JP2010170590A - コンパクトディスク基板およびコンパクトディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】特に複屈折性に優れ、グルーブやピット等高密度な情報信号が正確に転写され、平面性、剛性、反りが少なく、振動時の面振れの少ない情報記録媒体としての特性を有しつつ、折曲げ性に優れるコンパクトディスク基板およびコンパクトディスクを提供する。
【解決手段】粘度平均分子量1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、数平均分子量1,000〜50,000のポリカプロラクトンを0.5〜2重量部含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンパクトディスク基板およびコンパクトディスクに関する。さらに詳しくは、折り曲げ性や光学特性(斜め入射複屈折率)に優れたコンパクトディスク基板およびコンパクトディスクに関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、コンパクトディスク、レーザーディスク、光磁気ディスク、デジタルビデオディスク等の光ディスク、さらには情報面からの信号の読み取りや、書き込みを特徴とする近接場記録情報媒体或いはそれらの基板など光学情報記録媒体の原料として、広く用いられている。
そして、これら光学情報記録媒体は、ピットやグルーブの情報信号が刻印されたスタンパーを露出させた金型キャビティに、溶融させた芳香族ポリカーボネート樹脂を射出し、情報信号を転写させる方法によって製造されている。
この光学情報記録媒体の製造に芳香族ポリカーボネート樹脂が使用されている理由は、この樹脂が透明性、光学特性、強度、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性などにおいて優れており、しかも成形性にも優れているためである。特に、射出成形法により、光学情報記録媒体の基板を製造すると、スタンパーに刻設した微細な凹凸模様(情報信号)が、正確に基板表面に転写されて、基板の反りや平面性に優れた高品質の光学情報記録媒体が得られるからである。
一方近年の光学情報記録媒体は、当初のCDの基板が単一の一枚からなる形状とは異なってきている。例えばDVDは、厚み0.6mmの基板2枚を紫外線硬化樹脂を用いて貼り合せている。またブルーレイディスク(BDと略)では、ポリカーボネート樹脂から形成された基板の表面に紫外線硬化樹脂からなるカバー層の形成したり、または、カバーフィルムを基板と貼り合わせる形状を有している。
しかしながら、この紫外線硬化樹脂を硬化するための紫外線は、信号読み取り面の側から照射されており、過大な照射がされた場合には、芳香族ポリカーボネート樹脂等が劣化を起こし、該樹脂の分子量低下等を引き起こしてしまう可能性がある。
また、自動車にカーナビゲーション等の映像機器の導入が普及し、車内で映画等を簡単に視聴できるようになってきた。特に真夏の車内は高温高湿の状態になりやすく、光学情報記録媒体が長時間車内に放置されてしまうとその基板に使用されている樹脂が劣化する。すると、光学情報記録媒体が落下等の衝撃により割れ易くなり問題となっている。
そこで、この問題を解決するために、基本的には、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を高くすることが効果的である。しかしながら、高い分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が低下して基板の複屈折が高くなり、光学情報記録媒体としては使用することが困難である。光学情報記録媒体の成形時に、シリンダー温度を高くした成形機を用いて成形する製造方法が考えられるが、冷却時間が長くなり基板生産性が悪化してしまうという問題がある。
また、従来の光学情報記録媒体の基板の生産では、シリンダー温度をより低温に設定し、冷却時間の短縮することで、より短時間で光学情報記録媒体を多く生産し、生産性を向上させるとする方法が一般的である。これを達成するにはシリンダ温度を低くしても、芳香族ポリカーボネート樹脂が十分な溶融粘度を得るに該樹脂の分子量を低くすることが一般的である。従って該樹脂の分子量を高くすることは、従来の製造方法とでは合致せず、この問題を解決することはできない。
分子量を調整したポリカーボネート樹脂を用いた光ディスク基板の発明としては、0.06〜0.09%のステアリン酸モノグリセリドを含有した粘度平均分子量14000〜15000のポリカーボネート樹脂からなる光ディスク基板がある。しかしながら該特許は、離型剤の含有量を規定して成形時の変形抑制の効果を記載しているが、光ディスク基板の強度の記載がなく課題が残る(特許文献1)。
また、粘度平均分子量10000〜17000かつ、重量平均分子量/数平均分子量が2.3以上のポリカーボネート樹脂からなる光ディスク基板がある。しかしながら、成形時の割れが少ないことが記載されているが、その発生原因や長期使用後の基板の割れが、明らかではない(特許文献2)。
他の試みとしては、光学用ディスク等の光学成形品材料として、分岐化ポリカーボネート樹脂を使用することが提案され、成形時の糸引きが防止され、複屈折性、強度、連続成形性が改善されることが記載されているが、特殊な分岐化ポリカーボネート樹脂を用いる必要がある(特許文献3、特許文献4)。
さらに、超高分子量のポリカーボネート樹脂を混合する方法の提案がある。しかし、一般に光ディスク用に使用されているポリカーボネート樹脂は、混合する超高分子量ポリカーボネート樹脂との分子量の乖離が大きいため、超高分子量ポリカーボネートを混合すると光学的に不均一になり微小な白筋や成形時にシルバー、デラミ現象が生じたり、機械的強度にむらが生じたりする欠点があり、光学用途には不向きである(特許文献5)。
ポリカプロラクトンアロイに関しては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して数平均分子量10,000〜50,000のポリカプロラクトンを200〜10,000ppm配合されている光ディスク基板用樹脂を2枚貼り合せることが提案されている。ディスク構成が対称であることから、環境変化、特に吸湿、脱湿過程における吸湿量の差及び脱湿速度差(もしくは材料が異なることによる吸水膨張率の差)が等価となりチルト変化が抑えられるが、光ディスクの複屈折については言及されていない(特許文献6)。
