JP2010258148A - 化合物半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】リーク電流の発生を抑制でき、良好なピンチオフ特性を有する化合物半導体素子を提供すること。
【解決手段】化合物半導体素子において、素子表面から基板1の厚さ方向にバッファ層2まで達する第1の素子分離部9を形成する。また、平面視において、第1の素子分離部9を囲むように位置する第2の素子分離部10を形成する。このようにして、電極7とバッファ層2との距離を大きくして、バッファ層2にかかる電界を緩和し、リーク電流を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、化合物半導体素子に関し、特に、窒化ガリウム系化合物半導体素子に関する。
従来、窒化ガリウム系化合物半導体素子は、高い絶縁破壊電界と飽和電子速度を持ち、さらにヘテロ接合を形成することによって高い電子移動度が得られることから、高周波・高出力用半導体デバイスとして注目されている。
ここで、主な窒化ガリウム系化合物半導体素子としては、ショットキーバリアダイオード、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(Hetero Junction Field Effect Transistor。以下、ヘテロ接合FETと言う。)などが挙げられる。
従来のショットキーバリアダイオードは、シリコンから成る基板と、一層又は複数層のGaN系化合物半導体を積層して成るバッファ層と、アンドープのGaN層及びアンドープのAlGaN層をバッファ層上に順次形成した窒化ガリウム系の化合物半導体層と、化合物半導体層の上面に形成されるショットキーバリア電極と、オーミック電極とを備える。バッファ層は、シリコン基板と化合物半導体層との格子定数の差を緩和し、良好な成長を促すために用いられる。ショットキーバリア電極は、AlGaN層との界面にショットキー障壁を形成し、オーミック電極は、AlGaN層と低抵抗接触する。
窒化ガリウム系化合物半導体素子では、基板電位を固定し、電気的特性を安定させるために、電極(ショットキーバリアダイオードではカソード電極、ヘテロ接合FETではソース電極)と、シリコン基板とを電気的に接続する構造を有する場合が多い。しかし、この構造では、化合物半導体層の表面と、基板との間で厚み方向(縦方向)に大きな電圧差が生じ、漏れ(リーク)電流が流れる。さらに、化合物半導体層およびバッファ層の側面と、基板との間で放電が発生することがあり、良好なピンチオフ特性を得ることが難しい。ここで、良好なピンチオフ特性とは、化合物半導体素子へ印加する電圧の制御により、化合物半導体素子から取り出される電流が十分小さくなり、オフ状態となることを指す。
この問題を解決するための化合物半導体素子が、特開2008−124409号公報(特許文献1)に提案されている。
図6は、特許文献1に記載の化合物半導体素子の断面構造を示す図である。
図6に示すように、従来の化合物半導体素子SBD30(以下、SBD30と呼ぶ。)は、シリコン基板131と、基板131上に形成されたバッファ層132と、バッファ層132上に形成されたチャネル層133と、チャネル層133上に形成されたバリア層134とを有する。さらに、上記SBD30は、バリア層134上に形成されたアノード電極135およびカソード電極136と、バリア層134表面から厚み方向に基板まで形成された素子分離部137と、アノード電極135およびカソード電極136以外の部分を被膜した絶縁膜138とを有する。
上記SBD30は、上記素子分離部137を、絶縁性保護膜138の一部によって被覆・保護することにより、側面、すなわち、素子分離部137からの放電の発生を抑制し、リーク電流を軽減するようにしている。
特開2008−124409号公報
特許文献1に記載の構造を用いた化合物半導体素子において、電極に高電圧を印加したところ、リーク電流が十分に抑制できず、良好なピンチオフ特性を得られなかった。詳しくは、本願発明者は、特許文献1に記載の構造を用いた化合物半導体素子について、電界状態のシミュレーションを行なった。その結果、電極に高電圧を印加した場合、その電極に近いバッファ層側面に大きな電界がかかっていることが判明した。
図7は、本願発明者が特許文献1に記載の構造を用いたFETにおいて、電界状態のシミュレーションを行った際の結果を示す図である。
図7に示すように、この素子は、基板121と、基板121上に形成されたバッファ層122と、バッファ層122上に形成された化合物半導体層123と、化合物半導体層123上に形成されたドレイン電極124およびゲート電極125を有する。
