JP2010171287A - 窒化物半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構造で、極めて低い順方向立ち上り電圧と、高い逆方向耐圧特性を有する窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】 基板上に、III−V族窒化物半導体からなる第1及び第2の窒化物半導体層が積層形成されており、第1又は第2の窒化物半導体層に接合する第1のアノード電極と第2の窒化物半導体層に接合する第2のアノード電極を構成する電極金属を適宜選択することによって、第1のアノード電極はオーミック接合を形成し、第2のアノード電極はショットキー接合を形成する。第2のアノード電極は、カソード電極と第1のアノード電極の間に配置される。その結果、第1のアノード電極とカソード電極との電流経路の途中に、キャリアの存在しない領域を形成する構成となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板上に、III−V族窒化物半導体からなる第1及び第2の窒化物半導体層が積層形成されており、第1又は第2の窒化物半導体層に接合する第1のアノード電極と第2の窒化物半導体層に接合する第2のアノード電極を構成する電極金属を適宜選択することによって、第1のアノード電極はオーミック接合を形成し、第2のアノード電極はショットキー接合を形成する。第2のアノード電極は、カソード電極と第1のアノード電極の間に配置される。その結果、第1のアノード電極とカソード電極との電流経路の途中に、キャリアの存在しない領域を形成する構成となっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、III−V族窒化物半導体装置に関し、特に、耐圧が高く、且つオン抵抗が低い大電力用のスイッチング素子として好適な窒化物半導体装置に関する。
半導体装置からなる大電力用のスイッチング素子では、耐圧が高く、且つオン抵抗が低いことが求められる。そのため、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)や、バイポーラトランジスタとMOSFETとを複合したIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)がスイッチング素子として使用されている。また一方で、耐圧が高く、且つオン抵抗が低い半導体装置として、SiC半導体装置やIII−V族窒化物半導体装置が知られている。その中でもIII−V族窒化物半導体の物性の長所を活かした電子デバイスの具体的な応用が望まれており、逆方向耐圧が高く、順方向の立ち上り電圧(Vf)が低いショットキーバリアダイオードの開発が報告されている。
ショットキーバリアダイオード応用の一例として、スイッチングレギュレータ用のフリーホイールダイオードがあり、Vfは、できる限り0Vに近いものが望まれる。しかし、実際に試作されたショットキーバリアダイオードのVfは、一般的に0.6〜0.8V程度であり、理想的な動作に至っていないのが現状である。
Vfを低下させる方法として、図7に示す構造のショットキーバリアダイオードが提案されている(非特許文献1)。図7に示すショットキーバリアダイオードは、例えば、シリコン基板からなる基板21と、基板21上に形成されたバッファ層22と、アンドープのGaN層23と、GaN層23上に形成されたGaN層23よりもバンドギャップの広いIII-V族窒化物半導体層であるアンドープのAlGaN層24とを有する。そして、AlGaN層24上にはHf(ハフニウム)/Al(アルミニウム)/Hf/Au(金)からなり、オーミック接合を形成する第1のアノード電極27と、WN系材料からなりショットキー接合を形成する第2のアノード電極28と、Hf/Al/Hf/Auからなり、オーミック接合を形成するカソード電極26が形成される。第2のアノード電極28は、第1のアノード電極27を覆うように形成されており、少なくとも第1のアノード電極27とカソード電極26との電流経路の間に配置されている。
図7に示すショットキーバリアダイオードでは、第1のアノード電極27と、第2のアノード電極28とが共通アノード電極を構成し、第1のアノード電極27をHf/Al/Hf/Auとすることにより、共通アノード電極の一部の電気特性をオーミック接触とし、低いVfを実現している。しかし、第1のアノード電極27はオーミック特性を示すため、このままでは、逆方向バイアス印加時に漏れ電流が流れてしまう。これを回避するため、第2のアノード電極28を形成する前に、第2のアノード電極28の形成予定領域のAlGaN層24の表面をCF4プラズマ処理することで、AlGaN層24表面近傍にFイオンの拡散領域25を形成している。その結果、第2のアノード電極直下のAlGaN/GaNヘテロ接合部分の二次元電子ガス(図中点線で示す)を消失させ、第1のアノード電極27及び第2のアノード電極28へ逆方向バイアスが印加されても、第1及び第2のアノード電極27、28からカソード電極26に電子が伝導するのを抑制している。
K.Takatani, T.Nozawa, T.Oka, H.Kawamura, and K.Sakuno, "AlGaN/GaN Schottky-ohmic combined anode field effect diode with fluoride-based plasma treatment" Electronics Letters Vol.44, No.4, p-320-321, 2008
