塩も同様の効果が得られた。本発明において使用する金属塩としては、Na、Kなどの1価のアルカリ金属の塩を挙げることができる。好ましいのはNa塩である。
本発明に係る酸化防止方法においては、基材、基材と水との混合物、又はその乳化物に対して添加して用いる。添加する量は、基材の性質・種類などによっても変わるが、基材、基材と水、又は基材と水との混合したものを乳化させた乳化物100質量部に対して、通常は0.001〜10質量部を添加すればよい。金属塩の場合はそれに準ずれば良い。
なお、本発明に係る酸化防止方法において基材とは、有機材料として使用可能な材料をいい、例えば、ポリエーテルポリオール、ゴム、潤滑剤、それらの混合物からなる組成物等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。例えば、水性塗料、接着剤、インク、塗料、粘着剤、水槽、自動販売機の前面板、車両用透明部材、透明シート用部材、レンズ、プリズム、光ディスク等の光学機器部材、半導体用部材、電子材料、高級水性樹脂、繊維、又は塗料、樹脂、繊維の改質剤などの用途に使用可能な材料である。
前記基材である有機材料組成物がポリエーテルポリオール組成物の場合、種々のポリエーテルポリオールを用いることができ、特に限定されるものではない。さらに、乳化物に用いても異物にならないため扱いやすく、かつ優れた酸化防止効果と高い着色安定性が得られる。
本発明に係る酸化防止方法によって安定化されたポリエーテルポリオール、ゴム、潤滑油またはそれらの混合物、それらの材料と水からなる水性混合物、あるいはそれらを乳化させた乳化物からなる水系材料は、2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を含むことを特徴とする。
本発明に係る酸化防止方法によって安定化されたポリエーテルポリオールの水性混合物又はその乳化物からなる水系材料、例えばポリエーテルポリオールの乳化物は、その他に各種添加剤を配合することができる。例えば、潤滑剤組成物の場合、極圧剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、耐摩耗剤及びその他の添加剤を配合することができる。
上述したように、本発明において使用する2−メルカプトベンズイミダゾールは水溶性であるため、有機溶媒などを使用する必要がなく、環境負荷を出来るだけ最小限に止めることができる。また、本発明で使用する前記酸化防止方法は高い酸化防止効果が得られ、着色安定性にも優れている。
本発明において使用する2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体は、プロピオン酸部分のカルボキシル基がフリーのカルボキシル基である場合は勿論、アルコールなどとエステルを形成しているものも含む。通常は炭素数2〜5のアルコールとのエステルが好ましく使用される。
本発明に係る酸化防止方法においては、2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体は、基材に対して、或いは基材と水及び/又は基材と水との混合したものを乳化させた乳化物に対して添加する。添加する量は基材により異なるが基材、基材と水との混合物、又は基材と水との混合物を乳化させた乳化物100質量部に対して、例えば0.001〜10質量部添加することにより効果の発現が認められる。以下に表される2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体はそれぞれの単体として、または混合物として使用可能であるが、通常は式I又式IIで表される誘導体は混合物として得られるので混合物が好ましく使用される。
以下に本発明に使用される2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体の製造方法について例を挙げて説明するが、勿論本発明はこれらの調製例に限定されるものではない。
(化合物1及び化合物2の調製)
