JP2010174104A - 光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、カチオン重合開始剤(D)及びポリアルキレンエーテル系化合物(E)を含有し、ラジカル重合性有機化合物(A)の少なくとも一部として式;CH2=C(R2)−CO−O−CH2−R1−CH2−O−CO−C(R2)=CH2(式中、R1は橋架け環式炭化水素基、R2は水素原子又はメチル基を示す)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A-1)を含有し、且つカチオン重合性有機化合物(B)の一部としてポリオキセタン化合物(B-1)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザーで前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
しかし、エポキシ系光硬化性樹脂組成物は光照射により生成するカチオンで反応が進むため、反応速度が遅く、造形に時間がかかりすぎることが指摘されている。
そこで、反応速度の向上による造形時間の短縮などを目的として、エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物と共にラジカル重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物が用いられるようになっている。
しかしながら、本発明者らが、この特許文献1に記載されている光学的立体造形用樹脂組成物、特にその実施例1、実施例10などに記載されている光学的立体造形用樹脂組成物を用いて追試の光造形実験を行ったところ、光造形が困難であったり、また光造形が可能であっても形成された立体造形物が弱くて脆く、荷重たわみ性(耐熱性)、引っ張り伸び性、靭性に優れる実用可能な立体造形物を得ることができなかった。
そして、本発明者らは本発明者らの開発したこの特許文献2の光学的立体造形用樹脂組成物をベースとして更に研究を続けてきた。特許文献2の光学的立体造形用樹脂組成物は、造形速度が速く、解像度および造形精度が高く、硬化時の体積収縮率が小さく、しかも靭性が大きくて耐衝撃性および耐久性に優れていて破損しにくい立体造形物を与えるという優れた諸特性を有するが、その一方で立体造形物の熱変形温度が未だ十分に高いとは言い難い点がある。
靭性が大きくて耐衝撃性および耐久性に優れ、しかも熱変形温度が高くて耐熱性に優れる光学的立体造形物が近年求められていることから、特許文献2の光学的立体造形用樹脂組成物が有する前記した優れた諸特性と併せて、耐熱性の点でも優れる立体造形物を製造できる光学的立体造形用樹脂組成物の開発が急務である。
さらに、本発明の目的は、上記した優れた諸特性に加えて、吸湿伸びが小さくて寸法安定性に優れる立体造形物を製造できるという光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて立体造形物を製造する方法を提供することである。
かかる点から、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤および活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、ポリアルキレンエーテル系化合物と分子中に橋架け環式炭化水素基を有する特定のジ(メタ)アクリレート化合物とポリオキセタン化合物の3つを同時に含有することが極めて有意であることが裏付けられた。
また、本発明者らは、当該光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物の一部として、ポリオキセタン化合物と共に、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物を含有させると、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化感度がより向上することを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1)(i) ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(C)、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(D)およびポリアルキレンエーテル系化合物(E)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって;
(ii) ラジカル重合性有機化合物(A)の少なくとも一部として、下記の一般式(A−1);
(式中、R1は橋架け環式炭化水素基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)を含有し;且つ、
(iii) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(B−1)を含有する;
ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
(2) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物(A)を10〜50質量%、カチオン重合性有機化合物(B)を30〜80質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(C)を0.1〜10質量%、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(D)を0.1〜10質量%およびポリアルキレンエーテル系化合物(E)を1〜30質量%の割合で含有し、ラジカル重合性有機化合物(A)の質量に基づいて上記の一般式(A−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)を50〜100質量%の割合で含有し、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいてポリオキセタン化合物(B−1)を5〜40質量%の割合で含有する前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物である。
(3) ポリアルキレンエーテル系化合物(E)が、ポリテトラメチレングリコール、およびテトラメチレンエーテル単位と式:−CH2CH2CH(R3)CH2O−(式中R3は低級アルキル基を示す)で表されるアルキル置換テトラメチレンエーテル単位がランダムに結合したポリエーテルから選ばれる少なくとも1種の数平均分子量500〜10,000のポリアルキレンエーテルである前記(1)または(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(4) 一般式(A−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)が、下記の化学式(A−1a);
(5) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、シクロアルケンオキシド構造を分子中に有するエポキシ化合物(B−2)を、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいて10〜60質量%の割合で含有する前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(6) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、下記の一般式(B−3);
(式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(B−3)を、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいて30〜80質量%の割合で含有する前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
(7) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−4)を、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいて30質量%以下の量で更に含有する前記(1)〜(6)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物;
である。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形物を製造する方法である。
