以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。下記の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、撮像装置のひとつである一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズユニット200およびカメラボディ300を備える。
なお、以降の説明においては、カメラボディ300に装着したレンズユニット200に対して物体側を、一眼レフカメラ100における前または先と記載する。また、レンズユニット200に対して物体から遠い側を、一眼レフカメラ100における後または背面と記載する。
レンズユニット200は、固定筒210と、固定筒210の内側に形成された光学系と、固定筒210の後端近傍に配されたレンズ側制御部216とを有する。固定筒210は、後端に設けられたレンズ側マウント部212により、カメラボディ300のボディ側マウント部360に結合される。
レンズ側マウント部212およびボディ側マウント部360の結合は、予め定められた操作により解除できる。これにより、カメラボディ300には、同じ規格のレンズ側マウント部212を有する他のレンズユニット200を装着できる。
レンズ側制御部216は、レンズユニット200における合焦、変倍、防振等の動作を制御する。また、レンズ側制御部216は、カメラボディ300のボディ側制御部322と通信して、レンズユニット200およびカメラボディ300を連携させる。
固定筒210の内側には、物体側から順に、第一レンズ群220、第二レンズ群230、絞りユニット256、第三レンズ群240および第四レンズ群250が光軸Xに沿って配されて光学系を形成する。第四レンズ群250を形成する前群251および後群253の間には補正レンズ群261が配される。
第一レンズ群220、第二レンズ群230、第三レンズ群240および第四レンズ群250のうちのひとつまたはいくつかは、アクチュエータの駆動力または操作環の操作で生じた駆動力により光軸X方向に移動して光学系を変倍させる。第三レンズ群240は、アクチュエータの駆動力または操作環の操作により光軸X方向に移動して光学系の焦点位置を変化させる。
補正レンズ群261は、他のレンズ群と異なり、光軸Xに対して交差する方向に変位する。これにより、撮影中に一眼レフカメラ100が変位した場合に生じる像ぶれを補正する。
カメラボディ300は、レンズ側マウント部212が結合されるボディ側マウント部360の後方にミラーユニット370を備える。ミラーユニット370の下方には合焦光学系380が、ミラーユニット370の上方にはピント板352が、それぞれ配される。
ピント板352の更に上方にはペンタプリズム354が配され、ペンタプリズム354の後方にはファインダ光学系356が配される。ファインダ光学系356の後端は、ファインダ350としてカメラボディ300の背面に露出する。また、ファインダ光学系356の近傍に測光センサ390が配される。
ミラーユニット370の後方には、シャッタユニット310、光学フィルタ332、撮像素子330、ボディ基板320および背面表示部340が順次配される。液晶表示板等により形成される背面表示部340は、カメラボディ300の背面に現れる。ボディ基板320には、ボディ側制御部322、画像処理部324等の電子回路が実装される。
ミラーユニット370は、メインミラー371およびサブミラー374を含む。メインミラー371は、メインミラー回動軸373により軸支されたメインミラー保持枠372に支持される。
サブミラー374は、サブミラー回動軸376によりメインミラー保持枠372から軸支されたサブミラー保持枠375に支持される。よって、サブミラー保持枠375は、メインミラー保持枠372に対して回動する。また、メインミラー保持枠372が回動した場合、サブミラー保持枠375もメインミラー保持枠372と共に変位する。
メインミラー保持枠372の前端が降下した場合、メインミラー371は、レンズユニット200から入射した入射光束を斜めに横切る観察位置に停止する。メインミラー保持枠372が上昇した場合、メインミラー371は略水平になり、入射光束を避けた撮影位置に停止する。
メインミラー371が観察位置にある場合、レンズユニット200を通じて入射した入射光束の多くはメインミラー371に反射されてピント板352に導かれる。ピント板352は、撮像素子330の撮像面と共役な位置に配されて、レンズユニット200の光学系が形成した像を可視化する。
ピント板352に形成された像は、ペンタプリズム354およびファインダ光学系356を通じてファインダ350から観察される。ファインダ350から観察される像は、ペンタプリズム354を通したことにより正立正像として観察される。
また、ピント板352からファインダ350に向かう光束の一部は測光センサ390に向かって分岐される。測光センサ390は、受光した光束から被写体輝度を検出してボディ側制御部322に参照させる。これにより、ボディ側制御部322は、撮影する場合の露出条件を算出する。
メインミラー371は、入射光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。よって、観察位置になるメインミラー371に入射した光束の一部は、ハーフミラー領域を透過ししサブミラー374に入射する。サブミラー374は、ハーフミラー領域から入射した入射光束の一部を、合焦光学系380に向かって反射する。
合焦光学系380は、入射した入射光束の一部を焦点検出センサ382に導く。これにより、ボディ側制御部322は、レンズユニット200の光学系を合焦させる場合に移動するレンズの目標位置を決定する。
