JP2010009909A - 放電ランプ、光源装置、及びプロジェクタ - Google Patents

放電ランプ、光源装置、及びプロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】ランプ点灯時における光束を低下させること無く失透の抑制を可能にした、放電ランプ、光源装置、及びプロジェクタを提供する。
【解決手段】透光性容器111と、この透光性容器111内に対向配置されるタングステン電極112,112と、を備えた放電ランプ101である。透光性容器111の発光部111Aにおける外表面の少なくとも一部に発光部111Aの発光時に正の電圧が印加される透明導電膜116が設けられる。また、透明導電膜116への印加電圧は、発光部111Aの発光時におけるタングステン電極112,112への駆動電圧と独立して制御される。
【選択図】図1

Description

本発明は、放電ランプ、光源装置、及びプロジェクタに関するものである。
放電ランプは、内部に一対の電極が配置された発光部と、この発光部の両端から延在する一対の封止部とを備え、この封止部には電極に接続された例えばモリブデンからなる金属箔が封止されている。この金属箔等の封止部内に設けられる部材にはその性質上不純物(例えば、アルカリ金属)が含まれているため、ランプの製造過程や点灯中に不純物が発光部の放電空間内に混入してしまう。
ところで、このような放電ランプにおいては、シリカガラスからなる放電管の一部が結晶化することで透明性を失う現象、いわゆる失透(白濁)現象が発生し、これにより光束の低下や失透による膨張に起因した変形等の問題が生じていた。この失透現象は上述のような放電空間内に含まれる不純物(アルカリ金属)や、ランプ発光中に生成された金属陽イオンに起因するものと考えられる。
そこで、放電ランプの製造時において、発光部の外面にリード等の導電部材を巻き付けて導電部材に負の電圧を印加する。そして、この導電部材と発光部内の電極との間に生じさせた電界によって、上記不純物を発光部の外部に放出させてしまうことで、ランプの使用中において不純物の影響によって発光部が失透するのを抑制した技術がある(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第04/84253号パンフレット
ところで、上記導電部材の巻き付け構造を利用し、ランプ点灯時に導電部材に正の電圧を印加することで発光部の外面側を負、内面側を正に帯電させることで発光中に生成される上記金属陽イオンを発光部の内壁に付着させ難くすることで失透の抑制を図ることも考えられる。
しかしながら、この場合、発光部の光出射領域上に上記導電部材が存在するため、ランプ点灯時に導電部材が影となり光束を低下させるといった問題が生じてしまう。また、例えば発光部の根元部分(封止部との接続部分)に導電部材が巻き付けられていると、放電ランプに反射鏡或いは副反射鏡を取付ける場合、出射光部分と反射鏡或いは副反射鏡との位置関係に狂いが生じるおそれもある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ランプ点灯時における光束を低下させること無く失透の抑制を可能にした、放電ランプ、光源装置、及びプロジェクタを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の放電ランプは、透光性容器と、該透光性容器内に対向配置されるタングステン電極と、を備え、前記透光性容器の発光部における外表面の少なくとも一部に前記発光部の発光時に正の電圧が印加される透明導電膜が設けられることを特徴とする。
本発明の放電ランプによれば、ランプの発光時において発光部の外表面に設けられた透明導電膜に正の電圧が印加されるので、透明導電膜が設けられた外表面は負に帯電する。また、負に帯電した外表面に対応する発光部の内壁面は正に帯電するようになる。これにより、ランプの発光時に発生した金属陽イオンを発光部の内壁面に付着させ難くすることができる。また、透明導電膜は発光部から射出される光を遮ることがない。また、発光部を構成する透光性容器中の不純物(例えば、アルカリ金属)は電界の影響により内壁より外表面付近へと移動する事により、内壁部の失透を抑制することができる。
したがって、ランプの光束を低下させること無く且つ失透の発生を抑制することができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透明導電膜への印加電圧は、前記発光部の発光時における前記タングステン電極への駆動電圧と独立して制御されるのが好ましい。
この構成によれば、発光時の駆動電圧とは独立して透明電極への電圧印加が行われるので、透光性容器の内面の帯電具合を調整することができ、透光性容器における失透を効果的に抑制することができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透光性容器は、石英から構成されるのが好ましい。
本発明によれば、上述のように放電管の失透を抑制できるので、放電管の構成材料として失透が生じやすい石英を好適に採用することができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透明導電膜が、前記発光部の鉛直上方における外表面に選択的に設けられるのが好ましい。
