JP2010164006A - シリンダブロックの冷却構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォータジャケットの設計の自由度を確保することができ、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することができる、または、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができるシリンダブロックの冷却構造を提供する。
【解決手段】シリンダブロック(10)の冷却構造は、シリンダブロックに形成されたウォータジャケット(40)に配置され、ウォータジャケット内を流動する冷却水が通過する貫通通路を少なくとも一つ有する柱状部材(60,70)を備えることを特徴とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダブロック(10)の冷却構造は、シリンダブロックに形成されたウォータジャケット(40)に配置され、ウォータジャケット内を流動する冷却水が通過する貫通通路を少なくとも一つ有する柱状部材(60,70)を備えることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリンダブロックの冷却構造に関する。
従来、シリンダブロックの冷却構造として、複数のシリンダボアの周囲に冷却水が流動するウォータジャケットを設けた構造が知られている。特許文献1には、複数のシリンダボアの周囲に形成されたウォータジャケットと、ボア間通路(キリ孔)と、シリンダブロックの外壁に形成されたボア間通路加工用の孔を塞ぐための盲プラグと、を備え、盲プラグに整流突起を設けたシリンダブロックの冷却構造が開示されている。
ところで、ウォータジャケットは、冷却効率よりも、生産性、強度等を優先して最適設計されることがある。このように最適設計されたウォータジャケットにおいては、冷却水の流動方向を所望の方向に変更したい箇所と流量を減少させたい箇所とが存在することがある。しかしながら、特許文献1に係る技術では、盲プラグに整流突起を設けていることから、ウォータジャケットの冷却水の整流箇所は、盲プラグの配置箇所に限定されてしまう。よって、必ずしもウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することまたは所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができるとはいえない。
本発明は、ウォータジャケットの設計の自由度を確保することができ、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することができる、または、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができるシリンダブロックの冷却構造を提供する。
本発明に係るシリンダブロックの冷却構造は、シリンダブロックに形成されたウォータジャケットに配置され、前記ウォータジャケット内を流動する冷却水が通過する貫通通路を少なくとも一つ有する柱状部材を備えることを特徴とするものである。
本発明に係るシリンダブロックの冷却構造によれば、貫通通路の形状等を適宜設定することによって、貫通通路を通過する冷却水の流動方向を所望の方向に変更することができる。また、貫通通路の形状等を適宜設定することによって、柱状部材にウォータジャケットにおける絞りとしての機能を持たせることができる。また、柱状部材の配置箇所は限定されない。それにより、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することができる。また、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができる。さらに、柱状部材は、ウォータジャケットの成形後にウォータジャケットに配置することができる。よって、柱状部材を配置するためにウォータジャケットの設計を変更する必要がない。したがって、ウォータジャケットの設計の自由度を確保することができる。その結果、生産性、強度等を優先してウォータジャケットを最適設計することができる。
上記構成において、前記貫通通路は、前記柱状部材の内部で屈曲していてもよい。この構成によれば、ウォータジャケットの冷却水の流動方向を変更することができる。
本発明によれば、ウォータジャケットの設計の自由度を確保することができ、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することができる、または、ウォータジャケットにおける所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができるシリンダブロックの冷却構造を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の実施例1に係るシリンダブロック10の冷却構造について説明する。図1は、シリンダブロック10の模式図である。具体的には、図1は、シリンダブロック10を上方から(シリンダヘッド側から)見た図である。シリンダブロック10は、前側から後側にかけて配置された複数のシリンダボア20と、シリンダブロック10の冷却構造と、を有している。シリンダブロック10の上面には、シリンダヘッドを接続するためのシリンダヘッドボルトが螺合するボルト穴30が複数形成されている。なお、本実施例において、前後および左右は、車両の前後および左右とは無関係である。
シリンダブロック10の冷却構造は、ウォータジャケット40と、ボア間通路50と、柱状部材(後述する第1柱状部材60および第2柱状部材70)と、を備える。ウォータジャケット40は、複数のシリンダボア20の周囲に形成されている。本実施例において、ウォータジャケット40は、複数のシリンダボア20を挟んだ左右および前後に略対称に形成されている。具体的には、ウォータジャケット40は、インレットギャラリ42と、後側ギャラリ44と、アウトレットギャラリ46と、前側ギャラリ48と、を有する。
