JP4627568B2 - 鉛筆芯の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などの鉛筆芯に関し、更に詳しくは、強度が強く、滑らかな筆記感を有し、描線が濃く鮮やかな黒色となる鉛筆芯の製造方法に関する。
一般に、鉛筆芯において、要求される重要特性としては、筆記感が良好で描線の発色性が良く、機械的強度が強いことである。
本願出願人は、鉛筆芯などの固形描画材中の油含浸可能な有効細孔容積や表面積を大きくし、圧縮強度を更に向上させると共に、書き味が滑らかで、十分な発色性及び描線濃度を有し、しかも、磨耗量が少なく、消去性が良く、描線を手でこすっても汚れにくい固形描画材及びその製造方法を提供するために、ナノ材料(ナノ粒子)を少なくとも含有する固形描画材用配合組成物を焼成処理又は非焼成処理してなる固形描画材芯体を形成し、該固形描画材芯体の気孔内に潤滑剤を充填してなることを特徴とする固形描画材を提案している(例えば、特許文献1参照)。
また、微粒子を高濃度に含有する厚い皮膜を筆記により形成できる押し出し成形芯体である鉛筆芯を製造する方法を提供することを目的として、平均粒径100nm以下の微粒子の一部又は全部を、予め板状体質材表面に付着させて微粒子付着板状体質材としてから芯体材料と混合し、混練した後、押出成形により成形する芯体の製造方法(例えば、特許文献2参照)も知られており、この技術は上記特許文献1の開示内容を含むものである。なお、この特許文献2に記載の皮膜の厚さは、単に下地を隠蔽する力を数値によって表現したにすぎず、見た目の色目(濃度)や書き味とは関連ないものである。
ところで、上記特許文献1における「書き味」あるいは「筆記感」と称している評価項目については、以下のような欠点が存在している。それは、被験者が、短い時間での筆記によって、あまりシャープペンシルの持ち替えなどを行わず、試験開始時の体勢のまま片減りした面によって描いた時の感覚を元に評価を行っていたことである。片減りした面は、磨耗した平滑な面であるため、描き始めから描き終わりまで、ほぼ磨耗した平滑な面での筆記ということとなる。
このため、最近、発売され好評を博している本願出願人による製品〔シャープペンシル、商品名「クルトガ」、三菱鉛筆社製、WO2007/142135(特許第4240417号)に適用した場合、具体的には、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルに試験すべき芯体を適用して試験を行った場合、これまでのような筆記感が再現されないという問題点が生じることが判った。
すなわち、上記特許文献1等に記載される技術により、単純にナノ粒子を混合し、固形描画材を形成しても、より優れた描線濃度、実筆記における書き味及びその代表的な指標となる静・動摩擦係数の好適な評価等を得ることはできないものであった。単純にナノ粒子を混合した固形描画材において、静・動摩擦係数を測定する場合、上記した「書き味」あるいは「筆記感」と称している評価項目について、芯体の製造方法、構成等によっては、必ずしも再現しない、という課題が発見されたのである。
以上のように、ナノ材料(ナノ粒子)を用いた鉛筆芯において、従来のシャープペンシル用、木軸用などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、描線が濃く鮮やかな黒色となる鉛筆芯の製造方法が切望されているのが現状である。
特開2007−138031号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2008−115211号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、ナノ粒子を用いた鉛筆芯の製造方法において、通常のシャープペンシル用、木軸用などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、更に高い描線濃度を有する鮮やかな黒色となる鉛筆芯の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、特定物性の燐片状黒鉛と、該黒鉛に対して特定物性のナノ粒子を接触後、該ナノ粒子を可塑剤または溶剤に分散したものを混練後、該混練物から芯体を形成することにより、上述の特許文献1等に開示された鉛筆芯を上回る、描線濃度、書き味、静・動摩擦係数の低い鉛筆芯の製造方法を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上の鱗片状黒鉛と、該黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持ち、比表面積が50〜800m/gのナノ粒子を可塑剤または溶剤に分散したものを混練後、該混練物から芯体を形成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
(2) 前記ナノ粒子がカーボンナノ粒子であることを特徴とする上記(1)に記載の鉛筆芯の製造方法。
(3) 前記カーボンナノ粒子がダイヤモンドであることを特徴とする上記(2)に記載の鉛筆芯の製造方法。
(4) 前記ナノ粒子の体積平均径(mv値)が4〜100nmであることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
