JP2019155590A - インクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
インクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019155590A JP2019155590A JP2018040312A JP2018040312A JP2019155590A JP 2019155590 A JP2019155590 A JP 2019155590A JP 2018040312 A JP2018040312 A JP 2018040312A JP 2018040312 A JP2018040312 A JP 2018040312A JP 2019155590 A JP2019155590 A JP 2019155590A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flow path
- ink
- wall surface
- air chamber
- hole
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
Description
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドであって、
前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部と、
前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に設けられた保護膜と、
を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
前記流路部には、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部が設けられており、
前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が遮断部材により遮断されている。
前記孔部は、前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方の内部を貫通している。
前記孔部の内壁面の少なくとも一部は、前記第1の部分と前記第2の部分との接合面に設けられた溝である。
前記遮断部材は、前記保護膜である。
前記遮断部材は、前記保護膜とは一体的に形成されていない部材である。
前記遮断部材は、前記孔部の内部の少なくとも一部を塞いでいる。
前記保護膜は、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物若しくは無機窒化物、又はポリパラキシリレンである。
前記第1の部分は、酸性のインク及びアルカリ性のインクの少なくとも一方により浸食され得る材質であり、
前記保護膜は、前記第1の部分に設けられている。
前記第1の部分は、Si又はNiからなる。
前記第2の部分には、前記インク流路の途中に、変形に応じて内部に貯留されたインクの圧力を変動させるインク貯留部が設けられている。
前記第1の部分は、前記ノズルが設けられたノズル基板である。
前記第2の部分は、圧電体からなる基材を有し、当該基材に前記インク貯留部が設けられている。
前記第2の部分は、一方の面が前記インク貯留部の内壁面の一部をなし、他方の面が前記空気室の内壁面の一部をなす振動板を有し、
前記振動板の前記空気室側の内壁面には圧電素子が固着されている。
請求項1から13のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備える。
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
を含み、
前記保護膜形成工程では、前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が前記保護膜により遮断されるように前記保護膜を形成する。
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通を遮断する遮断部材を形成する遮断部材形成工程、
を含む。
図1は、本発明に係る第1の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。
なお、インクジェットヘッド100は、ノズル列を複数有していても良い。この場合には、複数のノズル列は、ノズル111のX方向についての位置が重ならないようにX方向の位置が互いにずらされて配置される。
本実施形態のインクジェットヘッド100では、これらの酸性のインクやアルカリ性のインクからインクジェットヘッド100を保護するために保護膜が設けられている。この保護膜の形成位置や形成方法については後に詳述する。
また、図3におけるA−A線を通りY方向に垂直な断面が、図4(d)に示されている。
図3では、インクジェットヘッド100の構成要素のうち、図示略の外装部材の内部に収容されている主要な構成要素が示されている。具体的には、図3では、ノズル基板11、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14を有するヘッドチップ10と、ヘッドチップ10の配線基板14に電気的に接続されたFPC20(Flexible Printed Circuit)とが示されている。
本実施形態では、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14により構成される構造を流路部90(図4(d))と記す。また、当該流路部90においてインクが流動する経路を、以下ではインク流路と記す。インク流路には、後述する吐出流路121、圧力室101(インク貯留部)、共通排出流路132、供給流路141及び排出流路142が含まれる。
また、図3では、インクジェットヘッド100のノズル開口面が上方となるように各部材が描かれている。以下では、各部材の−Z方向側の面を上面、+Z方向側の面を下面とも記す。また、図3では、便宜上、ノズル111が4つのみ記載され、他のノズルは記載が省略されている。
圧力室基板13は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)からなる基材を加工して得られたものである。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。本実施形態の圧力室基板13では、PZTが用いられている。
各圧力室101には、配線基板14に設けられた供給流路141を介してインクが供給される。また、各圧力室101は、流路スペーサー基板12の吐出流路121を介してノズル111に連通している。
空気室102は、圧力室101とほぼ同等の形状を有する貫通孔である。空気室102の図3における下方の開口部は、配線基板14により閉止されており、上方の開口部は、流路スペーサー基板12により閉止されている。詳しくは、流路スペーサー基板12には、空気室102に連通する孔部103が設けられているが、当該孔部103の内部の一部が遮断部材としての保護膜80(図4(d))により塞がれて孔部103が閉止されていることで、空気室102の上側の開口部が閉止されている。これにより、孔部103による空気室102と流路部90の外部との連通が遮断されて、空気室102にインクが流入しないようになっている。
貫通流路122のX−Y平面に平行な断面形状は、圧力室101の断面形状と略同一の矩形となっている。貫通流路122は、圧力室基板13側の開口部が圧力室101に接続され、ノズル基板11側の開口部がノズル111に接続されている。
