JP7010067B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられたノズルから記録媒体に対してインクを吐出させて画像などを形成するインクジェット記録装置がある。インクジェットヘッドは、ノズルに連通するインク流路に設けられたインク貯留部(圧力室)を有し、このインク貯留部内のインクの圧力を変動させることによりノズルからインクを吐出させる。インク貯留部内のインクの圧力を変動させる方式としては、インク貯留部の壁面を剪断変形させるシアモードや、インク貯留部の壁面の一部をなす振動板をたわませるベントモードなどがある。
インクジェットヘッドには、上記のインク流路が設けられている流路部において、インクの流入経路を有しない空気室が設けられているものがある。特許文献1には、このような空気室を有する流路部を、空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、空気室の内壁面のうち上記一部を除く部分をなす第2の部分とを接合する方法で形成する技術が開示されている。
また、インクジェットヘッドでは、流路部の外壁面やインク流路の内壁面に保護膜を形成することで、流路部がインクにより浸食される不具合の発生を抑制する技術がある。保護膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)やPVD(Physical Vapor Deposition)といった、減圧環境下で保護膜の材料を形成対象面に堆積させる従来公知の成膜技術により形成されている。
特開2014-128940号公報
しかしながら、流路部の第1の部分と第2の部分とを、接合面が完全な気密性を有する状態で接合するのは手間やコストがかかる。接合面が完全な気密性を有しない通常の方法で空気室を形成した後に減圧環境下で保護膜を形成すると、接合面から外部に漏れ出した空気に含まれる酸素等の成分により、保護膜の組成に異常が生じて所望の特性(耐インク特性)が得られなくなるという課題がある。
この発明の目的は、保護膜がより確実に所望の特性を有するインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
記目的を達成するため、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法の発明は、
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
を含み、
前記保護膜形成工程では、前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が前記保護膜により遮断されるように前記保護膜を形成する。
また、上記目的を達成するため、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法の発明は、
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
当該インクジェットヘッドの製造方法は、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通を遮断する遮断部材を形成する遮断部材形成工程、
を含む。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記遮断部材形成工程では、前記保護膜とは一体的とならない前記遮断部材を形成する。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記遮断部材形成工程では、前記孔部の内部の少なくとも一部を塞ぐように前記遮断部材を形成する。
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記保護膜形成工程は、前記空気室と前記流路部の外部とが前記孔部により連通している状態で行われる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記孔部構造形成工程では、前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方の内部を貫通する前記孔部となる前記孔部構造を形成する。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記孔部構造は、前記第1の部分と前記第2の部分との接合面に設けられた溝である。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記保護膜は、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物若しくは無機窒化物、又はポリパラキシリレンである。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の部分は、酸性のインク及びアルカリ性のインクの少なくとも一方により浸食され得る材質であり、
前記保護膜形成工程では、前記第1の部分に前記保護膜を形成する。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の部分は、Si又はNiからなる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第2の部分には、前記インク流路の途中に、変形に応じて内部に貯留されたインクの圧力を変動させるインク貯留部が設けられている。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1の部分は、前記ノズルが設けられたノズル基板である。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第2の部分は、圧電体からなる基材を有し、当該基材に前記インク貯留部が設けられている。
請求項14に記載の発明は、請求項11又は12に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第2の部分は、一方の面が前記インク貯留部の内壁面の一部をなし、他方の面が前記空気室の内壁面の一部をなす振動板を有し、
前記振動板の前記空気室側の内壁面には圧電素子が固着されている。
本発明に従うと、保護膜がより確実に所望の特性を有するインクジェットヘッドが得られるという効果がある。
第1の実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットの構成を示す図である。 インクジェットヘッドの主要部の分解斜視図である。 インクジェットヘッドの製造方法を説明する断面図である。 従来のインクジェットヘッドの製造方法を説明する断面図である。 変形例1に係るインクジェットヘッドの主要部の分解斜視図である。 変形例1に係るインクジェットヘッドの断面図である。 変形例2に係るインクジェットヘッドの主要部の分解斜視図である。 変形例2に係るインクジェットヘッドの断面図である。 第2の実施形態のヘッドチップを示す模式断面図である。
以下、本発明のインクジェットヘッド、インクジェット記録装置及びインクジェットヘッドの製造方法に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部2と、ヘッドユニット3などを備える。
搬送部2は、図1のX方向に延びる回転軸を中心に回転する2本の搬送ローラー2a、2bにより内側が支持された輪状の搬送ベルト2cを備える。搬送部2は、搬送ベルト2cの搬送面上に記録媒体Mが載置された状態で搬送ローラー2aが図示略の搬送モーターの動作に応じて回転して搬送ベルト2cが周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト2cの移動方向(搬送方向;図1のY方向)に搬送する。