(5) JIS S 6005:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全摩擦力の平均値(n=10)を筆記荷重で割った、全摩擦係数(動摩擦係数)が0.191〜0.218であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
(6) 芯体形成後、前記ナノ粒子によって鱗片状黒鉛と鱗片状黒鉛の間に生じた隙間に、屈折率1.3〜1.5で25℃における粘度が7〜200mm/sとなる液体を含浸させることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
(7) 鉛筆芯の研磨断面をFE−SEM(加速電圧5kV)を用いて5μm×5μmを観察したとき、該ナノ粒子が1〜300個観察されることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
なお、本発明で規定する「JIS S 6005:2007」に規定されている画線機は、芯体を75度の角度に傾け、自転させながら描画させるものであり、前記した筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルの筆記時、描画時の態様に近いものである。そこで、JIS S 6005:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全摩擦力の平均値を筆記荷重で割った値(n=10)を、本願発明において、「動摩擦係数」とし、筆記初期の摩擦力の最大値を筆記荷重で割った値を「静摩擦係数」として評価項目とした。
本発明によれば、ナノ粒子を用いた鉛筆芯の製造方法において、通常のシャープペンシル用、木軸用などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、更に高い描線濃度を有する鮮やかな黒色となる鉛筆芯の製造方法が提供される。
鱗片状天然黒鉛の平面度等を測定するための電子顕微鏡(SEM)画像に基づく説明図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の鉛筆芯の製造方法は、少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上の鱗片状黒鉛と、該黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持ち、比表面積が50〜800m/gのナノ粒子を可塑剤または溶剤に分散したものを混練後、該混練物から芯体を形成することを特徴とするものである。
本発明において用いる鱗片状黒鉛は、少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上であることが必要であり、好ましくは、書き味、筆記抵抗の点から、少なくとも平面度が0.05〜2μmのab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5〜100であるものが望ましい。
用いる鱗片状黒鉛の平面度が2μmを越えものや、その鱗片状黒鉛のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5未満のものでは、潤滑に不利な条件となる結果、摩擦が大きくなり、好ましくない。
本発明において、用いることができる鱗片状黒鉛としては、上記特性である、少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上となる鱗片状黒鉛あれば、特に限定されず、例えば、上記特性を有する天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などから選択することができ、これらは各単独又は2種以上を用いてもよいものである。
また、本発明における鱗片状黒鉛は、書き味と強度の点から、体積平均径(mv値)が4〜10μmであるものが望ましくい。
なお、本発明(後述する実施例等を含む)における体積平均径(mv値)は、レーザー回折・散乱法における測定結果から体積でかさみづけされた平均径をいい、例えば、鱗片状黒鉛では、マイクロトラック(日機装社製、3100II)を用いて乾式測定することができ、後述するナノ粒子では、ナノトラック〔日機装社製、UPA−EX150(内部プローブ型)〕を用いて測定で測定することができる。
本発明において、用いるナノ粒子としては、一般的にナノ粒子に分類されているものであれば、特に限定されず、いずれも使用することができ、例えば、ダイヤモンドナノ粒子、カーボンナノチューブの複合粒子およびフラーレンの複合粒子などのカーボンナノ粒子、並びに、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、セリウム等の金属の酸化物セラミック、窒化物セラミック、燐酸化物セラミック、炭化物セラミック、珪酸化物セラミックおよびホウ化物セラミックなどのセラミックナノ粒子などを用いることができる。
鉛筆芯を製造する場合には、色相変化抑制の観点からカーボンナノ粒子が好ましく、より好ましくは経済性、滑らかな筆記性が得られる点からダイヤモンドナノ粒子が特に好ましい。
