JP2006120358A - 光源装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源装置は、電極111A間で放電発光が行われる発光部111、および前記発光部の両端に設けられる封止部1121,1122を備える発光管11と、前記発光管から放射された光束を一定方向に揃えて射出する反射鏡12と、前記発光管の電極111Aに電気的に接続された配線部材112Aの溶接部113Aの温度上昇を抑制するフロスト加工部1121Aとを備える。
【選択図】図3
Description
このプロジェクタの光源装置としては、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等の各種発光管に反射鏡を取り付けたものが使用されている。そして、発光管の両側に設けられた封止部の内部には配線部材が配され、外部からのリード線と溶接されることにより、発光管と外部電源との導通を図る構成となっている。
一方、封止部に埋設されているモリブデン箔は、リード線と石英ガラス(封止部の構成材料)との微細な隙間を通して空気にふれている。このモリブデンは、350℃程度の高温になると非常に酸化されやすくなる性質がある。酸化が進むと体積が増え、石英ガラスがモリブデンの体積増加に耐えられなくなった時点で封止部の破損が起こり、モリブデン箔も切れてしまう。
特に、発光管の先端側に位置する封止部は、発光管の基部側(反射鏡側)に位置する封止部に比べてより高温になることから、封止部先端近傍に位置する配線部材の溶接部分は酸化劣化が生じやすい。
そのため、発光管の先端側に位置する封止部の長さを長くしたり(例えば、特許文献1)、封止部に放熱フィンを溶着することが試みられている(例えば、特許文献2)。
前記発光管から放射された光束を一定方向に揃えて射出する反射鏡とを備えた光源装置であって、前記封止部の外周面には、前記発光部から放射され、前記封止部内を進行する光を封止部外部に拡散するフロスト加工部が形成されていることを特徴とする。
ここで、封止部の外周面にフロスト加工部を形成するには、物理的加工や化学的加工のいずれでもよい。封止部内部から直進してくる光束に対して、封止部界面における反射を抑え、封止部から外部に光が拡散放射されるような凹凸面が形成されればよい。
従来、電極間で放電発光が行われる発光部とその両端に設けられる封止部とを備える発光管においては、発光部からある程度離れた部分では、光束の封止部界面への入射角が臨界角を超えてしまうため、光束が封止部内に全反射してしまい、内部の光は外部に出られなかった。それ故、封止部内に残留する光が熱となって蓄積し、特に封止部先端付近に位置する配線部材の溶接個所の温度上昇をもたらしていた。
本発明は、このように、封止部内に反射する光が熱となって、配線部材の溶接個所の過剰な温度上昇を招き、ひいては、溶接個所の酸化劣化が進み断線という事態を招くことを発見したことに基づいている。すなわち、本発明では、フロスト加工部により、従来、外部に出られなかった光を、封止部界面から外部に拡散放射してしまい、封止部内部に光を残留させないため、封止部内に配された配線部材の溶接個所の過熱を効果的に抑制する。その結果、溶接部を構成する金属の酸化劣化を防止して、断線までの寿命を大幅に伸ばすことができる。
本発明の光源装置は、副反射鏡を備えているため、発光管から外部に漏れる光を反射して反射鏡に照射するため、発光部からの光の利用効率は非常に向上する。その一方で、副反射鏡は、いったん外部に漏れ出た光を発光管の内部に反射して戻す構成を取るため、発光管内部、特に封止部内に存在する光の総量は、副反射鏡のない光源装置に比べて多くなり、封止部の除熱が一層重要となる。
また、温度上昇で問題となるのは、発光管先端側に位置する封止部であり、特に金属箔とリード線との溶接部のうち、封止部先端側に位置する個所の過熱が問題となる。本発明では、前記フロスト加工部は、この副反射鏡が設けられる側の封止部に形成されているため、最も問題となる個所の過熱を効果的に抑えることができる。それ故、金属箔とリード線との溶接部を構成する金属の酸化劣化を防ぐことにより、断線までの寿命を大幅に伸ばすことが可能となる。
ここで、粗面加工には、物理的加工法として、研削・研磨等(例えば、サンドブラスト加工)があり、化学的加工法としては、エッチング処理やケミブラスト処理等がある。
専用の発光管を製造するまでもなく、市販の発光管を購入してこのような加工を別途行ってもよい。
本発明によれば、封止部の外周面が粗面加工により形成されているため、封止部内から直進してきた光束が界面で反射しにくくなり、外部に拡散放射される割合が向上する。特に、全反射領域であった場所では、直進してきた光束が封止部と大気との界面に到達する際に、界面への入射角が臨界角未満である領域が生じるため、全反射ではなく屈折により封止部外に出る光が生じるようになり、外部への拡散放射効果が大きい。
本発明によれば、封止部の内部を貫通する配線部材として金属箔が用いられているため、その熱膨張により、発光管内の高い圧力に対しても気密性を保持している。
金属箔は、薄板状に形成されているため、封止部内で内面反射が繰り返されると、この金属箔で光が吸収され、金属箔及びリード線が過熱されることになる。それ故、この部分で内面反射光束を外部に拡散することができれば、金属の加熱を効果的に抑えることができる。
本発明では、フロスト加工部の範囲は封止部の長手方向のうち、金属箔が埋め込まれている範囲と少なくも一部が重複しているため、金属箔から反射してくる光を効果的に外部に拡散放射できる。それ故、金属箔の温度が過度に上昇することがなく、リード線との溶接部付近であっても破断の起点となりにくくなる。
なお、リード線としては、通常、材料として鉄やニッケルが用いられるが、金属箔としては、耐熱性の観点よりモリブデン箔が好ましい。
本発明によれば、プロジェクタは上述した光源装置を備えているので、この光源装置と同様の作用および効果を享受できる。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、本発明に係る光源装置を搭載したプロジェクタ1の光学系を示す模式図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、スクリーン上に拡大投射する光学機器である。
