JP2010162575A - 酸洗性に優れた溶接用ソリッドワイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々のSi含有量のSi含有鋼に対して焼鈍雰囲気条件を最適化し、内部酸化深さの低減を図り、内部酸化層を効率よく酸化除去できるソリッドワイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】Siを0.20〜2.0%含む鋼線材を軟化焼鈍する際に、軟化焼鈍炉内の温度を700〜800℃に設定すると共に、軟化焼鈍炉内の酸素濃度をx容量%(但し、0.1≦x≦10)、水蒸気濃度をy容量%(但し、0.1≦y≦20)としたとき、鋼線材中に含有されるSi濃度α%に対して、所定の関係を満足する条件で90分以上、210分以下で軟化焼鈍する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばMAG溶接やサブマージアーク溶接等に適用される溶接用ソリッドワイヤを製造するための有用な方法に関するものであり、特に鋼線材に対して軟化焼鈍を施しつつ溶接用ソリッドワイヤを製造するに際して、軟化焼鈍条件を適切に制御することによって、溶接用ソリッドワイヤを酸洗性に優れたものとする製造方法に関するものである。
例えば、MAG溶接やサブマージアーク溶接等に適用される溶接用ソリッドワイヤは、線径が大きい線材(原線)から酸洗、めっき、伸線等の工程を経て製造されている。このとき用いる原線は、引張強度TSが高い線材であることが多く、伸線時の負荷低減を目的とした軟化焼鈍が施されるのが一般的である。
溶接用ソリッドワイヤの素材となる原線には、様々な量のSi等の元素が含有されており、軟化焼鈍時にしばしば内部酸化(粒界酸化)が発生することがある。この内部酸化とは、高温で鉄よりも平衡酸素圧の低い添加元素(Si,Ti等)が鋼材中(特に粒界中)で酸化される現象を指す。鋼材表面に生成した酸化スケールは、酸洗によって容易に除去できるが、内部酸化層は鋼材内部に存在するため、酸洗による除去が非常に困難であり、酸洗においても内部酸化層が十分に除去できない場合には、めっき不良による歩留まり低下を招くことになる。
内部酸化の発生過程である軟化焼鈍炉の雰囲気を制御して、酸化スケールを制御する方法として、例えば特許文献1のような技術が提案されている。この技術では、13%Cr系ステンレス鋼板について、耐食性と表面平滑性を確保するために、全スケール厚みを100μm以上となるように加熱するものである。その具体的な条件として、15容量%以上の水蒸気と5容量%以上の酸素を含有する雰囲気での加熱が行なわれている。
しかしながら、CrとSiの酸化挙動は当然に異なり、Siの方がCrに比べて平衡酸素圧が低いので、より内部酸化が生じやすく、Si含有鋼の内部酸化はSi含有量によって鋼材への進入速度が異なるので、一概に適正値を規定することはできないという問題がある。また、粒界酸化そのものを低減することを目的としたSi含有鋼の焼鈍雰囲気条件の検討は進んでいないのが実情である。
特開平10−60538号公報
本発明はこうした従来技術における課題を解決する為になされたものであって、その目的は、種々のSi含有量のSi含有鋼に対して焼鈍雰囲気条件を適正化し、内部酸化層厚さの低減を図り、内部酸化層を効率よく酸洗除去できる(本発明ではこうした状態を「酸洗性が良好」としている)溶接用ソリッドワイヤの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明方法とは、Siを0.20〜2.0%(質量%の意味、化学成分において以下同じ)含む鋼線材を軟化焼鈍する際に、軟化焼鈍炉内の温度を700〜800℃に設定すると共に、軟化焼鈍炉内の酸素濃度をx容量%(但し、0.1≦x≦10)、水蒸気濃度をy容量%(但し、0.1≦y≦20)としたとき、鋼線材中のSi含有量[α](質量%)に対して、下記(1)式の関係を満足する条件で90分以上、210分以下で軟化焼鈍する点に要旨を有するものである。
