JP2010149382A - 流路部材、流路部材の作製方法、インクジェット記録ヘッド用構造体、およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インク等の汚染が少ない、比較的安定したインク滴を吐出させることができる。
【解決手段】 第1主面から第2主面にかけて貫通する、前記第1主面の側の開口の径に対して前記第2主面の側の開口の径がより大きい流路を有する流路部材であって、前記第1主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第1基板と、前記第1基板と接合された、前記第2主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第2基板と、を有して構成され、前記第1基板および前記第2基板は少なくともいずれか一方がSi成分を含み、前記第1基板と前記第2基板とが、前記第1基板または前記第2基板に含まれる前記Si成分と同様のSi成分を主成分とする中間層を介して接合されていることを特徴とする流路部材。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1主面から第2主面にかけて貫通する、前記第1主面の側の開口の径に対して前記第2主面の側の開口の径がより大きい流路を有する流路部材であって、前記第1主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第1基板と、前記第1基板と接合された、前記第2主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第2基板と、を有して構成され、前記第1基板および前記第2基板は少なくともいずれか一方がSi成分を含み、前記第1基板と前記第2基板とが、前記第1基板または前記第2基板に含まれる前記Si成分と同様のSi成分を主成分とする中間層を介して接合されていることを特徴とする流路部材。
【選択図】 図1
Description
本発明は、流路部材、流路部材の作製方法、インクジェット記録ヘッド用構造体、およびインクジェット記録装置に関するものである。
従来、記録紙に文字や画像を印刷する手段として、例えばインクジェット方式の記録装置が用いられている。近年、画像出力の高精度化とともに、印字密度の高密度化が求められるようになっている。インクジェット方式の記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドには、インク滴を記録紙に向けて吐出、飛翔させる加圧機構として、発熱抵抗体の発する熱エネルギーを利用したものや、圧電素子の変形を利用したもの、さらには電磁波の照射に伴って発生する熱を利用したもの等がある。インクジェット記録ヘッドは、一般的に、インクタンクから加圧機構へとインクを導く流路部材を備えて構成されている。
図11は、下記特許文献1に記載の流路部材101の平面図、図12(a)は図11のB−B1線における断面図、(b)は(a)のX部の拡大断面図である。開口70の長手方向の両端には、流路部材101の主面に垂直な端面64、それに連続して傾斜部56がつづき、小穴54につながっている。小穴54より注入されたインクは、流路57を通り開口70から吐出する構造となっている。
特開2003−175607号公報
例えば特開2003−175607号公報に記載されているような流路部材を作製する場合、まず、セラミック原料粉末をプレス成形して、流路部材に対応する形状の成形体を得る。例えば、セラミック原料粉末を粉末プレス成形して、特許文献1に記載されているような流路部材101を作製した場合、小穴近傍部51の生密度は比較的大きくなるが、コーナー近傍部50の生密度は成形圧が傾斜部56で分散してしまうため比較的小さくなる場合があった。このような生密度のばらつきが成形体中に生じた場合、成形体を焼成した後に得られる流路部材101の流路部105の寸法精度が、比較的低くなる場合があった。本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。
上記に鑑みて、本発明は、第1主面から第2主面にかけて貫通する、前記第1主面の側の開口の径に対して前記第2主面の側の開口の径がより大きい流路を有する流路部材であって、前記第1主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第1基板と、前記第1基板と接合された、前記第2主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第2基板と、を有して構成され、前記第1基板および前記第2基板は少なくともいずれか一方がSi成分を含み、前記第1基板と前記第2基板とが、前記第1基板または前記第2基板から溶出した前記Siを主成分とする中間層を介して接合されていることを特徴とする流路部材を提供する。
