JP2010168547A - オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Si−O結合を有するケイ素化合物、式[I]で表されるチタン化合物および溶媒を含有する溶液に、該溶媒1リットルあたりのマグネシウム原子の量が2.5〜90molである量に相当する有機マグネシウム化合物を加える工程を含むオレフィン重合用固体触媒成分前駆体の製造方法。オレフィン重合用固体触媒成分前駆体と、下式で表されるハロゲン化金属化合物と、内部電子供与体とを接触させる工程からなるオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
【選択図】なし
Description
かかる現状において、本発明の目的は、粒子性状の一つである流動性に優れたオレフィン重合体を製造し得る、オレフィン重合用固体触媒前駆体の製造方法、オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン重合用固体触媒の製造方法およびオレフィン重合体の製造方法を提供することである。
式中、R7は炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、X1はハロゲン原子または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基を表し、X1は互いに同じか異なり、dは1〜20の数を表し、好ましくは1≦d≦5を満たす数である。
M(R11)eX3 m−e
式中、Mは第4族、第13族または第14族元素を表し、R11は炭素原子数2〜18のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素原子数6〜18のアリール基もしくはアリロキシ基を表し、X3はハロゲン原子表し、mはMの原子価を表し、eは0<e≦mを満足する数を表す。
さらにまた、本発明は、上記の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒の存在下にオレフィンを重合させる工程からなるオレフィン重合体の製造方法である。
Si(OR1)aR2 4−a
R3(R4 2SiO)bSiR5 3 および
(R6 2SiO)c
中でも、好ましくは上記第一の式で表わされるアルコキシシラン、より好ましくは、aが4であるテトラアルコキシシランであり、最も好ましくはテトラエトキシシランである。
上式[I]におけるX1のハロゲン原子として、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。特に好ましくは塩素原子である。
上式[I]におけるX1の炭素原子数1〜20のヒドロカルビルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数2〜18の直鎖状アルコキシ基であり、より好ましくは炭素原子数2〜10の直鎖状アルコキシ基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6の直鎖状アルコキシ基である。
R8MgX2
R9R10Mg
これらのグリニャール化合物は、好ましくは、それらのエーテル溶液として用いられる。該エーテルの例としては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルおよびジイソアミルエーテルなどのジアルキルエーテル、ならびにテトラヒドロフランなどの環状エーテルである。それらのうち、ジアルキルエーテルが好ましく、ジ−n−ブチルエーテルまたはジイソブチルエーテルが特に好ましい。
ケイ素化合物の使用量は、使用されるチタン化合物中の総チタン原子1モルあたり、ケイ素原子が通常1〜500モル、好ましくは1〜300モル、特に好ましくは3〜100モルとなる量である。
チタン化合物、ケイ素化合物および有機マグネシウム化合物の使用量はまた、得られる固体触媒成分前駆体中のマグネシウム原子の量が、該前駆体中のチタン原子1モルあたり、1〜51モル、好ましくは2〜31モル、特に好ましくは4〜26モルとなるように決定してもよい。
エステル化合物の使用量は、使用されるチタン化合物中の総チタン原子1モルあたり、通常0.05〜100モル、好ましくは0.1〜60モル、特に好ましくは0.2〜30モルである。
得られたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、3価のチタン原子、マグネシウム原子およびヒドロカルビルオキシ基を含有し、一般に非晶性または極めて弱い結晶性を有する。好ましくは非晶性の構造である。
上式で表されるハロゲン化金属化合物として、特許文献2に記載のチタン化合物、ならびに特許文献3に記載の第13族元素のクロロ化化合物および第14族元素のクロロ化化合物を例示することができる。
上式で表されるハロゲン化チタン化合物は、好ましくは四塩化チタン、四臭化チタン、および四沃化チタンのようなテトラハロゲン化チタン化合物、またはメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド、フェノキシチタントリクロライド、およびエトキシチタントリブロマイドのようなトリハロゲン化アルコキシチタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタン化合物であり、特に好ましくは四塩化チタンである。
上記の内部電子供与体として、アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、および酸無水物のような含酸素電子供与体;ならびに、アンモニア、アミン、ニトリルおよびイソシアネートのような含窒素電子供与体を例示することができる。中でも、好ましくは有機酸のエステルまたはエ−テルである。有機酸のエステルとして、上述のエステル化合物を例示することができる。エーテルとして特許文献3に記載のエーテル類を例示することができ、好ましくはジアルキルエーテルであり、特に好ましくはジブチルエーテルまたはジイソアミルエーテルである。内部電子供与体は、好ましくは有機酸のエステル、特に好ましくは芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステル、最も好ましくはフタル酸のジアルキルエステルである。
