JP2010151348A - 空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動圧縮機等の過剰発熱を防止しつつ、乗員の快適性を極力確保できる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】電力によって駆動される電動モータと電動モータの回転によって回転駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機能部とを有する電動圧縮機を備え、電動圧縮機で圧縮された冷媒を冷凍サイクル内を循環させることによって冷媒の熱を空気温度の調整に使用する空気調和装置であって、電動圧縮機からの冷媒吐出温度に温度しきい値を設け、電動モータに供給される電力に電力しきい値を設け、冷媒吐出温度が温度しきい値を超え、且つ、電動モータへの供給電力が電力しきい値を超えた場合に電動圧縮機の回転数を減少させる制御を行う。
【選択図】図2
【解決手段】電力によって駆動される電動モータと電動モータの回転によって回転駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機能部とを有する電動圧縮機を備え、電動圧縮機で圧縮された冷媒を冷凍サイクル内を循環させることによって冷媒の熱を空気温度の調整に使用する空気調和装置であって、電動圧縮機からの冷媒吐出温度に温度しきい値を設け、電動モータに供給される電力に電力しきい値を設け、冷媒吐出温度が温度しきい値を超え、且つ、電動モータへの供給電力が電力しきい値を超えた場合に電動圧縮機の回転数を減少させる制御を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、いわゆる電動圧縮機で圧縮された冷媒を冷凍サイクル内を循環させ、冷媒の熱を空気温度の調整に使用する空気調和装置に関し、特に、電動圧縮機を含む冷凍サイクルの構成部品の過剰発熱を防止する技術に係わる。
電動圧縮機の過剰発熱を防止する従来例としては、特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。これら従来例は、電力によって駆動される電動モータと電動モータの回転によって回転駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機能部とを有する圧縮機にあって、電動モータのコイル温度に温度しきい値を設け、コイル温度が温度しきい値を超えた場合には電動モータの回転数を制限するものである。
これによって、電動モータのコイル温度が過剰温度になることを防止し、圧縮機(電動モータを含む)を保護するものである。
特開平8−40053号公報
特開平9−300951号公報
しかしながら、前記従来例では、圧縮機が過剰温度になるのを電動モータのコイル温度にのみ基づいて防止しようとしているため、圧縮機の耐熱温度に対して温度しきい値を十分に余裕を持った値に設定する必要がある。つまり、電動モータの駆動時の発熱特性は電動モータに印加する電力に依存するため、印加電力が最大値であると仮定して温度しきい値を設定する必要がある。このように電動モータのコイル温度の温度しきい値を低く設定すると、電動モータへの印加電力が小さくてそのままの回転数で電動モータを駆動しても圧縮機が耐熱温度に達しないような場合にも圧縮機の回転数が制限されることになり、乗員の快適性を損なう可能性がある。
そこで、本発明は、圧縮機等の過剰発熱を防止しつつ、乗員の快適性を極力確保できる空気調和装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1の発明は、電力によって駆動される電動モータと前記電動モータの回転によって回転駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機能部とを有する圧縮機を備え、前記圧縮機で圧縮された冷媒を冷凍サイクル内を循環させることによって冷媒の熱を空気温度の調整に使用する空気調和装置であって、前記圧縮機からの吐出冷媒温度及び前記電動モータのコイル温度の少なくともいずれか一方に温度しきい値を設け、前記電動モータに供給される電力に電力しきい値を設け、吐出冷媒温度及びコイル温度の少なくともいずれか一方の値が温度しきい値を超え、且つ、前記電動モータへの供給電力が電力しきい値を超えた場合に前記圧縮機の回転数を減少させることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の空気調和装置であって、前記電動モータが前記圧縮機の冷媒吸入側に配置されている場合には、前記冷媒吐出温度に温度しきい値を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の空気調和装置であって、前記電動モータが前記圧縮機の冷媒吐出側に配置されている場合には、前記電動モータのコイル温度に温度しきい値を設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気調和装置であって、電力しきい値は、冷房運転時と暖房運転時で異なる値に設定されたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、電動モータのコイル温度や吐出冷媒の温度が温度しきい値を超えても電動モータへの電力値が電力しきい値を超えない場合、又はその逆に、電動モータへの電力値が電力しきい値を超えても電動モータのコイル温度や吐出冷媒の温度が温度しきい値を超えない場合には、圧縮機の回転数をそのまま維持しても圧縮機等の温度が耐熱温度に対して余裕があるため、このような場合には圧縮機の回転数を減少させない。