JP6207709B2 - 鉛筆芯 - Google Patents

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Description

本発明は、シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などの鉛筆芯に関し、更に詳しくは、強度が強く、滑らかな筆記感を有し、尖りやすい鉛筆芯に関する。
一般に、鉛筆芯において、要求される重要特性としては、筆記感が良好で描線の発色性が良く、機械的強度が強いことである。
本願出願人は、鉛筆芯などの固形描画材中の油含浸可能な有効細孔容積や表面積を大きくし、圧縮強度を更に向上させると共に、書き味が滑らかで、十分な発色性及び描線濃度を有し、しかも、磨耗量が少なく、消去性が良く、描線を手でこすっても汚れにくい固形描画材及びその製造方法を提供するために、ナノ材料(ナノ粒子)を少なくとも含有する固形描画材用配合組成物を焼成処理又は非焼成処理してなる固形描画材芯体を形成し、該固形描画材芯体の気孔内に潤滑剤を充填してなることを特徴とする固形描画材を提案している(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上記特許文献1における「書き味」あるいは「筆記感」と称している評価項目については、以下のような欠点が存在している。それは、被験者が、短い時間での筆記によって、あまりシャープペンシルの持ち替えなどを行わず、試験開始時の体勢のまま片減りした面によって描いた時の感覚を元に評価を行っていたことである。片減りした面は、磨耗した平滑な面であるため、描き始めから描き終わりまで、ほぼ磨耗した平滑な面での筆記ということとなる。
このため、最近、発売され好評を博している本願出願人による製品〔シャープペンシル、商品名「クルトガ」、三菱鉛筆社製、WO2007/142135(特許第4240417号)に適用した場合、具体的には、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルに試験すべき芯体を適用して試験を行った場合、これまでのような筆記感が再現されないという問題点が生じることが判った。
すなわち、上記特許文献1等に記載される技術により、単純にナノ粒子を混合し、固形描画材を形成しても、より優れた描線濃度、実筆記における書き味及びその代表的な指標となる静・動摩擦係数の好適な評価等を得ることはできないものであった。単純にナノ粒子を混合した固形描画材において、静・動摩擦係数を測定する場合、上記した「書き味」あるいは「筆記感」と称している評価項目について、芯体の製造方法、構成等によっては、必ずしも再現しない、という課題が発見されたのである。
そこで、上記の課題に対して、本願出願人は、少なくとも平面度が2μm以下のab面を持つa軸またはb軸とc軸のアスペクト比が5以上の鱗片状黒鉛を含有する鉛筆芯において、該黒鉛の体積平均径(mv値)100に対して0.05〜2のmv値を持ち、比表面積が50〜800m/gのナノ粒子が、該黒鉛のab面と接触、または、接着していることを特徴とする鉛筆芯及びその製造方法(例えば、特許文献2、3参照)などを提案しており、これにより、ナノ材料(ナノ粒子)を用いた鉛筆芯において、従来のシャープペンシル用、木軸用などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、描線が濃く鮮やかな黒色となる鉛筆芯が得られている。
しかしながら、上記特許文献2、3等に記載の鉛筆芯は従来にないものであるが、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯にあっては、消費者等の要求は厳しく、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、尖りやすいものとなる鉛筆芯が切望されているのが現状である。
また、表面層から中央層までの硬さがほぼ均一となる従来の鉛筆芯では、上述の筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシル用の鉛筆芯に適用した場合には、これまでのような筆記感が再現されないという課題が生じるものである。
特開2007−138031号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2008−115211号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2008−115212号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、通常のシャープペンシル用、木軸用などに使用する場合の他に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、尖りやすいものとなる鉛筆芯を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、鉛筆芯の表面を特定構造面とすることにより、上述の特許文献1,2等に開示された鉛筆芯を上回る、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、尖りやすいものとなり、しかも、摩擦係数の低い鉛筆芯を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていくと共に、鉛筆芯の表面下100μmまでの表面層と中央直径100μm以内での中央層との平均比較において、中央直径100μm以内が硬くなっており、かつ、下記A群から選ばれるナノ材料を含むことを特徴とする鉛筆芯。
