JP2010163107A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】右側に傾斜し、タイヤ赤道面側から左側のトレッド端12Eへ向けて延びる複数本の第1の傾斜主溝14を含む第1の傾斜主溝群16と、左側に傾斜し、タイヤ赤道面から右側のトレッド端12Eへ向けて延びる複数本の第2の傾斜主溝18を含む第2の傾斜主溝群20とをタイヤ周方向に交互に配置する。第1の傾斜主溝14の長手方向中間部分にタイヤ周方向に対して1〜8°の角度で傾斜する急傾斜溝部22を設け、そのタイヤ赤道面側にトレッド中央側湾曲溝部24を設け、トレッド端側にトレッド端側湾曲溝部26を設ける。ウエット路面直進走行時、第1の傾斜主溝14、及び第2の傾斜主溝18によって後方及び側方に効率的に排水されるので、高い排水性が確保されると共に、排水した水を再び踏むことが無い。
【選択図】図1
Description
このような高速で水溜りの上を通過すると、タイヤにハイドロプレーニングが発生して接地を失い、車体が不安定な挙動を起こす場合がある。
請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、トレッドのタイヤ幅方向中央側の傾斜溝部分のタイヤ周方向に対する角度が小さく、トレッドのトレッド端側の傾斜溝部分のタイヤ周方向に対する角度が大きく設定されており、しかも、タイヤ赤道面側からトレッド端側へ向けて延びる複数本の第1の傾斜主溝を含む第1の傾斜主溝群と、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向他方側に傾斜し、タイヤ赤道面側からトレッド端側へ向けて延びる複数本の第2の傾斜主溝を含む第2の傾斜溝群とがトレッドのタイヤ周方向に交互に配置されているため、直進時には、トレッドのタイヤ幅方向中央側の水が、タイヤ周方向に対して小さい角度で延びる急傾斜溝部に効率的に取り込まれ、急傾斜溝部に取り込まれた水は、タイヤ後方、及び緩傾斜溝を介してタイヤ側方へと効率的に排水される。
このような溝構成とすることで、従来のタイヤ周方向と平行な溝を配したパターンよりも、高い排水性を発揮し、かつウエット路面を高速で走行した時の安定性を向上することができる。
急傾斜溝部のタイヤ周方向に対する角度を1〜8°の範囲内に設定することで、排水した水を再び踏む事無く、高い排水性を確実に得ることができる。
なお、急傾斜溝部のタイヤ周方向に対する角度が1°未満では、前方にも排水してしまい、排水した水を踏んでウエット路面での高速走行の安定性を向上させる効果が得られなくなる。一方、急傾斜溝部のタイヤ周方向に対する角度が8°を超えると、排水性自体が悪化する。
第1の傾斜主溝群、及び第2の傾斜溝群において、各々急傾斜溝部が2本未満では、高い排水性が得られず、6本を越えると陸部の剛性が低下し、走行の安定性が悪化したり、偏摩耗が生じやすくなる。
4本以上の急傾斜溝部を直進時の接地面内に進入させることで、直進時の排水性をより高いものとすることができる。
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、タイヤサイズが120/630R17M/C(後輪用)である。
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10の内部構造は、一般的なラジアル構造であるため、内部構成の説明は省略する。
第1の傾斜主溝14の長手方向中間部分は、トレッド部12のタイヤ幅方向中央側に配置され、タイヤ周方向に対して1〜8°の小さい角度で傾斜する略直線状の急傾斜溝部22を備えている。
急傾斜溝部22のタイヤ周方向の長さ22Lは、直進時の接地面28のタイヤ周方向長さ28Lよりも長く形成されている。
第1の傾斜主溝群16は、直進時の接地面28に急傾斜溝部22が4本以上進入するように第1の傾斜主溝14の本数を設定することが好ましい。
第1の傾斜主溝群16の図面右側には、副傾斜溝32が配置されている。副傾斜溝32は、第1の傾斜主溝14の急傾斜溝部22と平行に延びる急傾斜溝部34と、急傾斜溝部34のタイヤ回転方向側とは反対方向側の端部から図面右側のトレッド端12Eへ向けて延びるトレッド端側湾曲溝部36からなる。
また、第1の傾斜主溝群16、及び第2の傾斜主溝群20は、各々トレッド部12に1〜2個設置することが好ましい。
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10を装着した二輪車がウエット路面を直進走行すると、接地面において、トレッド部12のタイヤ幅方向中央側の水が、第1の傾斜主溝14、及び第2の傾斜主溝18のトレッド中央側湾曲溝部24、及びタイヤ周方向に対して小さい角度で傾斜した急傾斜溝部22に効率的に取り込まれ、急傾斜溝部22に取り込まれた水は、タイヤ後方、及びトレッド端側湾曲溝部26を介してタイヤ側方へと効率的に排水される。このため、排水した水を再びトレッド部12で踏むことが無い。