ここで、ドレイン電極は、化合物半導体層123の表面にオーミック接触し、ゲート電極は、化合物半導体層123の表面にショットキー接触する。また、上記基板121は、0Vである一方、ドレイン電極124は、600Vである。尚、この構成は、後述する図2〜4でも同様である。
図7に示すように、上記バッファ層122の側面には1.3MV/cmを超える電界がかかっている。上記バッファ層122は、一層又は複数層のGaN系化合物半導体を積層した構成をしており、その界面等でキャリアが発生しやすい。そのため、上記バッファ層122の側面に大きな電界を印加すると、バッファ層122の側面を通じてリーク電流が流れ、良好なピンチオフ特性を得ることができない。
そこで、本発明の課題は、リーク電流の発生を抑制し、良好なピンチオフ特性を有する化合物半導体素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の化合物半導体素子は、
基板と、
上記基板上に形成されたバッファ層と、
上記バッファ層上に形成された化合物半導体層と、
上記化合物半導体層上に形成され、かつ、上記基板と電気的に接続された電極と
を備え、
上記化合物半導体層の表面から略上記化合物半導体層の厚み方向に広がる第1の素子分離部と、
平面視において、上記第1の素子分離部を囲むように位置する第2の素子分離部と
を有することを特徴としている。
本発明によれば、第1の素子分離部を囲むように位置する第2の素子分離部を有するから、高電圧を印加する電極と、側面との距離を長くすることができる。したがって、側面にかかる電界を緩和できて、リーク電流を抑制でき、良好なピンチオフ特性を獲得することができる。
また、一実施形態では、
上記第2の素子分離部は、上記基板にまで達している。
素子の分離は、ダイシングで行うことが多いが、ダイシングでは表面の状態を良好に保つことができず、荒れた側面部に電界が集中するため、リーク電流が流れ易い。上記第2の素子分離部を、基板にまで達するように形成し、かつ、ドライエッチング等の手法により、第2の素子分離部の表面を、良好な表面状態に加工すると、すなわち、化合物半導体層及びバッファ層の側面の状態を良好に保つようにすると、リーク電流を軽減できる。
また、一実施形態では、
上記基板の厚さ方向において、上記第1の素子分離部の上記基板側の端は、上記バッファ層まで達している。
シミュレーションの結果から第1の素子分離部の下端で電界が高く、第2の素子分離部の上端で電界が低くなることがわかった。このため、第1の素子分離をバッファ層まで生成することで、電界の小さい第2の素子分離部の上端をバッファ層表面に配置でき、バッファ層の表面を流れるリーク電流を軽減できる。
また、一実施形態では、
上記基板の上記バッファ層側の表面に平行な方向において、上記第1素子分離部と上記第2素子分離部との距離は、0.2μm以上である。
第1の素子分離部から第2の素子分離部までの距離(以下、Lと言う。)が0.2μmより小さい範囲では、第2の素子分離部の上端が電極からあまり離れていないため、電界を緩和する効果が小さく、バッファ層の側面からのリークをあまり抑制できない。一方、Lを0.2μm以上に長くすることにより、電極から側面を十分離すことができ、バッファ層の側面にかかる電界を緩和できる。
また、一実施形態では、
上記第1素子分離部および上記第2素子分離部の夫々は、絶縁膜によって保護されている。
上記絶縁膜としては、例えば、SiOx、SiNx、SiOxNyがある。尚、ここでxおよびyは、任意の値である。
上記実施形態によれば、絶縁膜によって、化合物半導体層およびバッファ層が素子側面に露出しないから、素子の側面部での放電の発生を良好に防止することができる。
また、一実施形態では、
上記化合物半導体層および上記バッファ層の夫々は、3族窒化物半導体からなる。
3族窒化物半導体は、従来の半導体に比べてバンドギャップが大きい。このことから、化合物半導体層のヘテロ接合界面は、格子歪による強いピエゾ効果、及び、自発分極を起こす。このヘテロ接合により、上記実施形態の化合物半導体素子においては、高い濃度のキャリアが化合物半導体層に蓄積される。その他に、3族窒化物半導体は、化学的、及び物理的に強固であるため、上記実施形態の化合物半導体素子は、絶縁破壊電界が、高くなる。化合物半導体層およびバッファ層の夫々が3族窒化物半導体からなるヘテロ接合電界効果トランジスタは、高濃度キャリアによる高出力性を実現でき、かつ、高い絶縁破壊電界が、高くなるのである。
また、一実施形態では、
上記化合物半導体層上に、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を有し、
上記ソース電極と、上記基板とを電気的に接続している。
化合物半導体素子の中でも、化合物半導体層上に、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を有し、ソース電極と基板とを、電気的に接続したFET(電界効果トランジスタ)は、他の素子よりも素子にかかる電界が高くなる。このため、FETに、本素子構造を用いることで、リーク電流をより軽減できる。
