以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
最初に本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドについて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドの液体噴射面側の平面図である。
図示するように、インクジェット式記録ヘッド1は、流路部材130と、流路部材130に固定された保持部材140と、保持部材140に固定された複数のヘッド本体150と、ヘッド本体150の液体噴射面側を覆うカバーヘッド160と、を具備する。
まず、ヘッド本体150について、さらに図4〜図5を参照して詳細に説明する。なお、図4は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図5は、ヘッド本体の液体噴射面側の平面図であり、図6は図5のA−A′線断面図である。
図示するように、本実施形態のヘッド本体150は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30及びケース部材等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向D1と称する。また、本実施形態では、第1の方向D1において、詳しくは後述する流路部材130が保持部材140よりも突出した一端側をD1A側と称し、反対側の他端部側をD1B側と称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向D1に並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向D1に沿って形成された圧力発生室12の列が複数列並べられた方向を、以降、第2の方向D2と称する。さらに、第1の方向D1及び第2の方向D2の双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向D3と称する。なお、本実施形態では、説明理解を容易にするために各方向(D1、D2、D3)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるべきものでないことを言及しておく。また、本実施形態では、圧力発生室12が第1の方向D1に並設された2列は、一方の圧力発生室12の列に対して、他方の圧力発生室12の列が第1の方向D1で隣り合う圧力発生室12の間隔の半分だけ第1の方向D1にずれた位置に配置されている。これにより、詳しくは後述するノズル開口21も同様に、ノズル開口21の2列が半分の間隔だけ第1の方向D1にずれて配置されて、第1の方向D1の解像度を2倍にしている。もちろん、2列の圧力発生室12の第1の方向D1の位置を同じ位置として、圧力発生室12の列毎に異なるインクが供給されるようにしてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側(積層方向であって第3の方向D3)には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、各圧力発生室12に連通する複数のノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接合されている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部(絞り流路、オリフィス流路)18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向D2の一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
また、ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向D1に並設され、この第1の方向D1に並設されたノズル開口21の列(ノズル列)が第2の方向D2に2列形成されている。本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口する第3の方向D3の一方面を液体噴射面20aと称する。なお、液体噴射面20aの面方向に直交する方向、すなわち、本実施形態の第3の方向D3がインクが噴射される液体噴射方向となる。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、振動板50の絶縁体膜52上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、本実施形態では、成膜及びリソグラフィー法によって積層形成されて圧電アクチュエーター300を構成している。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、第1電極60が、複数の圧力発生室12に亘って連続して設けられているため、第1電極60が振動板の一部として機能するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、上述の弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方又は両方を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護して収容するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、厚さ方向である第3の方向D3に貫通する貫通孔32が設けられている。リード電極90の第2電極80に接続された一端部とは反対側の他端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線部材121とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。
