JP7077930B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、を各々有する複数のインク吐出部と、
前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に供給されるインクを貯留する共通インク室と、
前記複数のインク吐出部に接続され、前記複数のインク貯留部からインクが流入する共通排出流路と、
前記共通インク室及び前記共通排出流路に各々接続され、前記共通インク室から流入したインクをそれぞれ前記共通排出流路に導く複数のダミーインク流路と、
を備え、
前記共通インク室と前記複数のインク吐出部との複数の接続部は、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲内に設けられており、
前記複数のダミーインク流路のうち一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の一方側において前記共通インク室に接続されており、前記複数のダミーインク流路のうち残りの一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の前記一方側とは反対側において前記共通インク室に接続されており、
前記複数のダミーインク流路の各々における流路抵抗は、前記複数のインク吐出部の各々のうち前記共通インク室と前記共通排出流路とを繋ぐ部分における流路抵抗より大きい
ことを特徴としている。
前記共通インク室と前記共通排出流路との間のインクの圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のインク吐出部に単位時間当たりに流入するインク量が、前記圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のダミーインク流路に単位時間当たりに流入するインク量の20倍以上であることを特徴としている。
前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐ個別排出流路を有し、
前記複数のダミーインク流路の各々は、インクを貯留するダミーインク貯留部と、前記ダミーインク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐダミー個別排出流路と、を有する
ことを特徴としている。
前記ダミーインク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値は、前記インク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さいことを特徴としている。
前記ダミーインク貯留部は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミーインク貯留部のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第1の内壁面部材からなることを特徴としている。
前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積は、前記個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積より小さいことを特徴としている。
前記ダミー個別排出流路は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミー個別排出流路のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第2の内壁面部材からなることを特徴としている。
前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向についての長さは、前記個別排出流路のインクの流動方向についての長さより大きいことを特徴としている。
前記共通排出流路には、前記複数のインク吐出部及び前記複数のダミーインク流路からインクが流入する区間の一方側にのみ、インクの排出口が設けられていることを特徴としている。
前記共通インク室と前記複数のダミーインク流路との複数のダミー接続部の各々は、前記複数の接続部の各々より開口面積が大きいことを特徴としている。
請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えることを特徴としている。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。
なお、インクジェットヘッド100は、ノズル列を複数有していても良い。この場合には、複数のノズル列は、ノズル111のX方向についての位置が重ならないようにX方向の位置が互いにずらされて配置される。
インクジェットヘッド100は、筐体101と、筐体101の下端で筐体101と篏合する外装部材102とを備え、筐体101及び外装部材102の内部に主要な構成要素が収容されている。このうち外装部材102には、外部からインクが供給されるインレット103a、及びインクが外部に排出されるアウトレット103b、103cが設けられている。また、外装部材102の内部には、インレット103aに接続されたインクマニホールド16(共通インク室)(図6、図7)が設けられている。また、外装部材102には、インクジェットヘッド100をヘッドユニット3の基部3aに取り付けるための複数の取付穴104が設けられている。
図4は、インクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
