JP2019214166A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より効果的に画質低下を抑制することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェットヘッドは、インクを貯留するインク貯留部と、インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、を各々有する複数のインク吐出部と、複数のインク吐出部が有する複数のインク貯留部に連通し、当該複数のインク貯留部の各々からノズルに供給されずに排出されたインクを一時的に貯留して、当該貯留されたインクの圧力変動を減衰させる圧力変動減衰部と、接続部を介して圧力変動減衰部に接続され、圧力変動減衰部から接続部を介してインクが流入する共通排出流路と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出させて所望の位置に着弾させることで画像を形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドには、複数のノズルの各々に対応して、インクを貯留するインク貯留部と、当該インク貯留部内のインクの圧力を変動させる圧力変動手段とが設けられており、インクジェットヘッドは、インク貯留部内のインクの圧力の変動に応じて、インク貯留部に連通するノズルからインクを吐出させる。
インクジェットヘッドでは、インク貯留部に気泡や異物が混入すると、インクに対して正常に圧力が印加されなくなるため、ノズルからのインクの吐出不良が生じて画質が低下する。このため、従来、複数のノズルに対応する複数のインク貯留部を共通排出流路に連通させて、各インク貯留部に供給されるインクの一部を気泡や異物とともに共通排出流路を介してインクジェットヘッドの外部に排出させる技術がある(例えば、特許文献1)。この技術では、共通排出流路におけるインクの圧力損失を低く抑えてインクの排出流量を増大させることで、より効率良く気泡や異物を除去して画質低下を効果的に抑制することができる。
共通排出流路を有するインクジェットヘッドでは、複数のインク貯留部内のインクの圧力変動に起因して、共通排出流路内に、当該共通排出流路の形状に応じた特性(波長、周期及び振幅)の定在波が生じる。この定在波による圧力波がインク貯留部に伝播すると、インク貯留部内のインクに対して印加される圧力が所望の圧力からずれて、ノズルからのインクの吐出特性が低下する。このインク吐出特性の低下が記録画像の画質に及ぼす影響の大きさは、共通排出流路に生じる定在波の特性に依存する。
国際公開第2017/002778号
しかしながら、気泡や異物を排出しやすい共通排出流路の構造と、吐出特性を低下させない共通排出流路の構造とを両立させて画質低下を抑制するのは困難であるという課題がある。
この発明の目的は、より効果的に画質低下を抑制することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のインクジェットヘッドの発明は、
インクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、
前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、
を各々有する複数のインク吐出部と、
前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に連通し、当該複数のインク貯留部の各々から前記ノズルに供給されずに排出されたインクを一時的に貯留して、当該貯留されたインクの圧力変動を減衰させる圧力変動減衰部と、
接続部を介して前記圧力変動減衰部に接続され、前記圧力変動減衰部から前記接続部を介してインクが流入する共通排出流路と、
を備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記接続部は、前記圧力変動減衰部及び前記共通排出流路に各々接続された複数の接続流路からなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記圧力変動減衰部とを接続する個別排出流路を有し、
前記接続部は、当該接続部におけるインクの圧力損失が、前記複数のインク吐出部が有する複数の前記個別排出流路におけるインクの圧力損失より小さくなる形状を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧力変動減衰部は、当該圧力変動減衰部に貯留されたインクの圧力変動を吸収する圧力変動吸収部材を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧力変動吸収部材は、前記圧力変動減衰部の外壁の一部であり、前記圧力変動減衰部に貯留されたインクの圧力の変動に応じて変形することでインクの圧力変動を吸収する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記インク貯留部、前記圧力変動手段及び前記共通排出流路が設けられている流路基板と、
前記流路基板に接合され、前記ノズルが設けられているノズル基板と、
を備え、
前記圧力変動減衰部は、前記流路基板及び前記ノズル基板の接合面に沿って設けられて、外壁の一部が前記ノズル基板からなり、
前記圧力変動吸収部材は、前記ノズル基板のうち前記圧力変動減衰部の外壁をなす部分である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ノズル基板には、前記圧力変動減衰部の外壁をなす部分における前記流路基板側の面に凹部が設けられている。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧力変動減衰部の内壁面は、当該圧力変動減衰部に貯留されるインクに対する濡れ性を増大させる親水処理がなされている。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧力変動減衰部の内壁面は、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面よりもインクに対する濡れ性が大きい。