また、このような構成のヘッド本体150には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体150と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体150とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体150とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。本実施形態では、1つのヘッド本体150には2つの独立したマニホールド100が設けられているため、導入路44はマニホールド100毎に、すなわち合計2個設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線部材121が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のヘッド本体150では、インクを噴射する際に、インクカートリッジ2から流路部材130を介して導入路44からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
このようなヘッド本体150は、図1〜図3に示すように、保持部材140にノズル列の並び方向、すなわち、第2の方向D2に所定の間隔で4つ固定されている。すなわち、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1には、ノズル開口21が並設されたノズル列が8列設けられていることになる。このように複数のヘッド本体150を用いてノズル列の多列化を図ることで、1つのヘッド本体150にノズル列を多列形成するのに比べて歩留まりの低下を防止することができる。また、ノズル列の多列化を図るために複数のヘッド本体150を用いることで、1枚のシリコンウェハから形成できるヘッド本体150の取り数を増大させることができ、シリコンウェハの無駄な領域を減少させて製造コストを低減することができる。
ここで、保持部材140について、図7及び図8を参照してさらに詳細に説明する。なお、図7は、インクジェット式記録ヘッドの要部を示す分解斜視図であり、図8は、インクジェット式記録ヘッドの要部を示す断面図である。
図7に示すように、保持部材140は、第3の方向D3の一方面側(記録シートS側)には、内部にヘッド本体150が収容保持されるヘッド本体保持部141が設けられている。ヘッド本体保持部141は、保持部材140の記録シートS側の面に開口する凹形状を有する。本実施形態では、ヘッド本体保持部141は、4つのヘッド本体150が収容可能な大きさで形成されている。そして、ヘッド本体保持部141内には、4つのヘッド本体150が収容されている。本実施形態では、ヘッド本体150のケース部材40の液体噴射面20aとは反対面をヘッド本体保持部141の底面に固定されることで保持されている。
また、保持部材140のヘッド本体保持部141側の面には、ヘッド本体保持部141の開口を覆うカバーヘッド160が設けられている。
カバーヘッド160は、ヘッド本体150の液体噴射面20aを露出する露出開口部161を有する板状部材からなる。露出開口部161は、各ヘッド本体150の液体噴射面20aを独立して露出するように4つ形成されている(図6参照)。このような露出開口部161は、本実施形態では、ノズルプレート20を露出する大きさ、つまり、コンプライアンス基板45と同じ開口を有する。
このようなカバーヘッド160は、コンプライアンス基板45の連通板15とは反対側に接合されており、コンプライアンス部49にインクが付着するのを抑制している。
さらに、図7及び図8に示すように、保持部材140の第3の方向D3の他方面側、すなわち、流路部材130側には、内部に配線基板170が収容される配線基板保持部142が設けられている。配線基板保持部142内には、配線基板170が、インクを噴射する噴射方向である第3の方向D3に対向して配置されている。すなわち、配線基板170は、本実施形態ではリジット基板からなり、配線基板170が第1の方向D1及び第2の方向D2を含む面方向となるように配線基板保持部142内に収容されている。
配線基板保持部142は、ヘッド本体保持部141よりも第2の方向D2の両側に突出して設けられている。すなわち、配線基板170は、第2の方向D2において、保持された4つのヘッド本体150よりも大きな幅を有する。したがって、配線基板170が保持される配線基板保持部142は、4つのヘッド本体150を収容するヘッド本体保持部141よりも第2の方向D2の両側に突出して設けられている。なお、配線基板170の第1の方向D1の幅は、ヘッド本体150、すなわち、ヘッド本体保持部141の第1の方向D1の幅と略同等の幅を有する。このような配線基板保持部142は、詳しくは後述するが、第3の方向D3の液体噴射面20aとは反対側の開口が流路部材130によって封止される。これにより、配線基板170は、保持部材140の配線基板保持部142内に収容される。このように、配線基板170を保持部材140内に収容することで、配線基板170にインクが付着することによる配線の短絡や搭載された電子部品の故障等を抑制することができる。
また、保持部材140には、流路部材130から供給されたインクをヘッド本体150に供給するための接続流路143が設けられている。本実施形態では、接続流路143は、ヘッド本体150の導入路44毎に設けられている。すなわち、1つのヘッド本体150には、2個の導入路44が設けられているため、4個のヘッド本体150に対して合計8個の接続流路143が設けられている。なお、接続流路143は、一端が配線基板保持部142内に突出して設けられた第1突起部144の端面に開口して設けられている。また、接続流路143の他端は、ヘッド本体保持部141の底面に開口して設けられている。第1突起部144の端面に開口する一端が流路部材130に接続され、ヘッド本体保持部141の底面に開口する他端がヘッド本体150の導入路44に接続される。これにより、流路部材130からのインクは、接続流路143を介してヘッド本体150に供給される。
