JP2010156955A - レンズ駆動装置用アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】可動部材のねじ部への噛み込み防止と、空転時の可動部材をねじ部に容易に螺合して復帰させる機構を備えるレンズ駆動装置用アクチュエータを提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置用アクチュエータ1は、空転部3b,3cに位置する可動部材16の軸方向移動を規制するストッパ手段4b,4cと、モータ内でのスラスト方向の移動量が拡大された回転軸7の一端部とこれに対面するストッパ手段4b,4cとの間に設けられ、回転軸7のスラスト移動を可能にする隙間nと、回転軸7に沿って移動する可動部材16を前記モータ側に付勢する手段19と、可動部材16が、ねじ部3aの両端に位置する一方の空転部3b,3cの位置まで駆動され、ストッパ手段4b,4cに当接状態にあるとき、モータの通電オフ動作により磁気スラスト力を発生させ、可動部材16をねじ部3aに付勢する復帰手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスクドライブ装置のピックアップやカメラなどのレンズを駆動させるレンズ駆動装置用アクチュエータに関し、特に、モータによって回動するリードスクリューを利用したレンズ駆動装置用アクチュエータに関する。
従来、CDドライブ装置やDVDドライブ装置などの光ディスクドライブ装置のピックアップのアクチュエータや、カメラの自動焦点調節機構やズーム機構におけるレンズ移動制御用のアクチュエータとしてリードスクリュー付ステッピングモータが広く用いられている。これらのレンズを光軸方向に移動させる場合、レンズ枠の一部に形成されてモータのリードスクリューのねじ部に螺合する結合部によりレンズが光軸方向に移動する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に示すレンズ駆動装置の構成図である。レンズ30は、レンズ保持枠32に保持され、レンズ保持枠32の下部には、ガイド部材34が固着される。ガイド部材34には挿通孔34Aが形成され、この挿通孔34Aに図示せぬレンズ鏡胴に固定されたガイド軸36が挿通される。従って、レンズ30がガイド軸36の軸方向(光軸L方向)に摺動自在に支持される。
一方、レンズ保持枠32の上部には、ピン38を固定した保持部材40が固着され、そのピン38の上端にプラスチック等の樹脂で形成された矩形状のコマ42が取り付けられる。コマ42の中央部には光軸方向に貫通するネジ孔42Aが形成され、このネジ孔42Aに送りネジ44が螺合される。
従って、レンズ30は、上記ガイド軸36と送りネジ44によって光軸方向に移動可能に支持される。なお、送りネジ44とコマ42の係合によって、送りネジ44がレンズ30のガイド軸としての作用を十分に果たしているため、レンズ30の上部を支持するガイド軸が不要になる。
上記送りネジ44の両端は、コ字状に形成された枠部材46の前端部46Aと後端部46Bによって回動自在に支持される。枠部材46の後端部46Bにはステッピングモータ48が設置され、そのステッピングモータ48の出力軸48Aと送りネジ44とが連結される。従って、ステッピングモータ48の出力軸48Aが回動することにより、送りネジ44が回動し、コマ42が送りネジ44にリードされて軸方向に移動されると共に、これと連動してレンズ30が光軸L方向に直線移動される。
また、上記送りネジ44は、ネジ山(雄ねじ)が形成されるネジ部44Aとその両側部のネジ山が形成されない逃げ部44B、44Bとから構成される。ネジ部44Aでは上記コマ42がネジ結合により連結した状態にあり、送りネジ44が回動すると、コマ42に軸方向の力が作用する。一方、逃げ部44Bでは上記コマ42はネジ結合が外されてスライド自在の状態となり、送りネジ44が回動してもコマ42に軸方向の力が作用しなくなる。
従って、上記レンズ30の位置を制御する際には、上記コマ42がネジ部44Aと螺合する範囲内で移動するようにステッピングモータ48の回転が制御されるようになっているが、もし、ステッピングモータ48が異常回転を起こし、一方向に送りネジ44が回動し続けた場合には、コマ42がネジ部44Aから逃げ部44B、44Bに移動される。
