JP7077930B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出させて所望の位置に着弾させることで画像を形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドには、複数のノズルの各々に対応して、当該ノズルと、インクを貯留するインク貯留部と、当該インク貯留部内のインクの圧力を変動させる圧力変動手段とを有するインク吐出部が設けられており、各インク吐出部は、インク貯留部内のインクの圧力の変動に応じて、インク貯留部に連通するノズルからインクを吐出させる。複数のノズルに対応する複数のインク吐出部に対しては、共通のインク室(共通インク室)からインク貯留部にインクが供給される。また、各インク吐出部におけるインク貯留部を共通排出流路に連通させ、ノズルから吐出されないインクの一部を共通排出流路に排出させて還流させることで、インクに含まれる顔料や金属粒子等の各種粒子の沈降を抑制したり、インク中の気泡や異物をインクとともに排出させたりすることができる。
共通インク室では、当該共通インク室と複数のインク吐出部との複数の接続部が、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲内に設けられている。このインク吐出部接続範囲の長手方向についての端部近傍ではインクの流れが淀みやすく、インク中の粒子が滞留して凝集しやすい。このため、凝集した粒子がインク吐出部接続範囲の端部近傍の接続部からインク吐出部に流入して、インク吐出部内の流路が粒子により狭まったり、ノズルが粒子によって詰まったりする問題が生じ得る。
これに対し、インク吐出部接続範囲の長手方向についての両側において共通インク室にダミーインク流路を接続し、このダミーインク流路を共通排出流路に繋ぐことで、凝集した粒子をダミーインク流路に導いて共通排出流路に排出させる技術がある(例えば、特許文献1)。
特開2008-279711号公報
しかしながら、ダミーインク流路を設けると、共通インク室から共通排出流路に流入するインクの流量が増大するため、共通インク室内や共通排出流路内において、インクの流動に伴う圧力分布の偏りが大きくなる。この圧力分布の偏りは、共通インク室及び共通排出流路に連通するインク貯留部内の圧力に反映されるため、異なるインク貯留部間の圧力差が増大する。この圧力差により、複数のインク吐出部におけるインク吐出特性にばらつきが生じて、記録画像の画質の低下に繋がるという課題がある。
この発明の目的は、複数のインク吐出部におけるインク吐出特性のばらつきに起因する画質の低下を抑制することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のインクジェットヘッドの発明は、
インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、を各々有する複数のインク吐出部と、
前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に供給されるインクを貯留する共通インク室と、
前記複数のインク吐出部に接続され、前記複数のインク貯留部からインクが流入する共通排出流路と、
前記共通インク室及び前記共通排出流路に各々接続され、前記共通インク室から流入したインクをそれぞれ前記共通排出流路に導く複数のダミーインク流路と、
を備え、
前記共通インク室と前記複数のインク吐出部との複数の接続部は、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲内に設けられており、
前記複数のダミーインク流路のうち一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の一方側において前記共通インク室に接続されており、前記複数のダミーインク流路のうち残りの一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の前記一方側とは反対側において前記共通インク室に接続されており、
前記複数のダミーインク流路の各々における流路抵抗は、前記複数のインク吐出部の各々のうち前記共通インク室と前記共通排出流路とを繋ぐ部分における流路抵抗より大きい
ことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記共通インク室と前記共通排出流路との間のインクの圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のインク吐出部に単位時間当たりに流入するインク量が、前記圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のダミーインク流路に単位時間当たりに流入するインク量の20倍以上であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐ個別排出流路を有し、
前記複数のダミーインク流路の各々は、インクを貯留するダミーインク貯留部と、前記ダミーインク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐダミー個別排出流路と、を有する
ことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ダミーインク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値は、前記インク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さいことを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ダミーインク貯留部は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミーインク貯留部のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第1の内壁面部材からなることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積は、前記個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積より小さいことを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ダミー個別排出流路は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミー個別排出流路のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第2の内壁面部材からなることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項3から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向についての長さは、前記個別排出流路のインクの流動方向についての長さより大きいことを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記共通排出流路には、前記複数のインク吐出部及び前記複数のダミーインク流路からインクが流入する区間の一方側にのみ、インクの排出口が設けられていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記共通インク室と前記複数のダミーインク流路との複数のダミー接続部の各々は、前記複数の接続部の各々より開口面積が大きいことを特徴としている。
また、上記目的を達成するため、請求項11に記載のインクジェット記録装置の発明は、
請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えることを特徴としている。
本発明に従うと、複数のインク吐出部におけるインク吐出特性のばらつきに起因する画質の低下を抑制することができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットの構成を示す模式図である。 インクジェットヘッドの斜視図である。 インクジェットヘッドの主要部の分解斜視図である。 流路基板の-Z方向側の面を示す平面図である。 図4及び図5のA-A線を通りX方向に垂直なヘッドチップの断面を示す図である。 図4及び図5のB-B線を通りX方向に垂直なヘッドチップの断面を示す図である。 圧力室基板の+Z方向側の面の拡大平面図である。 配線基板の+Z方向側の面の拡大平面図である。 インク循環機構の構成を示す模式図である。 インクマニホールドと共通排出流路との接続状態を示す模式図である。 実験に用いた各インクジェットヘッドの構成及び評価結果を示す図である。 変形例1に係る流路基板の-Z方向側の面を示す平面図である。 変形例2に係る流路基板の-Z方向側の面を示す平面図である。 変形例3に係るヘッドチップの、ダミーチャネルを通る位置での断面図である。 変形例4に係るインクマニホールドと共通排出流路との接続状態を示す模式図である。
以下、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。
