JP2009039911A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体流路を確実に親水化することができ、液体噴射特性を向上することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口34に連通すると共に液体導入口から液体が供給される圧力発生室12等の液体流路が設けられた流路基板20、30を具備し、該流路基板20、30が複数の構成基板を接合することにより形成された液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記液体流路内を減圧した状態で、親水性膜70を形成する処理剤を通液して、前記液体流路内に前記処理剤を充填した後、前記液体流路内の前記処理剤を排出し、その後、前記ノズル開口34に送風することで、前記ノズル開口34近傍の前記処理剤を除去して、前記液体流路の内面に前記親水性膜70を成膜する。
【選択図】 図2
【解決手段】液体を噴射するノズル開口34に連通すると共に液体導入口から液体が供給される圧力発生室12等の液体流路が設けられた流路基板20、30を具備し、該流路基板20、30が複数の構成基板を接合することにより形成された液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記液体流路内を減圧した状態で、親水性膜70を形成する処理剤を通液して、前記液体流路内に前記処理剤を充填した後、前記液体流路内の前記処理剤を排出し、その後、前記ノズル開口34に送風することで、前記ノズル開口34近傍の前記処理剤を除去して、前記液体流路の内面に前記親水性膜70を成膜する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、圧電素子及び圧力発生室が設けられたアクチュエータユニットと、圧力発生室に連通してインクを吐出するノズル開口が設けられたノズルプレートを有する流路ユニットとを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、インクの流路を形成する各部材、例えば、アクチュエータユニットと流路ユニットとや、流路ユニットを構成する各構成基板などは接着剤や熱溶着フィルムを介して接合されている。
また、インクジェット式記録ヘッドの液体流路の内面に親水性膜を形成したものがある(例えば、特許文献2及び3参照)。
しかしながら、液体流路が細くて長い内壁面で画成されている場合や液体流路が複雑な形状を有する場合、内面に亘って親水性膜を形成するのは困難であるという問題がある。
また、特許文献2では、染料溶液を液体流路内に充填した状態で通電して親水性膜を形成するため、導体以外の材料の壁面に親水性膜を形成することができず、特に親水化処理が必要な接着剤や熱溶着フィルムの表面に親水性膜を形成することができないという問題がある。
そして、液体流路の内壁の一部に親水性膜が形成されていない領域が存在すると、親水性膜が形成されていない領域にインク内の気泡が付着し、付着した気泡がインクを吐出した際にインクと同時に噴射されるなど、液体噴射特性が劣化してしまうという問題がある。また、液体噴射ヘッド内の液体を排出させるクリーニング動作を行っても、親水性膜が形成されていない領域に付着した気泡を排出するのは困難であり、気泡が成長して大型化して初めて液体と共に排出されるため、排出されるタイミングを制御するのが困難で、液体噴射特性が劣化してしまうという問題がある。
また、ノズル開口近傍に余分な親水性膜が形成されてしまうと、親水性膜によってインク吐出特性が変化し、均一なインク吐出特性で形成することができないという問題がある。
さらに、特許文献3では、親水性膜を形成する際に高温(250℃〜500℃)で加熱焼成して形成しているため、インクジェット式記録ヘッドが組み立てられた状態でインク流路の内面に親水性膜を形成しようとすると、インクジェット式記録ヘッドが高温で加熱された際に駆動回路や圧電素子等が破壊されてしまうため、インクジェット式記録ヘッドが組み立てられた状態では親水性膜を形成することができないという問題がある。
なお、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に限定されず、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、液体流路を確実に親水化することができ、液体噴射特性を向上することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通すると共に液体導入口から液体が供給される液体流路が設けられた流路基板を具備し、該流路基板が複数の構成基板を接合することにより形成された液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記液体流路内を減圧した状態で、親水性膜を形成する処理剤を通液して、前記液体流路内に前記処理剤を充填した後、前記液体流路内の前記処理剤を排出し、その後、前記ノズル開口に送風することで、前記ノズル開口近傍の前記処理剤を除去して、前記液体流路の内面に前記親水性膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、高温で加熱することがないため、液体噴射ヘッドが組み立てられた状態で、液体流路内の親水性膜を形成することができる。