JP2007530026A - 核酸配列決定 - Google Patents
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Abstract
標的核酸配列を決定するための方法であって、この標的核酸配列は、非標的核酸配列を含む調製物中に含まれ、この標的核酸配列およびこの非標的核酸配列は各々、異なる配列の第一領域の上流に共通な配列の第一領域を有し、この異なる配列の第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、この方法は、(a)この調製物とブロッキングオリゴヌクレオチドとを、この調製物にこのブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および(b)この調製物と配列決定プライマーとを、この標的核酸配列にこのプライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、この配列決定プライマーはこの共通配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である工程、を包含する。
Description
本発明は核酸配列を決定する方法に関係する。特に、本発明は、標的核酸配列が非標的核酸配列を含む調製物中に含まれている場合に、標的核酸配列を決定するための方法に関係する。また本発明は、被験体のハプロタイプを決定するための方法に関係する。
核酸、特にDNAの配列決定は、多数の分野の生物学的研究、臨床的診断並びに治療において、根本的に重要である。DNAの配列決定は、代表的にはサンガー(Sanger)の塩基配列決定法(dideoxy chain−termination method)(非特許文献1)に基づいた方法によって実践される。この方法では、標的配列に隣接する既知の配列に相補的な標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標的配列内へDNAポリメラーゼで触媒された伸長が開始される。代表的には、配列決定の各ラウンドについて4つのポリメラーゼ反応が実行される。各反応には、4つの全てのデオキシヌクレオチド(dNTP−dCTP、dTTP、dGTP、ならびにdATP)および少量のジデオキシヌクレオチド1種(ddNTP−ddCTP、ddTTP、ddGTP、あるいはddATP)が含まれる。ddNTPは3’水酸基を持たないため、初期の鎖の伸長は、時折、ddNTPの組み込みによって終結する。従って、この配列決定反応によって、長さが一連の標識された鎖が産生し、その長さは、配列内の特定の塩基の部位を示す。生じた標識された鎖は、代表的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりサイズに従って分けられ、さらに、例えばプライマーが放射性標識された場合にはオートラジオグラフィーにより、標識を検出することによって視覚化できるようにする。より最近では、サンガーの塩基配列決定法は様々な様式に適用されており、特に、複数の蛍光標識及びキャピラリーゲル電気泳動を使用する、大規模な自動化された配列決定について適用されている。
配列を決定される標的核酸が、その標的配列と同一であるいくつかの配列を示す1つ以上の異なる核酸あるいは配列を含む調製物中に提供される場合、サンガー法に基づいた配列決定法に関する一つの問題が生じる。特に、プライマー結合配列が標的配列および第2の配列あるいはさらに別の配列との両方に見出される場合、配列決定反応は、標的配列に加えて第2の配列あるいはさらに別の配列に結合するプライマーに由来する生成物を導くこととなる。標的配列が第2の配列あるいはさらに別の配列と異なる場合、その結果として生じるゲルあるいはクロマトグラフは、特定の位置に存在するので、2つ以上の塩基を示すこととなる。この方法では標的配列の生成物と第2の配列あるいはさらに別の配列との生成物とを識別できないため、標的配列を明白に決定することができない。
単一の個体の多型の部位にあるヘテロ接合対から成る1つの対立遺伝子の配列を決定することが望まれる場合、この問題は特に重大である。多数の真核細胞は二倍体であり、大半の染色体の複製物を2つ持っている。特定の染色体の各コピーの間には、通常、配列の差異が存在する。1つの個体から調製されたDNAは通常、双方の染色体のコピーを含むため、標準的な配列決定法では、それぞれのコピーに由来する配列間の差異を区別することができない。各対立遺伝子間に単一のヌクレオチドの差異が存在する場合、(各配列が特定の父系染色体あるいは母系染色体に基づくことはできないが)それにもかかわらず各染色体のDNA配列は明らかにされる。多型が2つ以上のヌクレオチドに及ぶ場合、あるいは共通配列領域とは別に2つ以上の多型部位(対立遺伝子)が存在する場合、この2つの対立遺伝子の配列を識別することはできない。特に、標準的な配列決定法は、特定の染色体上に存在する対立遺伝子の組み合わせ(ハプロタイプ)を決定することはできない。
ヒトゲノムのマッピングによって生じた関心の高まりにおいて、関心は、疾患あるいは薬剤応答に関係する標的遺伝子を同定するために、単一のヌクレオチド一多型性(SNP)の使用を増加させた。いくつかの例において、特定のSNP単離の存在は、特定の疾患を引き起こすか、あるいは、薬剤に対する感受性の個々の多様性を説明するのに十分であり得る。
しかしながら、多くの場合、個々のSNPの理解が、臨床あるいは薬剤の開発に、どのように有効であるかは、明らかでない。少なくとも喘息では、単離した個々のSNPを理解するよりも、完全なハプロタイプを形成する個々のSNPの関連性の方が、薬剤応答を予測するのにより関連があり得ることが、研究によって示されている。多くの場合において、各染色体上の2つ以上のSNPの特性に関係するハプロタイプ配列を得ることが必要となり得る。従って、1つの染色体上に共に存在するSNPの組み合わせを決定することが非常に望まれる。
HLA(ヒト白血球抗原あるいはヒト白血球関連抗原A)の遺伝子型決定は、ハプロタイプ決定が重要である1つの分野である。HLA遺伝子の2つのハプロタイプ配列の決定は、臓器移植の成功に重大である。移植拒絶を回避するため、移植に前もって、供与者の個々のハプロタイプは受容者に適合されなければならない。HLA対立遺伝子型を評価するための方法は、これまでに記載されている。当該手法の一つは、家系研究に頼り、これは非常に時間を消費する。DNA配列に基づく別の方法は、特許文献1に記載されている。しかし、ヘテロ接合性対立遺伝子が存在する場合、この手法は、両義にとれる塩基を一方の対立遺伝子あるいは別の一方の対立遺伝子に属することができるように、存在するハプロタイプ配列を前もって理解することに依存する。
これまでに用いられているハプロタイプ決定のために使用される方法の多くは、配列決定の前に単一のハプロタイプ配列のみを含む組成物を調製すること依存する。これを行う1つの方法は、2倍体細胞を半数体細胞に転換することによるものである。これには大きな投資が必要で非常に骨の折れる仕事であり、且つ時間がかかるものであるが、完全なハプロタイプの分離が得られる。あるいは、特定の染色体に関する半数体を得るためにヒト染色体を酵母内にクローニングすることができる。これも時間及び費用の点で、同じ欠点を被る。
1つのハプロタイプ配列のみを含む調製物を得る1つの方法は、対立遺伝子に特異的なプライマーを使用するPCRによってDNAを増幅することである。ヒトドーパミン2レセプター遺伝子(DRD2)のイントロン6における欠失多型性の両対立遺伝子の配列決定のための、この種のアプローチは、非特許文献2に記載されている。この方法では、対立遺伝子に特異的なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個々の対立遺伝子配列を増幅する。様々な長さのアンプリコンが作製されるようにプライマーを設計し、その結果、両対立遺伝子が同じ反応試験管内で同時に増幅される場合、各対立遺伝子産物はアガロースゲル電気泳動によって識別することができる。次に各対立遺伝子由来のアンプリコンをゲルから抽出し、保存されているプライマーを使用して配列決定を行う。このアプローチの欠点は、様々な大きさの産物を産生する適切な対立遺伝子に特異的プライマーを設計することができるよう、十分に離れている対立遺伝子間の異なる領域を少なくとも2箇所、前もって把握しておくことが必要な点である。加えてこれは、配列決定の前に、時間の掛かるゲル分離と抽出工程とを必要とする。
関連するアプローチは、非特許文献3にて記載されている。ストレプトアビジンでコーティングした磁性ビーズに結合させたビオチン化対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、1つのハプロタイプ由来のDNAをPCRによって増幅し、続いて固相DNAダイレクト配列決定のために保存プライマーを使用する。
特許文献2は、核酸を含有する試料にて、被験体の主要な組織適合性複合遺伝子型を決定するための方法を開示している。この手法は標的とする遺伝子座のPCR増幅を含み、配列決定される遺伝子座に関する全ての対立遺伝子は、1つの保存的オリゴヌクレオチドプライマー対を用いて増幅され、そして遺伝子座に関する少なくとも1つの対立遺伝子は、1つの保存的オリゴヌクレオチドプライマーおよび非保存的オリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。次いで、各対立遺伝子についてのアンプリコンは、保存的プライマーを用いて配列決定される。
ハプロタイプ配列を決定するための別の方法は、配列決定ではなく、ハイブリダイゼーションによる、多型領域を包含するPCR増幅配列の解析を含む。PCRアンプリコンを、1つのSNPを含む領域において、母系あるいは父系染色体のいずれかの配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブに接触させる。母系あるいは父系染色体に相補的なプローブは、固相の異なる部分にて固定化される。次に、別の方法で標識され、第2のSNPを含む領域において母系あるいは父系染色体のいずれかの配列に相補的な、第2のセットのオリゴヌクレオチドプローブを使用して、第1のSNPのどの配列が、第2のSNPの特定の配列と同一の染色体上にあるかを同定する。
標的核酸配列が非標的核酸配列を含む調製物内に含まれている場合の標的核酸配列を決定するために、他の手法がこれまでに適用されている。特許文献3にて記載されている1つの手法では、一方の鎖に相補的であるが、他方とは相補性のないプライマーを選択し、人為的なミスマッチをプライマー内に導入する。プライマーと一方の対立遺伝子との間で安定した2本鎖が形成されるが、他方の対立遺伝子とプライマーの間では形成されないように、適切なハイブリダイゼーション条件を選択することによって、1つの対立遺伝子の、DNA鎖伸長による配列決定が達成される。この方法の欠点は、適切なハイブリダイゼーション条件の選択に時間が掛かり、必ずしも簡単ではない点である。
特許文献4には、同一の反応混合物にて複数のゲノム座を配列決定することのできる方法が記載されている。第1の座に関係する配列決定反応から形成された最長の生成物より長いプライマーを使用することにより、この方法は、混合物中の第2の座の配列決定を可能にする。各遺伝子座には別個のプライマーを使用する。しかし、この文献では、1つの遺伝子座の特定の対立遺伝子に関するハプロタイプを決定するための手法は開示されていない。
国際公開第97/23650号パンフレット
国際公開第92/15711号パンフレット
国際公開第97/46711号パンフレット
国際公開第00/20628号パンフレット
Sanger, F.、Nicklen, S.およびCoulson, A. R.、「DNA Sequencing with chain−terminating inhibitors」、PNAS USA、1977年、第74巻、p.5463−5467
Finckら、DNA Sequence、1996年、第6巻、 2号、p.87−94
Kaneokaら、Biotechniques、1991年、第10巻、1号、p.30、32および34
従って本発明は、この従来の技術の欠点の克服を目的とする。特に、本発明は、標的核酸との共通配列領域及び異なる配列領域を持つ非標的核酸を含む調製物に標的核酸が含まれている場合に、標的核酸配列を決定する、改善された方法を提供することを目的とする。また本発明は、被験体のハプロタイプを決定するための、改善された方法を提供することも目的とする。
従って本発明は、標的核酸配列を決定するための方法を提供し、ここで、この標的核酸配列は、非標的核酸配列を含む調製物中に含まれ、この標的核酸配列およびこの非標的核酸配列は各々、異なる配列の第一領域の上流に共通な配列の第一領域を有し、この異なる配列の第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、この方法は、以下:
(a)この調製物とブロッキングオリゴヌクレオチドとを、この調製物にこのブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)この調製物と配列決定プライマーとを、この標的核酸配列にこのプライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、この配列決定プライマーはこの共通配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応がこの標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、この調製物をこの配列決定反応に供する工程であって、これによってこの標的核酸配列の異なる配列の少なくともこの第二領域を決定する、工程;
そして、ここでこのブロッキングオリゴヌクレオチドが、この非標的核酸配列の異なる配列のこの第二領域の中へと少なくとも進行することから、この配列決定反応をブロックする、方法。
(a)この調製物とブロッキングオリゴヌクレオチドとを、この調製物にこのブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)この調製物と配列決定プライマーとを、この標的核酸配列にこのプライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、この配列決定プライマーはこの共通配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応がこの標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、この調製物をこの配列決定反応に供する工程であって、これによってこの標的核酸配列の異なる配列の少なくともこの第二領域を決定する、工程;
そして、ここでこのブロッキングオリゴヌクレオチドが、この非標的核酸配列の異なる配列のこの第二領域の中へと少なくとも進行することから、この配列決定反応をブロックする、方法。
さらに別の局面において、本発明は、被験体のハプロタイプを、この被験体由来のDNAを含むサンプルから決定するための方法を提供し、この方法は、上記に規定される方法を含み、上記調製物はこのサンプルを構成し、この標的核酸配列は1対の染色体のうちの第一染色体上の遺伝子座を含み、この非標的核酸配列はこの対の第二染色体上に対応する遺伝子座を含み、この遺伝子座は2つ以上の1ヌクレオチド多型を含み、この多型についてこの被験体はヘテロ接合性であり、ここでこの配列決定反応は、この対のこの第一染色体上のこの遺伝子座の配列を決定し、これによってこの被験体のハプロタイプを決定する、方法。