また、一実施形態では、
上記基板は、導電性を有している。
導電性基板は、基板の抵抗が小さいため、基板内における電圧降下が少なく、バッファ層及び化合物半導体層に大きな電圧がかかる。そのため、導電性基板を用いた素子では、本素子構造を用いることによって、リーク電流をより軽減できる。
また、一実施形態では、
基板は、シリコン基板からなる。
シリコンは、バンドギャップが小さく、絶縁破壊電界が低い。そのため従来の素子構造では、大きな電界によって破壊される恐れがある。本素子構造では、電界を緩和できるから、シリコン基板を使用したとしても、破壊が起こりにくい。
本発明の化合物半導体素子によれば、リーク電流を低減することができ、ピンチオフ特性を向上できる。
本発明の第1実施形態の化合物半導体素子であるヘテロ接合FETの構成を示す断面図である。 上記第1実施形態の化合物半導体素子において、第1の素子分離部がバッファ層まで達した場合の電界状態のシミュレーション結果である。 上記第1実施形態の化合物半導体素子において、第1の素子分離部がキャリア層まで達した場合の電界状態のシミュレーション結果である。 参考例の化合物半導体素子の電界状態のシミュレーション結果である。 上記第1実施形態の化合物半導体素子において、Lを変化させた場合のバッファ層表面にかかる最低電界をプロットした図である。 従来の素子の構成を示す断面図である。 従来の素子の電界状態のシミュレーション結果である。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の化合物半導体素子FET20(以下、FET20と言う。)の断面構造図である。
図1に示すように、FET20は、シリコンからなる基板1と、基板1の主表面上に形成された、一層または複数層のGaN系化合物半導体を積層して成るバッファ層2とを有する。上記基板1は、導電性を有している。バッファ層2は、シリコンからなる基板1と化合物半導体層との格子定数の差を緩和し、良好な成長を促すために形成される。上記バッファ層2の構成としては、例えば、AlGaN/AlN、GaN/AlGaNの積層構造などを使用できる。尚、基板としては、例えば、サファイア、SiC等、シリコンからなる基板以外の如何なる基板も使用できる。
上記FET20は、さらに、バッファ層2上に形成された、GaNからなるチャネル層3と、チャネル層3上に形成された、AlGaNからなるバリア層4と、バリア層4上に形成された、GaNからなるキャップ層5と、キャップ層5上に形成された、金属からなるソース電極6と、ドレイン電極7と、ゲート電極8とを有する。上記チャネル層3、バリア層4およびキャップ層5は、化合物半導体層を構成している。上記ソース電極6は、基板1に電気的に接続されている。
尚、バッファ層および化合物半導体層の夫々を、この実施形態の例に限らず、AlGaN、GaN、AlN、InN等の3族窒化物半導体で構成すると、バンドギャップを大きくできて、化合物半導体層のヘテロ接合界面が、格子歪による強いピエゾ効果、及び、自発分極を起こす。したがって、このヘテロ接合により、高い濃度のキャリアを化合物半導体層に蓄積できる。また、3族窒化物半導体は、化学的、及び物理的に強固であるため、化合物半導体素子の絶縁破壊電界が、高くなる。このことから、化合物半導体層およびバッファ層の夫々が3族窒化物半導体からなるヘテロ接合電界効果トランジスタは、高濃度キャリアによる高出力性を実現でき、かつ、高い絶縁破壊電界が、高くなるのである。
上記FET20は、さらに、キャップ層5の表面から厚み方向にバッファ層2まで形成された、第1の素子分離部9と、基板1の厚さ方向において、第1の素子分離部9の基板1側の端から基板1まで形成された、第2の素子分離部10とを有する。上記FET20の表面において、ソース電極6、ドレイン電極7、及びゲート電極8以外の部分は、SiNx(ここで、xは、任意の値である)からなる絶縁膜11で被膜されている。尚、絶縁膜としては、SiNx以外に、例えば、SiOx、SiOxNy(ここでxおよびyは、任意の値である)を好適に使用できる。
上記チャネル層3は、バリア層4から供与された電子を蓄積する機能と、ソース電極6及びドレイン電極7の間に電圧を印加することにより、電子を高速に流す機能とを有する。上記バリア層4は、チャネル層3と接合することでチャネル層3に電子供与を行なう。上記キャップ層5は、チャネル層3と、ソース電極6、ドレイン電極7、ゲート電極8の夫々とが、コンタクトを取りやすくなるように形成されている。更に、上記キャップ層5は、バリア層4の表面酸化を防ぐ。上記ソース電極6、ドレイン電極7およびゲート電極8は、外部の電源及び電圧源と接続し、電力の出入力を行なうため設けられている。