上記の有機酸ハライドとして、モノおよび多価のカルボン酸ハライドを例示することができ、具体例として脂肪族カルボン酸ハライド、脂環式カルボン酸ハライド、および芳香族カルボン酸ハライドを例示することができる。より具体的な例として、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、塩化ベンゾイル、トルイル酸クロライド、アニス酸クロライド、コハク酸クロライド、マロン酸クロライド、マレイン酸クロライド、イタコン酸クロライド、およびフタル酸クロライドを例示することができる。中でも、塩化ベンゾイル、トルイル酸クロライドおよびフタル酸クロライドのような芳香族カルボン酸クロライドが好ましく、特にフタル酸クロライドが好ましい。
オレフィン重合用固体触媒成分前駆体と、ハロゲン化金属化合物と、内部電子供与体と有機酸ハライドとを接触させる方法は特に限定されない。該方法として、スラリー法や機械的粉砕法(例えばボールミルによる方法)のような公知の方法を例示することができる。機械的粉砕法は、得られる固体触媒成分の微粉含有量やその粒度分布の広がりを抑制するために、好ましくは希釈剤の存在下で行われる。
上記のスラリー法におけるスラリー濃度は、通常0.05〜0.7g固体/ml溶媒、特に好ましくは0.1〜0.5g固体/ml溶媒である。接触の温度は、通常30〜150℃、好ましくは45〜135℃、特に好ましくは60〜120℃である。接触の時間は特に制限されず、通常30分から6時間程度が好適である。
R12 fSi(OR13)4−f
式中、R12は炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはヘテロ原子含有置換基を表し;R13は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し;fは0≦f<4を満たす数を表し;R12およびR13が複数存在する場合、それぞれのR12およびR13は同じか又は異なる。
外部電子供与体としてのエーテルは、より好ましくは環状エーテル化合物である。環状エーテル化合物とは、環構造内に少なくとも一つの−C−O−C−結合を有する複素環式化合物であり、更に好ましくは環構造内に少なくとも一つの−C−O−C−O−C−結合を有する環状エーテル化合物である。
(1)固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物の存在下、少量のオレフィン(本来の重合(通常、本重合と言われる)で使用されるオレフィンと同一または異なる)を重合させ(生成されるオレフィン重合体の分子量を調節するために水素のような連鎖移動剤を用いてもよいし、外部電子供与体を用いてもよい)、該オレフィンの重合体で表面が覆われた触媒成分を生成させる工程(該重合は通常、予備重合と言われ、したがって該触媒成分は通常、予備重合触媒成分と言われる);
(2)予備重合触媒成分と、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体とを接触させる工程。
予備重合は好ましくは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン及びトルエンのような不活性炭化水素を溶媒とするスラリー重合である。
上記工程(1)で用いられる有機アルミニウム化合物の量は、工程(1)で用いられる固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、通常0.5〜700モル、好ましくは0.8〜500モル、特に好ましくは1〜200モルである。
上記工程(1)のスラリー重合における固体触媒成分のスラリー濃度は、好ましくは1〜500g−固体触媒成分/リットル−溶媒、特に好ましくは3〜300g−固体触媒成分/リットル−溶媒である。
(1)固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを供給した後、オレフィンを供給する方法;および
(2)固体触媒成分とオレフィンとを供給した後、有機アルミニウム化合物を供給する方法。
予備重合における、オレフィンを重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)重合槽内の圧力を所定の圧力に維持するようにオレフィンを順次供給する方法;および
(2)オレフィンの所定量の全量を一括して供給する方法。
予備重合における、外部電子供与体を重合槽へ供給する方法として、以下の方法(1)および(2)を例示することができる:
(1)外部電子供与体を単独で供給する方法;および
(2)外部電子供与体と有機アルミニウム化合物との接触物を供給する方法。
予備重合については例えば、特許文献2や特許文献3に記載されている。
本重合時の有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1molあたり、通常1〜10000mol、特に好ましくは5〜6000molである。
本重合の温度は、通常−30〜300℃、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は特に制限されず、工業的かつ経済的であるという点で、一般に常圧〜10MPa、好ましくは200kPa〜5MPa程度である。重合はバッチ式または連続式であり、重合方法としてプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような不活性炭化水素を溶媒とするスラリー重合法または溶液重合法や、重合温度において液状であるオレフィンを媒体とするバルク重合法や、気相重合法を例示することができる。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