しかしながら、従来のショットキーバリアダイオードは、正常なダイオード動作が得られるAlGaN層24の厚さ及びAl組成、拡散領域25を形成する際のCF4プラズマ処理条件等のパラメータの許容範囲が極めて狭いという問題があった。つまり、少しでも条件が変動すると、第2のアノード電極28直下の2次元電子ガスが消失せずに残り、逆方向に漏れ電流が流れ、ダイオードとして機能しなくなってしまうという問題があった。また、表面からFイオン拡散させて拡散領域25を形成する方法は、信頼性の確保が確立されておらず、実用的な構造とは言い難いという問題があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造で、極めて低い順方向立ち上り電圧と、高い逆方向耐圧特性を有する窒化物半導体装置を提供するものである。
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、ガリウム、アルミニウム、ホウ素及びインジウムからなる群のうち少なくとも1つからなるIII族元素と、窒素、リン及び砒素からなる群のうちの少なくとも窒素を含むV族元素で構成されたIII−V族窒化物半導体層からなる窒化物半導体装置において、基板上に積層した前記III−V族窒化物半導体層からなる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層した該第1の窒化物半導体層よりも低い温度で成膜した前記III−V族窒化物半導体層からなる絶縁性の第2の窒化物半導体層と、前記第1あるいは前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合するカソード電極と、前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に欠き、該凹部内に露出する前記第1の窒化物半導体層にオーミック接合する第1のアノード電極と、前記カソード電極と前記第1のアノード電極の間に配置して、該第1のアノード電極に接続した前記第2の窒化物半導体層にショットキー接合する第2のアノード電極とを備え、前記第1及び前記第2のアノード電極に印加する電圧が0Vのとき、前記第2のアノード電極直下の前記第1の窒化物半導体層からなるチャネルにキャリアが存在せず、前記第2のアノード電極直下を除く前記第1の窒化物半導体層にキャリアが存在していることを特徴とする。
本願請求項2に係る発明は、 ガリウム、アルミニウム、ホウ素及びインジウムからなる群のうち少なくとも1つからなるIII族元素と、窒素、リン及び砒素からなる群のうちの少なくとも窒素を含むV族元素で構成されたIII−V族窒化物半導体層からなる窒化物半導体装置において、基板上に積層した前記III−V族窒化物半導体層からなる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層した該第1の窒化物半導体層より低い温度で成膜した前記III−V族窒化物半導体層からなる絶縁性の第2の窒化物半導体層と、前記第1あるいは前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合するカソード電極と、前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合する第1のアノード電極と、前記カソード電極と前記第1のアノード電極の間に配置して、該第1のアノード電極に接続した、前記第2の窒化物半導体層にショットキー接合する第2のアノード電極とを備え、前記第1及び前記第2のアノード電極に印加する電圧が0Vのとき、前記第2のアノード電極直下の前記第1の窒化物半導体層からなるチャネルにキャリアが存在せず、前記第2のアノード電極直下を除く前記第1の窒化物半導体層にキャリアが存在していることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、請求項1又は2いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記第2の窒化物半導体層が、微結晶構造からなることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記基板と前記第1の窒化物半導体層との間に、前記第1の窒化物半導体層のエネルギーギャップより小さいエネルギーギャップを持つ、前記III−V族窒化物半導体からなる第3の窒化物半導体層を備えたことを特徴とする。
本発明の窒化物半導体装置は、低い順方向バイアスの条件では、オーミック接合している第1のアノード電極に電流が流れるため、極めて低いオン電圧特性となるとともに、順方向バイアスが高くなると、ショットキー接合している第2のアノード電極にも電流が流れ、大きな電流を流すことができる。また、逆方向バイアスの条件では、第2のアノード電極の逆方向バイアスが印加される結果、キャリアが消失し、リーク電流が少なくなるとともに、第2のアノード電極が主に機能することになり、高い耐圧特性が得られることになる。
第3のIII−V族窒化物半導体層を備えた、いわゆるHEMT構造の窒化物半導体層を用いて本発明のショットキーバリアダイオードを形成して2次元電子ガスをキャリアとする場合には、オン電圧がほぼ0Vで、順方向電流が大きい良好な順方向電圧特性が得られた。