搬送部2は、図1のX方向に延びる回転軸を中心に回転する2本の搬送ローラー2a、2bにより内側が支持された輪状の搬送ベルト2cを備える。搬送部2は、搬送ベルト2cの搬送面上に記録媒体Mが載置された状態で搬送ローラー2aが図示略の搬送モーターの動作に応じて回転して搬送ベルト2cが周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト2cの移動方向(搬送方向;図1のY方向)に搬送する。
記録媒体Mは、一定の寸法に裁断された枚葉紙とすることができる。記録媒体Mは、図示略の給紙装置により搬送ベルト2c上に供給され、ヘッドユニット3からインクが吐出されて画像が記録された後に搬送ベルト2cから所定の排紙部に排出される。なお、記録媒体Mとしては、ロール紙や連帳用紙といった長尺な記録媒体が用いられてもよい。また、記録媒体Mとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
ヘッドユニット3は、搬送部2により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいて適切なタイミングでインクを吐出して画像を記録する。本実施形態のインクジェット記録装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット3が記録媒体Mの搬送方向上流側からY、M、C、Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。なお、ヘッドユニット3の数は3つ以下又は5つ以上であってもよい。
図2は、ヘッドユニット3の構成を示す模式図であり、ヘッドユニット3を搬送ベルト2cの搬送面に相対する側から見た平面図である。ヘッドユニット3は、板状の基部3aと、基部3aに設けられた貫通孔に篏合した状態で基部3aに固定された複数の(ここでは8つの)インクジェットヘッド100とを有する。インクジェットヘッド100は、ノズル111の開口部が設けられたノズル開口面112が基部3aの貫通孔から-Z方向に向けて露出した状態で基部3aに固定されている。
インクジェットヘッド100では、複数のノズル111が記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちX方向)に等間隔にそれぞれ配列されている。すなわち、各インクジェットヘッド100は、X方向に等間隔に一次元配列されたノズル111の列(ノズル列)を有している。
なお、インクジェットヘッド100は、ノズル列を複数有していても良い。この場合には、複数のノズル列は、ノズル111のX方向についての位置が重ならないようにX方向の位置が互いにずらされて配置される。
ヘッドユニット3における8つのインクジェットヘッド100は、ノズル111のX方向についての配置範囲が連続するように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット3に含まれるノズル111のX方向についての配置範囲は、搬送ベルト2cにより搬送される記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のX方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット3は、画像の記録時には位置が固定されて用いられ、記録媒体Mの搬送に応じて搬送方向についての所定間隔(搬送方向間隔)の各位置に対してノズル111からインクを吐出することで、シングルパス方式で画像を記録する。
図3は、インクジェットヘッド100の斜視図である。
インクジェットヘッド100は、筐体101と、筐体101の下端で筐体101と篏合する外装部材102とを備え、筐体101及び外装部材102の内部に主要な構成要素が収容されている。このうち外装部材102には、外部からインクが供給されるインレット103a、及びインクが外部に排出されるアウトレット103b、103cが設けられている。また、外装部材102の内部には、インレット103aに接続されたインクマニホールド16(共通インク室)(図6、図7)が設けられている。また、外装部材102には、インクジェットヘッド100をヘッドユニット3の基部3aに取り付けるための複数の取付穴104が設けられている。
次に、インクジェットヘッド100の詳細な構成について説明する。
図4は、インクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
図4では、インクジェットヘッド100の構成部材のうち、外装部材102の内部に収容されている主要な構成部材が示されている。具体的には、図4では、ノズル基板11、流路基板12及び圧力室基板13を有するヘッドチップ10と、ヘッドチップ10に固着された配線基板15と、配線基板15に電気的に接続されたFPC20(Flexible Printed Circuit)とが示されている。
図4では、インクジェットヘッド100のノズル開口面112が上方となるように、すなわち図3とは上下が反転されるように各部材が描かれている。
図5は、流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
図6は、図4及び図5のA-A線を通りX方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。すなわち、図6は、ノズル111及び後述するインクチャネルCaを通る位置でのヘッドチップ10の断面図である。
図7は、図4及び図5のB-B線を通りX方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。すなわち、図7は、後述するダミーチャネルCbを通る位置でのヘッドチップ10の断面図である。
図6及び図7は、ノズル111が下方となるように、すなわち図4とは上下が逆となるように描かれている。
図4に示されるように、ヘッドチップ10は、ノズル111が設けられたノズル基板11と、ノズル111に連通する貫通流路121a等が設けられた流路基板12と、貫通流路121aを介してノズル111に連通する圧力室131a等が設けられた圧力室基板13と、が積層された構造を有している。
ノズル基板11、流路基板12及び圧力室基板13と、配線基板15とは、いずれもX方向に長尺な略四角柱状の板状部材である。
ノズル基板11は、厚さ方向(Z方向)に貫通する孔であるノズル111がX方向に沿って列をなすように設けられているポリイミドの基板である。ノズル基板11の-Z方向側の面は、インクジェットヘッド100のノズル開口面112をなす。ノズル基板11の厚さ(したがって、ノズル111のインク吐出方向の長さ)は、例えば数十μmから数百μm程度とすることができる。
なお、ノズル111の内壁面は、Z方向に垂直な断面積が、インク吐出側の開口部に近いほど小さくなるようなテーパー形状を有していても良い。また、ノズル基板11としては、ポリイミド以外の各種樹脂の基板や、シリコン基板、SUSなどの金属基板などが用いられても良い。
また、ノズル基板11のノズル開口面112には、フッ素樹脂粒子等の撥液性物質を含む撥液膜が設けられている。撥液膜を設けることで、ノズル開口面112に対するインクや異物の付着を抑えることができ、当該インクや異物等の付着に起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
流路基板12には、ノズル111に連通する貫通流路121aと、貫通流路121aから分岐する個別排出流路122aと、ノズル111に連通していないダミー貫通流路121bと、ダミー貫通流路121bから分岐するダミー個別排出流路122bと、が設けられている。
また、圧力室基板13には、貫通流路121aに連通する圧力室131aと、ダミー貫通流路121bに連通するダミー圧力室131bと、個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bに連通する共通排出流路132と、共通排出流路132に連通する垂直排出流路133と、が設けられている。
また、配線基板15には、圧力室131aに連通するインク供給孔151aと、ダミー圧力室131bに連通するダミーインク供給孔151bと、垂直排出流路133に連通する排出孔152と、が設けられている。
流路基板12及び圧力室基板13は、Z方向から見た形状がノズル基板11とほぼ同一である直方体形状の板状部材である。
本実施形態の流路基板12は、シリコン基板からなる。流路基板12の厚さは、特には限られないが、数百μm程度とされる。流路基板12の-Z方向側の面にはノズル基板11が、また+Z方向側の面には圧力室基板13が、それぞれ接着剤を介して接着(固着)されている。
圧力室基板13の材質は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)である。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。本実施形態の圧力室基板13では、PZTが用いられている。
配線基板15は、圧力室基板13の面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であり、接着剤を介して圧力室基板13の+Z方向側の面に接着されている。配線基板15としては、例えばガラス、セラミックス、シリコン、プラスチックなどの基板を用いることができる。
流路基板12の貫通流路121aは、流路基板12をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面がY方向に長い矩形をなしている。
圧力室基板13の圧力室131aは、圧力室基板13をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、貫通流路121aと同一である。