図4では、インクジェットヘッド100の構成部材のうち、外装部材102の内部に収容されている主要な構成部材が示されている。具体的には、図4では、ノズル基板11、流路基板12及び圧力室基板13を有するヘッドチップ10と、ヘッドチップ10に固着された配線基板15と、配線基板15に電気的に接続されたFPC20(Flexible Printed Circuit)とが示されている。
図4では、インクジェットヘッド100のノズル開口面112が上方となるように、すなわち図3とは上下が反転されるように各部材が描かれている。
図5は、流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
図6は、図4及び図5のA-A線を通りX方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。すなわち、図6は、ノズル111及び後述するインクチャネルCaを通る位置でのヘッドチップ10の断面図である。
図7は、図4及び図5のB-B線を通りX方向に垂直なヘッドチップ10の断面を示す図である。すなわち、図7は、後述するダミーチャネルCbを通る位置でのヘッドチップ10の断面図である。
図6及び図7は、ノズル111が下方となるように、すなわち図4とは上下が逆となるように描かれている。
ノズル基板11、流路基板12及び圧力室基板13と、配線基板15とは、いずれもX方向に長尺な略四角柱状の板状部材である。
なお、ノズル111の内壁面は、Z方向に垂直な断面積が、インク吐出側の開口部に近いほど小さくなるようなテーパー形状を有していても良い。また、ノズル基板11としては、ポリイミド以外の各種樹脂の基板や、シリコン基板、SUSなどの金属基板などが用いられても良い。
また、圧力室基板13には、貫通流路121aに連通する圧力室131aと、ダミー貫通流路121bに連通するダミー圧力室131bと、個別排出流路122a及びダミー個別排出流路122bに連通する共通排出流路132と、共通排出流路132に連通する垂直排出流路133と、が設けられている。
また、配線基板15には、圧力室131aに連通するインク供給孔151aと、ダミー圧力室131bに連通するダミーインク供給孔151bと、垂直排出流路133に連通する排出孔152と、が設けられている。
本実施形態の流路基板12は、シリコン基板からなる。流路基板12の厚さは、特には限られないが、数百μm程度とされる。流路基板12の-Z方向側の面にはノズル基板11が、また+Z方向側の面には圧力室基板13が、それぞれ接着剤を介して接着(固着)されている。
圧力室基板13の材質は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)である。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。本実施形態の圧力室基板13では、PZTが用いられている。
配線基板15は、圧力室基板13の面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であり、接着剤を介して圧力室基板13の+Z方向側の面に接着されている。配線基板15としては、例えばガラス、セラミックス、シリコン、プラスチックなどの基板を用いることができる。
圧力室基板13の圧力室131aは、圧力室基板13をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、貫通流路121aと同一である。
配線基板15のインク供給孔151aは、配線基板15をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、圧力室131aと同一である。
圧力室基板13のダミー圧力室131bは、圧力室基板13をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、ダミー貫通流路121bと同一である。
配線基板15のダミーインク供給孔151bは、配線基板15をZ方向に貫通する貫通孔であり、Z方向に垂直な断面の形状は、ダミー圧力室131bと同一である。
なお、図4では、インクチャネルCaが5つ設けられ、またダミーチャネルCbが5つのインクチャネルCaの両側に1つずつ設けられているが、これは説明の便宜のために数を省略したものである。インクジェットヘッド100では、通常、ノズル111及びインクチャネルCaが数百個程度設けられ、これらのインクチャネルCaの両側にそれぞれ複数(例えば数個~50個程度)のダミーチャネルCbが設けられる。ただし、ダミーチャネルCbの機能(後述する粒子Pの捕捉機能)が十分に確保できる場合には、ダミーチャネルCbをインクチャネルCaの両側に1つずつ設けた構成としても良い。
またノズル111及びインクチャネルCaが複数列設けられる構成では、インクチャネルCaの各列の両側にダミーチャネルCbが設けられる。
ダミーチャネルCbの流路抵抗をインクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることによる作用及び効果については、後に詳述する。
また、図4、図5及び図7に示されるように、複数のダミー貫通流路121b(ダミーチャネルCb)の各々から+Y方向に第1ダミー個別流路1221bが分岐しており、各第1ダミー個別流路1221bの+Y方向側の端部に、+Z方向に延びて流路基板12を貫通する第2ダミー個別流路1222bが接続されている。この第1ダミー個別流路1221b及び第2ダミー個別流路1222bにより、ダミー個別排出流路122bが構成される。このうち第1ダミー個別流路1221bは、ダミー貫通流路121bのノズル基板11側の開口部から流路基板12の表面に沿って+Y方向に延びる溝状の流路であり、内壁面の一部がノズル基板11によって構成されている。
