JP2010172323A - 一塩基多型の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アレル特異的増幅法(MASA法)による核酸試料中の所定のSNPの検出において、SNPの検出エラーがなく、より安価な検出方法を提供すること。
【解決手段】本発明の方法は、従来のアレル特異的増幅法において用いられるSNPの特定の塩基に特異的なプライマーとともに、このプライマーがハイブリダイズしないSNPの他の塩基と優先的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドからなるブロッキング剤を用いてPCRを行う工程を含む。このブロッキング剤は、3’末端にddNTPを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸試料中の所定の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の検出方法に関する。より詳細には、アレル特異的増幅法により、SNPを検出する方法に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いた遺伝子診断法の中で、点突然変異または一塩基多型(SNP)を検出する方法は2種類に分類される。1つは既知の位置の塩基を検出する方法であり、他方は未知の点変異をスクリーニングする方法である。アレル特異的増幅法は、前者の既知の位置の塩基を感度よく検出する方法の1つであり、MASA法(mutant allele specific amplification)と呼ばれている。
MASA法の原理は、SNPを含む配列に相補的な塩基配列を有する約20塩基からなるプライマーを用いて、鋳型となるDNAと耐熱性ポリメラーゼとともにPCRを行うことによって特定のSNPを含む領域を特異的に増幅して、ゲル電気泳動によってバンドとして検出することからなる。
その具体的手順は、まずSNPを含むDNA断片を増幅させるときに、例えば、リバース側のプライマーがSNPを含まない部分に相補的であり、そしてフォワード側のプライマーがSNPを含む部分に相補的であるように、SNPを挟む1組のプライマーを用意する。ここで、フォワード側のプライマーは、SNPのうちの1種類の塩基に相補的である塩基が3’末端になるように設計する。そのため、フォワード側のプライマーに応じて、SNPのうち1種類の塩基を有するDNA断片のみが、プライマーと鋳型とがフルマッチであるためハイブリダイズし、PCR増幅産物を生じ、ゲル上で陽性のバンドとして検出される。一方、用いたプライマーが検出対象のDNA断片に含まれない場合は、プライマーと鋳型とはミスマッチであるためハイブリダイズせず、このDNA断片はPCRで増幅されない。
より具体的には、例えば、SNPの塩基がAおよびGである場合、Aに相補的であるように設計されたプライマーを用いた場合に、遺伝子型がA/A型の場合およびA/G型の場合はバンドを検出できるが、遺伝子型がG/G型の場合はバンドを検出しない。一方、Gに相補的であるように設計されたプライマーを用いた場合には、遺伝子型がG/G型の場合およびA/G型の場合はバンドを検出できるが、遺伝子型がA/A型の場合はバンドを検出しない。このように、MASA法によれば、遺伝子型を判別すること可能である。
しかし、プライマーと鋳型DNAとのミスマッチがSNPの1塩基のみであるため、その反応時間や温度、あるいは反応に用いるdNTP濃度、バッファーに含まれるマグネシウム濃度、PCRのサイクル数などの反応条件を厳密に規定しなければ、プライマーと鋳型とがハイブリダイズして増幅する擬陽性の問題が生じる。すなわち、本来であれば、プライマーの3’末端のSNP対応塩基が試料中の標的SNP塩基と非相補的である場合はそこからのプライマー伸長反応は起きないが、実際には多くの場合において伸長してしまう。
より正確な検出のために、プライマー配列の改良が試みられている(特許文献1および2)。特許文献1では、プライマーの5’側に、鋳型DNAと完全には相補的でない2〜40塩基の長さの塩基配列を付加することにより、厳密な反応条件の制御を行わなくとも、非特異的アニールを抑制して特異性を向上できることを開示している。しかし、この方法では、完全には誤検出を防止できない。
また、特許文献2では、SNP近傍が特定の配列を有する場合のプライマー設計が開示されている。具体的には、標的SNP塩基の3’側にすぐ隣接する塩基がGであり、もう一塩基隣の塩基がGである場合、アレル特異性プライマーを、3’末端塩基がSNP対応塩基であり、かつ3’末端から2番目の塩基をTかGとし、かつ3’末端から3番目の塩基をTかGのいずれかとし、かつ3’末端から4番目の塩基から5’末端の塩基までの塩基配列を標的SNP塩基から3’側に対して三塩基隣の塩基から所望の塩基までの配列に対して相補的であるように設計している。このようなプライマーを用いることにより、擬陽性の可能性が極めて低く、かつ明確にSNP判別が可能となる。しかし、SNP近傍の塩基配列が異なる場合には、このプライマーは有用ではない。
一方、プライマー配列の改良ではなく、プライマーとともにブロッキング剤を用いる方法が開発されている(特許文献3)。特許文献3の方法では、例えば、SNPの塩基がAおよびGである場合、Aに相補的であるように設計されたプライマーとともに、Gに相補的なプライマーの3’末端に核酸類似物を有するブロッキング剤を用いる。ブロッキング剤は、その3’末端に核酸類似物を有するため、鋳型にハイブリダイズしても鋳型DNAは増幅しない。そのため、Aに相補的なプライマーは、ミスマッチであるGを含む鋳型とのハイブリダイゼーションが確実にブロックされるため、誤検出を防止できる。特許文献1で挙げられる核酸類似物は、ペプチド核酸(PNA)である。PNAとは、DNAに類似の構造を有する非天然の化合物であり、DNAやRNAのようなリン酸結合ではなく、ペプチド結合で骨格が形成されている。PNAの特徴は、DNAに見られるリン酸基による負電荷の反発がPNAでは解消されているため、鋳型DNAとより強くハイブリダイズし、相補鎖認識力も高い点である。しかし、PNAは、特殊な構造を有する化合物であるため、非常に高価である。そのため、検出対象のSNPごとにブロッキング剤の合成を行う必要がある特許文献3の方法は、費用の面を考慮すると実用的ではない。
特開2005−27518号公報 特開2007−319137号公報 特許第2842694号明細書
本発明は、MASA法による核酸試料中の所定のSNPの検出において、SNPの検出エラーがなく、より安価な検出方法を提供することを目的とする。
本発明は、核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法を提供し、該方法において、
該所定の一塩基多型は、第1の塩基および第2の塩基の2種類の塩基を有し、
該核酸試料は、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)および該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)のいずれか1または両方を含み、
該方法は、
(a)該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(b)該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;および
(c)該核酸試料について、該工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(それぞれF1およびF2)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含み、
該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;そして
該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高い。
1つの実施態様では、上記第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、上記第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして上記第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、上記第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。
1つの実施態様では、上記第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、上記第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして上記第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、上記第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。
1つの実施態様では、上記第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)と上記第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とは、上記所定の一塩基多型が存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
1つの実施態様では、上記第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)と上記第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とは、上記所定の一塩基多型が存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
1つの実施態様では、上記工程(c)において、
上記工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが上記工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
上記工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(F1およびF2)がともに存在する場合は遺伝子型が第1/第2型であり、そして
上記工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在しないが上記工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在する場合は遺伝子型が第2/第2型であると判定する。
本発明はまた、核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法を提供し、該方法において、
該所定の一塩基多型は、第1の塩基、第2の塩基、および第3の塩基の3種類の塩基を有し、
該核酸試料は、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、および該所定の一塩基多型による第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含み、
該方法は、