上記ソース電極6は、図示しないアース又は外部の構造物および基板1へ接続され、ドレイン電極7は、図示しない外部の電圧源と接続される。上記ドレイン電極7に正電圧を印加することで、ソース電極6からドレイン電極7への電子の流れを発生させ、ソース電極6は、電子の供与源として、ドレイン電極7は、FET20から電子を取り出す部分として機能する。
上記ゲート電極8は、図示しない電圧源と接続され、本FET20に電圧を印加することで、その動作を制御する。上記ソース電極6及びドレイン電極7は、GaNキャップ層5との界面において、オーミック接触をとるような材料からなる。上記ゲート電極8は、GaNキャップ層5との界面においてショットキー接触をとるような材料からなる。
上記第1の素子分離部9及び第2の素子分離部10は、ドライエッチングで形成される。上記第1の素子分離部9及び第2の素子分離部10は、側面をドレイン電極から遠ざける役割を担い、それにより、バッファ層2の側面にかかる電界を緩和できる。尚、最後の素子分離は、基板1をダイシングすることで行う。
上記絶縁膜11は、プラズマCVDにより形成される。上記絶縁膜11は、FET20の表面および側面を保護し、素子表面および素子側面からの放電を良好に防止する。尚、素子分離部は、全部または一部のみが、絶縁材料で保護されていても良く、全部が絶縁膜で保護されていなくても良い。
上記構成において、上記FET20を、次のように動作させる。すなわち、図1を参照して、図示しない外部電源により、上記ソース電極6−ドレイン電極7間に電圧を印加する。上記ドレイン電極7の方がソース電極6より高電位とする。この状態で、ソース電極6−ドレイン電極7間にチャネル層3を介して電流が流れる。ここで、上記ゲート電極8より電圧を印加する。上記ゲート電極8への印加電圧を調整することにより、ゲート電極8直下のチャネル層3のバンドの様子を変化させる。これにより、上記FET20内の動作を制御し、ソース電極6−ドレイン電極7間の電流のON−OFFを行なう。
また、上記FET20は、例えば、次のように形成する。
先ず、シリコン基板1上に、AlGaN/AlNの積層構造から成る厚さ3μmのバッファ層2を、バッファ層2上に、厚さ1μmのアンドープGaNからなるチャネル層3を、チャネル層3上に、厚さ20nmのアンドープAl0.2Ga0.8Nからなるバリア層4を、バリア層4上に、厚さ1nmのアンドープGaNからなるキャップ層5を、それぞれ、有機金属化学気相合成(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD法)により形成する。次に、キャップ層5上に、レジストマスクを用いて、ソース電極6、ドレイン電極7及びゲート電極8を、スパッタ法によりそれぞれ形成する。上記ソース電極6及びドレイン電極7の夫々は、Ti/Al/Ni/Auを、積層して形成する。一方、上記ゲート電極8は、WN/Auを、積層して構成する。
以下に、本実施形態の半導体素子の電界状態について、図2、図3および図5を用いて詳細に説明する。
図2および図3は、上記第1実施形態の化合物半導体素子において、第1の素子分離部9の表面からの深さを変えた場合の電界状態のシミュレーション結果を示す図である。また、図4は、参考例の化合物半導体素子において、電界状態のシミュレーション結果を示す図である。
図2および図3を参照して、第1実施形態の素子は、基板21(図1の基板1に対応)と、基板21上に形成されたバッファ層22(図1のバッファ層2に対応)と、バッファ層22上に形成された、化合物半導体層23(図1のチャネル層3、バリア層4、キャップ層5の積層構造に対応)と、化合物半導体層23上に形成されたドレイン電極24(図1のドレイン電極7に対応)およびゲート電極25(図1のゲート電極8に対応)を有する。ここで図2および図3に示す素子では、第1の素子分離部と、第2の素子分離部との距離Lは、1μmである。また、ドレイン電極24は、化合物半導体層23の表面とオーミック接触し、ゲート電極25は、化合物半導体層23の表面とショットキー接触する。また、上記基板21は、0Vであり、電極は、600Vである。
図2に示す素子と、図3に示す素子とは、第2の素子分離部が、基板まで達している構成が、同一である一方、図2に示す素子が、第1の素子分離部が、バッファ層まで達しているのに対し、図3に示す素子が、第1の素子分離部が、キャリア層まで達している点が異なっている。
一方、図4に示す参考例の素子では、第1の素子分離部が、形成されていない点のみが、図2、図3の構成と、異なっている。すなわち、図4に示す参考例の素子では、ドレイン電極24は、化合物半導体層23の表面とオーミック接触し、ゲート電極25は、ショットキー接触する。また、上記基板21は、0Vであり、電極は、600Vである。尚、図4において、22は、バッファ層を示している。