上記のような一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しされると、焦点検出センサ382および測光センサ390が有効になり、被写体像を適切な撮影条件で撮影できる状態になる。次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー371およびサブミラー374が退避位置に移動して、シャッタユニット310が開く。これにより、レンズユニット200から入射した入射光束は、光学フィルタ332を通過して、撮像素子330に撮影される。
図2は、レンズユニット200を単独で示す図である。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット200において、第一レンズ群220は、レンズ保持枠222に保持される。レンズ保持枠222は、伸縮筒224の先端に保持される。伸縮筒224は、固定筒210に対して光軸X方向に進退して、レンズユニット200の全長を変化させる。図示の状態では、レンズ保持枠222が後退して、レンズユニット200は縮胴している。
レンズ保持枠222が前進すると、レンズユニット200は伸胴して、第一レンズ群220の後方に空間が生じる。これにより、第二レンズ群230が光軸X方向に移動できる状態になる。
第二レンズ群230は、レンズ保持枠232に保持される。レンズ保持枠232は、内側移動筒234の先端に保持される。内側移動筒234は、外側移動筒233と連動して、固定筒210に対して光軸X方向に移動する。
第三レンズ群240は、レンズ保持枠242に保持される。レンズ保持枠242は、一体的に形成された嵌合部244においてガイドバー246に嵌合する。これにより、レンズ保持枠242は、ガイドバー246に案内されて光軸X方向に移動する。よって、第三レンズ群240は光軸方向に移動して、レンズユニット200の光学系の焦点位置を光軸X方向に変化させる。
第四レンズ群250は、レンズ保持枠252に保持された前群251と、レンズ保持枠254に保持された後群253とを含む。一対のレンズ保持枠252、254は、防振部保持部262により連結されて一体となる。
また、前側のレンズ保持枠252は、ガイドバー246を支持することにより、第三レンズ群240を間接的に支持する。更に、レンズ保持枠252の前端には、絞りユニット256も固定される。
よって、絞りユニット256、第三レンズ群240および第四レンズ群250は、光軸Xに沿って一体的に移動する。更に、第三レンズ群240は、第四レンズ群250に対して光軸X方向に相対的に移動する。このような第三レンズ群240および第四レンズ群250の移動は、レンズユニット200の光学系の変倍および合焦に関与する。
レンズユニット200において、第四レンズ群250の後端とレンズ側マウント部212との間には、レンズユニット基板214が配される。レンズユニット基板214には、レンズ側制御部216の他、加速度センサ等の電子回路が実装される。レンズユニット基板214は環状の形状を有し、入射光束がレンズユニット200からカメラボディ300に入射することを妨げない。
また、レンズユニット基板214には、ソケット218が実装される。ソケット218は、フレキシブルプリント基板280の一端が結合される。これにより、フレキシブルプリント基板280の配線部と、レンズユニット基板214上の回路とが電気的に結合される。
フレキシブルプリント基板280の他端は、レンズユニット200内で電力または電気信号の入出力を必要とする要素に結合される。これにより、レンズユニット200の各部は、レンズ側制御部216の制御の下に電力の供給を受けて動作する。
防振部260は、第四レンズ群250の前群251および後群253の間に配される。防振部260は、フレキシブルプリント基板280を通じで電力を供給されると共に、電気信号が入出力される。
防振部260は、防振部保持部262とレンズ保持枠263とを含む。防振部保持部262は、レンズ保持枠263を支持しつつ、レンズ保持枠252、254に結合されている。よって、防振部260も、第四レンズ群250と共に固定筒210に対して光軸X方向に移動する。
レンズ保持枠263は、補正レンズ群261を保持して、光軸Xと交差する方向に変位可能に防振部保持部262から支持される。また、レンズ保持枠263は、駆動部264により光軸Xと交差する方向に駆動される。
レンズ側制御部216は、加速度センサ等によりレンズユニット200の変位を検出し、当該変位により生じる像ぶれを打ち消すべく、フレキシブルプリント基板280を通じて駆動部264を駆動する。これにより、レンズユニット200の変位により生じた像ぶれが補償される。
図3は、レンズユニット200におけるレンズ保持枠242の形状を示す斜視図であり、ガイドバー246を挿通したレンズ保持枠242を示す。図1と共通の要素には同じ参照番号を付す。レンズ保持枠242は、第三レンズ群240を保持すると共に、ガイドバー245に係合する係合部243と、ガイドバー246に嵌合する嵌合部244とを有する。
係合部243は、長穴247を有し、レンズ保持枠242の図中下側に配される。長穴247の短径は、ガイドバー245の径に略等しい。よって、長穴247にガイドバー245が挿通された場合、係合部243は、短径方向に拘束され、長径方向には拘束されない。
なお、図1および図2の断面には現れていなかったが、ガイドバー245は、他方のガイドバー246と同様に、レンズ保持枠252に対して固定される。また、ガイドバー245は、レンズユニット200の光軸X方向に配される。