配線基板15のインク供給孔151aは、配線基板15をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、圧力室131aと同一である。
図4及び図6に示されるように、流路基板12、圧力室基板13及び配線基板15が接合された状態では、貫通流路121a、圧力室131a及びインク供給孔151aが一繋がりとなって、インクチャネルCa(インク貯留部)を構成する。インクチャネルCaは、Z方向から見てノズル111と重なる位置に設けられており、ノズル111に連通している。したがって、インクチャネルCaは、複数のノズル111に対応して各々設けられており、これらの複数のインクチャネルCaは、ノズル111と同様にX方向に配列されている。また、各インクチャネルCaには、インク供給孔151aの開口部であるインク流入口1511aを介してインクマニホールド16(共通インク室)からインクが供給されて貯留される。
流路基板12のダミー貫通流路121bは、流路基板12をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面がY方向に長い矩形をなしている。
圧力室基板13のダミー圧力室131bは、圧力室基板13をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、ダミー貫通流路121bと同一である。
配線基板15のダミーインク供給孔151bは、配線基板15をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、ダミー圧力室131bと同一である。
図4及び図7に示されるように、流路基板12、圧力室基板13及び配線基板15が接合された状態では、ダミー貫通流路121b、ダミー圧力室131b及びダミーインク供給孔151bが一繋がりとなって、ダミーチャネルCb(ダミーインク貯留部)を構成する。Z方向から見てダミーチャネルCbと重なる位置にはノズル111が設けられておらず、ダミーチャネルCbは、ノズル111に連通していない。また、各ダミーチャネルCbには、ダミーインク供給孔151bの開口部であるダミー流入口1511bを介してインクマニホールド16からインクが供給されて貯留される。
ダミーチャネルCbは、X方向について複数のインクチャネルCaを挟む両側に設けられている。よって、複数のインクチャネルCa及び複数のダミーチャネルCbは、X方向に沿って一列に配列されている。
なお、図4では、インクチャネルCaが5つ設けられ、またダミーチャネルCbが5つのインクチャネルCaの両側に1つずつ設けられているが、これは説明の便宜のために数を省略したものである。インクジェットヘッド100では、通常、ノズル111及びインクチャネルCaが数百個程度設けられ、これらのインクチャネルCaの両側にそれぞれ複数(例えば数個~50個程度)のダミーチャネルCbが設けられる。ただし、ダミーチャネルCbの機能(後述する粒子Pの捕捉機能)が十分に確保できる場合には、ダミーチャネルCbをインクチャネルCaの両側に1つずつ設けた構成としても良い。
またノズル111及びインクチャネルCaが複数列設けられる構成では、インクチャネルCaの各列の両側にダミーチャネルCbが設けられる。
図4及び図5に示されるように、ダミーチャネルCbの断面がなす矩形は、インクチャネルCaの断面がなす矩形に対して各辺が短くなっている。よって、ダミーチャネルCbのインクの流動方向(-Z方向)に垂直な断面積は、インクチャネルCaのインクの流動方向(-Z方向)に垂直な断面積より小さくなっている。これにより、ダミーチャネルCbの流路抵抗は、インクチャネルCaの流路抵抗より大きくなっている。
ここで、流路抵抗は、流路におけるインクの流れにくさを表し、流路における単位時間当たりのインクの流量をQ、当該流路におけるインクの圧力損失をLとした場合に、L/Qに比例する量である。また、流路抵抗は、流路の両端間に所定の圧力差をかけた場合に、当該流路を単位時間当たりに流れるインクの流量Qに反比例する量であるということもできる。
ダミーチャネルCbの流路抵抗をインクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることによる作用及び効果については、後に詳述する。
図4~図6に示されるように、流路基板12では、複数の貫通流路121a(インクチャネルCa)の各々から+Y方向に第1個別流路1221aが分岐しており、各第1個別流路1221aの+Y方向側の端部に、+Z方向に延びて流路基板12を貫通する第2個別流路1222aが接続されている。この第1個別流路1221a及び第2個別流路1222aにより、個別排出流路122aが構成される。このうち第1個別流路1221aは、貫通流路121aのノズル基板11側の開口部から流路基板12の表面に沿って+Y方向に延びる溝状の流路であり、内壁面の一部がノズル基板11によって構成されている。
また、図4、図5及び図7に示されるように、複数のダミー貫通流路121b(ダミーチャネルCb)の各々から+Y方向に第1ダミー個別流路1221bが分岐しており、各第1ダミー個別流路1221bの+Y方向側の端部に、+Z方向に延びて流路基板12を貫通する第2ダミー個別流路1222bが接続されている。この第1ダミー個別流路1221b及び第2ダミー個別流路1222bにより、ダミー個別排出流路122bが構成される。このうち第1ダミー個別流路1221bは、ダミー貫通流路121bのノズル基板11側の開口部から流路基板12の表面に沿って+Y方向に延びる溝状の流路であり、内壁面の一部がノズル基板11によって構成されている。
本実施形態では、個別排出流路122aのインクの流動方向(第1個別流路1221aでは+Y方向、第2個別流路1222aでは+Z方向)に垂直な断面形状及び断面積は、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向(第1ダミー個別流路1221bでは+Y方向、第2ダミー個別流路1222bでは+Z方向)に垂直な断面形状及び断面積と同一となっている。
また、図4、図6及び図7に示されるように、圧力室基板13のうち流路基板12との接合面には、Z方向から見て複数の第2個別流路1222a及び複数の第2ダミー個別流路1222bと重なる範囲に、X方向に延びる共通排出流路132をなす溝が設けられている。共通排出流路132は、流路基板12と圧力室基板13とが接合された状態において、圧力室基板13に設けられた上記の溝の開口が流路基板12によって塞がれることで形成される。したがって、共通排出流路132の内壁面の一部は、流路基板12の表面からなる。また、流路基板12と圧力室基板13とが接合された状態において、共通排出流路132は、複数の個別排出流路122a及び複数のダミー個別排出流路122bと接続される。
また、共通排出流路132の+X方向側の端部には、圧力室基板13をZ方向に貫通する垂直排出流路133が接続されている。
共通排出流路132には、複数の個別排出流路122a及び複数のダミー個別排出流路122bからインクが流入する。以下では、共通排出流路132のうち、複数の個別排出流路122a及び複数のダミー個別排出流路122bからインクが流入する区間を流入区間S(図5)と記す。
共通排出流路132では、流入区間Sの一方側にのみ、インクの排出口(垂直排出流路133との接続部)が設けられている。これにより、流入区間Sでは、図5中の破線の矢印により示されるように、当該流入区間Sの一方側の端部(垂直排出流路133側とは反対側)から他方側(垂直排出流路133側)の端部に向かってインクが流動して排出されるようになっている。
また、図6及び図7に示されるように、ノズル基板11のうち共通排出流路132の内壁面を構成している部分は、可撓性を有するダンパー板11Dとして機能する。
インクチャネルCa内のインクの圧力変動に起因する圧力波が個別排出流路122aを通って共通排出流路132に伝播すると、共通排出流路132の内部でインクの圧力変動が生じ得る。このような場合に、ダンパー板11Dが、共通排出流路132内のインクの圧力変動に応じて変形する(撓む)ことで、当該圧力変動を吸収することができる。
ダンパー板11Dの共通排出流路132側とは反対側は、開放された空気であり、空気がその弾性力によってダンパー板11Dの変形を阻害することがないため、共通排出流路132内のインクの圧力変動を効果的に吸収することができる。
図6に示されるインクチャネルCa、個別排出流路122a及びノズル111と、圧力変動手段としての後述する駆動電極136(図8)と、により、インク吐出部10aが構成される。したがって、ヘッドチップ10には、ノズル111の数と同一の数のインク吐出部10aが設けられている。
また、図7に示されるダミーチャネルCb及びダミー個別排出流路122bにより、ダミーインク流路10bが構成される。各ダミーインク流路10bは、インクマニホールド16及び共通排出流路132に接続され、インクマニホールド16から流入したインクを共通排出流路132に導く。
図8は、圧力室基板13の+Z方向側の面(配線基板15と接する面)の拡大平面図である。