図2〜図4を参照して、バッファ層22の側面の表面の最低電界はそれぞれ0.5MV/cm、1.2MV/cm、1.4MV/cm程度である。バッファ層22の表面を流れるリーク電流は、その表面における最低電界に依存し、その式は、J=σE(Jは電流、σは伝導率、Eは電界)で表わされる。したがって、第1実施形態の化合物半導体素子のように、第1の素子分離部と、第2の素子分離部とを設けることにより、バッファ層22の側面にかかる電界を緩和することができて、化合物半導体素子におけるリーク電流を低減することができる。また、第1の素子分離部が、バッファ層22まで達する場合が、最も電界を緩和できて、最も良好なピンチオフ特性を獲得することができる。
図5は、上記第1実施形態の化合物半導体素子において、Lを変化させた場合のバッファ層の側面にかかる最低電界をプロットした図である。ここで第1の素子分離部は、バッファ層まで達し、第2の素子分離部は、基板まで達し、基板は、0V、電極は、600Vである。
図5を参照して、L≧0.2μmでは、最低電界は0.55MV/cm以下と非常に小さく、L依存性も小さい。一方、L<0.2μmでは、最低電界が、急激に上昇する。このためLが0.2μm以上であると、電界を緩和し、リーク電流を抑制する効果を格段に大きくすることができる。
以上、本発明によれば、リーク電流を低減した良好なピンチオフ特性を有する化合物半導体素子を提供することができる。また、本発明の化合物半導体素子は、高耐圧・高出力を必要とする基地局用高周波トランジスタや、電源スイッチング素子に好適に適用することができる。
尚、今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
1,21,121,131 基板
2,22,122,132 バッファ層
3,133 チャネル層
4,134 バリア層
5 キャップ層
6 ソース電極
7,24,124 ドレイン電極
8,25,125 ゲート電極
9 第1の素子分離部
10 第2の素子分離部
11 絶縁膜
23,123 化合物半導体層
135 アノード電極
136 カソード電極
137 素子分離部
138 絶縁膜

Claims (8)

  1. 基板と、
    上記基板上に形成されたバッファ層と、
    上記バッファ層上に形成された化合物半導体層と、
    上記化合物半導体層上に形成され、かつ、上記基板と電気的に接続された電極と
    を備え、
    上記化合物半導体層の表面から略上記化合物半導体層の厚み方向に広がる第1の素子分離部と、
    平面視において、上記第1の素子分離部を囲むように位置する第2の素子分離部と
    を有することを特徴とする化合物半導体素子。
  2. 請求項1に記載の化合物半導体素子において、
    上記第2の素子分離部は、上記基板にまで達していることを特徴とする化合物半導体素子。
  3. 請求項1または2に記載の化合物半導体素子において、
    上記基板の厚さ方向において、上記第1の素子分離部の上記基板側の端は、上記バッファ層まで達していることを特徴とする化合物半導体素子。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物半導体素子において、
    上記基板の上記バッファ層側の表面に平行な方向において、上記第1素子分離部と上記第2素子分離部との距離は、0.2μm以上であることを特徴とする化合物半導体素子。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物半導体素子において、
    上記第1素子分離部および上記第2素子分離部の夫々は、絶縁膜によって保護されていることを特徴とする化合物半導体素子。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物半導体素子において、
    上記化合物半導体層および上記バッファ層の夫々は、3族窒化物半導体からなることを特徴とする化合物半導体素子。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物半導体素子において、
    上記化合物半導体層上に、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を有し、
    上記ソース電極と、上記基板とを電気的に接続していることを特徴とする化合物半導体素子。
  8. 請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物半導体素子において、
    上記基板は、導電性を有していることを特徴とする化合物半導体素子。
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