用いることができるダイヤモンドナノ粒子としては、例えば、爆発法、静圧法、衝撃圧縮法、EACVD法、気相合成法及び液相成長法で作製したダイヤモンドナノ粒子が挙げられ、形態としては、例えば、多結晶ダイヤモンド粒子、単結晶ダイヤモンド粒子およびクラスターダイヤモンドなどが挙げられる。
具体的には、ナノ炭素研究所社製の商品名「ナノアマンドB」、東名ダイヤモンド工業社製のMDシリーズ、住石マテリアルズ社製のSCMナノダイヤ、SCMファインダイヤ、ナノテックシステムズ社製CD(Cluster Diamond)、CDS(Cluster Diamond Slurry)、GCD(Graphite Cluster Diamond)、GCDS(graphite Cluster Diamond slurry)、JETRO社製人口ダイヤモンド等を用いることができる。
用いるナノ粒子の比表面積の範囲としては、50〜800m/g、好ましくは、50〜600m/g、更に好ましくは、100〜400m/gとなるものが望ましい。なお、本発明(後述する実施例等を含む)において、「比表面積」とは、BET流動法により求められるBET比表面積をナノ粒子の比表面積とした。このBET比表面積は、例えば、マウンテック社製の全自動BET比表面積測定装置(HM model−1208)により測定することができる。
この比表面積が50m/gを下回るナノ粒子では、本発明で提案するナノ潤滑が得られず、原料の調達性、コスト、取り扱い性等の点からも好ましくなく、一方、800m/gを超えるようなナノ粒子を用いると、ナノ粒子自体の形状が固体潤滑剤として不適当な形状である確率が大きくなり、本発明で提案する滑り潤滑が得られないため、好ましくない。
本発明において、用いるナノ粒子の体積平均粒径(mv値)は、製造時に鉛筆芯中の細孔(クローズドセル)と細孔(クローズドセル)をつなぎ、開放系の細孔(オープンセル)を更に形成せしめる点から、上記セラミック材料からなるナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子を含むカーボンナノ粒子などのナノ粒子では、上記特性の黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持つことが必要であり、好ましくは、0.1〜1のmv値を持つことが望ましい。
用いるナノ粒子の体積平均径(mv値)は、好ましくは、4〜100nm、更に好ましくは、5〜40nm、特に好ましくは、5〜30nmとすることが望ましい。
上記セラミック材料からなるナノ材料やダイヤモンドナノ粒子を含むカーボン粒子等のナノ粒子の体積平均径が上記特性の黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05未満又はナノ粒子の体積平均径(mv値)5nm未満であると、粒子としての単分散が困難で凝集しやすかったり、反応性が高く不安定になったりし、結果として黒鉛の滑りに逆作用する結果となり、一方、上記特性の黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して2超過未満又はナノ粒子の体積平均径(mv値)が100nmを越えると、鉛筆芯としての構造が崩れて強度が低下してしまい、好ましくない。
なお、上記ダイヤモンドナノ粒子には、微量の不純物が含まれているが、ダイヤモンド構造に由来するsp3表面官能基や結晶内インピュリティ成分が殆どである。それ以外の不純物は0.2%程度であるので、本発明の効果に悪影響を及ぼすものではない。また、「ダイヤモンドの純度99%以上」となるダイヤモンドは、摩擦係数が低い固体潤滑剤であるが、一般的に固体潤滑剤中の固体潤滑剤ではない不純物は1%を越えると潤滑特性が低下し始めるためである。
本発明において、用いる可塑剤としては、鉛筆芯の製造に用いられるものを用いることができ、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、トリメリット酸トリオクチル、リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチルなどの少なくとも1種が挙げられる。
また、本発明において、用いる溶剤としては、上記可塑剤と相溶し得るものが好ましく、具体的には、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、シロキサン類などの少なくとも1種を用いることができる。
本発明では、上記特性の鱗片状黒鉛と、上記特性のナノ粒子を可塑剤または溶剤、或いは可塑剤及び溶剤に分散したものを混練後、該混練物となる鉛筆芯配合組成物を焼成処理又は非焼成処理することにより芯体を形成することができる。
分散方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーやボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ナノマイザー、ハイビスミックスなど、溶媒と粉体を均一に分散できる装置を使用することが出来る。
この鉛筆芯用芯体を形成するために用いる上記特性の鱗片状黒鉛の含有量としては、鉛筆芯用配合組成物全量に対して、20〜80質量%(以下、単に「%」という)とすることが好ましく、更に好ましくは、30〜70%とすることが望ましいが、硬度によって最適値は異なる。