さらに、本発明のショットキーバリアダイオードでは、微結晶構造のIII−V族窒化物半導体層をキャップ層として備えていることから、スイッチング動作時の電流コラプスを抑制できるという利点もある。
本発明の窒化物半導体装置は、基板上に、III−V族窒化物半導体からなる第1及び第2の窒化物半導体層が積層形成されており、第1又は第2の窒化物半導体層に接合する第1のアノード電極と第2の窒化物半導体層に接合する第2のアノード電極を構成する電極金属を適宜選択することによって、第1のアノード電極はオーミック接合を形成し、第2のアノード電極はショットキー接合を形成する。またカソード電極は、第1又は第2の窒化物半導体層に接合する構造となっている。第2のアノード電極は、カソード電極と第1のアノード電極の間に配置されている。そして第1及び第2のアノード電極に印加する電圧が0Vのとき、第2のアノード電極直下の第1の窒化物半導体層からなるチャネルにキャリアが存在せず、第2のアノード電極直下を除く第1の窒化物半導体層にはキャリアが存在する構成となっている。
このような構造の窒化物半導体装置では、第1及び第2のアノード電極とカソード電極との間に順方向バイアスを印加する場合、順方向バイアスが小さい段階で、第2のアノード電極直下の第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層からなる電流経路にキャリアが生成し、第1の窒化物半導体層とオーミック接合を形成する第1のアノード電極が主に機能して、低いオン電圧で電流が流れることになる。さらに順方向バイアスが大きくなると、第2のアノード電極にも電流が流れ、大電流が流れることになる。
また第1及び第2のアノード電極とカソード電極との間に逆方向バイアスを印加する場合、低い逆方向バイアス条件では、第1の窒化物半導体層の絶縁性が高く、また第2のアノード電極直下の第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層からなる電流経路にキャリアが存在しないことから、逆方向のリーク電流が低減される。さらに逆方向バイアスが大きくなると、ショットキー接合を形成する第2のアノード電極のみが機能し、カソード側に空乏層が広がって、高い耐圧特性が得られることになる。以下、本発明の窒化物半導体装置について、スイッチング素子として用いることができるショットキーバリアダイオードを例にとり、詳細に説明する。
図1、図2は本発明の第1の実施例のHEMT構造を利用したショットキーバリアダイオード10の説明図であり、図1はその断面図を、図2はその製造工程をそれぞれ示している。図2に示すように、導電性の炭化珪素(SiC)からなる基板11上にMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層13(第3の窒化物半導体層に相当)、厚さ10nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるショットキー層14(第1の窒化物半導体層に相当)、ショットキー層14の成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性の高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する(図2a)。このような半導体基板では、AlGaNからなるショットキー層14とGaNからなるチャネル層13とのヘテロ接合面に2次元電子ガス(キャリア)(図中点線で表示)が発生する。
次に、キャップ層15上にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるカソード電極16をパターン形成し、600℃、30秒の急速加熱を行い、キャップ層15にオーミック接触を形成する。ここでカソード電極16は、キャップ層15をエッチング除去し、ショットキー層14にオーミック接触する構造とすることも可能である。しかし、成膜状態の微結晶構造のキャップ層15上にオーミック電極を形成することにより、微結晶粒界にオーミック電極を構成する金属が侵入し、コンタクト抵抗率の低い(10-6Ω・cm2台)オーミック電極を得ることができ、キャップ層15を残すのが好ましい。
次に、第1のアノード電極の形成予定領域が開口するようにフォトレジストをパターン形成し、塩素系ガスを用いたRIE等のドライエッチング法により、露出するキャップ層15の一部をエッチング除去し、底面にショットキー層14を露出する凹部17を形成する(図2b)。
その後、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなる第1のアノード電極18を、凹部17内のショットキー層14上にパターン形成し、600℃、30秒の急速加熱を行い、キャップ層15にオーミック接触を形成する(図2c)。第1のアノード電極18を構成するTiは、ショットキー層14を構成する窒化アルミニウムガリウムにオーミック接合することとなるので、ショットキーバリアが形成されない。
次に、第2のアノード電極の形成予定領域が開口するようにフォトレジストをパターン形成し、第1のアノード電極18と電気的に接続するよう白金(Pt)/金(Au)の積層体等からなる第2のアノード電極19をパターン形成し、キャップ層15との間にショットキー接合を形成する。第2のアノード電極を構成するPtはキャップ層15及びショットキー層14を構成する窒化アルミニウムガリウムにショットキー接合し、高いショットキーバリアが形成される。このショットキー接合の形成により、チャネル層13とショットキー層14とのヘテロ接合に生成していた2次元電子ガス(キャリア)が、第2のアノード電極19直下の部分で消失することとなる。