また、上記した本発明の光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、ポリオキセタン化合物(B−1)と共に、またはポリオキセタン化合物(B−1)およびシクロアルケンオキシド構造を分子中に有するカチオン重合性有機化合物(B−1)と共に、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(B−3)を所定の量で含有する光学的立体造形用樹脂組成物は、保存時に光学的立体造形用樹脂組成物の耐水性がより向上し、高湿度下でも水分や湿分の吸収が少なくて高い硬化感度を維持することができ、しかも厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などに一層優れており、その上粘度が低くて光造形を行い易く、更に光造形により得られる立体造形物の体積収縮率を一層低減することができる。
また、上記した本発明の光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、ポリオキセタン化合物(B−1)と共に、モノオキセタン化合物(B−4)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物は、より高い光硬化感度を有する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によって重合する活性エネルギー線重合性化合物として、ラジカル重合性有機化合物(A)およびカチオン重合性有機化合物(B)を含有する。
なお、本明細書でいう「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光学的立体造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
橋架け環式炭化水素基R1の具体例としては、トリシクロデカニレン基[下記の化学式(a)]、アダマンチレン基(トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシル基)[下記の化学式(b)]、イソボルニレン基[下記の化学式(c)]、ビシクロノニレン基[下記の化学式(d)]、ビシクロ〔2.1.0〕ペンチレン基[下記の化学式(e)]、ビシクロ〔3.2.1〕オクチレン基[下記の化学式(f)]、トリシクロ〔2.2.1.02,6〕ヘプチレン基[下記の化学式(g)]などを挙げることができる。これらの橋架け環式炭化水素基は、場合によりアルキル基、ハロゲン、アルコキシル基などにより置換されていてもよい。
そのうちでも、ジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)としては、下記の化学式(A−1a)で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートが、入手容易性、光造形して得られる立体造形物の耐熱性の向上効果、長期保存可能な点などから好ましく用いられる。
ラジカル重合性有機化合物(A)の合計質量に基づいて、ジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)の含有量が上記した割合で含有していることにより、光学的立体造形用樹脂組成物から得られる光造形物の耐熱性が良好になり、しかも光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が低くなり、光学的立体造形時の取り扱い性が良好になる。
ジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)の含有量が少なすぎると、光学的立体造形用樹脂組成物から得られる立体造形物の熱変形温度が高くならず、耐熱性の向上した立体造形物が得られにくくなり、しかも光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が高くなり、光学的立体造形が行いにくくなる。
より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやその他のジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、例えばジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
また、前記した(メタ)アクリレート化合物のうちで、メタクリレート化合物よりも、アクリレート化合物が重合速度の点から好ましく用いられる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
ポリオキセタン化合物(B−1)としては、オキセタン基を2個有する化合物、オキセタン基を3個以上有する化合物、オキセタン基を4個以上有する化合物のいずれもが使用でき、そのうちでもオキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられる。ジオキセタン化合物としては、下記の一般式(B−1a);
(式中、2個のR5は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R6は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、mは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物(B−1a)が、入手性、反応性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
上記の一般式(B−1a)において、R5の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R6の例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
また、上記の式(B−1a2)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(B−1a2)において2個のR5が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R6がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
カチオン重合性有機化合物(B)の合計質量に基づいて、ポリオキセタン化合物(B−1)を上記した割合で含有していることにより、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化感度を長期にわたって高く維持することができると共に、光学的立体造形用樹脂組成物をから得られる光造形物の耐熱性が良好になり、しかも光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が低くなり、光学的立体造形時の取り扱い性が良好になる。
ポリオキセタン化合物(B−1)の含有量が少なすぎると、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化感度の低下、光造形して得られる立体造形物の耐熱性の低下、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度の上昇などが生じ易くなり、一方ポリオキセタン化合物(B−1)の含有量が多すぎると光造形して得られる立体造形物の機械的強度が低下し易くなる。
(1)脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂などのエポキシ化合物;
(2)トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル,3−フェノキシメチルオキセタンなどのモノオキセタン化合物、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンのような環状エーテルまたは環状アセタール化合物;
(3)β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物;
(4)エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンなどのチイラン化合物;
(5)1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのようなチエタン化合物;
(6)エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;
(7)エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物;