61.7×(t/α)1/2・exp[(4.93T−9200)/(T+273)]≦1+8.09×10-2・(x×t)1/2・(3.55×10-2×y+0.29)・(0.04×T−25) …(1)
但し、t:焼鈍時間(分)、T:焼鈍温度(℃)
本発明方法で用いる前記鋼線材としては、Si:0.20〜2.0%の他、C:0.01〜0.20%、Mn:0.10〜3.50%、Tiおよび/またはZr:合計で0.01〜0.40%を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物であるものが挙げられる。また、この鋼線材は、(a)更にMo:0.50%以下を含有するものや、(b)不可避的不純物中のP:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、およびCu:0.50%以下(0%を含まない)に夫々抑制したものを用いることも有用であり、含有若しくは抑制した元素の種類に応じて、ソリッドワイヤの特性が更に改善される。
本発明では、鋼線材中のSi含有量に応じて、焼鈍温度、焼鈍時間、炉内雰囲気等を、所定の関係式を満足するように制御することによって、内部酸化層の形成を極力低減して酸洗性に優れたソリッドワイヤが実現できた。
焼鈍を施した後のスケールの構造を模式的に示した説明図である。 exp[(4.93T−9200)/(T+273)]と、内部酸化深さAとの関係を示すグラフである。 √tと、内部酸化深さAとの関係を示すグラフである。 [α]-1/2と、内部酸化深さAとの関係を示すグラフである。 焼鈍温度Tと、内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。 √tと、内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。 √xと内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。 焼鈍雰囲気中のH2O濃度yと内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。
Siを含有する鋼線材(以下、「鋼材」と呼ぶことがある)を軟化焼鈍(酸化)すると、鋼材から酸化スケール表面へのFeの拡散による外方酸化層と、雰囲気の酸素の鋼材側への拡散による内方酸化層が形成されることになる(後記図1参照)。水蒸気を含有しない酸化雰囲気では、内方酸化層は殆ど形成されないが、水蒸気を含有する雰囲気で鋼材を酸化(水蒸気酸化)すると、外方酸化層、内方酸化層のいずれも成長が加速化されることになる。
一方、Si含有鋼では、スケールと鋼材の界面から鋼材側に向かって内部酸化が進入することになる。こうした現象が生じるのは、Feの平衡酸素分圧よりもSiの平衡酸素分圧の方が低いことに起因しており、鋼材内部でFeは酸化しないが、Siの酸化する酸素分圧ポテンシャル域で発生することになる。こうした現象は、Tiを含む場合にはTiが酸化することによっても進行することになる。
本発明者らは、上記のような速度論的挙動に着目して、内方酸化層の成長速度を内部酸化層の進入速度に対して促進させれば、内部酸化層の厚さの低減が図れるとの着想の下で、その具体的な条件について検討した。
そして、本発明者らは、まず内部酸化深さ(内部酸化層厚さ+内方酸化層厚さ)について研究したところ、酸化時間とSi含有量の逆数の1/2乗に比例して、焼鈍温度の逆数の指数関数に比例して増加することを見出した。即ち、定量的な測定結果に基づけば、Siの含有量が0.20〜2.0%であるSi含有鋼に対して、700〜850℃の焼鈍温度域において、内部酸化深さA(μm)は、下記(2)式で示されることが分かった。
A=61.7×(t/α)1/2・exp[(4.93T−9200)/(T+273)] …(2)
但し、A:内部酸化深さ(μm)、α:鋼材中のSi含有量(質量%)、t:焼鈍時間(分)、T:焼鈍温度(℃)