嵌合部244は、丸穴248を有し、レンズ保持枠242の図中上側に配される。丸穴248の内径はガイドバー246の径に略等しい。よって、丸穴248にガイドバー246が挿通された場合、レンズ保持枠242はガイドバー246に案内されて、光軸X方向に限って変位する。
更に、嵌合部244は、一対の支持壁422、432を有する軸支部410を備える。図中左側に位置する支持壁422は、軸穴424、補強リブ423および突起部428を有して開口軸受け部420を形成する。他方の支持壁432は、軸穴434を有して閉鎖軸受け部430を形成する。
開口軸受け部420において、軸穴424は、径方向に延在する開口部426を通じて外部に連通する。補強リブ423は、開口部426の形成により低下した支持壁422の曲げ剛性を補うべく、支持壁422の縁部に沿って形成される。突起部428は、支持壁422を面方向に拡大して形成されると共に、光軸Xと平行な方向について、他方の支持壁432に向かって支持壁422から突出する。
閉鎖軸受け部430において、軸穴434は閉じている。支持壁432は平坦な形状を有する。なお、開口軸受け部420の軸穴424と、閉鎖軸受け部430の軸穴434とは、光軸Xに平行な中心軸に対して同軸に形成される。
図4は、上記レンズ保持枠242の軸支部410に装着されるラック部材440の斜視図である。ラック部材440は、頭部441および軸部445を結合して形成される。
頭部441は、互いに対向する一対の側壁部442の下端を結合して形成される。一方の側壁部442の内側には駆動歯形451が、他方の側壁部442の内側には抜け止め歯形453がそれぞれ配される。また、一方の側壁部442には、側面から隆起した隆起部443が、同じ側壁部442の下端には当接面444がそれぞれ配される。
軸部445は、互いに同軸に配された細軸446および太軸448を両端に有する。また、細軸446の付け根付近には、細軸446よりも大径に形成されたばね保持部447を有する。ここで、細軸446は、円筒状の周面の一部が平坦化され、互いに平行に形成された一対の平坦面449を有する。
上記のようなラック部材440において、駆動歯形451および抜け止め歯形453の配列方向は、軸部445の長手方向と平行になる。また、隆起部443の隆起方向も、軸部445の長手方向と平行になる。
図5は、ラック部材440を、軸部445の長手方向について細軸446側から見た様子を示す正面図である。ラック部材440において、一対の側壁部442は互いに略平行に、図中垂直に配される。一対の側壁部442の図中下側端部は互いに連結されてU字形状をなし、軸部445に共通に結合される。一対の側壁部442の上端は互いに離間して開口する。
図中右側の一方の側壁部442内面には、側壁部442の内面に沿って垂直な駆動歯形451が直線状に形成される。駆動歯形451は、図中に点線で示すリードスクリュー468と噛み合う。
また、図中左側の他方の側壁部442内面には、抜け止め歯形453が配される。抜け止め歯形453の上端は、図中でリードスクリュー468の中心Dと同じ高さに位置する。抜け止め歯形453の下端は、リードスクリュー468の下端に位置する。
抜け止め歯形453は、上記上端および上記下端の間で、リードスクリュー468のねじ山に沿って円弧状に形成される。これにより、抜け止め歯形453は、周面の略1/4においてリードスクリュー468と噛み合う。
なお、抜け止め歯形453の上端は、駆動歯形451と平行になる。よって、ラック部材440に対して図中上方からリードスクリュー468を挿入した場合に、駆動歯形451と抜け止め歯形453とが干渉して、リードスクリュー468の進入を妨げることが防止される。
また、ラック部材440は、図中の矢印Aで示すように、付勢部材により図中反時計回りに付勢されて駆動歯形451をリードスクリュー468に押し付ける。これにより、駆動歯形451は、抜け止め歯形453に対して優越的にリードスクリュー468と噛み合う。
よって、リードスクリュー468が回転した場合、駆動歯形451に駆動力が伝えられ、ラック部材440には、軸部445の長手方向に駆動される。また、リードスクリュー468の回転方向が反転した場合は、ラック部材440の移動方向も反転する。
図6は、ラック部材440において、駆動歯形451が形成された側壁部442の内面を示す図である。即ち、ラック部材440の側壁部442を、図5の図中に矢印Bで示す方向から見た様子を示す。
図示のように、側壁部442内面には、既に説明した一対の駆動歯形451に加えて、抜け止め歯形453も配される。この側壁部442に形成された抜け止め歯形453は、駆動歯形451と同様に、側壁部442の内面に沿って直線状に形成される。
図7は、ラック部材440において、抜け止め歯形453が形成された側の側壁部442の内面を示す図である。図7は、図5において矢印Cで示す方向からラック部材440の他方の側壁部442を見た様子を示す。
側壁部442の内面において、互いに平行な複数の抜け止め歯形453が、一対の円弧歯形群を形成する。抜け止め歯形453の各々は、リードスクリュー468の周面に沿って円弧状のねじ山を形成する。
既に説明した通り、他方の側壁部442に形成された円弧状の抜け止め歯形453は、リードスクリュー468の中心軸Dよりも低い位置にしか形成されない。これにより、リードスクリュー468をラック部材440に対して径方向に挿入する場合に、駆動歯形451および抜け止め歯形453が、リードスクリュー468のねじ山と干渉することが防止される。よって、レンズユニット200を製造する場合に、リードスクリュー468をラック部材440に対して端からねじ込む必要がなく、レンズユニット200の生産性を向上させることができる。