そして、電動モータのコイル温度や吐出冷媒の温度が温度しきい値を超え、且つ、電動モータへの電力値が電力しきい値を超えた場合には、圧縮機の回転数をそのまま維持すると圧縮機等の温度が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高いため、このような場合にのみ圧縮機の回転数を減少させる。従って、圧縮機等が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高い場合にのみ圧縮機の回転数を予め制限するため、圧縮機の回転数の制限を真に必要な場合に限定できる。以上より、圧縮機等の過剰発熱を防止しつつ、乗員の快適性を極力確保できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、低温である吸入冷媒によって電動モータのコイルが冷却されるため、電動モータのコイルが耐熱温度まで上昇せず吐出冷媒温度が耐熱温度を超える可能性がある。従って、吐出冷媒温度を検知要素とすることにより、極力少ない検知要素で圧縮機等の過剰発熱を確実に防止できる。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、吐出冷媒は高温であり、冷媒による電動モータのコイル冷却降下が低いため、吐出冷媒温度よりも電動モータのコイル温度が耐熱温度を超える可能性が高い。従って、電動モータのコイル温度を検知要素とすることにより、極力少ない検知要素で圧縮機等の過剰発熱を確実に防止できる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、冷房運転では冷凍サイクルの低圧が外気温度に依存しないが、暖房運転では冷凍サイクルの低圧が外気温度に依存するため、圧縮機への吸入温度が高くなり、圧縮機からの吐出温度が傾向として高くなり、又、冷媒密度が低くて電動モータのコイルへの冷却能力が傾向として低くなる。そのため、冷房運転より暖房運転の電力しきい値を低く設定することにより、冷房運転と暖房運転毎に圧縮機の回転数の制限を真に必要な場合に限定でき、乗員の快適性を極力確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示し、図1は車両用空気調和装置の構成図、図2は冷房運転時における電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図3は暖房運転時における電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図4は冷房運転時における電動圧縮機の吐出冷媒温度及び電動モータへの電力値と、これに基づく通常運転と制限運転の推移を示す特性線図である。
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示し、図1は車両用空気調和装置の構成図、図2は冷房運転時における電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図3は暖房運転時における電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図4は冷房運転時における電動圧縮機の吐出冷媒温度及び電動モータへの電力値と、これに基づく通常運転と制限運転の推移を示す特性線図である。
図1に示すように、空気調和装置である車両用空気調和装置1は、冷凍サイクル2を有する。この冷凍サイクル2は、冷房と暖房を兼用できるものであり、超臨界冷媒である炭酸ガス(例えばR744)を冷媒とする。
冷凍サイクル2は、炭酸ガスからなる冷媒を圧縮する圧縮機である電動圧縮機3と、空調ダクト40内で、且つ、エアミックスドア41より上流に配置された室内熱交換器4と、空調ダクト40内で、且つ、エアミックスドア41より下流に配置された室内放熱器5と、エンジンルーム内に配置された室外熱交換器6と、高圧側の冷媒と低圧側の冷媒間で熱交換させる内部熱交換器7と、冷媒を減圧し、減圧レベルが外部からの制御によって調整可能な減圧手段である第1減圧器8及び第2減圧器9と、冷凍サイクル2内の余分な冷媒を一時的に溜め、且つ、圧縮機3にガス冷媒のみを戻すためのアキュムレータ10と、冷媒の循環経路を冷房用循環経路と暖房用循環経路に切り替えする三方弁11、電磁弁12及び複数の逆止弁13,14,15とを備えている。冷房運転が選択されると冷房用循環経路に、暖房運転が選択されると暖房用循環経路に切り替えられる。
電動圧縮機3は、ハウジング内に配置された電動モータ(図示せず)と、ハウジング内に配置され、電力モータによって回転駆動される回転機構部(図示せず)と、冷凍サイクル2からの冷媒を回転機構部に吸入する冷媒吸入経路(図示せず)と、回転機能部で圧縮された吐出冷媒を冷凍サイクル2に吐出する冷媒吐出経路(図示せず)とを備えている。
電動モータは、電力によって駆動され、この電力は制御部(図示せず)によって制御される。又、電動モータは、冷媒吸入側に配置され、低温である吸入冷媒によって冷却されるよう配置されている。
第1減圧器8及び第2減圧器9の開閉状態(減圧レベル)、三方弁11及び電磁弁12の切替位置は、下記する制御部(図示せず)によって制御される。
具体的には、冷房運転が選択されると、第2減圧器9が閉状態に、三方弁11及び電磁弁12が冷媒を室外熱交換器6に流す切替位置とされる。これによって、冷房運転時には、電動圧縮機3で圧縮された冷媒は、室内放熱器5、室外熱交換器6、内部熱交換器7、第1減圧器8、室内熱交換器4、内部熱交換器7を通る冷媒用循環経路で循環する。