また、上記流路部材の作製方法であって、前記第1基板と前記第2基板と、の少なくともいずれか一方における一主面をOH基を有する液体で親水化処理し、前記第1基板と前記第2基板とを、前記親水化処理した前記一主面を介して接合した後、1000℃〜1800℃で熱処理を行うことにより接合することを特徴とする、流路部材の作製方法を併せて提供する。
また、上記流路部材と、前記流路部材の前記第2の主面の側に配置される、前記流路部材を介して供給されたインクを加圧するように構成された加圧機構と、加圧されたインクが吐出されるように構成されたインク吐出口と、を備えたインクジェットヘッド構造体を、併せて提供する。
本発明の流路部材は、比較的高い寸法精度の流路を有する。本発明の流路部材によれば、インク等の汚染が少ないインクジェットヘッド構造体を得ることができる。また、比較的安定してインク滴を吐出させることができる。
図1は、本発明の一実施形態のセラミック製の流路部材の平面図である。図2は図1の流路部材のA−A1線における断面図である。
本実施形態の流路部材1は、矩形板状などの板状体である。流路部材1には、第1の主面22の側に入口開口13が設けられており、この入口開口13から第2の主面24に設けられた長尺の出口開口27まで通じる流路10が形成されている。
流路部材1は、第1の主面22を外表面の一部に含む第1セラミックス基板1Aと、第2の主面24を外表面の一部に含む第2セラミックス基板1Bと、を備えて構成されている。第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bはいずれも、アルミナセラミックスからなり、Siを0.01質量%以上含んでいる。
第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bは、それぞれ貫通孔を備えており、各基板の貫通孔が連通されて流路10が形成されている。第1セラミックス基板1Aに設けられた貫通孔10Aは、第1の主面22の側から第2の主面24の側まで、径の大きさは略同一とされている。同様に、第2セラミックス基板1Bにおいても、第2セラミックス基板1Bに設けられた貫通孔10Bは、第1の主面22の側から第2の主面24の側まで、径の大きさは略同一とされている。特に第2の主面24において、貫通孔10Bの長さ(図1に18にて示す)は、貫通孔10Bの幅に比べて長い長尺形状とされている。すなわち、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bの各々において、貫通孔の内面は、主面に対して略垂直とされている。かかる形状を有する第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板2Bは、例えば主面の側から圧力をかける一軸加圧成型法によって作製した場合でも、成型中の圧力分散が少なく、比較的高い形状精度で流路部材を作製することができる。
第1セラミックス基板1Aに設けられた貫通孔10Aに比べ、第2セラミックス基板2Aに設けられた貫通孔10Bの径はより大きい。すなわち、流路10の第1の主面22の側の入口開口13の径に対して、流路10の第2主面24の側の出口開口27の径は、より大きくされている。また、第1セラミックス基板1Aの、第2セラミックス基板1Bと対向する側の主面32の一部は、出口開口27から露出している。出口開口27から露出しているとは、第2の主面24に略垂直な方向から平面視した際、出口開口27から主面32が視認される状態をいう。本実施形態においては、出口開口27の径とは、出口開口27の長手方向に沿った径をいう。なお、出口開口27の短手方向に沿った径が、この短手方向に沿った入口開口13の径よりも小さくてもよい。
流路10は、1つの流路部材1に複数設けられており、各流路10は隔壁11によって分離されている。
図3は、流路部材1の断面のうち、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの接合部近傍を拡大して示す図である。流路部材1は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとが、Si化合物を主成分とする200nm以下の中間層26を介して接合されている。かかる中間層26は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの少なくともいずれかに含まれるSi成分が熱処理により溶出して形成されたものである。
ここで、図3に示す破線は、第1セラミックス基板1Aおよび第1セラミックス基板1B中のSi濃度の分布を示しており、第1セラミックス基板1Aおよび第1セラミックス基板1BがSi成分を含む場合、第1セラミックス基板1AのSi濃度の少ない部分をα、第1セラミックス基板1B中のSi濃度の少ない部分をβとして示す。
本実施形態の流路部材1は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bおよび中間層26を積層した構造であるが、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの接合面近傍の部分では、Si濃度が接合面に向かって減少することにより、見かけ上、第1セラミックス基板1Aと中間層26、および第2セラミックス基板1Bと中間層26との間にさらに別の層(α、β)が形成されることになる。