撹拌機を備えた内容積500mlのセパラブルフラスコを窒素で置換した後、ヘキサン溶媒)94ml、テトラブトキシチタン(チタン化合物)8.9ml(25mmol)およびテトラエトキシシラン(ケイ素化合物)88.2ml(395mmol)を投入した。次に、前記攪拌混合物を撹拌して、フラスコ内の温度を10℃に保ちながら、ブチルマグネシウムクロリド(有機マグネシウム化合物)のジブチルエーテル溶液(濃度2.1mol/L)204ml(428mmol)を一定の滴下速度で4時間かけて滴下した。ヘキサン溶媒の量に対する、投入したブチルマグネシウムクロリドに由来するMg量は、4.6mol−Mg/L−溶媒であった。滴下終了後、20℃で1時間撹拌した後、濾過した。その後、得られた固体を、トルエン280mlで3回洗浄した後に、トルエンを160ml加えて、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.19g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.68wt%、OEt(エトキシ基):38.1wt%、OBu(ブトキシ基):4.07wt%を含有していた。
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換した後、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が7.00gになるように実施例1(1)で得られたスラリーを加え、トルエンを3.1ml、フェニルトリクロロシラン(ハロゲン化金属化合物)5.1ml(32mmol)およびジ(2−エチルヘキシル)フタレート(内部電子供与体)5.4ml(74mmol)を投入し、105℃にて2時間攪拌した。次いで、攪拌混合物を固液分離し、100℃にてトルエン35mlでの洗浄を3回繰り返し、洗浄後の固体にトルエン10mlを投入した。これに四塩化チタン(ハロゲン化金属化合物)3.5ml(32mmol)を投入し、105℃で2時間攪拌した。その後、攪拌混合物を固液分離し、100℃にてトルエン35mlでの洗浄を6回繰り返した後、さらに室温にてヘキサン35mlでの洗浄を2回繰り返し、洗浄後の固体を減圧乾燥して粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を7.15g得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.66wt%を含有しており、触媒のメジアン径は39μmであった。
内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥した後これを真空にし、これに水素0.087MPa、ブタン640gおよび1−ブテン(オレフィン)110gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレン(オレフィン)を分圧で0.6MPaとなるように加えた。実施例1(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分17.6mgと、トリエチルアルミニウム(有機アルミニウム化合物)5.7mmolとをアルゴンにより圧入して重合を開始した。その後エチレンを連続して供給しつつ全圧を一定に保ちながら70℃で3時間重合を行った。
重合反応終了後、未反応モノマーをパージし、粒子性状の良好なエチレン・1−ブテン共重合体142gを得た。
触媒単位量当たりの共重合体の生成量(重合活性)は8050g−共重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この共重合体について、SCB:11.3、CXS:1.4wt%、BD:0.355g/ml、MFR:0.15、MFRR:29.9であり、共重合体パウダーの流下体積は、392ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)重合体パウダーを、該ロートの上部に注ぎ入れて流下させる;
(2)定常流下のもと、5秒間に流下する重合体パウダーの重量(Wg/5秒)を求める;
(3)W×2を算出して、10秒間に流下する重合体パウダーの重量(2Wg/10秒)とする;
(4)2W(g/10秒)÷重合体パウダーの嵩密度(g/ml)を算出して、10秒あたりの流下体積(ml/10秒)を求める;
(5)それを1秒あたりの流下体積に換算して、その値を重合体パウダーの流下体積(ml/秒)とする。流下体積が大きいほど、重合体パウダーの流動性が優れる。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを70mlに変更したこと、フラスコ内の温度を10℃から20℃へ変更したこと、トルエン洗浄後に加えるトルエン160mlを150mlに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.20g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.83wt%、OEt(エトキシ基):39.8wt%、OBu(ブトキシ基):3.95wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換した後、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が7.00gになるように実施例2(1)で得られたスラリーを加え、トルエンを6.2ml加えた以外は、実施例1(2)と同様に合成を行い、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を7.08g得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.70wt%を含有しており、触媒のメジアン径は33μmであった。
(3)エチレン・1−ブテン共重合体の重合