A群:金属の酸化物セラミック、窒化物セラミック、燐酸化物セラミック、珪酸化物セラミック、ホウ化物セラミック、並びに、金属ナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、フラーレン、カーボンナノチューブ
(2) 上記超微小押し込み硬さが、インデンテーション硬さとすることを特徴とする上記(1)記載の鉛筆芯。
(3) 上記超微小押し込み硬さが、押し込み弾性率とすることを特徴とする上記(1)記載の鉛筆芯。
(4) 上記鉛筆芯の黒鉛化度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の黒鉛化度が高いことを特徴とする上記(1)記載の鉛筆芯。
(5) 上記鉛筆芯の炭素純度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の炭素純度が高いことを特徴とする上記(1)又は(4)に記載の鉛筆芯。
(6) 上記鉛筆芯をJIS−6005:2007に示す画線を行なった後、下記式(I)に示す片耗率が0.05〜0.5の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の鉛筆芯。
(7) 前記ナノ材料の含有率が、上記表面層と中央層との比較で中央層が高いことを特徴とする上記(1)記載の鉛筆芯。
なお、本発明において、「固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている」とは、すなわち、黒鉛と樹脂を混練し成形後不活性雰囲気で焼成することによって合成される炭素複合体を骨格とする鉛筆芯をいい、焼成後に残留する不純物の蛍光X線分析やICP発光分析によって測定し、逆算される値をいう。
本発明によれば、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、尖りやすいものとなり、しかも、摩擦係数の低い鉛筆芯が提供され、特に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯に好適なものとなる。
本発明における超微小押し込み硬さ(最大荷重時変位)の測定方法の概略図である。 実施例1及び比較例1の鉛筆芯において、インデンテーション硬さ(HIT)を求めるための圧子の負荷から除荷までの変位−荷重曲線を示す特性図である。 実施例1及び比較例1の鉛筆芯における黒鉛化を示す特性図である。 実施例及び比較例の鉛筆芯の片耗率を求めるための説明図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の鉛筆芯は、固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていくことを特徴とするものである。
本発明において鉛筆芯は、固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されており、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる構造となるものであり、中央層側からみると、中央層が硬く表面側に向かって中央層よりも柔らくなる構造となるものである。これにより、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯にあっては、より良い滑らかな筆記感を有し、高い強度を有すると共に、尖りやすいものとなる鉛筆芯が得られるものとなる。
本発明における「超微小押し込み硬さ」とは、エリオニクス社製超微小押し込み硬さ試験機(ENT-1100a)を用いて、一定荷重をかけることにより測定される値である。測定は、以下のように行うことができる。
超微小押し込み硬さの測定方法の概略図を図1に示す。
まず、製造した鉛筆芯(例えば、直径0.565mm:565nm)を倒立し固定する。測定対象面としての鉛筆芯端面の表面側の端から中央側にむかって10μm、30μm、50μm、70μm、90μm(表面側の測定位置)、240μm、260μm、280μm、300μm、320μm(中央側の測定位置)を測定地点とする。各測定地点に三角錐形状のダイヤモンド圧子(バーコビッチ圧子:α=65.03°)を用いて最大荷重2(mN)をかけて垂直に押し込み、5秒経過後の鉛筆芯の変位量(nm)を測定する。本発明では、この最大荷重時の変位量(μm)を超微小押し込み硬さとする。数値が小さいほど硬度が高いことを意味し、数値が大きいほど硬度が低く柔軟であることを意味する。
上記超微小押し込み硬さにより、測定対象面の表面層側から中央層に向かっての硬さ(柔軟性)を評価することができる。