(d)該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(e)該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
(f)該所定の一塩基多型の第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と該所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;および
(g)該核酸試料について、該工程(d)〜(f)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2およびF3)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含み、
該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)は、該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第3の塩基検出用の対プライマー(Pc3)は、該第3のDNA鎖の第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;
該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、該第1のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも高く;そして
該第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、該第1のDNA鎖および該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも低いが、該第1のDNA鎖および該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも高い。
1つの実施態様では、上記工程(g)において、
上記工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが上記工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
上記工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが上記工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
上記工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが上記工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
上記工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが上記工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
上記工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが上記工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、そして
上記工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが上記工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であると判定する。
本発明はさらに、核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法を提供し、該方法において、
該所定の一塩基多型は、第1の塩基、第2の塩基、第3の塩基、および第4の塩基の4種類の塩基を有し、
該核酸試料は、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)、および該所定の一塩基多型による第4の塩基を有するDNA鎖(第4のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含み、
該方法は、
(h)第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(i)第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
(j)第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と該所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;
(k)第4の塩基検出用プライマー対(第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)および第4の対プライマー(Pc4))と該所定の一塩基多型に対応する第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F4)を検出する工程;および
(l)該核酸試料について、該工程(h)〜(k)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2、F3およびF4)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含み、
該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)は、該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)は、該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第3の塩基検出用の対プライマー(Pc3)は、該第3のDNA鎖の第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第4の塩基検出用の対プライマー(Pc4)は、該第4のDNA鎖の第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;
該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも高く;
該第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも高く;そして
該第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)は、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)よりも高い。
1つの実施態様では、上記工程(l)において、
上記工程(h)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが上記工程(i)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F2、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
上記工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが上記工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
上記工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが上記工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であり、
上記工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在するが上記工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第4型であり、
上記工程(i)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが上記工程(h)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
上記工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが上記工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
上記工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在するが上記工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第4型であり、
上記工程(j)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが上記工程(h)、(i)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、
上記工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在するが上記工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第4型であり、そして
上記工程(k)により検出されるDNA断片(F4)が存在するが上記工程(h)、(i)および(j)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第4/第4型であると判定する。
本発明によれば、従来のMASA法に準じて設計されたプライマー対とともに、3’末端にddNTPを有するブロッキング剤を用いることにより、より確実かつより安価にSNPの検出を行うことができる。
本発明に用いるプライマーおよびブロッキング剤の融解温度(Tm)と第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)の状態との関係を示すグラフである。 本発明に用いるプライマーおよびブロッキング剤の融解温度(Tm)と第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)の状態との関係を示すグラフである。 本発明で設計したプライマーおよびブロッキング剤とSNPを含む鋳型DNAとの関係を示す模式図である。 SNP検出用のプライマー対を本発明のブロッキング剤とともに用いた場合(実施例1)または用いなかった場合(比較例1)のPCR増幅産物の電気泳動写真である。
本発明のSNPの検出方法は、核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応(具体的には、PCR)を利用して検出する方法であり、SNPの各塩基に対するPCRごとにプライマー対とブロッキング剤とを用いる。