そして、コマ42とネジ部44Aのネジ結合が外された状態で送りネジ44が空転するようになっている。これにより、ステッピングモータ48が異常回転を起こした場合であっても、送りネジ44がコマ42とネジ結合したまま空転するという事態が防止され、送りネジ44やコマ42のネジ山が損傷する事態が防止される。
また、上記送りネジ44の両端が軸支される枠部材46の前端部46Aと後端部46Bには、送りネジ44の逃げ部44B、44Bに移動したコマ42をネジ部44Aの方向へ付勢する板バネ50A、50Bが設置される。従って、上述のようにステッピングモータ28の異常回転によりコマ42が送りネジ44の逃げ部44Bに位置する場合において、ステッピングモータ48の回転が正常に戻り、逆方向に回転を開始したときには、これらの板バネ50A、50Bの付勢力により容易にコマ42がネジ部44Aに螺合され、元の正常な状態に復帰される。
また、特許文献2には、レンズホルダーの駆動源における出力軸に喰い付き防止の空転部を設ける例が示されており、図7において、このレンズ駆動機構及び撮像装置は、レンズPを保持するとともにレンズPの光軸方向への移動のガイド軸56を受ける軸受け部を有する3群枠51と、ナット52が螺合する螺子部53bが形成されたリードスクリュー53aおよびこれを回転させるステッピングモータ53を有する駆動機構と、3群枠51から延設され、先端が駆動機構のナット52と隣接しており、ナット52の移動によって3群枠51を移動させるためのアーム54と、アーム54の先端をナット52の方向へ付勢するバネ55と、駆動機構のリードスクリュー53aの端部で、ナット52に対してアーム54が配置される側のみに設けられ、ナット52が螺合しないような軸径となっている空転部53cとを備えている。
この例では、モータ出力軸のリードスクリューの空転部53cは、片側のみであり、制御手段が、エラー発生時ナットを空転部側に送るように駆動機構を制御している。
また、特許文献3には、図8に示すように、回転軸の根元部及び/又は先端部でのレンズユニット60の食い付きを防止できるフォーカスレンズ機構が開示されている。この機構は、螺子部61aが形成されたステッピングモータ62の回転軸63にレンズユニット60を螺合させ、該ステッピングモータ62の駆動によりレンズユニット60を上記回転軸63に沿って駆動させるようにしたフォーカスレンズ機構において、上記回転軸63の根元部及び/又は先端部に、上記レンズユニット60に対して空転する空転部64b、64cを設けたことを特徴としている。
この例では、空転部64b、64cは、リードスクリューとしての回転軸63の根元部及び/又は先端部に設けられ、レンズユニット60を回転軸63の螺子部側に付勢する2つの付勢部材65、66が設けられている。
特開2000−275497号公報 特許第3809026号公報 特開2002−287002号公報
しかしながら、上記特許文献1に示すレンズ駆動装置では、ステッピングモータと、ステッピングモータの出力軸と連結される送りネジと、送りネジを支持するコの字状に形成された枠部材から略構成されているが、枠部材に付勢部材である板バネを設置する必要があるため、部品点数が増え、大型化すると同時にレンズ駆動装置全体のコストを下げることができない。
また、特許文献2の装置では、一方側にのみ空転部を設けたことから、レンズ鏡筒の長さを小さくできるが、常にレンズの初期位置合わせのために、空転部側にナットを移動する必要があり、その移動時間の遅れを発生し、初期設定位置からの移動を余儀なくされる。さらに、空転部のない側では、3群枠の端部を突き当てるため、この部材の強度が必要
になる。
また、特許文献3の装置では、回転軸の螺子部両側に空転部が形成されているが、ハウジング内で移動可能になるレンズユニットは、ガイド軸12に挿通され、ハウジング端にはそれぞれ、第1、第2の付勢手段としてのばね16,17が配置されており、特許文献1と同様に、部品点数が増え、大型化すると同時にレンズ駆動装置全体のコストを下げることができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、空転状態の可動部材をリードスクリューのねじ部に容易に螺合して復帰させる機構を備えることによって、部品点数を増やすことなく、製造コストを低減したレンズ駆動装置用アクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、ねじ部が形成されたモータの回転軸に可動部材を螺合させ、前記モータの回転駆動により前記可動部材に取り付けられたレンズを前記回転軸に沿って移動させ、前記ねじ部の両端に前記可動部材に対して空転する空転部を設けたレンズ駆動装置用アクチュエータにおいて、