本発明において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていく構造であれば、特に限定されないが、好ましくは、超微小押し込み硬さが、鉛筆芯の表面下(表面端:最外面端から)100μmまでの表面層と中央直径(鉛筆芯中心から外周側)100μm以内での中央層との平均比較において、中央直径100μm以内が硬いことが望ましい。
具体的には、鉛筆芯の表面下(表面端:最外面端から)100μmまでの表面層の超微小押し込み硬さが0.40〜1.00μmであり、中央直径100μm以内の硬さが0.30〜0.50μmであり中央が0.05μm以上硬いことが好ましい。
本発明では、表面層側から中央層に向かっての超微小押し込み硬さを、インデンテーション硬さ(HIT)、または、押し込み弾性率(EIT)としてもよいものである。
インデンテーション硬さ(HIT)、押し込み弾性率(EIT)は、ISO 14577−1:2002に規定されている。
インデンテーション硬さ(HIT)は、圧子の負荷から除荷までの変位−荷重曲線から求められる値であって上記ISO 14577に規定されている。図2は、実施例1及び比較例1の鉛筆芯において、インデンテーション硬さ(HIT)を求めるための圧子の負荷から除荷までの変位−荷重曲線を示す特性図である。このインデンテーション硬さ(HIT)は、超微小押し込み硬さと同様に、上記エリオニクス社製超微小押し込み硬さ試験機を用いて負荷開始から除荷までの全過程にわたって押し込み荷重F(N)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、F−h曲線を作成する。作成されたF−h曲線からインデンテーション硬さ(HIT)を、下記式(II)のように最大負荷荷重を圧子と試験片が接している投影(断)面積で除した値により求めることができる。このインデンテーション硬さ(HIT)は、半永久的な変形あるいは損傷に対する抵抗を測定したものである。
また、押し込み弾性率(EIT)は、上記F−h曲線から、下記式(III)により求めることができる。材料のヤング率に相当するものであり、この計算式は「インデンテーション硬さ(HIT)の計算に用いた接線の傾き」の意味である。
前記鉛筆芯の硬さをインデンテーション硬さ(HIT)によって表すと、好ましくは、鉛筆芯の表面下100μmまでの表面層の硬さ(HIT)が240〜420N/mmであり、中央直径100μm以内が硬さ(HIT)が150〜650N/mmであることが好ましく、押し込み弾性率(EIT)によって表すと、好ましくは、鉛筆芯の表面下100μmまでの表面層の硬さ(EIT)が8000〜15000N/mmであり、中央直径100μm以内が硬さ(EIT)が13000〜18000N/mmであることが好ましい。
本発明において、固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていく製法としては、面層から中央層に向かって硬くなっていく構造となるものであれば、特に限定されず、好ましくは、製造効率性、製造安定性、コスト面等から、例えば、1)鉛筆芯形成用の配合組成物として配合材Aと配合材Bの少なくとも2種類を用意し、中央側となる配合材Aを棒状に成形し、また、配合材Bをシート状に成形し、上記配合材Aにより成形した棒状の外周に配合材Bにより成形したシートを一層巻き付けて円柱状に成形し、これを押出機で軸方向に押出成形し、2種の材料が円心方向へ傾斜的に複合した成形体を形成し、次いで、乾燥後、窒素ガスなどの不活性雰囲気中にて焼処理することにより製造する方法(以、「製法1」という)、2)鉛筆芯形成用の配合組成物を混合分散し、加圧ニーダー、ロールで混練し、成形後、乾燥し、0.01〜0.1vol%程度の酸素(O)を含む窒素などの不活性ガス雰囲気中にて焼成処理することにより製造する方法(以下、「製法2」という)、3)高純度黒鉛中空芯にCFRP等の高強度低黒鉛純度の材料を装填することにより製造する方法(以下、「製法3」という)などが挙げられる。
上記製法2の焼成処理では、0.01〜0.1vol%程度の酸素(O)を含む窒素などの不活性ガス雰囲気中にて焼成処理すると、表面側はバインダーが賦活され、低強度高黒鉛純度となり、中央側は変化が小さい結果となるため、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯が得られるものとなる。
本発明において、鉛筆芯に用いる配合組成物としては、少なくとも、黒鉛又は黒鉛とカーボンブラック、及び体質材、潤滑剤、熱可塑性合成樹脂などのバインダー成分、有機溶剤などの各成分を適宜選択して用いることができる。
用いることができる黒鉛としては、鱗片状などの天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などが挙げられ、カーボンブラックとしては、オイルファーネスブ超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていくラック、ガスファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びランプブラックなどが挙げられる。
上記各製法1〜3において、好ましくは、ナノ材料を更に用いることが好ましい。用いるナノ材料は、特に、上記製法1の場合に、効率的に、かつ容易に軸方向への超微小押し込み硬さを、表面層から中央層に向かって硬くしていくことができ、一般的にナノ材料に分類されているものであれば、特に限定されず、いずれも用いることができる。上記製法1では、表面側の配合組成物にナノ材料の含有量を少なくし、中央層側にはナノ材料を多く用いるものである。