また、ポリカーボネート樹脂80〜98重量部及びポリカプロラクトン20〜2重量部からなる熱可塑性樹脂に対してスチレン系重合物50〜5重量部を混合してなる光ディスク基板用樹脂が提案されている。但し、本提案はスチレン系重合物を添加することにより光ディスクの複屈折を低減することが目的である(特許文献7)。
さらに、BDの反りを低減するために、ポリカーボネート樹脂100重量部に対してポリカプロラクトンを0.5〜10重量部配合した光ディスク基板が開示されている(特許文献8)。
特開平04−168151号公報 特開2003−162841号公報 特開2006−348132号公報 特開昭60−215019号公報 特開平04−342760号公報 特開平11−166113号公報 特開昭63−090555号公報 特開2007−293974号公報
本発明の目的は、特に複屈折性に優れ、グルーブやピット等高密度な情報信号が正確に転写され、平面性、剛性、反りが少なく、振動時の面振れの少ない情報記録媒体としての特性を有しつつ、折曲げ性に優れるコンパクトディスク基板およびコンパクトディスクを提供することにある。
本発明者等は、上記目的のため検討を重ねた結果、粘度平均分子量が1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネートに、数平均分子量1.0×10〜5.0×10のポリカプロラクトンを特定量配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板を用いることにより、上記課題が達成されることを見出した。
すなわち、本発明によれば、
1.粘度平均分子量1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、数平均分子量1.0×10〜5.0×10のポリカプロラクトンを0.5〜2重量部含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板、
2.前項1記載のコンパクトディスク基板表面上に反射膜を形成したコンパクトディスク、および
3.コンパクトディスク基板の斜め入射複屈折率を低減する方法であって、コンパクトディスク基板として、粘度平均分子量1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、数平均分子量数平均分子量1.0×10〜5.0×10のポリカプロラクトンを0.5〜2重量部含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板であることを特徴とする方法、
が提供される。
本発明のコンパクトディスク基板は、複屈折特性に優れ、落下等の衝撃により割れ難く、非常に取り扱いが容易である。また、長期かつ過酷な環境下での保管が容易であり、格別の効果を有する。
光ディスク基板を冶具にセットし、圧力をかける折り曲げ試験を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<樹脂組成物>
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネートである。ここで、実質的とは、全二価フェノール成分の90モル%以上、好ましくは95モル%以上が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)であることを意味する。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)以外の二価フェノール成分としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、1.4×10〜2.0×10の範囲が好ましく、1.5×10〜1.8×10の範囲がより好ましい。1.65×10〜1.75×10の範囲がより好ましい。1.4×10未満の場合には、コンパクトディスク基板の長期間使用後の耐折り曲げ性が劣化し、落下等の衝撃により割れ易くなる。2.0×10を超えると、溶融粘度が低下してコンパクトディスク基板の複屈折が高くなり、光ディスクとしては好ましくない。
この粘度平均分子量は、芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度を測定し、下記式から算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
ηsp:比粘度
[η]:極限粘度
c:定数(=0.7)
M:粘度平均分子量
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば二価フェノール成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。
界面重合法または溶融重合法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法は周知である。例えば特開平2001−225503号、特開2003−301099号、米国公開公報2005−106350号等を参照することができる。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
溶融重合法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、溶融法において重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、1×10−8〜1×10−3当量、好ましくは1×10−7〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−6〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(ポリマーAおよびポリマーB)は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリマーは、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
単官能フェノール類として、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノールまたはp−クミルフェノールである。