上記(2)式を導いた経緯は次の通りである。まず、酸化処理前の種々のSi含有量の鋼材からなるサンプル表面にスパッタ法によって白金薄膜層(Ptマーカー層)を形成し、様々な温度(焼鈍温度)、雰囲気(焼鈍雰囲気)、時間(焼鈍時間)でサンプルを焼鈍(酸化)したときに、サンプル断面の光学顕微鏡観察によって当該Ptマーカー層から内部酸化層先端(最も深い位置)までの距離を内部酸化深さA(μm)として定義し、各々の焼鈍条件に対してプロットを行なった。
焼鈍を施した後のスケールの構造を模式的に図1に示す。即ち、Siを含有する鋼材を軟化焼鈍(酸化)すると、鋼材表面(Ptマーカー層を形成した位置)から酸化スケール表面へのFeの拡散によって成長する外方酸化層と、雰囲気の酸素の鋼材側への拡散(内方拡散)による内方酸化層が形成され[これらの合計がスケール(酸化層)となる]、その内方酸化層の更に内側(鋼材の表面から内側)に内部酸化層が形成されることになる。この内部酸化深さA(内部酸化層厚さ+内方酸化層厚さ)に及ぼす焼鈍条件(焼鈍温度、焼鈍時間)や鋼材中のSi含有量について検討した。
まず焼鈍温度Tを700〜850℃の範囲で変化させたときの内部酸化深さA(μm)に与える影響について調査した。このとき用いた鋼材は、Fe−0.5%Si含有鋼であり、焼鈍雰囲気はN2−1.0容量%O2−4.0容量%H2O、焼鈍時間は180分である。図2は、上記調査結果に基づき、内部酸化深さAと比例関係を示すパラメータとして、回帰分析によって求められたexp[(4.93T−9200)/(T+273)]と、内部酸化深さAとの関係を示したグラフである。
次に、焼鈍時間tを90〜210分の範囲で変化させたときの内部酸化深さA(μm)に与える影響を調査した。このとき用いた鋼材は、Fe−1.5%Si含有鋼であり、焼鈍温度は850℃、焼鈍雰囲気はN2−1.0容量%O2−10.0容量%H2Oである。図3は、上記調査結果に基づき、内部酸化深さAと比例関係を示すパラメータとして、回帰分析によって求められた√tと、内部酸化深さAとの関係を示すグラフである。
鋼材中のSi含有量[α](質量%)を0.2〜2.0%の範囲で変化させたときの内部酸化深さA(μm)に与える影響を調査した。このときの焼鈍温度は800℃、焼鈍雰囲気はN2−0.5容量%O2−15.0容量%H2O、焼鈍時間は150分である。図4は、上記調査結果に基づき、内部酸化深さAと比例関係を示すパラメータとしての回帰分析によって求められた[α]-1/2と、内部酸化深さAとの関係を示すグラフである。
図2〜4の結果に基づき、これらのパラメータと内部酸化深さAとの関係を回帰分析によって一般的に表したのが前記(2)式である。
一方、本発明者らは、種々のSi含有鋼について、水蒸気による内方酸化層の厚みを測定した結果、Si含有量には殆ど依存せず、700〜850℃の焼鈍温度域においては、焼鈍温度と水蒸気濃度に比例し、酸素濃度と焼鈍時間の積の1/2乗に比例して増加することを見出した。即ち、定量的な測定結果に基づけば、内方酸化層厚さB(μm)は、下記(3)式で示されることが分かった。
B=8.09×10-2・(x×t)1/2・(3.55×10-2×y+0.29)・(0.04×T−25) …(3)
但し、B:内方酸化層厚さ(μm)、x:酸素濃度(容量%)、y:水蒸気濃度(容量%)、t:焼鈍時間(分)、T:焼鈍温度(℃)
上記(3)式を導いた経緯は次の通りである。まず、上記と同様にして種々のSi含有量の鋼材からなるサンプル表面にスパッタ法によってPtマーカー層を形成し、様々な温度(焼鈍温度)、雰囲気(焼鈍雰囲気)、時間(焼鈍時間)でサンプルを焼鈍(酸化)したときに、サンプル断面の光学顕微鏡観察によって当該Ptマーカー層から内方酸化層先端(鋼板表面の位置)までの距離を内方酸化層厚さB(μm)として定義し(前記図1参照)、各々の焼鈍条件に対してプロットを行なった。