用いることができるナノ材料としては、種々のセラミック材料を用いることが可能であり、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、セリウム等の金属の酸化物セラミック、窒化物セラミック、燐酸化物セラミック、珪酸化物セラミック、ホウ化物セラミックのいずれも用いることができるが、これらは単独で用いることとなるが、2種以上を混合して用いることも可能であり、目的とする成形体の形状や成形方法によって適宜選択される。
また、用いることができるナノ材料としては、上記セラミック材料以外のものとしては、例えば、金属ナノ粒子、並びに、カーボン材であるダイヤモンドナノ粒子、フラーレンなどのカーボン粒子、カーボンナノチューブなどが挙げられ、好ましい研磨材としては上記ダイヤモンドナノ粒子、フラーレンなどのカーボン粒子、カーボンナノチューブなどのカーボン材である。
用いることができる金属ナノ粒子としては、種々の金属ナノ粒子を用いることが可能であり、例えば、銀(Ag)ナノ粒子、白金(Pt)ナノ粒子、金(Au)ナノ粒子、ニッケル(Ni)ナノ粒子、鉄(Fe)ナノ粒子などの単組成ナノ粒子、Fe−Pd、Fe−Pt、Pt−Pd、Pt−Au、Ni−Mn、In−Sn、Ni−Al、Mr−Zrなどの多組成複合ナノ粒子、アモルファスカーボン、黒鉛、ダイヤモンド及びセラミック材料などを被覆した被覆ナノ粒子のいずれも用いることができ、これらは単独で、または、2種以上を混合して用いることも可能であり、目的とする成形体の形状や成形方法によって適宜選択される。
更に、用いることができるカーボンナノチューブとしては、例えば、単層ナノチューブ(SWNT)、2層ナノチューブ(DWNT)、多層ナノチューブ(MWNT)からなるものが挙げられ、具体的には、三井物産社製のカーボンナノチューブ、CNT.Ltd社製のSWNT、DWNT、MWNT、GSI Creos社製のカルベール、昭和電工社製のVGCFなどを用いることができ、これらは非晶質であっても、フッ素等の添加物が添加されているものであってもよい。
また、用いることができるダイヤモンドナノ粒子(ナノダイヤ)としては、爆発法で作製したダイヤモンドナノ粒子、EACVD法、気相合成法及び液相成長法で作製したダイヤモンドナノ粒子などからなるものが挙げられ、具体的には、ナノテックシステムズ社製CD(Cluster Diamond)、CDS(Cluster Diamond Slurry)、GCD(Graphite Cluster Diamond)、GCDS(graphite Cluster Diamond slurry)、JETRO社製人口ダイヤモンド等を用いることができる。
更に、用いることができるカーボン粒子であるフラーレンとしては、例えば、C60、70、76、78、82、C84、C90等、種々の炭素数のものが上げられ、愚弟的には、フロンティアカーボン社製ナノムパープル、ナノムブラック、ナノムスペクトラなどの種々のフラーレン製品を使用でき、金属内包フラーレン、分子内包フラーレン等炭素以外の物質を含むものも用いることができる。
本発明において、ナノ材料の粒径は、製品品質の点から、上記セラミック材料からなるナノ材料、金属ナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、カーボンナノ粒子などのナノ材料では、好ましくは、4〜100nm、更に好ましくは、4〜20nmとすることが望ましい。
また、上記以外のカーボンナノチューブでは、直径が0.7〜200nm、長さが100μm以下となるものが好ましく、更に好ましくは、直径が50〜200nm、長さが50μm以下となるものが望ましい。
なお、本発明において、「粒径」は、体積平均値(mv値)をいう。
本発明において、上記ナノ材料は、製造効率、ロットバラツキ、材料の安定性の点から、好ましくは、気相合成法、液相合成法、機械的粉砕法の何れかの方法により製造されることが望ましい。
気相合成法は、瞬間気相合成法(Flash Creation Method;FCM)、ガス凝集法(Gleiter)、レーザーアブレーションなどによりナノ材料を製造するものである。
液相合成法は、電気メッキ法、液体急冷法などによりナノ材料を製造するものである。
機械的粉砕法は、強歪加工法、粉末冶金的手法、回転流動法などによりナノ材料を製造するものである。
これらの合成法は、研磨材となるナノ材料の種類、鉛筆芯の実施形態により適宜選択して使用することができる。
これらのナノ材料の含有量としては、鉛筆芯用配合組成物全量に対して、好ましくは、0.001〜0.2質量%、更に好ましくは、0.01〜0.1vol%とすることが望ましい。
製法1では、上記ナノ材料の含有量の範囲内において、表面側の配合組成物(配合材A)に対して、中央側の配合組成物(配合材B)のナノ材料の含有量を質量比で1.1〜1.5倍とすることが望ましい。
本発明において、鉛筆芯形成用の配合組成物は、上記少なくとも、黒鉛又は黒鉛とカーボンブラック、及び体質材、潤滑剤、熱可塑性合成樹脂などのバインダー成分、有機溶剤、ナノ材料を含有したものを用いるものである。