一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)とは、一般的には、遺伝子の塩基配列が1カ所だけ異なる状態およびその部位をいう。また、多型とは、一般的には、母集団中1%以上の頻度で存在する2以上の対立遺伝子(アレル)をいう。本発明において、「SNP」は、好ましくは、当業者が自由に利用可能な公開されたデータベースに登録されたSNPであって、そのリファレンス番号から特定できるSNPである。このようなデータベースとしては、例えば、NCBI(NLM、NIH)のSNPデータベースおよびIMS−JST(東京大学、科学技術振興財団)のJSNP(登録商標)データベースが挙げられる。本発明において所定の一塩基多型(SNP)とは、このような特定の位置のSNPをいう。
SNPには、第1の塩基と第2の塩基との2種類の塩基を有する場合だけでなく、第1の塩基、第2の塩基、および第3の塩基の3種類の塩基を有する場合、ならびに第1の塩基、第2の塩基、第3の塩基、および第4の塩基の4種類の塩基を有する場合がある。
「アレル」とは対立遺伝子をいい、倍数体のゲノムを有する生物において、相同染色体の相同な場所に位置している遺伝子をいう。同じDNA鎖が2本存在するので、例えば、SNPが2種類の塩基を有する場合には、1つのSNPにつき、両方とも第1の塩基、両方とも第2の塩基、およびそれぞれ異なる塩基の3つのパターンが存在する。
本発明において「ハイブリダイズする」とは、本発明によるプライマーまたはブロッキング剤の一部がストリンジェントな条件下で標的核酸にハイブリダイズし、標的核酸以外の核酸分子にはハイブリダイズしないことを意味する。ストリンジェントな条件は、本発明によるプライマーまたはブロッキング剤とその相補鎖との二重鎖の融解温度Tm(℃)およびハイブリダイゼーション溶液の塩濃度などを考慮して決定することができる。例えば、使用するプライマーの融解温度よりわずかに低い温度下でハイブリダイゼーションを行うと、プライマーまたはブロッキング剤を標的核酸に特異的にハイブリダイズさせることができる。このようなプライマーまたはブロッキング剤は、市販のプライマー構築ソフトを用いて設計することができる。本発明の好ましい実施態様によれば、ある標的核酸にハイブリダイズするプライマーまたはブロッキング剤は、その標的核酸に相補的な核酸分子の全部または一部の配列を含んでなるものである。
本発明において核酸試料は、DNAまたはRNAのどちらでもよい。DNAには、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAのいずれもが含まれる。RNAには、全RNA、mRNA、rRNA、siRNA、hnRNAおよび合成RNAのいずれもが含まれる。これらの核酸は、例えば、血液、組織、細胞、さらには動物、植物のような生体由来試料、または生体由来試料、食品、土壌、排水などから分離された微生物由来試料から調製することができる。好ましくは、核酸またはゲノムDNAを含む試料、あるいは核酸またはゲノムDNA自体であり、例えば、血液や体液などの生体試料や、これらから調製された核酸やゲノムDNAが挙げられる。生体試料の採取方法、採取部位などは、特に制限されず、また、核酸やゲノムDNAの調製方法も従来公知の方法を適用でき、特に制限されない。
本発明において鋳型とは、相補鎖合成の型となる側の核酸を意味する。鋳型に相補的な塩基配列を有する「相補鎖」は、鋳型に対応する鎖としての意味を有する。両者の関係はあくまでも相対的なものにすぎない。すなわち、相補鎖として合成された鎖は、再び鋳型として機能することができる。つまり、相補鎖は鋳型になることができる。また、核酸の合成とは、合成起点となったオリゴヌクレオチドからの核酸の伸長を意味する。合成に加えて、さらに他の核酸の生成と、この生成された核酸の伸長反応とが連続して起きるとき、一連の反応を総合して増幅という。
本発明において設計されたプライマー対およびブロッキング剤の製造方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により化学合成により製造してもよく、酵素的にインビボまたはインビトロで製造してもよい。例えば、従来公知の方法により化学合成により製造してもよく、酵素的にインビボまたはインビトロで製造してもよい。例えば、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法などにより合成できる。例えば、ABI社(Applied Biosystem Inc.)のDNA合成機を用いてホスホアミダイト法により合成すれば、容易に取得することができる。
これらのオリゴヌクレオチドからなるプライマーおよびブロッキング剤は、標的とする領域に特異的にハイブリダイズするために、標的DNA上の特定部位を含む5〜100塩基の領域、好ましくは10〜50塩基の領域、特に好ましくは15〜35塩基の領域に対し、これと相補的な塩基配列を含むことが好ましい。
核酸増幅反応(具体的には、PCR)に用いられるポリメラーゼは、鎖置換(Strand displacement)活性(鎖置換能)を有するものであればよく、常温性、中温性、もしくは耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。また、このポリメラーゼは、天然体もしくは人工的に変異を加えた変異体のいずれであってもよい。このようなポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼが挙げられる。さらに、このDNAポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものであることが好ましい。このようなDNAポリメラーゼとしては、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax)などの好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体、大腸菌(E.coli)由来DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントなどが挙げられる。核酸増幅反応において使用するDNAポリメラーゼとしては、さらに、Vent DNAポリメラーゼ、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ、DeepVent DNAポリメラーゼ、DeepVent(Exo−)DNAポリメラーゼ、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、MS−2ファージDNAポリメラーゼ、Z−Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Pfu turbo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、9°Nm DNAポリメラーゼ、Therminater DNAポリメラーゼ、Bsm DNAポリメラーゼ、Aac DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
核酸増幅反応において使用するその他の試薬としては、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの触媒、dNTPミックスなどの基質、トリス塩酸バッファー、トライシンバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファーなどの緩衝液が挙げられる。さらに、ジメチルスルホキシドやベタイン(N,N,N−トリメチルグリシン)などの添加物、陽イオン錯体などを使用してもよい。
さらに、核酸増幅反応において、酵素安定化剤を反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の増幅効率を高めることが可能となる。本発明において用いられる酵素安定化剤は、グリセロール、ウシ血清アルブミン、糖類などの当該技術分野において公知のいかなるものであってもよく、特に制限されない。
さらに、核酸増幅反応において、DNAポリメラーゼなどの酵素の耐熱性を増強するための試薬を、酵素安定化剤として反応溶液中に添加することもできる。これにより、反応液中の酵素が安定化されるため、核酸の合成効率および増幅効率を高めることが可能となる。このような試薬は当該技術分野において公知のいかなるものであってもよく、特に制限されない。好ましくは糖類、より好ましくは単糖またはオリゴ糖、さらに好ましくはトレハロース、ソルビトールもしくはマンニトール、またはこれらの2種以上の混合物である。
本発明の第1の実施態様は、所定のSNPが、第1の塩基および第2の塩基の2種類の塩基を有する場合のSNPの検出方法である。この場合、核酸試料は、所定のSNPによる第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)および所定のSNPによる第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)のいずれか1または両方を含む。
第1の実施態様によれば、本発明の方法は、
(a)所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(b)所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と所定の一塩基多型の第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;および
(c)核酸試料について、工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(それぞれF1およびF2)の存在により、一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含む。
本発明の第1の実施態様の方法では、それぞれのSNP塩基に対する2組のプライマー対が用いられ、これらはそれぞれ以下のように設計される。
第1の塩基検出用プライマー対のうち、第1のSNP対応プライマー(Ps1)は、第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし;そして、第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、第1のDNA鎖の第1のSNP対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
第2の塩基検出用プライマー対のうち、第2のSNP対応プライマー(Ps2)は、第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし;そして、第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、第2のDNA鎖の第2のSNP対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
好ましくは、第1のSNP対応プライマー(Ps1)は、第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして第2のSNP対応プライマー(Ps2)は、第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。第1のSNP対応プライマー(Ps1)および第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、それぞれ独立して、フォワード側に設計してもよく、リバース側に設計してもよい。好ましくは、Ps1およびPs2は、両方とも同じ側のプライマーである。さらに好ましくは、Ps1およびPs2は、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列を含むように設計される。