前記可動部材の軸方向移動を規制するストッパ手段と、
前記モータ内に設けられ、前記回転軸のスラスト移動を可能にする隙間と、
前記回転軸に沿って移動する前記可動部材を前記モータ側に付勢する手段と、
前記可動部材が、前記ねじ部の両端に位置する一方の空転部の位置まで駆動され、前記ストッパ手段に当接状態にあるとき、前記可動部材を前記ねじ部に付勢する復帰手段と、を備えたことを特徴としている。
この構成によれば、モータの可動部材が空転部に移動し、ストッパ手段に当接した場合、ねじ部から外れた状態で空転可能であり、かつ可動部材をモータ側に付勢する手段により、回転軸をモータ側に常時付勢するとともに、磁気スラスト力の作用により、空転状態にある可動部材をねじ部に接触させて復帰することができる。この結果、付勢手段と磁気スラスト力によって、空転状態の可動部材がねじ部に接触するので、モータの再起動時にスムーズに可動部材をねじ部上に移動することができる。
また、前記可動部材を前記ねじ部に付勢する復帰手段は、前記モータを構成するステータとロータマグネットとの間の磁気スラスト力であり、この磁気スラスト力は、前記ロータマグネットが回転軸の軸方向へ移動し、前記ステータの磁気的中心と前記ロータマグネットの磁気的中心がずれることによって生じることを特徴とする。
この結果、ステータの磁気的中心とロータマグネットの磁気的中心がずれを磁気スラスト力により修正することによって、空転状態の可動部材がねじ部に接触して復帰を容易にする。
また、前記モータは、ステッピングモータであって、第1のボビンに環状のコイルを巻回し、その外周を内ヨークと外ヨークからなるステータヨークにて覆い、内ヨークと外ヨークの内周面にはそれぞれ極歯を備えてなる第1のステータサブアッシーと、前記第1のステータサブアッシーと同様の構成からなる第2のステータサブアッシーとを軸方向に重ねて配置したステータと、該ステータの内側に円筒状磁石を固定した回転軸を備えたロータとを有し、
該ロータは、2つの軸受の間に前記円筒状磁石を配設して回転可能に支持され、前記一方の軸受と該軸受に近接する円筒状磁石との隙間が、前記他方の軸受と該軸受に近接する円筒状磁石との隙間よりも大きく形成し、前記磁気スラスト力は少なくとも一方の前記ステータサブアッシーを励磁することで増大することを特徴とする。
また、前記ロータは、前記第1、第2のステータサブアッシーの各々に対向した2つの円筒状磁石を固定した回転軸を備えることを特徴とする。
また、本発明の好ましい構成によれば、前記可動部材の軸方向移動を規制するストッパ手段は、前記モータを取り付けるブラケットの両側に立設する側板であり、前記可動部材を前記モータ側に付勢する手段は、前記可動部材の貫通孔に挿通され、前記回転軸に平行なガイドシャフトに装着されたコイルばねであることを特徴としている。
本願発明のレンズ駆動装置用アクチュエータによれば、空転した可動部材を、付勢手段および/または磁気スラスト力による復帰手段により、ねじ部に容易に螺合して復帰させることができるので、簡単な構成で部品点数を増やすことなく、製造コストを低減したレンズ駆動装置用アクチュエータを提供できる。
本願発明の実施形態によるレンズ駆動装置用アクチュエータの構成を示した図である。 図1に示すモータ部分の拡大断面図である。 図3におけるナットがリードスクリュー部に螺合している状態の動作状況の一例を示し、(a)は平面図、(b)はモータ内部の断面形状を示す側面図である。 図3におけるナットがリードスクリュー部の左端に移動して空転した状態の動作状況の一例を示し、(a)は平面図、(b)はモータ内部の断面形状を示す側面図である。 図3におけるナットがリードスクリュー部の右端に移動して空転した状態の動作状況の一例を示し、(a)は平面図、(b)はモータ内部の断面形状を示す側面図である。 従来のレンズ駆動装置用アクチュエータによるレンズ駆動装置を示す第1の実施形態を示す図である。 従来のレンズ駆動装置用アクチュエータによるレンズ駆動装置を示す第2の実施形態を示す図である。 従来のレンズ駆動装置用アクチュエータによるレンズ駆動装置を示す第3の実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるレンズ駆動装置用アクチュエータの構造を示した図であり、図2は、図1に示すモータ部分の拡大断面図である。レンズ駆動装置用アクチュエータ1は、モータ2と、リードスクリュー部3と、ブラケット4から略構成されている。
図1,2において、モータ2は、例えばPM型ステッピングモータであり、軸方向に重ねて積層された2相構造のステータ5と、このステータの内側に回転軸7とロータマグネット8とから構成されたロータ6を有する。ステータ5は、第1のボビン21に環状のコイル22を巻回し、その外周を内ヨークと外ヨークからなるステータヨーク23にて覆い、内ヨークと外ヨークの内周面にはそれぞれ極歯を備えてなるステータサブアッシーAと、ステータサブアッシーAと同様の構造からなるステータサブアッシーBとから構成される。
また、ロータ6は、前部軸受9と後部軸受10にて回転軸7を支持して回転可能となっている。前部軸受9と後部軸受10は、共に銅系の焼結金属からなる含油軸受にて構成され、小径部と大径部を有し、中央には回転軸7を挿通するための貫通孔9b、10bを有した形状からなる。前部軸受9は、ステータサブアッシーAの上面に固着されたフロントプレート11に嵌着され、後部軸受10は、ステータサブアッシーBの内側に嵌着される。ステータサブアッシーBの底面にはエンドプレート12が固着されており、小径部である中空円筒状のボス部10aがエンドプレート12から突出している。
回転軸7の先端7aには、ねじ部3aを形成したリードスクリュー部3を装着し、リードスクリュー部3の両端部分に、ねじ部3aの谷径に等しいかまたはこの谷径寸法よりも小さく、ねじ部のない空転部3b、3cがそれぞれ形成されている。
また、回転軸7の後端7bには、ロータマグネット8が固着され、ロータマグネット8は周方向に多極着された2つの円筒状磁石からなるロータマグネット8a、8bで構成される。2つのロータマグネット8a、8bは、所定の距離dを隔てて軸方向に位置すると共にステータサブアッシーA、Bとの間に対向配置されている。
隙間13は、モータのスラスト方向への移動量を与えるため、例えば、従来の隙間0.1mm程度よりも大きく0.3〜0.6mmの範囲である。ロータマグネット8aと前部軸受9との間の隙間13と、ロータマグネット8bと後部軸受10との間の隙間14には、摺動性のよい樹脂ワッシャ20(例えば、ポリスライダー)がそれぞれ介装されている。
ブラケット4は、モータ2を機器や機器の筐体25に取り付けるための部材であり、両端部が屈曲して略コ字状の形状(図3(b)及び図4(b)参照)に形成されている。支持板4aの両端部に屈曲して側板4b、4c(ストッパ手段)が形成され、一方の側板4cは、ステータサブアッシーAの上面に取り付けられている。
図1において、リードスクリュー部3のねじ部3aには、可動部材16に設けたナット15が螺合している。可動部材16は保持部18に結合している。保持部18は、図示しないピックアップ部が取り付けられ、また、回転軸方向に貫通孔18aが形成されて、この貫通孔18aにガイドシャフト17が挿通される。ガイドシャフト17は、コイルばね19を装着しており、リードスクリュー部3と平行に配置されている。
コイルばね19は、保持部18を付勢することによってナット15をモータ2の方向に付勢する。このため、ロータマグネット8bの端面は隙間14に介装した樹脂ワッシャ20に当接している。
なお、保持部18は、図示しないピックアップ部が取り付けられているが、保持部18に代えてナット15に図示しないピックアップ部を取り付ける構成であっても勿論よい。
図1に示すように、リードスクリュー部3の先端とブラケット4の側板4bとの間に隙間nが形成され、モータ2にブラケット4を取り付けた後に、ナット15が取り付けられる構成となっている。このためナット15は、この隙間nを利用してリードスクリュー部3のねじ部3aに螺合させて取り付ける。
次に、本発明のレンズ駆動装置用アクチュエータの動作について説明する。
図3は、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aに螺合している定常状態の動作状況の一例を示した図、図4は、ナット15がリードスクリュー部3の左端に移動して到達しても停止指令がモータに到達しない異常動作時にナットの空転部3bに到達した動作状況の一例を示した図、図5は、停止指令がモータに到達しない場合、ナット15がブラケットの側板4cに当接し、さらに回転を続けた場合にロータは図の左側に少しずつ移動し、やがてリードスクリュー部3の空転部3cに入り、空転した状態の動作状況の一例を示した図である。
(図3の動作説明)
モータ制御が正常に動作している間、可動部材16は、ブラケット4の側板4b,4c(フランジ部)に当たらない状態で駆動しており、ねじ部3aの有効ねじ部範囲内でモータの駆動・停止が行われる。
即ち、図3(a)(b)に示すように、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3a上に位置している場合、図示しない制御部からの駆動信号に基づきステータサブアッシーA、Bを励磁してモータ2を回転駆動すると、ナット15はリードスクリュー部3のネジ部3aと螺合しているので、リードスクリュー部3上の移動範囲を容易に移動することができる。この状態では、コイルばね19によってナット15をモータ2の方向に付勢しているため、ロータマグネット8bの端面は隙間14に介装した樹脂ワッシャ20(図2参照)に当接し、かつ樹脂ワッシャ20は後部軸受10の端面に当接している。
隙間13は磁石8aと軸受9の間に構成され、隙間14は磁石8bと軸受10の間に構成され、このとき隙間14はワッシャー20の厚みのみの状態となっている。なお、軸受10がステータサブアッシーBの内側に挿入されているため、隙間13の寸法は隙間14の寸法に比べて大きくなるように設定されている。
このため、ロータを隙間13が狭まる方向(図の左方向)に移動させることにより、ロータマグネット8aの磁気的中心は,ステータサブアッシーAの磁気的中心に対し、大きくずらした状態となる。
また、ロータマグネット8bの磁気的中心も,ステータサブアッシーBの磁気的中心に対し、大きくずらした状態となる。
(図4の動作説明)
そして、図3(a)(b)に示す状態からステータサブアッシーA、Bを励磁して、モータ2を、例えば正の方向に回転駆動すると、ナット15がリードスクリュー部3の先端側(図中、左方向)に移動し、規制された(ねじ部3aから外れない)範囲内で移動が許容されるように設定されている。
しかし、なんらかの外乱(例えば、外部ノイズなど)により、図示しない制御部が暴走してモータ2が異常連続駆動した場合、ナット15は、コイルばね19の付勢力に抗して、さらに図4(a)(b)に示すように、リードスクリュー部3の先端側に向かって移動する。ナット15が左方向に移動し、可動部材16が側板4b方向に移動する。そして、ナット15は空転部3bに到達する。
ナット15は、すでにリードスクリュー部3の空転部3bに移動しているため、ねじ部3aとの螺合が外れて空転するのみであるため、ナット15およびリードスクリュー部3への噛み込みと損傷を防ぐことができる。
そして、暴走による異常駆動を停止するためにステータサブアッシーA、Bを励磁するための電流を遮断して無励磁状態にすると、ロータの回転は停止する。コイルばね19の付勢力により、ナット15がモータ2側に移動して、リードスクリュー部3のねじ部3aの左端に復帰し、当接する。そして、図示しない制御部が正常に戻り、ステータサブアッシーA、Bを励磁してモータ2を負の方向に逆回転動作を開始したとき、図1に示すコイルばね19の可動部材16への付勢力により、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aの左端に当接しているため、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aと容易に螺合することができる。
(図5の動作説明)
また、図3(a)(b)に示す状態からステータサブアッシーA、Bを励磁して、モータ2を、例えば逆の方向に回転駆動すると、ナット15がリードスクリュー部3のモータ2側(図中、右方向)に移動し、規制された(ねじ部3aから外れない)範囲内で移動が許容されるように設定されている。
このとき、コイルばね19によってナット15がモータ2側に付勢されるため、ロータマグネット8bの端面は、隙間14に介装した樹脂ワッシャ20に当接した状態になっている。
しかし、なんらかの外乱(例えば、外部ノイズなど)により、図示しない制御部が暴走してモータ2が異常駆動した場合、ナット15は所定の位置を越えて、図5(a)(b)に示すように、さらにモータ2側に移動する。この暴走によって、リードスクリュー部3が先端側に引き出され、図2に示すロータマグネット8aの端面は、隙間13に介装した樹脂ワッシャ20に当接すると共に、樹脂ワッシャ20が前部軸受9に当接して隙間13は、樹脂ワッシャ20のみの状態となる。