本実施形態では、個別排出流路122aのインクの流動方向(第1個別流路1221aでは+Y方向、第2個別流路1222aでは+Z方向)に垂直な断面形状及び断面積は、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向(第1ダミー個別流路1221bでは+Y方向、第2ダミー個別流路1222bでは+Z方向)に垂直な断面形状及び断面積と同一となっている。
また、共通排出流路132の+X方向側の端部には、圧力室基板13をZ方向に貫通する垂直排出流路133が接続されている。
共通排出流路132では、流入区間Sの一方側にのみ、インクの排出口(垂直排出流路133との接続部)が設けられている。これにより、流入区間Sでは、図5中の破線の矢印により示されるように、当該流入区間Sの一方側の端部(垂直排出流路133側とは反対側)から他方側(垂直排出流路133側)の端部に向かってインクが流動して排出されるようになっている。
インクチャネルCa内のインクの圧力変動に起因する圧力波が個別排出流路122aを通って共通排出流路132に伝播すると、共通排出流路132の内部でインクの圧力変動が生じ得る。このような場合に、ダンパー板11Dが、共通排出流路132内のインクの圧力変動に応じて変形する(撓む)ことで、当該圧力変動を吸収することができる。
ダンパー板11Dの共通排出流路132側とは反対側は、開放された空気であり、空気がその弾性力によってダンパー板11Dの変形を阻害することがないため、共通排出流路132内のインクの圧力変動を効果的に吸収することができる。
また、図7に示されるダミーチャネルCb及びダミー個別排出流路122bにより、ダミーインク流路10bが構成される。各ダミーインク流路10bは、インクマニホールド16及び共通排出流路132に接続され、インクマニホールド16から流入したインクを共通排出流路132に導く。
図8に示されるように、各インクチャネルCaに含まれる圧力室131a、及び各ダミーチャネルCbに含まれるダミー圧力室131bは、X方向に隣り合う圧力室131a又はダミー圧力室131bとの間が圧電体の隔壁134により仕切られている。各圧力室131a及びダミー圧力室131bの隔壁134の内壁面には、金属の駆動電極136(圧力変動手段)が設けられている。また、圧力室基板13の表面のうち圧力室131a及びダミー圧力室131bの開口部の-Y方向側の近傍領域には、駆動電極136に電気的に接続された金属の接続電極135が設けられている。接続電極135は、図4に示される配線基板15の配線153に電気的に接続される。これらの複数の配線153のうち、インクチャネルCaに対応する配線153は、FPC20の配線21を介して外部の駆動回路に電気的に接続される。他方で、ダミーチャネルCbに対応する配線153については、FPC20上で対応する配線21が設けられておらず、駆動回路には接続されない。
なお、図4及び図5におけるX方向について一つ置きのインクチャネルCaの形成位置に、インクチャネルCaに代えて、インクの流入経路を有しない空気室を設けても良い。このような構成とすることで、インクチャネルCaにおける圧力室131aに隣接する隔壁134が変形した際に、他のインクチャネルCaに当該変形の影響が及ばないようにすることができる。
配線基板15の+Z方向側の面にはインクマニホールド16が接続されており、当該インクマニホールド16からインク供給孔151a及びダミーインク供給孔151bにインクが供給される。
図9に示されるように、配線基板15の+Z方向側の面(インクマニホールド16の内壁面)には、インクマニホールド16と複数のインク吐出部10aとの接続部をなす複数のインク流入口1511a、及びインクマニホールド16と複数のダミーインク流路10bとのダミー接続部をなす複数のダミー流入口1511bが設けられている。このうち複数のインク流入口1511aは、X方向(所定方向)に延びるインク吐出部接続範囲R(接続範囲)の範囲内に設けられている。また、複数のダミーインク流路10bの一部は、X方向についてインク吐出部接続範囲Rの一方側に接続され、複数のダミーインク流路10bの残りの一部は、X方向についてインク吐出部接続範囲Rの他方側に接続されている。すなわち、複数のダミーインク流路10bは、インク吐出部接続範囲Rを長手方向について挟む両側にそれぞれ接続されている。
なお、インク流入口1511aは、必ずしも一列に配列されていなくても良く、例えばX方向についての位置が互いに異なるようにインク吐出部接続範囲R内で千鳥格子状に配列されていても良い。
このようにインクを還流させることにより、インクに含まれる各種粒子の沈降を抑制したり、インクチャネルCaやダミーチャネルCbに混入した気泡や異物をインクとともに外部に排出させたりすることができる。
インクマニホールド16からインクチャネルCa及びダミーチャネルCbに供給されるインクの流れや、インクチャネルCa及びダミーチャネルCbから共通排出流路132を通って外部に排出されるインクの流れは、インクジェット記録装置1が有するインク循環機構9により発生させることができる。
インク循環機構9は、供給用サブタンク91、還流用サブタンク92及びメインタンク93などを備える。
供給用サブタンク91は、インクジェットヘッド100に設けられたインクマニホールド16に供給されるインクを貯留する。供給用サブタンク91は、インク流路94によってインレット103aに接続されている。