ランプ点灯時においては、アーク時の上昇気流によって発光部の鉛直上方の内面に金属陽イオンが優先的に付着する。本発明によれば、鉛直上方の外表面に透明導電膜が形成されることで、透光性容器における失透の生じやすい領域を効率的に帯電させることができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透明導電膜が、前記透光性容器の外表面の全面に形成されているのが好ましい。
この構成によれば、透明導電膜が透光性容器の外表面の全面に形成されているので、透光性容器の内面全体を正に帯電させることができ、透光性容器の内面の全域に亘って失透を抑制することができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透明導電膜は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、及び酸化カドミウムのいずれかを主体として構成されるのが好ましい。
このような材料からなる透明導電膜を備えることで良好に透光性容器の内面を正に帯電させることができる。
また、上記放電ランプにおいては、前記透明導電膜は、その膜厚が1000Å以上3000Å以下に設定されるのが好ましい。
透明導電膜の膜厚を1000〜3000Åに設定することで透光性容器の透過率、すなわち放電ランプの発光特性を低下させるといった不具合を防止できる。
本発明の光源装置は、上記放電ランプと、主反射鏡と、副反射鏡と、を備えたことを特徴とする。
本発明の光源装置によれば、透光性容器の失透が抑制された放電ランプを備えているので、高い輝度性能を長期的に確保可能とした光源装置を得ることができる。
本発明のプロジェクタは、上記の光源装置を備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクタによれば、高い輝度性能を長期的に確保できる光源装置を備えるので、表示品位が高く信頼性の高いプロジェクタを得ることができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(光源装置)
図1は、本発明の光源装置に係る一実施形態の概略構成を示す断面図である。図2は光源装置を駆動するための駆動回路部の構成を示す図である。図3は、放電ランプの動作を説明するための断面構成図である。
図1に示されるように、光源装置100は、本発明の一実施形態に係る放電ランプ101と、リフレクタ102(主反射鏡)と、副反射鏡103を備えており、不図示のランプハウジング内に収納されている。そして、放電ランプ101から放射した光束を、リフレクタ102により装置前方(図1中に示されるX軸方向)側に射出方向を揃えて収束光として射出する。
放電ランプ101は、石英ガラス(主な組成はSiOである)から構成される透光性容器111と、この透光性容器111内に配置される一対のタングステン電極112,112とを備えている。透光性容器111は、中央部分が球状に膨出した発光部111Aと、発光部111Aの両側に延在する封止部111Bとからなり、発光部111Aの内部に略球状の放電空間Kが形成されている。そして、この放電空間K内に、一対のタングステン電極112,112と封入物が封入されている。
封入物としては、水銀、希ガス、ハロゲン化合物などが挙げられる。希ガスは、発光を促すために用いられるものであり、特に限定されないが、常用されるアルゴン、キセノンなどを用いることができる。さらに、ハロゲン化合物は、塩素、臭素、およびヨウ素のうちのいずれかのハロゲンを用いることができ、特に臭素を用いることが好ましい。
タングステン電極112は、電極軸112a、放熱用コイル112b、及び放電端部C1(C2)からなる。放熱用コイル112bは、導通線である芯線を電極軸112aに巻回することによって作製され、放電端部C1,C2は、電極軸112aの一端部をレーザーによって熱溶融することによって熱容量の大きい球状もしくはドーム形状としたものである。電極軸112aと該電極軸112aに巻装された放熱用コイル112bは、溶融一体化されていてもよいし、放熱用コイル112bの巻き占め力によって固定されていてもよい。このようなタングステン電極112,112は、放電空間K内において、放電端部C1、C2同士を対向させ且つ互いに所定間隔をおいて配置されている。
透光性容器111の各封止部111Bの内部には、タングステン電極112と電気的に接続されるモリブデンからなる金属箔113が挿入され、ガラス材料等で封止されている。この金属箔113には、さらに電極引出線としてのニッケル製のリード線114が接続され、このリード線114は、透光性容器111の外部まで延出している。
本実施形態に係る放電ランプ101は、透光性容器111の外表面を覆った状態に透明導電膜116が形成されている。本実施形態では、透明導電膜116は、発光部111Aおよび封止部111Bのいずれも覆った状態に形成されている。また、封止部111Bの一端部(発光部111Aと反対側)には金属帯118,118がそれぞれ形成されている。この金属帯118,118には後述するように外部電極から正の電圧が印加されるようになっている。
透明導電膜116は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、及び酸化カドミウム等のいずれかを主体として構成されている。透明導電膜116の構成材料として、上記材料を用いることで放電ランプ101の発光特性の低下を防止するとともに、詳細については後述するように発光部111Aを良好に帯電可能となっている。なお、本実施形態においては、透明導電膜116がITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)から構成されている。