また、構成基板同士を接合する接着剤や熱溶着フィルムの表面にも親水性膜を形成することができるため、気泡が滞留する領域を無くして、液体噴射特性を安定させることができる。また、液体流路内に気泡が滞留する領域が実質的に存在しないため、液体流路への液体の供給を短時間で行うことができると共に、液体流路内の液体をノズル開口から吸引するなどのクリーニング動作が最小限で済むため、液体の無駄な消費を減少させることができる。さらに、最終的にノズル開口近傍の処理剤を送風により除去するため、ノズル開口に余分な親水性膜が形成されることがなく、余分な親水性膜による液体噴射不良が発生するのを確実に防止することができる。
かかる態様では、高温で加熱することがないため、液体噴射ヘッドが組み立てられた状態で、液体流路内の親水性膜を形成することができる。また、構成基板同士を接合する接着剤や熱溶着フィルムの表面にも親水性膜を形成することができるため、気泡が滞留する領域を無くして、液体噴射特性を安定させることができる。また、液体流路内に気泡が滞留する領域が実質的に存在しないため、液体流路への液体の供給を短時間で行うことができると共に、液体流路内の液体をノズル開口から吸引するなどのクリーニング動作が最小限で済むため、液体の無駄な消費を減少させることができる。さらに、最終的にノズル開口近傍の処理剤を送風により除去するため、ノズル開口に余分な親水性膜が形成されることがなく、余分な親水性膜による液体噴射不良が発生するのを確実に防止することができる。
ここで、前記処理剤を加熱した状態で、前記液体流路に充填することが好ましい。これによれば、常温で比較的高い濃度の処理剤を用いて親水性膜を形成しても、ノズル開口の目詰まりを防止することができる。
また、前記構成基板が、互いに熱溶着フィルムにより接合されていることが好ましい。これによれば、特に気泡が滞留し易い熱溶着フィルムの表面に親水性膜を形成することができる。
また、前記ノズル開口に送風した後に、前記ノズル開口が開口する液体噴射面に設けられた前記親水性膜を除去することが好ましい。これによれば、液体噴射面の親水性膜を除去することで、液体噴射特性が余分な親水性膜によって阻害されるのを防止できる。
また、前記液体噴射面に設けられた前記親水性膜を除去する際に、当該液体噴射面を有機溶剤により払拭することが好ましい。これによれば、液体噴射面に形成された余分な親水性膜を確実に除去することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2はインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2はインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド10は、アクチュエータユニット20と、このアクチュエータユニット20が固定される流路ユニット30とで構成されている。
アクチュエータユニット20は、圧電素子40を具備するアクチュエータ装置であり、圧力発生室21が形成された流路形成基板22と、流路形成基板22の一方面側に設けられた振動板23と、流路形成基板22の他方面側に設けられた圧力発生室底板24とを有する。
流路形成基板22は、例えば、150μm程度の厚みを有するアルミナ(Al2O3)や、ジルコニア(ZrO2)などのセラミックス板からなり、本実施形態では、複数の圧力発生室21がその幅方向に沿って並設された列が2列形成されている。そして、この流路形成基板22の一方面に、例えば、厚さ10μmのジルコニアの薄板からなる振動板23が固定され、圧力発生室21の一方面はこの振動板23により封止されている。
圧力発生室底板24は、流路形成基板22の他方面側に固定されて圧力発生室21の他方面を封止すると共に、圧力発生室21の長手方向一方の端部近傍に設けられて圧力発生室21と後述するリザーバ32とを連通する供給連通孔25と、圧力発生室21の長手方向他方の端部近傍に設けられて後述するノズル開口34に連通するノズル連通孔26とを有する。
そして、圧電素子40は、振動板23上の各圧力発生室21に対向する領域のそれぞれに設けられ、例えば、本実施形態では、圧力発生室21の列が2列設けられているため、圧電素子40の列も2列設けられている。
ここで、各圧電素子40は、振動板23上に設けられた下電極膜と、各圧力発生室21毎に独立して設けられた圧電体層と、各圧電体層上に設けられた上電極膜とで構成されている。圧電体層は、圧電材料からなるグリーンシートを貼付することや、印刷することで形成されている。また、下電極膜は、並設された圧電体層に亘って設けられて各圧電素子40の共通電極となっており、振動板の一部として機能する。勿論、下電極膜を各圧電体層毎に設けるようにしてもよい。