図5は、焼鈍温度Tを700〜850℃の範囲で変化させたときの内方酸化層厚さB(μm)に与える影響を示したグラフ(焼鈍温度Tと内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフ)である。このとき用いた鋼材は、Fe−0.5%Si含有鋼であり、焼鈍雰囲気はN2−1.0容量%O2−0.3容量%H2O、焼鈍時間は90分である。
焼鈍時間tを90〜210分の範囲で変化させたときの内方酸化層厚さB(μm)に与える影響を調査した。このとき用いた鋼材は、Fe−1.0%Si含有鋼であり、焼鈍温度は700℃、焼鈍雰囲気はN2−5.0容量%O2−20.0容量%H2Oである。図6は、上記調査結果に基づき、内方酸化層厚さBと比例関係を示すパラメータとして、回帰分析に基づいて求められた√tと、内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。
焼鈍雰囲気中のO2濃度xを0.1〜10容量%(vol%)の範囲で変化させたときの内方酸化層厚さB(μm)に与える影響を調査した。このとき用いた鋼材は、Fe−1.8%Si含有鋼であり、焼鈍温度は810℃、焼鈍雰囲気(酸素以外の雰囲気)はN2−10.0容量%H2O、焼鈍時間は130分である。図7は、上記調査結果に基づき、内方酸化層厚さBと比例関係を示すパラメータとして、回帰分析によって求められた√xと、内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフである。
図8は、焼鈍雰囲気中の水蒸気(H2O)濃度yを0.1〜20容量%の範囲で変化させたときの内方酸化層厚さB(μm)に与える影響を示したグラフ(焼鈍雰囲気中のH2O濃度yと内方酸化層厚さBとの関係を示すグラフ)である。このとき用いた鋼材は、Fe−1.1%Si含有鋼であり、焼鈍温度は720℃、焼鈍雰囲気(水蒸気以外の雰囲気)はN2−5.0容量%O2、焼鈍時間は100分である。
図5〜8の結果に基づき、これらのパラメータと内方酸化層厚さBとの関係を回帰分析によって一般的に表したのが前記(3)式である。
本発明者らが、酸洗不良となる内部酸化層厚さについて検討したところによれば、内部酸化層厚さが1μmを超えたときに酸洗不良になることが判明した。従って、上記(2)式で規定される内部酸化深さA(内部酸化層厚さ+内方酸化層厚さ)が、上記(3)式で規定される内方酸化層厚さBに1μm足した厚み以下となれば(A≦1+B)、内部酸化層厚さは1μm以下となる。即ち、軟化焼鈍炉内の酸素濃度をx容量%(但し、0.1≦x≦10)、水蒸気濃度をy容量%(但し、0.1≦y≦20)としたとき、鋼線材中に含有されるSi濃度[α](質量%)に対して、下記(1)式の関係を満足するようにすれば、優れた酸洗性が発揮されるのである。
61.7×(t/「[α])1/2・exp[(4.93T−9200)/(T+273)]≦1+8.09×10-2・(x×t)1/2・(3.55×10-2×y+0.29)・(0.04×T−25) …(1)
但し、t:焼鈍時間(分)、T:焼鈍温度(℃)
本発明方法では、焼鈍温度T、焼鈍雰囲気中の酸素濃度x、水蒸気濃度y、焼鈍時間t等の範囲も適切な範囲とする必要がある。即ち、これらの要件の適正範囲は、上記(1)式の関係が成り立つ上で前提となるものであるが、それ以外にも夫々の要件独自の範囲限定理由が存在する。これらの範囲限定理由は、次の通りである。
[焼鈍温度T:700〜850℃]
焼鈍温度が700℃未満では、鋼材の軟化が不十分となり、850℃を超えるとスケールロスが大きくなって歩留まりが悪化することになる。焼鈍温度の好ましい下限は750℃であり、好ましい上限は800℃である。
[焼鈍雰囲気中の酸素濃度x:0.1〜10容量%]
内部酸化は非常に低い酸素濃度領域であっても発生するため、0.1容量%未満であっても内部酸化深さは十分に増加することになる。これに対して、スケール成長はこの酸素濃度域では殆ど起こらないため、内部酸化のスケール化は困難になる。即ち、上記(1)式の関係を満足させることによって、内部酸化層を低減させるという観点から内方酸化層を成長させるためには、酸素濃度xは0.1容量%以上とする必要がある。一方、酸素濃度xが10容量%を超えると、スケールロスが大きくなって鋼材(即ち、ソリッドワイヤ)の歩留まりが悪化することになる。酸素濃度xの好ましい下限は1容量%であり、好ましい上限は6容量%である。