上記透明導電膜116の膜厚は、1000Å以上3000Å以下に設定することが好ましい。透明導電膜116は、例えば、膜厚が1000〜1500Åの場合、透過率(波長550nmの場合)が85%以上とされ、膜厚が2000〜3000Åの場合、透過率(波長550nmの場合)が80%以上とされる。
このように、透明導電膜116の膜厚を1000〜3000Åに設定することで透光性容器111の透過率、すなわち放電ランプ101の発光特性を低下させるといった不具合を防止できる。
リフレクタ102は、放電ランプ101の封止部111Bが挿通される挿入部121およびこの挿入部121から拡がる楕円曲面状の反射部122を備えたガラス製の一体成形品である。挿入部121には、中央に挿入孔123が形成されており、この挿入孔123の中心に透光性容器111の封止部111Bが配置される。反射部122は、楕円曲面状の反射面122Aに金属薄膜を蒸着形成して構成され、可視光を反射して赤外線を透過するコールドミラーとされている。そして、この反射面122Aの焦点位置と一対のタングステン電極112の中心位置とが略一致するように構成されていることが好ましい。なお、リフレクタ102の形状は、これに限られず、変更が可能である。
副反射鏡103は、反射面133Aを発光部111A側に向けてリフレクタ102と対向配置されている。この副反射鏡103は、放電ランプ101の封止部111Bが挿通される挿入部131と、該挿入部131から拡がる楕円曲面状の反射部132とを備えたガラス製の一体成形品であって、リフレクタ102よりも小型の反射部材である。挿入部131には、中央に挿入孔133が形成されており、この挿入孔133の中心に透光性容器111の封止部111Bが配置される。反射部132は、放電空間Kの球面に倣う凹曲面状の反射面133Aに金属薄膜を蒸着形成して構成され、リフレクタ102と同様にコールドミラーとされている。そして、反射面133Aの2つの焦点位置と、一対のタングステン電極112の放電端部C1、C2の位置とがそれぞれ略一致するように構成されていることが好ましい。
なお、リフレクタ102の反射面122A及び副反射鏡103の反射面133Aは、楕円曲面だけでなく球面で構成することもできる。
上記リフレクタ102及び副反射鏡103に放電ランプ101を固定する際には、挿入孔123及び挿入孔133内に無機系接着剤を充填し、リフレクタ102及び副反射鏡103に放電ランプ101の一対の封止部111Bが水平となるように固定する。
そして、光源装置100を駆動させると、放電ランプ101のタングステン電極112間の放電により発生した光が、放電空間K内の様々な方向へ放射される。発光部111Aから射出された光束の一部は、透光性容器111を透過して副反射鏡103へ入射し、その反射面133Aにて反射されて発光部111Aに再度戻される。この戻り光の一部は、リフレクタ102側に向けて進み、リフレクタ102へ入射した光は、反射部122の反射面122Aで反射して所定の方向に射出する。放電ランプ101を点灯すると、発光部111Aから放射された光束は、リフレクタ102及び副反射鏡103により、略コリメート光として所定の方向へ射出される。
図2に示されるように、放電ランプ101は駆動回路部160を備えている。この駆動回路部160は、第1の回路系160Aと第2の回路系160Bとを含んでいる。第1の回路系160Aは、放電ランプ101を駆動するためのものである。第2の駆動回路系160Bは、発光部111Aの発光時に上記透明導電膜116に正の電圧を印加するためのものである。
第1の回路系160Aは、直流電源161とバラスト162とからなり、バラスト162から出力される交流電圧が放電ランプ101の一対のリード線114,114に接続される。
図3は、バラスト162の構成を詳しく示すブロック図である。直流電源161は、不図示の交流電源に接続され、所定の直流電圧をバラスト162に供給する。バラスト162は、放電ランプ101が点灯に必要とする電力を供給するためのDC/DCコンバータ163と、このDC/DCコンバータ163の出力を所定の周波数の交流電流に変換するDC/ACインバータ164と、始動時に放電ランプ101に高圧パルスを重畳するための高圧発生器165と、放電ランプ101のランプ電流を検知するための電流検出部166と、放電ランプ101のランプ電圧を検知するための電圧検出部167と、DC/DCコンバータ163およびDC/ACコンバータ164の出力を制御する制御部168とを備えている。
制御部168は、電流検出部166および電圧検出部167の検出信号を受けて、放電ランプ101へ供給する電力が所定の一定の値になるように上記DC/DCコンバータ163およびDC/ACコンバータ164を制御するようになっている。
また、第2の回路系160Bは、直流電源170から構成されている。この直流電源170は、透光性容器111の外周面に形成された透明導電膜116に電気的に接続される。具体的には、上記各封止部111B、111Bの端部には上記透明導電膜116を覆った状態に金属帯118,118がそれぞれ形成されており、直流電源170は金属帯118を介して透明導電膜116に接続される。
また、直流電源170には、不図示の制御部が接続されており、これにより上記発光部111Aの発光時に透明導電膜116に対して正の電圧を印加できるようになっている。すなわち、本実施形態においては、上記第1の回路系160A及び第2の回路系160Bを含む駆動回路部160により透明導電膜116への印加電圧を、ランプ点灯時におけるタングステン電極112,112への駆動電圧とは独立して制御可能に構成されている。なお、上記透明導電膜116を発光時のトリガとして利用するようにしてもよい。
上述した放電ランプ101において、封止部111Bから外側に延出するリード線114に上記駆動回路部160により電圧を印加すると、図4に示されるようにタングステン電極112間のアーク発生部115にて放電が生じ、発光部111Aが発光する。本実施形態では、放電ランプ101を第1の回路系160Aにより交流点灯させるようにしている。例えば、本実施形態では、放電ランプ101の始動電圧が約600V(電界強度500KV/m)に設定され、定常時電圧が約50V(電界強度50KV/m)に設定されている。
ところで、上記放電ランプ101においても、従来の放電ランプと同様、発光部111Aの放電空間K内に不純物が混入されてしまう。このような不純物のうち、特にアルカリ金属はアーク放電の熱によりイオン化し、金属陽イオンを生成する。このような金属陽イオンは発光部111Aの内壁面に付着し、失透を引き起こす要因となっていた。
また、放電ランプ101は、発光時、アーク放電の熱によりタングステン電極112,112が蒸発し、金属陽イオン化される(タングステンイオン:W)。さらに、放電室内ではアーク放電の熱によって種々な金属陽イオンが生成される可能性もある。
これに対して、本実施形態に係る放電ランプ101においては、上述のように発光部111Aを発光させる際、第2の回路系160Bの直流電源170により透光性容器111の外表面に設けられた透明導電膜116に正の電圧が印加される。具体的には、透明導電膜116に対して+50V以上+600V以下の電圧が印加され、+300V程度の電圧を印加するのがより望ましい。透明導電膜116に+300Vの電圧を印加する場合、例えば透光性容器111の厚さを2mmとすると電界強度が150KV/mとなる。
上述のように透明導電膜116に正(+)の電圧が印加されると、図5に示されるように透光性容器111における透明導電膜116との界面側(外面側)は負(−)に帯電する。これに伴って、透光性容器111の内壁は正(+)に帯電する。
この構成によれば、図6に示されるように、透光性容器111の内壁を正(+)に帯電することで、放電空間K内の金属陽イオンを透光性容器111の内壁に付着させ難くすることができる。また、透光性容器111は、上述のように外面側が負(−)、内面側が正(+)に帯電するため、透光性容器111内に電界が発生する。これにより、透光性容器111を構成する石英ガラス中に含まれている不純物(特にアルカリ金属)は、電界の影響により内壁より外面付近へと移動することとなり、内壁部の失透を防止することができる。また、タングステン電極112,112が蒸発したタングステンイオンは、透光性容器111の内壁部への付着が防止されるため、放電空間K内に封入されているハロゲン元素と結合して放電空間K内を浮遊した後、再びタングステン電極112,112へと戻されることとなる(ハロゲンサイクル)。
また、本実施形態においては、上述のように透明導電膜116への印加電圧とタングステン電極112,112への駆動電圧とが独立に制御されるので、透光性容器111の内面の帯電具合を良好に調整することができ、透光性容器111における失透を効果的に抑制できる。
このように本実施形態に係る放電ランプ101によれば、ランプの発光時において透光性容器111の外表面に設けられた透明導電膜116に正の電圧が印加されるので、透明導電膜116により発光部111Aの外表面が負に帯電する。そして、負に帯電した発光部111Aの外表面に対応する内壁面を正に帯電させることができる。これにより、ランプの発光時に金属陽イオンを透光性容器111の内壁面に付着させ難くすることができる。なお、透明導電膜116は発光部111Aから射出される光を遮ることがない。
したがって、ランプの光束を低下させること無く且つ失透の発生を抑制することができる。
また、この放電ランプ101を備えた光源装置100は、上述のように透光性容器111の失透を抑制した放電ランプ101を備えるので、高い輝度特性を長期的に確保できるものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の放電ランプおよび光源装置に係る一実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。例えば、透明導電膜116は、必ずしも透光性容器111の外表面の全域を覆っている必要は無く、少なくとも上記発光部111Aの外周面の一部を覆った状態に形成されていれば従来に比べて失透の発生を抑制することができる。
このように発光部111Aの一部に透明導電膜116を形成する場合、発光部111Aの鉛直上方における外表面に透明導電膜116を選択的に形成することが望ましい。
ランプの点灯時においては、アーク時の上昇気流によって金属陽イオンが透光性容器111(発光部111A)の鉛直上方の内壁に優先的に付着する。この構成によれば、透光性容器111における失透の生じやすい位置に選択的に正に帯電させることが可能となる。
(プロジェクタ)
図7は、本発明に係るプロジェクタ500の概略構成を示す。光源装置100は、上記実施形態で説明したものと同一であるため重複する説明は省略する。
光源装置100は、赤色光(以下、「R光」という。)、緑色光(以下、「G光」という。)、及び青色光(以下、「B光」という。)を含む光を供給する。
インテグレータ504は、光源装置100からの光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子505にて特定の振動方向を有する偏光光、例えばS偏光光に変換される。S偏光光に変換された光は、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー506Rに入射する。
R光透過ダイクロイックミラー506Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー506Rを透過したR光は、反射ミラー507に入射する。
反射ミラー507は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、R光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Rに入射する。光変調装置510Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。なお、ダイクロイックミラーを透過しても、光の偏光方向は変化しないため、光変調装置510Rに入射するR光は、S偏光光のままの状態である。
光変調装置510Rは、λ/2位相差板523R、ガラス板524R、第1偏光板521R、液晶パネル520R、及び第2偏光板522Rを有する。λ/2位相差板523R及び第1偏光板521Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板524Rに接する状態で配置される。ガラス板524Rに接することにより、第1偏光板521R及びλ/2位相差板523Rが、発熱により歪んでしまうという問題を回避できる。
なお、図7において、第2偏光板522Rは独立して設けられているが、液晶パネル520Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム512の入射面に接する状態で配置しても良い。
光変調装置510Rに入射したS偏光光は、λ/2位相差板523RによりP偏光光に変換される。P偏光光に変換されたR光は、ガラス板524R及び第1偏光板521Rをそのまま透過し、液晶パネル520Rに入射する。液晶パネル520Rに入射したP偏光光は、画像信号に応じた変調により、R光がS偏光光に変換される。液晶パネル520Rの変調により、S偏光光に変換されたR光が、第2偏光板522Rから射出される。このようにして、光変調装置510Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。
R光透過ダイクロイックミラー506Rで反射されたG光とB光とは、光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー506Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー506Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー506Gで反射されたG光は、G光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Gに入射する。光変調装置510GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。光変調装置510Gは、液晶パネル520G、第1偏光板521G及び第2偏光板522Gを有する。
光変調装置510Gに入射するG光は、S偏光光に変換されている。光変調装置510Gに入射したS偏光光は、第1偏光板521Gをそのまま透過し、液晶パネル520Gに入射する。液晶パネル520Gに入射したS偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がP偏光光に変換される。液晶パネル520Gの変調により、P偏光光に変換されたG光が、第2偏光板522Gから射出される。このようにして、光変調装置510Gで変調されたG光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。
B光透過ダイクロイックミラー506Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ508と、2枚の反射ミラー507とを経由して、B光を画像信号に応じて変調する光変調装置510Bに入射する。光変調装置510Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブである。
なお、B光にリレーレンズ508を経由させるのは、B光の光路の長さがR光及びG光の光路の長さよりも長いためである。リレーレンズ508を用いることにより、B光透過ダイクロイックミラー506Gを透過したB光を、そのまま光変調装置510Bに導くことができる。光変調装置510Bは、λ/2位相差板523B、ガラス板524B、第1偏光板521B、液晶パネル520B、及び第2偏光板522Bを有する。なお、光変調装置510Bの構成は、上述した光変調装置510Rの構成と同様なので、詳細な説明は省略する。
光変調装置510Bに入射するB光は、S偏光光に変換されている。光変調装置510Bに入射したS偏光光は、λ/2位相差板523BによりP偏光光に変換される。P偏光光に変換されたB光は、ガラス板524B及び第1偏光板521Bをそのまま透過し、液晶パネル520Bに入射する。液晶パネル520Bに入射したP偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がS偏光光に変換される。液晶パネル520Bの変調により、S偏光光に変換されたB光が、第2偏光板522Bから射出される。光変調装置510Bで変調されたB光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512に入射する。