Figure 2010170590
{式中、Aは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。}
これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少くなとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法(界面重合法、溶融重合法など)により製造した後、有機溶媒溶液状態において、純水を用いての芳香族ポリカーボネート樹脂中のアルカリ成分の抽出除去や有機溶媒溶液からの粒子化(造粒)を経た濾過処理を行い精製することが好ましい。
造粒(脱溶媒)後の粒状原料を、芳香族ポリカーボネート樹脂の貧溶媒や非溶媒で洗浄して低分子量成分や未反応成分等の不純物や異物を除去することも好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂の貧溶媒または非溶媒として、アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
射出成形に供するためのペレット状芳香族ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどの手段により異物を除去したりすることが好ましい。いずれにしても射出成形前の芳香族ポリカーボネート樹脂はナトリウムだけでなく、異物、不純物、溶媒などの含有量も極力低くしておくことが肝要である。
(ポリカプロラクトン)
本発明におけるポリカプロラクトンとしては、一般的にはεーカプロラクトンを開環重合して得られるが、特に限定されるものではない。末端は通常未反応の水酸基である場合が多いが、未反応末端基が多くなると熱安定性が乏しくなるため、アルキル基あるいはアリル基で封鎖されることが好ましい。ポリカプロラクトンの数平均分子量は1,000〜50,000である。数平均分子量が1,000未満の場合、分解ガスの発生や金型付着物が多くなる。また、50,000を越えるとポリカーボネートと相溶性が悪くなり、基板の光学特性が劣ってしまう。ポリカプロラクトンの数平均分子量は、好ましくは3,000〜40,000であり、より好ましくは5,000〜25,000である。ポリカプロラクトンの数平均分子量の測定は、GPCによりポリスチレン換算の数平均分子量を求める方法を用いる。
ポリカプロラクトンの含有量は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.5〜2重量部であり、0.6〜1.8重量部が好ましく、0.7〜1.5重量部がより好ましい。ポリカプロラクトンの割合が0.5重量部より小さい場合、コンパクトディスク基板の光学特性が劣り、2重量部より大きい場合は成形時にポリカーボネート樹脂が分解し易くなり好ましくない。
(添加剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、難燃剤、熱線遮蔽剤、蛍光染料(蛍光増白剤含む)、顔料、光拡散剤、強化充填剤、他の樹脂やエラストマー等を配合することができる。
熱安定剤としては、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤およびヒンダードフェノール系熱安定剤が挙げられる。
リン系熱安定剤としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物が挙げられ、これらを配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜0.05重量部が好ましく、0.0005〜0.02重量部がより好ましく、0.002〜0.01重量部が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、かかる前記樹脂組成物の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
具体的なリン化合物としては、下記一般式[2]〜[6]よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
Figure 2010170590
Figure 2010170590
Figure 2010170590
Figure 2010170590
Figure 2010170590
[式中、R〜R22は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素原子数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素原子数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
上記式[2]で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、などが挙げられる。
上記式[3]で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。上記式[4]で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられる。また上記式[5]で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。上記式[6]で示される化合物としては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
これらのリン化合物のなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。もっとも好ましいのは、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。