このα、β層は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1BよりSi成分が接合面に溶出した部分であり、流路部材1の全体としては、Si濃度が高い内部、濃度が低い接合面近傍、濃度が高い接合面と、段階的にSi濃度が変化するため、第1セラミックス基板1Aと中間層26との熱膨張の差、第2セラミックス基板1Bと中間層26との熱膨張の差を小さくして熱応力の発生を緩和する。したがって、流路部材1の接合強度を向上させるとともに、割れやクラックが抑制される。
流路部材1においては、第1セラミックス基板1Aまたは第2セラミックス基板1BのSi濃度が接合面に向かって減少していることが好ましい。
図4(a)〜(c)は、それぞれ第1セラミックス基板1A及び第2セラミックス基板1Bがいずれもアルミナ質セラミックスからなる場合の図1に示すA、B、C点に相当する位置の組成分析の結果を示すグラフである。組成分析は、接合面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した後、EDS分析により元素の定性分析を行った。図2から明らかなように、第1セラミックス基板1Aの内部であるA点に対して中間層26の近傍のB点のSi濃度が減少していることがわかる。
第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの間に位置する中間層26は、その厚みが200nm以下であることが好ましい。本実施形態の流路部材1は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとに含まれるSi成分の溶出により接合されており、別に準備した接着剤を用いないことから、中間層26は厚みが200nm以下と比較的薄く均一とされている。また、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの接合強度を比較的高くするには、中間層26の厚みは10nm以上であるのが好ましい。前記厚みが10nmより薄いと、接合強度が低下するおそれがある。
さらに、中間層26は、Si成分の他に酸素原子を含むことが好ましい。酸素原子を含むことにより、Si成分の粘性を低くすることができるとともに、接合強度を高めることができる。また、中間層26の厚み精度を高めることができ、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの平行度を良好なものにすることができる。
また、本実施形態において、中間層26の成分は溶融ガラスであり、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの隙間(原子レベルでの空間)を無くすことが可能となり、高いレベルの強度を保持している。また、中間層26の存在により、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの接合部での優れた熱的特性(高温環境下での使用)を有することができる。
なお、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bは、アルミナ質セラミックスからなることに限定されない。Si成分を含むセラミックスからなる、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとは、Si成分を含む多結晶セラミックスおよび単結晶セラミックスから選択され、前記多結晶セラミックスとしては、例えばアルミナ、フォルステライト、ステアタイト、コージライトまたはジルコニア等を主成分とするSi成分を含むセラミックスがあげられる。特にアルミナ質セラミックス等、主成分(50質量%以上含有する)が酸化物である多結晶セラミックスでは、接合強度の高い複合流路部材1を得ることができる。
また、主成分が非酸化物である場合、接合する前に最表面を酸化させた第一の接合体1を用いると接合強度を高めることができる。さらに、第一の接合体1がSi成分を含む単結晶セラミックスとしては、例えば水晶、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、珪酸ビスマス(Bi14Si3O12)、エメラルド(Be3Al2Si6O18)などが挙げられる。前記Si成分としては、例えばSiO2等が挙げられ、前記Si化合物としては
、例えば3Al2O3・2SiO2等が挙げられる。
、例えば3Al2O3・2SiO2等が挙げられる。
第1セラミックス基板1A中に含まれるSi成分の濃度としては、0.01重量%以上であることが好ましい。濃度が0.01重量%未満であると、接合時の熱処理に第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの接合界面に溶出するSi成分の量が不足し、複合セラミック体10の接合強度が低下するからである。また、前記Si成分の濃度は、5重量%以下であるのが好ましい。5重量%を超えると、必要以上にSi成分を含有することになるので、好ましくない。
