JP2010163541A - 固形描画材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を含有する固形描画材であって、前記ナノサイズ粒子の比重が2.63〜3.38 g/cm3であることを特徴とする固形描画材、及びその製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明の固形描画材としては、焼成鉛筆芯(鉛筆用の芯、シャープペンシル用の芯等)、非焼成鉛筆芯(色鉛筆用の芯)等が挙げられる。シャープペンシル用の焼成鉛筆芯は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子、黒鉛及び/又はカーボンブラック等のアモルファス炭素を含有し、体質材、潤滑剤、バインダー等を適宜含有する。鉛筆用の焼成鉛筆芯は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子、黒鉛及び/又はカーボンブラック等のアモルファス炭素を含有し、更にセラミック結合材、体質材、潤滑剤、バインダー、色材等を適宜含有する。非焼成鉛筆芯は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子、色材、油脂、ワックス類を含有する。非焼成鉛筆芯又は焼成鉛筆芯には、その他の成分として窒化ホウ素、タルク、雲母、シリカ微粒子等のフィラー、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、セルロイド等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子(以下、グラファイト-ダイヤモンド粒子と言うこともある。)は、ダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、グラファイト系炭素の表面には-COOH、-OH等の親水性官能基が多数存在し、水、アルコール、エチレングリコール等の-OH基を有する溶媒との親和性が極めて良好であり、これらの溶媒にすみやかに分散する。
黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛等が挙げられ、カーボンブラックとしては、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられる。黒鉛及びカーボンブラックの含有量は、目的に応じて適宜決めることができるが、焼成鉛筆芯の場合、固形描画材中30〜70質量%であるのが好ましく、40〜60質量%であるのが更に好ましい。色鉛筆等の非焼成鉛筆芯の場合、特に必要がなければ添加しなくても良い。
セラミック結合材としては、結晶質又は非晶質のSiO2、Si3N4、Al2O3、ZrO、MgO、窒化ホウ素、B2O3、AlN等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
焼成鉛筆芯に用いる体質材としては、従来の固形描画材に使用されているものを、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の白色系体質材や、固形描画材の色相によっては、有色系の体質材も使用することができ、これらの混合物も使用できる。その物性、形状から窒化ホウ素、カオリン及びタルクを特に好ましく用いることができる。
色材としては、一般に用いられている筆記具用のインキ組成物が使用でき、水性顔料インキ、水性染料インキ、油性顔料インキ、油性染料インキ等を用いることができる。顔料としては、酸化チタン、鉄黒、カーボンブラック、紺青、群青、青色1号、弁柄、黄酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、青色2号、青色404号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、DPPレッド、黄色4号、黄色5号、緑色3号等の顔料が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
潤滑剤としては、一般的に潤滑剤に分類されているものを使用することができ、潤滑油、グリース等を使用できる。潤滑油としては、エンジンオイル、スピンドル油、ワックス類等の鉱物油、α-オレフィンオリゴマー、シリコーンオイル、金属石鹸、脂肪酸エステル等の合成油、ヒマシオイル等の植物油等が挙げられ、グリースとしては、例えば、カルシウム石鹸グリース、リチウム石鹸グリース等の石鹸系のもの、ベントングリース、シリカゲルグリース等の非石鹸系のものが挙げられる。
バインダーとしては、従来の固形描画材に使用されているものを使用することができ、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロニドン等のポリビニル類、ポリオキシエチレン等のポリエーテル類、ポリアクリル酸等のアクリル酸類、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)縮合体等の無機高分子、モンモリロナイト等の粘土、セラミックガラス等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