このようにオーミック接合とショットキー接合とを組み合わせた第1のアノード電極18及び第2のアノード電極19と、カソード電極16との間に、順方向バイアスを印加すると、ほぼ0Vのオン電圧で、順方向電流が急激に増大する良好な立ち上り、逆方向バイアスを印加すると、約800Vという大きな耐圧が確認され、耐圧が高く、且つオン抵抗の低いショットキーバリアダイオードとなった。なお、順方向電流の立ち上りに必要なオン電圧は、ほぼ0V程度であり、PtとAlGaNとの接合のオン電圧は2.0V〜2.5V程度であった。
本実施例に係るショットキーバリアダイオード10では、順方向電圧印加が0Vの際には、第2のアノード電極直下にキャリアとなる2次元電子ガスが存在しないが、順方向電圧を印加することで、2次元電子ガスが生成し、電流が流れることになる。つまり、印加電圧が小さい段階では、ショットキー層14(AlGaN)とオーミック接合する第1のアノード電極18(Ti/Al)が主に機能することによって、ショットキー層14と第1のアノード電極18のオン抵抗に近い値となっている。その後、印加電圧が大きくなると、チャネル層13とショットキー層14とのヘテロ接合面近傍に生成される2次元電子ガスがキャリアとなって順方向電流の増大に寄与する。更に、順方向バイアスが2.0V〜2.5V程度に達すると、第1のアノード電極18及び第2のアノード電極19の両方がアノード電極として機能し、更に大きな電流を流すことができるようになる。
また、逆方向バイアスが−10V程度以下の段階では、キャップ層15とショットキー層14が高い絶縁性を有し、キャリアとなる2次元電子ガスが第2のアノード電極直下に存在しないことから、逆方向のリーク電流がほとんど発生しない。さらに逆方向バイアスが大きくなると、第2のアノード電極19とショットキー層14との接合により形成される空乏層がカソード側に広がり、第2のアノード電極19のみがアノード電極として機能するようになり、約800Vの耐圧という高耐圧を実現していると考えられる。
次に図1に示す構造のショットキーバリアダイオードを、別の製造方法により形成する第2の実施例について説明する。第1の実施例同様、導電性の炭化珪素からなる基板11上に、MOCVD法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウムからなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウムからなるチャネル層13、厚さ10nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14(第1の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する。
次に、ショットキー層14上の第1のアノード電極形成予定領域に、キャップ層を選択成長させるためにSiO2からなるマスク材を形成する。その後、ショットキー層14の成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性が高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)を積層形成する。その後、マスク材を除去することにより、第1の実施例で説明した凹部17を形成することができる。以下、第1の実施例で説明した工程に従い、カソード電極16、第1のアノード電極18及び第2のアノード電極19を形成し、本発明のショットキーバリアダイオードを形成することができる。
このようにエッチングによらず、キャップ層15を選択成長させる場合であっても、上述の第1の実施例同様、低いオン電圧特性と高い耐圧特性の窒化物半導体装置を形成することができる。
図3は本発明の第3の実施例である。第1の実施例同様、導電性の炭化珪素からなる基板11上に、MOCVD法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウムからなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウムからなるチャネル層13、厚さ10nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー14(第1の窒化物半導体層に相当)、ショットキー層14の成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性が高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する(図2a)。
その後、凹部17を形成し、ショットキー層14とキャップ層15を覆うように、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)からなるアノード電極を形成する。ここで、アノード電極としてチタンを選択することにより、ショットキー層14にオーミック接合し、キャップ層15にショットキー接合を形成することができる。つまり、図3に示すように、ショットキー層14に接合する第1のアノード電極18の部分と、キャップ層15に接合する第2のアノード電極19の部分とが、同一の金属により、一体となって形成されることになる。このような構造とすると、上述の第1の実施例と比較して、第2のアノード電極19とキャップ層15との間のショットキーバリアの高さが小さくなるが、簡便に作成できる利点がある。なお凹部17は、選択成長法により形成することもできる。