電動圧縮機3より吐出された高温高圧の冷媒は、室内放熱器5、室外熱交換器6で放熱される。室内放熱器5は、冷媒と空調ダクト40内を通過する空気との間で熱交換させて冷媒に放熱させる。冷媒の放熱によって、空調ダクト40内を通過する空気は暖風とされる。又、室外熱交換器6は、冷媒と外気との間で熱交換させて冷媒に放熱させる。つまり、室外熱交換器6は、冷房運転時には、室内放熱器5と共に放熱器として使用される。内部熱交換器7で高圧側の冷媒と低圧側の冷媒間で熱交換される。内部熱交換器7から出た冷媒は、第1減圧器8で減圧されて室内熱交換器4に入る。室内熱交換器4は、冷媒と空調ダクト40内を通過する空気との間で熱交換させて冷媒に吸熱させる。冷媒の吸熱によって、空調ダクト40内を通過する空気は冷風とされる。つまり、室内熱交換器4は、冷房運転時には蒸発器として使用される。冷房運転時には、空調ダクト40内を流れる空気は、室内熱交換器4によって作成された冷風と室内放熱器5によって作成された暖風との割合がエアミックスドア41によって調整されることによって所望温度の冷風となって車室内に吹き出される。
暖房運転が選択されると、第1減圧器8が閉状態に、三方弁11及び電磁弁12が冷媒を内部熱交換器7に流す切替位置とされる。これによって、暖房運転時には、電動圧縮機3で圧縮された冷媒は、室内放熱器5、内部熱交換器7、第2減圧器9、室外熱交換器6、内部熱交換器7を通る暖房用循環経路で循環する。
電動圧縮機3より吐出された高温高圧の冷媒は、室内放熱器5で放熱される。室内放熱器5は、冷媒と空調ダクト40内を通過する空気との間で熱交換させて冷媒に放熱させる。これにより、空調ダクト40内を通過する空気が暖風とされる。内部熱交換器7で高圧側の冷媒と低圧側の冷媒間で熱交換される。内部熱交換器7から出た冷媒は、第2減圧器9で減圧されて室外熱交換器6に入り、ここで室外熱交換器6を通過する外気と熱交換して吸熱される。つまり、室外熱交換器6は、暖房運転時には蒸発器として使用される。暖房運転時には、空調ダクト40内を流れる空気と室内放熱器5によって作成される暖風との割合がエアミックスドア41によって調整されることによって所望温度の暖風となって車室内に吹き出される。
また、車両用空気調和装置1には、冷凍サイクル2の運転状況を検知するための各種のセンサが付設されている。冷媒圧力を検知するものとしては、冷凍サイクル2の高圧側の冷媒圧力を検知する圧力センサ20が電動圧縮機3の冷媒吐出側に設けられている。冷媒温度を検知するものとしては、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdを検知する第1冷媒温度センサ21と、室内放熱器5の出口冷媒温度を検知する第2冷媒温度センサ22と、冷房時に室外熱交換器6の出口冷媒温度を検知する第3冷媒温度センサ23とが設けられている。空気温度を検知するものとしては、室内放熱器5を通過した空気の温度を検知する第1空気温度センサ24と、室外熱交換器6が設置された周囲の空気温度(外気温度)を検知する第2空気温度センサ25と、室内熱交換器4を通過した空気の温度Tintを検知する第3空気温度センサ26が設けられている。
これら各種のセンサ20〜26の出力は、制御部(図示せず)に導かれている。制御部は、これらセンサ20〜26の検知情報、ユーザの空調入力情報等に基づいて電動圧縮機3、第1減圧器8、第2減圧器9、三方弁11、電磁弁12等を制御する。又、制御部は、冷房運転時には図2のフローチャートを、暖房運転時には図3のフローチャートをそれぞれ実行して電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品が耐圧温度に達しないように制御する。図2及び図3のフローについては、下記の電動圧縮機3の回転制御の説明で詳しく説明する。
次に、電動圧縮機3の回転制御について説明する。図2において、電動圧縮機3が稼働中であるか否かをチェックする(ステップS0)。電動圧縮機3が稼働中であれば、冷房運転中か暖房運転中か否かをチェックする(ステップS1)。暖房運転中の場合は、下記に説明する。冷房運転中であれば、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)が室内熱交換器4を通過後の目標空気温度Target#int未満であるか否かをチェックする(ステップS20)。室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int未満であれば、冷房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int以上の場合には、先ず、第1冷媒温度センサ21の検知温度Td、つまり電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdを検知し、吐出冷媒温度Tdが第2温度しきい値である150℃を超えているか否かを判断する(ステップS21)。150℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
ここで、150℃は、電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度より決定され、吐出冷媒温度Tdのみによって電動圧縮機3の回転数について制限をかける温度である。具体的には、電動モータへの電力量に係わらずそのままの温度で運転を続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達する温度である。
電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが150℃以下であれば、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第1温度しきい値である140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.5KWを超えているか否かをチェックする(ステップS22,S31)。