なお、第1の傾斜主溝14、及び第2の傾斜主溝18は、排水効率の低下が懸念されるため途中で分岐させない方が良い。
本発明の効果を確かめるために、本発明の適用された実施例のタイヤ2種、比較例のタイヤ2種、及び従来例のタイヤ2種を試作し、実車(ST600レギュレーション準拠仕様、排気量600cc)の後輪に装着し、接地面残存率を測定した。
実施例のタイヤ:上記実施形態で説明した図1に示すトレッドパターンを有する。
従来例1のタイヤ:図2に示すトレッドパターンを有する。なお、図2において、符号100は周方向溝、符号102はトレッド端からタイヤ赤道面CL側へ延びて周方向溝100の手前で終端する第1の傾斜溝、符号104は第1の傾斜溝102よりも短い第2の傾斜溝である。
従来例2のタイヤ:図3に示すトレッドパターンを有する。なお、図3において、符号104は周方向溝、符号106は傾斜ラグ溝、符号108は周方向溝100同士を連結する副傾斜ラグ溝、符号110は傾斜ラグ溝106同士を連結する副傾斜ラグ溝である。
比較例1:基本構成は、実施例と略同様のパターンであるが、タイヤ周方向に対する急傾斜溝部22の角度を0°に設定したタイヤ。
比較例2:基本構成は、実施例と略同様のパターンであるが、急傾斜溝部22のタイヤ周方向の長さを、接地面のタイヤ周方向長さに対して90%に設定したタイヤ。
なお、何れのタイヤもサイズは170/630R17であり、内圧は190kPaである。
試験は、地面の下に部屋を設け、地面と面一となるように強化ガラスの窓を配置し、そのガラスの上に水深10mmの着色した水溜まりを作り、その上に実車を通過させ、下から接地面を高速度カメラで撮影した。
接地面残存率は、水を排出して路面(ガラス)に接地している面積と、水溜りの無い状態で通過した時の接地面積との比率である。比率は指数で表しており、数値の大きい方が接地面積が大きく、排水性が良好なことを表している。
本発明の効果を確かめるために、試験例1と同様に試験タイヤを実車に装着し、ウエット状態のサーキットコースを走行させ、新品時と20ラップ走行時において、各々ベストラップタイムの比較を行った。なお、評価は、従来例1の新品時のラップタイムの逆数を100とする指数表示としており、指数の数値が大きい程、タイムが良いことを表している。
12E トレッド端
12 トレッド部
14 第1の傾斜主溝
16 第1の傾斜主溝群
18 第2の傾斜主溝
20 第2の傾斜主溝群
22 急傾斜溝部
24 トレッド中央側湾曲溝部
26 トレッド端側湾曲溝部
28 接地面
Claims (4)
- タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向一方側に傾斜し、タイヤ赤道面側からトレッド端側へ向けて延びる複数本の第1の傾斜主溝を含む第1の傾斜主溝群と、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向他方側に傾斜し、タイヤ赤道面側からトレッド端側へ向けて延びる複数本の第2の傾斜主溝を含む第2の傾斜溝群とがトレッドのタイヤ周方向に交互に配置され、
前記第1の傾斜主溝、及び前記第2の傾斜主溝は、前記トレッドのタイヤ幅方向中央側に配置されタイヤ周方向に対して小さい角度で傾斜する急傾斜溝部と、前記急傾斜溝部のタイヤ回転方向とは反対方向側に連結され、前記急傾斜溝部よりもタイヤ周方向に対する角度が大きく設定されてトレッド端に向けて延びる緩傾斜溝部を含み、
前記急傾斜溝部のタイヤ周方向長さは、直進時の接地面のタイヤ周方向長さよりも長く形成されている、二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記急傾斜溝部のタイヤ周方向に対する角度は、1〜8°の範囲内である、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記第1の傾斜主溝群、及び前記第2の傾斜溝群は、前記急傾斜溝部を各々2〜6本備えている、請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記急傾斜溝部は、直進時の接地面内に進入する、請求項3に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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