記録媒体Mは、一定の寸法に裁断された枚葉紙とすることができる。記録媒体Mは、図示略の給紙装置により搬送ベルト2c上に供給され、ヘッドユニット3からインクが吐出されて画像が記録された後に搬送ベルト2cから所定の排紙部に排出される。なお、記録媒体Mとしては、ロール紙が用いられてもよい。また、記録媒体Mとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
ヘッドユニット3は、搬送部2により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいて適切なタイミングでインクを吐出して画像を記録する。本実施形態のインクジェット記録装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット3が記録媒体Mの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。なお、ヘッドユニット3の数は3つ以下又は5つ以上であってもよい。
図2は、ヘッドユニット3の構成を示す図であり、ヘッドユニット3を搬送ベルト2cの搬送面に相対する側から見た平面図である。ヘッドユニット3は、板状の基部3aと、基部3aに設けられた貫通孔に篏合した状態で基部3aに固定された複数の(ここでは8つの)インクジェットヘッド100とを有する。インクジェットヘッド100は、ノズル111の開口部が設けられたノズル開口面が基部3aの貫通孔から-Z方向に向けて露出した状態で基部3aに固定されている。
インクジェットヘッド100では、複数のノズル111が記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちX方向)に等間隔にそれぞれ配列されている。詳しくは、各インクジェットヘッド100は、X方向に等間隔に一次元配列されたノズル111の列(ノズル列)を有している。
なお、インクジェットヘッド100は、ノズル列を複数有していても良い。この場合には、複数のノズル列は、ノズル111のX方向についての位置が重ならないようにX方向の位置が互いにずらされて配置される。
ヘッドユニット3における8つのインクジェットヘッド100は、ノズル111のX方向についての配置範囲が連続するように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット3に含まれるノズル111のX方向についての配置範囲は、搬送ベルト2cにより搬送される記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のX方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット3は、画像の記録時には位置が固定されて用いられ、記録媒体Mの搬送に応じて搬送方向についての所定間隔(搬送方向間隔)の各位置に対してノズル111からインクを吐出することで、シングルパス方式で画像を記録する。
インクジェットヘッド100から吐出されるインクは、用途に応じて各種公知のものを用いることができる。これらのインクには、酸性のインクやアルカリ性のインクが含まれる。例えば、顔料を分散させた顔料インクは、通常、アルカリ性の分散剤が用いられることから、アルカリ性となる場合が多い。また、綿や麻といった天然繊維などの記録媒体Mに対して好適に用いられる反応染料インクは、酸性のものが多い。また、特に布帛に対して染料インクを吐出して画像を記録する場合、染料の発色性などを向上させるための機能性インク(前処理剤)を吐出するヘッドユニット3が設けられる場合があるが、この前処理剤は、通常、アルカリ性である。
本実施形態のインクジェットヘッド100では、これらの酸性のインクやアルカリ性のインクからインクジェットヘッド100を保護するために保護膜が設けられている。この保護膜の形成位置や形成方法については後に詳述する。
図3は、インクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
また、図3におけるA-A線を通りY方向に垂直な断面が、図4(d)に示されている。
図3では、インクジェットヘッド100の構成要素のうち、図示略の外装部材の内部に収容されている主要な構成要素が示されている。具体的には、図3では、ノズル基板11、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14を有するヘッドチップ10と、ヘッドチップ10の配線基板14に電気的に接続されたFPC20(Flexible Printed Circuit)とが示されている。
本実施形態では、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14により構成される構造を流路部90(図4(d))と記す。また、当該流路部90においてインクが流動する経路を、以下ではインク流路と記す。インク流路には、後述する吐出流路121、圧力室101(インク貯留部)、共通排出流路132、供給流路141及び排出流路142が含まれる。
また、図3では、インクジェットヘッド100のノズル開口面が上方となるように各部材が描かれている。以下では、各部材の-Z方向側の面を上面、+Z方向側の面を下面とも記す。また、図3では、便宜上、ノズル111が4つのみ記載され、他のノズルは記載が省略されている。
ヘッドチップ10は、ノズル111が設けられたノズル基板11と、ノズル111に連通する吐出流路121が設けられた流路スペーサー基板12と、圧力室101及び空気室102等が設けられた圧力室基板13と、圧力室基板13に電気的に接続された配線143を有する配線基板14とが積層された構造を有している。ノズル基板11、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14は、いずれもX方向に長尺な略四角柱状の板状部材である。
圧力室基板13には、吐出流路121を介してノズル111に連通する圧力室101、及び圧力室101に連通されておらずインクの流入経路を有しない空気室102が設けられている。
圧力室基板13は、セラミックスの圧電体(電圧の印加に応じて変形する部材)からなる基材を加工して得られたものである。このような圧電体の例としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などが挙げられる。本実施形態の圧力室基板13では、PZTが用いられている。
圧力室101は、圧力室基板13のうちZ方向から見てノズル111と重なる位置に各々設けられた貫通孔であり、X-Y平面に沿った断面がY方向に長い矩形をなしている。圧力室101の大きさは、特には限られないが、例えばX方向の幅は約80μm、Y方向の幅は約150~200μmとすることができる。
各圧力室101には、配線基板14に設けられた供給流路141を介してインクが供給される。また、各圧力室101は、流路スペーサー基板12の吐出流路121を介してノズル111に連通している。
空気室102は、隣り合う圧力室101の間に設けられている。したがって、圧力室基板13では、圧力室101及び空気室102がX方向について交互に配列されて列をなしている。
空気室102は、圧力室101とほぼ同等の形状を有する貫通孔である。空気室102の図3における下方の開口部は、配線基板14により閉止されており、上方の開口部は、流路スペーサー基板12により閉止されている。詳しくは、流路スペーサー基板12には、空気室102に連通する孔部103が設けられているが、当該孔部103の内部の一部が遮断部材としての保護膜80(図4(d))により塞がれて孔部103が閉止されていることで、空気室102の上側の開口部が閉止されている。これにより、孔部103による空気室102と流路部90の外部との連通が遮断されて、空気室102にインクが流入しないようになっている。