また、それぞれの対プライマー(Pc1およびPc2)は、Ps1およびPs2からそれぞれ通常50〜1000塩基、好ましくは50〜500塩基離れた位置の任意の領域にハイブリダイズする。Ps1およびPs2は、より好ましくは同一の領域にハイブリダイズし得、さらに好ましくは同一の塩基配列であり得る。
この方法で用いるブロッキング剤は、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有することが特徴である。通常のDNA鎖を構成するデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)は、デオキシリボースの3’の部分がOH基である。このOH基にdNTPのリン酸基が結合できるためにDNA鎖が合成されていく。しかし、ddNTPは、3’の部分に酸素原子がないため、dNTPのリン酸基が結合することができない。したがって、3’末端にddNTPを有すると、標的の領域にハイブリダイズしても3’末端から伸長しないため、PCRによる増幅はブロックされる。このddNTPは、通常の塩基配列の決定に使用されているため、塩基配列決定用の試薬として市販されている。そのため、容易にかつ安価に入手可能である。
このようなddNTPを有するブロッキング剤は、それぞれ以下のように設計されている。
第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも低いが、第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも高い。第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、好ましくは、第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。さらに好ましくは、第1のSNP対応プライマー(Ps1)と第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とは、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第2のSNP対応プライマー(Ps2)よりも低いが、第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも高い。第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、好ましくは、第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。さらに好ましくは、第2のSNP対応プライマー(Ps2)と第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とは、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
プライマーおよびブロッキング剤の設計については、SNP塩基の種類により、プライマーのTmとブロッキング剤のTmとが逆転するように設計する。この関係を図1および2に示す。例えば、第1の塩基とプライマーPs1、Ps2およびブロッキング剤B1、B2とのTmを、それぞれTm(Ps1−1)、Tm(Ps2−1)およびTm(B1−1)、Tm(B2−1)とし、そして第2の塩基とプライマーPs1、Ps2およびブロッキング剤B1、B2とのTmを、それぞれTm(Ps1−2)、Tm(Ps2−2)およびTm(B1−2)、Tm(B2−2)とする。プライマーPs1、Ps2およびブロッキング剤B1、B2が、第1の塩基とハイブリダイズする場合には、それぞれ図1(i)および(ii)に示すように、
Tm(B1−1) < Tm(Ps1−1)
Tm(Ps2−1)< Tm(B2−1)
となり、そして第2の塩基とハイブリダイズする場合には、それぞれ図2(i)および(ii)に示すように、
Tm(Ps1−2)< Tm(B1−2)
Tm(B2−2) < Tm(Ps2−2)
となるように、SNP対応プライマーとddNTPブロッキング剤とを設計する。
Tm値のおおよその温度は、以下の式:
Tm(℃)=4×(プライマー中のG+Cの数)+2×(A+Tの数)
により求めることができる。したがって、各プライマーの長さを調節するなどの手段によって、適切なTm値に調節することができる。
ブロッキング剤におけるddNTPは、3’末端に配置されるが、ddNTPは必ずしもSNPの位置に配置されなくてもよい。しかし、ブロッキング剤をSNPに応じて個別に合成するための費用を考慮すると、SNPを3’末端としてその位置にddNTPを配置するようにブロッキング剤を設計することが好ましい。
工程(a)におけるSNP対応プライマー(Ps1)およびブロッキング剤(B1)と核酸試料中のSNPを含む鋳型DNAとの関係を、SNPがAおよびGである検体の場合を例に挙げて、図3を参照して説明する。図3(i)においては、アレルのSNPがいずれもAである。ブロッキング剤はG特異的であり、鋳型DNAとミスマッチがあるため、Aアレル特異的プライマー(Ps1)が鋳型DNAに優先的にハイブリダイズする。一方、図3(iii)においては、アレルのSNPがいずれもGである。ブロッキング剤(B1)は鋳型DNAとフルマッチであるため優先的にハイブリダイズし、Aアレル特異的プライマーはハイブリダイズしない。図3(ii)においては、アレルは、AおよびGのそれぞれのSNPを有する。そのため、SNPがAの場合には、ブロッキング剤(B1)はミスマッチであるため、Aアレル特異的プライマー(Ps1)が優先的にハイブリダイズし、Gの場合には、ブロッキング剤(B1)がフルマッチであるため、Aアレル特異的プライマー(Ps1)はハイブリダイズしない。このようなそれぞれのSNPに対するハイブリダイゼーションの優先度は、Tmによって制御される。したがって、SNP対応プライマー(Ps1)およびブロッキング剤(B1)を、上述のようなTm値とすることにより、この図3に示すような確実なハイブリダイズが達成される。したがって、図3(i)および(ii)の場合には、PCRによりAアレルを有するDNA断片(F1)が増幅されて、検出される。
上記の図3の例の場合、次いで行われる工程(b)において、第2のSNP対応プライマー(Ps2)をGアレル特異的とし、ブロッキング剤(B2)を第1の塩基であるAに特異的にすることにより、Ps2がGアレルのみハイブリダイズし、Gアレルを有するDNA断片(F2)が検出される。
このようにして工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(それぞれF1およびF2)の存在により、SNPの遺伝子型を判定することができる(工程(c))。
より具体的には、SNPの遺伝子型を判定する工程(c)において、
工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(F1およびF2)がともに存在する場合は遺伝子型が第1/第2型であり、そして
工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在しないが上記工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在する場合は遺伝子型が第2/第2型であると判定する。
このように、本発明の方法によれば、所定のSNPが第1の塩基および第2の塩基の2種類の塩基を有する場合、工程(a)および(b)の2回の核酸増幅反応を行うことによって、遺伝子型を正確に判定することができる。
本発明の第2の実施態様は、所定のSNPが、第1の塩基、第2の塩基、および第3の塩基の3種類の塩基を有する場合のSNPの検出方法である。この場合、核酸試料は、所定のSNPによる第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、所定のSNPによる第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、および所定のSNPによる第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含む。
本発明の第2の実施態様によれば、本発明の方法は、上記の核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、
(d)所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(e)所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
(f)所定の一塩基多型の第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;および
(g)核酸試料について、工程(d)〜(f)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2およびF3)の存在により、一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含む。
本発明の第2の実施態様の方法では、それぞれのSNP塩基に対する3組のプライマー対が用いられ、これらはそれぞれ以下のように設計される。
第1の塩基検出用プライマー対のうち、第1のSNP対応プライマー(Ps1)は、第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし;そして、第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、第1のDNA鎖の第1のSNP対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
第2の塩基検出用プライマー対のうち、第2のSNP対応プライマー(Ps2)は、第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし;そして、第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、第2のDNA鎖の第2のSNP対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
第3の塩基検出用プライマー対のうち、第3のSNP対応プライマー(Ps3)は、第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし;そして、第3の塩基検出用の対プライマー(Pc3)は、第3のDNA鎖の第3のSNP対応プライマー(Ps3)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