硫黄系熱安定剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)、ジラウリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3、3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート等が挙げられ、なかでもペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ジラウリル−3、3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3、3’−チオジプロピオネートが好ましい。特に好ましくはペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)である。該チオエーテル系化合物は住友化学工業(株)からスミライザーTP−D(商品名)およびスミライザーTPM(商品名)等として市販されており、容易に利用できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂中の硫黄系熱安定剤の含有量としては、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.2重量部が好ましい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられ、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが特に好ましく用いられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂中のヒンダードフェノール系熱安定剤の含有量としては、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜0.05重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、離型剤を添加することができる。離型剤としてはグリセリンモノエステルが好ましく使用される。かかるグリセリンモノエステルは、グリセリンと脂肪酸のモノエステルが主成分であり、好適な脂肪酸としてはステアリン酸、パルチミン酸、ベヘン酸、アラキン酸、モンタン酸、ラウリン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸、リノール酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸、ベヘン酸、パルチミン酸が好ましく特にベヘン酸が好ましい。天然の脂肪酸から合成されたものが好ましく、そのほとんどが混合物である。
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、グリセリンモノエステルの含有量は好ましくは0.01〜0.3重量部であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部、さらに好ましくは0.025〜0.15重量部である。含有量が少なすぎる場合には、良好な離型性が得られず、多すぎると成形品の変色が悪化する。
離型剤は、当該業者で知られるその他の離型剤とも併用可能であるが、併用した場合でもグリセリンモノエステルの含有量は0.01〜0.3重量部が好ましく、離型剤の主成分であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤およびシアノアクリレート系からなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。
好ましくは、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルであり、より好ましくは、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ビス(2.4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)および2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。なかでも2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好適であり、特に2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好適である。かかる化合物は竹本油脂(株)からCEi−P(商品名)として市販されており、容易に利用できる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
当該紫外線吸収剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜3.0重量部であり、より好ましくは0.02〜1.0重量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.8重量部である。かかる配合量の範囲であれば、用途に応じ、ポリカーボネート樹脂成形品に十分な耐候性を付与することが可能である。
ブルーイング剤としては、バイエル社のマクロレックスバイオレットB及びマクロレックスブルーRR並びにクラリアント社のポリシンスレンブル−RLS等が挙げられる。ブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂粉粒体の黄色味を消すために有効である。
ブルーイング剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂に対して好ましくは0.05〜1.5ppmであり、より好ましくは0.1〜1.2ppmである。
<コンパクトディスク基板およびコンパクトディスク>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりコンパクトディスク基板(CD基板)を製造する場合には射出成形機(好ましくは射出圧縮成形機)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダやスクリューとして樹脂との付着性が低く、かつ耐蝕性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。
射出成形の条件としてはシリンダ温度が好ましくは260〜450℃、より好ましくは280〜380℃、並びに金型温度が好ましくは50〜180℃、より好ましくは70〜135℃であり、これらにより光学的に優れたCD基板を得ることができる。
成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