攪拌機、温度計、ディーン−スターク管、コンデンサー、マントルヒーターを備えた1000mL四つ口フラスコに、2−メルカプトベンズイミダゾール25g(0.17mol)、n−ブタノール120ml、トルエン40ml、水酸化リチウム1水和物7g(0.17mol)を仕込み、昇温した。水の留出が始まり、水約5.8〜5.9ml、溶剤44gが留出したところで水の留出が見られなくなった。このとき反応液温は約120℃であった。ここでアクリル酸n−ブチル32g(0.25mol)を1時間かけて滴下する。2.5時間熟成後、反応液に10%塩酸水溶液の49gを加える。PHが7〜8であることを確認してから、分層して有機層を取り出し、反応液温50〜135℃、30〜160mmHgで2.5時間かけて濃縮した。ここに更に水100ml、酢酸エチル380mlを加え、攪拌して、分層した。分層された有機層を取り出し、水350mlを加え、攪拌し、更に分層した。再び有機層を取り出し、55〜70℃、200〜160mmHgで留出がなくなるまで、続いて100〜105℃、60〜25mmHgで留出がなくなるまで濃縮、シロップ状の液体としてN−(3−プロピオン酸)−2−メルカプトベンズイミダゾールブチルエステルとN,N’−ジ(3−プロピオン酸)ベンズイミダゾリン−2−チオンジブチルエステルの混合物49.0gを得た。
攪拌機、温度計、ディーン−スターク管、コンデンサー、マントルヒーターを備えた1000mL四つ口フラスコに、2−メルカプトベンズイミダゾール25g(0.17mol)、n−ブタノール120ml、トルエン40ml、水酸化リチウム1水和物7g(0.17mol)を仕込み、昇温した。水の留出が始まり、水約5.8〜5.9ml、溶剤44gが留出したところで水の留出が見られなくなった。このとき反応液温は約120℃であった。ここでアクリル酸n−ブチル32g(0.25mol)を1時間かけて滴下する。2.5時間熟成後、反応液に10%塩酸水溶液の49gを加える。PHが7〜8であることを確認してから、分層して有機層を取り出し、反応液温50〜135℃、30〜160mmHgで2.5時間かけて濃縮した。ここに更に水100ml、酢酸エチル380mlを加え、攪拌して、分層した。分層された有機層を取り出し、水350mlを加え、攪拌し、更に分層した。再び有機層を取り出し、55〜70℃、200〜160mmHgで留出がなくなるまで、続いて100〜105℃、60〜25mmHgで留出がなくなるまで濃縮、シロップ状の液体としてN−(3−プロピオン酸)−2−メルカプトベンズイミダゾールブチルエステルとN,N’−ジ(3−プロピオン酸)ベンズイミダゾリン−2−チオンジブチルエステルの混合物49.0gを得た。
攪拌機、温度計、コンデンサー、マントルヒーターを備えた300mL四つ口フラスコに、上記混合物とメタノール100gと水酸化カリウム9gを加え、約70℃に加温し、5時間攪拌する。上記の操作により得られた反応液を冷却し、10%塩酸水溶液100gで中和した後反応液をエバポレート(蒸発)させ、メタノールを除去する。得られた残渣に水100gと水酸化カリウム40gを加え、(水酸化カリウムを加えると発熱するので、注意しながらゆっくり加える。)約80℃まで昇温し、2時間攪拌する。その後、反応液を冷却し、トルエン200mlで2回洗浄して得られた水層に10%塩酸水溶液をpHが7になるまで加え、これにメチルイソブチルケトン400mlを加え、目的物を抽出する。得られたメチルイソブチルケトン層をエバポレート(蒸発)させ、化合物1と化合物2の混合物を40g(固体)を得た。なお、得られた化合物1と化合物2の混合物は融点153℃、白色で、高速液体クロマトグラフィーより、化合物1と化合物2の混合物中での化合物1と化合物2との質量比は6:4であった。
なお、金属塩は、例えば化合物1と化合物2の調製例により得られたものを水酸化アルカリと反応させることにより容易に得られる。
本発明の製造方法に係る酸化防止剤には、2−メルカプトベンズイミダゾールの誘導体およびその金属塩が挙げられる。中でも次に挙げる、化合物1及び/又は化合物2が好適に用いられる。
化合物1:N−(3−プロピオン酸)−2−メルカプトベンズイミダゾール
化合物2:N,N’−ジ(3−プロピオン酸)ベンズイミダゾリン−2−チオン
化合物1:N−(3−プロピオン酸)−2−メルカプトベンズイミダゾール
化合物2:N,N’−ジ(3−プロピオン酸)ベンズイミダゾリン−2−チオン
以下、試験例により、本発明に係る酸化防止方法の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではなく、本発明の主旨に逸脱しない限り、適宜変更・修正を加えることができることは、言うまでもない。
(酸化安定性試験)