個別排出流路123は、貫通流路122のノズル基板11側の開口部から流路スペーサー基板12の上面に沿ってY方向に延びる溝状の水平個別排出流路123aと、当該水平個別排出流路123aの端部から流路スペーサー基板12を貫通するように設けられた垂直個別排出流路123bとを有する。垂直個別排出流路123bの圧力室基板13側の開口部は、共通排出流路132の水平共通排出流路132aに接続されている。したがって、個別排出流路123は、貫通流路122から水平個別排出流路123aに流入したインクの一部を垂直個別排出流路123bを介して共通排出流路132に導く。
なお、ノズル111の内壁面は、Z方向に垂直な断面積が、インク吐出側の開口部に近いほど小さくなるようなテーパー形状を有していても良い。また、ノズル基板11は、ポリイミド等の樹脂や、SUS、Ni等の金属などにより構成されていても良い。また、ノズル基板11のノズル開口面には、フッ素樹脂粒子等の撥液性物質を含む撥水膜を設けることが望ましい。撥水膜を設けることで、ノズル開口面に対するインクや異物の付着を抑えることができ、当該インクや異物等の付着に起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
配線基板14の下面には、図示しないインクマニホールド(共通インク室)が接続されており、当該インクマニホールドから供給流路141にインクが供給される。
保護膜80としては、特には限られないが、例えばポリパラキシリレンといった有機保護膜や、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物又は無機窒化物からなる保護膜を用いることができる。このような保護膜80を設けることで、インク流路がインクにより浸食されたり、流路部90の外壁面に付着したインクが流路部90内に侵入してインクのリーク経路が形成されたりする不具合の発生を抑制することができる。
なお、保護膜80は、必ずしも流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の全面に設けられていなくても良く、流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の少なくとも一部に設けられていても良い。例えば、インクによる浸食が生じやすい部分やインクによる浸食が問題となりやすい部分に選択的に設けられていても良い。
図4は、インクジェットヘッド100の製造方法を説明する断面図である。図4(a)〜図4(d)の各断面図では、各工程における、図3のA−A線を通りY方向に垂直な断面に対応する部分が示されている。
孔部103は、各種公知の基板加工技術により形成することができる。例えば、本実施形態のように流路スペーサー基板12がシリコン基板からなる場合には、フォトリソグラフィー技術により形成されたエッチングマスクを用いてシリコン基板をエッチングする方法を用いることができる。また、流路スペーサー基板がポリイミド基板からなる場合には、所定のマスクを介してポリイミド基板にエキシマレーザー等を照射することで孔部103を形成する方法を用いることができる。
保護膜80を形成する際には、空気室102は孔部103を介して流路部90の外部と連通した状態となっているため、空気室102の内部は、外部と同等の気圧(本実施形態では、約10Pa)に減圧される。このため空気室102と流路部90の外部との間での空気の流動はほとんどなく、安定した状態で保護膜80を形成することができる。
また、上述のとおり、孔部103の直径は10〜30μm程度と小さいため、保護膜80の形成時には、孔部103の内部に形成(充填)された保護膜80により孔部103が閉止され、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通が遮断される。これにより、空気室102は、インクの流入経路を有しない状態となる。
図5は、孔部103が設けられていない従来のインクジェットヘッド100の製造方法を説明する断面図である。
この従来の製造方法では、まず、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14を接着剤71、72を介して接合し、外部との連通が遮断されてインクの流入経路を有しない状態の空気室102を有する流路部90を製造する。そして、保護膜80の形成のために、流路部90を10Paの減圧環境下に設置する(図5(a))。
このとき、空気室102の内部の気圧は、ほぼ大気圧(約1×105Pa)に維持されているため、流路部90の外部の気圧(約10Pa)との気圧差が大きくなる。ここで、空気室102を密封している接着剤71、72は、このような気圧差においても空気を完全に遮断可能なほど高い気密性は有していない。このため、図5(a)の破線の矢印で示されるように、空気室102の内部の空気が徐々に接着剤71、72を通って外部に漏れ出してしまう。
このように空気が漏れ出している箇所では、空気に含まれている酸素等の成分を取り込みつつ保護膜80が形成されるため、所期の組成とは異なる組成の不良保護膜80aが形成されてしまう(図5(b))。このような不良保護膜80aは、正常な保護膜80よりも酸性のインクやアルカリ性のインクに対する耐性(耐インク性)が小さいため、流路部90に十分な耐インク性を持たせることができなくなる。
また、保護膜80の形成後には孔部103が保護膜80により閉止されるため、インクジェットヘッド100の製造後に、空気室102にインクが進入して空気室102の機能が損なわれる不具合の発生が抑制される。
続いて第1の実施形態の変形例1について説明する。本変形例は、孔部103の形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
また、図7は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の断面図であり、図7(a)は、図6のB−B線を通りY方向に垂直な断面を示し、図7(b)は、図6のC−C線を通りY方向に垂直な断面を示している。
孔部103のうち、第1溝部103aのZ方向から見て空気室102と重なる部分は、空気室102の内壁面における第1開口部1031を形成する。また、孔部103のうち、第2溝部103bの+X方向側の端部は、流路スペーサー基板12の側面(流路部90の外壁面)における第2開口部1032(切り欠き部)を形成する。すなわち、孔部103は、空気室102の内壁面と、流路部90のうち流路スペーサー基板12の外壁面との間を貫通する形状となっており、閉止される前(保護膜80の形成前)の段階において、空気室102と流路部90の外部とを連通させる。
なお、保護膜80によって孔部103を閉止させることができない場合などでは、図7(b)に示されるように、孔部103を遮断部材としての接着剤74により塞ぐことで孔部103を閉止しても良い(遮断部材形成工程)。また、この場合に孔部103を塞ぐ部材は接着剤に限られず、保護膜80とは一体的に設けられない他の任意の部材、例えば、流動性を有した状態で孔部103を塞ぐように設けられ、その後硬化させることができる各種公知の部材を用いることができる。
続いて第1の実施形態の変形例2について説明する。本変形例のインクジェットヘッド100は、流路スペーサー基板12が設けられておらず、ノズル基板11に孔部103が設けられている点で上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
