JP2010173570A - 球体駆動式全方向移動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】台車本体11と、球心が平面視して四角形を形成する4つの球体1〜4と、4つの球体1〜4のうち、隣り合って又は対角線上に位置する球体1〜4の周面に当接する車輪39〜50を有し、球体1〜4を同時にそれぞれ同一方向に回転させる少なくとも5つの駆動力伝達機構12〜17と、駆動力伝達機構12〜17の3つに設けられ、駆動力伝達機構13〜15に駆動力を与えるモータ18〜20とを有する。
【選択図】図1
Description
このため、床面の表面が凹凸状となっている場合、1のホイールに備えられたフリーローラと床面との摩擦が小さい場合は、走行の安定性が著しく欠く可能性があった。
従って、例えば、絨毯のように床面の状態が一様でない場所での走行には適さず、安定した走行ができる場所に制限がある。
更に、床面との接点において、球体の駆動方向と異なる方向で自由に移動できる機構を有していないため、例えば、絨毯上でも安定した走行が可能となる。このような、球体駆動方式を用いた移動装置としては、例えば、3つの球体にそれぞれ1つの駆動用モータが設けられた三球式移動装置(例えば、非特許文献2参照)がある。
図10(A)、(B)に示すように、この四球式移動装置110は、台車本体116の底部に配置された4つの球体111〜114それぞれが床面117と接し、合計4つの接点が存するため、接点が3つとなる三球式移動装置に比して走行の安定性が増す。しかしながら、床面117上の自由な並進運動及び回転運動を可能とするには、原理的に異なる3方向の駆動力、即ちx及びy方向の移動用と回転用の3つの駆動用モータがあればよいが、この四球式移動装置110は駆動用モータ115を4つ要するため、製造コストが高くなり経済的ではない。
また、本発明に係る球体駆動式全方向移動装置において、前記駆動力伝達機構は対となる前記球体1〜4の周面にそれぞれ当接する2つの前記車輪と、前記2つの車輪の一方の回転を他方に伝える動力伝達手段とを有するのが好ましい。
本発明に係る球体駆動式全方向移動装置において、前記球体1〜4は同一半径の球体であって、該球体1〜4の球心によって形成される四角形は長方形又は正方形であることが好ましい。
以下の式3から、左辺に記載した行列(λ12、λ23、λ34、λ41、λ13、λ24)と右辺の6行行列について同一の3行を除いて得た正方行列に、逆行列が存在する条件で、選ばれた左辺の3個の角速度となる前記車輪を備える前記駆動力伝達機構に、前記モータを設けるのがよい。即ち、左辺の行列と右辺の6行行列について同一の3行を除いて得た右辺に3次正方行列を有する関係式のうち、前記3次正方行列に逆行列が存在する関係式において、左辺に存する車輪の角速度に係る該車輪を備える前記駆動力伝達機構に、前記モータを設けている。
また、床面と4点で接して走行するので、床面と3点で接する移動装置に比べ、台車本体に置かれた荷物の重心位置による影響を受けにくく、更に、床面表面の凹凸等により、球体の1つと床面の間に生じる摩擦力が他の球体に生じるものよりも小さいことによっても、走行が不安定になりにくい。
しかも、用いられるモータの数は、床面上の自由な並進運動及び回転運動を可能とするのに必要な最小値にあたる3つのため、製造コストを抑え、経済的である。
また、平面視して球体の球心が長方形又は正方形を形成するので、長方形又は正方形と辺の長さが同一である他の四角形の場合に比べ、台車本体に置かれた荷物の重心位置が走行の安定性に及ぼす影響を少なくできる。
対となる補助歯付き車(52、53)、(54、55)、(56、57)、(58、59)、(60、61)、(62、63)にはそれぞれ歯付きベルト(タイミングベルト)64〜69がかけ渡されている。ここで、対応する補助歯付き車(52、53)、(54、55)、(56、57)、(58、59)、(60、61)、(62、63)と歯付きベルト64〜69とで動力伝達手段を形成している。
また、モータ18〜20はそれぞれ支持部材を介して台車本体11の底部に固定されている。駆動力伝達機構13〜15の車輪41〜46が当接する球体1〜4が所定方向に回転するようになっている。
なお、この実施の形態では、球体3(球体4も原理的には同様)には、モータ18、19付きの駆動力伝達機構13、14(正確には車輪)が異なる水平2方向から当接され、その2方向から駆動力が与えられるため、モータ18、19それぞれの回転速度を調整することで球体3の回転について、回転軸の方向及び回転速度を自在に制御できる。
よって、この実施の形態では3つの駆動力伝達機構13〜15にモータ18〜20が設けられているが、一つの球体に対して異なる方向から当接して駆動力を与えるモータ付きの駆動力伝達機構(正確には車輪)が最大で2つのため、モータ18〜20を任意の回転速度で回転させても、球体1〜4はスリップ等を生じることなく回転する。
なお、1つの球体にモータ付きの駆動力伝達機構が異なる3方向以上から当接し駆動力が与えられる形態の移動装置の場合は、モータを任意の回転速度で回転させると、球体と駆動力伝達機構との間にスリップ、移動装置内部に大きな負荷等が生じ、破損等を招来する。
また、球体1〜4は、同一半径の球体となっている。これによって、移動装置10は載置台22を床面72と平行な位置関係で保ち、各球体1〜4が床面72と滑りを生じることなく走行するための制御を容易にできる。なお、4つの球体1〜4の球心は平面視して長方形、正方形、ひし形や他の形状の四角形でもよい。
更に、球体1〜4は、シリコン樹脂、ウレタン樹脂のような硬質弾性材料を使用しているが、例えば、ステンレス、銅合金、セラミック、プラスチック等を原材料とすることができる。
しかも、モータ18〜20各々を任意の回転速度で駆動しても、駆動力伝達機構13〜15に備わる車輪41〜46と球体1〜4が当接する箇所それぞれについて、車輪41〜46の外周と球体1〜4の周面が共に同一の速度及び向きを保ちながら回転することとなり、車輪41〜46と球体1〜4との間に滑りが発生しない。この理由について図5〜図8を参照し詳細に説明する。