また、保持部材140には、第1の方向D1において、1つのヘッド本体150毎に設けられた2個の接続流路143の間に、配線部材121を挿通するための配線部材挿通孔145が設けられている。配線部材挿通孔145は、ヘッド本体150の接続口43に挿通して、配線部材121をヘッド本体150側から流路部材130側に挿通するためのものである。このような配線部材挿通孔145は、ヘッド本体150の第1の方向D1の幅と略同じ幅の開口で設けられている。
また、配線基板170には、第1突起部144を挿通する第1挿通孔171と、配線部材121を挿通する第2挿通孔172と、が設けられている。そして、第2挿通孔172を挿通された配線部材121は、液体噴射面20aとは反対側の面において、配線基板170と接続されている。なお、配線基板170と配線部材121との接続方法は特に限定されず、例えば、ハンダ付けやろう付けなどのろう接や、共晶接合、溶接、導電性粒子を含む導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)等が挙げられる。
また、配線基板170には、第2の方向D2の両端部にコネクター173が設けられている。コネクター173は、本実施形態では、第3の方向D3において、配線基板170のヘッド本体150とは反対面側に固定されている。そして、保持部材140には、コネクター173に相対向する側壁に配線基板保持部142と外部とを連通する接続孔146が設けられており、コネクター173は、接続孔146によって外部に露出される。これにより、コネクター173には、インクジェット式記録ヘッド1の外部からFPC、FFC等のフレキシブル基板である可撓性基板400が接続される(図1参照)。すなわち、本実施形態のコネクター173に接続された外部配線である可撓性基板400は、インクジェット式記録ヘッド1の第2の方向D2に導出される。なお、本実施形態では、詳しくは後述するが、インクジェット式記録ヘッド1は、第2の方向D2がインクジェット式記録装置Iの搬送方向Xと交差するY方向となるように搭載されるため、可撓性基板400の導出方向は、インクジェット式記録装置IにおいてY方向となる。
このような保持部材140の配線基板保持部142側には、図1〜図3に示すように、流路部材130が接合されている。
ここで、図1〜3を参照して流路部材130について説明する。図示するように、流路部材130は、ケース部材131と、ケース部材131の内部に収容された流路形成部材135と、を具備する。
ケース部材131は、中空の箱形状を有し、第1ケース部材132と第2ケース部材133とに分割された2つの部材が固定されて構成されている。このようなケース部材131の内部には、空間である収容部134が形成されており、この収容部134内に流路形成部材135が収容されている。
ケース部材131に収容される流路形成部材135は、特に図示していないが、例えば、インクに含まれる気泡や異物を除去するフィルターや、流路内のインクの圧力に応じて流路を開閉する弁体等の各機能部が設けられた機能部材である。また、流路形成部材135には、ヒーター等の加熱手段が設けられていてもよい。本実施形態の流路形成部材135は、複数の部材、例えば、3つの部材を第3の方向D3に積層することで構成されている。このような流路形成部材135の内部には、流路1351が設けられており、流路1351の一端は、第1ケース部材132側に開口して設けられて、インクが供給されるインク供給口1351aとなっている。また、特に図示していないが、流路1351の他端は、第2ケース部材133側に開口して設けられている。なお、本実施形態では、インク供給口1351aは、流路形成部材135の第1の方向D1の一端部側に設けられており、流路1351の他端は、記録シートSを平面視、すなわち、第3の方向D3から平面視した際に、保持部材140に重なる位置に配置されている。これにより、流路1351からのインクは、保持部材140を介してヘッド本体150に供給可能となっている。
第1ケース部材132には、インク供給口1351aを露出する開口部1321が設けられている。開口部1321によって露出されたインク供給口1351aにインクカートリッジ2が直接又は他の流路部材やチューブ等の供給管を介して接続されてインクが供給される。
また、図8に示すように、第2ケース部材133と流路形成部材135との間には、供給部材136が設けられている。
供給部材136には、流路形成部材135の流路1351(図3参照)に連通すると共に保持部材140に連通する第1供給流路1361が設けられている。第1供給流路1361は、一端が流路形成部材135側に突出して設けられた第2突起部1362の端面に開口して設けられている。また、第1供給流路1361の他端は、第2ケース部材133側に開口して設けられており、第2ケース部材133側に内径が拡幅された第1液体溜まり部1363が設けられている。
第2ケース部材133には、第2供給流路1331が設けられている。第2供給流路1331の供給部材136側の開口部分は、第1液体溜まり部1363に対応して拡幅された第2液体溜まり部1332となっており、第2液体溜まり部1332の開口部分(第1液体溜まり部1363と第2液体溜まり部1332との間)には、インクに含まれる気泡や異物を除去するためのフィルター137が設けられている。これにより、第1供給流路1361から供給されたインクは、フィルター137を介して第2供給流路1331に供給される。
また、第2供給流路1331は、第2液体溜まり部1332よりも下流側(保持部材140側)で、2つに分岐されている。すなわち、本実施形態では、供給部材136には、4つの第1供給流路1361が設けられ、第2ケース部材133には、8個の第2供給流路1331が設けられている。つまり、流路形成部材135のインク供給口135aは、第1供給流路1361と同じ4個形成されている。
このように、フィルター137よりも上流の第1供給流路1361の数を減らすことで、第1供給流路1361を形成する領域を確保するために流路部材130が大型化するのを抑制することができる。また、フィルター137よりも下流の第2供給流路1331の2つに対して1つの共通するフィルター137を設けることで、フィルター137を接合する面積や、隣り合う第1液体溜まり部1363(第2液体溜まり部1332)同士が連通しないように隔離する壁などを設けるスペースを減少させて、流路部材130の小型化を図ることができる。