試験はRBOT試験(回転ボンベ式酸化安定度試験、JIS K2514)で行った。試験に使用する基材のポリエーテルポリオールの平均分子量は約3000である。本発明において使用する化合物1と化合物2の混合比が質量比で6:4である化合物1と化合物2の混合物を基材としてのポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオールの乳化物に対して所定量添加して、酸化安定性試験を行なった。そしてそれぞれ試験例1と試験例2として以下に示す。
試験はRBOT試験(回転ボンベ式酸化安定度試験、JIS K2514)で行った。試験に使用する基材のポリエーテルポリオールの平均分子量は約3000である。本発明において使用する化合物1と化合物2の混合比が質量比で6:4である化合物1と化合物2の混合物を基材としてのポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオールの乳化物に対して所定量添加して、酸化安定性試験を行なった。そしてそれぞれ試験例1と試験例2として以下に示す。
[試験例1]
化合物1と化合物2の混合物について、酸化防止剤としての性能を評価するため、RBOT試験を行った。RBOT試験(回転ボンベ式酸化安定度試験)に関してはJIS K2514に基づき、基材に対する酸化防止剤の濃度0.2質量%、試験温度150℃で行った。基材としてポリエーテルポリオールと水とを質量比で7:3で混合したものを使用する場合には酸化防止剤の濃度1.0質量%、試験温度100℃とした。上記化合物1と化合物2の混合物を添加した基材について、上記RBOT試験にて酸化誘導時間の測定を行った。なお、対照(ブランク)としてポリエーテルのみからなるもの、2,6−ジ−ブチルヒドロキシトルエン、4−メトキシフェノールを添加したものについても同様に酸化誘導時間を測定した。評価結果を表1に示す。
化合物1と化合物2の混合物について、酸化防止剤としての性能を評価するため、RBOT試験を行った。RBOT試験(回転ボンベ式酸化安定度試験)に関してはJIS K2514に基づき、基材に対する酸化防止剤の濃度0.2質量%、試験温度150℃で行った。基材としてポリエーテルポリオールと水とを質量比で7:3で混合したものを使用する場合には酸化防止剤の濃度1.0質量%、試験温度100℃とした。上記化合物1と化合物2の混合物を添加した基材について、上記RBOT試験にて酸化誘導時間の測定を行った。なお、対照(ブランク)としてポリエーテルのみからなるもの、2,6−ジ−ブチルヒドロキシトルエン、4−メトキシフェノールを添加したものについても同様に酸化誘導時間を測定した。評価結果を表1に示す。
本発明において使用する化合物1と化合物2の混合物は、代表的な酸化防止剤であるBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、水溶性の酸化防止剤である4−メトキシフェノールより、基材であるポリエーテルポリオールに対し高い酸化防止効果が得られた。
[試験例2]
ポリエーテルポリオール乳化物に対しても化合物1と化合物2の混合物について、酸化防止剤としての性能を評価するため、上記の方法で同様に試験を行なった。なお、ポリエーテルポリオールと水とを質量比で7:3で混合したものを乳化させた乳化物を用いた。基材に対する酸化防止剤の濃度1.0質量%、試験温度は100℃で行った。対照(ブランク)としてポリエーテル乳化物のみからなるもの、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムをそれぞれ添加したものについても同様に酸化誘導時間を測定した。評価結果を表2に示す。
ポリエーテルポリオール乳化物に対しても化合物1と化合物2の混合物について、酸化防止剤としての性能を評価するため、上記の方法で同様に試験を行なった。なお、ポリエーテルポリオールと水とを質量比で7:3で混合したものを乳化させた乳化物を用いた。基材に対する酸化防止剤の濃度1.0質量%、試験温度は100℃で行った。対照(ブランク)としてポリエーテル乳化物のみからなるもの、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムをそれぞれ添加したものについても同様に酸化誘導時間を測定した。評価結果を表2に示す。
酸化誘導時間が長いほど酸化防止効果が高いといえる。本発明において使用する化合物1と化合物2の混合物は、ポリエーテルポリオールの乳化物のみからなるもの、あるいは水溶性の酸化防止剤であるアスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、又は亜硫酸ナトリウムを添加したものと比較すると、ポリエーテルポリオールの乳化物に対して顕著に優れた酸化防止効果が得られた。