熱可塑性合成樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
有機溶剤は、上記熱可塑性合成樹脂を溶解し得るものが好ましく、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類等を用いることができる。
(1) グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子
グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子(グラファイト-ダイヤモンド粒子)は、爆射法によって合成された粗ダイヤモンド(以下、「ブレンドダイヤモンド」又は「BD」とも云う)を精製することによって得られる。ナノサイズダイヤモンド[以下UDD(Ultra Dispersed Diamonds:超分散ダイヤモンド)と言うこともある。]は、前記粗ダイヤモンドを更に精製することによって得られる。爆射法としては、Science,Vol.133,No.3467(1961), pp1821-1822、特開平1-234311号、特開平2-141414号、Bull. Soc. Chim.Fr.Vol.134(1997).pp875-890、Diamond and Related materials Vol.9(2000),pp861-865、Chemical Physics Letters,222(1994) pp343-346、Carbon,Vol.33, No.12(1995), pp1663-1671、Physics of the Solid State,Vol.42,No.8(2000),PP1575-1578、Carbon Vol.33, No.12(1995), pp1663-1671、K. Xu. Z. Jin, F. Wei and T. Jiang, Energetic Materials, 1,19(1993)(in Chinese)、特開昭63-303806号、特開昭56-26711号、英国特許第1154633号、特開平3-271109号、特表平6-505694号(WO93/13016号)、炭素,第22巻,No.2,189〜191頁(1984)、Van Thiei. M. & Rec., F. H., J. Appl. Phys. 62, pp. 1761〜1767(1987)、特表平7-505831号(WO94/18123号)及び米国特許第5861349号等に記載の方法を用いることができる。グラファイト-ダイヤモンド粒子は、爆射条件及びBDの精製度を調節することにより得られる。
炭素原子をグラフアイト構造からダイヤモンド構造に変換するためには、高温及び高圧状態が必要である。爆薬の爆射は、反応系内に置かれた炭素原料をダイヤモンド構造に変換するのに必要な高圧及び高温状態を容易に発生させる。ダイヤモンド合成操作で、印加されていた圧力が瞬時に開放されたときに、熱(温度)が残存していると生成したダイヤモンド構造をグラフアイト構造に戻してしまう。反応系中の生成済みダイヤモンド構造がグラフアイト構造に戻る温度は、高圧が解除された場合、例えば典型的には常圧では約2000℃であるため、すみやかにこの温度以下に冷却する必要がある。
爆射法で得られたBDは、数10〜数100 nmの径を有するUDD(超分散ダイヤモンド)及び非グラフアイトからなり、1.7〜7 nm径の極小さなナノクラスター大きさのダイヤモンド単位(ナノメーター大きさのダイヤモンド)が強固に凝集した凝集体である。つまり最低4個、通常十数個〜数百個の、場合によっては数千個のナノメーター大きさのダイヤモンドの強固な凝集体である。BDは極少量の微小(1.5 nm以下)アモルファスダイヤモンド、グラフアイト及び非グラファイト炭素超微粒子を含有する。
水と多量の氷1を満たした純チタン製の耐圧容器2に、電気雷管6を装着した爆薬5[この例ではTNT(トリニトロトルエン)/HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50/50を使用]を胴内に収納せる片面プラグ付き鋼鉄製パイプ4を水平に沈め、この鋼鉄製パイプ4に鋼鉄製のヘルメット3を被覆して、爆薬5を爆裂させ、反応生成物としての初期BDを容器2中の水及び氷中から回収する。
回収した初期BDを55〜56質量%の濃HNO3と共に、例えば14気圧150〜180℃のオートクレーブ7中で、10〜30分間酸化性分解処理し、炭素系夾雑物、無機夾雑物、残存金属等の不純物を分解する。
酸化性エッチング処理は、酸化性分解処理したBD表面を被覆する硬質炭素をできるだけ除去するため、一般に酸化性分解処理よりも更に厳しい条件(例えば、18気圧、200〜240℃)で行う。このような条件で10〜30分処理すると、BD表面を被覆する硬質炭素、すなわちグラファイトを徹底的に除去することができる。本発明では、BD表面を被覆するグラファイトを徹底的に除去することが目的ではなく、残存グラファイト量を調節することが目的であるため、温度及び圧力の処理条件を緩和させて行う。例えば13気圧、120〜150℃、0.5〜3時間処理の条件で酸化性エッチング処理することで、硬質炭素を除去する速度を遅くして、非ダイヤモンド炭素(グラファイト)量を適宜調整したグラファイト-ダイヤモンド粒子を作製することができる。酸化性エッチング処理後の液は、通常pH2〜6.95の酸性である。
中和反応工程は、従来法にない特徴的操作の1つである。酸化性エッチング処理をされたグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性物質を加えて中和反応させる。塩基性物質の添加により、被処理液はpHが2〜6.95から7.05〜12に上昇する。この中和反応は、凝集したグラファイト-ダイヤモンド粒子内にカチオン(アニオンより一般的にイオン半径が小さい)が浸透して、粒子内に残存する硝酸を攻撃することにより、小爆発を伴う激しい中和反応、分解反応、不純物脱離溶解反応、ガス生成反応及び表面官能基生成反応を生起し、その結果ガスの発生及び昇圧昇温によりグラファイト-ダイヤモンド凝集体を個々のグラファイト-ダイヤモンド粒子に解体する。この工程で、グラファイト-ダイヤモンド粒子の大きな比表面積及び孔部吸着空間が形成されるものと思われる。
HNO3 + NH3 → NH4NO3 → N2O + 2H2O N2O → N2 + (O) 3HNO3 + NH3→NH4NO2 + N2O3 + H2O + O2+ (O) NH4NO2 → N2 + 2H2O N2O3+ NH3 → 2N2 + 3H2O N2O3→ N2 + O2 + (O) NH4NO2 + 2NH3→2N2 + H2O + 3H2 H2 + (O)→ H2O HCl + NaOH → Na+ + Cl− + H2O HCl + NH3→ NH4 + + Cl− NH4 + →NH3+ H+ H2SO4 + 2NH3→N2O + SO2 + NO2
発生したN2、O2、N2O、H2O、H2、SO2ガスは系外に放出されるので、残存物による系に対する影響はほとんどなくなる。
前記中和反応工程を経て生成されたグラファイト-ダイヤモンド粒子の反応懸濁液に水を加えてデカンテーションを必要回数(例えば3回以上)繰り返し行う。
前記傾斜工程を経たグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液に硝酸を加え撹拌(例えば、メカニカルマグネチックスターラーを使用)し洗浄して静置し、上層排液と下層懸濁液に分け、グラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液を抜き取る。例えば、グラファイト-ダイヤモンド粒子含有液1 kgに対して水50 kg加えた場合、上層排液と下層懸濁液とは明瞭に層分離しないが、グラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液の容量は、上層排液の容量のほぼ1/4程度である。
槽の底部から回収されたグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液を、例えば20,000 rpmの超遠心分離機により遠心分離する。遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液は、所望により(H)グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液調製工程で濃度調整、又は(I)グラファイト-ダイヤモンド粒子微粉末作製工程で乾燥する。
遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を、水等の溶媒で希釈し濃度調節する。分散液は、pH 4〜10、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH6〜7.5に調節する。液中に分散しているグラファイト-ダイヤモンド粒子は、ほとんどが2〜250 nmの粒径(数基準で80%以上、重量基準で70%以上が2〜250 nmの範囲にある)であって狭分散形である。分散液中のグラファイト-ダイヤモンド粒子濃度は0.05〜16%、好ましくは0.1〜12%、より好ましくは1〜5%である。
遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を乾燥し、グラファイト-ダイヤモンド粒子微粉末を作製する。固形描画材に混練して用いる場合、グラファイト-ダイヤモンド粒子は微粉末の形で用いるのが好ましい。
(A)焼成鉛筆芯
シャープペンシル用等の焼成鉛筆芯は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子(グラファイト-ダイヤモンド粒子)粉末、黒鉛及び/又はカーボンブラック等のアモルファス炭素、バインダーとしてポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ステアリン酸塩等の潤滑剤、ジオクチルフタレート、メチルエチルケトン等の溶剤、必要に応じて体質材、色材、セラミック結合材等を混練し、成形及び乾燥後、非酸化性雰囲気下で焼成処理し、得られた焼成体を潤滑剤に浸漬し気孔内に潤滑剤を充填することによって製造する。
色鉛筆用等の焼成鉛筆芯は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子(グラファイト-ダイヤモンド粒子)粉末、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル等のバインダー、無機及び/又は有機顔料等の着色剤、ろう、ワックス、ステアリン酸又はその塩、ラウリン酸又はその塩等の潤滑剤、必要に応じてジオクチルフタレート、メチルエチルケトン、酢酸エチル、水等の溶剤、体質材、セラミック結合材等を混練し、成形及び必要に応じて乾燥することによって製造する。
グラファイト-ダイヤモンド粒子の真比重は以下の操作により測定できる。
1.試料を比重ビンに入れ、蓋をした状態で秤量し重量を求める。
2.蒸留水を試料の少し上位まで入れ、煮沸法で気泡を完全に除去する。
3.25℃蒸留水を入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たす。
4.恒温槽から比重ビンを取り出し、外側の水分を良く拭き取った後秤量し重量を測る。
5.比重ビンをよく洗浄し、25℃の蒸留水のみを入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たし、4と同様に重量を測定する。
6.上記操作で得た値から以下の式(1)により真比重ρを求める。
ρ=[(W−P)・dw]/[(W1−P)−(W2−P)] ・・・(1)
(ここで、W:比重ビン+試料の重量、
W1:比重ビンに蒸留水のみを満たしたときの重量、
W2:比重ビンに試料と蒸留水を満たし、完全に気泡を満たした(空気を除いた)時の重量、
P:比重ビンの重量、及び
dw:測定時の温度における水の比重である。)
(1) グラファイト-ダイヤモンド粒子粉末の作製
TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65 kgの爆発物を3 m3の爆発チャンバー内で爆発させて生成するBDを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こしBDを合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15 mmの断面を有する超音速ラバルノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張及び気化)のため、生成物の冷却速度は280℃/分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末、BD)の比重は2.55 g/cm3、メジアン径(動的光散乱)は220 nmであった。このBDは比重から計算して、76容積%のグラファイト系炭素と24容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
熱分解黒鉛(平均粒径5μm)50重量部、ポリ塩化ビニル50重量部、グラファイト-ダイヤモンド粒子の粉末A:0.1質量部、ステアリン酸ナトリウム1重量部、及びジオクチルフタレート20重量部をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、三本ロールミルで混練し、芯状に押出成形した。得られた成形体を空気中で熱処理(120℃20時間+200℃10時間)して残留する可塑剤を除去し乾燥した。その後、窒素ガス雰囲気下にて800℃で30時間焼成し、得られた焼成体を流動パラフィンに浸漬して含浸させ、直径0.570 mmのシャープペンシル用芯HBを得た。
酸化性エッチング処理の条件のみを表1に示すように変更し、その他の処理は実施例1と同様にして、グラファイト-ダイヤモンド粒子の粉末B〜Gを作製した。粉末Fは精製度が低く粒子の比重が2.63 g/cm3未満の粉末であり、粉末Gは精製を十分に行ったいわゆるUDDである。更に比較のために未精製のBDを乾燥した粉末Hを準備した。
筆記感及び汚れ難さは、得られた芯を充填したシャープペンシルを用いて10名の各被験者に対して以下のテストを行い、下記基準により官能評価した。
テスト(a):原稿用紙2枚に決まった文字(縦書き)を書き、そのうち1枚を消しゴム(モノPE-07A)で全部消す。
テスト(b):A4のコピー用紙(縦置き)2枚にそれぞれ定規を使って1 cm間隔で直線を横方向に引き、そのうち1枚を消しゴム(モノPE-07A)で全部消す。
グラファイト-ダイヤモンド粒子の粉末Aの添加量を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして実施例6〜9のシャープペンシル用芯HBを作製し、実施例1と同様にして曲げ強度、筆記濃度、消字率、筆記感及び汚れ難さの評価を行った。これらの結果を実施例1の値を100とした相対値で表3に示す。
焼成温度を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にして実施例10〜12のシャープペンシル用芯HBを作製した。これらの芯に対して実施例1と同様にして筆記感の評価を行い、実施例1を100とした相対値で示した結果を表6に示す。この結果から1000℃以上で焼成した場合、筆記感が低下することが分かった。
熱分解黒鉛(平均粒径5μm)50重量部、ポリ塩化ビニル50重量部、グラファイト-ダイヤモンド粒子の粉末A:0.1質量部、ステアリン酸ナトリウム1重量部、及びジオクチルフタレート20重量部をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、三本ロールミルで混練し、芯状に押出成形した。得られた成形体を空気中で熱処理(120℃20時間+200℃10時間)して残留する可塑剤を除去し乾燥した。その後、窒素ガス雰囲気下にて1100℃で20時間焼成し焼成体を得た。
実施例13で得られた焼成体を流動パラフィンに浸漬し含浸させた後、グラファイト-ダイヤモンド粒子の粉末Aの水分散物(濃度5質量%)に浸漬し乾燥させた。
2・・・耐圧容器
3・・・ヘルメット
4・・・鋼鉄製パイプ
5・・・爆薬
6・・・電気雷管
7・・・オートクレーブ
Claims (12)
- グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を含有する固形描画材であって、前記ナノサイズ粒子の比重が2.63〜3.38 g/cm3であることを特徴とする固形描画材。
- 請求項1に記載の固形描画材において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子のメジアン径が30〜250 nmであることを特徴とする固形描画材。
- 請求項1又は2に記載の固形描画材において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を0.001〜5質量%含有することを特徴とする固形描画材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固形描画材において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を0.01〜1質量%含有することを特徴とする固形描画材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の固形描画材において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を混合した固形描画材配合組成物を、900℃以下の温度で焼成処理してなることを特徴とする固形描画材。
- グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子が表面に付着した固形描画材であって、前記ナノサイズ粒子の比重が2.63〜3.38 g/cm3であることを特徴とする固形描画材。
- (a)黒鉛又は黒鉛とカーボンブラック、(b)熱可塑性合成樹脂、(c)前記熱可塑性合成樹脂を溶解し得る有機溶剤、及び(d)グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を混練する工程、前記混練物を成型する工程、並びに前記成型体を乾燥する工程を有することを特徴とする固形描画材の製造方法。
- 請求項7に記載の固形描画材の製造方法において、前記乾燥体を非酸化性雰囲気下で焼成して固形描画材芯体を得る工程を有することを特徴とする固形描画材の製造方法。
- 請求項8に記載の固形描画材の製造方法において、前記焼成を900℃以下の温度で行うことを特徴とする固形描画材の製造方法。
- 請求項8に記載の固形描画材の製造方法において、前記焼成を800℃以下の温度で行うことを特徴とする固形描画材の製造方法。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の固形描画材の製造方法において、更に前記固形描画材芯体に潤滑剤を充填する工程を有することを特徴とする固形描画材の製造方法。
- (a)黒鉛又は黒鉛とカーボンブラック、(b)熱可塑性合成樹脂、及び(c)前記熱可塑性合成樹脂を溶解し得る有機溶剤を混練する工程、前記混練物を成型する工程、前記成型体を乾燥する工程、前記乾燥体を非酸化性雰囲気下で焼成して固形描画材芯体を得る工程、並びに前記固形描画材芯体にグラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノサイズ粒子を分散した潤滑剤を充填する工程を有することを特徴とする固形描画材の製造方法。
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