なお、アクチュエータユニット20の各層である流路形成基板22、振動板23及び圧力発生室底板24は、粘土状のセラミックス材料、いわゆるグリーンシートを所定の厚さに成形して、例えば、圧力発生室21等を穿設後、積層して焼成することにより接着剤を必要とすることなく一体化される。そして、その後、振動板23上に圧電素子40が形成される。
一方、流路ユニット30は、アクチュエータユニット20の圧力発生室底板24に接着剤を介して接合されるインク供給口形成基板31と、複数の圧力発生室21の共通インク室となるリザーバ32が形成されるリザーバ形成基板33と、ノズル開口34が形成されたノズルプレート35とからなる。
インク供給口形成基板31は、厚さ150μmのジルコニアの薄板からなり、ノズル開口34と圧力発生室21とを接続するノズル連通孔36と、前述の供給連通孔25と共にリザーバ32と圧力発生室21とを接続するインク供給口37を穿設して構成され、また、各リザーバ32と連通し、外部のインクタンクからのインクが供給される液体導入口であるインク導入口38が設けられている。
リザーバ形成基板33は、インク流路を構成するに適した、例えば、150μmのステンレス鋼などの耐食性を備えた板材に、外部のインクタンク(図示なし)からインクの供給を受けて圧力発生室21にインクを供給するリザーバ32と、圧力発生室21とノズル開口34とを連通するノズル連通孔39とを有する。
ノズルプレート35は、例えば、ステンレス鋼からなる薄板に、圧力発生室21と同一の配列ピッチでノズル開口34が穿設されて形成されている。例えば、本実施形態では、流路ユニット30には、圧力発生室21の列が2列設けられているため、ノズルプレート35にも、ノズル開口34の列が2列形成されている。また、このノズルプレート35は、リザーバ形成基板33の流路形成基板22の反対面に接合されてリザーバ32の一方面を封止している。
また、ノズルプレート35のリザーバ形成基板33とは反対側であるインク吐出面側には、撥水膜60が設けられている。撥水膜60は、ノズル開口34が開口する領域にノズル開口34よりも大きな開口を有するクレータ部61が設けられている。すなわち、撥水膜60は、クレータ部61によってノズル開口34の開口周囲に撥水膜60が設けられていない非撥水領域を形成し、その他の領域を全て覆っている。このように撥水膜60にクレータ部61によって非撥水領域を設けることで、ノズル開口34の視認性を向上して、ノズル開口34をアライメントマークとして、複数のインクジェット式記録ヘッド10をアライメントする際に、高精度なアライメントを行うことができる。
このような流路ユニット30は、これらインク供給口形成基板31、リザーバ形成基板33及びノズルプレート35を、接着剤や熱溶着フィルム等によって接合することで形成される。そして、このような流路ユニット30とアクチュエータユニット20とは、接着剤や熱溶着フィルムを介して接合されている。本実施形態では、流路ユニット30を構成するインク供給口形成基板31、リザーバ形成基板33及びノズルプレート35を熱溶着フィルム50で接合すると共に、流路ユニット30とアクチュエータユニット20とを熱溶着フィルム51で接合している。
これらのアクチュエータユニット20及び流路ユニット30からなるインクジェット式記録ヘッド10には、インク流路(液体流路)として、本実施形態では、インク導入口38、リザーバ32、インク供給口37、供給連通孔25、圧力発生室21、ノズル連通孔26、36、39及びノズル開口34が設けられている。
すなわち、本実施形態では、インク流路(液体流路)が形成された流路基板として、アクチュエータユニット20を構成する流路形成基板22、振動板23及び圧力発生室底板24と、流路ユニット30を構成するインク供給口形成基板31、リザーバ形成基板33及びノズルプレート35とからなる構成基板が用いられていることになる。
そして、これらインク流路(液体流路)の内面、すなわち、インク導入口38、リザーバ32、インク供給口37、供給連通孔25、圧力発生室21、ノズル連通孔26、36、39及びノズル開口34の内面と熱溶着フィルム50、51のインク流路側の内面には、親水性膜70が設けられている。親水性膜の材料としては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリシラザン、親水性シランカップリング剤等が挙げられる。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法、特に、インクジェット式記録ヘッドのインク流路(液体流路)内に親水性膜を形成する製造方法について詳細に説明する。なお、図3及び図4は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す要部断面図である。
まず、図3(a)に示すように、インクジェット式記録ヘッド10のインク流路(液体流路)内を減圧する。本実施形態では、図示しないインク導入口38を塞いだ状態で、複数のノズル開口34側からインク流路内の気体を吸引することで、インク流路内を減圧する。具体的には、複数のノズル開口34を覆うキャップ部材100によって複数のノズル開口34を覆い、キャップ部材100に接続された図示しない吸引ポンプ等の吸引手段によって吸引することで、インク流路内を減圧する。