実施例2(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分22.5mgを用いたことを除いて、実施例1(3)と同様に重合を実施し、粒子性状の優れた重合体154gを得た。触媒単位量当たりの重合体の生成量(重合活性)は6850g−重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この重合体について、SCB:17.8、CXS:4.4wt%、BD:0.372g/ml、MFR:0.53、MFRR:24.6であり、重合体パウダーの流下体積は、419ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを47mlに変更したこと、フラスコ内の温度を10℃から20℃へ変更したこと、トルエン洗浄後に加えるトルエン160mlを180mlに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.15g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.49wt%、OEt(エトキシ基):37.7wt%、OBu(ブトキシ基):3.86wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換した後、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が7.00gになるように実施例3(1)で得られたスラリーを加え、トルエンを6.6ml抜き出した以外は、実施例1(2)と同様に合成を行い、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を7.21g得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.61wt%を含有しており、触媒のメジアン径は38μmであった。
(3)エチレン・1−ブテン共重合体の重合
実施例3(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分15.7mgを用いたことを除いて、実施例1(3)と同様に重合を実施し、粒子性状の優れた重合体92gを得た。
触媒単位量当たりの重合体の生成量(重合活性)は5870g−重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この重合体について、SCB:13.8、CXS:3.6wt%、BD:0.361g/ml、MFR:0.48、MFRR:22.3であり、重合体パウダーの流下体積は、429ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを21.4mlに変更したこと、フラスコ内の温度を10℃から20℃へ変更したこと、トルエン洗浄後に加えるトルエン160mlを180mlに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.22g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.99wt%、OEt(エトキシ基):38.3wt%、OBu(ブトキシ基):3.57wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換した後、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が7.00gになるように実施例4(1)で得られたスラリーを加え、トルエンを2.2ml加えた以外は、実施例1(2)と同様に合成を行い、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.99wt%を含有しており、触媒のメジアン径は39μmであった。
(3)エチレン・1−ブテン共重合体の重合
実施例4(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分11.0mgを用いたことを除いて、実施例1(3)と同様に重合を実施し、粒子性状の優れた重合体79gを得た。
触媒単位量当たりの重合体の生成量(重合活性)は7460g−重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この重合体について、SCB:13.3、CXS:3.5wt%、BD:0.387g/ml、MFR:0.44、MFRR:23.3であり、重合体パウダーの流下体積は、381ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを8.6mlに変更したこと、フラスコ内の温度を10℃から20℃へ変更したこと、トルエン洗浄後に加えるトルエン160mlを180mlに変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.18g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.59wt%、OEt(エトキシ基):38.6wt%、OBu(ブトキシ基):3.84wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換した後、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が7.00gになるように実施例5(1)で得られたスラリーを加え、トルエンを0.9ml加えた以外は、実施例1(2)と同様に合成を行い、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.67wt%を含有しており、触媒のメジアン径は46μmであった。
(3)エチレン・1−ブテン共重合体の重合
実施例5(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分14.0mgを用いたことを除いて、実施例1(3)と同様に重合を実施し、粒子性状の優れた重合体102gを得た。