などを挙げることができる。
そのうちでも、本発明では、ポリオキセタン化合物(B−1)以外の他のカチオン重合性有機化合物として、エポキシ化合物が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物がより好ましく用いられる。エポキシ化合物としては、1種類以上を用いてもまたは2種類以上を用いてもよい。
カチオン重合性有機化合物(B)の合計質量に基づいて、ポリオキセタン化合物(B−1)以外のカチオン重合性有機化合物(特にエポキシ化合物)を上記した割合で含有していることにより、光造形して得られる立体造形物の機械的強度などが良好になる。
ここで、本明細書でいう、「シクロアルケンオキシド構造」とは、「シクロアルケン環中の不飽和2重結合部分がオキシド化(エポキシ化)している構造」をいう。
さらに、シクロアルケンオキシド構造を有するエポキシ化合物(B−2)では、「シクロアルケンオキシド構造」の存在箇所(結合位置)、存在個数(結合数)は特に制限されない。
そのうちでも、本発明では、シクロアルケンオキシド構造を分子中に有するエポキシ化合物(B−2)として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが、入手が容易で、しかも光造形して得られる立体造形物の耐熱性の向上に大きく寄与する点から好ましく用いられる。
エポキシ化合物(B−2)の含有量が多くなり過ぎると、光造形して得られる立体造形物の吸湿伸びが大きくなり、寸法安定性が低下する。
(式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(B−3)を含有させると、光学的立体造形用樹脂組成物を高湿度下においても水分や湿分の吸収が少なくて高い硬化感度が維持されると共に、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが良好になり、また光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が低くなって造形が円滑に行われるようになり、更に光造形して得られる立体造形物の体積収縮率を低くすることができる。
モノオキセタン化合物(B−4)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用できるが、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
そのような、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、下記の一般式(B−4a)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(B−4a)および下記の一般式(B−4b)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(B−4b)のうちの少なくとも1種が、入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から、モノオキセタン化合物(B−4)としてより好ましく用いられる。
モノオキセタンアルコール(B−4a)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
また、上記の一般式(B−4b)において、R10は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。R10の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R10はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘプタメチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体である取り扱い易いなどの点から好ましい。
モノオキセタン化合物(B−4)の含有量が多くなり過ぎると、光造形して得られる立体造形物の耐熱性が低下するため、望ましくない。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
そのうちでも、本発明ではラジカル重合開始剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが、得られる硬化物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
本発明では、上記したようなカチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。
また、本発明では、反応速度を向上させる目的で、カチオン重合開始剤(D)と共に必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、アルコキシアントラセン、ジアルコキシアントラセン、チオキサントンなどを用いてもよい。
ポリアルキレンエーテル系化合物(E)を含有していることにより、靭性が高くて、耐衝撃性および耐久性に優れる立体造形物が得られる。
ポリアルキレンエーテル系化合物としては、特に下記の一般式(E−1);
X−O−(R11−O−)p−(R12−O−)q−X’ (E−1)
[式中、R11およびR12は互いに異なる直鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基、XおよびX’はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基、アセチル基またはベンゾイル基を示し、pおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数(但しpとqの両方が同時に0にはならない)を示す。]
で表されるポリアルキレンエーテル系化合物が好ましく用いられる。
そのうちでも、ポリアルキレンエーテル系化合物(E)としては、数平均分子量が上記した500〜10,000の範囲にある、ポリテトラメチレングリコールおよびテトラメチレンエーテル単位と式:−CH2CH2CH(R3)CH2O−(式中R3は低級アルキル基)で表されるアルキル置換基を有するテトラメチレンエーテル単位がランダムに結合したポリエーテルのうちのいずれか一方、またはそれら2つの混合物が好ましく用いられ、その場合には、得られる光造形物の靭性の向上効果に加えて、吸湿性が低くて寸法安定性や物性の安定性に優れる光造形物を得ることができる。
ポリアルキレンエーテル系化合物(E)の含有量が少なすぎると、靭性、耐衝撃性、耐久性に優れる立体造形物が得られなくなり、一方ポリアルキレンエーテル系化合物(E)の含有量が多すぎると得られる立体造形物の熱変形温度が低くなって耐熱性が低下したり、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度が高くなり、光造形時の取り扱い性が不良になり易くなる。
その際の活性エネルギー線としては、上述のように、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の粘度、吸湿率、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)の測定、並びに光造形して得られた光造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)]、収縮率、硬さ、熱変形温度および湿度80%下での伸び率の測定または算出は、次のようにして行なった。
光学的立体造形用樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光硬化性樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東機産業製)を使用して回転速度20rpmで測定した。
非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、半導体励起固体レーザのレーザ光(波長355nmの紫外光、液面レーザ強度100mW)を、照射スピードを6段階変化(照射エネルギー量を6段階変化)させて照射して光硬化膜を形成させた。生成した光硬化膜を光学的立体造形用樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、6段階のエネルギーに対応する部分の硬化膜の厚さを定圧のノギスで測定した。光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸(対数軸)としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度[Dp(mm)]を求めると共に、X軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[(E10/(mJ/cm2)]とした。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものを用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