圧力室基板13では、隣り合う圧力室101と空気室102との間が圧電体の隔壁により仕切られている。圧力室101及び空気室102の各々における隔壁の内壁面には、図示しない金属の駆動電極が設けられている。各駆動電極は、圧力室基板の下面のうち圧力室101及び空気室102の開口部近傍に引き出されており、配線基板14の配線143、及びFPC20の配線21を介して外部の駆動回路に電気的に接続されている。
圧力室基板13では、駆動電極に印加された駆動信号に応じて隔壁がシアモード型の変位を繰り返すことで、圧力室101内のインクの圧力が変動する。この圧力の変動に応じて、圧力室101内のインクが吐出流路121を介してノズル111から吐出される。すなわち、本実施形態のヘッドチップ10は、シアモード型のインク吐出を行うヘッドチップである。ここで、隣り合う圧力室101の間に空気室102が設けられていることで、圧力室101の隔壁が変形した際に、隣り合う圧力室101に当該変形の影響が及ばないようになっている。これにより、隣り合う圧力室101との間でノズル111からのインクの吐出タイミングを調整する必要がないため、インク吐出動作を高周波数で行うことができる。
また、圧力室基板13には、圧力室101から流路スペーサー基板12の吐出流路121に供給されたインクのうちノズル111から吐出されなかったインクの一部が戻入する共通排出流路132が設けられている。共通排出流路132は、Y方向について複数の圧力室101の一方側に設けられている。共通排出流路132は、圧力室基板13の上面におけるY方向の端部近傍で、当該上面に沿ってX方向に延びる溝状の水平共通排出流路132aと、水平共通排出流路132aの+X方向側の端部で水平共通排出流路132aに接続され圧力室基板13をZ方向に貫通する垂直共通排出流路132bと、からなる。流路スペーサー基板12の吐出流路121から水平共通排出流路132aに戻入したインクは、垂直共通排出流路132b、及び配線基板14に設けられた排出流路142を通ってインクジェットヘッド100の外部に排出される。
流路スペーサー基板12は、平面視で圧力室基板13と略同等の大きさを有する直方体形状の板状部材である。流路スペーサー基板12は、圧力室基板13の上面に接着剤72を介して接着(固着)されている。本実施形態の流路スペーサー基板12は、シリコン基板からなる。流路スペーサー基板12の厚さは、特には限られないが、数百μm程度とされる。なお、流路スペーサー基板12は、ポリイミド等の樹脂や、SUS、Ni等の金属などにより構成されていても良い。また、接着剤72としては、エポキシ系接着剤等の各種公知のものを用いることができる。
流路スペーサー基板12に設けられた吐出流路121は、Z方向から見て圧力室101の形成位置と重なる位置において流路スペーサー基板12を貫通する貫通流路122と、貫通流路122から分岐する個別排出流路123と、を有している。
貫通流路122のX-Y平面に平行な断面形状は、圧力室101の断面形状と略同一の矩形となっている。貫通流路122は、圧力室基板13側の開口部が圧力室101に接続され、ノズル基板11側の開口部がノズル111に接続されている。
個別排出流路123は、貫通流路122のノズル基板11側の開口部から流路スペーサー基板12の上面に沿ってY方向に延びる溝状の水平個別排出流路123aと、当該水平個別排出流路123aの端部から流路スペーサー基板12を貫通するように設けられた垂直個別排出流路123bとを有する。垂直個別排出流路123bの圧力室基板13側の開口部は、共通排出流路132の水平共通排出流路132aに接続されている。したがって、個別排出流路123は、貫通流路122から水平個別排出流路123aに流入したインクの一部を垂直個別排出流路123bを介して共通排出流路132に導く。
また、流路スペーサー基板12には、Z方向から見て空気室102の形成位置と重なる位置に、当該流路スペーサー基板12の内部を貫通する円筒状の孔部103が設けられている。孔部103の直径は、特には限られないが、10~30μmとすることができる。図4(d)に示されるように、孔部103は、空気室102の内壁面における第1開口部1031から流路スペーサー基板12の外壁面(流路部90の外壁面)にける第2開口部1032に至る形状で設けられている。孔部103は、後述する保護膜80の形成工程において空気室102と流路部90の外部とを連通させて通気を行うために設けられたものである。また、図4(d)に示されるように、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通は、当該保護膜80の形成工程において孔部103の内部の一部が保護膜80により塞がれることで遮断されている。ここで、孔部103による連通が遮断された状態とは、第1開口部1031と第2開口部1032との間のいずれかの位置が閉止されている状態であって、インクが通らない状態をいう。
ノズル基板11は、厚さ方向(Z方向)に貫通する孔であるノズル111がX方向に列をなすように設けられているシリコン基板であり、接着剤73を介して流路スペーサー基板12の上面に接着されている。各ノズル111は、Z方向から見て、流路スペーサー基板12の吐出流路121のうち貫通流路122と重なる位置に設けられている。ノズル基板11の平面形状は、流路スペーサー基板12及び圧力室基板13とほぼ同一である。ノズル基板11の上面は、インクジェットヘッド100のノズル開口面をなす。ノズル基板11の厚さは、例えば数十μmから数百μm程度である。また、接着剤73としては、エポキシ系接着剤等の各種公知のものを用いることができる。
なお、ノズル111の内壁面は、Z方向に垂直な断面積が、インク吐出側の開口部に近いほど小さくなるようなテーパー形状を有していても良い。また、ノズル基板11は、ポリイミド等の樹脂や、SUS、Ni等の金属などにより構成されていても良い。また、ノズル基板11のノズル開口面には、フッ素樹脂粒子等の撥液性物質を含む撥水膜を設けることが望ましい。撥水膜を設けることで、ノズル開口面に対するインクや異物の付着を抑えることができ、当該インクや異物等の付着に起因するインク吐出不良の発生を抑制することができる。
配線基板14は、圧力室基板13との接合領域を確保する観点から圧力室基板13の面積よりも大きな面積を有する平板状の基板であることが好ましく、接着剤71を介して圧力室基板13の下面に接着されている。配線基板14としては、例えばシリコン、ガラス、セラミックス、プラスチックなどの基板を用いることができる。また、接着剤71としては、エポキシ系接着剤等の各種公知のものを用いることができる。
配線基板14には、Z方向から見て圧力室基板13の複数の圧力室101と重なる位置に複数の供給流路141が設けられており、また、垂直共通排出流路132bと重なる位置に排出流路142が設けられている。また、配線基板14の圧力室基板13との接着面には、複数の供給流路141の各々の端部から配線基板14の端部に向かって延びる複数の配線143が設けられている。
配線基板14の下面には、図示しないインクマニホールド(共通インク室)が接続されており、当該インクマニホールドから供給流路141にインクが供給される。
圧力室基板13と配線基板14とは、導電性粒子を含有させた導電性接着剤を介して接着される。これにより、圧力室基板13の表面に引き出された駆動電極と、配線基板14上の配線143とが、導電性粒子を介して電気的に接続される。