また、図9は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の断面図であり、図9(a)は、図8のD−D線を通りY方向に垂直な断面を示し、図9(b)は、図8のE−E線を通りY方向に垂直な断面を示している。
また、本変形例では、インク排出流路(圧力室基板13の共通排出流路132や配線基板14の排出流路142)が設けられていない。
流路部90の製造後、減圧環境下で流路部90に保護膜80を形成する。よって、本変形例では、図9に示されるように、ノズル基板11の外壁面やノズル111の内壁面にも保護膜80が形成される。
本変形例においても、保護膜80によっては孔部103を閉止させることができない場合などでは、図9(b)に示されるように、孔部103を接着剤74などで塞ぐことで孔部103を閉止しても良い(遮断部材形成工程)。
このような構成によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間を空気がほとんど流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、保護膜がより確実に所望の特性を有するようにすることができる。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置1は、容易に所望の特性の保護膜80を有した状態で製造することができる。
また、孔部103が遮断部材により閉止されていることで空気室102がインクの流入経路を有しない状態となっているため、所望の特性の保護膜80の形成を容易にしつつ、空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生を抑制することができる。
このような製造方法によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間をほとんど空気が流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、容易に所望の特性の保護膜80を有するインクジェットヘッド100を製造することができる。
また、孔部103を保護膜80により閉止することで、孔部103を閉止するための別個の部材や工程が不要となる。よって、インクジェットヘッド100の製造コストの上昇を抑えることができ、また、簡易な方法でインクジェットヘッド100を製造することができる。また、保護膜80により孔部103を閉止することで、空気室102をインクの流入経路を有しない状態とすることができる。よって、インクジェットヘッド100の完成後に空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生も抑制することができる。
このような製造方法によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間をほとんど空気が流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、容易に所望の特性の保護膜80を有するインクジェットヘッド100を製造することができる。
また、保護膜形成工程とは別個の閉止工程で孔部103を閉止するため、孔部103が、保護膜80により閉止させることが困難な大きさであっても、当該孔部103を確実に閉止させることができる。また、孔部103を接着剤74により閉止することで、空気室102をインクの流入経路を有しない状態とすることができる。よって、インクジェットヘッド100の完成後に空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生も抑制することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、圧力室の壁面をなす振動板を圧電素子の変形により変動させてインクを吐出する、いわゆるベントモード型のヘッドチップ10が用いられている点で第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態のヘッドチップ10は、下側から順にノズル基板11、流路スペーサー基板12、振動基板30、圧電素子スペーサー基板40、配線基板50及び保護層60が積層された構造を有している。
共通インク排出流路126は、図面に垂直な方向に延びており、複数のノズル111から分岐した複数の個別インク排出流路114に接続されている。また、共通インク排出流路126は、流路スペーサー基板12からヘッドチップ10の最上面まで貫通する図示しない貫通孔を有し、当該貫通孔からインクジェットヘッド100のアウトレット(インク排出口)にインクを排出させることができるようになっている。
圧電素子42は、平面視で圧力室101と略同一の形状を有しており、振動板32を挟んで圧力室101と対向する位置に設けられている。圧電素子42は、振動板32を変形させるための圧電体(ここでは、PZT)からなるアクチュエーターである。また、圧電素子42には、上面及び下面に2つの電極421、422が設けられており、このうち下面側の電極422が振動板32に固着されている。
また、圧電素子スペーサー基板40には、振動板32の貫通孔321と連通して上方向に貫通する貫通孔401が、空気室102とは独立して形成されている。
インターポーザー51には、上方向に貫通するスルーホール511が形成されており、このスルーホール511には、貫通電極55が挿通されている。貫通電極55の下端には、水平方向に延在する配線56の一端が接続されている。
この配線56の他端は、接続部561を介して圧電素子42上面の電極421上に接続されている。接続部561は、配線56の下面に設けられたスタッドバンプ561aと、スタッドバンプ561aの下端側に塗布されて形成された導電性材料561bとからなる。
また、貫通電極55の上端には、個別配線57が接続されており、個別配線57は水平方向に延在し、FPC等からなる配線部材に接続されている。そして、配線部材に接続される駆動回路から、配線部材及び個別配線57を介して、圧電素子42に駆動信号が供給されるようになっている。
また、インターポーザー51には、圧電素子スペーサー基板40の貫通孔401と連通して上方向に貫通する貫通孔512が形成されている。なお、絶縁層52〜54のうち、貫通孔512の近傍を被覆する各部分は、貫通孔512よりも大きい開口径となるように形成されている。
本実施形態の孔部103も、保護膜80の形成時において空気室102と流路部90の外部とを連通させるため、保護膜80の形成時に空気室102と流路部90の外部との気圧差が生じないようにすることができる。これにより、所望の特性の保護膜80を形成することができる。
また、孔部103は、保護膜80の形成時に保護膜80によって充填されることで閉止されて、孔部103よる空気室102と流路部90の外部との間の連通が遮断されている。孔部103は、保護膜80とは一体的に設けられていない部材、例えば接着剤などにより閉止されていても良い。
例えば、上記実施形態及び変形例では、流路部90の第2の部分92に空気室102となる凹部が設けられ、平板上の第1の部分91により蓋をすることで空気室102が形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、第1の部分91及び第2の部分92が各々空気室102の内壁面の一部をなす他の任意の構成としても良い。例えば、第1の部分91及び第2の部分92の双方に、空気室102の一部となる凹部が設けられた構成としても良い。