さらに別の局面において本発明は、被験体由来のDNAを含む試料から、被験体のハプロタイプを決定するためのピロシーケンス(pyrosequencing)の使用を提供し、ここでピロシーケンスは、対の第1染色体上の標的遺伝子座を配列決定するために使用され、標的遺伝子座は2つ以上の1ヌクレオチド多型を含み、対の第2染色体上の対応する遺伝子座は、第2染色体にハイブリダイズされるブロッキングヌクレオチドによって配列決定からブロックされる。
本発明は、異なるものであるが関連する核酸配列を含む調整物に含まれる標的核酸配列を配列決定する、改善された方法を提供する。この方法によって、都合のよいことに、標的核酸配列が関係して進行する配列決定反応が可能となり、一方、プライマーと他の核酸配列との間の配列決定反応は、ブロッキングオリゴヌクレオチドによってブロックされる。よって、他の核酸配列からの干渉が除かれるので、得られる配列データは標的核酸配列のみに由来する。この方法は、2つの配列の間を識別する迅速且つ効率的な方法である。特に、各標的核酸配列について配列特異的な配列決定プライマーを構築する必要がないため、この方法は有益である。またこの方法は、プライマーが近い関係にある配列にハイブリダイズする際の、識別の欠如に関係する問題を被ることがない。
またこの方法は、ハプロタイプ決定のための、強化された方法を提供する。この方法によって対立遺伝子関連性の迅速な決定が可能となり、被験体の特定の遺伝子座に存在する2つのハプロタイプを個々に同定することができる。特に、SNPの関連性を同定する際、並びにHLA遺伝子型決定の際にこの方法は有益である。特に本方法は、時間のかかる家系研究、あるいは対立遺伝子関連性についての前持った知見を必要としない。
本発明の標的核酸配列は、特に限定されない。適切な標的核酸配列には、デオキシリボ核酸(DNA)配列、リボ核酸(RNA)配列、あるいは1つ以上の修飾ヌクレオチドあるいは塩基、もしくは1つ以上の合成ヌクレオチドあるいは塩基を含有するDNA配列あるいはRNA配列が含まれる。同様に第2の核酸配列も特に限定されず、DNA配列あるいはRNA配列であってもよく、必要に応じて1つ以上の修飾ヌクレオチドあるいは塩基を含む。
標的核酸配列および/または非標的核酸配列は、DNA配列であることが好ましい。このDNA配列はゲノムDNAであってもよいか、あるいはcDNA配列であってもよい。各配列はヒトDNA配列であることが好ましい。
標的核酸配列は、非標的核酸と同じ核酸重合体内に含まれ得る。しかし、2つの核酸配列は別個のDNA分子上にあることが好ましい。標的核酸配列並びに非標的核酸配列は、各々、被験体の多型遺伝子座に別個の対立遺伝子を含むことがより好ましい。この実施形態において、標的核酸配列は対の1つの染色体(母系あるいは父系)上の遺伝子座を含み、非標的核酸配列はこの対の他方の染色体上の遺伝子座を含む。
本発明において調製物は、標的核酸配列及び非標的核酸配列を含む。適切な調製物には、2つ以上の核酸配列を含む任意の調製物が含まれ、但し、少なくとも2つの核酸配列は共通配列の領域を共有するが、異なる配列の領域においては相違する。調製物は精製DNA調製物を含むことが好ましい。調製物は、1人のヒト被験体に由来する試料から調製されることが好ましい。即ち、調製物は、ヒト唾液、血液、尿、あるいは他の組織の試料、もしくは当該試料から調製したゲノムDNAを含むDNA調製物であり得る。
一実施形態において調製物は、1つ以上のさらなるの核酸配列を含み、さらなる核酸配列の各々は、異なる配列の第2領域の上流にある異なる配列の第1領域の上流に、共通配列の第1領域を有する。ここで「共通配列」は、さらなる核酸配列の配列が、この領域において、標的核酸配列並びに非標的核酸配列と同一であることを意味する。「異なる配列」とは、さらなる核酸の配列が、この領域において、標的核酸配列並びに(あるいは)非標的核酸配列と異なることを意味する。
この実施形態において、本方法には、プライマーと1つ以上のさらなる核酸配列との間の配列決定反応をブロックする工程を包含し得る。プライマーとさらなる核酸配列との間の配列決定反応は、プライマーと非標的核酸配列との間の配列決定反応の場合と同じ手段でブロックされ得る。標的核酸配列のみに由来する配列決定反応生成物を得ることが所望される場合、プライマーとさらなる核酸配列の各々との間の配列決定反応がブロックされ得る。
あるいは、プライマーとさらなる核酸配列の一部のみとの間の配列決定反応がブロックされ得る。下記の方法を用いることによって、特定のさらなる核酸配列由来の配列決定を選択的にブロックし得るか、あるいは進行させることもできる。この種の分析は、「多重化」と呼ばれる得る。多重化によって、個体の試料内あるいは異なる個体に由来する多数の試料内の複数部位の分析が可能となる。
多重化を用いる一実施形態において、調製物は2つ以上の個体から採取した試料に由来するDNAを含む。例えば、1つのグループ内の異なる個体に由来する、多数のDNA調製物を組み合わせ得、この組み合わせ調製物で、本明細中で記載される方法を実行することもできる。この方法を用いて、グループ内の全ての個体において、1つの染色体上に特定のSNPの組み合わせが共存しているか否かを評価することも使用され得る。存在する場合、配列決定反応によって1つの配列が生じることとなる。存在しない場合、配列決定反応によって、配列内の1つ以上のSNPの部位に別の塩基があることが示唆されることとなる。続いて、どの個体にどの組み合わせのSNPが存在したかを決定することが所望される場合、各個体に由来する別々のDNA調製物でこの方法を繰り返すことが必要となる。
多重化が関係する別の実施形態において、1回の配列決定反応を用いて、2つ以上の標的核酸配列が決定され得る。この実施形態において本発明は、2つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して並立して実行され、各オリゴヌクレオチドプライマーは異なる配列に対して相補的である。この方法では、2つ以上の多型部位が同時に分析され得る。各標的核酸配列は、対応する非標的核酸配列と、共通配列の第1領域を共有する。各プライマーとこれと相補的な非標的核酸配列との間の配列決定反応はブロックされ、配列決定反応は、完全に、標的核酸配列に関してのみ進行する。
このような実施形態において本発明は、複数の標的核酸配列を決定するための方法を提供し、ここで、この複数の標的核酸配列は調製物中に含まれ、、この調製物は、対応する複数の非標的核酸配列をさらに含み、この調製物中の各々の標的核酸配列は、この調製物中の対応する1つ以上の非標的核酸配列に対応し、各々の標的核酸配列および各々の対応する非標的核酸配列は、異なる配列の第一領域の上流に共通の第一領域を有し、この異なる配列の第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、各々の標的核酸配列の共通配列のこの第一領域は、その対応する非標的核酸配列の共通配列のこの第一領域と同じであり、各々の標的核酸配列の異なる配列のこの第一領域は、その対応する非標的核酸配列の異なる配列のこの第一領域と別々であり、各々の標的核酸配列の異なる配列のこの第二領域は、その対応する非標的核酸配列の異なる配列のこの第二領域と別々であり、この方法は、
(a)この調製物と複数のブロッキングオリゴヌクレオチドとを、この調製物に各々のブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)この調製物と複数の配列決定プライマーとを、この調製物にこのプライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、各々のプライマーは、標的核酸配列とその対応する非標的核酸配列との共通配列のこの第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応がこの標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、この調製物をこの配列決定反応に供する工程であって、これによって各々の標的核酸配列の異なる配列の少なくともこの第二領域を決定する、工程;