次に、図3(b)に示すように、インク導入口38側からインク流路内に親水性膜70を形成する処理剤170を通液し、インク流路内に処理剤170を充填する。このとき、インク流路内は減圧してあるため、複数の圧力発生室21及びノズル開口34等に亘って処理剤170を均一に充填することができる。すなわち、例えば、インク流路内を減圧しない常圧の状態で、インク流路内に処理剤170を充填しようとすると、細いインク流路である複数の圧力発生室21及びノズル開口34等に亘って処理剤170を均一に充填することができず、処理剤170が充填されていない圧力発生室21等が生じてしまう虞がある。
また、本実施形態では、加熱した処理剤170をインク流路内に充填するようにした。これにより、処理剤170の粘度を低下させて、細いインク流路内に亘って処理剤170を確実に充填させることができる。
なお、処理剤170としては、親水性膜70を形成するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリシラザン、親水性シランカップリング剤の主成分、ポリアクリル酸共重合体(PMA)、ポリビニルアルコール(PVA)等の親水性高分子、酸化チタン(TiO2)を主成分とする光触媒、界面活性剤等の溶剤を含むものが挙げられる。
次に、処理剤170がインク流路内で固化しない程度の時間放置した後、図4(a)に示すように、インク流路内の処理剤170を排出する。本実施形態では、キャップ部材100によって複数のノズル開口34側から処理剤170を吸引することによって、インク流路内の処理剤170を外部に排出する。
次に、図4(b)に示すように、ノズル開口34に送風することで、ノズル開口34近傍の余分な処理剤170を除去する。本実施形態では、図示しないインク導入口38側から気体を送風することで、ノズル開口34に送風するようにした。このように、インク導入口38側から送風することで、ノズル開口34近傍に付着した余分な処理剤170を除去することができると共に、インク流路の内面に付着した余分な処理剤170も同時に除去することができる。なお、ノズル開口34への送風は、ノズル開口34側からインク導入口38側に向かって送風することで行ってもよい。
その後は、ノズル開口34が開口する液体噴射面に設けられた余分な親水性膜70を除去する。ここで、本実施形態では、例えば、液体噴射面をエタノール等の有機溶剤により払拭することで余分な親水性膜70の除去を行うことができる。具体的には、エタノール等の有機溶剤を染み込ませた吸収剤で液体噴射面を払拭することで、液体噴射面に設けられた余分な親水性膜70のみを選択的に除去することができる。もちろん、液体噴射面に設けられた余分な親水性膜70の除去方法は、特にこれに限定されず、例えば、レーザ照射やワイピングブレードによる払拭によって削り取るようにしてもよい。いずれにしても、液体噴射面に設けられた余分な親水性膜70を除去することで、撥水膜60を露出させて、液体噴射面の撥水性を復元することができる。
また、液体噴射面に設けられた余分な親水性膜70を除去した後は、所定の温度で一定時間(例えば、60℃で12時間)乾燥することによって、インクジェット式記録ヘッド10のインク流路の内面に親水性膜70を形成する。実際には、図3(b)に示すように、処理剤170をインク流路内に充填して、一定時間放置した状態で、親水性膜70は形成され始めるが、一定時間乾燥することによって、所望の厚さの親水性膜70を確実に形成することができる。
このように親水性膜70を形成すると、親水性膜70は、流路形成基板22、振動板23、圧力発生室底板24、インク供給口形成基板31、リザーバ形成基板33及びノズルプレート35の内面だけではなく、熱溶着フィルム50、51のインク流路側の内面に亘って連続して形成される。
以上説明したように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド10の製造方法によれば、親水性膜70を形成する際に高温での加熱が不要であるため、例えば、圧電素子300や駆動回路等が高温の熱により破壊されるのを防止することができる。したがって、上述のようにインクジェット式記録ヘッド10を組み立てた状態で、親水性膜70を形成することができる。これにより、インクジェット式記録ヘッド10の組み立て工程に親水性膜70の形成工程を組み込む必要が無く、製造工程を容易にすることができる。
また、このような工程によって親水性膜70を形成することによって、不導体の表面にも親水性膜70を形成することができる。したがって、特に親水性膜70が必要な熱溶着フィルム50、51のインク流路側の内面に親水性膜70を形成することができるため、熱溶着フィルム50、51のインク流路側の内面に気泡が滞留し、気泡が成長して、インクと共に吐出されることが可及的に抑制される。これにより、インク重量及びインク速度等のインク吐出特性を安定させることができる。また、インク流路内に気泡が滞留する領域が実質的に存在しないため、インク導入口38側からのインクの供給を短時間で行うことができると共に、インク流路内のインクをノズル開口34から吸引するなどのクリーニング動作が最小限で済むため、インクの無駄な消費を減少させることができる。