図8は、ラック部材440を軸支部410に取り付けた状態を示す斜視図である。図7までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
ラック部材440は、軸部445を軸支部410に支持されることにより、軸部445を回動軸として回動可能にレンズ保持枠242に取り付けられる。ここで、軸部445の細軸446は、開口軸受け部420の軸穴424に挿通される。軸部445の太軸448は、閉鎖軸受け部430の軸穴434に挿通される。
軸支部410に取り付けられたラック部材440には、コイル状捩じりばね450が装着されている。コイル状捩じりばね450は、軸部445のばね保持部447をコイル部に挿通され、図中上側の端部を、ラック部材440の頭部441における当接面444に当接させる。また、図中下側の端部は、レンズ保持枠242の嵌合部244側面に接する。
上記のようなコイル状捩じりばね450は、ラック部材440における軸部445を回動軸とした回動方向に作用する回動付勢力と、軸部445の軸方向に作用する軸方向付勢力とを両方発揮すべく弾性変形する形状を有する。ただし、図示の状態では、コイル状捩じりばね450の付勢力を開放されている。このため、軸支部410に取り付けられたラック部材440は、閉鎖軸受け430の支持壁432に向かって押し付けられ、且つ、頭部441が図中上方に位置した状態になる。
なお、レンズ保持枠242には、ガイドバー245が係合部243に、ガイドバー246が嵌合部244に、それぞれ挿通されている。レンズユニット200を組み立てる過程においては、図示のようなレンズ保持枠242、が245、246、ラック部材440およびコイル状捩じりばね450の組立体が、レンズ保持枠252に組付けられる。
図9は、軸支部410に対してラック部材440を取り付ける過程を説明する図である。軸支部410は、開口軸受け部420側から見た様子を、ラック部材440は、軸部445の軸方向について細軸446側から、それぞれ見た様子を示す。他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
軸支部410に対してラック部材440を取り付ける場合は、まず、コイル状捩じりばね450に、ラック部材440の軸部445におけるばね保持部447を挿通する。このとき、コイル状捩じりばね450の一端は、ラック部材440の頭部441における当接面444に当接する。
次いで、開口軸受け部420の開口部426を形成する面と、ラック部材440における軸部445の平坦面449とが平行になるように、開口軸受け部420およびラック部材440の相対位置を合わせる。図示のように、平坦面449の間隔は、開口部426の間隔に略等しい。よって、細軸446は、図中に矢印Eで示す方向に、開口軸受け部420の軸穴424に挿入できる。
図10は、上記のように位置合わせしたラック部材440の細軸446を、軸支部410の開口軸受け部420に挿入した状態を示す。図示のように、ラック部材440の細軸446は、開口軸受け部420の軸穴424まで押し込まれる。
細軸446の円筒状の部分は、軸穴424の内径に略等しい。よって、軸支部410に取り付けられた場合、細軸446は、軸穴424の内側で回転可能になる。また、軸穴424の内側で細軸446を回転させた場合、平坦面449と開口部426とが平行ではなくなるので、細軸446が開口部426を通じて軸穴424から抜けることが防止される。
換言すれば、細軸446の平坦面449が開口部426の側壁と平行になった場合は、ラック部材440を軸支部410から取り外すことができる。このように、ラック部材440は、軸支部410に対して着脱自在に取り付けられる。
なお、図示の状態では、ラック部材440の隆起部443は、軸部445よりも上方に位置する。また、軸支部410の突起部428は、軸穴424よりも下方に位置する。よって、軸支部410に対して着脱自在な状態にあるラック部材440においては、隆起部443と突起部428は対向しない。
図11は、軸支部410に対してラック部材440を取り付ける様子を、軸部445と直交する方向から見た断面図である。図10と同じ要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図11の紙面上部に示すように、ラック部材440において、ばね保持部447は、軸穴424の内径よりも大きな外径を有する。ばね保持部447の軸方向長さは短く成形されているので、細軸446は、先端が軸支部410の外側まで突出するように、軸穴424に深く差し込むことができる。
ばね保持部447をコイル状捩じりばね450に挿通した状態で、図中に矢印G1で示すように、コイル状捩じりばね450を圧縮しつつ細軸446を軸穴424の深く差し込むと、ラック部材440を図中左側に寄せることができる。これにより、図中に記号Eで示す方向ように、太軸448が支持壁432と干渉することを避けつつ、ラック部材440を一対の支持壁422、432の間に挿入できる。
次に、図11の紙面下部に矢印G2で示すように、コイル状捩じりばね450の軸方向付勢力を開放して、軸部445を図中右方に摺動して移動させる。これにより、太軸448の先端は、支持壁432の軸穴434に軸方向に挿入される。太軸448は、付け根が支持壁432に当接するまでの摺動量Kを、矢印G2の方向に摺動して、軸穴434に差し込まれる。
軸支部410に取り付けられたラック部材440は、コイル状捩じりばね450の軸方向付勢力により、軸部445の軸方向に、閉鎖軸受け部430の支持壁432に向かって押し付けられる。よって、一端装着されたラック部材440において、太軸448は、軸穴434から抜け出ることが抑制される。