そして、ここでこのブロッキングオリゴヌクレオチドが、対応する各々の非標的核酸配列の異なる配列の該第二領域の中へと少なくとも進行することから、この配列決定反応をブロックする、方法。
(a)この調製物と複数のブロッキングオリゴヌクレオチドとを、この調製物に各々のブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)この調製物と複数の配列決定プライマーとを、この調製物にこのプライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、各々のプライマーは、標的核酸配列とその対応する非標的核酸配列との共通配列のこの第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応がこの標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、この調製物をこの配列決定反応に供する工程であって、これによって各々の標的核酸配列の異なる配列の少なくともこの第二領域を決定する、工程;
そして、ここでこのブロッキングオリゴヌクレオチドが、対応する各々の非標的核酸配列の異なる配列の該第二領域の中へと少なくとも進行することから、この配列決定反応をブロックする、方法。
この実施形態において、1つ以上の標的核酸配列に由来する配列決定反生成物が得られる。従って、各標的核酸配列に由来する配列決定反応生成物を識別するための1つの方法が必要とされる。これは、各核酸配列由来の配列決定反生成物を標識することによって行われる場合があり、ここで個別に標識されても配列決定反応は進行することができる。
各標的核酸配列に由来する配列決定反応生成物は、各オリゴヌクレオチドプライマーを個別に標識することによって識別され得る。一実施形態において、各プライマーは、異なる波長で蛍光を発する蛍光ラベルによって標識される。次に、各標的核酸配列に由来する配列決定生成物は、例えばゲル電気泳動の後に自動シークエンサーを使用して識別することもできる。別の実施形態において、1つ以上のプライマーをリガンド−親和物質対の片方で標識する。好ましいリガンド−親和物質対はビオチン−ストレプトアビジンである。1つの標的核酸配列に由来する配列決定生成物を固相(例えば、磁性ビーズ)に結合させるために、リガンド−親和物質の相互作用を使用することもでき、これによって、標識された配列決定生成物を非標識配列決定生成物から分離する。次に、標識された配列決定生成物並びに非標識の配列決定生成物を、別々にゲル電気泳動に供し得る。2つのプライマーを使用する実施形態において(2つの異なる標的核酸配列を配列決定するため)、各標的核酸配列由来の配列決定生成物を分離するために、1つのプライマーのみを標識する必要がある。3つ以上のプライマーを使用する実施形態において、2つ以上のプライマーを標識する必要がある。この場合、各標的核酸配列に由来する配列決定生成物を別個の固相に結合させ、これによって分離することができるように、標識される各プライマー用に異なるリガンド−親和物質対を選択する必要がある。一般に、n個のプライマーを使用する場合、n−1個のプライマーを標識する必要がある。
2つの核酸配列の各々は、共通配列の第1領域を含む。これは、この領域において標的核酸配列が非標的核酸配列と同一であることを意味する。都合の良いことに、この方法によって、共通配列の領域に相補的な(ブロッキングオリゴヌクレオチドが存在しない場合には双方の核酸配列にハイブリダイズする)一般的なプライマーを使用するにもかかわらず、標的核酸配列のみの配列決定が可能となる。
共通配列の第1領域は少なくとも10のヌクレオチドの長さを含むことが好ましく、少なくとも20のヌクレオチドであることがより好ましい。
共通配列の第1領域は、異なる配列の第1領域の上流にある。異なる配列の第1領域は、異なる配列の第2領域の上流である。「上流」によって、配列決定の方向に関して上流であることが意味される。配列決定プライマーは、最初に、共通配列の第1領域の少なくとも一部分を含む領域にハイブリダイズする。プライマーが伸長すると(下流方向に)、異なる配列の第2領域の前まで、異なる配列の第1領域はプライマーが伸長するための鋳型となる。プラマーの伸長は、代表的には5’から3’方向へ進行するため(ヌクレオチドはプライマーの3’末端に付加する)、共通配列の第1領域は、代表的には、異なる配列の第1領域へ向かう3’に位置し、異なる配列の第1領域は代表的には異なる配列の第2領域へ向かう3’に位置する。
「異なる配列の領域」によって、この領域において標的核酸配列が非標的核酸配列と異なることが意味される。一実施形態において異なる配列の第1領域並びに第2領域は隣接しており、従って、異なる配列の第2領域は異なる配列の第1領域の直後に位置し、共通配列の領域から成る介在領域はない。別の実施形態において、第1の異なる配列並びに第2の異なる配列は共通配列の第2領域によって分離されている。
一実施形態において、標的核酸配列並びに非標的核酸配列は、1つ以上のさらに別の異なる配列の領域を含む。例えば、異なる配列の第2領域の下流に、異なる配列の第3領域、第4領域、第5領域、あるいはその後の領域が存在し得る。しかし、少なくとも2つの異なる配列領域が存在しなくてはならない。異なる配列から成る各領域はさらに別の共通配列領域によって分離されている。この方法によって、配列決定反応の進行が可能な限り、異なる配列の第2領域の下流の標的核酸配列の配列を決定することが可能となる。
異なる配列の第1領域並びに第2領域の長さには、特に限定がない。1つのヌクレオチドから上流の任意の長さの異なる配列を用いることができる。好ましい実施形態において、異なる配列の一方あるいは両方は、SNPを含有する。
本発明の方法において、調製物を、非標的核酸配列の異なる配列の第1領域から成る配列に相補的なブロッキングオリゴヌクレオチドに、ブロッキングオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする条件下で接触させる工程が含まれる。ブロッキングオリゴヌクレオチドは、代表的に、5から50ヌクレオチドの長さの一本鎖DNAであり、10から50ヌクレオチドであることが好ましく、好ましくは10から40ヌクレオチドの長さであって、15から35ヌクレオチドの長さであることがより好ましく、15から25ヌクレオチドの長さであることが最も好ましい。
よって、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列に非相補的な塩基を1つ以上含有する。少なくとも工程(a)において、ブロッキングオリゴヌクレオチドが非標的核酸配列とハイブリダイズするが、標的核酸配列とはハイブリダイズしないように、ハイブリダイゼーション条件を選択することが重要である。ブロッキングオリゴヌクレオチドが結合する領域内で標的核酸配列と非標的核酸配列との間の違いがわずかに1塩基しかない場合、ハイブリダイゼーション条件、特にハイブリダイゼーション温度は、とりわけ注意深く選択しなければならない。選択した温度が高すぎる場合、非標的核酸配列のブロッキングが不十分となる場合がある。選択した温度が低すぎる場合、ブロッキングオリゴヌクレオチドは標的核酸配列ともハイブリダイズし、標的核酸配列に関して進行する配列決定反応が妨げられる場合がある。