[焼鈍雰囲気中の水蒸気濃度y:0.1〜20容量%]
水蒸気濃度が、0.1容量%未満であれば、内方酸化層の増加が見られず、本発明方法によって内部酸化深さを低減する効果が発揮されにくくなる。一方、水蒸気濃度yが20容量%を超えると、焼鈍炉の壁面の損耗が大きくなるという不都合を招くことになる。水蒸気濃度yの好ましい下限は5容量%である。
[焼鈍時間t:90〜210分]
焼鈍温度tが、90分未満では軟化が不十分となって、焼鈍としての効果が発揮されなくなる。一方、焼鈍時間tが210分を超えると、スケールロスが増加することになる。焼鈍時間tの好ましい下限は120分であり、好ましい上限は180分である。
本発明方法では、上記の関係を満足させつつ操業することによって、酸洗性に優れたソリッドワイヤが実現でできるのであるが、酸洗性に優れたスケール構造としては、そのスケール厚み(外方酸化層厚み+内方酸化層厚み)は20μm以下であることが好ましい。これはスケールが多くなることによって、酸洗液の劣化のサイクルが多くなるためである。
本発明で対象とする鋼材(鋼線材)は、比較的多くのSiを含むことを前提とするものであるが、このSiはソリッドワイヤとしての強度を確保する上で、0.20%以上であることが必要である。しかしながら、Siを過剰に含有するものでは、延性を損なうことになるので、Si含有量は2.0%以下とすべきである。
本発明で対象とする鋼線材のSi以外の成分については、ソリッドワイヤの特性を発揮するものであれば、特に限定するものではないが、好ましい化学成分組成としては、C:0.01〜0.20%、Mn:0.10〜3.50%、Tiおよび/またはZr:0.01〜0.40%を夫々含有するものが挙げられる。この化学成分組成における各成分(元素)による作用効果は次の通りである。
[C:0.01〜0.20%]
Cはソリッドワイヤとしての強度を確保する上で有用な元素であり、所定の強度を得るためには0.01%以上含有させることが好ましい。しかしながら、C含有量が過剰になると、加工性が劣化するので、0.20%以下とすることが好ましい。尚、C含有量のより好ましい下限は、0.02%であり、より好ましい上限は0.16%である。
[Mn:0.10〜3.50%]
Mnは鋼材の強度および靭性を確保するために有用な元素であり、そのためにはMnの含有量は0.10%以上とすることが好ましい。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、鋼材の靭性および溶接性を阻害するので、3.50%以下とすることが好ましい。尚、Mn含有量のより好ましい下限は、1.30%であり、より好ましい上限は3.00%である。
[Tiおよび/またはZr:合計で0.01〜0.40%]
TiおよびZrは、いずれも脱酸剤として含有されるが、単独または合計で0.01%未満ではこうした効果が不十分である。またこれらの含有量が合計で0.40%を超えると、溶接金属の靭性が劣化することになる。尚、Tiおよび/またはZrの含有量のより好ましい下限は、0.1%であり、より好ましい上限は0.35%である。
本発明のソリッドワイヤにおける基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物(例えば、P,S,Cu,Al,N等)であるが、必要によって、Moを含有させたり、不可避的不純物中のP、SおよびCuの含有量を抑制することも有用であり、含有若しくは抑制する元素に応じて、ソリッドワイヤの特性が更に改善される。これらの元素の範囲設定理由は次の通りである。
[Mo:0.50%以下(0%を含まない)]
Moは、鋼材の強度を高めるために有用な元素であり、必要に応じて含有される。しかしながら、Mo含有量が過剰になると、鋼材の延性を損なうので0.50%以下(より好ましくは0.40%以下)とするのがよい。尚、こうした効果を発揮させるには、Moの含有量は0.1%以上とすることが好ましい。