そして、可動部材16がブラケット4の側板4cに当接することにより、ナット15の移動が規制されるが、モータ2は回転動作を継続するため、ナット15はリードスクリュー部3のねじ部3aとの螺合が外れ、ナット15は空転部3cに位置することになる。この状態でモータ2を回転駆動してもリードスクリュー部3は空転するため、ナット15とリードスクリュー部3は、螺合していない結果、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aに噛み込むことはない。
そして、暴走による異常駆動を停止するために、ステータサブアッシーA、Bを励磁するための電流を遮断して無励磁状態にするとロータの回転は停止する。このとき、ロータマグネット8a、8bの各々の磁気的中心と、ステータサブアッシーA、Bの各々の磁気的中心がずれているため、互いの磁気的中心が一致する方向へ磁気的に吸引する力(磁気スラスト)が作用し、ロータマグネット8が後部軸受10側(図の右側方向)に移動することになる。
このロータマグネット8の復帰によって、リードスクリュー部3のねじ部3aの右端がナット15に当接する。そして、図示しない制御部が正常に戻り、ステータサブアッシーA、Bを励磁してモータ2を正の方向に再度、回転動作を開始したとき、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aの右端に当接しているため、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aと容易に螺合し、正常な状態に復帰することができる。
なお、本実施の形態では、無励磁状態にてリードスクリュー部3の復帰を行っているが、これに限定されるものではなく、ステータサブアッシーBのみを励磁する、所謂、1相励磁を行うことによって磁気的に吸引する力(磁気スラスト)を大きくすることができる。あるいは2相励磁にて吸引力を大きくしても良い。このため、ナット15がリードスクリュー部3のねじ部3aの右端に確実に当接することができるので、より有効である。
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、モータのスラスト方向の空間を拡大するとともに、リードスクリューに空転部を形成したので、制御不能時(モータの暴走時)に、可動部材がストッパ手段の側板に当接しても、モータ内での回転軸のスラスト方向の自由寸法があるため、回転軸が移動し、リードスクリューの空転部に乗り上げるので、空転が始まり、それ以降、どれほどモータの回転軸が回転しようともナットとリードスクリューは噛み込みを起こすことがない。
そして、この暴走を停止するために、通電を切ると、モータの磁気スラスト力が働き、磁気安定点にロータが移動する。このとき、リードスクリューのねじ部がナットに当接する。このため、新たな付勢力を加えることなく、暴走時と逆方向に正規の通電を行うことにより、ねじ部上でナットを移動させることができる。リードスクリューへのナットのかみ合い復帰は、モータの磁気スラスト力を適性値に設定する必要がある。
このため、たとえば、ステータサブアッシーA、Bに、それぞれ1個の磁石をステータ内径にあわせて相対配置し、一個の磁石よりも有効な磁気スラスト力を与えることができる。また、2相励起通電で相間通電変更を行わないホールド状態に配置することも可能である。さらに、B相側のみの通電(1相励磁)を行うことで、さらに、磁気スラスト力を増大させて吸引力を高め、確実にナットとリードスクリューのかみ合い開始点に接続するように行うこともできる。
なお、本発明では、スラスト方向の遊び量を利用してモータを駆動するため、暴走時に、図中左側にロータが引き込まれるが、その場合でも軸受接触面から回転軸が外れないように、十分な長さが必要であり、また、この軸の長さは、通常時に、モータの出力軸側から軸が突出しないように、後部軸受の外周部を延長する等の対応が必要となる。
また、本発明の実施形態では、一般的なPM型ステッピングモータに限定して説明したが、他のモータ、及びステッピングモータの他の形式のものであっても良い。
さらに、本発明の装置で使用するコイルばねは、可動部材をリードスクリュー上でスムーズに移動させるものであり、ばねの弾性力は、適切な強さでよく、また、その反発力は、図4の位置では強まるが、図5の位置では、ばねが伸びているので、非常に弱いものである。そのため、この状態では、復帰手段による磁気スラスト力の作用が大部分を占めることになる。
1 アクチュエータ
2 モータ
3 リードスクリュー部
3a ねじ部
3b、3c 空転部
4 ブラケット
4b、4c 側板