好ましくは、第1のSNP対応プライマー(Ps1)は、第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、第2のSNP対応プライマー(Ps2)は、第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして第3のSNP対応プライマー(Ps3)は、第3の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。第1、第2および第3のSNP対応プライマー(Ps1、Ps2およびPs3)は、それぞれ独立して、フォワード側に設計してもよく、リバース側に設計してもよい。好ましくは、Ps1、Ps2およびPs3は、いずれも同じ側のプライマーである。さらに好ましくは、Ps1、Ps2およびPs3は、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列を含むように設計される。
また、それぞれの対プライマー(Pc1、Pc2およびPc3)は、Ps1、Ps2およびPs3からそれぞれ通常50〜1000塩基、好ましくは50〜500塩基離れた位置の任意の領域にハイブリダイズする。Ps1、Ps2およびPs3は、より好ましくは同一の領域にハイブリダイズし得、さらに好ましくは同一の塩基配列であり得る。
本発明の第2の実施態様の方法では、ブロッキング剤は、それぞれ以下のように設計されている。
第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、第2のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にddNTPを有するポリヌクレオチドであり、そして第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも低いが、第2のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも高い。第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、好ましくは、第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。さらに好ましくは、第1のSNP対応プライマー(Ps1)と第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とは、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、第1のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にddNTPを有するポリヌクレオチドであり、そして第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第2のSNP対応プライマー(Ps2)よりも低いが、第1のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第2のSNP対応プライマー(Ps2)よりも高い。第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、好ましくは、第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。さらに好ましくは、第2のSNP対応プライマー(Ps2)と第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とは、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、第1のDNA鎖および第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にddNTPを有するポリヌクレオチドであり、そして第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第3のSNP対応プライマー(Ps3)よりも低いが、第1のDNA鎖および第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第3のSNP対応プライマー(Ps3)よりも高い。第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、好ましくは、第3の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。さらに好ましくは、第3のSNP対応プライマー(Ps3)と第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とは、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる。
プライマーおよびブロッキング剤の設計については、上記の本発明の第1の実施態様の場合と同様である。例えば、第1の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3およびブロッキング剤B1、B2、B3とのTmを、それぞれTm(Ps1−1)、Tm(Ps2−1)、Tm(Ps3−1)およびTm(B1−1)、Tm(B2−1)、Tm(B3−1)とし、第2の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3およびブロッキング剤B1、B2、B3とのTmを、それぞれTm(Ps1−2)、Tm(Ps2−2)、Tm(Ps3−2)およびTm(B1−2)、Tm(B2−2)、Tm(B3−2)とし、そして第3の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3およびブロッキング剤B1、B2、B3とのTmを、それぞれTm(Ps1−3)、Tm(Ps2−3)、Tm(Ps3−3)およびTm(B1−3)、Tm(B2−3)、Tm(B3−3)とする。第1の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3およびブロッキング剤B1、B2、B3が、第1の塩基とハイブリダイズする場合、には、
Tm(B1−1) < Tm(Ps1−1)
Tm(Ps2−1)< Tm(B2−1)
Tm(Ps3−1)< Tm(B3−1)
となり、第2の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B2−2) < Tm(Ps2−2)
Tm(Ps1−2)< Tm(B1−2)
Tm(Ps3−2)< Tm(B3−2)
となり、そして第3の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B3−3) < Tm(Ps3−3)
Tm(Ps1−3)< Tm(B1−3)
Tm(Ps2−3)< Tm(B2−3)
となる。
したがって、核酸試料について、工程(d)〜(f)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2およびF3)の存在により、一塩基多型の遺伝子型を判定することができる(工程(g))。
より具体的には、SNPの遺伝子型を判定する工程(g)において、
工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが上記工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、そして
工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが上記工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であると判定する。
このように、本発明の方法によれば、所定のSNPが第1の塩基、第2の塩基および第3の塩基の3種類の塩基を有する場合、工程(d)、(e)および(f)の3回の核酸増幅反応を行うことによって、遺伝子型を正確に判定することができる。
本発明の第3の実施態様は、所定のSNPが、第1の塩基、第2の塩基、第3の塩基、および第4の塩基の4種類の塩基を有する場合のSNPの検出方法である。この場合、核酸試料は、所定のSNPによる第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、所定のSNPによる第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、所定のSNPによる第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)、および所定のSNPによる第4の塩基を有するDNA鎖(第4のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含む。
本発明の第3の実施態様によれば、本発明の方法は、上記の核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、
(h)第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
(i)第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
(j)第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;
(k)第4の塩基検出用プライマー対(第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)および第4の対プライマー(Pc4))と所定の一塩基多型に対応する第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)とを、核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F4)を検出する工程;および
(l)核酸試料について、工程(h)〜(k)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2、F3およびF4)の存在により、一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
を含む。
本発明の第3の実施態様の方法では、それぞれのSNP塩基に対する4組のプライマー対が用いられる。各一塩基多型対応プライマー(Ps1、Ps2、Ps3およびPs4)は、上記本発明の第2の実施態様の場合と同様に、それぞれに対応するDNA鎖のSNPを含む領域にハイブリダイズし、各塩基検出用の対プライマー(Pc1、Pc2、Pc3およびPc4)は、それぞれに対応するDNA鎖の各一塩基多型対応プライマー(Ps1、Ps2、Ps3およびPs4)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズする。
好ましくは、各SNP対応プライマー(Ps1、Ps2、Ps3およびPs4)は、それぞれのSNP塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する。各SNP対応プライマー(Ps1、Ps2、Ps3およびPs4)は、それぞれ独立して、フォワード側に設計してもよく、リバースに設計してもよい。好ましくは、Ps1、Ps2、Ps3およびPs4は、いずれも同じ側のプライマーである。さらに好ましくは、PPs1、Ps2、Ps3およびPs4は、所定のSNPが存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列を含むように設計される。
本発明の第3の実施態様の方法では、ブロッキング剤は、それぞれ以下のように設計されている。