[不可避的不純物中のP:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、およびCu:0.50%以下(0%を含まない)]
不可避的に混入するPは、微量の場合には鋼材の強度を高める作用を発揮するが、過剰に含有すると脆性を劣化させるので、0.03%以下(より好ましくは0.02%以下)とすることが好ましい。Sは、硫化物系介在物(例えば、MnS)を形成し、これが鋼材の熱間圧延時に偏析することによって、鋼材を脆化させるので、0.03%以下(より好ましくは0.02%以下)に抑制することが好ましい。Cuも不可避的に混入してくる元素であるが、Cuは1356Kで液相となり、熱間圧延での変形時中にオーステナイト結晶粒界に侵入し、表面割れを発生させるので、その含有量は0.50%以下(より好ましくは0.30%以下)に抑制することが好ましい。
本発明で対象とするソリッドワイヤは、基本的に、MAG溶接やサブマージアーク溶接で用いられるような、溶接用ソリッドワイヤを想定したものであり、こうした用途に用いたときに本発明の効果が最も有効に発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
下記の化学成分組成の各鋼種(鋼種A〜D)からなる鋼材を溶製した後、直径:5mm、高さ:10mmの鋼片(円柱状鋼片)に加工した。
鋼種A:Fe−0.5%Si鋼
鋼種B:Fe−1.0%Si鋼
鋼種C:Fe−1.5%Si鋼
鋼種D:Fe−2.0%Si鋼
加工した鋼片をアセトンで超音波洗浄し、スパッタリング装置を用いて、鋼片側面(曲面部分)にガストンテープでスリットを形成し、その部分に白金薄膜(Ptマーカー)を蒸着してサンプルとした。このPtマーカーは、前述のごとく、焼鈍処理前の鋼片表面に残留するため、外方酸化層と内方酸化層との境界となり(前記図1参照)、両酸化層の厚みの定量評価することが可能とするものである。
このようにして作製したPtマーカー付きのサンプルについて、下記表1に示す条件で焼鈍を想定した酸化処理を施した。このとき、酸化処理はガス調整による雰囲気が可能な管状炉を用いて行なった。また、水蒸気については、水蒸気の入ったウエッターを所定の温度にあげ、ガスをバブリングすることによって湿潤ガスとし、炉内に導入した。尚、下記表1には、前記(1)式の適否についても示した[(1)式の関係を満足するときに「○」、満足しないときに「×」]。
Figure 2010162575
上記各サンプルについて、スケールが観察できるように埋め込みサンプルを作製し、光学顕微鏡にてPtマーカーから内部酸化層先端までの距離(内部酸化深さA)、内方酸化層厚さ、内部酸化層厚さの測定を行なった。そして、内部酸化層厚さ(=Ptマーカーから内部酸化層先端までの距離−内方酸化層厚さ)が1μm以下の場合を合格とした。その結果を下記表2に示す。
Figure 2010162575
これらの結果から、次のように考察できる。まず試験No.1〜4のものは、鋼種(即ち、Si含有量)を変えて検討した結果であるが(酸化条件はすべて同じ)、試験No.1では本発明で規定する要件[前記(1)式の関係]を外れるものであり、内部酸化層厚さが1μmを超え、不合格となっている。
これに対して、試験No.2のものでは、Si含有量が増加することによって、前記(1)式の関係を満足するものとなり、内部酸化層厚さが1μm以下となっていることが分かる。また試験No.3,4のものでは、内方酸化層の成長速度が内部酸化層の侵入速度を凌駕したため、内部酸化層は認められなかった。
試験No.5〜10は、雰囲気中の酸素濃度、水蒸気濃度を夫々変えて検討した結果である。各鋼種について、これらの雰囲気を本発明に則って適正化することによって[即ち、前記(1)式を満足させることによって]、内部酸化層厚さを1μm以下とできる(試験No.6,7)ことが分かる。