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用焼成鉛筆芯では、鱗片状黒鉛などの黒鉛以外に、カーボンブラックとアモルファス炭素を少なくとも含有せしめることができ、また、焼成鉛筆芯では、体質材とセラミック結合材とを少なくとも含有することができる。
また、体質材としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン(カオリナイト、ハロイサイト)、モンモリロナイト、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の白色系体質材や有色系の体質材も使用することができ、当然これら数種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、その物性、形状から窒化ホウ素、カオリン、タルクが挙げられる。
セラミック結合材としては、結晶質又は非晶質のSiO、Si、Al、ZrO、MgO、BN、B、AlNなどが挙げられ、これらは各単独又は2種以上を用いてもよいものである。
熱可塑性合成樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトンなどを挙げられる。
有機溶剤としては、上記熱可塑性合成樹脂を溶解し得るものが好ましく、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類などを用いることができる。
また、シャープペンシル用焼成鉛筆芯では、その他の成分として、α−オレフィンオリゴマー、脂肪酸エステル、スピンドル油、ワックス類、窒化ホウ素、タルク、シリコーンオイル、シリカ微粒子、金属石鹸等を用いることができ、非焼成鉛筆芯又は焼成鉛筆芯では、その他の成分として、シリコーンオイル、ラード、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロイド及びその他の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
本発明において、上記製法1では、上述の配合組成物を少なくとも2種用意し、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯、焼成鉛筆芯に用いる各成分(体質材、熱可塑性樹脂、有機溶剤など)を混練、成型、乾燥して焼成前の鉛筆芯形成用の芯体とシートとを成形し、この芯体にシートを巻回した後、押し出し成形、乾燥後、焼成処理することにより
軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができ、上記製法2では、上述の鉛筆芯用配合組成物、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯、焼成鉛筆芯に用いる各成分(体質材、熱可塑性樹脂、有機溶剤など)を混練、成型、乾燥して焼成前の鉛筆芯形成用の芯体を成形し、この芯体を上述のガス雰囲気下で焼成処理することにより、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができる。
また、製法3では、中央100μmが中空の中空芯を製造し、中空部に中空芯よりも硬い材料(例えば、CFRP)を装填することにより、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができる。
本発明において、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯の製造では、好ましくは、強度と書き味の点から、鉛筆芯配合組成物全量に対して、(a)上記黒鉛及びカーボンブラック30〜70質量%、(b)ナノ材料0.01〜1質量%を用いて、その他の成分である(c)熱可塑性合成樹脂30〜60%、(d)該熱可塑性合成樹脂を溶解し得る有機溶剤0〜30%を、ヘンシェルミキサーで分散混合し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し、押出成型機により成型した後、電気炉で110〜250℃で乾燥して、焼成前の鉛筆芯形成用の芯体を成形し、上記製法2では、0.01〜0.1vol%程度の酸素(O)を含む窒素などの不活性ガス雰囲気下で800〜1400℃、20〜40時間で焼成することにより鉛筆芯体を形成し、上記鉛筆芯体の気孔内に、α−オレフィンオリゴマー、シリコーンオイル、エステルオイル等の合成油、ヒマシオイル等の植物油、グリース等の潤滑剤を含浸などにより充填することにより、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができる。