図8に示されるように、各インクチャネルCaに含まれる圧力室131a、及び各ダミーチャネルCbに含まれるダミー圧力室131bは、X方向に隣り合う圧力室131a又はダミー圧力室131bとの間が圧電体の隔壁134により仕切られている。各圧力室131a及びダミー圧力室131bの隔壁134の内壁面には、金属の駆動電極136(圧力変動手段)が設けられている。また、圧力室基板13の表面のうち圧力室131a及びダミー圧力室131bの開口部の-Y方向側の近傍領域には、駆動電極136に電気的に接続された金属の接続電極135が設けられている。接続電極135は、図4に示される配線基板15の配線153に電気的に接続される。これらの複数の配線153のうち、インクチャネルCaに対応する配線153は、FPC20の配線21を介して外部の駆動回路に電気的に接続される。他方で、ダミーチャネルCbに対応する配線153については、FPC20上で対応する配線21が設けられておらず、駆動回路には接続されない。
圧力室基板13では、接続電極135を介して駆動電極136に印加された駆動信号に応じて隔壁134がシアモード型の変位を繰り返すことで、圧力室131a内の(したがって、インクチャネルCa内の)インクの圧力が変動する。この圧力の変動に応じて、インクチャネルCa内のインクがノズル111から吐出される。すなわち、本実施形態のヘッドチップ10は、シアモード型のインク吐出を行うヘッドチップである。
なお、図4及び図5におけるX方向について一つ置きのインクチャネルCaの形成位置に、インクチャネルCaに代えて、インクの流入経路を有しない空気室を設けても良い。このような構成とすることで、インクチャネルCaにおける圧力室131aに隣接する隔壁134が変形した際に、他のインクチャネルCaに当該変形の影響が及ばないようにすることができる。
一方で、上述のとおり、ダミー圧力室131bの内壁面の駆動電極136に接続された接続電極135及び配線153は、駆動回路に接続されていないため、ダミー圧力室131bの隔壁134は、駆動信号に応じた変位を行わない。よって、ダミーチャネルCbに流入したインクは、隔壁134の変位による圧力の変動を受けないようになっている。
図4に示されるように、配線基板15の圧力室基板13との接着面には、図8に示した複数の接続電極135にそれぞれ接続される複数の配線153が設けられている。複数の配線153は、複数のインク供給孔151aの各々の端部から配線基板15の端部に向かって延びている。
配線基板15の+Z方向側の面にはインクマニホールド16が接続されており、当該インクマニホールド16からインク供給孔151a及びダミーインク供給孔151bにインクが供給される。
圧力室基板13と配線基板15とは、導電性粒子を含有させた導電性接着剤を介して接着される。これにより、圧力室基板13の表面の接続電極135と、配線基板15上の配線153とが、導電性粒子を介して電気的に接続される。
また、配線基板15のうち配線153が設けられている端部には、FPC20が、例えばACF(異方性導電フィルム)を介して接続される。この接続により、配線基板15の複数の配線153のうちインクチャネルCaに対応する配線153と、FPC20上の複数の配線21とが、一対一で対応するようにそれぞれ電気的に接続される。
図9は、配線基板15の+Z方向側の面の拡大平面図である。配線基板15の+Z方向側の面は、インクマニホールド16に接しており、インクマニホールド16の内壁面の一部を構成する。
図9に示されるように、配線基板15の+Z方向側の面(インクマニホールド16の内壁面)には、インクマニホールド16と複数のインク吐出部10aとの接続部をなす複数のインク流入口1511a、及びインクマニホールド16と複数のダミーインク流路10bとのダミー接続部をなす複数のダミー流入口1511bが設けられている。このうち複数のインク流入口1511aは、X方向(所定方向)に延びるインク吐出部接続範囲R(接続範囲)の範囲内に設けられている。また、複数のダミーインク流路10bの一部は、X方向についてインク吐出部接続範囲Rの一方側に接続され、複数のダミーインク流路10bの残りの一部は、X方向についてインク吐出部接続範囲Rの他方側に接続されている。すなわち、複数のダミーインク流路10bは、インク吐出部接続範囲Rを長手方向について挟む両側にそれぞれ接続されている。
なお、インク流入口1511aは、必ずしも一列に配列されていなくても良く、例えばX方向についての位置が互いに異なるようにインク吐出部接続範囲R内で千鳥格子状に配列されていても良い。
このような構成のインクジェットヘッド100では、インクマニホールド16からインクチャネルCaに供給されたインクのうちノズル111から吐出されなかったインクの一部が、個別排出流路122a及び共通排出流路132を介して外部に排出される。また、インクマニホールド16からダミーチャネルCbに供給されたインクは、ダミー個別排出流路122b及び共通排出流路132を介して外部に排出される。詳しくは、個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bを通ったインクは、共通排出流路132、垂直排出流路133、及び配線基板15に設けられた排出孔152を通ってアウトレット103b(又はアウトレット103c)からインクジェットヘッド100の外部に排出される。
このようにインクを還流させることにより、インクに含まれる各種粒子の沈降を抑制したり、インクチャネルCaやダミーチャネルCbに混入した気泡や異物をインクとともに外部に排出させたりすることができる。
インクマニホールド16からインクチャネルCa及びダミーチャネルCbに供給されるインクの流れや、インクチャネルCa及びダミーチャネルCbから共通排出流路132を通って外部に排出されるインクの流れは、インクジェット記録装置1が有するインク循環機構9により発生させることができる。
図10は、インク循環機構9の構成を示す模式図である。
インク循環機構9は、供給用サブタンク91、還流用サブタンク92及びメインタンク93などを備える。
供給用サブタンク91は、インクジェットヘッド100に設けられたインクマニホールド16に供給されるインクを貯留する。供給用サブタンク91は、インク流路94によってインレット103aに接続されている。
還流用サブタンク92は、インク流路95によってアウトレット103b、103cに接続されており、個別排出流路122a、ダミー個別排出流路122b及び共通排出流路132を含む上述のインク排出流路を通ってアウトレット103b又はアウトレット103cから排出されたインクを貯留する。
供給用サブタンク91及び還流用サブタンク92は、インク流路96で接続されている。そして、インク流路96に設けられたポンプ98により、還流用サブタンク92から供給用サブタンク91にインクを戻すことができるようになっている。
メインタンク93は、供給用サブタンク91に供給されるインクを貯留する。メインタンク93は、インク流路97によって供給用サブタンク91に接続されている。また、インク流路97に設けられたポンプ99により、メインタンク93から供給用サブタンク91にインクが供給される。
供給用サブタンク91は、その液面が、ヘッドチップ10のインク吐出面(以下、「位置基準面」とも記す)より高くなる位置に設けられ、還流用サブタンク92の液面は、その液面が位置基準面より低くなる位置に設けられている。よって、位置基準面と供給用サブタンク91との水頭差による圧力P1と、位置基準面と還流用サブタンク92との水頭差による圧力P2が生じている。この結果、インレット103aにおけるインクの圧力がアウトレット103b、103cにおけるインクの圧力よりも高くなっている。この圧力差により、インレット103aからインクマニホールド16、インクチャネルCa(及びダミーチャネルCb)、個別排出流路122a(及びダミー個別排出流路122b)、共通排出流路132、垂直排出流路133、排出孔152を経てアウトレット103b、103cに向かうインクの流れが生じる。これにより、インクマニホールド16からインク吐出部10a、ダミーインク流路10bへのインク供給、及びインク吐出部10a、ダミーインク流路10bからのインクの排出(還流)がなされるようになっている。また、各サブタンク内のインク量や、各サブタンクの鉛直方向の位置を変更することで、圧力P1及び圧力P2を調整することができ、これによりインクの流速を調整することができる。
次に、ダミーインク流路10bを設けることによる作用及び効果について説明する。
図11は、インク吐出部10a及びダミーインク流路10bによる、インクマニホールド16と共通排出流路132との接続状態を示す模式図である。
図11では、説明の便宜上、インクチャネルCaと個別排出流路122a、及びダミーチャネルCbとダミー個別排出流路122bが、それぞれ同一方向に繋げられて描かれている。
本実施形態の複数のインク流入口1511a及び複数のダミー流入口1511bは、図9に示したように、ノズル111の配列方向に沿って一列に配列されている。以下では、この複数のインク流入口1511a及び複数のダミー流入口1511bの配列を、流入口配列とも記す。
インクマニホールド16のうち上記の流入口配列の端部近傍では、インクの流れが淀みやすく、図11に示されるように、インクに含まれる顔料や金属粒子等の粒子Pが滞留して凝集やすい。このため、この凝集した粒子Pが、流入口配列の端部近傍の流入口に流入しやすい。
このような凝集した粒子Pがインク流入口1511aからインク吐出部10aに流入すると、粒子Pによりノズル111が詰まってインク吐出不良が発生する。
また、粒子Pによりインク吐出部10a内の流路(例えば個別排出流路122a)が狭まったり、粒子Pの凝集の程度によっては流路が詰まったりする場合がある。インクを循環させることが前提となっているインクジェットヘッド100において一部のインク吐出部10aの流路が粒子Pによって狭まったり詰まったりすると、インク吐出部10aにおけるノズル111のメニスカス圧力が適正値から外れ、メニスカスが破壊されてノズル111から気泡を巻き込み続ける状態となってしまう。この結果、巻き込まれた気泡が他のインク吐出部10aのインク吐出特性に影響を及ぼし、各ノズル111からのインク吐出不良を招く。