図4は本発明の第4の実施例である。第1の実施例同様、導電性の炭化珪素からなる基板11上に、MOCVD法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウムからなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウムからなるチャネル層13、厚さ10nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14(第1の窒化物半導体層に相当)、ショットキー層14の成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性が高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する。
その後、凹部17を形成することなく、Ti/Alの積層体等からなる第1のアノード電極18と、Pt/Auの積層体等からなる第2のアノード電極19を、微結晶構造のキャップ層15上に形成する。このような構造でも、Ti/Alからなる第1のアノード電極18形成後に、600℃、30秒の急速加熱を行い、キャップ層15及びショットキー層14にオーミック接合を形成できる。第1の実施例同様、低いオン電圧特性と高い耐圧特性が得られることになる。
本実施例では、凹部17を形成する必要がないので、凹部17の形成工程を削減できる利点がある。
図5は本発明の第5の実施例である。図5に示すように、導電性の炭化珪素からなる基板11上にMOCVD法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウムからなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウムからなるチャネル層13(第3のIII−V族窒化物半導体層に相当)、厚さ25nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14(第1の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する。このような半導体基板では、窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14が上述の実施例よりも厚く形成するため、窒化ガリウムからなるチャネル層13とのヘテロ接合面近傍に、高濃度の2次元電子ガス(キャリア)が生成される。
その後、第1及び第2のアノード電極形成部分のショットキー層14の厚さが10nmとなるように幅の広い凹部を形成し、成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性の高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)を成膜する。その後、幅の狭い凹部17を形成する。
以下、第1の実施例で説明した工程に従い、第1のアノード電極18、第2のアノード電極19を形成して本発明のショットキーバリアダイオードを形成することができる(図5)。
本実施例では、第1及び第2のアノード電極とカソード電極の間に高濃度の2次元電子ガス(キャリア)が存在するため、さらにオン抵抗を低減することができる。なお、凹部17は、選択成長法により形成することもできる。また、第1及び第2のアノード電極は実施例3と同様に形成することもできる。
図6は本発明の第6の実施例である。図6に示すように、導電性の炭化珪素からなる基板11上にMOCVD法等により、厚さ200nm程度の窒化アルミニウムからなるバッファ層12、厚さ3.0μmのノンドープ窒化ガリウムからなるチャネル層13(第3の窒化物半導体層に相当)、厚さ25nmのノンドープの窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14(第1の窒化物半導体層に相当)が順次積層した構造の半導体基板を用意する。このような半導体基板では、窒化アルミニウムガリウムからなるショットキー層14が前述の実施例よりも厚く形成するため、窒化ガリウムからなるチャネル層13とのヘテロ接合面近傍に、高濃度の2次元電子ガス(キャリア)が生成する。
その後、第1及び第2のアノード電極形成部分のショットキー層14の厚みが10nmとなるように凹部を形成後、成膜温度より600℃程度低い温度で成膜され、微結晶構造からなり、絶縁性の高い厚さ10nmの窒化ガリウムからなるキャップ層15(第2の窒化物半導体層に相当)を成膜する。
その後、第4の実施例で説明した工程に従い、第1のアノード電極18及び第2のアノード電極19を形成して本発明のショットキーバリアダイオードを形成することができる。
本実施例においても、第1及び第2のアノード電極とカソード電極の間に高濃度の2次元電子ガス(キャリア)が存在するため、さらにオン抵抗を低減することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、HEMT構造の窒化物半導体装置の代わりに、不純物が添加された窒化物半導体層を能動層(チャネル層)としたいわゆるFET構造の窒化物半導体装置とすることができる。この場合、第2のアノード電極が第2の窒化物半導体層にショットキー接触することで、第2のアノード電極直下は空乏化し、キャリアが存在しない状態となる。