第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bが多結晶セラミックスの場合、Si成分は多結晶セラミックス中の粒界層に存在することが望ましい。粒界層に存在していることより、接合時の熱処理に第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの接合界面に溶出しやすく、より接合強度の高い中間層26として作用させることができる。また、そのSi成分は、酸化物、炭化物、硼化物、窒化物のいずれかもしくはそれらの複合物であり、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bには、Si成分が少なくとも一種含まれ、さらにガラス質であることが望ましい。
なお、Si成分以外の成分としては、特に限定されないが、Si成分がガラス質である場合、その融点を下げる元素およびその化合物であることが好ましい。ガラス質の融点を下げることにより、接合時の熱処理温度を低く設定することができ、その結果、流路部材1への残留応力を緩和することができる。また、Si成分の粘性を下げる元素及びその化合物であることも好ましい。Si成分の粘性が下がることにより、熱処理時に第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの接合界面にSi成分が溶出し易くなり、中間層26の形成を容易にするとともに、熱処理時間を短縮することができる。したがって、Si成分以外の成分としては、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、硼素化合物、鉛化合物およびこれらの化合物などが含有してもよい。
第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bのいずれか一方については、Si成分が必ずしも含まれる必要はないが、接合強度を高める目的で、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの双方はSi成分を含むセラミックスからなることが好ましい。これにより、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの双方からSi成分が溶出し、Si化合物が接合面に十分な量で介在するので、より接合強度の高い流路部材1を得ることができる。
第1セラミックス基板1A、第2セラミックス基板1Bにそれぞれ含まれるSi成分の濃度としては、0.005重量%以上であれば、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bの両者からSi成分が溶出するため、十分に接合することができる。また、この場合の各Si成分の濃度は、5重量%以下であるのが好ましい。
第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bは、緻密質もしくは多孔質のいずれであってもよいが、高強度で接合面積が高いという点で緻密質であることが好ましく、形状としては、特に限定されるものではなく、例えば板状、ブロック状などが挙げられる。
次に、本実施形態の一実施形態の流路部材1の作製方法について説明する。まず、アルミナセラミックスの原料粉体をプレス成形した後焼成し、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bそれぞれを作製する。プレス成型の際、金型の表面粗さを、算術平均粗さ(Ra)で例えば0.05以下とし、例えば60〜100MPaの成形圧力で一軸加圧成形する。このプレス成形により、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bに対応した形状の成形体を得る。この後、この成形体を、例えば1500〜1800℃の温度で焼成して、それぞれ異なる径の貫通孔を有する、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを形成する。
各々異なる径の貫通孔を有する、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを、それぞれプレス成型によって作製するので、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを比較的高い形状精度で形成することができる。