次に、本発明において使用する化合物1と化合物2の混合物と水溶性の酸化防止剤である4−メトキシフェノールについて、着色安定性、即ち変色に対する堅ろう性を見るためにNOx試験を行った。酸化防止剤としての使用にあたって発生してくる着色は、多くの場合これに加えている添加剤の着色に起因するものであると考えられている。そのため、経時変化又は熱による着色を起こしにくい添加剤を使用すれば、着色することが少ない材料を得ることができるといえる。
(色相安定性試験)
NOx試験は、酸化やNOx変色に対する色相の堅ろう性を見るための促進試験である。NOx試験の操作を以下に記す。(1)サンプル5gをスクリュー管にはかり、N,N−ジメチルアセトアミド15gを加え、栓をして、超音波洗浄機にかけて溶解させる。(2)NOx処理する前のサンプル液の色数をガードナー比色計で標準液と比較し、求める。(3)サンプル液をバイアルびん(30ml)に10gはかりとり、密栓(ゴムキャップ、アルミホルダー)する。(4)JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じる酸化窒素ガス発生装置で発生させたNOxガスをシリンジを使って2mlとり、サンプル液を入れたバイアルびんに注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜる。(5)室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求める。結果を表3に示す。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準じた。
NOx試験は、酸化やNOx変色に対する色相の堅ろう性を見るための促進試験である。NOx試験の操作を以下に記す。(1)サンプル5gをスクリュー管にはかり、N,N−ジメチルアセトアミド15gを加え、栓をして、超音波洗浄機にかけて溶解させる。(2)NOx処理する前のサンプル液の色数をガードナー比色計で標準液と比較し、求める。(3)サンプル液をバイアルびん(30ml)に10gはかりとり、密栓(ゴムキャップ、アルミホルダー)する。(4)JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じる酸化窒素ガス発生装置で発生させたNOxガスをシリンジを使って2mlとり、サンプル液を入れたバイアルびんに注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜる。(5)室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求める。結果を表3に示す。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準じた。
本発明において使用する化合物1と化合物2の混合物は、4−メトキシフェノールに代表されるフェノール系酸化防止剤と比較して着色の度合いが極めて少ないので、色相安定性の高い材料が求められる分野において優れた効果が期待できる。
2−メルカプトベンズイミダゾールの誘導体を酸化防止剤として用いる方法においては、経時変化又は熱による着色を起こしにくいことから、着色化した基材の使用が好まれない用途での使用に好適である。また、水溶性にも優れているため、環境に対する負荷を軽減することが期待できる。水性材料や乳化物はすぐれた耐酸化防止効果と、低着色性という点で従来の酸化防止剤を使用した場合と比較して、すぐれた性能を示す。
Claims (5)
- 前記基材がポリエーテルポリオール、ゴム、潤滑油またはそれらの混合物である請求項1に記載の酸化防止方法。
- 前記基材がポリエーテルポリオールである請求項1に記載の酸化防止方法。
- 前記2−メルカプトベンズイミダゾールのプロピオン酸誘導体を酸化防止剤として、前記基材、前記基材と水との混合物、又は前記基材と水との混合物の乳化物100質量部に対して0.001〜10質量部添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化防止方法。
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