試験No.11〜14は、酸化温度(焼鈍温度)、酸化時間(焼鈍温度)を振って検討した結果である。同じ鋼種で、同じ雰囲気であっても、酸化温度や酸化時間によって、内部酸化層厚さが異なってくることが分かる。
[実施例2]
下記の化学成分組成の各鋼種(鋼種E、F)からなる鋼線材について、焼鈍実験を行なった。
(鋼種E)
Si:0.73%、C:0.043%、Mn:1.64%、Ti+Zr:0.23%、P:0.010%、S:0.010%、Cu:0.02%、Mo:0.01%(残部:鉄および不可避的不純物)
(鋼種F)
Si:1.42%、C:0.960%、Mn:2.71%、Ti+Zr:0.20%、P:0.006%、S:0.006%、Cu:0.04%(残部:鉄および不可避的不純物)
これらの鋼線材は、加熱炉から抽出したビレットについて、粗圧延、仕上げ圧延、水冷、巻き取り、ステルモアコンベア上で空冷、タブ入りという通常の線材の製造工程を経て作製されたものであり、焼鈍前の鋼線材表面には約10μm程度の黒皮スケールが生成している。これらの鋼線材をコイル状に束ねた状態で、連続焼鈍炉に入れ、軟化焼鈍を行なった。
軟化焼鈍炉の雰囲気は、NXガス(精製発熱形ガス 基本組成:N2−0容量%O2−10容量%H2)と空気の空燃比(空気/NXガス)によって炉内の酸素濃度の調整を行うと共に、ゼオラムを用いて除湿、または水を炉内に導入して加湿することによって炉内の水蒸気濃度を調整した。
下記表3に示す種々の条件で焼鈍を行ない、焼鈍後のサンプリングによる内部酸化層厚さの測定を行なうと共に(Ptマーカーを形成していないので、内方酸化層の厚みは測定せず)、サンプリングした線材を10分間、25モーラの塩酸に浸漬し、内部酸化層の有無を評価した。その結果を、下記表3に併記する。
Figure 2010162575
これらの結果から明らかなように、本発明で規定する要件[前記(1)式の関係]を満足するもの(試験No.15,16,18)では、内部酸化層厚さが小さくなっており、通常の酸洗によっても、スケールがほぼ完全に除去されていることが分かる。これに対して、本発明で規定する要件[前記(1)式の関係]を満足しないもの(試験No.17,19)では、内部酸化層厚さが大きくなっており、通常の酸洗によってはスケールが除去できないことが分かる。

Claims (4)

  1. Siを0.20〜2.0%(質量%の意味、化学成分において以下同じ)含む鋼線材を軟化焼鈍する際に、軟化焼鈍炉内の温度を700〜800℃に設定すると共に、軟化焼鈍炉内の酸素濃度をx容量%(但し、0.1≦x≦10)、水蒸気濃度をy容量%(但し、0.1≦y≦20)としたとき、鋼線材中のSi含有量[α](質量%)に対して、下記(1)式の関係を満足する条件で90分以上、210分以下で軟化焼鈍することを特徴とする酸洗性に優れた溶接用ソリッドワイヤの製造方法。
    61.7×(t/[α])1/2・exp[(4.93T−9200)/(T+273)]≦ 1+8.09×10-2・(x×t)1/2・(3.55×10-2×y+0.29)・(0.04×T−25) …(1)
    但し、t:焼鈍時間(分)、T:焼鈍温度(℃)
  2. 前記鋼線材は、Si:0.20〜2.0%を含む他、C:0.01〜0.20%、Mn:0.10〜3.50%、Tiおよび/またはZr:合計で0.01〜0.40%を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記鋼線材は、更にMo:0.50%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記鋼線材は、不可避的不純物中のP:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、およびCu:0.50%以下(0%を含まない)に夫々抑制したものである請求項2または3に記載の製造方法。
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