また、上記目的を達成するため、請求項10に記載のインクジェット記録装置の発明は、
請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備える。
本発明に従うと、より効果的に画質低下を抑制することができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットの構成を示す模式図である。 インクジェットヘッドの斜視図である。 インクジェットヘッドの主要部の分解斜視図である。 圧力室基板の下面の拡大平面図である。 図4のA−A線を通りX方向に垂直なヘッドチップの断面を示す図である。 図6のB−B線を通りZ方向に垂直なヘッドチップの断面を示す図である。 インク循環機構の構成を示す模式図である。 実験に用いた各ヘッドチップの構成及び評価結果を示す図である。 変形例に係るヘッドチップの断面を示す図である。 変形例に係るヘッドチップの断面を示す図である。
以下、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。
搬送部2は、図1のX方向に延びる回転軸を中心に回転する2本の搬送ローラー2a、2bにより内側が支持された輪状の搬送ベルト2cを備える。搬送部2は、搬送ベルト2cの搬送面上に記録媒体Mが載置された状態で搬送ローラー2aが図示略の搬送モーターの動作に応じて回転して搬送ベルト2cが周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト2cの移動方向(搬送方向;図1のY方向)に搬送する。
記録媒体Mは、一定の寸法に裁断された枚葉紙とすることができる。記録媒体Mは、図示略の給紙装置により搬送ベルト2c上に供給され、ヘッドユニット3からインクが吐出されて画像が記録された後に搬送ベルト2cから所定の排紙部に排出される。なお、記録媒体Mとしては、ロール紙が用いられてもよい。また、記録媒体Mとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
ヘッドユニット3は、搬送部2により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいて適切なタイミングでインクを吐出して画像を記録する。本実施形態のインクジェット記録装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット3が記録媒体Mの搬送方向上流側からY、M、C、Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。なお、ヘッドユニット3の数は3つ以下又は5つ以上であってもよい。
図2は、ヘッドユニット3の構成を示す模式図であり、ヘッドユニット3を搬送ベルト2cの搬送面に相対する側から見た平面図である。ヘッドユニット3は、板状の基部3aと、基部3aに設けられた貫通孔に篏合した状態で基部3aに固定された複数の(ここでは8つの)インクジェットヘッド100とを有する。インクジェットヘッド100は、ノズル111の開口部が設けられたノズル開口面11aが基部3aの貫通孔から−Z方向に向けて露出した状態で基部3aに固定されている。
インクジェットヘッド100では、複数のノズル111が記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちX方向)に等間隔にそれぞれ配列されている。すなわち、各インクジェットヘッド100は、X方向に等間隔に一次元配列されたノズル111の列(ノズル列)を有している。
なお、インクジェットヘッド100は、ノズル列を複数有していても良い。この場合には、複数のノズル列は、ノズル111のX方向についての位置が重ならないようにX方向の位置が互いにずらされて配置される。
ヘッドユニット3における8つのインクジェットヘッド100は、ノズル111のX方向についての配置範囲が連続するように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット3に含まれるノズル111のX方向についての配置範囲は、搬送ベルト2cにより搬送される記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のX方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット3は、画像の記録時には位置が固定されて用いられ、記録媒体Mの搬送に応じて搬送方向についての所定間隔(搬送方向間隔)の各位置に対してノズル111からインクを吐出することで、シングルパス方式で画像を記録する。
図3は、インクジェットヘッド100の斜視図である。
インクジェットヘッド100は、筐体101と、筐体101の下端で筐体101と篏合する外装部材102とを備え、筐体101及び外装部材102の内部に主要な構成要素が収容されている。このうち外装部材102には、外部からインクが供給されるインレット103a、及びインクが外部に排出されるアウトレット103b、103cが設けられている。また、外装部材102には、インクジェットヘッド100をヘッドユニット3の基部3aに取り付けるための複数の取付穴104が設けられている。
図4は、インクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
図4では、インクジェットヘッド100の構成部材のうち、外装部材102の内部に収容されている主要な構成部材が示されている。具体的には、図4では、ノズル基板11、流路スペーサー基板12及び圧力室基板13を有するヘッドチップ10と、ヘッドチップ10に固着された配線基板15と、配線基板15に電気的に接続されたFPC20(Flexible Printed Circuit)とが示されている。