ここで、140℃は電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐熱温度により決定される。2.5KWは、電動モータへの許容電力量、運転能力に応じて決定される。つまり、140℃で電動モータへの電力が2.5KW以上であればそのままの回転数で回転し続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達し、電動モータへの電力が2.5W未満であればそのままの回転数で回転し続けても電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達しない可能性が高い。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intを超えているときに、冷房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS43)。又、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS44)。
次に暖房運転の場合を説明する。図3に示すように、暖房運転中であれば、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)が室内放熱器5を通過後の目標空気温度Target_scを超えているか否かをチェックする(ステップS25)。室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_scを超えていれば、暖房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_sc以下の場合には、先ず、第1冷媒温度センサ21の検知温度、つまり、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第2しきい値である150℃を超えているか否かを判断する(ステップS26)。150℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
第1冷媒温度センサ21の検知温度Td(電動圧縮機3の吐出冷媒温度)が150℃以下であれば、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第1温度しきい値である140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.2KWを超えているか否かをチェックする(ステップS27,S36)。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scより低いときに、暖房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS48)。又、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS49)。
つまり、冷房運転時には、電動圧縮機3は、室内熱交換器4の通過後の空気温度Tintが目標温度Target_intより低いと回転数を減少させ、逆に高いと回転数を増加させ、同じ温度になれば回転数を変化させない制御を行う。これにより、室内熱交換器4の通過後の空気温度Tintを目標温度Target_intに一致させる制御を行い、電動圧縮機3は必要冷房能力に基づく回転数で回転される通常運転を行う。
ここで、図4に示すように、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃に達しても電動モータへの電力が2.5KW以下であれば、通常運転をそのまま続行する(T1のタイミング)。その後、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が2.5KWを超えると、電動圧縮機3の回転数を減少させる制限運転に入る(T2のタイミング)。その後、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃以下に下がれば、電動モータへの電力値に係わらず制限運転を止め、通常運転に戻る(T3のタイミング)。又、電動モータへの供給電力が2.2KW以下に下がれば、吐出冷媒温度の値に係わらず制限運転を止め、通常運転に戻る。
暖房運転時には、電動圧縮機3は、室内放熱器5の通過後の空気温度Tscが目標温度Target_scより高いと回転数を減少させ、逆に低いと回転数を増加させ、同じ温度になれば回転数を変化させない制御を行う。これにより、室内放熱器5の通過後の空気温度Tscを目標温度Target_scに一致させる制御を行い、電動圧縮機3は必要暖房能力に基づく回転数で回転される通常運転を行う。
ここで、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃に達しても電動モータへの電力が2.2KW以下であれば、通常運転をそのまま続行する(T1のタイミング)。その後、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が2.2KWを超えると、電動圧縮機3の回転数を減少させる制限運転に入る(T2のタイミング)。その後、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃以下に下がれば、電動モータへの電力値に係わらず制限運転を止め、通常運転に戻る(T3のタイミング)。又、電動モータへの供給電力が2.2KW以下に下がれば、吐出冷媒温度の値に係わらず制限運転を止め、通常運転に戻る。
以上、この第1実施形態では、吐出冷媒の温度が第1温度しきい値を超えても電動モータへの電力値が電力しきい値を超えない場合には、電動圧縮機3の回転数をそのまま維持しても電動圧縮機3等の温度が耐久性に影響を与える温度に達することがないため、このような場合には電動圧縮機3の回転数を減少させない。又逆に、電動モータへの電力値が電力しきい値を超えても吐出冷媒の温度が第1温度しきい値を超えない場合には、耐久性に影響を与える温度に対して余裕があるため、このような場合には電動圧縮機3の回転数を減少させない。そして、吐出冷媒の温度が第1温度しきい値を超え、且つ、電動モータへの電力値が電力しきい値を超えた場合には、電動圧縮機3の回転数をそのまま維持すると電動圧縮機3等の温度が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高いため、このような場合にのみ電動圧縮機3の回転数を減少させる。従って、電動圧縮機3等が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高い場合にのみ電動圧縮機3の回転数を予め制限するため、電動圧縮機3の回転数の制限を真に必要な場合に限定できる。以上より、電動圧縮機3等の過剰発熱を防止しつつ、乗員の快適性を極力確保できる。
また、車両用空気調和装置1は、車両に搭載され、走行停止、風量変化等により環境負荷が変化する。このような環境負荷の変化で過渡的に吐出冷媒温度が上昇しても電動圧縮機3の回転数を減少させるような事態が減り、乗員の快適性を極力維持できる。
この第1実施形態では、電動モータが電動圧縮機3の冷媒吸入側に配置されている場合であり、電動モータのコイル温度ではなく電動圧縮機3からの冷媒吐出温度に第1温度しきい値を設けている。つまり、低温である吸入冷媒によって電動モータのコイルが冷却されることから、電動モータのコイルが耐熱温度まで上昇せず吐出冷媒温度が耐熱温度を超える可能性がある。従って、吐出冷媒温度を検知要素とすることにより、極力少ない検知要素で電動圧縮機3等の過剰発熱を確実に防止できる。
この第1実施形態では、電力しきい値は、冷房運転時と暖房運転時では異なる値に設定されている。冷房運転では冷凍サイクルの低圧が外気温度に依存しないが、暖房運転では冷凍サイクルの低圧が外気温度に依存するため、電動圧縮機3への吸入温度が高くなり、電動圧縮機3からの吐出温度が高くなる傾向にあり、又、冷媒密度が低くて電動モータへの冷却能力が低くなる傾向となる。そのため、冷房運転より暖房運転の電力しきい値を低く設定することにより、冷房運転と暖房運転毎に電動圧縮機3の回転数の制限を真に必要な場合に限定でき、乗員の快適性を極力確保できる。
又、この第1実施形態では、第1温度しきい値の他に第2温度しきい値(第2温度しきい値>第1温度しきい値)を設け、吐出冷媒温度が第2温度しきい値を超えた場合には電動モータへの電力値に係わらず電動圧縮機3の回転数を減少させる制御を行うので、電動圧縮機3等の過剰発熱を更に確実に防止できる。
(第2実施形態)
図5及び図6は本発明の第2実施形態を示し、図5は冷房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図6は暖房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャートである。この第2実施形態における車両用空気調和装置の構成図は、前記第1実施形態のものと同様であるため、図1のものを利用して説明するが、電動モータは、電動圧縮機の冷媒吐出側に配置され、電動モータにはコイル温度Tcoilの検知手段が設けられている。
図5及び図6は本発明の第2実施形態を示し、図5は冷房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図6は暖房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャートである。この第2実施形態における車両用空気調和装置の構成図は、前記第1実施形態のものと同様であるため、図1のものを利用して説明するが、電動モータは、電動圧縮機の冷媒吐出側に配置され、電動モータにはコイル温度Tcoilの検知手段が設けられている。
この第2実施形態は、前記第1実施形態と比較して、吐出冷媒温度ではなく電動モータのコイル温度に温度しきい値を設けた点が相違する。そして、制御部は、冷房運転時には図5のフローチャートを、暖房運転時には図6のフローチャートをそれぞれ実行して電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品が耐久性に影響を与える温度に達しないように制御する。図5及び図6のフローについては、下記の電動圧縮機3の回転制御の説明で詳しく説明する。
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
次に、電動圧縮機3の回転制御について説明する。図5において、電動圧縮機3が稼働中であるか否かをチェックする(ステップS0)。電動圧縮機3が稼働中であれば、冷房運転中か暖房運転中か否かをチェックする(ステップS1)。暖房運転中の場合は、下記に説明する。冷房運転中であれば、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)が室内熱交換器4を通過後の目標空気温度Target_int未満であるか否かをチェックする(ステップS20)。室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int未満であれば、冷房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int以上の場合には、先ず、電動圧縮機3の電動モータのコイル温度Tcoilが第2温度しきい値である160℃を超えているか否かを判断する(ステップS61)。160℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
ここで、コイル温度Tcoilの160℃は、電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐熱温度より決定され、電動モータのコイル温度Tcoilのみによって電動圧縮機3の回転数について制限をかける温度である。具体的には、吐出冷媒温度Tdの値に係わらずそのままの温度で運転を続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達する温度である。
電動モータのコイル温度Tcoilが160℃以下であれば、電動モータのコイル温度Tcoilが第1温度しきい値である150℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.5KWを超えているか否かをチェックする(ステップS62,S31)。
ここで、コイル温度Tcoilの150℃は、電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐熱温度により決定される。2.5KWは、電動モータへの許容電力量、運転能力に応じて決定される。つまり、150℃で電動モータへの電力が2.5KW以上であればそのままの回転数で回転し続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達し、電動モータへの電力が2.5KW未満であればそのままの回転数で回転し続けても電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達しない可能性が高い。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intを超えているときに、冷房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS43)。又、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS44)。
次に暖房運転の場合を説明する。図6に示すように、暖房運転中であれば、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)が室内放熱器5を通過後の目標空気温度Target_scを超えているか否かをチェックする(ステップS25)。室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_scを超えていれば、暖房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_sc以下の場合には、先ず、電動モータのコイル温度Tcoilが第2しきい値である160℃を超えているか否かを判断する(ステップS66)。160℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
電動モータのコイル温度Tcoilが160℃以下であれば、電動モータのコイル温度Tcoilが第1温度しきい値である150℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.2KWを超えているか否かをチェックする(ステップS67,S37)。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scより低いときに、暖房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS48)。又、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS49)。
この第2実施形態は電動モータが電動圧縮機3の冷媒吐出側に配置されている場合であり、電動モータのコイル温度Tcoilに温度しきい値が設けられている。吐出冷媒は高温であり、冷媒による電動モータのコイル冷却降下が低いため、吐出冷媒温度よりも電動モータのコイル温度Tcoilが耐熱温度を超える可能性が高い。従って、電動モータのコイル温度Tcoilを検知要素とすることにより、極力少ない検知要素で電動圧縮機3等の過剰発熱を防止できる。
(第3実施形態)
図7及び図8は本発明の第3実施形態を示し、図7は冷房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図8は暖房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャートである。この第3実施形態における車両用空気調和装置の構成図は、前記第1実施形態のものと同様であるため、図1のものを利用して説明する。
図7及び図8は本発明の第3実施形態を示し、図7は冷房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャート、図8は暖房運転時の電動圧縮機の回転制御のフローチャートである。この第3実施形態における車両用空気調和装置の構成図は、前記第1実施形態のものと同様であるため、図1のものを利用して説明する。
この第3実施形態は、前記第1及び第2実施形態と比較して、吐出冷媒温度Tdと電動モータのコイル温度Tcoilとの双方に第1及び第2温度しきい値を設けている。そして、制御部は、冷房運転時には図7のフローチャートを、暖房運転時には図8のフローチャートをそれぞれ実行して電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品が耐久性に影響を与える温度に達しないように制御する。図7及び図8のフローについては、下記の電動圧縮機3の回転制御の説明で詳しく説明する。
次に、電動圧縮機3の回転制御について説明する。図2において、電動圧縮機3が稼働中であるか否かをチェックする(ステップS0)。電動圧縮機3が稼働中であれば、冷房運転中か暖房運転中か否かをチェックする(ステップS1)。暖房運転中の場合は、下記に説明する。冷房運転中であれば、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)が室内熱交換器4を通過後の目標空気温度Target_int未満であるか否かをチェックする(ステップS20)。室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int未満であれば、冷房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
室内熱交換器4を通過した実際の空気温度Tintがその目標空気温度Target_int以上の場合には、先ず、第1冷媒温度センサ21の検知温度、つまり電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第2温度しきい値である150℃を超えているか否か、電動モータのコイル温度Tcoilが第2温度しきい値である160℃を超えているが否かをそれぞれ判断する(ステップS21,s61)。吐出冷媒温度が150℃を超えていたり、電動モータのコイル温度が160℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。
ここで、吐出冷媒温度の150℃又はコイル温度の160℃は、電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度より決定され、吐出冷媒温度のみによって、又は、コイル温度のみによって電動圧縮機3の回転数について制限をかける温度である。具体的には、吐出冷媒温度の150℃は、電動モータへの電力量に係わらずそのままの温度で運転を続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐熱温度に達する温度である。コイル温度の160℃は、吐出冷媒温度の値に係わらずそのままの回転数で回転し続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度である。
電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが150℃以下で、且つ、電動モータのコイル温度が160℃以下であれば、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第1温度しきい値である140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.5KWを超えているか否かをチェックする(ステップS22,S32)。
ここで、吐出冷媒温度の140℃は電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度により決定される。2.5KWは、電動モータへの許容電力量、運転能力に応じて決定される。つまり、140℃で電動モータへの電力が2.5KW以上であればそのままの温度で運転を続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達し、電動モータへの電力が2.5W未満であればそのままの回転数で回転し続けても電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達しない温度である。
又、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが150℃以下で、且つ、電動モータのコイル温度Tcoilが160℃以下であれば、電動モータのコイル温度Tcoilが第1温度しきい値である150℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.5KWを超えているか否かをチェックする(ステップS62,S32)。
ここで、コイル温度の150℃は電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐熱温度により決定される。2.5KWは、電動モータへの許容電力量、運転能力に応じて決定される。つまり、150℃で電動モータへの電力が2.5KW以上であればそのままの回転数で回転し続けると電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達し、電動モータへの電力が2.5KW未満であればそのままの回転数で回転し続けても電動圧縮機3及びそれ以外の冷凍サイクル2の構成部品の耐久性に影響を与える温度に達しない可能性が高い。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS41)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intを超えているときに、冷房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS43)。又、第3空気温度センサ26の検知温度Tint(室内熱交換器4を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_intと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS44)。
次に暖房運転の場合を説明する。図8に示すように、暖房運転中であれば、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)が室内放熱器5を通過後の目標空気温度Target_scを超えているか否かをチェックする(ステップS25)。室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_scを超えていれば、暖房能力過剰であるため電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
室内放熱器5を通過した実際の空気温度Tscがその目標空気温度Target_sc以下の場合には、先ず、第1冷媒温度センサ21の検知温度Td、つまり、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第2しきい値である150℃を超えているか、電動モータのコイル温度Tcoilが第2しきい値である160℃を超えているか否かを判断する(ステップS26,S66)。吐出冷媒温度Tdが150℃を超えていたり、又、電動モータのコイル温度Tcoilが160℃を超えていれば、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。
電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが150℃以下で、且つ、コイル温度Tcoilが160℃以下であれば、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが第1温度しきい値である140℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.2KWを超えているか否かをチェックする(ステップS27,S37)。
又、電動圧縮機3の吐出冷媒温度Tdが140℃以下で、且つ、電動モータのコイル温度Tcoilが150℃以下であれば、電動モータのコイル温度Tcoilが第1温度しきい値である150℃を超え、且つ、電動モータへの電力が電力しきい値である2.2KWを超えているか否かをチェックする(ステップS67,S37)。
双方のしきい値条件を共に超える場合にのみ、電動圧縮機3の回転数を減少させる(ステップS46)。双方のしきい値条件のいずれか一方しか超えない場合や、双方のしきい値条件を共に超えない場合には、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scより低いときに、暖房能力不足であるため電動圧縮機3の回転数を増加する(ステップS48)。又、第1空気温度センサ24の検知温度Tsc(室内放熱器5を通過した空気温度)がその目標空気温度Target_scと同じときは、電動圧縮機3の回転数をそのまま変化させずに維持する(ステップS49)。
以上、この第3実施形態では、吐出冷媒温度Tdと電動モータのコイル温度Tcoilの双方について温度しきい値を設けたので、電動圧縮機3の電動モータの配置位置に係わらず、電動圧縮機3の過剰発熱を検知できる。そして、電動モータのコイル温度や吐出冷媒の温度が温度しきい値を超え、且つ、電動モータへの電力値が電力しきい値を超えた場合には、電動圧縮機3の回転数をそのまま維持すると電動圧縮機3等の温度が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高いため、このような場合にのみ電動圧縮機3の回転数を減少させる。従って、電動圧縮機3等が耐久性に影響を与える温度に達する可能性が非常に高い場合にのみ電動圧縮機3の回転数を予め制限するため、電動圧縮機3の回転数の制限を真に必要な場合に限定できる。以上より、電動圧縮機3の電動モータの配置位置に係わらず、電動圧縮機3等の過剰発熱を防止しつつ、乗員の快適性を極力確保できる。
(その他)
尚、前記各実施形態では、冷凍サイクル2は冷媒の経路を冷房用循環経路と暖房用循環経路に切り替えできるよう構成されているが、冷媒の循環経路を切り替えることができず、冷房運転と暖房運転のいずれか一方の運転しかできない場合でも、本発明を同様に適用できることはもちろんである。
尚、前記各実施形態では、冷凍サイクル2は冷媒の経路を冷房用循環経路と暖房用循環経路に切り替えできるよう構成されているが、冷媒の循環経路を切り替えることができず、冷房運転と暖房運転のいずれか一方の運転しかできない場合でも、本発明を同様に適用できることはもちろんである。
尚、前記各実施形態では、車両用空気調和装置1の冷凍サイクル2は、臨界点を超える炭酸ガスを冷媒としているが、本発明は臨界点を超えない冷媒ガスを冷媒とするものであっても同様に適用できるものである。
1 車両用空気調和装置
2 冷凍サイクル
3 電動圧縮機(圧縮機)
2 冷凍サイクル
3 電動圧縮機(圧縮機)
Claims (4)
- 電力によって駆動される電動モータと前記電動モータの回転によって回転駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機能部とを有する圧縮機(3)を備え、前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を冷凍サイクル(2)内を循環させることによって冷媒の熱を空気温度の調整に使用する空気調和装置(1)であって、
前記圧縮機(3)からの吐出冷媒温度及び前記電動モータのコイル温度の少なくともいずれか一方に温度しきい値を設け、前記電動モータに供給される電力に電力しきい値を設け、吐出冷媒温度及びコイル温度の少なくともいずれか一方の値が温度しきい値を超え、且つ、前記電動モータへの供給電力が電力しきい値を超えた場合に前記圧縮機(3)の回転数を減少させることを特徴とする空気調和装置(1)。 - 請求項1記載の空気調和装置(1)であって、
前記電動モータが前記圧縮機(3)の冷媒吸入側に配置されている場合には、前記吐出冷媒温度に温度しきい値を設けたことを特徴とする空気調和装置(1)。 - 請求項1記載の空気調和装置(1)であって、
前記電動モータが前記圧縮機(3)の冷媒吐出側に配置されている場合には、前記電動モータのコイル温度に温度しきい値を設けたことを特徴とする空気調和装置(1)。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気調和装置(1)であって、
電力しきい値は、冷房運転時と暖房運転時で異なる値に設定されたことを特徴とする空気調和装置(1)。
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