JP2010153391A - 発光管、光源装置及びプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に一対の電極8Aが配置された発光部511を有し、当該電極8A間で放電発光する発光管51Aであって、一対の電極8Aのうち少なくともいずれか一方の電極8Aは、小径部8A1と、当該小径部8A1における他方の電極8Aに近接する側の端部に設けられ、かつ、小径部8A1より大きい径寸法を有する大径部8A2とを備え、大径部8A2は、当該大径部8A2より外側に突出した突出部8A3を有する。これによれば、大径部8A2より外側に突出した突出部8A3に強い電場を生じさせることができるので、当該突出部8A3を発光管51Aの点灯始動時の放電起点にすることができ、これにより、当該放電起点を突出部8A3に位置付けることができる。
【選択図】図3
Description
このような問題に対し、放電起点を電極の先端側に位置付けるように構成した放電ランプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、発光管の内壁にアークが衝突すると、発光管の構成物質である酸化ケイ素が蒸発してケイ素と酸素とに分離し、この分離により、電極のタングステンが蒸発して、当該蒸発したタングステンのうち、ハロゲンサイクルから外れたハロゲン化タングステンが
対流によって軸部(芯棒)付近に運ばれて、タングステン原子が当該軸部に堆積すると考えられている。ここで、電極の径方向外側に向かって突出する段差部分は、前述のように、電極における放電起点になりやすいため、鋭利な形状に堆積及び結晶化すると、当該堆積部位が点灯始動時の放電起点になってしまう。このため、前述の特許文献1に記載の放電ランプのように、コイルの後端側に湾曲部を設け、コイルの部位にて放電起点の位置を特定しようとしても、当該放電ランプの長時間の点灯により当該放電起点の位置が定まらなくなるという問題がある。
ここで、本体部が、小径部の径寸法より大きくなるように当該小径部と一体的に形成されている場合には、コイル部は、当該小径部における他方の電極から離間する側に位置していてもよく、また、当該小径部の先端から所定の間隔を隔てた位置から当該小径部に巻回されて形成されていてもよい。この場合、小径部の先端からコイル部に至るまでの範囲が本体部に相当し、当該本体部とコイル部とを合わせた領域が大径部に相当する。更に、本体部は、小径部と同じ径寸法を有していてもよく、当該本体部及びコイル部の少なくともいずれかの径寸法が、小径部の径寸法より大きければよい。
本発明によれば、大径部が本体部及びコイル部を備えることにより、本体部の寸法及びコイル部の巻き数等を設定すること等により、大径部の径寸法を簡易に調整することができるほか、熱容量を大きくすることができる。従って、本体部が加熱された場合でも、電極の消耗及び変形を一層抑制することができ、ひいては、電極の寿命を延ばすことができる。
本発明によれば、大径部から外側に突出する突出部が円弧状部材であるので、当該突出部が突起により形成されている場合に比べ、大径部の外周における突出部の範囲を大きくすることができる。また、発光管に始動特性を向上させるトリガー線が設けられている場合には、大径部におけるトリガー線に対向する側の所定の位置が放電起点となりやすい。これに対し、本発明では、突出部を、円弧状部材を設けることで構成することにより、突出部分をトリガー線に対向させやすくすることができる。従って、確実に突出部に放電起点を位置付けることができる。
ここで、先端が細い突起状の部位では、電場が一層集中するため、発光管の点灯始動時の放電起点となりやすい。このため、本発明では、円弧状部材が突起部を少なくとも1つ有することにより、当該突起部に放電起点を位置付けることができる。
本発明によれば、円弧状部材が開口を有し、当該開口に大径部を挿通させることにより、当該大径部に円弧状部材を確実に位置付けすることができる。
本発明によれば、円弧状部材の切欠から開口に大径部を嵌め込むように、当該円弧状部材を大径部に取り付けることができる。すなわち、大径部の製造過程でなくとも、後付で大径部に円弧状部材を取り付けることができる。従って、大径部への円弧状部材の取り付けを容易に行うことができる。
また、このような切欠の端縁には、発光管の点灯始動時に当該端縁に電場が集中しやすいので、当該端縁に点灯始動時の放電起点を位置付けることができる。
ここで、発光部が電極間の中央を中心とする略球状に形成され、かつ、大径部における他の電極から離間する側の位置に円弧状部材が設けられている場合には、当該円弧状部材と発光部の内壁との距離が短いため、円弧状部材での放電によるアークが発光部の内壁に衝突して、当該内壁を損傷させる可能性がある。また、当該位置に円弧状部材が設けられている場合には、当該円弧状部材での放電により生じた熱が、電極の先端に伝導しづらく、当該円弧状部材での放電期間が長くなり、放電によって生じたアークが発光部に衝突する確率がより高くなる。
これに対し、本発明では、大径部における略中央から他の電極に近接する側の端部までの間に円弧状部材が設けられていることにより、当該円弧状部材と発光部の内壁との距離を長くすることができる。従って、円弧状部材での放電により生じたアークが、発光部に衝突することを抑えることができる。
ここで、前述のように、先端側が細くなる突起状の部位は、発光管の始動時の放電起点となりやすい。このため、突出部を大径部に離間する方向の先端に向かうに従って細くなる突起として構成することにより、当該突出部に放電起点を確実に位置付けることができる。
本発明によれば、放電起点となる突出部が本体部に設けられていることにより、当該突出部における放電によって生じた熱による本体部の温度上昇を速やかに行うことができる。また、発光部が、電極間の中央を中心とする略球状に形成されている場合には、突出部と発光部の内壁との距離を長くすることができるので、当該突出部での放電により生じたアークが、発光部の内壁に衝突することを抑制することができる。従って、電極の本体部でのアーク放電に速やかに移行することができ、発光管の始動特性を向上することができるほか、発光部の白濁及び黒化を抑制することができる。
更に、このような突出部が別部材として構成され、当該部材を本体部に取り付けることで突出部を形成する場合には、当該部材をコイル部に取り付けるより本体部に取り付ける方が容易である。従って、電極の製造工程を簡略化することができる。
ここで、コイル部は、発光管を長時間点灯させた場合でも、本体部に比べて消耗及び変形が少ない。このため、本発明では、突出部をコイル部に設けることにより、突出部の消耗及び変形を抑制することができ、前述の突出部への放電起点の位置付けという効果を長期間に亘って奏することができる。
ここで、他方の電極に近接する方向に突出部が突出している場合には、大径部における先端が十分に加熱された状態でも、当該突出部における放電が継続してしまい、放電位置が本体部に移行せずに、発光管の発光中心が各電極間の中心に位置しなくなってしまう。
これに対し、本発明では、突出部が、他方の電極から離間する方向に向かって突出していることにより、発光管の点灯始動時にのみ突出部での放電を行わせ、当該放電によって生じた熱が電極の先端に伝わって、当該大径部の先端部分が十分に加熱された場合には、当該先端部分にて放電を行わせることができる。従って、発光管の発光中心を、電極間に位置付けることができる。
特に、プロジェクタ等の光学機器では、発光管の発光中心に基づいて、各光学部品を配置するので、本発明は有効である。
このような大径部の素材としては、タングステンを例示することができる。また、始動補助物質としては、電圧の印加によって電子を放出しやすい金属が好ましく、トリウムを例示することができる。
本発明によれば、突出部に始動補助物質が添加されていることにより、当該突出部での放電を促進させることができる。従って、一層確実に突出部を放電起点に規定することができる。
ここで、前述のように、発光管の始動時に生じる放電は、大径部におけるトリガー線に対向する側の部位で生じる確率が高い。このため、本発明では、当該トリガー線に向かって突出部が突出していることにより、当該突出部に発光管の点灯始動時の放電起点を位置付けやすくすることができる。従って、一層確実に突出部に放電起点を位置付けることができる。
ここで、発光管の消灯時には、発光部内に封入された水銀等の発光物質は、冷却されやすい側の電極に付着する。この際、発光部における一方の電極側を覆うように反射部材が設けられている場合には、当該反射部材により、発光部における反射部材が設けられた側は保温されることとなるため、反射部材が設けられた側の電極は冷却されにくく、反射部材が設けられていない側の電極は冷却されやすい。このため、当該冷却されやすい側の電極に発光物質が付着しやすくなり、突出部が発光物質により埋もれてしまう。このようにして突出部が埋もれてしまうと、発光管の点灯始動時に放電起点を位置付けるという効果が半減してしまう。これに対し、反射部材が設けられた側の電極には発光物質が付着しにくく、当該電極の突出部は露出するので、発光管の点灯始動時での突出部への放電起点の位置付けを効果的に行うことができる。従って、放電起点の位置付けを効果的に行うことができる電極側にのみ突出部を設けることにより、各電極に突出部を設ける場合に比べ、発光管の製造工程の簡略化及び製造コストの低減を図ることができる。
本発明によれば、前述の発光管と同様の効果を奏することができる。また、発光管の長寿命化を図ることができるので、発光管を頻繁に交換する手間を省くことができる。
本発明によれば、前述の光源装置と同様の効果を奏することができる。また、発光管の長寿命化を図ることができるので、長時間点灯による発光管の発光輝度の急激な低下を抑制することができ、投射画像の輝度低下を抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタ1の構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の概略構成を示す模式図である。
プロジェクタ1は、内部に設けられた光源装置411から射出される光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、当該画像光に係る画像をスクリーン(図示省略)等の投射面上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筐体2と、投射レンズ3と、光学ユニット4等を備えている。
また、これらの他に、プロジェクタ1は、当該プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット91、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット92、及び、プロジェクタ1全体を制御する制御ユニット93等を備え、これらは、外装筐体2内に配置されている。
このうち、電源ユニット92は、プロジェクタ1の外部から供給される商用交流電流を直流変換し、プロジェクタ1内部の各構成部材に応じた電圧に昇降圧した後に当該各構成部材に電力を供給する。
外装筐体2は、投射レンズ3及び光学ユニット4等を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装筐体2は、本実施形態では合成樹脂により形成したが、これに限らず、例えば金属等の他の材料にて形成してもよい。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された画像光を、スクリーン(図示省略)等の投射面上に結像させるとともに、当該画像光に係る画像を拡大投射する投射光学装置である。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
光学ユニット4は、前述の制御ユニット93による制御の下、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した画像光を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筐体2の背面に沿って延出するとともに、外装筐体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。
この光学ユニット4は、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備えている。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と同様の構成を有しており、第1レンズアレイ412の小レンズに対応する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を、電気光学装置44の後述する液晶パネル442の画像形成領域に結像させる機能を有している。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の直線偏光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に後述する液晶パネル442の画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の直線偏光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された赤色光を赤色光用の液晶パネル442Rまで導く機能を有している。
この電気光学装置44は、図1に示すように、前述のフィールドレンズ441と、光変調装置としての液晶パネル442(赤色光用の液晶パネルを442R、緑色光用の液晶パネルを442G、及び、青色光用の液晶パネルを442Bとする)と、これら各液晶パネル442の光束入射側にそれぞれ配置される3つの入射側偏光板443と、各液晶パネル442の光束射出側にそれぞれ配置される3つの視野角補償板444と、当該3つの視野角補償板444の光束射出側にそれぞれ配置される3つの射出側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備えて構成されている。
光変調装置としての液晶パネル442は、詳しい図示を省略するが、一対の透明なガラス基板間に電気光学物質である液晶が密閉封入した構成を有している。そして、当該液晶パネル442では、前述の制御ユニットから入力する画像情報である駆動信号に応じて、液晶の配向状態が制御され、入射側偏光板443から射出された偏光光束の偏光方向が変調されることで、画像光が形成される。
射出側偏光板445は、液晶パネル442から射出され視野角補償板444を介した光束のうち、入射側偏光板443における光束の透過軸と直交する偏光方向を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。このような射出側偏光板445は、前述の入射側偏光板443と同様の構成とすることができる。
図2は、光源装置411の放電ランプ5及び主反射鏡6を示す縦断面図である。
放電ランプ5は、電圧印加によって発光する光源であり、図2に示すように、石英ガラスにより形成された発光管51Aと、当該発光管51Aに取り付けられる副反射鏡52及びトリガー線53とを備えている。なお、このような放電ランプ5としては、高輝度発光する種々の放電光源ランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ及び超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
発光管51Aは、当該発光管51Aの中央部分に形成され、かつ、略球状に膨出する発光部511と、発光部511を挟み、かつ、当該発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513(図2における左側の封止部を512、右側の封止部を513とする)とを備えている。
このうち、発光部511の内部には、一対の電極8A(封止部512側の電極を8AL、封止部513側の電極を8ARとする)が配置され、当該一対の電極8A間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間Sが形成されている。
ここで、主反射鏡6について説明する。
主反射鏡6は、本発明の反射鏡に相当し、入射した光を反射して、照明光軸A上の第2焦点に収束させるガラス製の一体成形品である。この主反射鏡6は、放電ランプ5の一方の封止部512(光源装置411における光束射出方向の基端側に位置する封止部512)に接着剤Bにより固定されている。このような主反射鏡6には、封止部512が挿通される略円筒状の首状部61と、当該首状部61から拡がる凹曲面状の反射部62とが形成されている。
このうち、反射部62において発光部511に対向する側の回転曲線形状の面には、金属薄膜が蒸着された反射面621が形成されている。この反射面621は、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過するコールドミラーとして形成されている。
なお、本実施形態では、主反射鏡6は、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ7を省略した構成とする。さらに、主反射鏡6は、自由曲面リフレクタで構成してもよい。
副反射鏡52は、本発明の反射部材に相当し、発光管51Aの封止部513(主反射鏡6が装着される側とは反対側の封止部513)に装着されるガラス製の成形品であり、発光管51Aと同様の素材により形成されている。この副反射鏡52には、封止部513が挿通される開口5211を有する略円筒状の首状部521と、当該首状部521から拡がる反射部522とが形成されている。
トリガー線53は、発光管51Aの点灯性を向上するための始動補助線であり、一端が封止部512にコイル状に巻回され、中央が発光部511、副反射鏡52及び封止部513に沿ってこれらの外側に配置され、他端が接続部516を介して電極引出線515に接続される。この接続部516には、主反射鏡6の反射部62における端縁近傍に形成された挿通孔622を介して、当該主反射鏡6の外部に延出するリード線517の一端が接続され、当該リード線517の他端は、電極引出線515及びトリガー線53に電圧を印加するための端子54に接続されている。
このようなトリガー線53を設け、当該トリガー線53に高圧パルス電圧を印加することにより、放電ランプ5の点灯性を向上することができる。
図3は、電極8ARを示す側面図である。
一対の電極8Aは、前述のように、封止部512側(発光部511において、副反射鏡52が設けられていない側)に配置される電極8ALと、封止部513側(発光部511において、副反射鏡52が設けられる側)に配置される電極8ARとから構成されている。
このうち、電極8ARは、図3に示すように、後端側(電極8ALから離間する側)が前述の金属箔5131に接続される小径部8A1と、当該小径部8A1の先端側(電極8ALに近接する側)に設けられた大径部8A2とを備えている。
このうち、小径部8A1は、タングステンにより形成された芯棒である。
このようなコイル部8A22における当該コイル部8A22の軸方向略中央から先端側までの間には、放電ランプ5の点灯始動時の放電起点となる円弧状部材8A3が、レーザ照射等の熱処理により一体的に取り付けられている。なお、円弧状部材8A3は、コイル部8A22に固定されていればよく、熱処理等が行われていなくてもよい。
円弧状部材8A3は、本発明の突出部に相当し、図4に示すように、タングステンに始動補助物質(例えば、トリウム)を添加した材料により形成された略円弧状(具体的には略C字状)を有する部材である。この円弧状部材8A3の略中央には、コイル部8A22の内層8A221が挿通する正面視略円形状の開口8A31が形成されている。この開口8A31の直径寸法は、内層8A221の直径寸法と略同じに設定されている。
なお、本実施形態では、電極8ALは、小径部8A1及び大径部8A2を備えているが、当該電極8ALには、電極8ARとは異なり、円弧状部材8A3は設けられていない。
ここで、放電ランプ5の点灯始動時の放電起点について説明する。
放電ランプ5の一対の電極8A(8AL,8AR)に、電極引出線514,515及び金属箔5121,5131を介して電圧を印加すると、当該電極8Aでは、放電が開始される。ここで、このような放電は、例えば、コイル部8A22における内層8A221及び外層8A222の後端部などの段差及び突出部分で生じやすく、特に電極8ARでは、円弧状部材8A3の突起部8A33で生じやすい。このような電極8ARでは、円弧状部材8A3を設けたことによる段差が最も大きく、当該段差部位にて電場が最も強く発生するので、当該円弧状部材8A3(特に突起部8A33)が放電起点となりやすい。このため、電極8ARにおいては、円弧状部材8A3の突起部8A33の先端部分に放電起点が位置付けられ、当該先端部分で発光管51Aの点灯始動時に放電が開始される。
このようにして突起部8A33の先端にて放電が開始されると、当該放電によって生じた熱は、円弧状部材8A3から当該円弧状部材8A3に当接するコイル部8A22の外層8A222に伝導される。そして、当該熱は、外層8A222を経て本体部8A21に伝導される。このような熱伝導により、本体部8A21が十分に加熱されると、当該本体部8A21の先端に形成された膨出部8A211と、他方の電極8ALの膨出部8A211との間でアーク放電が開始される。
(1)発光管51Aの電極8ARが有する小径部8A1及び大径部8A2のうち、大径部8A2には、突出部としての円弧状部材8A3が、当該大径部8A2の外側に突出するように取り付けられている。ここで、発光管51Aの点灯始動時には、電極8AL,8ARにおける突出部位に電場が集中して、当該突出部位にて放電が開始される。このため、電極8ARにおいては、大径部8A2に取り付けられた円弧状部材8A3の外周における所定の位置が放電起点となる。この際、電極8AL,8ARが消耗して、小径部8A1における封止部512,513に近接した位置にタングステンが堆積及び結晶化した場合でも、電極8ARにおいて発光管51Aの内壁への異常放電の心配がない部位に意図的に設けられた円弧状部材8A3の外周が、最も強く電場が発生する位置となる。このため、大径部8A2に意図的に円弧状部材8A3を設けたことにより、当該タングステンが堆積及び結晶化した位置ではなく、当該円弧状部材8A3に電極8ARでの放電起点を位置付けることができる。
従って、発光管51Aの点灯始動時に露出している電極8ARにのみ、円弧状部材8A3を設けることにより、各電極8AL,8ARのそれぞれに円弧状部材8A3を設ける場合に比べ、発光管51Aの製造工程の簡略化及び製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
本実施形態のプロジェクタは、前述のプロジェクタ1と同様の構成を有するが、当該プロジェクタ1では、電極8Aは突出部として円弧状部材8A3を備える構成としたのに対し、本実施形態のプロジェクタでは、突出部として略円錐形状の突起を本体部に一体的に取り付ける構成とした点において、本実施形態のプロジェクタと前述のプロジェクタ1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
発光管51Bは、発光部511、一対の封止部512,513及び電極引出線514,515を備え、当該発光部511の内部には、一対の封止部512,513に設けられた金属箔5121,5131にそれぞれ接続される一対の電極8Bが配置されている。
一対の電極8Bは、封止部512側に配置される電極8ALと、封止部513側に配置される電極8BRとから構成されている。
このうち、電極8BRは、図5に示すように、小径部8A1と、当該小径部8A1の先端側(他方の電極8ALに近接する側であり、封止部513から離間する側)に形成され、かつ、小径部8A1より径寸法の大きい大径部8B2とを備えて構成されている。このうち、大径部8B2は、小径部8A1の先端側に形成された本体部8B21と、当該本体部8B21に接続されるように小径部8A1に対して密に巻回された2重層のコイル部8A22とを備えて構成されている。
この突起8B212は、本体部8B21とは別部材として構成された略円錐状部材であり、当該円錐状部材を本体部8B21における後端側(コイル部8A22に近接する側)に形成された挿入穴(図示省略)に挿入した後、レーザ照射等により熱融着させることで、突起8B212は形成されている。このような突起8B212は、タングステンに前述の始動補助物質を添加した材料により形成されている。
このため、発光管51Bの始動に際して、一対の電極8Bに電圧を印加すると、電極8BRでは、突起8B212の先端部分で放電が開始され、当該放電により生じた熱が本体部8B21に伝導される。そして、本体部8B21が十分に加熱されると、当該本体部8B21の膨出部8B211と、他方の電極8ALの膨出部8B211との間でアーク放電が生じる。
(10)電極8BRの大径部8B2を構成する本体部8B21に、当該大径部8B2の外側に突出する略円錐形状の突起8B212を、突出部として意図的に設けたことにより、当該電極8BRにおいて突起8B212の先端を、最も強く電場が発生する位置とすることができる。これによれば、当該突起8B212の先端に、発光管51Bの点灯始動時の放電起点を位置付けることができる。従って、小径部8A1に電極構成物質であるタングステンが堆積及び結晶化した場合でも、電極8BRにおける放電起点を突起8B212の先端に位置付けることができる。
ここで、突起8B212の突出方向が、他方の電極8ALに近接する方向に設定されている場合には、本体部8B21の加熱が十分になされた後でも、当該突起8B212の先端にてアーク放電が継続してしまう場合があり、このような場合には、各電極8B間の中央を基準として配置位置が設定された前述の各光学部品に、光が適切に入射しなくなる可能性がある。
以下、本発明の第3実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
本実施形態のプロジェクタは、前述の第2実施形態にて示したプロジェクタと同様の構成を備えるが、当該第2実施形態のプロジェクタでは、突起8B212は、電極8BRの大径部8B2における本体部8B21に設けられていたのに対し、本実施形態のプロジェクタでは、当該突起がコイル部に設けられている。この点において、本実施形態のプロジェクタと第2実施形態のプロジェクタとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
この発光管51Cは、発光部511、一対の封止部512,513及び電極引出線514,515を備え、当該発光部511の内部には、一対の封止部512,513に設けられた金属箔5121,5131にそれぞれ接続される一対の電極8Cが配置されている。
一対の電極8Cは、封止部512側に配置される電極8ALと、封止部513側に配置される電極8CRとから構成されている。
このうち、電極8CRは、図6に示すように、小径部8A1と、当該小径部8A1の先端側(他方の電極8ALに近接する側であり、封止部513から離間する側)に形成され、かつ、小径部8A1より径寸法の大きい大径部8C2とを備えている。
大径部8C2は、本体部8A21と、当該本体部8A21の後端側に接続するように設けられ、かつ、内層8A221及び外層8A222を有するコイル部8C22とを備えている。このうち、外層8A222の直径寸法は、本体部8A21と略同じとなるように設定され、外層8A222におけるトリガー線53(図2参照)に対向する部位には、略円錐形状の突起8C223がレーザ照射等の熱融着により取り付けられている。
この突起8C223は、当該外層8A222からの突出方向が後端側(他方の電極8ALから離間する側であり、封止部513に近接する側)を向いており、かつ、当該突出方向には、トリガー線53が位置している。
(16)コイル部8C22は、本体部8A21に比べ、発光管51Cを長時間点灯させた場合でも、消耗及び変形が少ない。このため、発光管51Cの点灯始動時に、電極8CRでの放電起点となる突起8C223をコイル部8C22に設けたことにより、当該発光管51Cを長時間点灯した場合でも、突起8C223の変形等を抑制することできる。従って、長期間に亘って、当該突起8C223の先端に、放電起点を位置付けることができる。
次に、本発明の第4実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
本実施形態のプロジェクタは、前述のプロジェクタ1と同様の構成を備えるが、当該プロジェクタ1では、電極8Aは突出部として円弧状部材8A3を備える構成としたのに対し、本実施形態のプロジェクタでは、電極が突出部としてリング状部材を備える点において、本実施形態のプロジェクタと前述のプロジェクタ1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のプロジェクタは、発光管51Aに代えて発光管51Dを備えるほかは、前述のプロジェクタ1と同様の構成を有している。また、発光管51Dは、電極8Aに代えて電極8Dを備えるほかは、発光管51Aと同様の構成を有し、当該電極8Dは、封止部512側に配置される電極8ALと、封止部513側に配置される電極8DRとから構成されている。
このうち、電極8DRは、図7に示すように、小径部8A1及び大径部8A2を備え、当該大径部8A2には、リング状部材8D3が設けられている。
このリング状部材8D3は、大径部8A2に取り付けられる際に、当該リング状部材8D3のうちの一方の端部が、前述のトリガー線53に対向し、当該トリガー線53との距離がリング状部材8D3において最も短くなるように配置される。
ここで、放電起点となるリング状部材8D3の端部は、封止部513側の端部8D32であることが好ましい。これは、前述の突起部8B212,8C223と同様に、電極8DRが十分に加熱されているのにも関らず、当該端部でのアーク放電が継続してしまうことを防ぐためである。
(17)リング状部材8D3の内径を、大径部8A2の外径に応じた寸法に設定することにより、線材を1巻き分巻回して形成されたリング状部材8D3を、大径部8A2(コイル部8A22)に捻じ込むなどして容易に取り付けることができる。また、このように、リング状部材8D3を大径部8A2に捻じ込むことにより、レーザ照射等の熱処理をしなくても、当該リング状部材8D3を大径部8A2に固定することができるほか、リング状部材8D3とコイル部8A22との接触面積を小さくすることができる。これによれば、リング状部材8D3の熱抵抗を高くすることができるので、当該リング状部材8D3の温度上昇を速やかに行うことができ、リング状部材8D3でのアーク放電を速やかに行わせることができる。
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、大径部8A2に取り付けられる他の円弧状部材としては、図8〜図10に示す円弧状部材8A4〜8A6が挙げられる。