このように、ラック部材440は、コイル状捩じりばね450を圧縮した状態で軸部445を軸方向と交差する方向(矢印E)に移動させて細軸446を軸穴424に挿入する。また、コイル状捩じりばね450の付勢力を開放してラック部材440を摺動させることにより太軸448を軸穴434に軸方向に挿入する。よって、ラック部材440の着脱位置における摺動範囲の摺動量Jは、太軸448の差し込み量に相当する摺動量Kよりも大きい。
図12は、上記のようにして組み立てたレンズ保持枠242、ガイドバー245、246およびラック部材440を、他のレンズ保持枠252の内側に組み込んだ状態を示す斜視図である。図12は、レンズ保持枠252を、やや上方から見下ろした状態で描かれる。図12において他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図2に示したように、ガイドバー245、246の後端は、外側のレンズ保持枠252に対して固定される。よって、ガイドバー245、246に案内されるレンズ保持枠242は、レンズ保持枠252に対して光軸X方向に変位可能に支持される。
レンズ保持枠242は、アクチュエータユニット460により駆動されて変位する。アクチュエータユニット460は、レンズ保持枠252に設けられたアクチュエータ収容部258に収容され、ブラケット466をレンズ保持枠252に対して止めねじ464とねじ止めすることによりレンズ保持枠252に対して固定される。ブラケット466の一端には、駆動力を発生する回転アクチュエータ462が固定される。
図13は、図12と同じく、レンズ保持枠242、ガイドバー245、246、ラック部材440、アクチュエータユニット460を組み付けたレンズ保持枠252の背面図である。図12と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
内側のレンズ保持枠242の係合部243は、外側のレンズ保持枠252の図中下端付近に位置する。レンズ保持枠242の嵌合部244は、レンズ保持枠252の図中上端付近に位置する。軸支部410は、嵌合部244から略水平に、図中右側に突き出す。このため、開口軸受け部420も、図中右側に向かって開口する。
アクチュエータユニット460は、図中において軸支部410の更に側方に位置する。ただし、レンズ保持枠252は、円筒状のレンズユニット200の内部に収容される形状を有するので、アクチュエータユニット460の位置は、軸支部410の位置に対して、図中下方にずれている。
図14は、図13に示したレンズ保持枠252におけるレンズ保持枠242、ラック部材440およびリードスクリュー468の位置関係を示す模式的斜視図である。図14では、外側のレンズ保持枠252を取り除いた状態で、レンズ保持枠242の係合部243側から嵌合部244側を見上げた様子を示す。他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
アクチュエータユニット460は、回転アクチュエータ462の出力軸と同軸に配されたリードスクリュー468を有する。リードスクリュー468は、光軸Xと平行に配され、回転アクチュエータ462により回転駆動された場合に、回転アクチュエータ462の回転方向に応じて、長手方向の回転軸の回りに回転する。
リードスクリュー468は、ラック部材440に噛み合う。よって、リードスクリュー468が回転した場合、ラック部材440は、リードスクリュー468の長手方向に駆動される。また、回転アクチュエータ462の回転方向が逆転した場合は、レンズ保持枠242の移動方向も反転する。
ここで、軸支部410とアクチュエータユニット460は、図13に示した位置関係にある。このため、回転アクチュエータ462と同軸リードスクリュー468に噛み合うラック部材440は、軸部445の回りに回動した状態にある。
また、ラック部材440の回動に伴い、ラック部材440の当接面444に押されたコイル状捩じりばね450は変形して、回動付勢力を生じている。この回動付勢力により、ラック部材440の駆動歯形451は、リードスクリュー468に押し付けられている。
図15は、リードスクリュー468と噛み合うラック部材440の状態を示す図である。図9、図10等と同じ要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図12、図13、図14に示したように、レンズユニット200においてラック部材440を嵌合させた状態でアクチュエータユニット460をレンズ保持枠252に固定すると、ラック部材440は、軸部445を回動軸として、図15の図中で時計方向に回動する。
このラック部材440の回動に伴い、隆起部443および突起部428の位置関係も変化する。即ち、図9および図10と比較すると判るように、アクチュエータユニット460がレンズ保持枠252に固定された段階では、隆起部443および突起部428が互いに対向する。
よって、ラック部材440が軸部445の軸方向に変位した場合、隆起部443は、突起部428に向かって接近する。また、ラック部材440の変位が更に大きくなると、隆起部443および突起部428は互いに当接する。
なお、上記のようにラック部材440を回動させる過程で、コイル状捩じりばね450の下端が、レンズ保持枠242の側面に当接する。よって、その後は、コイル状捩じりばね450の回転付勢力に抗してラック部材440を回動させる。これにより、ラック部材440の頭部441において、駆動歯形451が、リードスクリュー468に押し付けられる。