このように、色分離光学系を構成するR光透過ダイクロイックミラー506RとB光透過ダイクロイックミラー506Gとは、光源装置100から供給される光を、R光、G光、B光に分離する。
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512は、2つのダイクロイック膜512a、512bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜512aは、B光を反射し、R光、G光を透過する。ダイクロイック膜512bは、R光を反射し、B光、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム512は、光変調装置510R、光変調装置510G、及び光変調装置510Bでそれぞれ変調されたR光、G光及びB光を合成する。投写レンズ514は、クロスダイクロイックプリズム512で合成された光をスクリーン516に投写する。これにより、スクリーン516上でフルカラー画像を得ることができる。
なお、上述のように、光変調装置510R及び光変調装置510Bからクロスダイクロイックプリズム512に入射される光は、S偏光光となるように設定される。また、光変調装置510Gからクロスダイクロイックプリズム512に入射される光は、P偏光光となるように設定される。このようにクロスダイクロイックプリズム512に入射される光の偏光方向を異ならせることで、クロスダイクロイックプリズム512において各色光用光変調装置から射出される光を有効に合成できる。ダイクロイック膜512a、512bは、通常、S偏光光の反射特性に優れる。このため、ダイクロイック膜512a、512bで反射されるR光及びB光をS偏光光とし、ダイクロイック膜512a、512bを透過するG光をP偏光光としている。
プロジェクタ500は、上述した実施形態の光源装置100を備えている。光源装置100は失透を抑制することで高輝度な照明光を長期に亘って照射することが可能である。そのため、小型、軽量なプロジェクタ500は、表示品位が高く信頼性の高い投写像を得ることができる。なお、光変調装置として、反射型の液晶パネルやDMDを用いることもできる。
また、プロジェクタの構成は3板式の構成に限られず、単板式の構成、又は本発明の主旨を逸脱しない範囲の構成であれば適宜変更が可能である。
本実施形態に係る光源装置の全体構成を示す図である。 光源装置を駆動するための駆動回路部の構成を示す図である。 駆動回路部のバラストの詳細構成を示す図である。 放電ランプの駆動時を説明するための概略構成図である。 透明導電膜に電圧を印加した際の透光性部材の帯電状態を示す図である。 透明導電膜に係る作用を説明するための図である。 プロジェクタの一実施形態に係る構成を示す図である。
符号の説明
100…光源装置、101…放電ランプ、102…リフレクタ(主反射鏡)、103…副反射鏡、111…透光性容器、111A…発光部、112…タングステン電極、116…透明導電膜、500…プロジェクタ

Claims (9)

  1. 透光性容器と、該透光性容器内に対向配置されるタングステン電極と、を備え、前記透光性容器の発光部における外表面の少なくとも一部に前記発光部の発光時に正の電圧が印加される透明導電膜が設けられることを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記透明導電膜への印加電圧は、前記発光部の発光時における前記タングステン電極への駆動電圧と独立して制御されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
  3. 前記透光性容器は、石英から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電ランプ。
  4. 前記透明導電膜が、前記発光部の鉛直上方における外表面に選択的に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放電ランプ。
  5. 前記透明導電膜が、前記透光性容器の外表面の全面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放電ランプ。
  6. 前記透明導電膜は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、及び酸化カドミウムのいずれかを主体として構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の放電ランプ。
  7. 前記透明導電膜は、その膜厚が1000Å以上3000Å以下に設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放電ランプ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の放電ランプと、主反射鏡と、副反射鏡と、を備えたことを特徴とする光源装置。
  9. 請求項8に記載の光源装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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