第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、第2のDNA鎖、第3のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第1のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも低いが、第2のDNA鎖、第3のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第1のSNP対応プライマー(Ps1)よりも高い。
第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、第1のDNA鎖、第3のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第2のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第2のSNP対応プライマー(Ps2)よりも低いが、第1のDNA鎖、第3のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNP含む領域に対するTm値が、第2のSNP対応プライマー(Ps2)よりも高い。
第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、第1のDNA鎖、第2のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第3のSNP対応プライマー(Ps3)よりも低いが、第1のDNA鎖、第2のDNA鎖および第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第3のSNP対応プライマー(Ps3)よりも高い。
第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)は、第1のDNA鎖、第2のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして第4のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第4のSNP対応プライマー(Ps4)よりも低いが、第1のDNA鎖、第2のDNA鎖および第3のDNA鎖の所定のSNPを含む領域に対するTm値が、第4のSNP対応プライマー(Ps4)よりも高い。
プライマーおよびブロッキング剤の設計については、上記の本発明の第1および第2の実施態様の場合と同様である。例えば、第1の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3、Ps4およびブロッキング剤B1、B2、B3、B4とのTmを、それぞれTm(Ps1−1)、Tm(Ps2−1)、Tm(Ps3−1)、Tm(Ps4−1)およびTm(B1−1)、Tm(B2−1)、Tm(B3−1)、Tm(B4−1)とし、第2の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3、Ps4およびブロッキング剤B1、B2、B3、B4とのTmを、それぞれTm(Ps1−2)、Tm(Ps2−2)、Tm(Ps3−2)、Tm(Ps4−2)およびTm(B1−2)、Tm(B2−2)、Tm(B3−2)、Tm(B4−2)とし、第3の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3、Ps4およびブロッキング剤B1、B2、B3、B4とのTmを、それぞれTm(Ps1−3)、Tm(Ps2−3)、Tm(Ps3−3)、Tm(Ps4−3)およびTm(B1−3)、Tm(B2−3)、Tm(B3−3)、Tm(B4−3)とし、そして第4の塩基とプライマーPs1、Ps2、Ps3、Ps4およびブロッキング剤B1とのTmを、それぞれTm(Ps1−4)、Tm(Ps2−4)、Tm(Ps3−4)、Tm(Ps4−4)およびTm(B1−4)、Tm(B2−4)、Tm(B3−4)、Tm(B4−4)とする。プライマーPs1、Ps2、Ps3、Ps4およびブロッキング剤B1、B2、B3、B4が、第1の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B1−1) < Tm(Ps1−1)
Tm(Ps2−1)< Tm(B2−1)
Tm(Ps3−1)< Tm(B3−1)
Tm(Ps4−1)< Tm(B4−1)
となり、第2の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B2−2) < Tm(Ps2−2)
Tm(Ps1−2)< Tm(B1−2)
Tm(Ps3−2)< Tm(B3−2)
Tm(Ps4−2)< Tm(B4−2)
となり、第3の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B3−3) < Tm(Ps3−3)
Tm(Ps1−3)< Tm(B1−3)
Tm(Ps2−3)< Tm(B2−3)
Tm(Ps4−3)< Tm(B4−3)
となり、そして第4の塩基とハイブリダイズする場合には、
Tm(B4−4) < Tm(Ps4−4)
Tm(Ps1−4)< Tm(B1−4)
Tm(Ps2−4)< Tm(B2−4)
Tm(Ps3−4)< Tm(B3−4)
となる。
したがって、核酸試料について、工程(h)〜(k)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2、F3およびF4)の存在により、一塩基多型の遺伝子型を判定することができる(工程(l))。
より具体的には、SNPの遺伝子型を判定する工程(l)において、
工程(h)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが工程(i)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F2、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であり、
工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在するが工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第4型であり、
工程(i)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが工程(h)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在するが工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第4型であり、
工程(j)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが工程(h)、(i)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、
工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在するが工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第4型であり、そして
工程(k)により検出されるDNA断片(F4)が存在するが工程(h)、(i)および(j)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第4/第4型であると判定する。
このように、本発明の方法によれば、所定のSNPが第1の塩基、第2の塩基、第3の塩基および第4の塩基の4種類の塩基を有する場合、工程(h)、(i)、(j)および(k)の4回の核酸増幅反応を行うことによって、遺伝子型を正確に判定することができる。
(参考例1:検体の準備)
ヒトエストロゲン受容体遺伝子(以下、ER遺伝子と略する)を含む溶液を3種類準備した。これら3種類の溶液に含まれるER遺伝子は、予めXX型、Xx型およびxx型であることがそれぞれ判明している。ER遺伝子多型は、第1エクソンと第2エクソンとの間のイントロン領域に存在する遺伝子多型であり、制限酵素XbaIにより切断されるかまたはされないかによって判別可能な遺伝子多型を有する。ここで、x型とは制限酵素XbaIにより切断される制限部位を有さないER遺伝子の遺伝子型をいい、そしてX型とは制限酵素XbaIにより切断される制限部位を有するER遺伝子の遺伝子型をいう。
これらの3種類の検体から、遺伝子多型部位を含むER遺伝子の一部をPCR反応によりそれぞれ増幅した。PCR反応は、PCR反応専用のキット(BIOLINE社 BIOTAQ DNA POLYMERASE(dNTP付き))、フォワードプライマー(catgaaccaccatgctcagt:配列番号1)およびリバースプライマー(ttacctcttgccgtctgttg:配列番号2)を用いた。PCR反応は、最初の変性工程を95℃で5分行った後、1サイクルの変性工程が94℃で30秒、アニール工程が60℃で30秒、鎖伸長工程が74℃で30秒とするサイクルを30サイクル行い、そして、最後の伸長工程を74℃で7分行った。増幅したER遺伝子は、以下に示す塩基配列(配列番号3)を有する。
Figure 2010172323
ここで、遺伝子多型部位は、配列番号3における遺伝子の249位の塩基であり、AまたはGのいずれかである。遺伝子多型部位の塩基がAである場合はx型であり、一方、遺伝子多型部位の塩基がGである場合はX型である。
(実施例1)
(1)ブロッキング剤の調製
1μLのTdT(30ユニット/反応)、2μLの10×buffer、4μLのddTTP溶液(0.5mM)および2μLのオリゴDNA(ccaatgctcatcccaacttt:配列番号4)(50μM)を含む溶液中で、37℃にて4時間反応後、70℃で10分間反応させることにより、配列番号4のオリゴDNAの3’末端にddTTPを付加したブロッキング剤(ccaatgctcatcccaactttdT:配列番号5)を調製した。また、上記溶液のddTTPをddCTPに置き換えた溶液で同様の反応を行い、配列番号4のオリゴDNAの3’末端にddCTPを付加したブロッキング剤(ccaatgctcatcccaactttdC:配列番号6)を調製した。ブロッキング剤は、後述するリバースプライマーと競合するものである。付加したddTTPおよびddCTPは、上記ER遺伝子の遺伝子多型部位に対応するように設計した。
(2)一塩基多型の判定
上記3種類それぞれの検体についてSNPの判定を、配列番号5および6のブロッキング剤をそれぞれ用いたPCR反応(i)および(ii)にて行った。
(i)第1のPCR反応
まず、第1のPCR反応として、PCR反応専用のキット(BIOLINE社 BIOTAQ DNA POLYMERASE(dNTP付き))、配列番号5のブロッキング剤(G検出用ブロッキング剤)、フォワードプライマー(ctgtgttgtccatcagttga:配列番号7)およびリバースプライマー(ccaatgctcatcccaacttc:配列番号8)(G検出用プライマー)を用いて、最初の変性工程を95℃で5分行った後、1サイクルの変性工程が94℃で30秒、アニール工程が60℃で30秒、鎖伸長工程が74℃で30秒とするサイクルを30サイクル行った。そして、最後の伸長工程を74℃で7分行った。
(ii)第2のPCR反応
第2のPCR反応は、上記第1のPCR反応におけるリバースプライマー(配列番号8)の代わりに、配列番号9に示すリバースプライマー(ccaatgctcatcccaacact:配列番号9)(A検出用プライマー)を用い、配列番号5に示すブロッキング剤の代わりに、配列番号6に示すブロッキング剤(A検出用ブロッキング剤)を用いたこと以外は、上記第1のPCR反応と同様に行った。
なお、配列番号8に示すリバースプライマーの遺伝子配列は、X型の遺伝子(塩基G)に対してはハイブリダイセーション効率が高いが、x型の遺伝子に対してはハイブリダイセーション効率が低い。そして、x型の遺伝子(塩基A)に対しては、配列番号5に示すブロッキング剤の方が、配列番号8に示すリバースプライマーよりもハイブリダイセーション効率が高いが、X型の遺伝子に対しては、配列番号5に示すブロッキング剤の方が、配列番号8に示すリバースプライマーよりもハイブリダイセーション効率が低い。一方、配列番号9に示すリバースプライマーの遺伝子配列は、x型の遺伝子に対してはハイブリダイセーション効率が高いが、X型の遺伝子に対してはハイブリダイセーション効率が低い。そして、X型の遺伝子に対しては、配列番号6に示すブロッキング剤の方が、配列番号9に示すリバースプライマーよりもハイブリダイセーション効率が高いが、X型の遺伝子に対しては、配列番号6に示すブロッキング剤の方が、配列番号9に示すリバースプライマーよりもハイブリダイセーション効率が低い。
以上の点を融点で表現すると、x型の遺伝子(塩基A)に対しては、
Tm(Ps1)=53.9℃<Tm(B1)=54.6℃、および
Tm(B2)=54.3℃<Tm(Ps2)=56.3℃
であり、そしてX型の遺伝子(塩基G)に対しては、
Tm(B1)=54.3℃<Tm(Ps1)=56.3℃、および
Tm(Ps2)=56.1℃<Tm(B2)=56.5℃
である。ここで、B1とは配列番号5に示すブロッキング剤(G検出用ブロッキング剤)を、B2とは配列番号6に示すブロッキング剤(A検出用ブロッキング剤)を、Ps1とは配列番号8に示すリバースプライマー(G検出用プライマー)を、Ps2とは配列番号9に示すリバースプライマー(A検出用プライマー)をそれぞれ意味する。
(iii)電気泳動
第1のPCR反応および第2のPCR反応後のそれぞれの溶液中に増幅された遺伝子が存在するか否かの判定を、マイクロチップ電気泳動(株式会社島津製作所製、MultiNA、DNA−500キット)により行った。結果を図4のレーン1〜6に示す。なお、レーンMは、分子量マーカーである。図4の電気泳動写真の各レーンの下部に、検体の遺伝子型および用いたリバースプライマーの種類を示す。
(比較例1)
第1のPCR反応において配列番号5のブロッキング剤(G検出用ブロッキング剤)を用いなかったこと、および第2のPCR反応において配列番号6のブロッキング剤(A検出用ブロッキング剤)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。これは、いわゆるMASA法という従来手法である。結果を図4のレーン7〜12に示す。
実施例1の電気泳動は、予め知られていた遺伝子多型を示唆するものであった。具体的には、予めXX型(G/G型)であると知られている遺伝子を含む検体においては、G検出用プライマーを用いた第1のPCR反応後の溶液にのみ遺伝子の増幅産物が確認された(図4のレーン1および4)。一方、予めxx型(A/A型)であると知られている遺伝子を含む検体においては、A検出用プライマーを用いた第2のPCR反応後の溶液にのみ遺伝子の増幅産物が確認された(図4のレーン3および6)。そして、予めXx型(G/A型)であると知られている遺伝子を含む検体においては、第1および2のPCR反応後の溶液のいずれにおいても遺伝子の増幅産物が確認された(図4のレーン2および5)。しかしながら、比較例1の電気泳動では、増幅産物が検出されるべきではない溶液に増幅産物の存在が確認された(図4のレーン9および10)。
本発明によれば、従来のMASA法に準じて設計されたプライマー対とともに、3’末端にddNTPを有するブロッキング剤を用いることにより、より確実かつより安価にSNPの検出を行うことができる。したがって、SNPの判別をより容易に実施することができるため、SNPが深く関連していることが明らかな糖尿病や高血圧症などの疾病の発症リスクを予測することができる。さらに、癌特異的な変異の検出にも応用可能であり、さらには、癌特有の微量の変異検出においても、本発明の方法によって感度よくかつ正確に、微量変異を検出できるものと考えられる。また、ヒト白血球型抗原や血小板同種抗原、あるいは病原微生物のタイピングのような、類似する塩基配列を含む複数の遺伝子間の微細な塩基配列の相違の検出にも有用である。あるいは、わずかな塩基配列の相違に起因して活性が異なる薬剤代謝遺伝子のタイプを判別することによる、テーラーメード医療への応用も可能と考えられる。

Claims (10)

  1. 核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、
    該所定の一塩基多型が、第1の塩基および第2の塩基の2種類の塩基を有し、
    該核酸試料が、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)および該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)のいずれか1または両方を含み、
    (a)該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
    (b)該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;および
    (c)該核酸試料について、該工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(それぞれF1およびF2)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
    を含み、
    該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;そして
    該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高い、
    方法。
  2. 前記第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)が、前記第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして前記第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)が、前記第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)が、前記第2の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有し、そして前記第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)が、前記第1の塩基に相補的な塩基を3’末端側に有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)と前記第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とが、前記所定の一塩基多型が存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 前記第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)と前記第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とが、前記所定の一塩基多型が存在する位置の塩基以外が同一の塩基配列からなる、請求項1から4のいずれかの項に記載の方法。
  6. 前記工程(c)において、
    前記工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが前記工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
    前記工程(a)および(b)により検出されるDNA断片(F1およびF2)がともに存在する場合は遺伝子型が第1/第2型であり、そして
    前記工程(a)により検出されるDNA断片(F1)が存在しないが前記工程(b)により検出されるDNA断片(F2)が存在する場合は遺伝子型が第2/第2型であると判定する、
    請求項1から5のいずれかの項に記載の方法。
  7. 核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、
    該所定の一塩基多型が、第1の塩基、第2の塩基、および第3の塩基の3種類の塩基を有し、
    該核酸試料が、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、および該所定の一塩基多型による第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含み、
    (d)該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
    (e)該所定の一塩基多型の第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
    (f)該所定の一塩基多型の第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と該所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;および
    (g)該核酸試料について、該工程(d)〜(f)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2およびF3)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
    を含み、
    該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)は、該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第3の塩基検出用の対プライマー(Pc3)は、該第3のDNA鎖の第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;
    該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、該第1のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも高く;そして
    該第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、該第1のDNA鎖および該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも低いが、該第1のDNA鎖および該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも高い、