上記(3)の引張り特性の試験において、光造形物が弾性から塑性に移る点における強度を降伏強度とした。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものを用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものを用いて、JIS K−7110にしたがって、試験片のノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
光硬化させる前の光学的立体造形用樹脂組成物(液体)の比重(d0)と、光硬化して得られた光硬化物を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものの比重(d1)から、下記の数式により収縮率を求めた。
収縮率(%)={(d1−d0)/d1}×100
以下の実施例および比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を後硬化処理することなく、その造形直後、造形1時間後および造形2時間後の硬さ(ショアD硬度)を、25℃で、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠してデュロメーター法により測定した。
以下の実施例および比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものの硬度(ショアD硬度)を、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠して、デュロメーター法により測定した。
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものを用い、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えるJIS K−7207(A法)および試験片に0.45MPaの荷重を加えるJIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
以下の実施例または比較例で作製した長方形状の紐状光造形物(長さ×幅×厚さ=200mm×10mm×1mm)を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度3.0mW/cm2)を20分間照射して後硬化したものを、湿度80%に調湿したデシケーターに入れ、温度25℃でそのまま14日間放置した後、デシケーターから取り出して長さを測定して、デシケーターに入れる前の長さ(200mm)に対する伸び率(%)を求めた。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)200部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−9550」)30部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)140部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)197部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)281部、ポリアルキレンエーテル系化合物(オキシテトラメチレ単位とアルキル基置換オキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリアルキレンエーテル、数平均分子量3500)(保土ケ谷化学工業株式会社製「PTMGL3500」)90部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)21部およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)41部(全部の合計1000部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ472mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、半導体レーザー(定格出力1000mW;波長355nm;スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型)で、液面100mW、液面照射エネルギー80mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表1に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)194部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−9550」)29部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)136部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)191部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)272部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「EX−212」)29部、ポリアルキレンエーテル系化合物(オキシテトラメチレ単位とアルキル基置換オキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリアルキレンエーテル、数平均分子量3500)(保土ケ谷化学工業株式会社製「PTMGL3500」)87部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)21部およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)41部(全部の合計1000部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ416mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表1に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)200部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−9550」)30部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)70部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン70部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)197部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)281部、ポリアルキレンエーテル系化合物(オキシテトラメチレ単位とアルキル基置換オキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリアルキレンエーテル、数平均分子量3500)(保土ケ谷化学工業株式会社製「PTMGL3500」)90部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)21部およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)41部(全部の合計1000部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ460mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表1に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)200部の代わりに、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−BPE4」)200部を用いた以外は実施例1の(1)と同じ配