また、配線基板14のうち配線143が設けられている端部には、FPC20が、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)を介して接続される。この接続により、配線基板14の複数の配線143と、FPC20上の複数の配線21とが、一対一で対応するようにそれぞれ電気的に接続される。
図4(d)に示されるように、流路部90は、流路スペーサー基板12から構成される第1の部分91と、圧力室基板13及び配線基板14から構成される第2の部分92と、を有する。上述の空気室102は、第1の部分91及び第2の部分92によって形成されている。すなわち、第1の部分91は、空気室102の内壁面のうち一部(上面)をなし、第2の部分92は、空気室102の内壁面のうち上記一部を除く部分(上面以外の5面)をなす。
また、図4(d)に示されるように、流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面には、酸性のインク及びアルカリ性のインクなどから流路部90を保護する保護膜80が設けられている。
保護膜80としては、特には限られないが、例えばポリパラキシリレンといった有機保護膜や、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物又は無機窒化物からなる保護膜を用いることができる。このような保護膜80を設けることで、インク流路がインクにより浸食されたり、流路部90の外壁面に付着したインクが流路部90内に侵入してインクのリーク経路が形成されたりする不具合の発生を抑制することができる。
なお、保護膜80は、必ずしも流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の全面に設けられていなくても良く、流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の少なくとも一部に設けられていても良い。例えば、インクによる浸食が生じやすい部分やインクによる浸食が問題となりやすい部分に選択的に設けられていても良い。
次に、インクジェットヘッド100の製造方法について説明する。
図4は、インクジェットヘッド100の製造方法を説明する断面図である。図4(a)~図4(d)の各断面図では、各工程における、図3のA-A線を通りY方向に垂直な断面に対応する部分が示されている。
本実施形態のインクジェットヘッド100の製造方法では、まず、PZTからなる基材に圧力室101、空気室102及び共通排出流路132を形成し、当該基材に駆動電極を形成して圧力室基板13を製造する。また、シリコン基板に供給流路141及び排出流路142を形成し、当該基板に配線143を形成して配線基板14を製造する。そして、得られた圧力室基板13と配線基板14とを接着剤71を介して接合する(図4(a))。
次に、シリコン基板に、孔部103となる貫通孔(孔部構造)と吐出流路121とを形成して流路スペーサー基板12を製造し、流路スペーサー基板12と圧力室基板13とを接着剤72を介して接合する(図4(b))。これにより、孔部103によって外部と連通した状態の空気室102を有する流路部90が形成される(孔部構造形成工程、流路部形成工程)。
孔部103は、各種公知の基板加工技術により形成することができる。例えば、本実施形態のように流路スペーサー基板12がシリコン基板からなる場合には、フォトリソグラフィー技術により形成されたエッチングマスクを用いてシリコン基板をエッチングする方法を用いることができる。また、流路スペーサー基板がポリイミド基板からなる場合には、所定のマスクを介してポリイミド基板にエキシマレーザー等を照射することで孔部103を形成する方法を用いることができる。
次に、流路部90の外壁面及び圧力室101等のインク流路の内壁面に保護膜80を形成する(図4(c))(保護膜形成工程)。保護膜80は、流路部90を10Pa以下といった減圧環境下に置いた上で、保護膜80の材料を形成対象面に堆積させる公知の成膜技術を用いることで形成することができる。例えば、保護膜80としてポリパラキシリレンを用いる場合には、蒸着法などを用いることができる。また、保護膜80としてZr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物又は無機窒化物を用いる場合には、CVD法やスパッタリング法などを用いることができる。
保護膜80を形成する際には、空気室102は孔部103を介して流路部90の外部と連通した状態となっているため、空気室102の内部は、外部と同等の気圧(本実施形態では、約10Pa)に減圧される。このため空気室102と流路部90の外部との間での空気の流動はほとんどなく、安定した状態で保護膜80を形成することができる。
また、上述のとおり、孔部103の直径は10~30μm程度と小さいため、保護膜80の形成時には、孔部103の内部に形成(充填)された保護膜80により孔部103が閉止され、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通が遮断される。これにより、空気室102は、インクの流入経路を有しない状態となる。
次に、シリコン基板にノズル111を形成してノズル基板11を製造し、流路スペーサー基板12の上面に接着剤73を介してノズル基板11を接合する(図4(d))。これにより得られたヘッドチップ10にFPC20を接合して、インクジェットヘッド100の外装部材の内部に他の構成要素とともに組み込んでインクジェットヘッド100が完成する。
続いて、上記のインクジェットヘッド100の製造方法により得られる効果について説明する。
図5は、孔部103が設けられていない従来のインクジェットヘッド100の製造方法を説明する断面図である。
この従来の製造方法では、まず、流路スペーサー基板12、圧力室基板13及び配線基板14を接着剤71、72を介して接合し、外部との連通が遮断されてインクの流入経路を有しない状態の空気室102を有する流路部90を製造する。そして、保護膜80の形成のために、流路部90を10Paの減圧環境下に設置する(図5(a))。
このとき、空気室102の内部の気圧は、ほぼ大気圧(約1×105Pa)に維持されているため、流路部90の外部の気圧(約10Pa)との気圧差が大きくなる。ここで、空気室102を密封している接着剤71、72は、このような気圧差においても空気を完全に遮断可能なほど高い気密性は有していない。このため、図5(a)の破線の矢印で示されるように、空気室102の内部の空気が徐々に接着剤71、72を通って外部に漏れ出してしまう。
このように空気が漏れ出している箇所では、空気に含まれている酸素等の成分を取り込みつつ保護膜80が形成されるため、所期の組成とは異なる組成の不良保護膜80aが形成されてしまう(図5(b))。このような不良保護膜80aは、正常な保護膜80よりも酸性のインクやアルカリ性のインクに対する耐性(耐インク性)が小さいため、流路部90に十分な耐インク性を持たせることができなくなる。
これに対し、本実施形態の製造方法では、上述のとおり、保護膜80の形成時には空気室102が孔部103を介して外部と連通しているため、空気室102の内部は、外部と同等の気圧に減圧される。よって、空気室102と流路部90の外部との間での空気の流動がほとんど生じないため、空気の成分を取り込んだ状態で不良保護膜80aが形成される不具合の発生が抑制される。
また、保護膜80の形成後には孔部103が保護膜80により閉止されるため、インクジェットヘッド100の製造後に、空気室102にインクが進入して空気室102の機能が損なわれる不具合の発生が抑制される。
(変形例1)
続いて第1の実施形態の変形例1について説明する。本変形例は、孔部103の形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