これに対し、本実施形態のインクジェットヘッド100では、流入口配列の両端がダミーインク流路10bのダミー流入口1511bとなっているため、凝集した粒子Pをダミーインク流路10bに導くことができ、インク流入口1511aからインク吐出部10aに粒子Pが流入しにくくなっている。
これにより、上記のインク吐出不良の発生が抑制される。
また、上述したように、ダミーチャネルCbの断面積は、インクチャネルCaの断面積より小さくなっており、これにより、ダミーチャネルCbの流路抵抗がインクチャネルCaの流路抵抗より大きくなっている。したがって、ダミーインク流路10bの流路抵抗が、インク吐出部10aのうちインクマニホールド16と共通排出流路132とを繋ぐ部分の流路抵抗より大きくなっている(以下では、インクチャネルCaのうちインクマニホールド16と共通排出流路132とを繋ぐ部分の流路抵抗を、単にインク吐出部10aの流路抵抗と記す)。この結果、インクマニホールド16と共通排出流路132との間のインクの圧力差に応じてインクマニホールド16から複数のインク吐出部10aに単位時間当たりに流入するインク量が、上記圧力差に応じてインクマニホールド16から複数のダミーインク流路10bに単位時間当たりに流入するインク量よりも十分大きく(例えば20倍以上)なっている。
これにより、ダミーインク流路10bを追加したことによるインクマニホールド16から共通排出流路132へのインクの流量の増加が最小限に留められている。
なお、本実施形態では、複数のインク吐出部10aの流路抵抗は均一となっているが、複数のインク吐出部10aの流路抵抗にばらつきがある場合には、各ダミーインク流路10bの流路抵抗は、複数のインク吐出部10aの流路抵抗の最大値より大きくなるように設定される。
インクマニホールド16から共通排出流路132へのインクの流量が増大すると、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部において、インクの流動に伴う圧力分布の偏りが大きくなる。例えば、図11の共通排出流路132の流入区間Sのうち、インクの排出方向(図中の矢印の方向)について上流側端部と下流側端部との圧力差が大きくなり、共通排出流路132内の圧力分布の偏りが大きくなる。この圧力分布の偏りは、共通排出流路132に連通するインクチャネルCa内の圧力に反映されるため、異なるインクチャネルCa間の圧力差が増大する。この圧力差により、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性にばらつきが生じて、記録画像の画質の低下に繋がる。
これに対し、本実施形態のようにダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくしてダミーインク流路10bによるインク流量の増加を抑えることで、粒子Pの捕捉機能を確保しつつ、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部におけるインクの流動に伴う圧力分布の偏り(例えば共通排出流路132の流入区間Sにおける上流側端部と下流側端部との圧力差による偏り)を小さく抑えることが可能となる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132に連通する複数のインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えることができ、当該圧力差に起因する複数のインク吐出部10aのインク吐出特性のばらつきを抑えることができる。
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。
この実験では、ダミーインク流路10bの数や流路抵抗を異ならせた複数のインクジェットヘッド100のサンプルを用意し、各サンプルにおけるインク吐出部10a(インクチャネルCa)の詰まりの有無や、複数のインクチャネルCaの圧力分布の均一性を評価した。
図12は、実験に用いた各インクジェットヘッド100の構成及び評価結果を示す図である。
図12では、各サンプルにおけるインク吐出部10aの数、個別流量及び総流量と、ダミーインク流路10bの数、個別流量及び総流量とが示されている。
また、各サンプルについて、インク吐出部10aの流路抵抗RIに対するダミーインク流路10bの流路抵抗RDの比率(RD/RI)、及び複数のダミーインク流路10bにおけるインクの総流量QDに対する複数のインク吐出部10aにおけるインクの総流量QIの比率(QI/QD)が示されている。
図12に示されるように、実験では、各インクジェットヘッド100のサンプルにおけるインク吐出部10aの数(したがって、インクチャネルCa及びノズル111の数)を256個に統一した。各インク吐出部10aは、インクを吐出しない状態においてインクマニホールド16と共通排出流路132との間に所定の圧力差をかけた場合の個別流量が20μm/minとなる構造とした。よって、256個のインク吐出部10aにおける総流量は、5.12μm/minとなった。
また、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗と同一にし(すなわち、比率RD/RI=1)、ダミーインク流路10bにおける個別流量をインク吐出部10aと同一の20μm/minとしたサンプルを、比較例1~比較例4とした。
このうち比較例1では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.40μm/min、比率QI/QDは13となった。ここで、複数のインク吐出部10a及び複数のダミーインク流路10bは、均等なピッチで配置した(以下の各サンプルについても同様)。
また、比較例2では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.28μm/min、比率QI/QDは18となった。
また、比較例3では、複数のインク吐出部10aの両側に5個ずつ、計10個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、比較例4では、複数のインク吐出部10aの両側に2個ずつ、計4個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.08μm/min、比率QI/QDは64となった。
また、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの2倍とし(すなわち、比率RD/RI=2)、ダミーインク流路10bにおける個別流量を10μm/minとしたサンプルを、実施例1-1、実施例1-2とした。
このうち実施例1-1では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、実施例1-2では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.14μm/min、比率QI/QDは37となった。
また、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの4倍とし(すなわち、比率RD/RI=4)、ダミーインク流路10bにおける個別流量を5μm/minとしたサンプルを、実施例2-1~実施例2-3とした。
このうち実施例2-1では、複数のインク吐出部10aの両側に20個ずつ、計40個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、実施例2-2では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.10μm/min、比率QI/QDは51となった。
また、実施例2-3では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.07μm/min、比率QI/QDは73となった。
これらの各サンプルについて、端部のインク吐出部10aにおける粒子Pによる詰まりが発生しているか否かを確認し、図12中、発生しなかった場合を「○」、発生した場合を「×」とした。
また、複数のインクチャネルCaの圧力分布の均一性は、以下の方法で評価した。
インクチャネルCa内の圧力は、ノズル111のメニスカスの位置を制御するために厳密に管理されており、圧力が下がるとメニスカスが後退し(インクチャネルCa内に引き込まれ)、吐出されるインク液滴の液量が減少する。よって、共通排出流路132を介したインクの還流により複数のインクチャネルCaの圧力分布に偏りが生じていると、インク吐出部10a間で、吐出されるインクの液滴量に偏りが生じる。
これに基づき、インクを還流させない状態(還流による圧力分布の偏りが生じない状態)での吐出インクの液滴量に対する、インクを還流させた状態(圧力分布の偏りが生じ得る状態)での吐出インクの液滴量の比率によって、圧力分布の偏りの程度を評価した。具体的には、全てのインク吐出部10aにおいて上記比率が2%以下に抑えられている場合には、画質への影響がないことから「○」とした。また、いずれかのインク吐出部10aにおいて上記比率が2%を超えた場合には、画質の低下が生じ得るため「×」とした。