2 搬送部
3 ヘッドユニット
10 ヘッドチップ
11 ノズル基板
12 流路スペーサー基板
13 圧力室基板
14 配線基板
20 FPC
21 配線
30 振動基板
40 圧電素子スペーサー基板
50 配線基板
60 保護層
71〜74 接着剤
80 保護膜
80a 不良保護膜
90 流路部
91 第1の部分
92 第2の部分
100 インクジェットヘッド
101 圧力室
102 空気室
103 孔部
103a 第1溝部
103b 第2溝部
111 ノズル
121 吐出流路
122 貫通流路
123 個別排出流路
132 共通排出流路
141 供給流路
142 排出流路
143 配線
1031 第1開口部
1032 第2開口部
M 記録媒体
Claims (16)
- ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドであって、
前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部と、
前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に設けられた保護膜と、
を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
前記流路部には、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部が設けられており、
前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が遮断部材により遮断されているインクジェットヘッド。 - 前記孔部は、前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方の内部を貫通している請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記孔部の内壁面の少なくとも一部は、前記第1の部分と前記第2の部分との接合面に設けられた溝である請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記遮断部材は、前記保護膜である請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記遮断部材は、前記保護膜とは一体的に形成されていない部材である請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記遮断部材は、前記孔部の内部の少なくとも一部を塞いでいる請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記保護膜は、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物若しくは無機窒化物、又はポリパラキシリレンである請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記第1の部分は、酸性のインク及びアルカリ性のインクの少なくとも一方により浸食され得る材質であり、
前記保護膜は、前記第1の部分に設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記第1の部分は、Si又はNiからなる請求項8に記載のインクジェットヘッド。
- 前記第2の部分には、前記インク流路の途中に、変形に応じて内部に貯留されたインクの圧力を変動させるインク貯留部が設けられている請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記第1の部分は、前記ノズルが設けられたノズル基板である請求項10に記載のインクジェットヘッド。
- 前記第2の部分は、圧電体からなる基材を有し、当該基材に前記インク貯留部が設けられている請求項10又は11に記載のインクジェットヘッド。
- 前記第2の部分は、一方の面が前記インク貯留部の内壁面の一部をなし、他方の面が前記空気室の内壁面の一部をなす振動板を有し、
前記振動板の前記空気室側の内壁面には圧電素子が固着されている請求項10又は11に記載のインクジェットヘッド。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
- ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
を含み、
前記保護膜形成工程では、前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が前記保護膜により遮断されるように前記保護膜を形成するインクジェットヘッドの製造方法。 - ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通を遮断する遮断部材を形成する遮断部材形成工程、
を含むインクジェットヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018040312A JP7010067B2 (ja) | 2018-03-07 | 2018-03-07 | インクジェットヘッドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018040312A JP7010067B2 (ja) | 2018-03-07 | 2018-03-07 | インクジェットヘッドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019155590A true JP2019155590A (ja) | 2019-09-19 |
JP7010067B2 JP7010067B2 (ja) | 2022-01-26 |
Family
ID=67992251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018040312A Active JP7010067B2 (ja) | 2018-03-07 | 2018-03-07 | インクジェットヘッドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7010067B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020090054A (ja) * | 2018-12-06 | 2020-06-11 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | ヘッドチップ、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005053080A (ja) * | 2003-08-04 | 2005-03-03 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
JP2008094036A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Konica Minolta Ij Technologies Inc | インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド |
JP2013220614A (ja) * | 2012-04-18 | 2013-10-28 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、および液滴吐出装置 |