また、上記製法1では、上記と同様の組成となる鉛筆芯形成用の配合組成物を、少なくとも2種用意し、具体的には、焼成前の鉛筆芯形成用芯体の配合組成物(配合材A)と、シート用の配合組成物(配合材B)を用意し、ただし、配合材Aには純度の高い黒鉛などを使用、ナノ材料を多く配合して、各配合組成物を成形した後、この芯体にシートを巻回した後、押し出し成形、乾燥後、非酸化性雰囲気下(窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下)で800〜1400℃、20〜40時間で焼成することにより鉛筆芯体を形成した後、該鉛筆芯体の気孔内に、α−オレフィンオリゴマー、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル、エステルオイル等の合成油、ヒマシオイル等の植物油、グリース等の潤滑剤を含浸などにより充填することにより、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができる。
また、製法3では、製法1の配合材Bに相当する材料で中央100μm以上が中空の中空芯を成形し、乾燥後、非酸化性雰囲気下(窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下)で800〜1400℃、20〜40時間で焼成することにより中空鉛筆芯体を形成した後、中空部にぴったり装填できるCFRPを装填し、鉛筆芯体を形成した後、該鉛筆芯体の気孔内に、α−オレフィンオリゴマー、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル、エステルオイル等の合成油、ヒマシオイル等の植物油、グリース等の潤滑剤を含浸などにより充填することにより、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなる鉛筆芯を製造することができる。
本発明において、鉛筆芯の表面での筆記感を良好にしつつ、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルにおいてはより尖りやすくする点から、鉛筆芯の黒鉛化度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の黒鉛化度が高いこと、また、鉛筆芯の炭素純度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の炭素純度が高いこと、鉛筆芯のナノ材料であるナノダイヤモンド粒子の含有率が、上記表面層と中央層との比較で中央層が高いことが好ましい。
表面層の黒鉛化度を高めるためには、例えば中央層と表面層を別の配合で作製し、中央層に対して黒鉛化度の高い材料を配合することにより製造することができ、また、表面層の炭素純度を高めるためには、上記同様異なる材料を使用するか、または、熱処理方法によって変性させることにより製造することができる。
本発明において、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、上記鉛筆芯をJIS−6005:2007に示す画線を行なった後、下記式(I)に示す片耗率が0.05〜0.5の範囲となるものが好ましい。
この片耗率は、図4に示すように、摩耗鉛筆芯の短い長さlと、摩耗鉛筆芯の短い長さlとの比(l/l)を、10m画線後の鉛筆芯の摩耗量で除した値である。この片耗率が0.05〜0.5の範囲となるものは更に本発明を発現する点で好ましいものとなる。
このように構成される本発明では、固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっているので、表面層が摩耗しやすく、中央層は摩耗し難くなるものであり、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルで尖りやすい構造となる。これに対して、従来の鉛筆芯では、表面層が中央層よりも硬くなっているため、表面層が摩耗し難く、尖るまでに相当量の筆記が必要である。
更に、本発明では、更に、上記作用効果と共に、上記で挙げた特許文献1〜3に開示された鉛筆芯を上回る、尖りやすさ、運筆、摩擦係数の低い鉛筆芯となるものであり、特に、筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルなどに使用される鉛筆芯であっても、更に、より良い滑らかな筆記感を有し、更に高い描線濃度を有し、尖りやすい鉛筆芯が得られるものとなる(この点に関しては、後述する実施例及び比較例で更に詳述する)。
本発明の鉛筆芯は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で得た芯体、すなわち、色鉛筆、焼成色鉛筆、化粧鉛筆、摺動部材であってもよいものである。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(配合材A)
高純度化鱗片状天然黒鉛(純度99.99%) 30質量部
ダイヤモンドナノ粒子(粒径mv値50nm) 0.5質量部
ポリ塩化ビニル 50質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
フタル酸ジイソブチル 15質量部
上記組成において、ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分、以下同様)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、直径60mmの棒状に成形した。
(配合材B)
鱗片状天然黒鉛 60質量部
ダイヤモンドナノ粒子(粒径mv値50nm) 0.1質量部