還流用サブタンク92は、インク流路95によってアウトレット103b、103cに接続されており、個別排出流路122a、ダミー個別排出流路122b及び共通排出流路132を含む上述のインク排出流路を通ってアウトレット103b又はアウトレット103cから排出されたインクを貯留する。
供給用サブタンク91及び還流用サブタンク92は、インク流路96で接続されている。そして、インク流路96に設けられたポンプ98により、還流用サブタンク92から供給用サブタンク91にインクを戻すことができるようになっている。
メインタンク93は、供給用サブタンク91に供給されるインクを貯留する。メインタンク93は、インク流路97によって供給用サブタンク91に接続されている。また、インク流路97に設けられたポンプ99により、メインタンク93から供給用サブタンク91にインクが供給される。
図11は、インク吐出部10a及びダミーインク流路10bによる、インクマニホールド16と共通排出流路132との接続状態を示す模式図である。
図11では、説明の便宜上、インクチャネルCaと個別排出流路122a、及びダミーチャネルCbとダミー個別排出流路122bが、それぞれ同一方向に繋げられて描かれている。
このような凝集した粒子Pがインク流入口1511aからインク吐出部10aに流入すると、粒子Pによりノズル111が詰まってインク吐出不良が発生する。
また、粒子Pによりインク吐出部10a内の流路(例えば個別排出流路122a)が狭まったり、粒子Pの凝集の程度によっては流路が詰まったりする場合がある。インクを循環させることが前提となっているインクジェットヘッド100において一部のインク吐出部10aの流路が粒子Pによって狭まったり詰まったりすると、インク吐出部10aにおけるノズル111のメニスカス圧力が適正値から外れ、メニスカスが破壊されてノズル111から気泡を巻き込み続ける状態となってしまう。この結果、巻き込まれた気泡が他のインク吐出部10aのインク吐出特性に影響を及ぼし、各ノズル111からのインク吐出不良を招く。
これにより、上記のインク吐出不良の発生が抑制される。
これにより、ダミーインク流路10bを追加したことによるインクマニホールド16から共通排出流路132へのインクの流量の増加が最小限に留められている。
なお、本実施形態では、複数のインク吐出部10aの流路抵抗は均一となっているが、複数のインク吐出部10aの流路抵抗にばらつきがある場合には、各ダミーインク流路10bの流路抵抗は、複数のインク吐出部10aの流路抵抗の最大値より大きくなるように設定される。
これに対し、本実施形態のようにダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくしてダミーインク流路10bによるインク流量の増加を抑えることで、粒子Pの捕捉機能を確保しつつ、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部におけるインクの流動に伴う圧力分布の偏り(例えば共通排出流路132の流入区間Sにおける上流側端部と下流側端部との圧力差による偏り)を小さく抑えることが可能となる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132に連通する複数のインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えることができ、当該圧力差に起因する複数のインク吐出部10aのインク吐出特性のばらつきを抑えることができる。
この実験では、ダミーインク流路10bの数や流路抵抗を異ならせた複数のインクジェットヘッド100のサンプルを用意し、各サンプルにおけるインク吐出部10a(インクチャネルCa)の詰まりの有無や、複数のインクチャネルCaの圧力分布の均一性を評価した。
図12では、各サンプルにおけるインク吐出部10aの数、個別流量及び総流量と、ダミーインク流路10bの数、個別流量及び総流量とが示されている。
また、各サンプルについて、インク吐出部10aの流路抵抗RIに対するダミーインク流路10bの流路抵抗RDの比率(RD/RI)、及び複数のダミーインク流路10bにおけるインクの総流量QDに対する複数のインク吐出部10aにおけるインクの総流量QIの比率(QI/QD)が示されている。
このうち比較例1では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.40μm/min、比率QI/QDは13となった。ここで、複数のインク吐出部10a及び複数のダミーインク流路10bは、均等なピッチで配置した(以下の各サンプルについても同様)。
また、比較例2では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.28μm/min、比率QI/QDは18となった。
また、比較例3では、複数のインク吐出部10aの両側に5個ずつ、計10個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、比較例4では、複数のインク吐出部10aの両側に2個ずつ、計4個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.08μm/min、比率QI/QDは64となった。
このうち実施例1-1では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、実施例1-2では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.14μm/min、比率QI/QDは37となった。