また、本実施形態では、最終的にノズル開口34近傍の処理剤170を送風により除去するため、ノズル開口34に余分な親水性膜70が形成されることがない。したがって、余分な親水性膜70によるインク吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。
(試験例1)
ここで、下記表1に示すように、濃度が異なる処理剤A〜Fを用いて、上述した製造方法によりインクジェット式記録ヘッド10のインク流路の内面に親水性膜を形成した。具体的には、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)の濃度が異なる処理剤A〜Fを用意し、まず、各インクジェット式記録ヘッド10のインク流路内を−80kPa以下に減圧した状態で、各インクジェット式記録ヘッド10のインク流路に処理剤A〜Fを通液して充填する。次に、5分程度放置した後、インク流路内の処理剤A〜Fを排出し、インク導入口38側から気体を30秒送風する。そして、液体噴射面をエタノールを染み込ませた吸収剤で払拭する。その後、60℃で12時間乾燥する。
ここで、下記表1に示すように、濃度が異なる処理剤A〜Fを用いて、上述した製造方法によりインクジェット式記録ヘッド10のインク流路の内面に親水性膜を形成した。具体的には、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)の濃度が異なる処理剤A〜Fを用意し、まず、各インクジェット式記録ヘッド10のインク流路内を−80kPa以下に減圧した状態で、各インクジェット式記録ヘッド10のインク流路に処理剤A〜Fを通液して充填する。次に、5分程度放置した後、インク流路内の処理剤A〜Fを排出し、インク導入口38側から気体を30秒送風する。そして、液体噴射面をエタノールを染み込ませた吸収剤で払拭する。その後、60℃で12時間乾燥する。
このように処理剤A〜Fを用いて親水性膜を形成した各インクジェット式記録ヘッド10について処理剤(親水性膜)によるノズル開口34の目詰まりした数を測定した。この結果を下記表1に示す。
表1に示すように、粘度が約6cP以下の処理剤E、Fで親水性膜を形成したインクジェット式記録ヘッドでは、ノズル開口の目詰まりが発生していないことが分かる。これに対して、粘度が約6cPより大きい処理剤A〜Dで親水性膜を形成したインクジェット式記録ヘッドでは、ノズル開口の目詰まりが発生してしまうことが分かった。したがって、EVOHを主成分とする処理剤は、常温(ここでは24℃)では粘度が6cP以下であるのが好ましく、このように処理剤の粘度を6cP以下とすることで、ノズル開口の目詰まりが発生することなく親水性膜を形成することができる。
(試験例2)
ここで、下記表2に示すように、試験例1と同様の濃度の処理剤A〜Fを用いて、この処理剤A〜Fを約60℃に加熱した状態で、上述した実施例1と同様の工程により、インクジェット式記録ヘッドのインク流路の内面に親水性膜を形成した。
ここで、下記表2に示すように、試験例1と同様の濃度の処理剤A〜Fを用いて、この処理剤A〜Fを約60℃に加熱した状態で、上述した実施例1と同様の工程により、インクジェット式記録ヘッドのインク流路の内面に親水性膜を形成した。
このように加熱した処理剤A〜Fを用いて親水性膜を形成した各インクジェット式記録ヘッド10について処理剤(親水性膜)によるノズル開口34の目詰まりした数を測定した。この結果を下記表2に示す。
上述した試験例1で、常温(24℃)で親水性膜を形成した際にノズル開口の目詰まりが発生した処理剤C、Dであっても、表2に示すように処理剤C、Dを約60℃に加熱することによって、ノズル開口の目詰まりが発生しないことが分かった。これに対して、常温(24℃)で粘度が13cPよりも大きい処理剤A、Bは(表1参照)、表2に示すように約60℃に加熱したとしても、ノズル開口の目詰まりが発生してしまうことが分かった。したがって、常温(ここでは24℃)で粘度が13cP以下の処理剤は、60℃に加温して用いることで、ノズル開口の目詰まりが発生することなく親水性膜を形成することができる。