工程(a)のためのハイブリダイゼーション条件は、当該分野の技術者に周知されている判断基準に従って選択することもできる。ハイブリダイゼーションために適切な温度並びに塩濃度は、ブロッキングヌクレオチドの長さ、並びにそのG−C含量、その他に従って選択する必要がある(Old & Primrose (1994), Principles of Gene Manipulation, Blackwell ScienceおよびManiatisら、(1992), Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)。代表的にはハイブリダイゼーション温度は、そのオリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)に近いはずである。Tmはオリゴヌクレオチドとその標的が50%解離する温度として定義され、「ウォーレスの規則」に従い以下の公式によって算出することもできる。
Tm = 4 X (G:C塩基対の数) + 2 X (A:T塩基対の数)
好ましくは、ハイブリダイゼーション温度は、Tmの2℃以内であるべきである。従って、G−C含量が50%の20 merブロッキングオリゴヌクレオチドでは、Tmは約60℃であり、適切なハイブリダイゼーション温度は58℃である。
好ましくは、ハイブリダイゼーション温度は、Tmの2℃以内であるべきである。従って、G−C含量が50%の20 merブロッキングオリゴヌクレオチドでは、Tmは約60℃であり、適切なハイブリダイゼーション温度は58℃である。
本発明に従って、ブロッキングオリゴヌクレオチドは配列決定プライマーによる非標的核酸配列の配列決定を阻害する。従って、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、自身が非標的核酸配列のプライマーとして作用してはならない。これを防ぐ一つの方法は、例えば、オリゴヌクレオチド合成の過程で、3’部位にジデオキシヌクレオチドを付加することによって、3’水酸基を持たないブロッキングオリゴヌクレオチドを使用することである。
あるいは、好ましい一実施形態で工程(a)はさらに、調製物を転写終結ヌクレオチドに接触させる工程を含む。ブロッキングオリゴヌクレオチドの3’末端のすぐ隣の非標的核酸配列内の塩基に相補的となるように、特定の転写終結ヌクレオチド(例えば、ddATP、ddCTP、ddGTP、あるいはddTTP)が選択され得る。DNAポリメラーゼが存在する状態で、非標的核酸配列にハイブリダイズした場合にのみ、この転写終結ヌクレオチドはブロッキングオリゴヌクレオチドに取り込まれる。3’末端の塩基が非標的核酸配列の異なる配列第1領域内の塩基と相補的となるように、ブロッキングオリゴヌクレオチドを選択すれば、これは、転写終結ヌクレオチドが、標的核酸配列とハイブリダイズする可能性が考えられるあらゆるブロッキングヌクレオチドに取り込まれないことを確保する助けとなる。
ブロッキングオリゴヌクレオチドは2つの経路のうちの1つにおいて、非標的核酸配列の配列決定をブロックする可能性がある。第一は、異なる配列の第1領域並びに(配列決定プライマーはここと相補的である)共通配列の第1領域と重なる領域に結合するようにブロッキングオリゴヌクレオチドを選択した場合、非標的核酸配列に結合する配列決定プライマーを阻害することとなる。あるいは、配列決定プライマー結合部位の下流(配列決定方向に関して)にある領域に結合するようブロッキングオリゴヌクレオチドを選択する場合がある。この場合、配列決定プライマーは双方の核酸配列に結合することとなるが、非標的核酸配列に結合したプライマーの伸長は阻害されることとなる。
好ましい一実施形態において、転写終結ヌクレオチドは、プライマーと非標的核酸配列とを共有結合的に架橋することができる。あるいは、それぞれWO 95/15974並びにWO 00/66604に記載されているように、ペプチド核酸(PNA)並びに(L−リボ−)ロックド(Locked)核酸(LNA)ヌクレオチドを含む転写終結ヌクレオチドを使用して、非標的核酸配列の配列決定を阻害することができる。
好ましい一実施形態において、工程(a)はさらに、非標的核酸配列が、ブロッキングオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした配列内で開裂切断する条件下で、調製物を開裂切断剤と接触させる工程を包含する。この実施形態において、二本鎖DNA内のみにDNAの切れ目を導入する開裂切断剤を選択する。一本鎖DNA調製物を使用する場合、ブロッキングオリゴヌクレオチドが標的核酸配列にハイブリダイズしなければ、非標的核酸配列のみが切断されることとなる。
開裂切断剤は制限エンドヌクレアーゼであることが好ましい。非標的核酸配列のみが切断されることを確保する一つの方法は、非標的核酸配列の異なる配列第1領域を含有する配列を認識する制限エンドヌクレアーゼを使用することである。
あるいは、認識配列がブロッキングオリゴヌクレオチドの結合部位内であれば、標的核酸配列と非標的核酸配列の両方に共通な配列を認識する制限エンドヌクレアーゼが使用され得る。従って、制限エンドヌクレアーゼは共通配列の第1領域あるいは第2領域内の部位を認識し得る。一実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、ブロッキングオリゴヌクレオチド結合部位の下流の認識部位で非標的核酸配列の切断を可能にするのに十分な、重合化によって伸長される。この場合、伸長の度合いを調節することができるように、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ヌクレオチドを加えることによって段階的に伸長される。
規定されたDNA配列を認識するものである限り、制限エンドヌクレアーゼは特に限定されない。適切なエンドヌクレアーゼは、非標的核酸配列内の適切な位置に既知の認識部位が存在することに従って選択され得る。制限エンドヌクレアーゼは、好ましくは、II型制限エンドヌクレアーゼである。
別の実施形態において、開裂切断剤は化学切断剤を含む。
ブロッキングオリゴヌクレオチドが共有結合的に非標的核酸配列と結合する場合、あるいは、非標的核酸配列が切断される場合、工程(c)において標準的な配列決定反応を実施することができる。代表的には、多くのサイクルのプライマーの標的核酸配列へのハイブリダイゼーション、ポリメラーゼによる重合、並びに鋳型由来伸長生成物の分離を可能にするため、このような配列決定反応は電子サーモサイクラー(thermocycler)を利用する。それぞれが1つのジデオキシ配列終結物(dATP、dCTP、dGTP、あるいはdTTP)を含む、4つの別個の配列決定反応が行われる場合があり、生成物は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びオートラジオグラフィーによって、別々のレーンにて目視することもできる。特定の各終結ヌクレオチドを表示するために異なる波長で蛍光を発する蛍光標識を含む色素転写終結物を使用する場合には、1回の配列決定反応を利用することができる。
あるいは、ブロッキングオリゴヌクレオチドが非標的核酸配列に共有結合的に結合しない場合、配列決定反応の過程で、非標的核酸配列の配列決定反応が可能となる場合もある、ブロッキングオリゴヌクレオチドの非標的核酸配列からの分離がおこらないよう確保することが重要である。従って、この実施形態では、配列決定反応の温度をブロッキングオリゴヌクレオチド/非標的核酸配列複合体の変性温度を下回るよう維持することが好ましい。二本鎖DNAのような二本鎖の核酸に関しては、DNA鎖を分離するために、最初に調製物を95℃等の高温に加熱することができる。次に、代表的には、ブロッキングオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするのに適切な温度(例えば、G−C含量50%の20 merオリゴヌクレオチドには60℃)まで、この調製物を冷却する。配列決定プライマーを加えて取り込まれなかったを除去した後、続いて、(例えば)サーモサイクルを用いずに、一定の温度で配列決定反応を実行する。