一方、例えば図11に示すような、従来の流路部材に対応する金型でプレス成形した場合、プレス成形の際、流路の斜面部分における圧力の分散によって、原料粉体を構成するセラミック粒子が比較的自由に移動し易い。この場合、成形体におけるセラミック粒子の密度は、比較的大きくばらついたものとなり易い。セラミック粒子の密度がばらついた状態の成形体を焼成した場合、焼成時、この密度のばらつきに応じた変形が比較的起こり易い。この場合、焼成後の流路部材の形状は、金型に対応する形状に対し比較的大きく相違したものとなる。これに対し、本実施形態では、主面に対して略垂直な内面を有する貫通孔を備えるセラミックス基板をプレス成型によって作製しており、プレス成形によって得られる成形体は、セラミック粒子の密度のばらつきが比較的小さい。また、本実施形態では、成型体におけるセラミック粒子の密度を比較的高くすることができる。本実施形態の流路部材1は、例えば流路10内面の開気孔が比較的少なく、インク等の薬液に対する耐食性も比較的高い。また、各流路10を分離する隔壁11は比較的幅も小さく、流路部材1の焼成時において、生密度の分布に応じて変形が比較的生じやすい。しかし、流路部材1では、比較的厚さの薄い第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを、それぞれプレス成型によって作製するので、この隔壁11や、流路10の開口27も比較的高い寸法精度で形成されている。
本実施形態では、金型形状に比較的高精度に対応した形状を有する、比較的薄い複数のセラミックス基板を作製し、これらを接合し、第1主面22から第2主面24にかけて貫通する、第1主面22の側の入口開口13の径に対して第2主面24の側の出口開口27の径がより大きい流路10を比較的高い形状精度で形成する。
次に、作製した第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを、以下のように接合する。図5(a)、(b)は、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの接合部近傍を示す拡大模式図である。
まず、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bの接合に先がけ、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bそれぞれの少なくとも一方主面について、表面粗さRaで0.05μm以下となるような鏡面研磨加工を行う。鏡面研磨された面は、主成分であるアルミナ粒子34がむき出しであり、その周りをSiを主成分とする粒界ガラス層35が取り囲んだ状態になっている。
この状態の面同士を向き合わせて、図5(a)に示すように、機械的に密着させた状態
とした後、高温で熱処理を行う。熱処理を行う前の機械的に密着させた状態では、中間層26近傍に存在するSiの濃度は、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bの内部と比較して低い。
とした後、高温で熱処理を行う。熱処理を行う前の機械的に密着させた状態では、中間層26近傍に存在するSiの濃度は、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bの内部と比較して低い。
この状態で1000℃〜1800℃の高温で熱処理を行うと、フィックの第二法則により、アルミナセラミックスからなる第1セラミックス基板1A、および第2セラミックス基板1B、のそれぞれの接合面31近傍の粒界ガラス層35の成分が、第1セラミックス基板1A、第2セラミックス基板1Bの接合面に拡散移動し、図5(b)に示すように、中間層26が形成される。このようにして、Si成分が溶出してSi化合物を主成分とする中間層26が形成され、この中間層26によって接合時の熱応力が緩和され、第1セラミックス基板1Aおよび第2セラミックス基板1Bの、中間層26近傍に発生する割れ、クラックを抑制することができる。
このようにして中間層26が形成されるので、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとの間の中間層が実質的に観察されず、目視的には接合界面のない流路部材1を得ることができる。なお、上述の中間層26の厚み、接合界面は透過電子顕微鏡で観察することで確認することができる。
このようにして製造された流路部材1は、流路1が比較的高い形状精度で形成されており、インク等の流体を、入口開口13から出口開口27に向けて比較的効率よく流すことができる。
また、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとが、接着剤等の余分な接合部材を介さず接合されており、インク等の薬液を流路10に流した場合も、これら薬液の接合部材等かたの汚染が抑制される。
また、接合に先がけて、第1セラミックス基板1Aの、第2セラミックス基板1Bの側の主面が鏡面研磨されており、アルミナ質セラミックスからなる第1セラミックス基板1Aの撥水性が比較的高くされており、流路10内面に、インク等で発生した気泡が比較的付着し難い。