この鱗片状黒鉛の含有量が、20%未満であったり、80%を超えたりすると、硬度、書き味、強度のバランスが崩れる結果となり、好ましくない。
また、上記特性を有するナノ粒子の含有量としては、鉛筆芯用配合組成物全量に対して、含浸処理により得られる鉛筆芯中にナノ粒子の含有量が、好ましくは、0.001〜5%、更に好ましくは、0.01〜1%、特に好ましくは、0.02〜0.5%となるように調整されるものである。
このナノ粒子の含有量が0.001%未満であると、有効細孔容積が殆ど変化しなく、また、未添加の鉛筆芯との差が現れなくとなる。一方、ナノ粒子の含有量が5%を超えると、有効細孔容積は大きくなるが、鉛筆芯の構造が崩れて強度が低下してしまい、好ましくない。
上記可塑剤の含有量としては、成形性やナノ粒子の分散性、最終的な芯の品質の点から、混練物となる鉛筆芯用配合組成物全量に対して、好ましくは、5〜50%、更に好ましくは、10〜30%が望ましい。
また、上記溶剤の含有量としては、成形性やナノ粒子の分散性、最終的な芯の品質、可塑剤配合量の点から、混練物となる鉛筆芯用配合組成物全量に対して、好ましくは、1〜30%、更に好ましくは、10〜20%が望ましい。
本発明において、鉛筆芯体は、上記特性の鱗片状黒鉛と、上記特性のナノ粒子を可塑剤または溶剤、或いは可塑剤及び溶剤に分散したものを混練後、該混練物となる鉛筆芯配合組成物を用いるものであるが、該ナノ粒子、鱗片状黒鉛、可塑剤、溶剤以外の成分は鉛筆芯種等により、体質材、潤滑剤などの各成分を適宜選択して用いることができる。
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用焼成鉛筆芯では、鱗片状黒鉛以外に、カーボンブラックとアモルファス炭素を少なくとも含有せしめることができ、また、非焼成鉛筆芯では、油脂とワックス類とを少なくとも含有することができ、更に、焼成鉛筆芯では、体質材とセラミック結合材とを少なくとも含有することができる。
用いことができるカーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、及びこれらを黒鉛化した黒鉛化カーボンブラックなどが挙げられる。
また、体質材としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン(カオリナイト、ハロイサイト)、モンモリロナイト、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の白色系体質材や有色系の体質材も使用することができ、当然これら数種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、その物性、形状から窒化ホウ素、カオリン、タルクが挙げられる。
セラミック結合材としては、結晶質又は非晶質のSiO、Si、Al、ZrO、MgO、BN、B、AlNなどが挙げられ、これらは各単独又は2種以上を用いてもよいものである。
また、シャープペンシル用焼成鉛筆芯では、その他の成分として、α−オレフィンオリゴマー、脂肪酸エステル、スピンドル油、ワックス類、窒化ホウ素、タルク、シリコーンオイル、シリカ微粒子、金属石鹸等を用いることができ、非焼成鉛筆芯又は焼成鉛筆芯では、その他の成分として、シリコーンオイル、ラード、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロイド及びその他の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
本発明では、上述の混練物となる鉛筆芯用配合組成物、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯、非焼成鉛筆芯、焼成鉛筆芯に用いる各成分(体質材などの各成分)を混練、成型、乾燥及び非酸化性雰囲気下で焼成処理、または、非焼成処理(50〜120℃で低温乾燥)してなる鉛筆芯体を形成することができる。
本発明において、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯の製造では、好ましくは、強度、濃度、書き味の点から、鉛筆芯配合組成物全量に対して、(a)上記特性の鱗片状黒鉛20〜80%、(b)上記特性のナノ粒子0.01〜5%、(c)可塑剤5〜50%、溶剤0〜30%、(d)熱可塑性合成樹脂30〜60%、を、ヘンシェルミキサーで分散混合し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し、押出成型機により成型した後、電気炉で110〜250℃で乾燥し、次いで、非酸化性雰囲気下(窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下)で800〜1400℃、20〜40時間で焼成することにより鉛筆芯形成用の芯体を形成することができる。
本発明では、上記製法により鉛筆芯が得られるものであるが、好ましくは、濃度と書き味および消去性能の点から、芯体形成後、上記ナノ粒子によって鱗片状黒鉛と鱗片状黒鉛の間に生じた隙間に、屈折率1.3〜1.5で25℃における粘度が7〜200mm/sとなる液体を含浸させることが望ましい。
本発明に用いる液体は、濃度を高める目的と共に潤滑剤として作用させるために用いるものであり、細孔への浸透しやすさと光の反射率の点から、屈折率1.3〜1.5で、25℃における動粘度が7〜200mm/sとなるものが用いられる。