このうち実施例2-1では、複数のインク吐出部10aの両側に20個ずつ、計40個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.20μm/min、比率QI/QDは26となった。
また、実施例2-2では、複数のインク吐出部10aの両側に10個ずつ、計20個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.10μm/min、比率QI/QDは51となった。
また、実施例2-3では、複数のインク吐出部10aの両側に7個ずつ、計14個のダミーインク流路10bを設けた。よって、ダミーインク流路10bの総流量は0.07μm/min、比率QI/QDは73となった。
インクチャネルCa内の圧力は、ノズル111のメニスカスの位置を制御するために厳密に管理されており、圧力が下がるとメニスカスが後退し(インクチャネルCa内に引き込まれ)、吐出されるインク液滴の液量が減少する。よって、共通排出流路132を介したインクの還流により複数のインクチャネルCaの圧力分布に偏りが生じていると、インク吐出部10a間で、吐出されるインクの液滴量に偏りが生じる。
これに基づき、インクを還流させない状態(還流による圧力分布の偏りが生じない状態)での吐出インクの液滴量に対する、インクを還流させた状態(圧力分布の偏りが生じ得る状態)での吐出インクの液滴量の比率によって、圧力分布の偏りの程度を評価した。具体的には、全てのインク吐出部10aにおいて上記比率が2%以下に抑えられている場合には、画質への影響がないことから「○」とした。また、いずれかのインク吐出部10aにおいて上記比率が2%を超えた場合には、画質の低下が生じ得るため「×」とした。
これに対し、ダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくして、比率QI/QDが20以上となるようにした実施例1-1、実施例1-2、及び実施例2-1~実施例2-3においては、圧力分布の均一性が「○」となり、ダミーインク流路10bを設けてもインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えてインク吐出部10aの吐出特性のばらつきを抑制可能であることが確認された。
図13は、変形例1に係る流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
本変形例では、ダミーチャネルCbの断面形状及び立体形状がインクチャネルCaと同一となっている。
他方で、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向に垂直な断面積が、個別排出流路122aの断面積より小さくなっており、この結果、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗が、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくなっている。このような構成によっても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を、インク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、本変形例において、さらに、ダミーチャネルCbの断面積をインクチャネルCaの断面積より小さくしても良い。これによれば、ダミーインク流路10bの流路抵抗をより大きくすることができる。
図14は、変形例2に係る流路基板12の-Z方向側の面を示す平面図である。
本変形例では、ダミーチャネルCbの断面形状及び立体形状がインクチャネルCaと同一となっている。
他方で、個別排出流路122aのうち第1個別流路1221aが直線状に設けられているのに対し、ダミー個別排出流路122bのうち第1ダミー個別流路1221bが蛇行するように設けられている。これにより、ダミー個別排出流路122bのインクの流動方向についての長さが個別排出流路122aの長さより大きくなっており、この結果、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗が、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくなっている。このような構成によっても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を、インク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、本変形例において、さらに、ダミーチャネルCbの断面積をインクチャネルCaの断面積より小さくしたり、ダミー個別排出流路122bの断面積を個別排出流路122aの断面積より小さくしたりしても良い。これによれば、ダミーインク流路10bの流路抵抗をより大きくすることができる。
図15は、変形例3に係るヘッドチップ10の、ダミーチャネルCbを通る位置での断面図である。
本変形例では、ダミー貫通流路121bとダミー圧力室131bとの境界の近傍部分において、流路基板12及び圧力室基板131の表面に接着剤層171(第1の内壁面部材)が設けられている。すなわち、ダミーチャネルCbの内壁面の一部が、接着剤層171により構成されている。接着剤層171は、流路基板12及び圧力室基板13(ダミーチャネルCbが内部に設けられる基材)を接着する接着剤からなる。すなわち、接着剤層171は、流路基板12と圧力室基板13とを接着するための規定量より多い接着剤を用いて流路基板12と圧力室基板13とを接着させて、ダミーチャネルCbの内部に接着剤をはみ出させることで形成されたものである。
このような接着剤層171を設けることにより、ダミーチャネルCbのインクの流動方向(-Z方向)に垂直な断面積の最小値を容易に小さくして、ダミーチャネルCbの流路抵抗を、インクチャネルCaの流路抵抗より大きくすることができる。
このような接着剤層172を設けることにより、ダミー個別排出流路122bのうち第1ダミー個別流路1221bにおけるインクの流動方向(+Y方向)に垂直な断面積の最小値を容易に小さくして、ダミー個別排出流路122bの流路抵抗を、個別排出流路122aの流路抵抗より大きくすることができる。
なお、図15では、第1ダミー個別流路1221bの全体が接着剤層172により均等に狭くなっている例を挙げて説明しているが、これに限られず、第1ダミー個別流路1221bの一部(少なくとも、断面積が最小となる部分)に接着剤層172が設けられて狭くなっていても良い。
また、第1の内壁面部材及び第2の内壁面部材は、基板間を接着するための接着剤に限られず、基材の内壁面に形成された薄膜などであっても良く、内壁面を保護する保護膜の機能を有していても良い。また、第1の内壁面部材及び第2の内壁面部材としては、有機及び無機の各種公知の材料を用いることができる。
図16は、変形例4に係るインクマニホールド16と共通排出流路132との接続状態を示す模式図である。
本変形例では、ダミーインク流路10bのダミー流入口1511bの幅Wbが、インク吐出部10aのインク流入口1511aの幅Waより大きくなっており、これにより、ダミー流入口1511bの開口面積が、インク流入口1511aの開口面積より大きくなっている。
他方で、ダミーチャネルCbの断面積がインクチャネルCaの断面積より小さく、かつダミー個別排出流路122bの断面積が個別排出流路122aの断面積より小さくなっており、ダミーインク流路10b全体の流路抵抗が、インク吐出部10aの流路抵抗より十分大きくなっている。
このような構成により、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくしつつ、ダミーインク流路10bに粒子Pをより流入させやすくすることができる。
このような構成によれば、インク吐出部10aのインク流入口1511a、及びダミーインク流路10bのダミー流入口1511bがなす流入口配列の両端がダミー流入口1511bとなっているため、インクマニホールド16のうち流入口配列の端部近傍で凝集した粒子Pをダミーインク流路10bに導くことができる。これにより、インク流入口1511aからインク吐出部10aに粒子Pが流入しにくくなるようにすることができ、インク吐出部10aが粒子Pによって詰まることに起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
また、ダミーインク流路10bの流路抵抗をインク吐出部10aの流路抵抗より大きくすることで、ダミーインク流路10bによる粒子Pの捕捉機能を確保しつつ、ダミーインク流路10bを設けたことによるインクマニホールド16から共通排出流路132へのインク流量の増加を抑えることができる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132の内部におけるインクの流動に伴う圧力分布の偏り(例えば共通排出流路132の流入区間Sにおける上流側端部と下流側端部との圧力差による偏り)を小さく抑えることが可能となる。これにより、インクマニホールド16及び共通排出流路132に連通する複数のインクチャネルCa間の圧力差を小さく抑えることができ、当該圧力差に起因する複数のインク吐出部10aのインク吐出特性のばらつきを抑えることができる。よって、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきに起因する画質の低下を抑制することができる。
例えば、上記実施形態では、共通排出流路132の一方側の端部に垂直排出流路133を設けて当該一方側の端部のみからインクを排出させる例を挙げて説明したが、これに限られず、共通排出流路132の両端に排出流路を設けて共通排出流路132の両端からインクを排出させたり、共通排出流路132の流入区間Sの途中からインクを排出させたりしても良い。これらの場合においても、ダミーインク流路10bの流路抵抗を大きくすることで、共通排出流路132におけるインクの最大圧力差を低減することができる。よって、当該圧力差に起因する複数のインクチャネルCa間の圧力差をより小さく抑えて、複数のインク吐出部10aにおけるインク吐出特性のばらつきを効果的に抑制することができる。
同様に、ダミーチャネルCbと共通排出流路132との間にダミー個別排出流路122bが設けられる例を用いて説明したが、これに限られず、ダミー個別排出流路122bを設けずにダミーチャネルCbを直接共通排出流路132に接続する構成としても良い。
2 搬送部
3 ヘッドユニット
9 インク循環機構
10 ヘッドチップ
10a インク吐出部
10b ダミーインク流路
11 ノズル基板
11D ダンパー板
111 ノズル
112 ノズル開口面
12 流路基板
121a 貫通流路
121b ダミー貫通流路
122a 個別排出流路
1221a 第1個別流路
1222a 第2個別流路
122b ダミー個別排出流路
1221b 第1ダミー個別流路
1222b 第2ダミー個別流路
123 帯状貫通流路