実験の結果、図12に示されるように、ダミーインク流路10bの数を10個(片側5個)以下とした比較例3、4では粒子Pによる詰まりが生じたが、ダミーインク流路10bの数を14個(片側7個)以上としたその他のサンプルにおいては、粒子Pの詰まりが生じない結果となった。これにより、ダミーインク流路10bによる詰まりの抑制効果が確認された。
他方で、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗と同一とした比較例1、2では、圧力分布の均一性が「×」となった。これは、流路抵抗が大きいダミーインク流路10bを多く設けることで、インクマニホールド16から共通排出流路132へのインクの流量が増大し、インクマニホールド16及び共通排出流路132内でのインクの圧力分布、ひいては複数のインクチャネルCaにおけるインクの圧力分布の偏りが大きくなったことに起因する。
これに対し、ダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくして、比率QI/QDが20以上となるようにした実施例1-1、実施例1-2、及び実施例2-1~実施例2-3においては、圧力分布の均一性が「○」となり、ダミーインク流路10bを設けてもインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えてインク吐出部10aの吐出特性のばらつきを抑制可能であることが確認された。
続いて、上記実施形態の変形例1~変形例4について説明する。これらの変形例は、ダミーインク流路10bの形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
(変形例1)
図13は、変形例1に係る流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
本変形例では、ダミーチャネルCbの断面形状及び立体形状がインクチャネルCaと同一となっている。
他方で、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向に垂直な断面積が、個別排出流路122aの断面積より小さくなっており、この結果、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗が、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくなっている。このような構成によっても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を、インク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、本変形例において、さらに、ダミーチャネルCbの断面積をインクチャネルCaの断面積より小さくしても良い。これによれば、ダミーインク流路10bの流路抵抗をより大きくすることができる。
(変形例2)
図14は、変形例2に係る流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
本変形例では、ダミーチャネルCbの断面形状及び立体形状がインクチャネルCaと同一となっている。
他方で、個別排出流路122aのうち第1個別流路1221aが直線状に設けられているのに対し、ダミー個別排出流路122bのうち第1ダミー個別流路1221bが蛇行するように設けられている。これにより、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向についての長さが個別排出流路122aの長さより大きくなっており、この結果、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗が、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくなっている。このような構成によっても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を、インク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、本変形例において、さらに、ダミーチャネルCbの断面積をインクチャネルCaの断面積より小さくしたり、ダミー個別排出流路122bの断面積を個別排出流路122aの断面積より小さくしたりしても良い。これによれば、ダミーインク流路10bの流路抵抗をより大きくすることができる。
(変形例3)
図15は、変形例3に係るヘッドチップ10の、ダミーチャネルCbを通る位置での断面図である。
本変形例では、ダミー貫通流路121bとダミー圧力室131bとの境界の近傍部分において、流路基板12及び圧力室基板131の表面に接着剤層171(第1の内壁面部材)が設けられている。すなわち、ダミーチャネルCbの内壁面の一部が、接着剤層171により構成されている。接着剤層171は、流路基板12及び圧力室基板13(ダミーチャネルCbが内部に設けられる基材)を接着する接着剤からなる。すなわち、接着剤層171は、流路基板12と圧力室基板13とを接着するための規定量より多い接着剤を用いて流路基板12と圧力室基板13とを接着させて、ダミーチャネルCbの内部に接着剤をはみ出させることで形成されたものである。
このような接着剤層171を設けることにより、ダミーチャネルCbのインクの流動方向(-Z方向)に垂直な断面積の最小値を容易に小さくして、ダミーチャネルCbの流路抵抗を、インクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることができる。
また、ダミー個別排出流路122bの内壁面のうち、ノズル基板11により構成される部分(すなわち、第1ダミー個別流路1221b)は、ノズル基板11の表面に設けられた接着剤層172(第2の内壁面部材)からなる。接着剤層172は、ノズル基板11と流路基板12とを接着する接着剤からなる。すなわち、接着剤層172は、ノズル基板11及び流路基板12(ダミー個別排出流路122bが内部に設けられる基材)を接着するための規定量より多い接着剤を用いてノズル基板11と流路基板12とを接着させて、ダミー個別排出流路122bの内部に接着剤をはみ出させることで形成されたものである。
このような接着剤層172を設けることにより、ダミー個別排出流路122bのうち第1ダミー個別流路1221bにおけるインクの流動方向(+Y方向)に垂直な断面積の最小値を容易に小さくして、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、図15では、第1ダミー個別流路1221bの全体が接着剤層172により均等に狭くなっている例を挙げて説明しているが、これに限られず、第1ダミー個別流路1221bの一部(少なくとも、断面積が最小となる部分)に接着剤層172が設けられて狭くなっていても良い。
なお、図15の構成に代えて、接着剤層171及び接着剤層172のうちいずれか一方のみが設けられる構成としても良い。
また、第1の内壁面部材及び第2の内壁面部材は、基板間を接着するための接着剤に限られず、基材の内壁面に形成された薄膜などであっても良く、内壁面を保護する保護膜の機能を有していても良い。また、第1の内壁面部材及び第2の内壁面部材としては、有機及び無機の各種公知の材料を用いることができる。
(変形例4)
図16は、変形例4に係るインクマニホールド16と共通排出流路132との接続状態を示す模式図である。
本変形例では、ダミーインク流路10bのダミー流入口1511bの幅Wbが、インク吐出部10aのインク流入口1511aの幅Waより大きくなっており、これにより、ダミー流入口1511bの開口面積が、インク流入口1511aの開口面積より大きくなっている。
他方で、ダミーチャネルCbの断面積がインクチャネルCaの断面積より小さく、かつダミー個別排出流路122bの断面積が個別排出流路122aの断面積より小さくなっており、ダミーインク流路10b全体の流路抵抗が、インク吐出部10aの流路抵抗より十分大きくなっている。
このような構成により、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくしつつ、ダミーインク流路10bに粒子Pをより流入させやすくすることができる。
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッド100は、インクを貯留するインクチャネルCaと、インクチャネルCaに貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段としての駆動電極136と、インクチャネルCaに連通し、当該インクチャネルCa内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズル111と、を各々有する複数のインク吐出部10aと、複数のインク吐出部10aが有する複数のインクチャネルCaに供給されるインクを貯留するインクマニホールド16と、複数のインク吐出部10aに接続され、複数のインクチャネルCaからインクが流入する共通排出流路132と、インクマニホールド16及び共通排出流路132に各々接続され、インクマニホールド16から流入したインクをそれぞれ共通排出流路132に導く複数のダミーインク流路10bと、を備え、インクマニホールド16と複数のインク吐出部10aとの複数の接続部(複数のインク流入口1511a)は、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲R内に設けられており、複数のダミーインク流路10bのうち一部は、上記所定方向についてインク吐出部接続範囲Rの一方側においてインクマニホールド16に接続されており、複数のダミーインク流路10bのうち残りの一部は、上記所定方向についてインク吐出部接続範囲Rの一方側とは反対側においてインクマニホールド16に接続されており、複数のダミーインク流路10bの各々における流路抵抗は、複数のインク吐出部10aの各々のうちインクマニホールド16と共通排出流路132とを繋ぐ部分における流路抵抗より大きい。