なお、鏡面研磨に先がけて、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bと、の少なくともいずれか一方における一主面をOH基を有する液体で親水化処理し、第1セラミックス基板1Aと第2セラミックス基板1Bとを、親水化処理した一主面を介して接合した後1000℃〜1800℃で熱処理を行ってもよい。かかる処理によって、接合強度を比較的高くすることができる。
図6(a)は本発明の一実施形態のインクジェットヘッド構造体4を示す分解斜視図、図6(b)は(a)の一部を拡大した部分拡大斜視図である。また、図7は、インクジェットヘッド構造体4の部分拡大図である。また、図8(a)は、図7に示すインクジェットヘッド構造体4のX−X線断面図であり、図8(b)は図8(a)の一部を拡大して示している。
本実施形態のインクジェットヘッド構造体4は、流路部材1と、ノズル板3と、加圧機構9と、を有して構成されている。
ここで加圧機構9は、記録素子基板2に発熱抵抗体7が設けられて構成されている。記録素子基板2は、例えばシリコン基板に、一方向に沿って長い貫通溝17が設けられて構成されている。加圧機構9では、この貫通溝17の両側に、複数個の発熱抵抗体7が所定の間隔で並設されている。各発熱抵抗体7は、図示しない配線および電極と接続されて、外部から印加される電気信号に応じて発熱する。
ノズル板3は、複数のインク吐出口6が設けられている。流路部材1に設けられた流路10と記録素子基板2の貫通溝17とは連通している。流路部材1の流路10を通過したインクIが加圧機構9の発熱抵抗体7の表面まで流れる。また、ノズル板3の複数のインク吐出口6が、加圧機構9の各発熱抵抗体7と対向するように、ノズル板3と加圧機構9とが配置されている。
図8(b)では、インク滴の吐出動作時における、インクIの動きを併せて示している。インクジェットヘッド構造体4では、記録素子基板2の貫通溝17を通り、加圧機構9の発熱抵抗体7の表面部分を覆うようにインクIが供給される。この状態で、発熱抵抗体7を発熱させると、発熱抵抗体7表面でインクIが気化して気泡が生じる。インクジェットヘッド構造体4では、この気泡によってインクIが加圧され、インク吐出口6からインク滴I´が吐出される。
本実施形態に係るインクジェットヘッド構造体4は、例えば、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた記録装置に搭載することができる。
図9は、インクジェットヘッド構造体4を備えて構成されるインクジェットカートリッジ110について説明する概略斜視図である。
インクジェットカートリッジ110は、インクタンク部104とインクジェットヘッド構造体4とを備えている。インクタンク部104にはインクが貯留されており、インクタンク部104から、インクジェットヘッド構造体4が備える流路部材1にインクが流入される。インクジェットヘッド構造体4では、流路部材1の入口開口13を通じて、流路部材1の流路10にインクが流入する。
また、インクジェットカートリッジ110の表面には、外部から電気信号を供給するための端子103を有するテープ部材102が配置されている。テープ部材102の外部接続用の端子103から延在する配線(不図示)が、インクジェットヘッド構造体4の図示しない電極と接続されており、外部から印加された電気信号に応じて所望のインク吐出口6からインク滴が吐出される。
図10は、図9に示すインクジェットカートリッジ110を備えて構成されたインクジェット記録装置60の一実施形態の概略構成例を示すものである。
インクジェット記録装置60には、ベルト201に固定されたキャリッジ200が設けられており、キャリッジ200は、ガイドシャフト202に沿って一方向(図中のA方向)に主走査される。キャリッジ200上には、カートリッジ形態のインクジェットカートリッジ110が搭載されている。インクジェットカートリッジ110は、インク吐出口6が記録媒体としての用紙Pと対向して配置されている。インク吐出口6の配列方向は、キャリッジ200の走査方向と異なる方向(例えば、用紙Pの搬送方向)とされている。なお、インクジェットカートリッジ110は、使用するインク色に対応した個数を設けることができ、図示の例では4色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)に対応して4個設けられている。また、インクジェット記録装置60は、記録紙Pを搬送する、駆動ローラ等を有して構成された搬送機構204を備えている。搬送機構204は、記録紙Pを、キャリッジ200の移動方向と直交する矢印B方向に間欠的に搬送する。
インクジェット記録装置60では、インクジェットヘッド構造体4のインク吐出口6は、発熱抵抗体7よりも下側に配置されている。このため、インクジェットヘッド構造体4から吐出されたインク滴I´は、重力による液滴の軌跡の変化が比較的少なく、記録用紙Pの所望位置に比較的安定して吐着する。
本発明は上述した実施形態だけに限定されるものでなく、圧電素子の変形を利用したものや電磁波の照射に伴って発生する熱を利用したものでも良く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良したものや変更したものにも適用できることは言う迄もない。