図6は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
また、図7は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の断面図であり、図7(a)は、図6のB-B線を通りY方向に垂直な断面を示し、図7(b)は、図6のC-C線を通りY方向に垂直な断面を示している。
図6及び図7に示されるように、本変形例のインクジェットヘッド100では、流路スペーサー基板12のうち圧力室基板13との接合面に、圧力室基板13と接合させたときに孔部103となる溝(孔部構造)が設けられている。この構造の流路スペーサー基板12と圧力室基板13とを接合させることで、接合面に孔部103が形成される。すなわち、本変形例の孔部103の内壁面の少なくとも一部は、第1の部分91及び第2の部分92の接合面に設けられた溝である。
具体的には、孔部103は、流路スペーサー基板12の下面のうち、Z方向から見て複数の空気室102と重なる位置の各々から-Y方向に延びる複数の第1溝部103aと、複数の第1溝部103aの-Y方向側端部に接続され+X方向に延びる第2溝部103bとからなる。第1溝部103a及び第2溝部103bの深さや幅は、特には限られないが、例えば深さを10~30μm、幅を50~70μm程度とすることができる。
孔部103のうち、第1溝部103aのZ方向から見て空気室102と重なる部分は、空気室102の内壁面における第1開口部1031を形成する。また、孔部103のうち、第2溝部103bの+X方向側の端部は、流路スペーサー基板12の側面(流路部90の外壁面)における第2開口部1032(切り欠き部)を形成する。すなわち、孔部103は、空気室102の内壁面と、流路部90のうち流路スペーサー基板12の外壁面との間を貫通する形状となっており、閉止される前(保護膜80の形成前)の段階において、空気室102と流路部90の外部とを連通させる。
本変形例のインクジェットヘッド100の製造方法では、流路スペーサー基板12と圧力室基板13とを接合する際には、流路スペーサー基板12及び圧力室基板13の接合面のうち、孔部103となる溝が形成されていない領域に接着剤72を設けて接合する。これにより、孔部103により空気室102と流路部90の外部とが連通した状態の流路部90が製造される。その後、上記実施形態と同様に、減圧環境下で保護膜80を形成し、ノズル基板11を接合する。
なお、保護膜80によって孔部103を閉止させることができない場合などでは、図7(b)に示されるように、孔部103を遮断部材としての接着剤74により塞ぐことで孔部103を閉止しても良い(遮断部材形成工程)。また、この場合に孔部103を塞ぐ部材は接着剤に限られず、保護膜80とは一体的に設けられない他の任意の部材、例えば、流動性を有した状態で孔部103を塞ぐように設けられ、その後硬化させることができる各種公知の部材を用いることができる。
(変形例2)
続いて第1の実施形態の変形例2について説明する。本変形例のインクジェットヘッド100は、流路スペーサー基板12が設けられておらず、ノズル基板11に孔部103が設けられている点で上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
図8は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の主要部の分解斜視図である。
また、図9は、本変形例に係るインクジェットヘッド100の断面図であり、図9(a)は、図8のD-D線を通りY方向に垂直な断面を示し、図9(b)は、図8のE-E線を通りY方向に垂直な断面を示している。
図8及び図9に示されるように、本変形例のインクジェットヘッド100では、流路スペーサー基板12が設けられておらず、圧力室基板13にノズル基板11が直接接合されている。よって、ノズル基板11が空気室102の内壁面の一部を構成する。すなわち、本変形例の流路部90は、ノズル基板11からなる第1の部分91と、圧力室基板13及び配線基板14からなる第2の部分92とを有している。
また、本変形例では、インク排出流路(圧力室基板13の共通排出流路132や配線基板14の排出流路142)が設けられていない。
また、本変形例では、ノズル基板11のうち圧力室基板13との接合面に、圧力室基板13と接合させたときに孔部103となる溝(孔部構造)が設けられている。この構造のノズル基板11と圧力室基板13とを接合させることで、接合面に孔部103が形成される。孔部103となる溝の形状は、変形例1において流路スペーサー基板12の下面に設けられる溝と同様であるので、説明は省略する。
本変形例のインクジェットヘッド100の製造方法では、ノズル基板11、圧力室基板13及び配線基板14を接合して流路部90を製造する。ノズル基板11と圧力室基板13とを接合する際には、ノズル基板11及び圧力室基板13の接合面のうち、孔部103となる溝が形成されていない領域に接着剤72を設けて接合する。これにより、孔部103により空気室102と流路部90の外部とが連通した状態の流路部90が製造される。
流路部90の製造後、減圧環境下で流路部90に保護膜80を形成する。よって、本変形例では、図9に示されるように、ノズル基板11の外壁面やノズル111の内壁面にも保護膜80が形成される。
本変形例においても、保護膜80によっては孔部103を閉止させることができない場合などでは、図9(b)に示されるように、孔部103を接着剤74などで塞ぐことで孔部103を閉止しても良い(遮断部材形成工程)。
なお、ノズル基板11に孔部103となる溝を設ける構成に代えて、ノズル基板11を貫通する貫通孔により孔部103を形成しても良い。
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッド100は、ノズル111からインクを吐出するインクジェットヘッド100であって、ノズル111に連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室102とが設けられた流路部90と、流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の少なくとも一部に設けられた保護膜80と、を備え、流路部90は、空気室102の内壁面の一部をなす第1の部分91と、空気室102の内壁面のうち上記一部を除く部分をなし第1の部分91に接合されている第2の部分92と、を有し、流路部90には、空気室102の内壁面と流路部90の外壁面との間を貫通する孔部103が設けられており、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通が遮断部材としての保護膜80又は接着剤74により遮断されている。
このような構成によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間を空気がほとんど流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、保護膜がより確実に所望の特性を有するようにすることができる。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置1は、容易に所望の特性の保護膜80を有した状態で製造することができる。
また、孔部103が遮断部材により閉止されていることで空気室102がインクの流入経路を有しない状態となっているため、所望の特性の保護膜80の形成を容易にしつつ、空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生を抑制することができる。
また、孔部103は、流路部90の第1の部分91の内部を貫通している。これにより、流路部90の第1の部分91に貫通孔を開ける簡易な方法で孔部103を形成することができる。