また、本発明のCD基板は、支持基板、該基板上に形成された記録層および/または反射層を有してなる。記録層、反射層の無機薄膜の製造法としては、公知の真空蒸着法、スパッタリング法等のPVD法、あるいはCVD法等、種々の薄膜形成法が適用できる。しかし、光ディスク媒体としては、高温高湿の耐環境試験で生じる剥離を生じさせないために、特に高分子基板との密着性が大きい条件で作製することが好ましい。このためにはスパッタリング法が好ましい。
記録膜は追記型光ディスクの場合、基板上に、レーザー光の照射によって不可逆的な光学特性が変化したり凹凸形状が形成される記録膜であり、例えばレーザー光の照射による加熱で分解して、その光学定数が変化すると共に、体積変化によって基板の変形を生じさせるシアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の有機色素等が用いられる。
書き換え可能型光ディスクの場合、記録膜はレーザー光の照射によって生じた物質の非晶質状態と結晶状態の間の可逆的な相構造変化が起こる材料(相変化記録型)、もしくは膜面に垂直な方向に磁化容易方向を有し、任意の反転磁区を作ることにより情報の記録、再生、消去が可能な磁気光学効果を有する磁性薄膜(光磁気記録型)である。相変化記録型の記録膜としては、例えば、カルコゲナイド系材料であるGeSbTe系、InSbTe系、InSe系、InTe系、AsTeGe系、TeOx−GeSn系、TeSeSn系、FeTe系、SbSeBi系、BiSeGe系等が用いられているが、GeSbTe系よりなる膜は繰り返し記録・消去時における安定動作が良好で好ましい。光磁気記録型の記録膜としては、例えば、TbFe、TbFeCo、GdTbFe、NdDyFeCo、NdDyTbFeCo、NdFe、PrFe、CeFe等の希土類元素と遷移金属元素との非晶質合金薄膜、交換結合を利用したそれらの二層膜、Co/Pt、Co/Pd等の人工格子多層膜、CoPt系合金等を用いることができる。
また記録膜を狭持する記録膜保護膜としては誘電体材料を用いることが好ましい。これにより、媒体としての結晶相と非晶質相の反射率差、および磁気光学効果を高めることができる。さらにこの場合には、誘電体材料は屈折率nが高い材料、すなわちn≧1.6である材料、さらに好ましくはn≧1.8である材料であることが好ましい。例えば、SiO系、SiON系、Ta、TiO、Al、Y、CeO、La、In、GeO、GeO、PbO、SnO、SnO、Bi、TeOWO、WO、Sc、ZrO等の酸化物、TaN、AlN、SiN系、AlSiN系等の窒化物、ZnS、Sb、CdS、In、Ga、GeS、SnS、PbS、Bi等の硫化物、またはこれらの混合材料やこれらの積層体などを保護膜として用いることが好ましい。
光反射層としては、評価に用いるドライブヘッドのレーザー光に対し、記録層よりも反射率の高い材料であることが特性向上のために好ましい。具体的には、使用レーザー光波長における光学定数である屈折率nと消衰係数kが、n≦3.5、かつk≧3.5であるような材料を選択することが好ましい。さらに好ましくはn≦2.5かつ4.5≦k≦8.5であり、この条件で作製した媒体では、再生信号特性のより一層の向上が実現できる。
一方レーザー光による加熱で信号を記録する際、光反射層の熱伝導率が高すぎると、熱拡散が大きく、強いレーザパワーを必要とする。このため現在多用されているパワーが15mW以下の半導体レーザーで信号の記録を可能とするためには、光反射層に用いる材料の熱伝導率は100[W/(m・K)]以下であることが好ましく、さらには80[W/(m・K)]以下であることがより好ましい。
このような条件を満足する材料として、AlもしくはAgにAu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir等の1種類以上の元素を添加した合金が挙げられる。なお、これら合金において添加元素の添加量が、0.5原子%より少ないと前述の熱伝導低下の効果は小さく、逆に20原子%より多いと前述の光反射率の低下が大きく再生信号特性の面で不利である。従って添加元素の含有量は0.5〜20原子%の範囲におさめることが好ましい。また、特に金属反射膜自身の耐久性を高めるという点で、上記特定元素群の中ではTi、Zr、Hf、Ta、Cr、Reが好ましい。これらの反射層の膜厚範囲は10〜500nmであるが、反射率の低下による再生信号特性の低下を抑え、かつレーザパワーが15mWで記録可能とするためには、好ましくは30〜200nm、特に好ましくは40〜100nmである。
なお、再生専用光ディスク媒体の場合は、上述した光反射層のみを基板上に形成する事になるが、材料としては同じものを使用することが出来る。
本発明のCD基板は、長期間使用後の折り曲げ性を有する。これは、成形時における折り曲げ性に優れるばかりで無く、長期間の使用後においてもなお、折り曲げ性に優れるCD基板である。
評価は下記の方法によった。
(1)粘度平均分子量
ポリマーA0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度を測定し、下記式から算出した。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
ηsp:比粘度
[η]:極限粘度
c:定数(=0.7)
M:粘度平均分子量
(2)折り曲げ性
CD基板を冶具に、図1のように垂直にセットし、120mmから20mmの距離まで50mm/minにて圧縮し、1MPaの圧力を掛けた。120mmから20mmまで折り曲げる過程で基板が割れた物を×、割れなかったものを○とした。
(3)ΔR値(複屈折性)
CD基板について、TORYO AT社製自動複屈折測定装置B6DYを用い、CD基板の垂直入射複屈折とCD基板の半径方向に対して垂直になるような斜め入射(30度)複屈折率の差の絶対値(ΔR)を測定した。測定は、半径25、30、35、40、45、50、55mm部分において、各半径でそれぞれ円周方向に8点で測定し、平均した値を測定値とした。
[実施例1]