JP2016000500A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および、液体噴射ヘッドの製造方法 |
-
2018
- 2018-03-07 JP JP2018040312A patent/JP7010067B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005053080A (ja) * | 2003-08-04 | 2005-03-03 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
JP2008094036A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Konica Minolta Ij Technologies Inc | インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド |
JP2013220614A (ja) * | 2012-04-18 | 2013-10-28 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、および液滴吐出装置 |
JP2016000500A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および、液体噴射ヘッドの製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020090054A (ja) * | 2018-12-06 | 2020-06-11 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | ヘッドチップ、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 |
JP7185512B2 (ja) | 2018-12-06 | 2022-12-07 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | ヘッドチップ、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7010067B2 (ja) | 2022-01-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN109484032B (zh) | 液体喷射头及其制造方法、液体喷射装置以及压电器件 | |
US8506057B2 (en) | Liquid droplet ejecting head and liquid droplet ejecting apparatus | |
JP2020090054A (ja) | ヘッドチップ、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置 | |
JP2013107256A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2014156065A (ja) | 液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置 | |
JP2011115972A (ja) | インクジェットヘッド | |
JP6859600B2 (ja) | 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドユニットの製造方法 | |
JP6885475B2 (ja) | インクジェットヘッドの製造方法、インクジェット記録装置の製造方法、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP7010067B2 (ja) | インクジェットヘッドの製造方法 | |
JP7110126B2 (ja) | インクジェットヘッド、インクジェット装置、及びインクジェットヘッドの製造方法 | |
JP2019111733A (ja) | インクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法 | |
US9701117B2 (en) | Liquid-jet head and liquid-jet apparatus | |
JP7400628B2 (ja) | インクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法 | |
US20240173988A1 (en) | Liquid Ejecting Head, Liquid Ejecting Apparatus, And Filter Member | |
JP7512721B2 (ja) | インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP6338053B2 (ja) | 液体噴射装置及び液体噴射方法 | |
JP7087701B2 (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP7010377B2 (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP7193334B2 (ja) | ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法 | |
WO2019244227A1 (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP2019199015A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2020082492A (ja) | インクジェットヘッド及びインクジェット装置 | |
JP2019111732A (ja) | インクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法 | |
JP2020100137A (ja) | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 | |
JP2019051602A (ja) | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、及び、圧電デバイス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200626 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210415 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210615 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210811 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211227 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7010067 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |