JP2009104865A - 放電ランプ、光源装置、投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間の使用による発光管の失透及び黒化をより一層抑制し、従来に比べて寿命の長い放電ランプ、光源装置、投射型表示装置を提供する。
【解決手段】石英ガラスからなる発光管111と、発光管111内に対向配置される一対のタングステン電極112と、酸素に対する親和性がタングステンよりも高い金属材料からなり、一対のタングステン電極112の表面を覆う金属膜117と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】石英ガラスからなる発光管111と、発光管111内に対向配置される一対のタングステン電極112と、酸素に対する親和性がタングステンよりも高い金属材料からなり、一対のタングステン電極112の表面を覆う金属膜117と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、放電ランプ、光源装置、投射型表示装置に関するものである。
従来の放電ランプは、石英ガラスからなる発光管の中間部を膨らませて形成された発光部内に、一対のタングステン製の電極がその放電端部を互いに対向させるように配置されるとともに、水銀、臭素、沃素などのハロゲンや、アルゴンガスなどの始動用希ガスが封入されている。この種のランプは、小型且つ高輝度で、長寿命であることが要求される。
点光源に近い高輝度発光を得るために電極間距離を狭めてアーク長を短くすると、始動時のランプ電圧が低下してランプ電流が増大し、それにより電極間の温度が過度に上昇してしまう。すると、電極を構成するタングステン(W)や該タングステンに含まれる不純物の蒸発作用が促進されて、電極が短期のうちに消耗あるいは変形したり発光部の早期黒化を引き起こしていた。また、放電ランプの製造時に加わる熱によって、電極に接続される金属箔やリード線を構成するモリブデン(Mo)が蒸発して発光管内の臭素(Br)や酸素(O2)などと結びつき、このMo化合物が発光管内面に付着することによって失透や黒化を引き起こしていた。
そこで、発光管の黒化や失透を抑制するために、電極の基部に形成した空隙部分に金属酸化物の多孔質材を配し、常に(消燈時を含む)封体の放電部近傍よりも低く温度を保つことで、黒化や失透を誘発する物質を多孔質材に取り込む方法(特許文献1)や、製造時に発光管内に不純物として取り込まれるMo化合物の量を規定する方法(特許文献2)などが提案されている。
特開2003−151502号公報
特開2003−173759号公報
しかしながら、上記特許文献1では、金属酸化物は比較的安定であるため、多孔質材に黒化や失透を誘発する物質を全て取り込むことは難しい。また、特許文献2では、製造過程でMo化合物の生成を抑えることは可能であるが、点灯時に生成されるタングステン化合物による発光管の失透及び黒化を抑えることは難しい。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、長時間の使用による発光管の失透及び黒化をより一層抑制し、従来に比べて寿命の長い放電ランプ、光源装置、投射型表示装置を提供することを目的としている。
本発明の放電ランプは、上記課題を解決するために、石英ガラスからなる発光管と、発光管内に対向配置される一対のタングステン電極と、酸素に対する親和性がタングステンよりも高い金属材料からなり、一対のタングステン電極の表面を覆う金属膜と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、タングステン電極の表面が、酸素に対する親和性がタングステンよりも高い金属材料からなる金属膜で覆われているため、発光管内に残留していた酸素やアークによって発光管(石英ガラス)から分離した酸素を金属膜自体がトラップし、タングステンと接触する酸素を少なくすることができる。酸化タングステンの融点は低くなるため、従来では酸化した部分から電極が消耗してしまっていた。本発明では、タングステン電極の表面を上記金属膜で覆う構成としたことでタングステン電極の酸化を抑え、長時間の使用(点灯)においてタングステン電極が経時的に劣化及び消耗するのを抑制することができる。これにより、タングステン電極の寿命が伸びて信頼性の高いものとなる。
また、一対のタングステン電極間で生じるアークによる熱と上昇気流により、蒸発した上記金属材料が発光管から分離した酸素や発光管内に残留していた酸素と結合し、発光管の内面に金属酸化膜が形成されることになる。金属酸化膜が形成されることにより発光管内の酸素が除去されて、タングステン酸化物の生成を防止することができるとともに、生成したタングステン酸化物が発光管の内面に付着することを防止することができる。つまり、アークによって、上記金属材料やタングステンが蒸発するが、酸素に対する親和性が高い上記金属材料と酸素が優先的に結合するので、蒸発したタングステンはハロゲンサイクルにより電極へと戻されることになる。これにより、タングステン酸化物の生成が抑制されるので、タングステン電極の消耗を抑制することができる。また、仮にタングステン酸化物が生成された場合にも、発光管内面に形成された金属酸化膜によってタングステン酸化膜が発光管の内面に付着することを防止することができる。よって、長時間の点灯においても発光管の失透及び黒化を抑制することが可能である。
また、本発明によれば、点灯させるだけで発光管の所望の場所(失透及び黒化が発生しやすい場所)に金属酸化膜を効率よく形成することができる。これにより、放電ランプの輝度低下及び発光管の破損を効果的に抑制することができるとともに、放電ランプの使用状態に関わらず、発光管の失透及び黒化を防止することが可能である。
また、金属膜が、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)の群から選ばれた少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。
本発明によれば、金属膜が、タングステンよりも酸素との親和性が高い上記金属材料からなるため、アーク時に、タングステン酸化物が生成されることを抑制することができる。
本発明によれば、金属膜が、タングステンよりも酸素との親和性が高い上記金属材料からなるため、アーク時に、タングステン酸化物が生成されることを抑制することができる。
また、発光管の内面の少なくとも一部に、金属材料の酸化物からなる金属酸化膜を有することが好ましい。
本発明によれば、出荷前の点灯試験時に、発光管の内面に金属酸化膜が形成されるので、より早い段階で発光管内の酸素を除去することができる。これにより、タングステン電極の酸化を防止することができ、電極の長寿命化、発光管の失透及び黒化の抑制が可能である。
本発明によれば、出荷前の点灯試験時に、発光管の内面に金属酸化膜が形成されるので、より早い段階で発光管内の酸素を除去することができる。これにより、タングステン電極の酸化を防止することができ、電極の長寿命化、発光管の失透及び黒化の抑制が可能である。
また、金属酸化膜が、アーク発生部の鉛直上方における発光管の内面に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、アークの熱によって生成された金属酸化物は、アーク時の上昇気流によって移動することから、アーク発生部の鉛直上方における発光管の管壁に金属酸化物が形成されることになる。そのため、失透及び黒化を生じやすい場所に金属酸化膜が形成されるため、放電ランプの輝度低下や破損を効果的に防止することができる。このように、点灯によって形成される金属酸化膜によって、発光管の失透及び黒化を抑制することができる。
本発明によれば、アークの熱によって生成された金属酸化物は、アーク時の上昇気流によって移動することから、アーク発生部の鉛直上方における発光管の管壁に金属酸化物が形成されることになる。そのため、失透及び黒化を生じやすい場所に金属酸化膜が形成されるため、放電ランプの輝度低下や破損を効果的に防止することができる。このように、点灯によって形成される金属酸化膜によって、発光管の失透及び黒化を抑制することができる。
本発明の光源装置は、先に記載の放電ランプを備えたことが好ましい。
本発明によれば、発光管の失透及び黒化の発生やそれに伴う輝度低下を抑制することができるので、高い輝度性能を長期的に確保可能とした光源装置を得ることができる。
本発明によれば、発光管の失透及び黒化の発生やそれに伴う輝度低下を抑制することができるので、高い輝度性能を長期的に確保可能とした光源装置を得ることができる。
また、放電ランプが、アーク発生部の鉛直上方の発光管の内面に、タングステン電極の表面をコーティングしている金属材料の酸化物からなる金属酸化膜を有することが好ましい。
本発明によれば、点灯によって形成される金属酸化膜によって、発光管の失透及び黒化を抑制することが可能な放電ランプを備えているので、高い輝度性能を長期的に確保可能とした光源装置を得ることができる。
本発明によれば、点灯によって形成される金属酸化膜によって、発光管の失透及び黒化を抑制することが可能な放電ランプを備えているので、高い輝度性能を長期的に確保可能とした光源装置を得ることができる。
本発明の投射型表示装置は、先に記載の光源装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光源装置の持つ長寿命を生かした信頼性の高い投射型表示装置を得ることができる。また、放電ランプの失透及び黒化の発生やそれに伴う輝度低下を抑制した光源装置を備えるため、表示品位の高い投射型表示装置とすることができる。
本発明によれば、光源装置の持つ長寿命を生かした信頼性の高い投射型表示装置を得ることができる。また、放電ランプの失透及び黒化の発生やそれに伴う輝度低下を抑制した光源装置を備えるため、表示品位の高い投射型表示装置とすることができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[光源装置]
図1は、本発明の一実施形態である光源装置の概略構成を示す断面図である。図2は、放電ランプの概略構成を示す断面図である。
図1及び図2において、光源装置100は、放電ランプ101、リフレクタ102(主反射鏡)、副反射鏡103を備えており、不図示のランプハウジング内に収納されている。そして、放電ランプ101から放射した光束を、リフレクタ102により装置前方(x方向)側に射出方向を揃えて収束光として射出する。
図1は、本発明の一実施形態である光源装置の概略構成を示す断面図である。図2は、放電ランプの概略構成を示す断面図である。
図1及び図2において、光源装置100は、放電ランプ101、リフレクタ102(主反射鏡)、副反射鏡103を備えており、不図示のランプハウジング内に収納されている。そして、放電ランプ101から放射した光束を、リフレクタ102により装置前方(x方向)側に射出方向を揃えて収束光として射出する。
放電ランプ101は、石英ガラス(主な組成はSiO2である)から構成される発光管111と、この発光管111内に配置される一対のタングステン電極112,112とを備えている。発光管111は、中央部分が球状に膨出した発光部111Aと、発光部111Aの両側に延在する封止部111Bとからなり、発光部111Aの内部に略球状の放電空間Kが形成されている。この放電空間K内に、一対のタングステン電極112,112と封入物が封入される。
封入物としては、水銀、希ガス、ハロゲン化合物などが挙げられる。希ガスは、発光を促すために用いられるものであり、特に限定されないが、常用されるアルゴン、キセノンなどを用いることができる。さらに、ハロゲン化合物は、塩素、臭素、および沃素のうちのいずれかのハロゲンを用いることができ、特に臭素を用いることが好ましい。
タングステン電極112は、電極軸112a、放熱用コイル112b、放電端部C1(C2)からなる。放熱用コイル112bは、導通線である芯線を電極軸112aに巻回することによって作製され、放電端部C1,C2は、電極軸112aの一端部をレーザーによって熱溶融することによって熱容量の大きい球状もしくはドーム形状としたものである。電極軸112aと該電極軸112aに巻装された放熱用コイル112bは、溶融一体化されていてもよいし、放熱用コイル112bの巻き占め力によって固定されていてもよい。このようなタングステン電極112,112は、放電空間K内において、放電端部C1、C2同士を対向させ且つ互いに所定間隔をおいて配置されている。
本実施形態では、タングステン電極112の放電端部C1、C2の表面が金属膜117によって覆われている。金属膜117は、酸素に対する親和性がタングステン(W)よりも高い金属材料からなるもので、例えば、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)の群から選ばれた少なくとも1つの元素を含んでいる。
なお、タングステン電極112には、高純度のタングステンを用いる。
なお、タングステン電極112には、高純度のタングステンを用いる。
発光管111の各封止部111Bの内部には、タングステン電極112と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔113が挿入され、ガラス材料等で封止されている。この金属箔113には、さらに電極引出線としてのニッケル製のリード線114が接続され、このリード線114は、発光管111の外部まで延出している。また、各封止部111Bの端部には、タングステン電極112,112の放電端部C1,C2とは反対側の端部に電気的導通をとるための口金118が固着されている。上記リード線114は、この口金118に取り付けられる。
上述した放電ランプ101において、封止部111Bから外側に延出するリード線114に電圧を印加すると、図2に示すようにタングステン電極112間で放電が生じ、発光部111Aが発光する。
上述した放電ランプ101において、封止部111Bから外側に延出するリード線114に電圧を印加すると、図2に示すようにタングステン電極112間で放電が生じ、発光部111Aが発光する。
リフレクタ102は、放電ランプ101の封止部111Bが挿通される挿入部121およびこの挿入部121から拡がる楕円曲面状の反射部122を備えたガラス製の一体成形品である。挿入部121には、中央に挿入孔123が形成されており、この挿入孔123の中心に発光管の封止部111Bが配置される。反射部122は、楕円曲面状の反射面122Aに金属薄膜を蒸着形成して構成され、可視光を反射して赤外線を透過するコールドミラーとされている。そして、この反射面122Aの焦点位置と一対のタングステン電極112の中心位置(アーク状の発光部)とが略一致するように構成されていることが好ましい。
なお、リフレクタ102の形状は、これに限られず、変更が可能である。
なお、リフレクタ102の形状は、これに限られず、変更が可能である。
副反射鏡103は、反射面133Aを発光部111A側に向けてリフレクタ102と対向配置されている。この副反射鏡103は、放電ランプ101の封止部111Bが挿通される挿入部131と、該挿入部131から拡がる楕円曲面状の反射部132とを備えたガラス製の一体成形品であって、リフレクタ102よりも小型の反射部材である。挿入部131には、中央に挿入孔133が形成されており、この挿入孔133の中心に発光管の封止部111Bが配置される。反射部132は、放電空間Kの球面に倣う凹曲面状の反射面132Aに金属薄膜を蒸着形成して構成され、リフレクタ102と同様にコールドミラーとされている。そして、反射面133Aの2つの焦点位置と、一対のタングステン電極112の放電端部C1、C2の位置とがそれぞれ略一致するように構成されていることが好ましい。
なお、リフレクタ102の反射面122A及び副反射鏡103の反射面133Aは、楕円曲面だけでなく球面で構成することもできる。
そして、リフレクタ102及び副反射鏡103に放電ランプ101を固定する際には、挿入孔123及び挿入孔133内に無機系接着剤を充填し、リフレクタ102及び副反射鏡103に放電ランプ101の一対の封止部111Bが水平となるように固定する。
そして、光源装置100を駆動させると、放電ランプ101のタングステン電極112間の放電により発生した光が、放電空間K内の様々な方向へ放射される。発光部111Aから射出された光束の一部は、発光管111を透過して副反射鏡103へ入射し、その反射面133Aにて反射されて発光部111Aに再度戻される。この戻り光の一部は、リフレクタ102側に向けて進み、リフレクタ102へ入射した光は、反射部122の反射面122Aで反射して所定の方向に射出する。放電ランプ101を点灯すると、発光部111Aから放射された光束は、リフレクタ102及び副反射鏡103により、略コリメート光として所定の方向へ射出される。
本実施形態では、一対のタングステン電極112の放電端部C1,C2の表面が、放電端部C1、C2を構成するタングステン(W)よりも、酸素に対する親和性が高い金属材料からなる金属膜117で覆われている。そのため、放電ランプ101を点灯させると、タングステン電極112間で発生するアークの熱(約3500℃)によって金属膜117が蒸発し、金属膜117を構成する金属材料(例えば、イットリウム:Y)が、放電空間K内に残留している酸素(O2)や発光管を構成している石英ガラスから分離した酸素(O2)と結合することにより、金属酸化物(例えば、酸化イットリウム:Y2O3)が生成される。この金属酸化物が、アークによる上昇気流によって、アーク発生部115(タングステン電極112,112間領域)の鉛直上方における発光管111の内面に付着し、その結果、所定厚さの金属酸化膜116が形成される。
石英ガラス(SiO2)の軟化温度は約1500℃であるため、上記アーク熱によってその一部が蒸発し、蒸発したSiO2は放電プラズマによってSiとOとに分離してタングステン酸化物(WO)の発生を促すことになる。本実施形態では、タングステン電極112の放電端部C1,C2の表面が金属膜117によって被覆されていることから、点灯時、アーク熱によって金属膜117が蒸発して、発光管111の内面に金属酸化膜116が形成される。
アーク熱によって、タングステン電極112を構成するタングステン(W)も蒸発するが、タングステン(W)よりも、金属膜117を構成する上記金属材料(Y)の方が酸素に対する親和性が高いため、この金属材料(Y)が酸素(O2)と優先的に結合し、金属酸化物(Y2O3)となって管壁に付着することになる。
一方、蒸発したタングステン(W)は、放電空間K内に封入されているハロゲン元素と結合して発光管111内を浮遊した後、再び電極112へと戻されることになる(ハロゲンサイクル)。つまり、本実施形態では、金属酸化膜116が形成されることで発光管111内の酸素が減少するので、タングステン酸化物の生成自体を抑制することができる。
一方、蒸発したタングステン(W)は、放電空間K内に封入されているハロゲン元素と結合して発光管111内を浮遊した後、再び電極112へと戻されることになる(ハロゲンサイクル)。つまり、本実施形態では、金属酸化膜116が形成されることで発光管111内の酸素が減少するので、タングステン酸化物の生成自体を抑制することができる。
このように、金属酸化膜116が形成されることによってタングステン電極112の劣化消耗が防止され、発光管111の失透および黒化を抑制することができる。仮に、長時間の使用においてタングステン酸化物が生成されて、このタングステン酸化物がアークによる対流によってアーク発生部115の鉛直上方へと移動したとしても、金属酸化膜116の存在によって発光管111の管壁に直接付着することが防止される。そのため、失透の要因となるタングステン酸化物の管壁への付着を防止して、発光管111の失透及び黒化の発生を抑制するとともに、発光管111の破損が防止される。
また、金属膜117自体が酸素をトラップする機能を有するため、点灯の有無に関わらず、タングステン電極112の酸化を防止することができる。従来は、タングステン電極の放電端部が露出していたため酸化しやすく、酸化によって融点が低くなった部分から電極が消耗してしまっていた。本実施形態では、金属膜117の存在によって放電端部C1,C2が酸素に接触することが防止されるため、酸化によるタングステン電極112の消耗を常に抑制することができる。