p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量17,000のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製ポリカプロラクトンH1P、数平均分子量10,000))1重量部を添加し、ドライブレンドして均一に混合した。さらにステアリン酸モノグリセライド0.045重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.003重量部を添加し、240〜280℃の温度範囲で30mm単軸押出機によりストランドを押出しカッターでペレット化した。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出圧縮成形機(住友重機械工業社製SD−40E)とキャビティ厚1.2mm、直径120mmの金型およびCD−ROM基板用スタンパーを用いて、シリンダー設定温度370℃、金型温度75℃、型締め力280PMa、成形サイクル5秒でCD−ROM基板を成形した。その後、CD−ROM基板上に反射膜を形成しCD−ROMとした。
[比較例1]
p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量17,000のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ステアリン酸モノグリセライド0.045重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.003重量部を添加し、240〜280℃の温度範囲で30mm単軸押出機によりストランドを押出しカッターでペレット化したペレットを使用して、実施例1と同様の方法でCD−ROM基板およびCD−ROMを得た。
[実施例2]
ポリカーボネート樹脂として、p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量15,000のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂を使用する以外は、実施例1と同様の方法でCD−ROM基板およびCD−ROMを得た。
[比較例2]
p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量15,000のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ステアリン酸モノグリセライド0.045重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.003重量部を添加し、240〜280℃の温度範囲で30mm単軸押出機によりストランドを押出しカッターでペレット化したペレットを使用して、実施例1と同様の方法でCD−ROM基板およびCD−ROMを得た。
[比較例3]
ポリカーボネート樹脂として、p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量15,000のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂を使用し、且つポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製ポリカプロラクトンH1P、数平均分子量10,000))の添加量を3重量部に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法でペレットを得た。得られたペレットを実施例1と同様の方法で射出圧縮成形しようとしたところ、成形時に分解が起こりCD−ROM基板を得ることができなかった。
[比較例4]
p−tert−ブチルフェノールとホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量13,500のビスフェノールAを繰り返し単位とする粉粒状ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ステアリン酸モノグリセライド0.045重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.003重量部を添加し、240〜280℃の温度範囲で30mm単軸押出機によりストランドを押出しカッターでペレット化したペレットを使用して、実施例1と同様の方法でCD−ROM基板およびCD−ROMを得た。
なお、表中の各成分は以下のとおりである。
PC;芳香族ポリカーボネート樹脂
PCL;ポリカプロラクトン
また、実施例及び比較例から次のことが明らかである。
実施例1は、折り曲げ性が良好で、比較例1と比べてΔR値も良好である。
実施例2は、折り曲げ性が良好で、比較例2と比べてΔR値も良好である。
比較例3は、基板の成形時に分解発泡が起こり、熱安定性に劣る。
比較例4は、ΔR値は良好であるが、折り曲げ試験で割れた。折り曲げ性に問題を有する。
Figure 2010170590
本発明は、CD基板として有用である。
1.冶具
2.光ディスク基板
3.冶具間の幅(120mm)
4.冶具間の幅(20mm)

Claims (3)

  1. 粘度平均分子量1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、数平均分子量1.0×10〜5.0×10のポリカプロラクトンを0.5〜2重量部含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板。
  2. 請求項1記載のコンパクトディスク基板表面上に記録層および/または反射層を形成したコンパクトディスク。
  3. コンパクトディスク基板の斜め入射複屈折率を低減する方法であって、コンパクトディスク基板として、粘度平均分子量1.4×10〜2.0×10の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分a)より実質的になる二価フェノール成分より構成された芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、数平均分子量1.0×10〜5.0×10のポリカプロラクトンを0.5〜2重量部含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成されたコンパクトディスク基板であることを特徴とする方法。
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