図4では、インクジェットヘッド100のノズル開口面11aが上方となるように、すなわち図3とは上下が反転されるように各部材が描かれている。以下では、各基板の−Z方向側の面を上面、+Z方向側の面を下面とも記す。
ヘッドチップ10は、ノズル111が設けられたノズル基板11と、ノズル111に連通する貫通流路121等が設けられた流路スペーサー基板12と、貫通流路121を介してノズル111に連通する圧力室131等が設けられた圧力室基板13と、が積層された構造を有している。以下では、このうち流路スペーサー基板12及び圧力室基板13からなる基板を流路基板14と記す。
ノズル基板11、流路スペーサー基板12及び圧力室基板13と、配線基板15とは、いずれもX方向に長尺な略四角柱状の板状部材である。
ノズル基板11は、厚さ方向(Z方向)に貫通する孔であるノズル111がX方向に沿って列をなすように設けられているポリイミドの基板である。ノズル基板11の上面は、インクジェットヘッド100のノズル開口面11aをなす。ノズル基板11の厚さ(したがって、ノズル111のインク吐出方向の長さ)は、例えば数十μmから数百μm程度である。
なお、ノズル111の内壁面は、Z方向に垂直な断面積が、インク吐出側の開口部に近いほど小さくなるようなテーパー形状を有していても良い。また、ノズル基板11としては、ポリイミド以外の各種樹脂の基板や、シリコン基板、SUSなどの金属基板などを用いても良いが、後述するダンパー効果の観点から、ヤング率が10GPa以下である部材(代表的な部材としては、樹脂等)を用いることが望ましい。
また、ノズル基板11のノズル開口面11aには、フッ素樹脂粒子等の撥液性物質を含む撥液膜が設けられている。撥液膜を設けることで、ノズル開口面11aに対するインクや異物の付着を抑えることができ、当該インクや異物等の付着に起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
流路スペーサー基板12及び圧力室基板13は、Z方向から見た形状がノズル基板11とほぼ同一である直方体形状の板状部材である。
本実施形態の流路スペーサー基板12は、シリコン基板からなる。流路スペーサー基板12の厚さは、特には限られないが、数百μm程度とされる。流路スペーサー基板12の上面にはノズル基板11が、また下面には圧力室基板13が、それぞれ接着剤を介して接着(固着)されている。
圧力室基板13の材質は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)である。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。本実施形態の圧力室基板13では、PZTが用いられている。
流路スペーサー基板12には、ノズル111に連通する貫通流路121と、貫通流路121から分岐する個別排出流路122と、個別排出流路122に連通するダンパー室123(圧力変動減衰部)と、ダンパー室123から分岐して流路スペーサー基板12を貫通する複数の接続流路124とが設けられている。このうち貫通流路121及び個別排出流路122は、複数のノズル111の各々に対応して設けられている。また、接続流路124の数は、ノズル111の数の1/2とされている。
圧力室基板には、貫通流路121に連通する圧力室131と、接続流路124に連通する共通排出流路132と、共通排出流路132から分岐する垂直排出流路133と、が設けられている。このうち圧力室131は、複数のノズル111の各々に対応して設けられている。
流路スペーサー基板12の貫通流路121は、流路スペーサー基板12をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面がY方向に長い矩形をなしている。また、圧力室基板13の圧力室131は、圧力室基板13をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、貫通流路121と同一である。流路スペーサー基板12と圧力室基板13とが接合された状態では、貫通流路121及び圧力室131が一繋がりとなって、チャネル141(インク貯留部)を構成する。チャネル141は、Z方向から見てノズル111と重なる位置に設けられており、ノズル111に連通している。また、各チャネル141には、配線基板15に設けられたインク供給口151を介してインクが供給されて貯留される。
図5は、圧力室基板13の下面の拡大平面図である。
図5に示されるように、各圧力室131は、X方向に隣り合う圧力室131との間が圧電体の隔壁134により仕切られている。各圧力室131の隔壁134の内壁面には、金属の駆動電極136(圧力変動手段)が設けられている。また、圧力室基板13の表面のうち圧力室131の開口部の+Y方向側の近傍領域には、駆動電極136に電気的に接続された金属の接続電極135が設けられている。接続電極135は、図4に示される配線基板15の配線153、及びFPC20の配線21を介して外部の駆動回路に電気的に接続される。
圧力室基板13では、接続電極135を介して駆動電極136に印加された駆動信号に応じて隔壁134がシアモード型の変位を繰り返すことで、圧力室131内の(したがって、チャネル141内の)インクの圧力が変動する。この圧力の変動に応じて、チャネル141内のインクがノズル111から吐出される。すなわち、本実施形態のヘッドチップ10は、シアモード型のインク吐出を行うヘッドチップである。
なお、図4及び図5におけるX方向について一つ置きのチャネル141の形成位置に、チャネル141に代えて、インクの流入経路を有しない空気室を設けても良い。このような構成とすることで、チャネル141における圧力室131に隣接する隔壁134が変形した際に、他のチャネル141に当該変形の影響が及ばないようにすることができる。
図4に示されるように、流路スペーサー基板12には、各貫通流路121(チャネル141)のノズル基板11側の開口部から+Y方向に分岐して延びる個別排出流路122が設けられている。個別排出流路122は、流路スペーサー基板12のノズル基板11側の表面に設けられた溝状の流路であり、流路スペーサー基板12とノズル基板11とが接合された状態において、側壁の一部がノズル基板11によって構成される。