このような構成によれば、インク吐出部10aのインク流入口1511a、及びダミーインク流路10bのダミー流入口1511bがなす流入口配列の両端がダミー流入口1511bとなっているため、インクマニホールド16のうち流入口配列の端部近傍で凝集した粒子Pをダミーインク流路10bに導くことができる。これにより、インク流入口1511aからインク吐出部10aに粒子Pが流入しにくくなるようにすることができ、インク吐出部10aが粒子Pによって詰まることに起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
また、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることで、ダミーインク流路10bによる粒子Pの捕捉機能を確保しつつ、ダミーインク流路10bを設けたことによるインクマニホールド16から共通排出流路132へのインク流量の増加を抑えることができる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部におけるインクの流動に伴う圧力分布の偏り(例えば共通排出流路132の流入区間Sにおける上流側端部と下流側端部との圧力差による偏り)を小さく抑えることが可能となる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132に連通する複数のインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えることができ、当該圧力差に起因する複数のインク吐出部10aのインク吐出特性のばらつきを抑えることができる。よって、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきに起因する画質の低下を抑制することができる。
また、インクマニホールド16と共通排出流路132との間のインクの圧力差に応じてインクマニホールド16から複数のインク吐出部10aに単位時間当たりに流入するインク量を、当該圧力差に応じてインクマニホールド16から複数のダミーインク流路10bに単位時間当たりに流入するインク量の20倍以上とすることで、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部におけるインクの流動に伴う圧力分布の偏りをより効果的に小さく抑えることができる。これにより、複数のインクチャネルCa間の圧力差をより小さく抑えて、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきをより効果的に抑制することができる。
また、複数のインク吐出部10aの各々は、インクチャネルCaと共通排出流路132とを繋ぐ個別排出流路122aを有し、複数のダミーインク流路10bの各々は、インクを貯留するダミーチャネルCbと、ダミーチャネルCbと共通排出流路132とを繋ぐダミー個別排出流路122bと、を有する。これによれば、インクチャネルCa及びダミーチャネルCbの構成を共通化することができるため、インクチャネルCa及びダミーチャネルCbを共通の形成工程で容易に形成することができる。
また、ダミーチャネルCbのインクの流動方向に垂直な断面積の最小値を、インクチャネルCaのインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さくすることで、ダミーチャネルCbの流路抵抗を、インクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることができる。よって、簡易な構成で、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
また、変形例3のように、ダミーチャネルCbのうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部を、流路基板12及び圧力室基板131の表面に設けられた接着剤層171とすることで、簡易な方法で、ダミーチャネルCbの流路抵抗をインクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることができる。例えば、インクチャネルCa及びダミーチャネルCbをなす貫通孔を同一形状とした上で、ダミーチャネルCbにのみ接着剤層171を設ける方法等により、ダミーチャネルCbの流路抵抗をインクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることができる。
また、変形例1のように、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向に垂直な断面積の最小値を、個別排出流路122aのインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さくすることによって、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。よって、簡易な構成で、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
また、変形例3のように、ダミー個別排出流路122bのうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部を、ノズル基板11の表面に設けられた接着剤層172とすることで、簡易な方法で、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。例えば、個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bをなす溝を同一形状とした上で、ダミー個別排出流路122bにのみ接着剤層171を設ける方法等により、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。
また、変形例2のように、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向についての長さを、個別排出流路122aのインクの流動方向についての長さより大きくすることによっても、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。また、この構成によれば、ダミー個別排出流路122bの断面積を小さくする構成と比較して、インクマニホールド16から流入した粒子Pがダミー個別排出流路122bを通りやすくなるため、粒子Pがダミー個別排出流路122bで詰まる不具合の発生を抑制することができる。
また、共通排出流路132には、複数のインク吐出部10a及び複数のダミーインク流路10bからインクが流入する流入区間Sの一方側にのみ、インクの排出口(垂直排出流路133との接続部)が設けられている。このような構成では、流入区間S内で一方向にインクが流れるため、共通排出流路132における一方側の端部と他方側の端部との間のインクの圧力差が大きくなりやすいが、ダミーインク流路10bの流路抵抗を小さくした本実施形態の構成とすることで、当該圧力差をより小さくすることができる。よって、当該圧力差に起因する複数のインクチャネルCa間の圧力差をより小さく抑えて、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきを効果的に抑制することができる。
また、変形例4のインクジェットヘッド100では、インクマニホールド16と複数のダミーインク流路10bとの複数の接続部(複数のダミー流入口1511b)の各々は、複数のインク流入口1511aの各々より開口面積が大きくなっている。これにより、ダミーインク流路10bに粒子Pをより流入させやすくすることができる。よって、インク吐出部10aが粒子Pによって詰まることに起因するインク吐出不良の発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置1は、上記のインクジェットヘッド100を備えるので、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきに起因する画質の低下を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、共通排出流路132の一方側の端部に垂直排出流路133を設けて当該一方側の端部のみからインクを排出させる例を挙げて説明したが、これに限られず、共通排出流路132の両端に排出流路を設けて共通排出流路132の両端からインクを排出させたり、共通排出流路132の流入区間Sの途中からインクを排出させたりしても良い。これらの場合においても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくすることで、共通排出流路132におけるインクの最大圧力差を低減することができる。よって、当該圧力差に起因する複数のインクチャネルCa間の圧力差をより小さく抑えて、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきを効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、インクチャネルCaと共通排出流路132との間に個別排出流路122aが設けられる例を用いて説明したが、これに限られず、個別排出流路122aを設けずにインクチャネルCaを直接共通排出流路132に接続する構成としても良い。