また、図1(A)に示すそれぞれ対となる車輪(39、40)、(41、42)、(43、44)、(45、46)、(47、48)、(49、50)の角速度をλ12、λ23、λ34、λ41、λ13、λ24とし、これらの角速度の正の向きは、角速度λ12はy軸の正から負の向きにみて、λ23はx軸の負から正の向きにみて、λ34はy軸の負から正の向きにみて、λ41はx軸の正から負の向きにみて、λ13は球心P1、P3を結ぶ直線に垂直な方向で球体4側からみて、λ24は球心P2、P4を結ぶ直線に垂直な方向で球体3側からみて時計回りとする。
更に、床面72に対する移動装置10の原点Oを基準とする回転運動に係る角速度は、反時計回りを正としてrで表し、原点Oの床面72に対する並進運動の速度について、x成分をvx、y成分をvyと表す(図5参照)。
すなわち、3つの車輪が駆動することで、移動装置10が床面72上で任意の方向に移動できる。
一方、図8(B)はモータ73、74、75が駆動機構14、15、17にそれぞれ設けられているので、モータ73、74、75で駆動される車輪(43、44)、(45、46)、(49、50)に係る角速度λ34、λ41、λ24と、vx、vy、rについて以下の式27が成り立つ。
本発明の第1の実施の形態に係る移動装置10に比べて移動装置76は、対角線上に位置する球体に当接する駆動力伝達機構を1つ除いて、駆動力伝達機構の数を6つから5つにし、製造コストを安価にできる。
これに対し、図1に示すように6つの駆動力伝達機構12〜17を配置すれば、各球体1〜4は異なる3方向から車輪によって駆動力を与えられるので、たとえ1方向から当接される車輪との間に滑りが生じるようになっても、他の異なる2方向から車輪によって駆動力を与えられ、移動装置10は安定した走行ができる。
この球体駆動式全方向移動装置77は、図3に示すように、4つの球体1〜4と5つの駆動力伝達機構78〜82を有する。
この実施の形態では、球体1〜4の駆動は第2の実施の形態と同様(すなわち、球体2、4の周面に当接する車輪を備えた駆動力伝達機構を有していない)であるので、モータ90〜92の回転によって球体駆動式全方向移動装置77を任意の方向に移動させることができる。
Claims (7)
- 台車本体と、前記台車本体の底部に転動可能に配置され、かつそれぞれの球心が平面視して四角形を形成する4つの球体1〜4と、前記台車本体に取付けられ、前記4つの球体1〜4のうち、隣り合って又は対角線上に位置する前記球体1〜4の周面に当接する車輪を有し、該球体1〜4に同時にそれぞれ同一方向の回転力を与える少なくとも5つの駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構の3つに設けられ、該駆動力伝達機構に駆動力を与えるモータとを備え、しかも、それぞれの前記球体1〜4には、2又は3の前記駆動力伝達機構が異なる方向から当接し、更に異なる方向から当接した前記駆動力伝達機構には、0若しくは1又は2の前記モータが設けられていることを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項1記載の球体駆動式全方向移動装置において、前記球体1〜4は、ボールキャスターを介して前記台車本体に取付けられていることを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の球体駆動式全方向移動装置において、前記駆動力伝達機構は対となる前記球体1〜4の周面にそれぞれ当接する2つの前記車輪と、前記2つの車輪の一方の回転を他方に伝える動力伝達手段とを有することを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項3記載の球体駆動式全方向移動装置において、前記動力伝達手段は、前記2つの車輪のそれぞれ同軸上に取付けられている補助歯付き車と、対となる前記補助歯付き車に噛合するベルト又はチェーンとを有することを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の球体駆動式全方向移動装置において、前記球体1〜4は同一半径の球体であって、該球体1〜4の球心によって形成される四角形は長方形又は正方形であることを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の球体駆動式全方向移動装置において、前記駆動力伝達機構に備えられる前記車輪と前記球体1〜4が当接する箇所それぞれについて、該車輪の外周と該球体1〜4の周面の速度及び向きが同一であることを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
- 請求項5記載の球体駆動式全方向移動装置において、(1)前記球体1〜4の球心の座標をそれぞれ(dR、dF)、(−dL、dF)、(−dL、−dB)、(dR、−dB)とし、(2)前記球体1、2、前記球体2、3、前記球体3、4、前記球体4、1、前記球体1、3、並びに前記球体2、4と当接するそれぞれ同一半径の前記駆動力伝達機構の車輪の半径をそれぞれQ12、Q23、Q34、Q41、Q13、Q24とし、(3)それぞれの前記車輪の角速度をλ12、λ23、λ34、λ41、λ13、λ24とし、(4)更に、床面に対する該球体駆動式全方向移動装置の原点Oを基準とする角速度をrとすると共に、原点Oの前記床面に対する並進運動の速度について、x成分をvx、y成分をvyとし、(5)以下の式1、式2が成り立つことを条件として、
以下の式3から、左辺に記載した行列(λ12、λ23、λ34、λ41、λ13、λ24)と右辺の6行行列について同一の3行を除いて得た正方行列に、逆行列が存在する条件で、選ばれた左辺の3個の角速度となる前記車輪を備える前記駆動力伝達機構に、前記モータを設けることを特徴とする球体駆動式全方向移動装置。
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