インレットギャラリ42は、ウォータジャケット40のうち、複数のシリンダボア20の左側の部分をいう。インレットギャラリ42は、前側から後側へ延びている。後側ギャラリ44は、ウォータジャケット40のうち、後側の端に配置されたシリンダボア20の後側の部分をいう。アウトレットギャラリ46は、ウォータジャケット40のうち、複数のシリンダボア20の右側の部分をいう。アウトレットギャラリ46は、後側から前側へ延びている。前側ギャラリ48は、ウォータジャケット40のうち、前側の端に配置されたシリンダボア20の前側の部分をいう。なお、本実施例において、ウォータジャケット40の上面は開口し、下面は閉塞している。
ボア間通路50は、シリンダブロック10の隣接するシリンダボア20間の領域に形成されている。ボア間通路50の上流端はインレットギャラリ42に接続し、下流端はアウトレットギャラリ46に接続している。ボア間通路50の上面および下面は、閉塞している。ボア間通路50は、ウォータジャケット40の成形後に、例えばドリル加工等によって形成される。
柱状部材は、第1柱状部材60および第2柱状部材70を有する。本実施例において、第1柱状部材60は、インレットギャラリ42のボア間通路50への分岐点に配置されている。第2柱状部材70は、前側ギャラリ48および後側ギャラリ44に配置されている。
ここで、シリンダブロック10の冷却構造に柱状部材を用いる理由について詳細に説明する。例えば、ウォータジャケット40は、シリンダブロック10を鋳造成形する際に、成形される。そこで、ウォータジャケット40を形成するための型の強度、鋳造時の湯流れ、鋳造時の型の抜き易さ等の生産性およびシリンダボア20の強度等を考慮して、ウォータジャケット40は最適設計されている。すなわち、ウォータジャケット40は、冷却水による冷却効率よりも、ウォータジャケット40の生産性、シリンダボア20の強度等を優先して最適設計されている。
このように生産性、強度等を優先して最適設計されたウォータジャケット40においては、冷却水の流動方向を所望の方向に変更したい箇所と流量を減少させたい箇所とが存在する。そこで、本実施例においては、ウォータジャケット40の設計の自由度を確保しつつ、ウォータジャケット40における所望の箇所の冷却水の流動方向を変更することができる手段として第1柱状部材60を用い、ウォータジャケット40における所望の箇所の冷却水の流量を減少させることができる手段として第2柱状部材70を用いる。
まず、第1柱状部材60について説明する。図2(a)は、図1の第1柱状部材60近傍の拡大図である。図2(b)は、図2(a)の第1柱状部材60のA方向からの斜視図である。第1柱状部材60は、円柱形状を有している。本実施例においては、第1柱状部材60の上面は平坦であり、下面は球面状に形成されている。
第1柱状部材60は、第1貫通通路62と、第2貫通通路64と、を有する。本実施例において、第1貫通通路62は、インレットギャラリ42の冷却水の流動方向をボア間通路50の方向へ変更するための貫通通路である。具体的には、第1貫通通路62の両端の開口部のうち、一方の開口部はインレットギャラリ42の上流側に向けて開口している。第1貫通通路62の他方の開口部は、ボア間通路50の下流側に向けて開口している。第1貫通通路62は、第1柱状部材60の内部で屈曲している。
第2貫通通路64は、第1柱状部材60より上流側のインレットギャラリ42の冷却水の流動方向を第1柱状部材60より下流側のインレットギャラリ42の方向へ変更するための貫通通路である。具体的には、第2貫通通路64の両端の開口部のうち、一方の開口部はインレットギャラリ42の上流側に向けて開口し、他方の開口部はインレットギャラリ42の下流側に向けて開口している。第2貫通通路64は、第1柱状部材60の内部で屈曲している。なお、第1貫通通路62および第2貫通通路64の形状、位置、個数、屈曲状態等は、第1柱状部材60が配置される箇所に応じて、適宜設定されていればよい。
第1柱状部材60は、ウォータジャケット40の成形後に、ウォータジャケット40の上面側から下面側にかけて形成された穴32に嵌合して配置される。第1柱状部材60がウォータジャケット40に配置されることによって、インレットギャラリ42の第1柱状部材60より上流側の冷却水の一部は、第1貫通通路62を通過してボア間通路50に流入する。それにより、ボア間通路50の冷却水の流量を増大させることができる。また、インレットギャラリ42の第1柱状部材60より上流側の冷却水の他部は、第2貫通通路64を通過して第1柱状部材60より下流側のインレットギャラリ42に流入する。
続いて、第2柱状部材70について説明する。なお、前側ギャラリ48および後側ギャラリ44に配置されている第2柱状部材70の構成は同様のため、後側ギャラリ44に配置されている第2柱状部材70について説明する。図3(a)は、図1の後側ギャラリ44に配置された第2柱状部材70近傍の拡大図である。図3(b)は、第2柱状部材70の斜視図である。第2柱状部材70は、円柱形状を有している。本実施例においては、第2柱状部材70の上面は平坦であり、下面は球面状に形成されている。
第2柱状部材70は、第3貫通通路72を有する。第3貫通通路72は、後側ギャラリ44の第2柱状部材70より上流側と下流側とが連通するように形成されている。
図4は、図3(a)のX−X線断面図である。第2柱状部材70は、ウォータジャケット40の成形後に、ウォータジャケット40の上面側から下面側にかけて形成された穴32に嵌合して配置される。第2柱状部材70が後側ギャラリ44に配置されることによって、後側ギャラリ44の第2柱状部材70より上流側の冷却水は、第3貫通通路72を通過して第2柱状部材70より下流側へ流動する。したがって、第2柱状部材70が配置されることによって、後側ギャラリ44の冷却水の流量は減少する。よって、第2柱状部材70は、冷却水に対する絞りとしての機能を有する。なお、第3貫通通路72の形状、位置、個数等は、第2柱状部材70が効果的に絞りとしての機能を発揮できるように適宜設定されていればよい。