13 圧力室基板
131 圧力室基板
131a 圧力室
131b ダミー圧力室
132 共通排出流路
133 垂直排出流路
134 隔壁
135 接続電極
136 駆動電極
15 配線基板
151a インク供給孔
1511a インク流入口
151b ダミーインク供給孔
1511b ダミー流入口
152 排出孔
153 配線
16 インクマニホールド
100 インクジェットヘッド
101 筐体
102 外装部材
103a インレット
103b、103c アウトレット
171、172 接着剤層
Ca インクチャネル
Cb ダミーチャネル
M 記録媒体
P 粒子
R インク吐出部接続範囲
S 流入区間
Claims (11)
- インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力変動手段と、前記インク貯留部に連通し、当該インク貯留部内におけるインクの圧力の変動に応じてインクを吐出するノズルと、を各々有する複数のインク吐出部と、
前記複数のインク吐出部が有する複数の前記インク貯留部に供給されるインクを貯留する共通インク室と、
前記複数のインク吐出部に接続され、前記複数のインク貯留部からインクが流入する共通排出流路と、
前記共通インク室及び前記共通排出流路に各々接続され、前記共通インク室から流入したインクをそれぞれ前記共通排出流路に導く複数のダミーインク流路と、
を備え、
前記共通インク室と前記複数のインク吐出部との複数の接続部は、所定方向に延びるインク吐出部接続範囲内に設けられており、
前記複数のダミーインク流路のうち一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の一方側において前記共通インク室に接続されており、前記複数のダミーインク流路のうち残りの一部は、前記所定方向について前記インク吐出部接続範囲の前記一方側とは反対側において前記共通インク室に接続されており、
前記複数のダミーインク流路の各々における流路抵抗は、前記複数のインク吐出部の各々のうち前記共通インク室と前記共通排出流路とを繋ぐ部分における流路抵抗より大きい
ことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記共通インク室と前記共通排出流路との間のインクの圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のインク吐出部に単位時間当たりに流入するインク量が、前記圧力差に応じて前記共通インク室から前記複数のダミーインク流路に単位時間当たりに流入するインク量の20倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記複数のインク吐出部の各々は、前記インク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐ個別排出流路を有し、
前記複数のダミーインク流路の各々は、インクを貯留するダミーインク貯留部と、前記ダミーインク貯留部と前記共通排出流路とを繋ぐダミー個別排出流路と、を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。 - 前記ダミーインク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値は、前記インク貯留部のインクの流動方向に垂直な断面積の最小値より小さいことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミーインク貯留部は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミーインク貯留部のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第1の内壁面部材からなることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。 - 前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積は、前記個別排出流路のインクの流動方向に垂直な断面積より小さいことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミー個別排出流路は、所定の基材の内部に設けられており、
前記ダミー個別排出流路のうちインクの流動方向に垂直な断面積が最小となる部分の内壁面の少なくとも一部は、前記基材の表面に設けられた第2の内壁面部材からなることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。 - 前記ダミー個別排出流路のインクの流動方向についての長さは、前記個別排出流路のインクの流動方向についての長さより大きいことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記共通排出流路には、前記複数のインク吐出部及び前記複数のダミーインク流路からインクが流入する区間の一方側にのみ、インクの排出口が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記共通インク室と前記複数のダミーインク流路との複数のダミー接続部の各々は、前記複数の接続部の各々より開口面積が大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
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