ポリ塩化ビニル 20質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
フタル酸ジイソブチル 15質量部
上記組成において、ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分、以下同様)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、厚さ20mmのシート状に成形した。
上記で得た配合材Aに配合材Bを1層巻きつけ、直径100mmの円柱状材料を形成した。これをプランジャー式油圧押出機で軸方向に押出成形し、2種の材料が円心方向へ傾斜的に複合した成形体を形成した。次いで、ジオクチルフタレートを乾燥後、窒素ガス雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、長さ60mmの焼成鉛筆芯体を製造した。
次いで、ジメチルシリコーンオイルKF96−30CS(動粘度30mm/s、屈折率1.401、信越化学社製)を120℃−24h浸漬含浸し、シャープペンシル用鉛筆芯を製造した。
(実施例2)
鱗片状天然黒鉛A 40質量部
ナノ粒子A:ダイヤモンドナノ粒子(粒径mv値50nm) 0.4質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
フタル酸ジイソブチル 15質量部
上記組成において、ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、成形後、ジオクチルフタレートを乾燥後、0.1%O+N雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、長さ60mmの焼成鉛筆芯体を製造し、ジメチルシリコーンオイルKF96−30CS(動粘度30mm/s、屈折率1.401、信越化学社製)を120℃−24h浸漬含浸みし、シャープペンシル用鉛筆芯を製造した。
(実施例3)
上記配合材Bをヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、ロールで混練し、中空部120μmの中空芯を成形し、ジオクチルフタレートを乾燥後、N雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、中空直径0.10mm、長さ60mmの中空焼成鉛筆芯体を製造した。これに直径0.10mm長さ60mmのピッチ系-エポキシ系CFRPを装填、ジメチルシリコーンオイルKF96−30CS(動粘度30mm2/s、屈折率1.401、信越化学社製)を120℃−24h浸漬含浸みし、シャープペンシル用鉛筆芯を製造した。
(比較例1)
上記実施例2において、焼成雰囲気を窒素雰囲気に代え、上記実施例2と同様にして、シャープペンシル用鉛筆芯を製造した。
(比較例2)
天然鱗状黒鉛A 70質量部
カオリナイト粘土 15質量部
ハロイサイト粘土 15質量部
水(精製水) 30質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、2本ロールで水分を18部程度になるまで充分加熱混練する。得られた混練物を押出用ダイスを用いて線状体に押出成形した後、空気中120℃にて20時間熱処理して残留水分を除去し、窒素雰囲気中で1,200℃まで10時間、1,200℃にて1時間焼成した。
次いで、ミヨシ調整ラード(ミヨシ油脂株式会社製)中に浸漬して油浸させて直径0.565mmの木軸鉛筆芯を得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた各鉛筆芯(シャープペンシル用鉛筆芯)について、下記各方法により、超微小押し込み硬さ(最大荷重時の変位)、インデンテーション硬さ、押し込み弾性率、黒鉛化度、不純物量、摩擦係数(静摩擦係数)、片耗率、官能評価による滑らかさ、運筆(筆記感、書き味)、尖りやすさの評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
〔超微小押し込み硬さ(最大荷重時の変位)、インデンテーション硬さ、押し込み弾性率の算出方法〕
エリオニクス社製超微小押し込み硬さ試験機(ENT−1100a)を用いて下記方法により、超微小押し込み硬さ、インデンテーション硬さ(HIT)、押し込み弾性率(EIT)を求めた。
図1に示すように、製造した鉛筆芯を倒立し固定する。測定対象面としての鉛筆芯端面の表面側の端から中央側にむかって10μm、30μm、50μm、70μm、90μmの平均値を表面側の測定位置、240μm、260μm、280μm300μm、320μmの平均値を中央側の測定値とする。各測定地点に三角錐形状のダイヤモンド圧子(バーコビッチ圧子:α=65.03°)を用いて最大荷重2(mN)をかけて垂直に押し込み、その際の鉛筆芯の変位量(nm)を測定する(図2)。本発明では、この最大荷重時の変位量(μm)を超微小押し込み硬さとした。数値が小さいほど硬度が高いことを意味し、数値が大きいほど硬度が低く柔軟であることを意味する。