なお、試験例1及び2から、何れの処理剤A〜Fを用いた場合であっても、上述した実施形態の製造方法によって親水性膜を形成することができるものであり、ノズル開口の開口面積や形状、インク流路の形状等のインクジェット式記録ヘッドの構造や、処理剤の主成分、溶剤などの種類によって、ノズル開口の目詰まりが発生しない処理剤の粘度は、特にこれに限定されるものではない。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、インク導入口38側から気体を送風することで、ノズル開口34に送風し、余分な処理剤170を除去するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、キャップ部材100によってノズル開口34側から気体を吸引することで、インク導入口38側からノズル開口34に向かって気体が送風されるようにしてもよい。また、キャップ部材100としては、インクジェット式記録装置等に搭載されて、ノズル開口34のクリーニング動作や、インクジェット式記録ヘッド10のインク流路内にインクを充填する際に用いられるキャップ部材を用いるようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、インク導入口38側から気体を送風することで、ノズル開口34に送風し、余分な処理剤170を除去するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、キャップ部材100によってノズル開口34側から気体を吸引することで、インク導入口38側からノズル開口34に向かって気体が送風されるようにしてもよい。また、キャップ部材100としては、インクジェット式記録装置等に搭載されて、ノズル開口34のクリーニング動作や、インクジェット式記録ヘッド10のインク流路内にインクを充填する際に用いられるキャップ部材を用いるようにしてもよい。
また、例えば、上述した実施形態1では、厚膜型の圧電素子を有するインクジェット式記録ヘッド10を例示したが、圧力発生室21に圧力変化を生じさせる圧力発生手段としては、特にこれに限定されず、例えば、ゾル−ゲル法、MOD法、スパッタリング法等により形成される圧電材料を有する薄膜型の圧電素子、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子、振動板と電極を所定の隙間を開けて配置し、静電気力で振動板の振動を制御する、いわゆる静電アクチュエータ、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものなどが挙げられる。
また、上述した実施形態1では、インクジェット式記録ヘッド10の液体流路として、アクチュエータユニット20及び流路ユニット30に形成された流路を例示したが、その他の構成の液体流路であっても、本発明を適用することができる。すなわち、本発明は、複数の構成基板が接合されて構成された流路基板の液体流路に親水性膜を形成する製造方法に適用することができるため、液体流路の構成は特に限定されるものではない。
なお、上述した実施形態1においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの検査方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 インクジェット式記録ヘッド、 20 アクチュエータユニット、 21 圧力発生室、 22 流路形成基板、 23 振動板、 24 圧力発生室底板、 30 流路ユニット、 31 インク供給口形成基板、 32 リザーバ、 33 リザーバ形成基板、 34 ノズル開口、 35 ノズルプレート、 40 圧電素子、 50、51 熱溶着フィルム、 60 撥水膜、 61 クレータ部、 70 親水性膜、 100 キャップ部材、 170 処理剤
Claims (5)
- 液体を噴射するノズル開口に連通すると共に液体導入口から液体が供給される液体流路が設けられた流路基板を具備し、該流路基板が複数の構成基板を接合することにより形成された液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記液体流路内を減圧した状態で、親水性膜を形成する処理剤を通液して、前記液体流路内に前記処理剤を充填した後、前記液体流路内の前記処理剤を排出し、その後、前記ノズル開口に送風することで、前記ノズル開口近傍の前記処理剤を除去して、前記液体流路の内面に前記親水性膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。 - 前記処理剤を加熱した状態で、前記液体流路に充填することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記構成基板が、互いに熱溶着フィルムにより接合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記ノズル開口に送風した後に、前記ノズル開口が開口する液体噴射面に設けられた前記親水性膜を除去することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
- 前記液体噴射面に設けられた前記親水性膜を除去する際に、当該液体噴射面を有機溶剤により払拭することを特徴とする請求項4記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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2007
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