また、窒化物半導体層は、GaN/AlGaN系に限定されるものではなく、ガリウム、アルミニウム、ホウ素及びインジウムからなる群のうち少なくとも1つからなるIII族元素と、窒素、リン及び砒素からなる群のうちの少なくとも窒素を含むV族元素で構成されたIII−V族窒化物半導体層で形成することができる。
また、第1のアノード電極を構成する金属材料は、接合を形成するIII−V族窒化物半導体層の種類に応じて適宜選択すればよい。たとえば上記実施例で説明した窒化物半導体層の場合には、第1のアノード電極を構成する金属材料はTiに限定されず、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)や銀(Ag)等、アニール後にオーミック接触を形成する金属であればよい。また、第2のアノード電極を構成する金属材料はPtに限定されず、例えばニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)やAu(金)等、相対的に高いショットキーバリアを形成する金属を選択すればよい。
また基板11は、炭化珪素基板の代りに、サファイア基板やシリコン基板を用いてもよい。なお、サファイア基板を用いる場合、バッファ層12は低温成長の窒化ガリウム(GaN)を用いる方が望ましい。
10:ショットキーバリアダイオード、11;基板、12;バッファ層、13;チャネル層、14;ショットキー層、15;キャップ層、16;カソード電極、17;凹部、18;第1のアノード電極、19;第2のアノード電極、20:ショットキーバリアダイオード、21;基板、22;バッファ層、23;GaN層、24;AlGaN層、25;拡散領域、26;カソード電極、27;第1のアノード電極、28;第2のアノード電極
Claims (4)
- ガリウム、アルミニウム、ホウ素及びインジウムからなる群のうち少なくとも1つからなるIII族元素と、窒素、リン及び砒素からなる群のうちの少なくとも窒素を含むV族元素で構成されたIII−V族窒化物半導体層からなる窒化物半導体装置において、
基板上に積層した前記III−V族窒化物半導体層からなる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層した該第1の窒化物半導体層よりも低い温度で成膜した前記III−V族窒化物半導体層からなる絶縁性の第2の窒化物半導体層と、前記第1あるいは前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合するカソード電極と、前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に欠き、該凹部内に露出する前記第1の窒化物半導体層にオーミック接合する第1のアノード電極と、前記カソード電極と前記第1のアノード電極の間に配置して、該第1のアノード電極に接続した前記第2の窒化物半導体層にショットキー接合する第2のアノード電極とを備え、
前記第1及び前記第2のアノード電極に印加する電圧が0Vのとき、前記第2のアノード電極直下の前記第1の窒化物半導体層からなるチャネルにキャリアが存在せず、前記第2のアノード電極直下を除く前記第1の窒化物半導体層にキャリアが存在していることを特徴とする窒化物半導体装置。 - ガリウム、アルミニウム、ホウ素及びインジウムからなる群のうち少なくとも1つからなるIII族元素と、窒素、リン及び砒素からなる群のうちの少なくとも窒素を含むV族元素で構成されたIII−V族窒化物半導体層からなる窒化物半導体装置において、
基板上に積層した前記III−V族窒化物半導体層からなる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層した該第1の窒化物半導体層より低い温度で成膜した前記III−V族窒化物半導体層からなる絶縁性の第2の窒化物半導体層と、前記第1あるいは前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合するカソード電極と、前記第2の窒化物半導体層にオーミック接合する第1のアノード電極と、前記カソード電極と前記第1のアノード電極の間に配置して、該第1のアノード電極に接続した、前記第2の窒化物半導体層にショットキー接合する第2のアノード電極とを備え、
前記第1及び前記第2のアノード電極に印加する電圧が0Vのとき、前記第2のアノード電極直下の前記第1の窒化物半導体層からなるチャネルにキャリアが存在せず、前記第2のアノード電極直下を除く前記第1の窒化物半導体層にキャリアが存在していることを特徴とする窒化物半導体装置。 - 請求項1又は2いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記第2の窒化物半導体層が、微結晶構造からなることを特徴とする窒化物半導体装置。
- 請求項1乃至3いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記基板と前記第1の窒化物半導体層との間に、前記第1の窒化物半導体層のエネルギーギャップより小さいエネルギーギャップを持つ、前記III−V族窒化物半導体からなる第3の窒化物半導体層を備えたことを特徴とする窒化物半導体装置。
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