本方法は、調製物を、共通配列の第1領域の少なくとも一部分と相補的な配列決定プライマーとを接触させる工程を包含する。これは、プライマーの少なくとも一部分は、標的核酸配列と非標的核酸配列の双方に存在する配列に相補的であることを意味する。即ちプライマーは、適切な条件下で(且つ任意のブロッキング剤が存在しない状態下で)標的核酸配列と非標的核酸配列の双方にハイブリダイズすることができる。
好ましい一実施形態において、プライマーは共通配列の第1領域内にその全体が存在する配列と相補的である。これは、プライマーのハイブリダイゼーション部位に、標的核酸配列と非標的核酸配列の双方において同一の配列が含まれていることを意味する。しかし、別の実施形態において、その一部分が標的核酸配列と非標的核酸配列とで異なる配列にハイブリダイズすることのできるプライマーが使用される場合がある。この実施形態において、プライマーは、標的核酸配列あるいは非標的核酸配列のどちらか一方に存在する配列に完全に相補的である場合があるが、プライマーの一部分は他方の核酸配列に相補的であり得ない。従って、プライマーの一部分のみが核酸配列の一方にハイブリダイズすることができる。あるいは、一方が標的核酸配列に相補的で、他方が非標的核酸配列に相補的な、2種類のものを含むような混合プライマーを使用し得る。プライマーがハイブリダイズする領域において標的核酸配列と非標的核酸配列との間の配列の差異は、1つあるいは2つのヌクレオチドに限られるべきであることが好ましく、1つのヌクレオチドであることがより好ましい。また、この差異は、プライマーの5’末端がハイブリダイズへ向かう核酸配列の領域内に位置し得る。ミスマッチがプライマーの3’末端近くに位置するのであれば、重合が阻害される可能性がより高くなる。使用されるハイブリダイゼーションの条件下で、プライマーが、2つの核酸配列のうちの一方のみに選択的にハイブリダイズすることができない限り、これらの実施形態は本発明の範囲内におさまる。この場合、配列決定は2つの核酸配列の内の一方のみから進行することとなるため、ブロッキングの工程が必要でない。
標的核酸にハイブリダイズした場合に配列決定反応を開始する能力があるものであれば、プライマーの性質に特に制限はない。プライマーは一本鎖DNAであることが好ましい。プライマーの長さは、10から50ヌクレオチドであることが好ましく、より好ましくは10から40ヌクレオチド、最も好ましいのは15から30ヌクレオチドである。適切なプライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNAの配列決定並びに増幅等のポリメラーゼ反応のためにプライマーを選択するための、当業者に周知の標準的な技術に従って設計することもできる。
調製物は、代表的にはプライマーの水溶液を適切な量のDNAを含有する調製物に加えることによって、配列決定プライマーに接触させる。次に、プライマーがこのDNAの共通配列の第1領域にハイブリダイズするように、当業者に周知の判断基準に従い且つブロッキングオリゴヌクレオチドに関する先の記述のように、ハイブリダイゼーション条件を選択する。ブロッキングオリゴヌクレオチドが非標的核酸配列と架橋形成をしない場合、ブロッキングオリゴヌクレオチドが非標的核酸配列から分離するまで十分に温度を上げないことが重要である。ブロッキングオリゴヌクレオチド並びに配列決定プライマーは、類似するTmを有するものとなるよう選択することが好ましい。
一旦、配列決定プライマーを標的核酸配列にハイブリダイズさせると、調製物は配列決定反応を供する。配列決定反応は、プライマーが核酸配列にハイブリダイズした場合にプライマーの延長並びに伸長が関係するものであれば、任意の種類の核酸配列決定反応であり得る。プライマーの伸長は、代表的には、Thermus aquaticusあるいはPfu DNAポリメラーゼ等、高温の工程を包含する反応のためのDNAポリメラーゼ、あるいは高温の工程がない場合には他の適切なDNAポリメラーゼを使用して実行される。配列決定反応は、ピロシーケンス等のリアルタイム配列決定法を包含することが好ましい。別の実施形態において、配列決定反応はジデオキシヌクレオチドを使用するサンガー配列決定法を包含する。
配列決定反応は、標的核酸配列の異なる配列の第2領域内で進行する。代表的には、これは、伸長したプライマーが、標的核酸配列の異なる配列の第2領域内の1つ以上のヌクレオチドに相補的な取り込まれたヌクレオチドを含むように、標的核酸配列にハイブリダイズされるプライマーの少なくとも一部が伸長することを意味する。ジデオキシヌクレオチド終結配列決定法の使用が関係する特定の実施形態において、配列を決定するために伸長するプライマーの一部がそれぞれの位置で終結するため、プラマーの断片のみが異なる配列の第2領域内で伸長され得る。
ブロッキングオリゴヌクレオチドは、異なる配列の第2領域において、認められる生成物のみが標的核酸配列に由来するように、非標的核酸由来の配列決定生成物の生成を妨げる。非標的核酸配列からの干渉が排除されるため、これによって標的核酸配列の配列決定が可能となる。また、この方法によって、特定のヌクレオチドが異なる配列の第1領域に存在する場合、意図的に配列決定反応をブロックすることによって、異なる配列の第1領域内の特定の配列を、異なる配列の第2領域内の特定の配列に相伴するものと決定することが可能となる。
次に、洗浄(特に核酸が固形支持体に結合している場合)もしくはアピラーゼ等のヌクレオチド分解酵素を使用することのいずれかによって、取り込まれなかった終結ヌクレオチドを除去する。続いて、ブロッキングオリゴヌクレオチドを非標的核酸配列から分離させることなく、調製物の配列決定反応を行う。このように、非標的核酸配列に関して配列決定反応は進行しない。標的核酸配列は妨げられることなくプライマーを伸長させ、配列決定反応は標的核酸配列に関してのみ進行する。
好ましい実施形態において、配列決定反応は、ピロリン酸塩放出の検出に基づく配列決定の方法を包含する。利用することのできる方法は、WO 98/28440並びにScience (1998) Vol 281, 363〜365ページに記載されており、それらの内容は本明細書中に参考として援用される。このような方法は「ピロシーケンス」と呼ばれている。一つのある適切なピロシーケンス法に従うと、配列決定する核酸をプライマー、DNAポリメラーゼ、ATPスルフリラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、及びアピラーゼ等のヌクレオチド分解酵素と共にインキュベートする。4つのヌクレオチドを段階的に加えるが、ここでヌクレオチドは伸長するDNA鎖のみに取り込まれることとなり、鋳型鎖内の塩基と相補的であればピロリン酸塩(PPi)を放出する。あらゆるPPiの放出は、例えば、照度計あるいは電荷結合素子カメラ(charge−coupled device camera)等の適切な光感度装置にて検出される光の産生に帰着する酵素カスケード等によって、酵素的に検出される。取り込まれなかったヌクレオチドは、最初のヌクレオチドが分解された後に次のヌクレオチドを加えることができるよう、各サイクル間にヌクレオチド分解酵素によって分解される。この手順を繰り返すことで、鋳型配列が伸長していくと論理的に推定される。