また、変形例1及び変形例2における孔部103の内壁面の少なくとも一部は、流路部90の第1の部分91と第2の部分92との接合面に設けられた溝である。これにより、接合面に溝を形成した後に第1の部分91と第2の部分92とを接合する簡易な方法で、孔部103を形成することができる。
また、保護膜80を遮断部材とすることで、保護膜80の形成工程において孔部103を閉止して、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通を遮断することができる。よって、孔部103を閉止するための別個の部材が不要となるため、インクジェットヘッド100の製造コストの上昇を抑えることができる。また、孔部103を閉止するための、保護膜80の形成工程とは別個の工程が不要となるため、簡易な方法でインクジェットヘッド100を製造することができる。
また、保護膜80とは一体的に形成されていない接着剤74を遮断部材とすることで、孔部103が、保護膜80により閉止させることが困難な大きさであっても、当該孔部103を確実に閉止させることができる。
また、遮断部材としての保護膜80や接着剤74が孔部103の内部の少なくとも一部を塞いでいる構造とすることで、孔部103をより確実に閉止させることができる。
また、保護膜80として、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物若しくは無機窒化物、又はポリパラキシリレンを用いることで、流路部90がインクにより浸食される不具合の発生を効果的に抑制することができる。
また、流路部90の第1の部分91としての流路スペーサー基板12やノズル基板11(変形例2)に、酸性のインク及びアルカリ性のインクの少なくとも一方により浸食され得る材質、例えばSiやNiからなるものを用いた場合に、第1の部分91に保護膜80を設けることで、第1の部分91がインクにより浸食される不具合の発生を効果的に抑制することができる。
また、流路部90の第2の部分92には、インク流路の途中に、変形に応じて内部に貯留されたインクの圧力を変動させる圧力室101が設けられている。このような構成によれば、圧力室101内のインクの圧力の変動に応じてノズル111からインクを吐出させることができる。
また、変形例2では、流路部90の第1の部分91は、ノズル111が設けられたノズル基板11である。このような構成によれば、ノズル基板11の外壁面やノズル111の内壁面に保護膜80を形成することができる。よって、ノズル基板11がインクにより浸食される不具合の発生を効果的に抑制することができる。
また、流路部90の第2の部分92は、圧電体からなる基材を有し、当該基材に圧力室101が設けられている。このような構成によれば、耐インク性の高い流路部90を有するシアモードのインクジェットヘッド100が得られる。
また、インクジェット記録装置1に上記のインクジェットヘッド100を用いることで、所望の特性の保護膜80を有した信頼性の高いインクジェット記録装置1が得られる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド100の製造方法は、流路部90の第1の部分91及び第2の部分92の少なくとも一方に、第1の部分91と第2の部分92とを接合させたときに、空気室102の内壁面と流路部90の外壁面との間を貫通する孔部103となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、第1の部分91と、第2の部分92とを、空気室102が形成されるように接合させて、孔部103が設けられている流路部90を形成する流路部形成工程、減圧環境下で流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜80を形成する保護膜形成工程、を含み、保護膜形成工程では、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通が保護膜80により遮断されるように保護膜80を形成する。
このような製造方法によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間をほとんど空気が流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、容易に所望の特性の保護膜80を有するインクジェットヘッド100を製造することができる。
また、孔部103を保護膜80により閉止することで、孔部103を閉止するための別個の部材や工程が不要となる。よって、インクジェットヘッド100の製造コストの上昇を抑えることができ、また、簡易な方法でインクジェットヘッド100を製造することができる。また、保護膜80により孔部103を閉止することで、空気室102をインクの流入経路を有しない状態とすることができる。よって、インクジェットヘッド100の完成後に空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生も抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド100の製造方法は、流路部90の第1の部分91及び第2の部分92の少なくとも一方に、第1の部分91と第2の部分92とを接合させたときに、空気室102の内壁面と流路部90の外壁面との間を貫通する孔部103となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、第1の部分91と、第2の部分92とを、空気室102が形成されるように接合させて、孔部103が設けられている流路部90を形成する流路部形成工程、減圧環境下で流路部90の外壁面及びインク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜80を形成する保護膜形成工程、孔部103による空気室102と流路部90の外部との間の連通を遮断する遮断部材としての接着剤74により閉止する遮断部材形成工程、を含む。
このような製造方法によれば、減圧環境下で保護膜80を形成する際に空気室102と流路部90の外部とを孔部103を介して連通させることができ、空気室102と流路部90の外部との間をほとんど空気が流動しない状態で保護膜80を形成することができる。これにより、形成される保護膜80に空気中の酸素等が取り込まれて不良保護膜となる不具合の発生を抑制することができる。よって、容易に所望の特性の保護膜80を有するインクジェットヘッド100を製造することができる。
また、保護膜形成工程とは別個の閉止工程で孔部103を閉止するため、孔部103が、保護膜80により閉止させることが困難な大きさであっても、当該孔部103を確実に閉止させることができる。また、孔部103を接着剤74により閉止することで、空気室102をインクの流入経路を有しない状態とすることができる。よって、インクジェットヘッド100の完成後に空気室102にインクが流入して空気室102の機能が阻害される不具合の発生も抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、圧力室の壁面をなす振動板を圧電素子の変形により変動させてインクを吐出する、いわゆるベントモード型のヘッドチップ10が用いられている点で第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図10は、本実施形態のヘッドチップ10を示す模式断面図である。
本実施形態のヘッドチップ10は、下側から順にノズル基板11、流路スペーサー基板12、振動基板30、圧電素子スペーサー基板40、配線基板50及び保護層60が積層された構造を有している。