合組成を採用して、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ676mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)200部の代わりに、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−TM4E」)200部を用いた以外は実施例1の(1)と同じ配合組成を採用して、光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ452mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)232部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−9550」)35部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)229部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)327部、ポリアルキレンエーテル系化合物(オキシテトラメチレ単位とアルキル基置換オキシテトラメチレン単位がランダムに結合したポリアルキレンエーテル、数平均分子量3500)(保土ケ谷化学工業株式会社製「PTMGL3500」)105部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)24部およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)48部(全部の合計1000部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ944mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
(1) トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−DCP」)220部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NK−A−9550」)33部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT221」)154部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)216部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE100」)309部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)23部およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)45部(全部の合計1000部)をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。この光造形用樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ246mPa・s(25℃)であった。
(2) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E10)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして光学的立体造形を行って、物性測定用のJIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片、JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片、JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片および長方形の紐状造形物を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
また、比較例3の光学的立体造形用樹脂組成物は、ポリオキセタン化合物(B−1)[ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル]を含有していないために、実施例1〜3の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、光造形して得られた立体造形物の熱変形温度が低くて耐熱性に劣り、しかも耐衝撃性も低く、靭性および耐久性の点でも劣っている。
さらに、比較例4の光学的立体造形用樹脂組成物は、ポリアルキレンエーテル系化合物(E)(オキシテトラメチレ単位とアルキル基置換オキシテトラメチレン単位とのランダム共重合体)を含有していないために、実施例1〜3の光学的立体造形用樹脂組成物に比べて、光造形して得られた立体造形物の耐衝撃性が大幅に低く、靭性および耐久性に劣っている。
Claims (8)
- (i) ラジカル重合性有機化合物(A)、カチオン重合性有機化合物(B)、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(C)、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(D)およびポリアルキレンエーテル系化合物(E)を含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって;
(ii) ラジカル重合性有機化合物(A)の少なくとも一部として、下記の一般式(A−1);
(式中、R1は橋架け環式炭化水素基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)を含有し;且つ、
(iii) カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(B−1)を含有する;
ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。 - 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、ラジカル重合性有機化合物(A)を10〜50質量%、カチオン重合性有機化合物(B)を30〜80質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(C)を0.1〜10質量%、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(D)を0.1〜10質量%およびポリアルキレンエーテル系化合物(E)を1〜30質量%の割合で含有し、ラジカル重合性有機化合物(A)の質量に基づいて上記の一般式(A−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物(A−1)を50〜100質量%の割合で含有し、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいてポリオキセタン化合物(B−1)を5〜40質量%の割合で含有する請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- ポリアルキレンエーテル系化合物(E)が、ポリテトラメチレングリコール、およびテトラメチレンエーテル単位と式:−CH2CH2CH(R3)CH2O−(式中R3は低級アルキル基を示す)で表されるアルキル置換テトラメチレンエーテル単位がランダムに結合したポリエーテルから選ばれる少なくとも1種の数平均分子量500〜10,000のポリアルキレンエーテルである請求項1または2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、シクロアルケンオキシド構造を分子中に有するエポキシ化合物(B−2)を、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいて10〜60質量%の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- カチオン重合性有機化合物(B)の一部として、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(B−4)を、カチオン重合性有機化合物(B)の質量に基づいて30質量%以下の量で更に含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形物を製造する方法。
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