このプロジェクタ1は、図1に示すように、光源装置10、均一照明光学系20、色分離光学系30、リレー光学系35、光学装置40、および投射光学装置としての投射光学系50を備えて構成され、これらの光学系20、30,35を構成する光学素子および光学装置40は、所定の照明光軸Aが設定された光学部品用筐体2内に位置決め調整されて収納されている。
そして、発光管11から放射された光束は、楕円反射鏡12により光源装置10の前方側に射出方向を揃えて収束光として射出され、平行化凹レンズ14によって平行化され、均一照明光学系20に射出される。
第1レンズアレイ21は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成される。
第2レンズアレイ22は、上述した第1レンズアレイ21により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ21と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成を有している。
この偏光変換素子23は、図示を略したが、照明光軸Aに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射膜を交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射膜によって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Aに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子23の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、略全ての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子23を用いることにより、発光管11から射出される光束を、略一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置40で利用する光源光の利用率を向上することができる。
この重畳レンズ24から射出された光束は、反射ミラー25で曲折されて色分離光学系30に射出される。
ダイクロイックミラー31,32は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。そして、光路前段に配置されるダイクロイックミラー31は、赤色光を透過し、その他の色光を反射するミラーである。また、光路後段に配置されるダイクロイックミラー32は、緑色光を反射し、青色光を透過するミラーである。
クロスダイクロイックプリズム43は、前記射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム43は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜は、青色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム43から射出されたカラー画像は、投射光学系50によって拡大投射され、図示を略したスクリーン上で大画面画像を形成する。
図2は、光源装置10の概略構成を示す断面図である。
光源装置10は、図2に示すように、発光管11に副反射鏡13が取り付けられ、これら発光管11および副反射鏡13が楕円反射鏡12の内部に配置される構成を具備している。
発光管11は、図2に示すように、中央部が球状に膨出した石英ガラス管から構成され、中央部分が発光部111と、この発光部111の両側に延びる一方の封止部1121と他方の封止部1122とを備える。
ここで、発光管11としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
発光部111の両側に延出する封止部1121および封止部1122の内部には、発光部111の電極と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔112Aがそれぞれ挿入され、ガラス材料等で封止されている。各金属箔112Aには、さらに電極引出線としてのリード線113が接続され、このリード線113は、発光管11の外部まで延出している。
そして、リード線113に電圧を印加すると、図2に示すように、金属箔112Aを介して電極111A間に電位差が生じて放電が生じ、アーク像Dが生成して発光部111が発光する。
なお、発光部111の外周面には、タンタル酸化膜、ハフニウム酸化膜、チタン酸化膜等を含む多層膜の反射防止コートを施しておくと、そこを通過する光の反射による光損失を低減することができる。
首状部121には、中央に挿入孔123が形成されており、この挿入孔123の中心に封止部1122が配置される。
反射部122は、回転楕円面状のガラス面に金属薄膜を蒸着形成して構成された反射面122Aを備え、この反射部122の反射面122Aは、可視光を反射して赤外線を透過するコールドミラーとされる。
そして、発光管11を点灯すると、発光部111から放射された光束は、反射部122の反射面122Aで反射して、回転楕円面の第2焦点位置L2に収束する収束光となる。
このとき、第2焦点位置L2と発光管11の光束射出方向先端側の封止部1121の端部とを結ぶ境界線L3およびL4の内側部分は、楕円反射鏡12で反射した光束が封止部1121によって遮られてしまうため、第2焦点位置L2に届かない、光束利用不可能領域となる。
前述のようにこのような副反射鏡13を用いることにより、発光部111から楕円反射鏡12とは反対側(前方側)に放射される光束が、発光管11から楕円反射鏡12の反射面122Aに直接入射した光束と同様に、楕円反射鏡12の第2焦点F2位置に収束させることができる。
従来の副反射鏡13を設けない光源装置は、発光管11から射出された光束を楕円反射鏡のみで第2焦点F2位置に収束しなければならず、楕円反射鏡の開口部を広げなければならなかった。
また、副反射鏡13を設けることにより、第2焦点F2での集光スポット径を小さくするために楕円反射鏡12の第1焦点F1と第2焦点F2を近づけたとしても、発光部111から放射された光のほとんど全てが楕円反射鏡12および副反射鏡13により第2焦点に集光されて利用可能となり、光の利用効率を大幅に向上させることができる。このことから、比較的低出力の発光管11が採用可能となり、発光管11および光源装置10の低温化を図ることも可能である。
なお、上記利用可能限界光を、発光管11の構造によって定まる限界光とした場合、本実施形態によれば、発光部111から光源装置10の後側に出射される光のほぼ全てが利用できることになる。
図3は、光源装置10を構成する発光管11を拡大して示した断面図である。
発光管11は、図3に示すように、中央部が球状に膨出した石英ガラス管から構成され、中央部分の発光部111と、この発光部111の両側に延びる一方に封止部1121と他方に封止部1122とを備える。封止部1121は、反射鏡12の中央基部より突き出ている発光管11の先端側に位置しており、封止部1122は発光管11の基端側に位置している。
ここで、封止部1121は、その外周面の一部に、サンドブラスト加工により粗面化された円筒状の粗面加工部1121Aがフロスト加工部として形成されている。この粗面加工部1121Aは、サンドブラスト加工のような物理的粗面加工により容易に形成することができるが、化学的粗面加工により形成してもよい。
それ故、モリブデン箔自身の酸化劣化を防止するだけでなく、リード線113との溶接部113Aに過大な応力が発生することもないためも、溶接部における断線を防止できる。結果として、光源装置の主要構成部品である発光管の寿命を大幅に延ばすことが可能となる。また、発熱量の減少により、冷却機構の省電力化を図ることも可能である。
前記実施形態では、3つの液晶パネル42R,42G,42Bを用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、プロジェクタに本発明の光源装置を採用していたが、本発明はこれに限らず、他の光学機器に本発明の光源装置を適用してもよい。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易に
するために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの
形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明
に含まれるものである
Claims (5)
- 電極間で放電発光が行われる発光部、及び、前記発光部の両端に設けられ、前記電極に電気的に接続される配線部材が封入された封止部を備えた発光管と、
前記発光管から放射された光束を一定方向に揃えて射出する反射鏡とを備えた光源装置であって、
前記封止部の外周面には、前記発光部から放射され、前記封止部内を進行する光を封止部外部に拡散するフロスト加工部が形成されていることを特徴とする光源装置。 - 請求項1に記載の光源装置において、
反射面が前記反射鏡の反射面と対向配置され、前記発光管の前記発光部から放射された光束を前記反射鏡に向けて反射する副反射鏡を備え、
前記フロスト加工部は、この副反射鏡が設けられる側の封止部に形成されていることを特徴とする光源装置。 - 請求項1または請求項2に記載の光源装置において、
前記フロスト加工部は、前記封止部の外周面への粗面加工により形成されたものであることを特徴とする光源装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置において、
前記封止部の内部を貫通する前記配線部材は、その一部が金属箔で構成され、
前記フロスト加工部の範囲は、前記封止部の長手方向のうち、前記金属箔が埋設された範囲と少なくとも一部が重複することを特徴とする光源装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、前記光学像を拡大投射するプロジェクタであって、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置を備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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JP2004304516A JP2006120358A (ja) | 2004-10-19 | 2004-10-19 | 光源装置、およびプロジェクタ |
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JP2008041556A (ja) * | 2006-08-09 | 2008-02-21 | Seiko Epson Corp | 光源ランプ、光源装置およびプロジェクタ |
JP2009059683A (ja) * | 2007-08-06 | 2009-03-19 | Seiko Epson Corp | 発光管、光源装置及びプロジェクタ |
CN103676432A (zh) * | 2012-09-03 | 2014-03-26 | 华灯光电股份有限公司 | 投射灯具 |
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2004
- 2004-10-19 JP JP2004304516A patent/JP2006120358A/ja active Pending
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JP4645554B2 (ja) * | 2006-08-09 | 2011-03-09 | セイコーエプソン株式会社 | 光源ランプ、光源装置およびプロジェクタ |
JP2009059683A (ja) * | 2007-08-06 | 2009-03-19 | Seiko Epson Corp | 発光管、光源装置及びプロジェクタ |
JP4525803B2 (ja) * | 2007-08-06 | 2010-08-18 | セイコーエプソン株式会社 | 発光管、光源装置及びプロジェクタ |
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