以上により、長時間点灯した場合においてもタングステン電極の劣化及び消耗が防止されるとともに発光管111の失透及び黒化の抑制効果が持続するので、高輝度発光が可能でより寿命の長い放電ランプを得ることができる。
なお、タングステン電極112を高純度のタングステンから形成することにより、タングステン電極112に含まれるカリウムや不純物が放電空間K内に放出される量を抑えることができる。
図3は、本発明品と比較品とにおけるライフ試験の結果を示すグラフであって、縦軸が失透面積(mm2)、横軸が点灯時間(H)を表している。本発明品として、厚さ約200nmのイットリウム製の金属膜を備えた放電ランプを用い、比較品として、放電端部が金属膜で覆われていないタングステン電極を備えた放電ランプを用いた。本発明品及び比較品ともに10本ずつライフ試験を行いその平均値をグラフ化した。
図3に示すように、比較品は点灯時間が1000時間に達する前に発光管の失透が始まり、時間が経つにつれて失透面積が急速に増加していくことが分かる。一方、本発明品は、点灯時間が1000時間を越えてからも暫く失透は発生せず、点灯時間が4000時間に達する直前にようやく失透が発生した。また、比較品と比べると、失透面積の増加率は極めて小さく抑えられていることが分かる。
図3に示すように、比較品は点灯時間が1000時間に達する前に発光管の失透が始まり、時間が経つにつれて失透面積が急速に増加していくことが分かる。一方、本発明品は、点灯時間が1000時間を越えてからも暫く失透は発生せず、点灯時間が4000時間に達する直前にようやく失透が発生した。また、比較品と比べると、失透面積の増加率は極めて小さく抑えられていることが分かる。
これにより、タングステン電極の放電端部の表面を、タングステンよりも酸素に対する親和性の高い金属材料からなる金属膜で覆う構成とすることで、発光管の失透を抑制する効果が充分得られることが判明した。
[プロジェクタ]
図4は、本発明に係る投射型表示装置の一例であるプロジェクタ500の概略構成を示す。光源装置100は、上記実施形態で説明したものと同一であるため重複する説明は省略する。
光源装置100は、赤色光(以下、「R光」という。)、緑色光(以下、「G光」という。)、及び青色光(以下、「B光」という。)を含む光を供給する。
インテグレータ504は、光源装置100からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子505にて特定の振動方向を有する偏光光、例えばS偏光光に変換される。S偏光光に変換された光は、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー506Rに入射する。
図4は、本発明に係る投射型表示装置の一例であるプロジェクタ500の概略構成を示す。光源装置100は、上記実施形態で説明したものと同一であるため重複する説明は省略する。
光源装置100は、赤色光(以下、「R光」という。)、緑色光(以下、「G光」という。)、及び青色光(以下、「B光」という。)を含む光を供給する。
インテグレータ504は、光源装置100からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子505にて特定の振動方向を有する偏光光、例えばS偏光光に変換される。S偏光光に変換された光は、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー506Rに入射する。
R光透過ダイクロイックミラー506Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー506Rを透過したR光は、反射ミラー507に入射する。反射ミラー507は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、R光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Rに入射する。光変調装置510Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。なお、ダイクロイックミラーを透過しても、光の偏光方向は変化しないため、光変調装置510Rに入射するR光は、S偏光光のままの状態である。
光変調装置510Rは、λ/2位相差板523R、ガラス板524R、第1偏光板521R、液晶パネル520R、及び第2偏光板522Rを有する。λ/2位相差板523R及び第1偏光板521Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板524Rに接する状態で配置される。ガラス板524Rに接することにより、第1偏光板521R及びλ/2位相差板523Rが、発熱により歪んでしまうという問題を回避できる。
なお、図4において、第2偏光板522Rは独立して設けられているが、液晶パネル520Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム512の入射面に接する状態で配置しても良い。