1,101 流路部材
2,102 記録素子基板
3,103 ノズル板
4,104 インクジェットヘッド構造体
5,42,105 流路部
6,106 インク吐出口
7,107 発熱抵抗体
9 加圧機構
10,57 流路
21 貫通孔
13,54 小穴
18,118 流路長さ
22 一主面
24 他主面
26,56 傾斜部
27,57 開口
32 平行部
34 壁面部
2,102 記録素子基板
3,103 ノズル板
4,104 インクジェットヘッド構造体
5,42,105 流路部
6,106 インク吐出口
7,107 発熱抵抗体
9 加圧機構
10,57 流路
21 貫通孔
13,54 小穴
18,118 流路長さ
22 一主面
24 他主面
26,56 傾斜部
27,57 開口
32 平行部
34 壁面部
Claims (9)
- 第1主面から第2主面にかけて貫通する、前記第1主面の側の開口の径に対して前記第2主面の側の開口の径がより大きい流路を有する流路部材であって、
前記第1主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第1基板と、
前記第1基板と接合された、前記第2主面を外表面の一部に有する、セラミックスからなる第2基板と、を有して構成され、
前記第1基板および前記第2基板は少なくともいずれか一方がSi成分を含み、
前記第1基板と前記第2基板とが、前記第1基板または前記第2基板に含まれる前記Si成分と同様のSi成分を主成分とする中間層を介して接合されていることを特徴とする流路部材。 - 前記第1基板の前記第2基板と対向する側の面の一部が、前記第2主面の側の開口から露出していることを特徴とする請求項1記載の流路部材。
- 前記第1基板の前記第2基板と対向する側の表面粗さはRa0.02μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の流路部材。
- 前記第1基板および前記第2基板は、いずれもアルミナ質セラミックスからなることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の流路部材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の流路部材の作製方法であって、
前記第1基板と前記第2基板と、の少なくともいずれか一方における一主面をOH基を有する液体で親水化処理し、
前記第1基板と前記第2基板とを、前記親水化処理した前記一主面を介して接合した後
1000℃〜1800℃で熱処理を行うことにより接合することを特徴とする、流路部材の作製方法。 - 請求項1に記載の流路部材と、
前記流路部材の前記第2の主面の側に配置される、前記流路部材を介して供給されたインクを加圧するように構成された加圧機構と、
加圧されたインクが吐出されるように構成されたインク吐出口と、
を備えたインクジェットヘッド構造体。 - 前記加圧機構は、前記インクを加熱して気化させるように構成されたインク加熱手段を備えることを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッド構造体。
- 前記第2の主面の側に配置された記録素子基板をさらに備え、
前記インク吐出口は、前記記録素子基板に、一方向に沿って複数設けられており、
前記一方向に沿った最端部の前記インク吐出口に対して、前記流路の前記平行部は、前記一方向に関してより外側に配置されていることを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッド構造体。 - 請求項6記載のインクジェットヘッド構造体と、
前記流路部材の前記流路に供給されるインクを収容するように構成されたインクタンクと、
記録媒体を、前記インク吐出口と対向させて搬送するように構成された搬送機構と、
を備えて構成されたインクジェット記録装置。
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JP2003175607A (ja) * | 2001-12-11 | 2003-06-24 | Kyocera Corp | インクジェット記録ヘッド構造体 |
WO2006057408A1 (ja) * | 2004-11-29 | 2006-06-01 | Kyocera Corporation | 複合セラミック体とその製造方法およびマイクロ化学チップ並びに改質器 |
JP2007301727A (ja) * | 2006-05-08 | 2007-11-22 | Canon Inc | インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 |
-
2008
- 2008-12-25 JP JP2008329666A patent/JP2010149382A/ja active Pending
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