5 ステータ
6 ロータ
7 回転軸
8、8a、8b ロータマグネット
9 前部軸受
10 後部軸受
13、14 隙間
15 ナット
16 可動部材
19 コイルばね
25 筐体
n 隙間

Claims (8)

  1. ねじ部が形成されたモータの回転軸に可動部材を螺合させ、前記モータの回転駆動により前記可動部材に取り付けられたレンズを前記回転軸に沿って移動させ、前記ねじ部の両端に前記可動部材に対して空転する空転部を設けたレンズ駆動装置用アクチュエータにおいて、
    前記可動部材の軸方向移動を規制するストッパ手段と、
    前記モータ内に設けられ、前記回転軸のスラスト移動を可能にする隙間と、
    前記回転軸に沿って移動する前記可動部材を前記モータ側に付勢する手段と、
    前記可動部材が、前記ねじ部の両端に位置する一方の空転部の位置まで駆動され、前記ストッパ手段に当接状態にあるとき、前記可動部材を前記ねじ部に付勢する復帰手段と、を備えたことを特徴とするレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  2. 前記可動部材を前記ねじ部に付勢する前記復帰手段は、前記モータを構成するステータとロータマグネットとの間の磁気スラスト力であることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  3. 前記磁気スラスト力は、前記ロータマグネットが回転軸の軸方向へ移動し、前記ステータの磁気的中心と前記ロータマグネットの磁気的中心がずれることによって生じることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  4. 前記モータは、ステッピングモータであって、第1のボビンに環状のコイルを巻回し、その外周を内ヨークと外ヨークからなるステータヨークにて覆い、内ヨークと外ヨークの内周面にはそれぞれ極歯を備えてなる第1のステータサブアッシーと、前記第1のステータサブアッシーと同様の構成からなる第2のステータサブアッシーとを軸方向に重ねて配置したステータと、該ステータの内側に円筒状磁石を固定した回転軸を備えたロータとを有し、
    該ロータは、2つの軸受の間に前記円筒状磁石を配設して回転可能に支持され、前記一方の軸受と該軸受に近接する円筒状磁石との隙間が、前記他方の軸受と該軸受に近接する円筒状磁石との隙間よりも大きく形成し、前記磁気スラスト力は少なくとも一方の前記ステータサブアッシーを励磁することで増大することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  5. 前記ロータは、前記第1、第2のステータサブアッシーの各々に対向した2つの円筒状磁石を固定した回転軸を備えることを特徴とする請求項4に記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  6. 前記可動部材の軸方向移動を規制するストッパ手段は、前記モータを取り付けるブラケットの両側に立設する側板であることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  7. 前記可動部材を前記モータ側に付勢する手段は、前記可動部材の貫通孔に挿通され、前記回転軸に平行なガイドシャフトに装着されたコイルばねであることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置用アクチュエータ。
  8. ねじ部が形成されたモータの回転軸に可動部材を螺合させ、前記モータの回転駆動により前記可動部材に取り付けられたレンズを前記回転軸に沿って移動させ、前記ねじ部の両端に前記可動部材に対して空転する空転部を設けたレンズ駆動装置用アクチュエータにおいて、
    前記ねじ部の両端の一方の空転部の位置まで駆動された前記可動部材を前記回転軸のねじ部に付勢する第1の復帰手段と、
    前記ねじ部の両端の他方の空転部の位置まで駆動された前記可動部材を前記回転軸のねじ部に付勢する第2の復帰手段とを備え、
    前記第1の復帰手段が、前記可動部材に付勢するばね部材の付勢力であり、
    前記第2の復帰手段が、前記モータを構成するステータとロータマグネットとの間の磁気的に吸引する力であることを特徴とするレンズ駆動装置用アクチュエータ。
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