なお、図4において、第2偏光板522Rは独立して設けられているが、液晶パネル520Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム512の入射面に接する状態で配置しても良い。
光変調装置510Rに入射したS偏光光は、λ/2位相差板523RによりP偏光光に変換される。P偏光光に変換されたR光は、ガラス板524R及び第1偏光板521Rをそのまま透過し、液晶パネル520Rに入射する。液晶パネル520Rに入射したP偏光光は、画像信号に応じた変調により、R光がS偏光光に変換される。液晶パネル520Rの変調により、S偏光光に変換されたR光が、第2偏光板522Rから射出される。このようにして、光変調装置510Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。
R光透過ダイクロイックミラー506Rで反射されたG光とB光とは、光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー506Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー506Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー506Gで反射されたG光は、G光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Gに入射する。光変調装置510GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。光変調装置510Gは、液晶パネル520G、第1偏光板521G及び第2偏光板522Gを有する。
光変調装置510Gに入射するG光は、S偏光光に変換されている。光変調装置510Gに入射したS偏光光は、第1偏光板521Gをそのまま透過し、液晶パネル520Gに入射する。液晶パネル520Gに入射したS偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がP偏光光に変換される。液晶パネル520Gの変調により、P偏光光に変換されたG光が、第2偏光板522Gから射出される。このようにして、光変調装置510Gで変調されたG光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。
B光透過ダイクロイックミラー506Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ508と、2枚の反射ミラー507とを経由して、B光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Bに入射する。光変調装置510Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。
なお、B光にリレーレンズ508を経由させるのは、B光の光路の長さがR光及びG光の光路の長さよりも長いためである。リレーレンズ508を用いることにより、B光透過ダイクロイックミラー506Gを透過したB光を、そのまま光変調装置510Bに導くことができる。光変調装置510Bは、λ/2位相差板523B、ガラス板524B、第1偏光板521B、液晶パネル520B、及び第2偏光板522Bを有する。なお、光変調装置510Bの構成は、上述した光変調装置510Rの構成と同様なので、詳細な説明は省略する。
光変調装置510Bに入射するB光は、S偏光光に変換されている。光変調装置510Bに入射したS偏光光は、λ/2位相差板523BによりP偏光光に変換される。P偏光光に変換されたB光は、ガラス板524B及び第1偏光板521Bをそのまま透過し、液晶パネル520Bに入射する。液晶パネル520Bに入射したP偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がS偏光光に変換される。液晶パネル520Bの変調により、S偏光光に変換されたB光が、第2偏光板522Bから射出される。光変調装置510Bで変調されたB光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。このように、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー506RとB光透過ダイクロイックミラー506Gとは、光源装置100から供給される光を、R光、G光、B光に分離する。
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512は、2つのダイクロイック膜512a、512bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜512aは、B光を反射し、R光、G光を透過する。ダイクロイック膜512bは、R光を反射し、B光、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム512は、光変調装置510R、光変調装置510G、及び光変調装置510Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。投写レンズ514は、クロスダイクロイックプリズム512で合成された光をスクリーン516に投写する。これにより、スクリーン516上でフルカラー画像を得ることができる。