触媒単位量当たりの重合体の生成量(重合活性)は7290g−重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この重合体について、SCB:13.3、CXS:3.7wt%、BD:0.346g/ml、MFR:0.39、MFRR:23.4であり、重合体パウダーの流下体積は、348ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを188mlへ変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、粒子形状の劣るオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.21g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.96wt%、OEt(エトキシ基):44.0wt%、OBu(ブトキシ基):4.13wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
実施例1(1)で得られたスラリーを比較例1(1)で得られたスラリーに変更し、トルエン1.6mlを6.6mlに変更したこと以外は実施例1(2)と同様に行い、粒子形状の劣るオレフィン重合用固体触媒成分を7.00g得た。該オレフィン重合用固体触媒成分はTi:0.86wt%を含有していたおり、触媒のメジアン径は50μmであった。
(3)エチレン・1−ブテン共重合体の重合
前記(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分16.7mgを用いたことを除いて、実施例1(3)と同様に重合を実施し、重合体148gを得た。触媒単位量当たりの重合体の生成量(重合活性)は8850g−重合体/g−オレフィン重合用固体触媒成分であった。この重合体について、SCB:16.1、CXS:4.5wt%、BD:0.321g/ml、MFR:0.27、MFRR:29.9であり、重合体パウダーの流下体積は、321ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
ヘキサン94mlを4.3mlへ変更したこと、フラスコ内の温度を10℃から20℃へ変更したこと以外は実施例1(1)と同様にして、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は大量の微粒子を有していた。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:1.66wt%、OEt(エトキシ基):38.6wt%、OBu(ブトキシ基):3.99wt%を含有していた。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
活性化工程1:
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換したのち、該フラスコに、オレフィン重合用固体触媒成分前駆体が8.00gになるように実施例2(1)で得られたトルエンスラリーを加え、スラリーの全体積が26.5mlとなるように上澄み液を抜き取った。40℃で四塩化チタン16.0ml(146mmol)、ジブチルエーテル0.8ml(4.7mmol)の混合物を投入し、さらにフタル酸クロライド1.6ml(1.7mmol)とトルエン1.6mlの混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応混合物を115℃で3時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、115℃でトルエン40mlで3回洗浄を行った。
活性化工程2:
洗浄後、スラリーの体積が26.5mlとなるようにトルエンを加えた。そこへジブチルエーテル0.8ml(4.7mmol)、フタル酸ジイソブチル0.45ml(1.7mmol)と、四塩化チタン6.4ml(58mmol)の混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、105℃でトルエン40mlで2回洗浄を行った。
活性化工程3:
次に、スラリーの体積が26.5mlとなるようにトルエンを加え、105℃とした。
そこへジブチルエーテル0.8ml(4.7mmol)、四塩化チタン6.4ml(58mmol)の混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、105℃でトルエン40mlで2回洗浄を行った。
活性化工程4:
さらに、スラリーの体積が26.5mlとなるようにトルエンを加え、105℃とした。そこへジブチルエーテル0.8ml(4.7mmol)、四塩化チタン6.4ml(58mmol)の混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、105℃でトルエン40mlで3回、室温でヘキサン40mlで3回洗浄を行った。これを減圧乾燥して粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を7.24g得た。
オレフィン重合用固体触媒成分中には、チタン原子が1.9重量%、フタル酸ジエチル11.4重量%、フタル酸エチル−n−ブチル1.6重量%、フタル酸ジイソブチル3.7重量%が含有されていた。
(2)プロピレン重合体の重合
3リットルの内容積を持つステンレス製オートクレーブを真空とした後、0.033MPaの分圧の水素を加えた。トリエチルアルミニウム(有機アルミニウム化合物)2.6mmol、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(外部電子供与体)0.26mmolおよび実施例6(1)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分6.34mgを仕込み、次いで780gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を80℃に昇温し、80℃で1時間重合を行い、粒子性状の優れたプロピレン単独重合体パウダー290gを得た。
オレフィン重合用固体触媒成分1gあたりの重合体の収量(PP/cat)は45700(g/g)であった。CXS=0.54wt%、[η]=2.15(dl/g)、嵩密度は0.468g/mlであり、重合体パウダーの流下体積は、421ml/secであった。
結果を表1に示した。
上記の極限粘度(以下[η]と略す)はテトラリン溶媒、135℃で測定した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