    方法。
  8. 前記工程(g)において、
    前記工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが前記工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
    前記工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが前記工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
    前記工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが前記工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
    前記工程(e)および(f)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが前記工程(d)により検出されるDNA断片(F1)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
    前記工程(f)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが前記工程(d)および(e)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、そして
    前記工程(d)および(f)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが前記工程(e)により検出されるDNA断片(F2)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であると判定する、
    請求項7に記載の方法。
  9. 核酸試料中の所定の一塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、
    該所定の一塩基多型が、第1の塩基、第2の塩基、第3の塩基、および第4の塩基の4種類の塩基を有し、
    該核酸試料が、該所定の一塩基多型による第1の塩基を有するDNA鎖(第1のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第2の塩基を有するDNA鎖(第2のDNA鎖)、該所定の一塩基多型による第3の塩基を有するDNA鎖(第3のDNA鎖)、および該所定の一塩基多型による第4の塩基を有するDNA鎖(第4のDNA鎖)からなる群より選択される1または2種を含み、
    (h)第1の塩基検出用プライマー対(第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)および第1の対プライマー(Pc1))と該所定の一塩基多型の第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F1)を検出する工程;
    (i)第2の塩基検出用プライマー対(第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)および第2の対プライマー(Pc2))と該所定の一塩基多型に対応する第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F2)を検出する工程;
    (j)第3の塩基検出用プライマー対(第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)および第3の対プライマー(Pc3))と該所定の一塩基多型に対応する第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F3)を検出する工程;
    (k)第4の塩基検出用プライマー対(第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)および第4の対プライマー(Pc4))と該所定の一塩基多型に対応する第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)とを、該核酸試料に添加して、核酸増幅反応を行い、該核酸増幅反応により増幅されるDNA断片(F4)を検出する工程;および
    (l)該核酸試料について、該工程(h)〜(k)により検出されるDNA断片(それぞれF1、F2、F3およびF4)の存在により、該一塩基多型の遺伝子型を判定する工程;
    を含み、
    該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)は、該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)は、該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)は、該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)は、該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用の対プライマー(Pc1)は、該第1のDNA鎖の第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第2の塩基検出用の対プライマー(Pc2)は、該第2のDNA鎖の第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第3の塩基検出用の対プライマー(Pc3)は、該第3のDNA鎖の第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第4の塩基検出用の対プライマー(Pc4)は、該第4のDNA鎖の第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)がハイブリダイズする領域とは異なる任意の領域にハイブリダイズし;
    該第1の塩基検出用ブロッキング剤(B1)は、該第2のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第1のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも低いが、該第2のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第1の一塩基多型対応プライマー(Ps1)よりも高く;
    該第2の塩基検出用ブロッキング剤(B2)は、該第1のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第2のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第3のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型含む領域に対するTm値が、該第2の一塩基多型対応プライマー(Ps2)よりも高く;
    該第3の塩基検出用ブロッキング剤(B3)は、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第3の一塩基多型対応プライマー(Ps3)よりも高く;そして
    該第4の塩基検出用ブロッキング剤(B4)は、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域にハイブリダイズし、3’末端にジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を有するポリヌクレオチドであり、そして該第4のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)よりも低いが、該第1のDNA鎖、該第2のDNA鎖および該第3のDNA鎖の該所定の一塩基多型を含む領域に対するTm値が、該第4の一塩基多型対応プライマー(Ps4)よりも高い、
    方法。
  10. 前記工程(l)において、
    前記工程(h)により検出されるDNA断片(F1)が存在するが前記工程(i)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F2、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第1型であり、
    前記工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在するが前記工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第2型であり、
    前記工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在するが前記工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第3型であり、
    前記工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在するが前記工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第1/第4型であり、
    前記工程(i)により検出されるDNA断片(F2)が存在するが前記工程(h)、(j)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F3およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第2型であり、
    前記工程(i)および(j)により検出されるDNA断片(F2およびF3)が存在するが前記工程(h)および(k)により検出されるDNA断片(F1およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第3型であり、
    前記工程(i)および(k)により検出されるDNA断片(F2およびF4)が存在するが前記工程(h)および(j)により検出されるDNA断片(F1およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第2/第4型であり、
    前記工程(j)により検出されるDNA断片(F3)が存在するが前記工程(h)、(i)および(k)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF4)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第3型であり、
    前記工程(j)および(k)により検出されるDNA断片(F3およびF4)が存在するが前記工程(h)および(i)により検出されるDNA断片(F1およびF2)が存在しない場合は遺伝子型が第3/第4型であり、そして
    前記工程(k)により検出されるDNA断片(F4)が存在するが前記工程(h)、(i)および(j)により検出されるDNA断片(F1、F2およびF3)が存在しない場合は遺伝子型が第4/第4型であると判定する、
    請求項9に記載の方法。
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