本実施形態のインクジェットヘッド100では、チャネル141、駆動電極136、ノズル111及び個別排出流路122により、インクを吐出するための機構であるインク吐出部10a(図6参照)が構成される。したがって、ヘッドチップ10には、ノズル111の数と同一の数のインク吐出部10aが設けられている。
また、流路スペーサー基板12には、流路スペーサー基板12とノズル基板11との接合面(したがって、流路基板14とノズル基板11との接合面)に沿ってX方向に延びるダンパー室123が設けられている。このダンパー室123には、複数のチャネル141に対応する複数の個別排出流路122が接続されている。
ダンパー室123は、流路スペーサー基板12のノズル基板11側の表面に設けられた溝状のインク室であり、流路スペーサー基板12とノズル基板11とが接合された状態において、外壁の一部がノズル基板11によって構成される。ここで、ノズル基板11のうちダンパー室123の外壁を構成する部分は、可撓性を有するダンパー板11D(振動板)(図6参照)となっている。ダンパー室123は、複数の個別排出流路122から流入したインクを一時的に貯留し、当該貯留されたインクの圧力変動に応じてダンパー板11Dが変形することで、当該インクの圧力変動を減衰させる(吸収する)。ここで、ダンパー板11Dのダンパー室123側とは反対側は、開放された空気であり、空気がその弾性力によってダンパー板11Dの変形を阻害することがないため、ダンパー室123内のインクの圧力変動を効果的に減衰させることができる。
また、ダンパー室123のノズル基板11とは反対側には、Z方向に延びて流路スペーサー基板12を貫通する複数の接続流路124が接続されている。また、複数の接続流路124は、X方向に沿って一列に等間隔で配列されている。以下では、ダンパー室123に接続されている複数の接続流路124からなる流路群を、まとめて接続部125(図7参照)とも記す。
圧力室基板13の流路スペーサー基板12との接合面には、Z方向から見てダンパー室123の形成範囲を包含する範囲に、X方向に延びる共通排出流路132が設けられている。共通排出流路132は、圧力室基板13の流路スペーサー基板12側の表面に設けられた溝状の流路であり、圧力室基板13と流路スペーサー基板12とが接合された状態において、側壁の一部が流路スペーサー基板12によって構成されるとともに、複数の接続流路124に接続される。 また、共通排出流路132の+X方向側の端部には、圧力室基板13をZ方向に貫通する垂直排出流路133が接続されている。
このような構成の流路スペーサー基板12及び圧力室基板13からなる流路基板14では、チャネル141に供給されたインクのうちノズル111から吐出されなかったインクの一部が、個別排出流路122、ダンパー室123、接続流路124及び共通排出流路132を介して外部に排出される。すなわち、チャネル141から上記経路で共通排出流路132に導かれたインクは、垂直排出流路133、及び配線基板15に設けられた排出孔152を通ってアウトレット103b(又はアウトレット103c)からインクジェットヘッド100の外部に排出される。これにより、チャネル141に混入した気泡や異物が、インクとともに共通排出流路132を介して外部に排出されるようになっている。
インク供給口151からチャネル141に供給されるインクの流れや、チャネル141から個別排出流路122及び共通排出流路142を通って排出されるインクの流れは、インクジェット記録装置1が有するインク循環機構9(図8参照)により発生させることができる。インク循環機構9の構成については、後述する。
配線基板15は、圧力室基板13との接合領域を確保する観点から圧力室基板13の面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であることが好ましく、接着剤を介して圧力室基板13の下面に接着されている。配線基板15としては、例えばガラス、セラミックス、シリコン、プラスチックなどの基板を用いることができる。
配線基板15には、Z方向から見てチャネル141と重なる位置に複数のインク供給口151が設けられており、また、垂直排出流路133と重なる位置に排出孔152が設けられている。また、配線基板15の圧力室基板13との接着面には、複数のインク供給口151の各々の端部から配線基板15の端部に向かって延びる複数の配線153が設けられている。
配線基板15の下面には、図示しないインクマニホールド(共通インク室)が接続されており、当該インクマニホールドからインク供給口151にインクが供給される。
圧力室基板13と配線基板15とは、導電性粒子を含有させた導電性接着剤を介して接着される。これにより、圧力室基板13の表面の接続電極135と、配線基板15上の配線153とが、導電性粒子を介して電気的に接続される。
また、配線基板15のうち配線153が設けられている端部には、FPC20が、例えばACF(異方性導電フィルム)を介して接続される。この接続により、配線基板15の複数の配線153と、FPC20上の複数の配線21とが、一対一で対応するようにそれぞれ電気的に接続される。
次に、ダンパー室123の詳細な構成、及びその作用効果について説明する。
図6は、図4のA−A線を通りX方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。
また、図7は、図6のB−B線を通りZ方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。
図6に示されるように、ヘッドチップ10では、複数のチャネル141と共通排出流路132とを繋ぐインク流路の途中にダンパー室123が設けられている。このような構成により、チャネル141内のインクの圧力変動に起因する圧力波が個別排出流路122を通ってダンパー室123に進入した場合に、ダンパー板11Dが変形することで当該圧力波によるインクの圧力変動を減衰させることができるようになっている。これにより、圧力波がダンパー室123を介して他のチャネル141に伝播する(反射する)不具合の発生が抑制される。異なるチャネル141から進入した圧力波同士がダンパー室123内で打ち消し合うことによっても圧力変動が減衰する。さらに、ダンパー板11Dの変形等により吸収しきれなかった圧力波の一部は、接続流路124を通って共通排出流路132に逃げるため、これによっても、各チャネル141への圧力波の伝播が抑制される。
この結果、各チャネル141への圧力波の伝播に起因するインクの吐出特性の変動(クロストーク)、及び当該変動による画質の低下が抑制される。ここで、圧力波の反射に起因して変動する吐出特性は、例えば吐出されるインクの飛翔速度である。したがって、インクの飛翔速度の変化率によって表されるクロストークの大きさに基づいて、ダンパー板11Dによるダンパー効果を評価することができる。
また、ダンパー室123に接続された複数の接続流路124からなる接続部125(図7)は、当該接続部125におけるインクの圧力損失(流路抵抗)が、ダンパー室123に接続された複数の個別排出流路122におけるインクの圧力損失より小さくなる形状で設けられている。このように接続部125の流路抵抗を相対的に小さくすることで、ダンパー室123において吸収しきれなかった圧力波を共通排出流路132へ効率良く逃がすことができるため、各チャネル141への圧力波の伝播が効果的に抑制される。
なお、この場合における圧力損失は、複数の接続流路124や、複数の個別排出流路122における合成の圧力損失(合成の流路抵抗)である。
また、図4、図7に示されるように、ダンパー室123と共通排出流路132とを複数の独立した接続流路124を介して接続することによっても、圧力波をダンパー室123から共通排出流路132へ効率良く逃がす効果が得られる。
また、図6に示されるように、ノズル基板11には、ダンパー板11Dをなす部分における流路基板14側の面に凹部112が設けられている。凹部112を設けることで、ダンパー板11Dを薄くかつ撓みやすくすることができ、これによりダンパー室123における圧力変動の減衰効果が高められている。
また、ダンパー室123の内壁面は、当該ダンパー室123に貯留されるインクに対する濡れ性を増大させる親水処理がなされている。これにより、ダンパー室123の内壁面は、ノズル開口面11aよりインクに対する濡れ性が大きくなっている。ここで、濡れ性が大きいとは、基板表面におけるインクの液滴の当該基板表面に対する接触角が小さいことをいう。インクに対する濡れ性を増大させる親水処理としては、特には限られないが、例えば基板表面に対して所定条件下で行うプラズマ処理が挙げられる。あるいは、ダンパー室123の内壁面に親水膜を形成する処理としても良い。ダンパー室123の内壁面における濡れ性を大きくすることで、当該内壁面にインクが濡れ広がりやすくなり、気泡がトラップされる不具合を生じにくくすることができる。
このように、ダンパー室123は、インクの圧力変動を減衰させる機能を有するが、当該減衰によって複数のチャネル141から進入する複数の圧力波の全てを吸収する(消滅させる)ことは困難であり、ダンパー室123内には、当該複数の圧力波に起因する定在波が生じる。この定在波は、ダンパー室123内で複数の圧力波が干渉して生じるものであり、その特性(波長、周期及び振幅)は、ダンパー室123の形状に大きく影響される。
この定在波による圧力波が各チャネル141に伝播すると、上述のようにインクの吐出特性が変動してクロストークが生じる。ただし、このインク吐出特性の変動が記録画像の画質に及ぼす影響の大きさは、ダンパー室123に生じる定在波の特性に依存することが知られている。例えば、定在波の波長が極端に長かったり短かったりする場合には、当該定在波の伝播に起因するクロストークは、画質への影響が軽微なものとなる。
このため、ダンパー室123は、当該ダンパー室123に生じる定在波が、許容範囲を超えた画質低下を生じさせない特性となるような所定条件を満たす形状で設けられる。
一方で、共通排出流路132は、接続流路124を挟んでダンパー室123と離間しているため、その形状が、ダンパー室123内に生じる定在波の特性に影響を与えことはほとんどない。このため、共通排出流路132は、インクの圧力損失を低く抑えることを優先した形状で(すなわち、大きな断面積を有する形状で)設けられる。具体的には、図7に示されるように、Z方向から見てダンパー室123を包含する範囲でダンパー室123より大きな面積で設けられ、図6に示されるように、Z方向の深さもダンパー室123より大きくなっている。このように圧力損失を低く抑えることで、内部を流動するインクの流量をより大きくすることができるため、効果的に気泡や異物を排出することが可能となる。
このように、複数のチャネル141と共通排出流路132との間にダンパー室123が設けられた本実施形態のインクジェットヘッド100では、共通排出流路132を圧力損失の低い形状で設けることで、排出インクの流量が確保されるとともに、ダンパー室123を上記の所定条件を満たす形状で設けることで、ダンパー室123内の定在波に起因する画質低下が抑制されるようになっている。
次に、インクジェットヘッド100内においてインクを還流させて排出させるためのインク循環機構9の構成について説明する。
図8は、インク循環機構9の構成を示す模式図である。
インク循環機構9は、供給用サブタンク91、還流用サブタンク92及びメインタンク93などを備える。
供給用サブタンク91は、インクジェットヘッド100に設けられたインクマニホールドに供給されるインクを貯留する。供給用サブタンク91は、インク流路94によってインレット103aに接続されている。
還流用サブタンク92は、インク流路95によってアウトレット103b、103cに接続されており、個別排出流路122及び共通排出流路142を含む上述のインク排出流路を通ってアウトレット103b又はアウトレット103cから排出されたインクを貯留する。
供給用サブタンク91及び還流用サブタンク92は、インク流路96で接続されている。そして、インク流路96に設けられたポンプ98により、還流用サブタンク92から供給用サブタンク91にインクを戻すことができるようになっている。
メインタンク93は、供給用サブタンク91に供給されるインクを貯留する。メインタンク93は、インク流路97によって供給用サブタンク91に接続されている。また、インク流路97に設けられたポンプ99により、メインタンク93から供給用サブタンク91にインクが供給される。
供給用サブタンク91は、その液面が、ヘッドチップ10のインク吐出面(以下、「位置基準面」とも記す)より高くなる位置に設けられ、還流用サブタンク92の液面は、その液面が位置基準面より低くなる位置に設けられている。よって、位置基準面と供給用サブタンク91との水頭差による圧力P1と、位置基準面と還流用サブタンク92との水頭差による圧力P2が生じている。この結果、インレット103aにおけるインクの圧力がアウトレット103b、103cにおけるインクの圧力よりも高くなっている。この圧力差により、インレット103aからインクマニホールド、インク供給口151、チャネル141、貫通流路121、個別排出流路122、共通排出流路142、垂直排出流路133、排出孔152を経てアウトレット103b、103cに向かうインクの流れが生じ、インク吐出部10aへのインク供給、及びインク吐出部10aからのインクの排出(還流)がなされるようになっている。また、各サブタンク内のインク量や、各サブタンクの鉛直方向の位置を変更することで、圧力P1及び圧力P2を調整することができ、これによりインクの流速を調整することができる。
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。
この実験では、接続流路124におけるインクの圧力損失を異ならせた複数のヘッドチップ10を用意し、各ヘッドチップ10におけるダンパー室123のダンパー効果を評価した
図9は、実験に用いた各ヘッドチップ10の構成及び評価結果を示す図である。
実験では、512個のノズル111を有し、各ノズル111に対して1つの個別排出流路122が連通し、これら512本の個別排出流路122が1つのダンパー室123を介して1つの共通排出流路132に接続されている構成のヘッドチップ10を用いた。また、接続流路124の数は256本とし、個別排出流路122における(合成の)圧力損失に対する、接続流路124における(合成の)圧力損失の比率を異ならせた5つのサンプルを、それぞれ実施例1〜5とした。具体的には、上記圧力損失の比率が2、1、0.5、0.1、0.01となるような断面積で接続流路124を設けたサンプルを、それぞれ実施例1〜5とした。
また、ダンパー室123を設けず、個別排出流路122を直接共通排出流路132に接続した構成のサンプルを比較例とした。
ダンパー効果の評価結果は、複数のインク吐出部10aにおいて生じるクロストークの程度に応じて「◎」、「○」、「△」、「×」の4水準で評価した。
具体的には、512個のインク吐出部10aを、駆動周波数10Hzと10kHzの2種類の駆動パターンで駆動し、512個のインク吐出部10aのうち吐出されたインクの飛翔速度のクロストークによる変化率が最大となったインク吐出部10aにおける当該変化率(最大変化率)で評価した。すなわち、この飛翔速度の最大変化率が2%未満であった場合を「◎」、2%以上4%未満であった場合を「○」、4%以上10%未満であった場合を「△」、10%以上であった場合を「×」とした。このうち「◎」、「○」、「△」は、実使用上問題のない画質が得られる正常範囲のクロストークレベルであり、「×」は、画質の低下が許容範囲を超えて問題となるクロストークレベルである。
図9に示されるように、ダンパー室123を有しない比較例では、ダンパー効果が「×」となり、クロストークに起因して許容範囲を超える画質低下が生じた。
一方、ダンパー室123を設けた実施例1〜5は、ダンパー効果がいずれも「△」以上となり、クロストークレベルが、実使用上問題のない画質が得られる正常範囲に抑えられることが確認された。
中でも、接続流路124における圧力損失が個別排出流路122における圧力損失より小さい実施例2〜5では、ダンパー効果が「○」又は「◎」となり、より効果的にクロストークが抑えられることが確認された。
なお、この実験では評価していないが、個別排出流路122における圧力損失に対する接続流路124における圧力損失の比率が小さ過ぎると、ダンパー室123内の圧力波が必要以上に共通排出流路132に伝わりやすくなるため、共通排出流路132の形状が、ダンパー室123内の定在波の特性に影響を与えるようになる。この場合には、共通排出流路132及びダンパー室123の形状を、互いに独立して調整することができなくなってしまう。このため、上記圧力損失の比率は、共通排出流路132の形状がダンパー室123内の定在波の特性に影響を受けないか、又は影響が軽微である範囲内で調整することが望ましい。
(変形例)
続いて上記実施形態の変形例について説明する。本変形例は、接続流路124の形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
図10及び図11は、変形例の一態様に係るヘッドチップ10の断面を示す図である。
図10に示されるヘッドチップ10では、接続部125において、接続流路124が、複数のノズル111の各々に対応してノズル111と同一の数だけ設けられている。
また、図11に示されるヘッドチップ10では、X方向に延びるスリット状の単一の接続流路124が設けられている。すなわち、接続部125が、単一の接続流路124から構成されている。
これらの変形例のように、接続流路124は、ダンパー室123から共通排出流路132へ所望の態様で圧力波が伝播する範囲内で、その形状や数を任意に変更することができる。
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッド100は、インクを貯留するインク貯留部としてのチャネル141と、チャネル141に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段としての駆動電極136と、チャネル141に連通し、当該チャネル141内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズル111と、を各々有する複数のインク吐出部10aと、複数のインク吐出部10aが有する複数のチャネル141に連通し、当該複数のチャネル141の各々からノズル111に供給されずに排出されたインクを一時的に貯留して、当該貯留されたインクの圧力変動を減衰させる圧力変動減衰部としてのダンパー室123と、接続部125を介してダンパー室123に接続され、ダンパー室123から接続部125を介してインクが流入する共通排出流路132と、を備える。
このように、複数のチャネル141と共通排出流路132との間にダンパー室123が設けられた構成によれば、ダンパー室123の形状を調整することで、チャネル141への圧力波の伝播に起因する画質低下を抑制しつつ、インクの圧力損失が小さくなる形状で共通排出流路132を設けることで、気泡や異物とともに排出されるインクの流量を増大させて、気泡や異物に起因する画質低下を抑制することができる。
より詳しくは、ダンパー室123の形状を、当該ダンパー室123に生じる定在波が、許容範囲を超えた画質低下を生じさせない特性となるような所定条件を満たす形状とすることが可能となるため、定在波による圧力波の伝播に起因する画質低下を効果的に抑制することができる。また、共通排出流路132の形状を、ダンパー室123の形状とは独立に調整することができるため、共通排出流路132におけるインクの圧力損失を効果的に低減させることができる。
また、ダンパー室123では、チャネル141から進入した圧力波による圧力変動を減衰させて圧力波を吸収することができるため、ダンパー室123において定在波を生じにくくすることができ、各チャネル141への圧力波の伝播を抑制することができる。また、ダンパー室123において吸収しきれなかった圧力波の一部は、接続流路124を通って共通排出流路132に逃げるため、これによっても、各チャネル141への圧力波の伝播を抑制することができる。
また、接続部125は、ダンパー室123及び共通排出流路132に各々接続された複数の接続流路124からなる。このような構成では、接続流路124の数や形状を調整することで、ダンパー室123から共通排出流路132へ、より容易に所望の態様で圧力波を逃がすことができる。
また、複数のインク吐出部10aの各々は、チャネル141とダンパー室123とを接続する個別排出流路122を有し、接続部125は、当該接続部125におけるインクの圧力損失が、複数のインク吐出部10aが有する複数の個別排出流路122におけるインクの圧力損失より小さくなる形状を有する。これにより、ダンパー室123において吸収しきれなかった圧力波を共通排出流路132へ効率良く逃がすことができるため、各チャネル141への圧力波の伝播を効果的に抑制することができる。
また、ダンパー室123は、当該ダンパー室123に貯留されたインクの圧力変動を吸収する圧力変動吸収部材としてのダンパー板11Dを有する。また、このダンパー板11Dは、ダンパー室123に貯留されたインクの圧力の変動に応じて変形することでインクの圧力変動を吸収する。これにより、ダンパー室123内のインクの圧力変動をより効果的に減衰させて、ダンパー室123に進入した圧力波をより効率良く吸収することができる。
また、インクジェットヘッド100は、チャネル141、駆動電極136及び共通排出流路132が設けられている流路基板14と、流路基板14に接合され、ノズル111が設けられているノズル基板11と、を備え、ダンパー室123は、流路基板14及びノズル基板11の接合面に沿って設けられて、外壁の一部がノズル基板11からなり、ダンパー板11Dは、ノズル基板11のうちダンパー室123の外壁をなす部分である。このような構成では、ダンパー板11Dの一方の面が開放された空気に接しており、この空気はその弾性力によってダンパー板11Dの変形を阻害することがないため、ダンパー室123内のインクの圧力変動を効果的に減衰させることができる。
また、ノズル基板11には、ダンパー室123の外壁(ダンパー板11D)をなす部分における流路基板14側の面に凹部112が設けられている。これにより、ダンパー板11Dを薄く、かつ撓みやすくすることができ、ダンパー室123においてより効果的に圧力変動を減衰させることができる。
また、ダンパー室123の内壁面は、当該ダンパー室123に貯留されるインクに対する濡れ性を増大させる親水処理がなされている。また、ダンパー室123の内壁面は、ノズル111の開口部が設けられているノズル開口面11aよりもインクの濡れ性が大きい。このような構成によれば、ダンパー室123の内壁面にインクが濡れ広がりやすくなり、ダンパー室123内に気泡がトラップされる不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置1は、上記のインクジェットヘッド100を備えるので、効果的に画質低下を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、ダンパー室123の形状は、上記実施形態に記載した直方体形状に限られず、定在波を所望の特性とすることが可能な任意の形状とすることができる。
また、上記実施形態では、ノズル基板11のうちダンパー板11Dを構成する部分の全体に単一の凹部112を設ける例を挙げて説明したが、凹部112の形状はこれに限られず、ダンパー板11Dの厚さの少なくとも一部を薄くすることが可能な任意の形状とすることができる。例えば、ダンパー室123の延在方向(X方向)に延びる複数の線状の凹部112(スリット)を設けも良いし、X方向及びY方向に延びる線状の凹部112が組み合わされた格子状の凹部112を設けても良い。あるいは、凹部112は、ブラスト加工などによりランダムな形状で設けられたものであっても良い。
また、ノズル基板11が十分な可撓性を有している場合には、凹部112を設けないこととしても良い。
また、圧力波をより効果的に吸収する目的で、ダンパー室123の内壁面の全体に凹凸を設けても良い。
また、上記実施形態では、複数のチャネル141の各々とダンパー室123とを、個別排出流路122を介して接続する構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、各チャネル141を、個別排出流路122を介さずに直接ダンパー室123に接続した構成としても良い。
また、ダンパー室123として、ダンパー板11Dの変形によりインクの圧力変動を減衰させる構成のものを例に挙げて説明したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、ダンパー室123は、内部に取り込まれた(又は、内部で発生させた)気泡の弾性力によりインクの圧力変動を減衰させるものとしても良い。
また、上記実施形態では、シアモードのインクジェットヘッド100を例に挙げて説明したが、これに限られず、インク貯留部としての圧力室の壁面に固着された圧電素子(圧力変動手段)を変形させることで圧力室内のインクの圧力を変動させてインクを吐出させる、ベントモードのインクジェットヘッドに対して本発明を適用しても良い。
また、上記各実施形態及び各変形例では、搬送ベルト2cを備える搬送部2により記録媒体Mを搬送する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、搬送部2は、例えば回転する搬送ドラムの外周面上で記録媒体Mを保持して搬送するものであっても良い。
また、上記各実施形態及び各変形例では、シングルパス形式のインクジェット記録装置1を例に挙げて説明したが、インクジェットヘッド100を走査させながら画像の記録を行うインクジェット記録装置に本発明を適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1 インクジェット記録装置
2 搬送部
2a 搬送ローラー
2c 搬送ベルト
3 ヘッドユニット
9 インク循環機構
10 ヘッドチップ
10a インク吐出部
11 ノズル基板
11a ノズル開口面
11D ダンパー板
111 ノズル
112 凹部
12 流路スペーサー基板
121 貫通流路
122 個別排出流路
123 ダンパー室
124 接続流路
125 接続部
13 圧力室基板
131 圧力室
132 共通排出流路
133 垂直排出流路
134 隔壁
135 接続電極
136 駆動電極
14 流路基板
141 チャネル
142 共通排出流路
15 配線基板
151 インク供給口
152 排出孔
20 FPC
100 インクジェットヘッド
M 記録媒体

Claims (10)

  1. インクを貯留するインク貯留部と、
    前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、
    前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、
    を各々有する複数のインク吐出部と、
    前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に連通し、当該複数のインク貯留部の各々から前記ノズルに供給されずに排出されたインクを一時的に貯留して、当該貯留されたインクの圧力変動を減衰させる圧力変動減衰部と、
    接続部を介して前記圧力変動減衰部に接続され、前記圧力変動減衰部から前記接続部を介してインクが流入する共通排出流路と、
    を備えるインクジェットヘッド。
  2. 前記接続部は、前記圧力変動減衰部及び前記共通排出流路に各々接続された複数の接続流路からなる請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記圧力変動減衰部とを接続する個別排出流路を有し、
    前記接続部は、当該接続部におけるインクの圧力損失が、前記複数のインク吐出部が有する複数の前記個別排出流路におけるインクの圧力損失より小さくなる形状を有する請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記圧力変動減衰部は、当該圧力変動減衰部に貯留されたインクの圧力変動を吸収する圧力変動吸収部材を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記圧力変動吸収部材は、前記圧力変動減衰部の外壁の一部であり、前記圧力変動減衰部に貯留されたインクの圧力の変動に応じて変形することでインクの圧力変動を吸収する請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記インク貯留部、前記圧力変動手段及び前記共通排出流路が設けられている流路基板と、
    前記流路基板に接合され、前記ノズルが設けられているノズル基板と、
    を備え、
    前記圧力変動減衰部は、前記流路基板及び前記ノズル基板の接合面に沿って設けられて、外壁の一部が前記ノズル基板からなり、
    前記圧力変動吸収部材は、前記ノズル基板のうち前記圧力変動減衰部の外壁をなす部分である請求項5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記ノズル基板には、前記圧力変動減衰部の外壁をなす部分における前記流路基板側の面に凹部が設けられている請求項6に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記圧力変動減衰部の内壁面は、当該圧力変動減衰部に貯留されるインクに対する濡れ性を増大させる親水処理がなされている請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記圧力変動減衰部の内壁面は、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面よりもインクに対する濡れ性が大きい請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
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