段階的なヌクレオチドの追加とその取り込みの同時検出とを包含する、ピロリン酸塩放出の検出に基づく方法は、ブロッキングオリゴヌクレオチドが非標的核酸配列から分離する可能性もある加熱の工程を必要としないため、本発明に従う配列決定反応を実行するのに好ましい。ピロシーケンスは、一本鎖の鋳型を使用して実行することが好ましく、これは、磁性ビーズ上のビオチンで一つのDNA鎖を捕捉することによって適切に調製することもできる。一本鎖の鋳型は溶液中で遊離しているか、あるいは固形支持体上に固定化されている場合がある。あるいは、この方法で使用する酵素が熱耐性であれば、二本鎖DNAの鋳型を使用し得る。このような実施形態において、1回の加熱の工程を用いて二本鎖DNAを変性させ、プライマーをアニーリングさせる工程がこれに続く。ブロッキングの工程の後、伸長するプライマーはこの鋳型から分離されない。
また、WO 93/23562並びにWO 98/13523に記載されているように、ピロリン酸塩放出の検出に基づく前者の方法も、本発明に利用可能である。これらの方法ではヌクレオチド分解酵素を使用せず、よってDNAを固形支持体上に固定化し、各ヌクレオチドを添加する間に洗浄する工程を必要としない。
本発明の好ましい実施形態において、本方法は、被験体の対の一方の染色体の特定の領域内に存在する個々のSNPの組み合わせの決定する工程を包含する。SNPのような対立遺伝子の関連性を決定することを、ハプロタイプ決定と呼ぶ。この実施形態において、異なる配列の第1領域並びに第2領域の各々は、1つのヌクレオチドを含有する。 標的核酸配列は、個々の被験体の対の一染色体上の特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、遺伝子の一部、あるいは調節因子)を含み、非標的核酸配列は、対のもう一方の対応する配列を含む。この遺伝子座は2つ以上のSNPを含む。共通配列の第1領域並びに第2領域は、2つの染色体の間で非多型である遺伝子座の部分を含有する。
被験体の試料内の前もって同定されたSNPの関連性を決定するためにこの方法を利用する場合、第1のSNPに関する既知の対立遺伝子の一つを利用して、その染色体由来のさらなる配列決定をブロックする。このように、さらなる配列決定はもう一方の染色体からのみ進行し;そのもう一方の染色体に関して、第2のSNPに存在する塩基を決定して各染色体上に存在するSNPの組み合わせを決定することができる。
例えば、SNP−1に関して2つの対立遺伝子A(染色体A上)及びC(染色体A’上)、並びにSNP−2に関して2つの対立遺伝子G及びTが、被験体の特定の遺伝子内に存在することが知られているが、各染色体上の対立遺伝子の組み合わせ(ハプロタイプ)が知られていない場合がある。従って、この個体に関して、可能性のあるハプロタイプ(染色体A並びにその対合相手である染色体A’に関して)は、(1)A−G(染色体A上)且つC−T(染色体A’上)、あるいは(2)A−T且つC−Gのいずれかである。これらの可能性を区別するため、ジデオキシグアノシン3リン酸を、SNP−1にてCを有する染色体A’に取り込まれるよう調製物に加える。続いて、配列決定反応は染色体A内のみで進行する。配列決定の結果、SNP−2にGがあることが示されれば、(1)が正しい。SNP−1に取り込ませるため、ジデオキシチミジン3リン酸を加えた場合には、TがSNP−2に存在することが予想されることとなる。
HLA遺伝子型の決定は、ハプロタイプ決定が特に有用な一分野である。HLA遺伝子の2つのハロタイプの遺伝子型を決定することは、臓器並びに骨髄移植の成功にとって決定的不可欠である。好ましい一実施形態において、遺伝子座は、ヒトクラスIもしくはクラスII HLA遺伝子である。
本発明はここで、以下の具体的な図を伴って、説明のためのみにさらに詳細が記載される。
図1は、標的核酸1並びに非標的核酸2を示す。標的核酸並びに非標的核酸は各々、共通配列3の第1領域、異なる配列4の第1領域、及び異なる配列6の第2領域を有する。示される実施形態において、共通配列5の第2領域は、異なる配列の第1領域と第2領域との間にある。また、異なる配列(8並びに10)の第3領域及び第4領域、並びに共通配列(7、9、並びに11)の第3領域、第4領域および第5領域も示される。
図2は、非標的核酸配列の異なる配列の第1領域の少なくとも一部分に相補的であってこれにハイブリダイズするブロッキングオリゴヌクレオチド(B)を示す。
図3は、共通配列の第1領域に相補的であってこれにハイブリダイズする配列決定プライマー(12)を示す。プライマー12が標的核酸配列を鋳型として利用して矢印の方向に伸長するように、配列決定反応は矢印13の方向に進行する。ブロッキングオリゴヌクレオチド(B)は、少なくとも、非標的核酸配列の異なる配列の第2領域内へ配列決定反応が進行するのをブロックする。
図4は、標的核酸を鋳型として利用するプライマーの伸長の結果得られる、配列決定反応生成物(14から18)を示す。配列決定反応は、少なくとも、異なる配列の第2領域まで進行する。
図5は非標的核酸を鋳型として利用するプライマーの伸長の結果得られる配列決定反応生成物(19)を示す。配列決定反応は、異なる配列の第2領域まで進行しない。
Claims (29)
- 標的核酸配列を決定するための方法であって、ここで、該標的核酸配列は、非標的核酸配列を含む調製物中に含まれ、該標的核酸配列および該非標的核酸配列は各々、異なる配列の第一領域の上流に共通な配列の第一領域を有し、該異なる配列の第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、該方法は、以下:
(a)該調製物とブロッキングオリゴヌクレオチドとを、該調製物に該ブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、該ブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)該調製物と配列決定プライマーとを、該標的核酸配列に該プライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、該配列決定プライマーは該共通配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応が該標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、該調製物を該配列決定反応に供する工程であって、これによって該標的核酸配列の異なる配列の少なくとも該第二領域を決定する、工程;
そして、ここで該ブロッキングオリゴヌクレオチドが、該非標的核酸配列の異なる配列の該第二領域の中へと少なくとも進行することから、該配列決定反応をブロックする、方法。 - 前記標的核酸配列および前記非標的核酸配列が各々、異なる配列の前記第一領域と異なる配列の前記第二領域との間に存在する共通配列の第二領域を有する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1または請求項2に記載の方法であって、ここで工程(a)が、前記調製物と終結ヌクレオチドとを、前記非標的核酸配列にハイブリダイズされる前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの中に該終結ヌクレオチドを組み込む条件下で接触させる工程をさらに包含する、方法。
- 前記終結ヌクレオチドがジデオキシヌクレオチドである、請求項3に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、ここで前記非標的核酸配列に対する前記ブロッキングオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、該非標的核酸配列に対するプライマーの結合を阻害し得る、方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、ここで前記非標的核酸配列に対する前記ブロッキングオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、該非標的核酸配列にハイブリダイズした前記配列決定プライマーの伸長を阻害し得る、方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の方法であって、ここで工程(a)は、前記調製物と、切断剤とを、前記非標的核酸配列を切断する条件下で接触させる工程をさらに包含し、該切断剤が、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの配列の少なくとも一部を含む二本鎖認識配列を認識する、方法。