用いることができる液体としては、上記特性の液体であれば、特に限定されず、上記特性を有するジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンオイル、カルボキシメチルセルロース(CMC)液、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、流動パラフィン、脂肪酸エステル等の各単独又は2種以上の混合物が挙げられる。具体的には、市販されている、カネダ社製のハイコールMシリーズ、信越化学社製のKF−96シリーズなどが挙げられる。
なお、本発明(後述する実施例等を含む)における屈折率は、絶対屈折率をいい、また、動粘度はJIS K 2283およびJIS Z 8803の粘度測定法に基づいた単位[mm/s]の値をいい、例えば、「キャノンフェンスケ」「ウベローデ」によって直接測定することができる。
これらの液体の屈折率が1.3を下回る場合や1.5を超える場合には、反射率低減に対する寄与が低く、更に、粘度が7mm/sを下回る場合には、芯体内に液体を保持できず、経時的に流出するものとなり、一方、粘度が200mm/sを超える場合は、液体が細孔内へ均一に浸透しないものとなり、好ましくない。
本発明では、上記特性の液体に、鉛筆芯体をそのまま浸漬、または、加圧下(例えば、0.5〜5MPa)及び/又は加温下(例えば、液温60〜200℃)で浸漬処理等することにより、更に好ましい鉛筆芯が得られるものとなる。
本発明方法で得られる鉛筆芯は、好適な磨耗特性等を有する鉛筆芯となるものであり、更に好ましくは、JIS S 6005:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全摩擦力の平均値(n=10)を筆記荷重で割った、全摩擦係数(動摩擦係数)が0.191〜0.218となるものが望ましく、これにより、更に、芯体が回転する形態のシャープ芯においても、更に、滑らかな筆記が感じられる芯体を得ることができる。
また、鉛筆芯の研磨断面をFE−SEM(日立ハイテク社製、S−4700型、加速電圧5kV−電流値10μA)を用いて5μm×5μmを観察したとき、ナノ粒子が1〜300個観察されることが好ましく、上記の「更に好ましい範囲」のナノ粒子の添加では2〜100個観察され、「特に好ましい範囲」の添加では5〜50個観察されるものとなる。
これらの全摩擦係数、ナノ粒子の個数は、用いる鱗片状黒鉛の平面度、アスペクト比等の物性、その含有量、並びに、ナノ粒子の比表面積、体積平均径(mv値)及びその含有量(含浸量)、
更に、オイルの種類などを好適に組み合わせることにより、調整することができる。
このように構成される本発明方法では、少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上の鱗片状黒鉛と、該黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持ち、比表面積が50〜800m/gのナノ粒子を接触後、該ナノ粒子を可塑剤または溶剤に分散したものを混練後、該混練物から鉛筆芯体を形成することにより、好ましくは、上記芯体形成後、前記ナノ粒子によって鱗片状黒鉛と鱗片状黒鉛の間に生じた隙間に、屈折率1.3〜1.5で25℃における粘度が7〜200mm/sとなる液体を含浸させることにより、上記特性の鱗片状黒鉛からなる構成される多孔質体の孔に、ナノ粒子を浸入させた状態(鱗片状黒鉛と鱗片状黒鉛の間にナノ粒子が接触した状態)として、鉛筆芯の多孔質構造の性質を、通常のものとは、変化した性質が得られることとなる。具体的には、上記特性のナノ粒子がサスペンションまたはベアリングの役割を果たすので、ナノ粒子を添加しないときより、芯の潤滑が大幅に良くなる。これにより、鉛筆芯の潤滑が大幅に向上する。また、芯体中にナノ粒子が入ることにより、平滑な描線が乱反射を起こすので、いわゆる「テカリ」が無くなり、結果として濃い色となる。しかも、上記特性の鱗片状黒鉛自身の作用により、紙と鱗片状黒鉛粒子、鱗片状黒鉛粒子同士の摩擦が小さくなり、消去性も向上することとなる。更に、上記特性の鱗片状黒鉛の配向を邪魔せずにナノ粒子を均一に分散することができるので、体質材としての効果もプラスされ、圧縮強度も向上することとなり、また、芯体の摩耗量が少ないので、描線に乗っている黒鉛量も少なく手が汚れにくいものとなる。
更に、本発明方法では、更に、上記作用効果と共に、上記で挙げた特許文献1に開示された鉛筆芯を上回る、描線濃度、書き味、静・動摩擦係数の低い鉛筆芯となるものであり、特に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、更に高い描線濃度を有する鮮やかな黒色となる鉛筆芯及びその製造方法が得られるものとなる(この点に関しては、後述する実施例及び比較例で更に詳述する)。
本発明の鉛筆芯の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で得た鉛筆芯体を形成した後、更に、上記特性のナノ粒子を含有する上記特性の液体を充填してなるものであってもよいものである。この場合、鉛筆芯体中のナノ粒子と液体中のナノ粒子とは完全に独立するものとなるので、同一又は異なるナノ粒子を異なる含有量で用いてもよいものである。この場合のナノ粒子の好ましい含有量は、鉛筆芯中に最大10%となるものが望ましい。
次に、実施例及び比較例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜7及び比較例1〜8〕
用いる鱗片状天然黒鉛の平面度等の物性、アスペクト比、ナノ粒子の比表面積は、下記測定方法により測定した。
(平面度の測定方法)
a−b面が直角となってSEMで観察されている図1のような粒子に接し、且つ粒子長軸端部同士を結ぶ線分に平行な線の最大値を測定する。(n=10)
アスペクト比は、図1からc軸長を測定し、a−b面は観察画像から計測し、その比により算出する。
(比表面積の測定方法)
BET流動法により求められるBET比表面積をナノ粒子の比表面積とした。具体的には、マウンテック社製の全自動BET比表面積測定装置(HM model−1208)により測定した。
(実施例1)
鱗片状天然黒鉛A(平面度0.2μmのab面、mv値8μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比8) 40質量部
ナノ粒子A:ダイヤモンドナノ粒子(比表面積208m/g、mv値50nm、住石マテリアルズ社製) 0.4質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
まず、ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分、以下同様)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、成形後、ジオクチルフタレートを乾燥後、窒素ガス雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、長さ60mmの焼成鉛筆芯体を製造した。
次いで、下記に記載の液体A(液温100℃、以下同様)中に、上記焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸(含浸時間180分、以下同様)し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
液体A:ジメチルシリコーンオイルKF96−30CS(動粘度30mm/s、屈折率1.401、信越化学社製)
なお、上記鱗片状天然黒鉛Aの体積平均径(mv値)100に対して、上記ナノ粒子Aは0.125のmv値であった。
(実施例2)
液体B:CMC−Na−1wt%蒸留水(7mm/s、屈折率1.345)
上記に記載の液体B中に、上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(実施例3)
液体C:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(動粘度175mm/s、屈折率1.580、東レ社製)
上記に記載の液体C中に、上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(実施例4)
液体D:ジメチルシリコーン:KF−96L−5cs(動粘度5mm/s、屈折率1.396、信越化学社製)
上記に記載の液体D中に、上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(実施例5)
液体E: ジメチルシリコーン:KF−96−500cs(動粘度500mm/s、屈折率1.403、信越化学社製)
上記に記載の液体E中に、上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(実施例6)
下記に記載の液体F中に、上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を1MPaで加圧含浸し、ナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
液体F: 液体Aにナノ粒子B(真球度1nm、mv値5nm、住石マテリアルズ製)を0.1質量部分散したもの
(実施例7)
鱗片状天然黒鉛A(平面度0.2μmのab面、mv値8μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比8) 70質量部
ナノ粒子A:ダイヤモンドナノ粒子(比表面積208m/g、mv値50nm、住石マテリアルズ社製) 0.4質量部
カオリナイト粘土 15質量部
ハロイサイト粘土 15質量部
水(精製水) 30質量部
まず、ナノ粒子と水をビールミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、2本ロールで水分を18質量部程度になるまで充分加熱混練する。得られた混練物を押出用ダイスを用いて線状体に押出成形した後、空気中120℃にて20時間熱処理して残留水分を除去し、窒素雰囲気中で1,200℃まで10時間、1,200℃にて1時間焼成した。
次いで、下記記載の液体G中に浸漬して油浸させて直径2.05mmの木軸鉛筆芯を得た。
液体G:ミヨシ調整ラード(ミヨシ油脂社製)
なお、上記鱗片状天然黒鉛Aの体積平均径(mv値)100に対して、上記ナノ粒子は0.125のmv値であった。
(比較例1、特開2007−138031号公報の実施例11準拠)
平面度3μm、mv値10μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比10の鱗片状天然黒鉛 49質量部
ダイヤモンドナノ粒子(クラスターダイヤ、比表面積820m/g、mv値5nm)
1質量部
ポリ塩化ビニル 50質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 20質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し線状体に押出成形した後、残留する可塑剤を除去すべく空気中で熱処理して固化(乾燥)した後に、窒素ガス雰囲気中にて1000℃で焼成し、最後にα−オレフィンオリゴマー(ライオン社製、リポループ20)中に浸漬して油漬させて、直径が0.570mmのシャープペンシル用芯HBを得た。
(比較例2)
上記実施例1のナノ粒子A:ダイヤモンドナノ粒子(比表面積208m/g、mv値50nm、住石マテリアルズ社製)を同量のナノ粒子B:ダイヤモンドナノ粒子(比表面積18.54m/g、mv値100nm、住石マテリアルズ社製)に代えた以外は、実施例1と同様にしてナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(比較例3)
上記実施例1のナノ粒子A:ダイヤモンドナノ粒子(比表面積208m/g、mv値50nm、住石マテリアルズ社製)を同量のナノ粒子C:クラスターダイヤモンドナノ粒子(比表面積848m/g、mv値20nm、住石マテリアルズ社製)に代えた以外は、実施例1と同様にしてナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(比較例4)
上記実施例1の鱗片状天然黒鉛A(平面度0.2μmのab面、mv値8μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比8)を同量の鱗片状天然黒鉛B(平面度3μmのab面、mv値10μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比10)に代えた以外は、実施例1と同様にしてナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(比較例5)
上記実施例1の鱗片状天然黒鉛A(平面度0.2μmのab面、mv値8μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比8)を同量の鱗片状天然黒鉛C(平面度0.2μmのab面、mv値3μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比3)に代えた以外は、実施例1と同様にしてナノダイヤ含有焼成鉛筆芯を得た。
(比較例6)
上記実施例1の配合時にナノ粒子Aを含有させないで得た鉛筆芯体を、ナノ粒子Aを含有しない実施例1で用いた液体A中に、上記実施例1と同様に加圧含浸し、ナノダイヤ非含有焼成鉛筆芯を得た。
(比較例7、特開2007−138031号公報の実施例11準拠)
平面度3μmのab面、mv値10μm、c軸の厚み1μm、アスペクト比10の天然鱗状黒鉛 69質量部
ダイヤモンドナノ粒子(クラスターダイヤ、比表面積820m/g、mv値5nm)
1質量部
カオリナイト粘土 15質量部
ハロイサイト粘土 15質量部
水 30質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、2本ロールで水分を18質量部程度になるまで充分加熱混練する。得られた混練物を押出用ダイスを用いて線状体に押出成形した後、空気中120℃にて20時間熱処理して残留水分を除去し、窒素雰囲気中で1,200℃まで10時間、1,200℃にて1時間焼成した。
次いで、実施例7で用いた液体G(ミヨシ調整ラード)中に浸漬して油浸させて、直径2.05mmの木軸鉛筆芯を得た。
(比較例8)
ナノ粒子Aを含まない以外、上記実施例7と同様の配合で得た鉛筆芯体を、実施例7で用いた液体G(ミヨシ調整ラード)中に上記実施例7と同様に浸漬し、直径2.05mmの木軸鉛筆芯を得た。
上記実施例1〜7及び比較例1〜8で得られた各焼成鉛筆芯(シャープペンシル用鉛筆芯、木軸鉛筆芯)について、下記各方法により、曲げ強度、圧縮強度(N)、磨耗量(mm)、濃度、消去率(%)、摩擦係数(静、動)、ナノ粒子個数、官能評価による筆記感、汚れ難さ、初期滑りの評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(曲げ強度の測定方法)
実施例1〜6及び比較例1〜6のシャープペンシル用鉛筆芯では、JIS S 6005:2007に規定されている曲げ強さ試験で曲げ強度を測定した(n=100)。また、実施例7及び比較例7、8の木軸鉛筆芯では、JIS S 6006:2007に規定されている曲げ強さ試験で曲げ強度を測定した(n=100)。
(圧縮強度の測定方法)
芯を平面上に横置き固定し、テンシロン(ORIENTEC RTC−1150A)で横幅2mm、縦幅5mmの圧縮治具で上から圧縮試験して破壊強度を測定した(n=100)。
なお、この評価項目である圧縮強度は、シャープペンシル用鉛筆芯のチャックで潰れにくいことを示す指標であるため、実施例7及び比較例7、8の木軸鉛筆芯では測定せず、評価を「−」とした。
(磨耗試験の試験方法)
筆記角度75°、荷重300gf、筆記距離5m筆記した際の芯の磨耗長さを測定した(n=10)。
(濃度の測定方法)
磨耗試験で筆記した描線を濃度計(sakura DENSITOMETER PDA65)で測定した値である(n=10×4ヵ所)。
(消去率の測定方法)
磨耗試験で筆記した描線を消しゴム(EP−105E)で5往復させた後の描線消去率を求めた(n=10)。
(動摩擦係数の測定方法)
JIS S 6005:2007、JIS S 6006:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全摩擦力の平均値を筆記荷重で割った値(n=10)を動摩擦係数と呼び、摩擦の最大値を筆記荷重で割った値を静摩擦係数と呼ぶことにする。
(ナノ粒子個数の測定方法)
得られた各鉛筆芯の研磨断面をFE−SEM(日立ハイテク社製、S−4700型、加速電圧5kV−電流値10μA)を用いて5μm×5μmを観察したときのナノ粒子の個数を測定した。
〔筆記感、手の汚れにくさ(汚れ難さ)、初期滑りの評価方法〕
10人の被験者が400字詰め原稿用紙を1枚「三菱鉛筆」と繰り返し筆記し、当社既存品(三菱鉛筆社製、「SHU」0.5mm−HB)と比較して下記各項目の相対評価を行った。
筆記感は、滑らかに感じるか否かで比較し、下記評価基準で評価した。
汚れ難さは、400字筆記した後の手の汚れを比較し、下記評価基準で評価した。
初期滑りは、1画1画がスムーズに滑りだすかどうかを比較し、下記評価基準で評価した。
評価基準(平均値):
◎:非常に良い
○:既存品より良い
△:既存品と同等
×:既存品より悪い
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲の1〜6の各シャープペンシル用鉛筆芯、実施例7の木軸鉛筆芯は、本発明の範囲外となる比較例1〜6の各シャープペンシル用鉛筆芯、比較例7及び8の木軸鉛筆芯に較べて、曲げ強度、圧縮強度に優れると共に、十分な発色性及び描線濃度を有し、しかも、磨耗が少なく、消去性が良く、初期滑り、筆記感(書き味)が良く、汚れ難い結果となることが判明した。
これに対して、比較例を個別的にみると、比較例1は特開2007−138031号公報の実勢例11に準拠するものであり、比較例2及び3は本発明の範囲外となるナノ粒子を用いた場合であり、比較例4及び5は本発明の範囲外となる鱗片状黒鉛を用いた場合であり、比較例6は上記実施例1の配合時にナノ粒子を分散させないで得た鉛筆芯を製造した場合であり、これらの鉛筆芯では本発明の目的とする潤滑作用を強く発揮する鉛筆芯が得られないことが判った。また、比較例7は、特開2007−138031号公報の実施例11に準拠する木軸鉛筆芯であり、比較例8は、ナノ粒子を用いない木軸鉛筆芯であり、これらの木軸鉛筆芯では目的の鉛筆芯が得られないことが判った。
シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、更に高い描線濃度を有する鮮やかな黒色となる鉛筆芯の製造方法が得られる。

Claims (7)

  1. 少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上の鱗片状黒鉛を含有する鉛筆芯において、該黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持ち、比表面積が50〜800m/gのカーボンナノ粒子及びセラミックナノ粒子から選ばれるナノ粒子を可塑剤または溶剤に分散してものを、鱗片状黒鉛とその他の鉛筆芯材料と共に混練後、該混練物から芯体を形成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
  2. 前記鉛筆芯に用いるナノ粒子がカーボンナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の鉛筆芯の製造方法。
  3. 前記カーボンナノ粒子がダイヤモンドであることを特徴とする請求項2に記載の鉛筆芯の製造方法。
  4. 前記ナノ粒子の体積平均径(mv値)が4〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
  5. JIS S 6005:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全摩擦力の平均値(n=10)を筆記荷重で割った、全摩擦係数が0.191〜0.218であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
  6. 芯体形成後、前記ナノ粒子によって鱗片状黒鉛と鱗片状黒鉛の間に生じた隙間に、屈折率1.3〜1.5で25℃における粘度が7〜200mm/sとなる液が含浸されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
  7. 鉛筆芯の研磨断面をFE−SEM(加速電圧5kV)を用いて5μm×5μmを観察したとき、該ナノ粒子が1〜300個観察されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の鉛筆芯の製造方法。
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