ノズル基板11には、ノズル111と、ノズル111と連通しノズル111よりも直径の大きな孔である大径部113と、大径部113から分岐して設けられインクの排出に用いられる個別インク排出流路114と、が形成されている。
流路スペーサー基板12には、大径部113に連通する大径部124と、個別インク排出流路114に連通する絞り部125と、絞り部125に連通する共通インク排出流路126と、が形成されている。
共通インク排出流路126は、図面に垂直な方向に延びており、複数のノズル111から分岐した複数の個別インク排出流路114に接続されている。また、共通インク排出流路126は、流路スペーサー基板12からヘッドチップ10の最上面まで貫通する図示しない貫通孔を有し、当該貫通孔からインクジェットヘッド100のアウトレット(インク排出口)にインクを排出させることができるようになっている。
振動基板30は、大径部124に連通する圧力室101が設けられたシリコン基板からなる圧力室層31と、振動板32とからなる。振動板32は、圧力室101の上側の開口を覆うように圧力室層31の上面に積層され、圧力室101の上壁部を構成している。また、振動板32には、圧力室101と連通して上方向に貫通する貫通孔321が形成されている。
圧電素子スペーサー基板40は、42アロイにより構成された基板であり、振動板32と配線基板50との間に、圧電素子42等を収容するための空気室102を形成する層である。空気室102は、インク流路などとは連通しておらず、インクの流入経路を有しない状態となっている。
圧電素子42は、平面視で圧力室101と略同一の形状を有しており、振動板32を挟んで圧力室101と対向する位置に設けられている。圧電素子42は、振動板32を変形させるための圧電体(ここでは、PZT)からなるアクチュエーターである。また、圧電素子42には、上面及び下面に2つの電極421、422が設けられており、このうち下面側の電極422が振動板32に固着されている。
また、圧電素子スペーサー基板40には、振動板32の貫通孔321と連通して上方向に貫通する貫通孔401が、空気室102とは独立して形成されている。
配線基板50は、シリコン製の基板であるインターポーザー51を備えている。インターポーザー51の下面には、2層の酸化ケイ素の絶縁層52、53が被覆され、上面には、同じく酸化ケイ素の絶縁層54が被覆されている。そして、絶縁層52、53のうち下方に位置する絶縁層53が、圧電素子スペーサー基板40の上面に積層されている。
インターポーザー51には、上方向に貫通するスルーホール511が形成されており、このスルーホール511には、貫通電極55が挿通されている。貫通電極55の下端には、水平方向に延在する配線56の一端が接続されている。
この配線56の他端は、接続部561を介して圧電素子42上面の電極421上に接続されている。接続部561は、配線56の下面に設けられたスタッドバンプ561aと、スタッドバンプ561aの下端側に塗布されて形成された導電性材料561bとからなる。
また、貫通電極55の上端には、個別配線57が接続されており、個別配線57は水平方向に延在し、FPC等からなる配線部材に接続されている。そして、配線部材に接続される駆動回路から、配線部材及び個別配線57を介して、圧電素子42に駆動信号が供給されるようになっている。
また、インターポーザー51には、圧電素子スペーサー基板40の貫通孔401と連通して上方向に貫通する貫通孔512が形成されている。なお、絶縁層52~54のうち、貫通孔512の近傍を被覆する各部分は、貫通孔512よりも大きい開口径となるように形成されている。
保護層60は、個別配線57を保護する層であり、配線基板50の上面に配設された個別配線57を覆いつつ、インターポーザー51の絶縁層54の上面に積層されている。また、保護層60には、貫通孔512と連通するインク流入口601が形成されている。
このような構成の本実施形態のヘッドチップ10では、インク流入口601から供給されたインクは、貫通孔512、401、圧力室101を順に流動して圧力室101に貯留され、インク吐出時には、大径部124、大径部113及びノズル111を順に流動する。また、大径部113に流入したインクの一部は、個別インク排出流路114及び共通インク排出流路126を通って外部に排出される。
また、本実施形態のヘッドチップ10では、配線基板50及び保護層60により流路部90の第1の部分91が構成され、流路スペーサー基板12、振動基板30及び圧電素子スペーサー基板40によって流路部90の第2の部分92が構成される。また、この第1の部分91及び第2の部分92を有する流路部90の外壁面やインク流路の内壁面に、保護膜80が形成されている。なお、図10では、インク流路の内壁面に形成された保護膜80は記載が省略されている。
また、本実施形態のヘッドチップ10では、空気室102の上側の内壁面から、配線基板50及び保護層60を貫通する孔部103が設けられている。すなわち、孔部103は、空気室102の内壁面における第1開口部1031と、保護層60の外壁面における第2開口部1032との間を貫通する形状で設けられている。
本実施形態の孔部103も、保護膜80の形成時において空気室102と流路部90の外部とを連通させるため、保護膜80の形成時に空気室102と流路部90の外部との気圧差が生じないようにすることができる。これにより、所望の特性の保護膜80を形成することができる。
また、孔部103は、保護膜80の形成時に保護膜80によって充填されることで閉止されて、孔部103よる空気室102と流路部90の外部との間の連通が遮断されている。孔部103は、保護膜80とは一体的に設けられていない部材、例えば接着剤などにより閉止されていても良い。
なお、孔部103は、配線基板50及び保護層60を貫通するものに限られず、空気室102と流路部90の外部とを繋ぐ任意の位置に設けることができる。例えば、第1の実施形態に係る変形例1及び変形例2と同様に、第1の部分91と第2の部分92との接合面に設けられた溝により孔部103を形成しても良い。
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッド100では、第2の部分92は、一方の面が圧力室101の内壁面の一部をなし、他方の面が空気室102の内壁面の一部をなす振動板32を有し、振動板32の空気室102側の内壁面には圧電素子42が固着されている。このような構成によれば、耐インク性の高い流路部90を有するベントモードのインクジェットヘッド100が得られる。
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例では、流路部90の第2の部分92に空気室102となる凹部が設けられ、平板上の第1の部分91により蓋をすることで空気室102が形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、第1の部分91及び第2の部分92が各々空気室102の内壁面の一部をなす他の任意の構成としても良い。例えば、第1の部分91及び第2の部分92の双方に、空気室102の一部となる凹部が設けられた構成としても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、第1の部分91と第2の部分92とが接着剤により接合されている構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、熱圧着等の他の接合方法により接合されていても良い。