- 請求項7に記載の方法であって、ここで工程(a)は、前記調製物と前記ブロッキングオリゴヌクレオチドとを、前記非標的核酸配列にハイブリダイズした該ブロッキングオリゴヌクレオチドを伸長させる条件下で接触させて、該調製物を重合反応に供する工程、および該調製物と前記切断剤とを、共通配列の前記第二領域内で該非標的核酸配列を切断する条件下で接触させる工程を包含する、方法。
- 前記切断剤が制限エンドヌクレアーゼを含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
- 前記制限エンドヌクレアーゼが、前記非標的核酸配列のうちの異なる配列の第一領域の少なくとも一部を含む認識配列を認識する、請求項9に記載の方法。
- 請求項9または請求項10に記載の方法であって、ここで、前記制限エンドヌクレアーゼが、共通配列の第二認識領域の少なくとも一部を含む認識配列を認識する、方法。
- 前記切断剤が化学切断剤を含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
- 前記終結ヌクレオチドが、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドと前記非標的核酸配列との共有結合性に架橋し得る、請求項3〜12のいずれかに記載の方法。
- 異なる配列の前記第二領域が1種のヌクレオチドを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 異なる配列の前記第一領域が1種のヌクレオチドを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 前記配列決定反応が、ピロホスフェートの放出の検出に基づく、配列決定の方法を包含する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記配列決定反応がピロシーケンスを包含する、請求項16に記載の方法。
- 前記調製物が、2以上の個体由来のDNAを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 複数の標的核酸配列を決定するための方法であって、ここで、該複数の標的核酸配列は調製物中に含まれ、、該調製物は、対応する複数の非標的核酸配列をさらに含み、該調製物中の各々の標的核酸配列は、該調製物中の対応する1つ以上の非標的核酸配列に対応し、各々の標的核酸配列および各々の対応する非標的核酸配列は、異なる配列の第一領域の上流に共通の第一領域を有し、該異なる配列の第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、各々の標的核酸配列の共通配列の該第一領域は、その対応する非標的核酸配列の共通配列の該第一領域と同じであり、各々の標的核酸配列の異なる配列の該第一領域は、その対応する非標的核酸配列の異なる配列の該第一領域と別々であり、各々の標的核酸配列の異なる配列の該第二領域は、その対応する非標的核酸配列の異なる配列の該第二領域と別々であり、該方法は、
(a)該調製物と複数のブロッキングオリゴヌクレオチドとを、該調製物に各々のブロッキングオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、該ブロッキングオリゴヌクレオチドは、非標的核酸配列の異なる配列の第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;
(b)該調製物と複数の配列決定プライマーとを、該調製物に該プライマーをハイブリダイズさせる条件下で接触させる工程であって、各々のプライマーは、標的核酸配列とその対応する非標的核酸配列との共通配列の該第一領域の少なくとも一部に対して相補的である、工程;および
(c)配列決定反応が該標的核酸配列の異なる配列の第二領域の中へと進行するように、該調製物を該配列決定反応に供する工程であって、これによって各々の標的核酸配列の異なる配列の少なくとも該第二領域を決定する、工程;
そして、ここで該ブロッキングオリゴヌクレオチドが、対応する各々の非標的核酸配列の異なる配列の該第二領域の中へと少なくとも進行することから、該配列決定反応をブロックする、方法。 - 請求項1〜19のいずれかに記載の方法であって、ここで、前記標的核酸配列と前記非標的核酸配列とが、異なる配列の該第二領域の下流にある異なる配列の1つ以上のさらなる領域を含む、方法。
- 被験体のハプロタイプを、該被験体由来のDNAを含むサンプルから決定するための方法であって、該方法は、請求項1〜20のいずれかに規定される方法を含み、ここで、前記調製物は該サンプルを構成し、該標的核酸配列は1対の染色体のうちの第一染色体上の遺伝子座を含み、該非標的核酸配列は該対の第二染色体上に対応する遺伝子座を含み、該遺伝子座は2つ以上の1ヌクレオチド多型を含み、該多型について該被験体はヘテロ接合性であり、ここで該配列決定反応は、該対の該第一染色体上の該遺伝子座の配列を決定し、これによって該被験体のハプロタイプを決定する、方法。
- 前記遺伝子座がヒトクラスIHLA遺伝子またはヒトクラスII HLA遺伝子を含む、請求項21に記載の方法。
- 被験体のハプロタイプを、該被験体由来のDNAを含むサンプルから決定するための高温配列決定の使用であって、ここで高温配列決定は、1対のうちの第一染色体上の標的遺伝子座を配列決定するために使用され、該標的遺伝子座は2つ以上の1塩基多型を含み、該1対のうちの第二染色体上の対応する遺伝子座は、該第二染色体にハイブリダイズしたブロッキングオリゴヌクレオチドによって配列決定からブロックされている、使用。
- 請求項21に記載の使用であって、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドは、前記第二染色体上の該対応する遺伝子座の1領域にハイブリダイズし、該領域が1ヌクレオチド多型を含む、使用。
- 1つ以上の標的核酸配列を決定するためのキットであって、ここで該1つ以上の標的核酸配列は、1つ以上の非標的核酸配列を含む調製物中に含まれ、該1つ以上の標的核酸配列および該1つ以上の非標的核酸配列は各々、異なる配列の第一領域の上流にある共通配列の第一領域を有し、異なる配列の該第一領域は異なる配列の第二領域の上流にあり、該キットは該1つ以上の非標的核酸配列の異なる配列の該第一領域の少なくとも一部に対して相補的な1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチド、および共通配列の該第一領域の少なくとも一部に対して相補的な1つ以上の配列決定プライマーを備える、キット。
- 1つ以上の終結ヌクレオチドをさらに備える、請求項25に記載のキット。
- 前記終結ヌクレオチドがジデオキシヌクレオチドを含む、請求項26に記載のキット。
- 前記キットが、ジデオキシATP、ジデオキシCTP、ジデオキシGTP、および/またはジデオキシTTPを備える、請求項27に記載のキット。
- デオキシATP、デオキシCTP、デオキシGTP、ジデオキシTTP、DNAポリメラーゼ、ATPスルフリラーゼ、ホタルルシフェラーゼおよび/またはヌクレオチド分解酵素をさらに備える、請求項25〜28のいずれかに記載のキット。
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