インデンテーション硬さ(HIT)は、変位−荷重曲線を示す特性図である。このインデンテーション硬さ(HIT)は、超微小押し込み硬さと同様に、上記エリオニクス社製超微小押し込み硬さ試験機を用いて負荷開始から除荷までの全過程にわたって押し込み荷重F(N)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、図2のようなF−h曲線を作成し上述の式(II)により求めた。
また、押し込み弾性率(EIT)は、上記F−h曲線から、上述の式(III)により求めた。
(黒鉛化度の測定方法)
超微小押し込み硬さと同様に図1の要領で測定対象面としての鉛筆芯端面の表面側の端から中央側にむかって10μm、30μm、50μm、70μm、90μmの平均値を表面側の測定位置、240μm、260μm、280μm300μm、320μmの平均値を中央側の測定値とし、ラマンスペクトルにおける1580cm-1からのピークズレ幅を比較した。完全な構造を有するグラファイト(単結晶)は1580cm-1に単一のラマンバンドを示す。従って、数値が大きいほど。黒鉛化度が低いことを示す。
(不純物量の測定方法)
鉛筆芯の表面層100μmまでを切削によって削り、粉砕した試料を表面層とし、同様に切削して中央部φ0.1の棒状に加工した鉛筆芯を粉砕した試料を中央層とし、ICPで分析した。
〔摩擦係数(静摩擦係数)の測定方法〕
JIS S 6005:2007、JIS S 6006:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における(n=10)画線初期(0.2秒間)の摩擦力を筆記荷重で割った値を「静摩擦係数」とした。
なお、本発明で規定する「JIS S 6005:2007」に規定されている画線機は、芯体を75度の角度に傾け、自転させながら描画させるものであり、前記した筆記の度に芯体が回転して、常に新しい部分によって筆記されるタイプのシャープペンシルの筆記時、描画時の態様に近いものである。
(片耗率の算出方法)
鉛筆芯をJIS−6005:2007に示す画線(10m)を行なった後、上述の式(I)より求めた。
〔滑らかさ、運筆、尖りやすさの評価方法〕
10人の被験者が三菱鉛筆社製のシャープペンシル〔商品名「クルトガ」〕を使用して400字詰め原稿用紙を1枚「三菱鉛筆」と繰り返し筆記し、当社既存品(三菱鉛筆社製、「ナノダイヤ」0.5mm−HB)と比較して下記各項目の相対評価を行った。
滑らかさは、滑らかに感じるか否かで比較し下記評価基準で評価した。
運筆は、引っかかりなく自由に字が書きやすいかを比較し下記評価基準で評価した。
尖りやすさは、上記シャープペンシル〔商品名「クルトガ」〕に使用した際に尖りやすいかどうかを比較し下記評価基準で評価した。
評価基準(平均値):
◎:非常に良い
○:既存品より良い
△:既存品と同等
×:既存品より悪い
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲の1〜3の固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯鉛筆芯は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べて、強度が強く、滑らかな筆記感を有し、尖りやすいシャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯であることが判った。
シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などの鉛筆芯に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 固相成分の95質量%以上がカーボン材で構成されている鉛筆芯において、軸方向への超微小押し込み硬さが、表面層から中央層に向かって硬くなっていくと共に、鉛筆芯の表面下100μmまでの表面層と中央直径100μm以内での中央層との平均比較において、中央直径100μm以内が硬くなっており、かつ、下記A群から選ばれるナノ材料を含み、該ナノ材料の含有率が、上記表面層と中央層との比較で中央層が高いことを特徴とする鉛筆芯。
    A群:金属の酸化物セラミック、窒化物セラミック、燐酸化物セラミック、珪酸化物セラミック、ホウ化物セラミック、並びに、金属ナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、フラーレン、カーボンナノチューブ
  2. 上記超微小押し込み硬さが、インデンテーション硬さとすることを特徴とする請求項1記載の鉛筆芯。
  3. 上記超微小押し込み硬さが、押し込み弾性率とすることを特徴とする請求項1記載の鉛筆芯。
  4. 上記鉛筆芯の黒鉛化度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の黒鉛化度が高いことを特徴とする請求項1記載の鉛筆芯。
  5. 上記鉛筆芯の炭素純度が、上記表面層と中央層との比較で表面層の炭素純度が高いことを特徴とする請求項1又は4に記載の鉛筆芯。
  6. 上記鉛筆芯をJIS−6005:2007に示す画線を行なった後、下記一般式(I)に示す片耗率が0.05〜0.5の範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の鉛筆芯。
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