実施例2(1)で得られた前駆体のトルエンスラリーを、実施例3(1)で得られた前駆体のトルエンスラリーに変更したこと以外は実施例6(1)と同様に行い、粒子形状の優れたオレフィン重合用固体触媒成分を7.37g得た。オレフィン重合用固体触媒成分中には、チタン原子が2.0重量%、フタル酸ジエチル9.7重量%、フタル酸エチル−n−ブチル1.2重量%、フタル酸ジイソブチル3.1重量%が含有されていた。
(2)プロピレン重合体の重合
実施例6(1)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分6.34mgを、実施例7(1)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分9.26gに変更したこと以外は実施例6(2)と同様に行い、粒子性状の優れたプロピレン単独重合体パウダー330gを得た。
オレフィン重合用固体触媒成分1gあたりの重合体の収量(PP/cat)は35600(g/g)であった。CXS=0.51wt%、[η]=2.19(dl/g)、嵩密度は0.474g/mlであり、重合体パウダーの流下体積は、420ml/secであった。
結果を表1に示した。
(1)オレフィン重合用固体触媒成分前駆体の合成
撹拌機を備えた内容積500mlのセパラブルフラスコを窒素で置換した後、ヘキサン270ml、テトラブトキシチタン8.1ml(23mmol)、および、テトラエトキシシラン79.9ml(357mmol)を投入した。次に、前記攪拌混合物を撹拌して、フラスコ内の温度を20℃に保ちながら、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.3モル/リットル)166ml(382mmol)を一定の滴下速度で3時間かけて滴下した。ヘキサン溶媒の量に対する、投入したブチルマグネシウムクロリドに由来するMg量は、1.4mol−Mg/L−溶媒であった。滴下終了後、20℃で1時間撹拌した後、濾過した。その後、得られた固体を、トルエン220mlで3回洗浄した後に、トルエンを220ml加えて、粒子形状の劣るオレフィン重合用固体触媒成分前駆体のトルエンスラリーを得た。スラリー濃度は、0.16g―オレフィン重合用固体触媒前駆体/ml−スラリーであった。
該オレフィン重合用固体触媒成分前駆体は、Ti:2.16wt%、OEt(エトキシ基):40.9wt%、OBu(ブトキシ基):4.52wt%を含有していた。
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の合成
実施例2(1)で得られた前駆体のトルエンスラリーを、比較例3(1)で得られた前駆体のトルエンスラリーに変更したこと以外は実施例6(1)と同様に行い、粒子形状の劣るオレフィン重合用固体触媒成分6.83g得た。
オレフィン重合用固体触媒成分中には、チタン原子が2.0重量%、フタル酸ジエチル9.3重量%、フタル酸エチル−n−ブチル1.1重量%、フタル酸ジイソブチル3.2重量%が含有されていた。
(3)プロピレン重合体の重合
実施例6(1)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分6.34mgを、比較例3(2)で得られたオレフィン重合用固体触媒成分6.34mgに変更したこと以外は、実施例6(2)と同様に行った。
オレフィン重合用固体触媒成分1gあたりのポリプロピレンの収量(PP/cat)は53000(g/g)であった。嵩密度は0.463g/mlであり、重合体パウダーの流下体積は、406ml/secであった。
結果を表1に示した。
Claims (8)
- 溶媒が炭化水素溶媒である請求項1に記載のオレフィン重合用固体触媒成分前駆体の製造方法。
- 溶媒が脂肪族炭化水素溶媒である請求項1に記載のオレフィン重合用固体触媒成分前駆体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体と、下式で表されるハロゲン化金属化合物と、内部電子供与体とを接触させる工程からなるオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
M(R11)eX3 m-e
式中、Mは第4族、第13族または第14族元素を表し、R11は炭素原子数2〜18のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素原子数6〜18のアリール基もしくはアリロキシ基を表し、X3はハロゲン原子を表し、mはMの原子価を表し、eは0<e≦mを満足する数を表す。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒成分前駆体と、下式で表されるハロゲン化金属化合物と、内部電子供与体と、有機酸ハライドとを接触させる工程からなるオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
M(R11)eX3 m-e
式中、Mは第4族、第13族または第14族元素を表し、R11は炭素原子数2〜18のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素原子数6〜18のアリール基もしくはアリロキシ基を表し、X3はハロゲン原子を表し、mはMの原子価を表し、eは0<e≦mを満足する数を表す。 - 請求項4または5に記載の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物とを接触させる工程からなるオレフィン重合用固体触媒の製造方法。
- 請求項4または5に記載の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体とを接触させる工程からなるオレフィン重合用固体触媒の製造方法。
- 請求項6または7に記載の製造方法で製造されたオレフィン重合用固体触媒の存在下にオレフィンを重合させる工程からなるオレフィン重合体の製造方法。
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