同様に、ダミーチャネルCbと共通排出流路132との間にダミー個別排出流路122bが設けられる例を用いて説明したが、これに限られず、ダミー個別排出流路122bを設けずにダミーチャネルCbを直接共通排出流路132に接続する構成としても良い。
また、上記実施形態では、共通インク室として、インレット103aから供給されたインクを貯留するインクマニホールド16を例に挙げて説明したが、共通インク室の構成はこれに限られず、複数のインク吐出部10a及び複数のダミーインク流路10bに対して共通にインクを供給可能な任意の構成とすることができる。例えば、共通インク室は、流入口配列に沿って一方側から他方側にインクを流動させつつ複数のインク吐出部10a及び複数のダミーインク流路10bに対してインクを供給するものであっても良い。
また、上記実施形態では、流路基板12に個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bを設ける例を挙げて説明したが、この構成に限定する趣旨ではない。例えば、個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bを圧力室基板13やノズル基板11に設けても良い。
また、上記実施形態では、共通排出流路132が、圧力室基板13の流路基板12側の面に設けられた溝により構成される例を挙げて説明したが、これに限られない。例えば、共通排出流路132は、流路基板12と圧力室基板13とに亘って形成されていても良い。
また、流路基板12を設けず、圧力室基板13及びノズル基板11を直接接合しても良い。この場合には、圧力室基板13に個別排出流路、ダミー個別排出流路及び共通排出流路が設けられる。この構成では、例えば圧力室基板13のノズル基板11側の面に設けられた溝により共通排出流路を構成することができる。
また、上記実施形態では、シアモードのインクジェットヘッド100を例に挙げて説明したが、これに限られず、インク貯留部としての圧力室の壁面に固着された圧電素子(圧力変動手段)を変形させることで圧力室内のインクの圧力を変動させてインクを吐出させる、ベントモードのインクジェットヘッドに対して本発明を適用しても良い。
また、上記各実施形態では、搬送ベルト2cを備える搬送部2により記録媒体Mを搬送する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、搬送部2は、例えば回転する搬送ドラムの外周面上で記録媒体Mを保持して搬送するものであっても良い。
また、上記各実施形態では、シングルパス形式のインクジェット記録装置1を例に挙げて説明したが、インクジェットヘッド100を走査させながら画像の記録を行うインクジェット記録装置に本発明を適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1 インクジェット記録装置
2 搬送部
3 ヘッドユニット
9 インク循環機構
10 ヘッドチップ
10a インク吐出部
10b ダミーインク流路
11 ノズル基板
11D ダンパー板
111 ノズル
112 ノズル開口面
12 流路基板
121a 貫通流路
121b ダミー貫通流路
122a 個別排出流路
1221a 第1個別流路
1222a 第2個別流路
122b ダミー個別排出流路
1221b 第1ダミー個別流路
1222b 第2ダミー個別流路
123 帯状貫通流路
13 圧力室基板
131 圧力室基板
131a 圧力室
131b ダミー圧力室
132 共通排出流路
133 垂直排出流路
134 隔壁
135 接続電極
136 駆動電極
15 配線基板
151a インク供給孔
1511a インク流入口
151b ダミーインク供給孔
1511b ダミー流入口
152 排出孔
153 配線
16 インクマニホールド
100 インクジェットヘッド
101 筐体
102 外装部材
103a インレット
103b、103c アウトレット
171、172 接着剤層
Ca インクチャネル
Cb ダミーチャネル
M 記録媒体
P 粒子
R インク吐出部接続範囲
S 流入区間

Claims (11)

  1. インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、を各々有する複数のインク吐出部と、
    前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に供給されるインクを貯留する共通インク室と、
    前記複数のインク吐出部に接続され、前記複数のインク貯留部からインクが流入する共通排出流路と、
    前記共通インク室及び前記共通排出流路に各々接続され、前記共通インク室から流入したインクをそれぞれ前記共通排出流路に導く複数のダミーインク流路と、
    を備え、
    前記共通インク室と前記複数のインク吐出部との複数の接続部は、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲内に設けられており、
    前記複数のダミーインク流路のうち一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の一方側において前記共通インク室に接続されており、前記複数のダミーインク流路のうち残りの一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の前記一方側とは反対側において前記共通インク室に接続されており、
    前記複数のダミーインク流路の各々における流路抵抗は、前記複数のインク吐出部の各々のうち前記共通インク室と前記共通排出流路とを繋ぐ部分における流路抵抗より大きい
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記共通インク室と前記共通排出流路との間のインクの圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のインク吐出部に単位時間当たりに流入するインク量が、前記圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のダミーインク流路に単位時間当たりに流入するインク量の20倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐ個別排出流路を有し、
    前記複数のダミーインク流路の各々は、インクを貯留するダミーインク貯留部と、前記ダミーインク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐダミー個別排出流路と、を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記ダミーインク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値は、前記インク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さいことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記ダミーインク貯留部は、所定の基材の内部に設けられており、
    前記ダミーインク貯留部のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第1の内壁面部材からなることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積は、前記個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積より小さいことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記ダミー個別排出流路は、所定の基材の内部に設けられており、
    前記ダミー個別排出流路のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第2の内壁面部材からなることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向についての長さは、前記個別排出流路のインクの流動方向についての長さより大きいことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記共通排出流路には、前記複数のインク吐出部及び前記複数のダミーインク流路からインクが流入する区間の一方側にのみ、インクの排出口が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  10. 前記共通インク室と前記複数のダミーインク流路との複数のダミー接続部の各々は、前記複数の接続部の各々より開口面積が大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
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