後側ギャラリ44の場合と同様に、前側ギャラリ48に第2円柱部材1が配置されることによって、前側ギャラリ48の冷却水の流量は減少する。その結果、ボア間通路50の冷却水の流量は相対的に増大する。すなわち、前側ギャラリ48および後側ギャラリ44に第2柱状部材70が配置されることによって、冷却水の流動を主としてインレットギャラリ42、ボア間通路およびアウトレットギャラリ46とすることができる。
以上のように、本実施例に係るシリンダブロック10の冷却構造によれば、冷却水の流動方向を変更したい箇所に第1柱状部材60のような貫通通路を有する柱状部材を配置することによって、冷却水の流動方向を変更したい箇所の流動方向を変更することができる。また、冷却水の流量を減少させたい箇所に第2柱状部材70のような貫通通路を有する柱状部材を配置することによって、冷却水の流量を減少させたい箇所の流量を減少させることができる。また、第1柱状部材60および第2柱状部材70は、ウォータジャケット40の成形後に形成された穴32に嵌合して配置されることから、配置箇所は限定されない。よって、ウォータジャケット40の所望の箇所に配置することができる。さらに、第1柱状部材60および第2柱状部材70を配置するためにウォータジャケット40の設計を変更する必要がないことから、ウォータジャケット40の設計の自由度を確保することができる。その結果、生産性、強度等を優先してウォータジャケット40を最適設計することができる。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 シリンダブロック
20 シリンダボア
30 ボルト穴
32 穴
40 ウォータジャケット
42 インレットギャラリ
44 後側ギャラリ
46 アウトレットギャラリ
48 前側ギャラリ
50 ボア間通路
60 第1柱状部材
62 第1貫通通路
64 第2貫通通路
70 第2柱状部材
72 第3貫通通路
20 シリンダボア
30 ボルト穴
32 穴
40 ウォータジャケット
42 インレットギャラリ
44 後側ギャラリ
46 アウトレットギャラリ
48 前側ギャラリ
50 ボア間通路
60 第1柱状部材
62 第1貫通通路
64 第2貫通通路
70 第2柱状部材
72 第3貫通通路
Claims (2)
- シリンダブロックに形成されたウォータジャケットに配置され、前記ウォータジャケット内を流動する冷却水が通過する貫通通路を少なくとも一つ有する柱状部材を備えることを特徴とするシリンダブロックの冷却構造。
- 前記貫通通路は、前記柱状部材の内部で屈曲している請求項1記載のシリンダブロックの冷却構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009008196A JP2010164006A (ja) | 2009-01-16 | 2009-01-16 | シリンダブロックの冷却構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009008196A JP2010164006A (ja) | 2009-01-16 | 2009-01-16 | シリンダブロックの冷却構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=42580357
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JP2009008196A Pending JP2010164006A (ja) | 2009-01-16 | 2009-01-16 | シリンダブロックの冷却構造 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2010164006A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016071031A1 (de) * | 2014-11-06 | 2016-05-12 | Volkswagen Aktiengesellschaft | Brennkraftmaschine mit einem die brennräume umgebenden kühlmittelmantel |
KR20190142003A (ko) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 지엠 글로벌 테크놀러지 오퍼레이션스 엘엘씨 | 디플렉터를 구비한 워터자켓 |
CN114542317A (zh) * | 2022-03-17 | 2022-05-27 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 气缸体以及发动机 |
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2009
- 2009-01-16 JP JP2009008196A patent/JP2010164006A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016071031A1 (de) * | 2014-11-06 | 2016-05-12 | Volkswagen Aktiengesellschaft | Brennkraftmaschine mit einem die brennräume umgebenden kühlmittelmantel |
KR20190142003A (ko) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 지엠 글로벌 테크놀러지 오퍼레이션스 엘엘씨 | 디플렉터를 구비한 워터자켓 |
KR102066202B1 (ko) * | 2018-06-15 | 2020-01-14 | 지엠 글로벌 테크놀러지 오퍼레이션스 엘엘씨 | 디플렉터를 구비한 워터자켓 |
CN114542317A (zh) * | 2022-03-17 | 2022-05-27 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 气缸体以及发动机 |
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