また、遮断部材は、孔部103の内部に充填されたものに限られず、例えば孔部103の第1開口部1031や第2開口部1032を塞ぐように孔部103の外部に設けられていても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、流路部90の第1の部分91に孔部103となる貫通孔や溝が設けられている例を挙げて説明したが、これに限られず、孔部103は、流路部90の第2の部分92に形成されていても良いし、第1の部分91及び第2の部分92に亘って形成されていても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、搬送ベルト2cを備える搬送部2により記録媒体Mを搬送する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、搬送部2は、例えば回転する搬送ドラムの外周面上で記録媒体Mを保持して搬送するものであっても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、シングルパス形式のインクジェット記録装置1を例に挙げて説明したが、記録ヘッドを走査させながら画像の記録を行うインクジェット記録装置に本発明を適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1 インクジェット記録装置
2 搬送部
3 ヘッドユニット
10 ヘッドチップ
11 ノズル基板
12 流路スペーサー基板
13 圧力室基板
14 配線基板
20 FPC
21 配線
30 振動基板
40 圧電素子スペーサー基板
50 配線基板
60 保護層
71~74 接着剤
80 保護膜
80a 不良保護膜
90 流路部
91 第1の部分
92 第2の部分
100 インクジェットヘッド
101 圧力室
102 空気室
103 孔部
103a 第1溝部
103b 第2溝部
111 ノズル
121 吐出流路
122 貫通流路
123 個別排出流路
132 共通排出流路
141 供給流路
142 排出流路
143 配線
1031 第1開口部
1032 第2開口部
M 記録媒体

Claims (14)

  1. ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
    前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
    当該インクジェットヘッドの製造方法は、
    前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
    前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
    減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
    を含み、
    前記保護膜形成工程では、前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通が前記保護膜により遮断されるように前記保護膜を形成するインクジェットヘッドの製造方法。
  2. ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記インクジェットヘッドは、前記ノズルに連通するインク流路と、インクの流入経路を有しない空気室とが設けられた流路部を備え、
    前記流路部は、前記空気室の内壁面の一部をなす第1の部分と、前記空気室の内壁面のうち前記一部を除く部分をなし前記第1の部分に接合されている第2の部分と、を有し、
    当該インクジェットヘッドの製造方法は、
    前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方に、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合させたときに、前記空気室の内壁面と前記流路部の外壁面との間を貫通する孔部となる孔部構造を形成する孔部構造形成工程、
    前記第1の部分と、前記第2の部分とを、前記空気室が形成されるように接合させて、前記孔部が設けられている前記流路部を形成する流路部形成工程、
    減圧環境下で前記流路部の外壁面及び前記インク流路の内壁面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成工程、
    前記孔部による前記空気室と前記流路部の外部との間の連通を遮断する遮断部材を形成する遮断部材形成工程、
    を含むインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記遮断部材形成工程では、前記保護膜とは一体的とならない前記遮断部材を形成する請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記遮断部材形成工程では、前記孔部の内部の少なくとも一部を塞ぐように前記遮断部材を形成する請求項2又は3に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 前記保護膜形成工程は、前記空気室と前記流路部の外部とが前記孔部により連通している状態で行われる請求項2から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記孔部構造形成工程では、前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方の内部を貫通する前記孔部となる前記孔部構造を形成する請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記孔部構造は、前記第1の部分と前記第2の部分との接合面に設けられた溝である請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記保護膜は、Zr、Ta、Hf、Ti、Al、Cr、Ni及びSiの少なくとも一つを含む無機酸化物若しくは無機窒化物、又はポリパラキシリレンである請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記第1の部分は、酸性のインク及びアルカリ性のインクの少なくとも一方により浸食され得る材質であり、
    前記保護膜形成工程では、前記第1の部分に前記保護膜を形成する請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記第1の部分は、Si又はNiからなる請求項9に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 前記第2の部分には、前記インク流路の途中に、変形に応じて内部に貯留されたインクの圧力を変動させるインク貯留部が設けられている請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  12. 前記第1の部分は、前記ノズルが設けられたノズル基板である請求項11に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  13. 前記第2の部分は、圧電体からなる基材を有し、当該基材に前記インク貯留部が設けられている請求項11又は12に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  14. 前記第2の部分は、一方の面が前記インク貯留部の内壁面の一部をなし、他方の面が前記空気室の内壁面の一部をなす振動板を有し、
    前記振動板の前記空気室側の内壁面には圧電素子が固着されている請求項11又は12に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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