円弧状部材8A4は、図8に示すように、開口8A31及び切欠8A32を備えた略C字状に形成され、当該切欠8A32とは反対側の端部に、先端に向かうに従って細くなる1つの突起部8A43が形成されている。この突起部8A43は、大径部8A2より径方向外側に位置することとなり、発光管の点灯始動時には、放電起点となる。
すなわち、前述の突起8B212,8C223と同様に、円弧状部材8A3及びリング状部材8D3がコイル部8A22に取り付けられている場合には、コイル部8A22は消耗及び変形が本体部8A21に比べて小さいので、長期間に亘って、円弧状部材8A3及びリング状部材8D3を放電起点とすることができる。一方、円弧状部材8A3及びリング状部材8D3が本体部8A21に設けられている場合には、放電によって生じた熱の当該本体部8A21への伝導効率が向上するので、発光管の始動特性を向上することができる。
また、前記第2及び第3実施形態では、突起8B212,8C223は、大径部8B2,8C2にそれぞれ1つずつ設けるとしたが、これら突起8B212,8C223の数は適宜設定してよい。
また、前記各実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
更に、前記各実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
Claims (16)
- 内部に一対の電極が配置された発光部を有し、当該電極間で放電発光する発光管であって、
前記一対の電極のうち少なくともいずれか一方の電極は、
小径部と、当該小径部における他方の電極に近接する側の端部に設けられ、かつ、前記小径部より大きい径寸法を有する大径部とを備え、
前記大径部は、当該大径部より外側に突出した突出部を有することを特徴とする発光管。 - 請求項1に記載の発光管において、
前記大径部は、
前記小径部の軸方向に沿って巻回されたコイル部と、
前記コイル部より前記他方の電極側に位置する本体部とを備えることを特徴とする発光管。 - 請求項1又は請求項2に記載の発光管において、
前記突出部は、略円弧状を有し、かつ、前記大径部に取り付けられる円弧状部材であることを特徴とする発光管。 - 請求項3に記載の発光管において、
前記円弧状部材は、当該円弧状部材の径方向外側に向かって突出し、かつ、突出方向先端側に向かうに従って細くなる突起部を少なくとも1つ有することを特徴とする発光管。 - 請求項3又は請求項4に記載の発光管において、
前記円弧状部材は、前記大径部が挿通される開口を有していることを特徴とする発光管。 - 請求項5に記載の発光管において、
前記円弧状部材は、前記開口に接続され、かつ、当該円弧状部材の軸方向に沿って形成された切欠を有することを特徴とする発光管。 - 請求項3から請求項6のいずれかに記載の発光管において、
前記円弧状部材は、前記大径部における略中央から前記他方の電極に近接する側の端部までの間に設けられていることを特徴とする発光管。 - 請求項2に記載の発光管において、
前記突出部は、前記大径部に設けられ、かつ、前記大径部から離間する方向に向かうに従って細くなる突起により構成されていることを特徴とする発光管。 - 請求項2又は請求項8に記載の発光管において、
前記突出部は、前記本体部に設けられていることを特徴とする発光管。 - 請求項2又は請求項8に記載の発光管において、
前記突出部は、前記コイル部に設けられていることを特徴とする発光管。 - 請求項8から請求項10のいずれかに記載の発光管において、
前記突出部は、前記他方の電極から離間する方向に突出していることを特徴とする発光管。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載の発光管において、
前記突出部は、前記大径部と同じ素材に始動補助物質を添加した材料により形成されていることを特徴とする発光管。 - 請求項1から請求項12のいずれかに記載の発光管において、
前記発光管の外表面に沿って配置され、かつ、電圧が印加されて当該発光管の始動を補助するトリガー線を備え、
前記突出部は、前記トリガー線に向かって突出していることを特徴とする発光管。 - 請求項1から請求項13のいずれかに記載の発光管において、
前記発光部における前記一対の電極のうちの一方の電極側を覆い、かつ、入射した光を他方の電極側に反射する反射部材を備え、
前記一対の電極のうち、前記反射部材が設けられる側の電極のみ、前記突出部を備えることを特徴とする発光管。 - 請求項1から請求項14のいずれかに記載の発光管と、当該発光管から射出された光を一方向に反射することで当該光を光束として射出する反射鏡とを備えることを特徴とする光源装置。
- 請求項15に記載の光源装置と、当該光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、変調された光束を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とするプロジェクタ。
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