また、ラック部材440の回動に伴って、頭部441に形成された隆起部443も移動する。これにより、隆起部443は、軸支部410の突起部428と図中で重なり合い、互いに対向した状態になる。
このように、リードスクリュー468と噛み合った状態でレンズ保持枠252に組み付けられて噛合位置に移動したラック部材440は、細軸446が回動することにより開口軸受け部420からはずれなくなる。また、コイル状捩じりばね450の回動付勢力により、駆動歯形451がリードスクリュー468に押し付けられる。更に、ラック部材440の隆起部443と、軸支部410の突起部とが、互いに対向した状態になる。
図16は、ラック部材440の頭部441とリードスクリュー468とが噛み合った状態を示す図である。図示のように、リードスクリュー468は、一定のピッチP0で形成されたねじ山を有する。
駆動歯形451は、頭部441の側端部近傍にそれぞれ2本ずつ、離間して設けられる。このため、駆動歯形451は、直近に隣接して配される一対の駆動歯形451の間に形成されるピッチP1と、頭部441の側端部に離間して配された歯形群の間で隣り合う駆動歯形451のピッチP2との2種類のピッチを有する。
駆動歯形451の狭い方のピッチP1は、リードスクリュー468のピッチP0と等しい。しかしながら、駆動歯形451の大きい方のピッチP2は、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍よりも大きい。
このため、図中左側の駆動歯形451においては、駆動歯形451の各々における図中左側のフランクがリードスクリュー468の図中右側のフランクに接する。また、図中右側の駆動歯形451においては、駆動歯形451の各々における図中右側のフランクが、リードスクリュー468の図中左側のフランクに接する。
既に説明した通り、直線状の駆動歯形451が形成された側壁部442は、リードスクリュー468に向かって付勢されている。よって、上記のように、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍よりも大きいピッチP1を有する駆動歯形451は、リードスクリュー468に対してがた寄せした状態で接する。
これにより、ラック部材440の駆動歯形451は、リードスクリュー468から効率よく駆動力を伝達される。また、回転アクチュエータ462の回転方向が反転してリードスクリュー468の回転方向が反転した場合に、ラック部材440は移動方向を遅滞なく反転する。
なお、上記の例では、駆動歯形451のピッチP1を、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍よりも大きくすることにより、駆動歯形451をリードスクリュー468に対してがた寄せした。しかしながら、駆動歯形451のピッチP1を、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍よりも小さくすることによっても同様にがた寄せできる。
上記のような駆動歯形451に対して、円弧状の抜け止め歯形453も、他方の側壁部442において離間した一対の歯形群を形成する。このため、抜け止め歯形453も、歯形群のそれぞれにおいて隣接する抜け止め歯形453相互の間の短いピッチP3と、互いに隣接する歯形群の間で隣あう抜け止め歯形453間の長いピッチP4との2種類のピッチを有する。
抜け止め歯形453の短いピッチP3は、リードスクリュー468のピッチP0と等しい。また、抜け止め歯形453の長いピッチP4は、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍に等しいか、少なくとも、駆動歯形451の長いピッチP2よりもリードスクリュー468のピッチP0の整数倍に近い。よって、抜け止め歯形453とリードスクリュー468が接した場合、抜け止め歯形453の各々においては、両方のフランクがリードスクリュー468のフランクに接する。
ただし、上記の通り、ラック部材440の頭部441は、直線状の駆動歯形451をリードスクリュー468に押し付ける方向に付勢されている。このため、駆動歯形451がリードスクリュー468に対して常時接しているのに対して、抜け止め歯形453は、リードスクリュー468から離間している。
このように抜け止め歯形453はリードスクリュー468から離間しているので、抜け止め歯形453を設けたことにより、リードスクリュー468およびラック部材440の摺動摩擦が増してリードスクリュー468を回転駆動する場合の負荷が増すことはない。即ち、抜け止め歯形453のピッチは、駆動歯形451のピッチP0に比べて、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍により近ければ、リードスクリュー468のピッチP0と同一ではなくてもよい。
なお、駆動歯形451と異なる側壁部442において、離間して配された抜け止め歯形453のピッチP4も、リードスクリュー468のピッチP0の整数倍に等しい。これら、駆動歯形451に対向して配された抜け止め歯形453は、頭部441の付勢方向先側に配されているので、リードスクリュー468から離間している。よって、抜け止め歯形453を設けたことにより、リードスクリュー468を回転駆動する場合の負荷が増すことはない。
図17は、ラック部材440の頭部441の部分的な断面図である。図17は、頭部441において駆動歯形451および抜け止め歯形453が形成された側壁部442の面方向と直交する断面の形状を示す。