なお、上述のように、光変調装置510R及び光変調装置510Bからクロスダイクロイックプリズム512に入射される光は、S偏光光となるように設定される。また、光変調装置510Gからクロスダイクロイックプリズム512に入射される光は、P偏光光となるように設定される。このようにクロスダイクロイックプリズム512に入射される光の偏光方向を異ならせることで、クロスダイクロイックプリズム512において各色光用光変調装置から射出される光を有効に合成できる。ダイクロイック膜512a、512bは、通常、S偏光光の反射特性に優れる。このため、ダイクロイック膜512a、512bで反射されるR光及びB光をS偏光光とし、ダイクロイック膜512a、512bを透過するG光をP偏光光としている。
プロジェクタ500は、上述した実施形態の光源装置100を備えている。光源装置100は高輝度な照明光を照射する。このため、小型、軽量なプロジェクタ500で高画質な明るい投写像を得られる。なお、光変調装置として、反射型の液晶パネルやDMD(テキサスインスツルメント社製)を用いることもできる。また、プロジェクタの構成は3板式の構成に限られず、単板式の構成、又は本発明の主旨を逸脱しない範囲の構成であれば適宜変更が可能である。
以上のように、本発明に係る光源装置は、画像表示装置やプロジェクタに有用である。
以上のように、本発明に係る光源装置は、画像表示装置やプロジェクタに有用である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態においては、タングステン電極112の放電端部C1,C2の表面のみに金属膜117を形成するとしたが、放熱用コイル112bの表面にも金属膜を形成するようにしてもよい。これにより、タングステン製の放熱用コイル112bの劣化も防止することができる。
100…光源装置、K…放電空間、101…放電ランプ、102…リフレクタ、103…副反射鏡、111…発光管、112…タングステン電極、112a…電極軸、112b…放熱用コイル、113…金属箔、114…リード線、115…アーク発生部、111A…発光部、111B…封止部、116…金属酸化膜、117…金属膜、121…挿入部、122…反射部、122A…反射面、123…挿入孔、131…挿入部、132…反射部、132A…反射面、133…挿入孔、133A…反射面、500…プロジェクタ(投射型表示装置)
Claims (6)
- 石英ガラスからなる発光管と、
前記発光管内に対向配置される一対のタングステン電極と、
酸素に対する親和性がタングステンよりも高い金属材料からなり、前記一対のタングステン電極の表面を覆う金属膜と、を有することを特徴とする放電ランプ。 - 前記金属膜が、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)の群から選ばれた少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
- 前記発光管の内面の少なくとも一部に、前記金属材料の酸化物からなる金属酸化膜を有することを特徴とする請求項1または2記載の放電ランプ。
- 前記金属酸化膜が、アーク発生部の鉛直上方における前記発光管の内面に形成されていることを特徴とする請求項3記載の放電ランプ。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の放電ランプを備えたことを特徴とする光源装置。
- 請求項5記載の光源装置を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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Publications (1)
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JP2010212180A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Orc Mfg Co Ltd | 放電ランプ |
JP2012038674A (ja) * | 2010-08-11 | 2012-02-23 | Orc Mfg Co Ltd | 放電ランプ |
-
2007
- 2007-10-23 JP JP2007274747A patent/JP2009104865A/ja not_active Withdrawn
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TWI500069B (zh) * | 2010-08-11 | 2015-09-11 | Orc Mfg Co Ltd | Discharge lamp |
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