図示のように、ラック部材440において、抜け止め歯形453の高さH2は、駆動歯形451の高さH1よりも高い。これにより、後述するように、駆動歯形451とリードスクリュー468との噛み合いがはずれて歯飛びを生じるような状況になっても、抜け止め歯形453がラック部材440とリードスクリュー468との軸方向のずれを阻止する。
図18は、駆動歯形451および抜け止め歯形453の断面形状を比較して示す図である。図示のように、リードスクリュー468の中心軸Eと直交する直線に対する駆動歯形451のフランク角αは、抜け止め歯形453のフランク角βよりも大きい。よって、駆動歯形451とリードスクリュー468との摺動面積が狭くなり、摺動摩擦が低減される。これにより、リードスクリュー468を駆動する場合の負荷が軽減される。
また、駆動歯形451の先端形状は、抜け止め歯形453の先端部よりも丸みを有する。よって、駆動歯形451とリードスクリュー468との摺動面積が狭くなり、摺動摩擦が低減される。これにより、リードスクリュー468を駆動する場合の回転アクチュエータ462の負荷を軽減できる。
図19は、ラック部材440の頭部441におけるリードスクリュー468との他の噛み合い状態の変化を、図16に示した状態と比較して示す図である。レンズユニット200に対して外部から大きな衝撃等が加わった場合、U字形状を有するラック部材440の一時的な変形により、一対の側壁部442の間隔W1が、図16に示した通常の間隔W0よりも拡がる場合がある。
このような状態でリードスクリュー468の軸方向の負荷がラック部材440に作用すると、図示のように、高さH1を有する駆動歯形451がリードスクリュー468のねじ山を乗り越えて歯飛びを生じる場合がある。しかしながら、ラック部材440は、より高い高さH2を有する抜け止め歯形453を有する。よって、抜け止め歯形453のフランクがリードスクリュー468のフランクに当接することにより、ラック部材440のリードスクリュー468に対する軸方向の位置ずれが防止される。
また、ラック部材440は、駆動歯形451と対向する位置にも抜け止め歯形453を有する。よって、リードスクリュー468と駆動歯形451とが離間した場合には、駆動歯形451と対向する位置に配された抜け止め歯形453がリードスクリュー468と噛み合う。抜け止め歯形453は、リードスクリュー468のネジ山と噛み合うピッチを有するので、ラック部材440とリードスクリュー468とが、リードスクリュー468の軸方向に位置ずれする歯飛びは防止される。
なお、上記のような用途に鑑みて、抜け止め歯形453は、駆動歯形451よりも多数設けられていることが好ましい。既に説明したように、抜け止め歯形453は、通常はリードスクリュー468に接していないので、抜け止め歯形453の歯数を増加させることにより、回転アクチュエータ462の負荷が増すことはない。
図20は、リードスクリュー468と噛み合うラック部材440の状態を示す図である。また、図20は、リードスクリュー468に噛み合った状態の軸支部410およびラック部材440を、図15における下方から見上げた様子を示す。他の図と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
上記のように、ラック部材440は、抜け止め歯形453を備える。このため、リードスクリュー468とラック部材440との噛み合いは容易にははずれない。このことは、例えば、レンズ保持枠242に対して外部から光軸X方向の衝撃等が加わって、レンズ保持枠242が光軸X方向に移動した場合、ラック部材440はリードスクリュー468に噛み合ってその場に留まるので、コイル状捩じりばね450が圧縮されることにより。このため、太軸448が、閉鎖軸受け部430から抜ける方向に変位する。
ラック部材440が、軸部445の軸方向に摺動した場合、ラック部材440の隆起部443は、支持壁422の突起部428に接近して、やがて当接する。よって、ラック部材440が軸部445の軸方向に摺動できる摺動範囲Mは、上記隆起部443と突起部428との間隔により規定される。
開口軸受け部420の突起部428は、ラック部材440の隆起部443と対向する。また、隆起部443は、突起部428に向かって頭部441の側面から突出する。よって、突起部428と隆起部443との間隔は、支持壁422および頭部441の間隔よりも狭くなる。
これにより、噛合位置にあるラック部材440が、軸部445の軸方向に沿って摺動する摺動範囲Mは、着脱位置においてラック部材440が摺動して移動する摺動範囲Jよりも狭い。よって、外部からの衝撃等によりラック部材440が軸支部410に対して軸部445の軸方向に相対移動した場合であっても、太軸448が軸穴434から抜け出ることが抑制される。更に、噛合位置における摺動範囲の摺動量Mを、太軸448の差し込み量に相当する摺動量Kよりも小さくすることにより、太軸448が軸穴434から抜け出ることを防止できる。
なお、軸支部410とラック部材440とが軸部445の軸方向に相対移動するような外力は、例えば、レンズユニット200後端において外部に露出する後玉において生じる確率が高い。よって、後玉のように、外部から直接に触れることができる位置に配されたレンズ移動を駆動するラック部材440を上記の構造で支持することが有利になる。
図21は、他の構造を有するラック部材471の斜視図である。ラック部材471は、以下に説明する部分を除くと、図20までに示した軸支部410と同じ構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
ラック部材471は、隆起部443に換えて、段差473を有する点において、ラック部材440と異なる形状を有する。段差473は、細軸446の径方向の片側において、周面の一部が径方向に突出または隆起して形成される。これにより、細軸446の一部は、端部から軸方向に離れた位置において径が大きくなる。
ただし、段差473により径が増した部分においても、周面に形成された平坦面449は連続している。よって、段差473により細軸446の径が増した部分も、互いに平行な一対の平坦面449の部分で細軸446の径が小さくなる。
上記のようなラック部材471は、平坦面449が開口軸受け部420の開口部426の両側面と平行になる向きにすることにより、開口軸受け部420の軸穴424に挿入できる。細軸446を開口軸受け部420の軸穴424に挿入されたラック部材471は、コイル状捩じりばね450の付勢力に従って、軸部445の軸方向に、閉鎖軸受け部430側に摺動して移動する。これにより、段差473は、開口軸受け部420の開口部426の内側から、閉鎖軸受け部430側に抜ける。
更に、図15に示したように、軸支部410に取り付けられた状態でリードスクリュー468と噛み合ったラック部材471は、着脱位置から噛合位置に回動して、支持壁422の内面に対向する。こうして噛合位置に移動したラック部材471において、段差473は、ばね保持部447の軸方向端面に形成された段差よりも支持壁422により近い。
よって、ラック部材471が、コイル状捩じりばね450の付勢力に抗して開口軸受け部420側に移動した場合には、段差473が支持壁422に当接して、ラック部材471がそれ以上軸方向に摺動して移動することを規制する。これにより、ラック部材471の軸部445の軸方向の摺動による移動範囲は、ラック部材471が着脱位置にある場合よりも噛合位置にある場合に狭くなるように規制される。
このように、ラック部材471は、一対の支持壁422、432に直接保持される、光軸X方向に平行な軸部445を有する。軸部445は、ラック部材471が着脱位置にある場合に一対の支持壁422、432の少なくとも一方である支持壁422に対向するばね保持部447の軸方向端面よりも、ラック部材471が噛合位置にある場合には支持壁422により近い位置にある段差473を有する。
これにより、ラック部材471を軸支部410に取り付けた場合、噛合位置におけるラック部材471の摺動による軸方向移動範囲は、着脱位置におけるラック部材471の摺動による軸方向移動範囲よりも狭くなる。よって、外部から軸方向に受けた衝撃によりリードスクリュー468がラック部材440を軸方向に変位させても、太軸448が軸穴434から抜け出てラック部材471が軸支部410から脱落する位置まで摺動することが防止される。
図22は、他の構造を有する軸支部411の斜視図である。軸支部411は、以下に説明する部分を除くと、図20までに示した軸支部410と同じ構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
軸支部411においては、支持壁422の先端の突起部428が省かれている。また、軸支部411は、一対の支持壁422、432の間において、嵌合部244の図中側面に形成されたキー溝429を有する。
キー溝429の底面は、軸支部411が形成するラック部材440の回動軸に対して同軸な円筒面の一部をなす。また、キー溝429の側面は、ガイドバー246に対して直角な、即ち、光軸Xに対して直角な面を有する。
図23は、図22に示した軸支部411に装着するラック部材472の斜視図である。以下に説明する部分を除くと、ラック部材472は、図20までに示したラック部材440と同じ構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
ラック部材472は、軸部445の図中側面に隆起部443を有する。隆起部443は、軸部445の径方向に軸部445から突出する。よって、隆起部443が形成された領域では、隆起部443が光軸Xと直交する方向に突出して軸部445の径を増す。
ただし、隆起部443は、軸部445の周方向の一部に限って形成される。よって、ラック部材472を軸支部411に取り付ける場合に、細軸446の平坦面449が開口部426と平行になる向きにすると、隆起部443は、軸部445に対して嵌合部244と反対側に位置する。よって、ラック部材472を軸支部411に取り付ける場合は、隆起部443は、軸支部411および嵌合部244と干渉しない。
しかしながら、軸支部411に取り付けたラック部材472を軸部445の回りに回転させると、隆起部443は、嵌合部244の図中側面と対向する位置に移動する。これにより、隆起部443は、嵌合部244のキー溝429に入り込む。これにより、軸支部411に取り付けられたラック部材472を軸部445の長手方向に移動させようとした場合、隆起部443がキー溝429の側面に当接して、ラック部材472の軸方向の変位を規制する。
よって、ラック部材472を軸支部411に取り付けた場合、噛合位置におけるラック部材472の軸方向移動範囲は、着脱位置におけるラック部材472の軸方向移動範囲よりも狭くなる。よって、よって、外部から軸方向に受けた衝撃によりリードスクリュー468がラック部材472を軸方向に移動させようとした場合も、ラック部材472が軸支部411から抜け落ちることが防止される。
以上、一眼レフカメラ100のレンズユニット200を例にあげて説明したが、レンズユニット200とカメラボディ300とが一体に形成されたカメラにおいても上記のような構造を形成できる。また、メインミラー371を備えていないミラーレスカメラのレンズユニット200においても同様の構造を形成できる。
また、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。