このような流路部材130は、保持部材140の配線基板保持部142側に固定される。また、保持部材140と流路部材130との間には、接続流路143と第2供給流路1331とを接続する接続連通路181が設けられたシール部材180が設けられている。シール部材180によって接続流路143と第2供給流路1331とが密封された状態で接続されている。
なお、流路部材130は、第1の方向D1の幅が保持部材140よりも大きな幅を有する。これは、上述のように、流路形成部材135は、内部にフィルターや、弁体、加熱手段等の各機能部が設けられた機能部材であるため、各機能部を配置する領域や、各機能部への流路1351を引き回す領域が必要だからである。すなわち、流路部材130の第1の方向D1の幅を保持部材140と同じ幅まで縮小するのは実質的に困難であり、また、保持部材140側を流路部材130と同じ第1の方向D1まで拡幅すると、インクジェット式記録ヘッド1の大型化、特に液体噴射面20a側の大型化を招き、詳しくは後述する第2搬送手段220を所望の位置に配置することができずに、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との距離が離れてしまう。
したがって、本実施形態の流路部材130は、保持部材140よりも第1の方向D1のD1B側から突出して設けられている。なお、本実施形態の流路部材130は、第1の方向D1において保持部材140よりもD1A側にも突出して設けられているが、これはキャリッジ3に搭載されるための突出であり、流路部材130の保持部材140からの突出量は、D1B側の方がD1A側よりも大きくなっている。これにより、詳しくは後述するが、第3の方向D3において、流路部材130の保持部材140よりもD1B側に突出した部分と、記録シートSとの間に空間を形成することができる。
このようなインクジェット式記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置に搭載される。ここで、インクジェット式記録装置の一例について説明する。なお、図9は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図であり、図10は、インクジェット式記録装置の要部の平面図であり、図11は、図10のB−B′線断面図である。
図示するように、上述したインクジェット式記録ヘッド1は、キャリッジ3に搭載されている。キャリッジ3は、キャリッジ軸5の軸方向に移動可能に設けられている。
ここで、インクジェット式記録装置Iは、詳しくは後述するが、第1搬送ローラー211を有する第1搬送手段210と、第2搬送ローラー221を有する第2搬送手段220とを具備し、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221とが間隔を有して離間して配置されている。この第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221とが間隔を有して離間する方向が被噴射媒体である記録シートSが搬送される搬送方向であり、本実施形態では、この搬送方向を搬送方向X(X方向)と称する。また、第1搬送ローラー211及び第2搬送ローラー221の回転軸が延在する方向を搬送方向Xと交差する方向Y(Y方向)と称する。また、X方向及びY方向の双方に交差する方向をZ方向と称する。なお、本実施形態では、説明理解を容易にするために各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
そして、図10に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、第1の方向D1が被噴射媒体である記録シートSの搬送方向Xと一致するようにキャリッジ3に搭載される。すなわち、インクジェット式記録ヘッド1の第2の方向D2は、キャリッジ軸5の軸方向、すなわち、キャリッジ3の移動方向と一致するようにキャリッジ3に搭載されている。なお、キャリッジ3の移動方向(キャリッジ軸5の軸方向)は、本実施形態では、Y方向と一致して設けられている。また、インクジェット式記録ヘッド1の液体噴射方向である第3の方向D3が、Z方向と一致する。
また、本実施形態では、図10に示すように、インクジェット式記録ヘッド1は、流路部材130の保持部材140から第1の方向D1に突出した側が、記録シートSの搬送方向Xにおいて下流側となるようにキャリッジ3に配置されている。
このようなキャリッジ3には、インクジェット式記録ヘッド1にインクを供給するための液体貯留手段であるインクカートリッジ2が着脱可能に設けられている。なお、本実施形態では、インクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成を例示したが、特にこれに限定されず、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、液体貯留手段とインクジェット式記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、インクジェット式記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿ってY方向に移動される。
一方、装置本体4には、記録シートSのインク滴が着弾する面、いわゆる印刷面とは反対側の裏面を支持する支持部材200が設けられている。
また、装置本体4には、インクジェット式記録ヘッド1よりも記録シートSの搬送方向Xの一方側、すなわち、搬送方向Xの上流側には、記録シートSをインクジェット式記録ヘッド1に相対向する位置、すなわち、支持部材200上に搬送する第1搬送手段210が設けられている。
また、装置本体4には、インクジェット式記録ヘッド1よりも記録シートSの搬送方向Xの他方側、すなわち、搬送方向Xの下流側には、支持部材200上の記録シートSを搬送方向Xの他方側に向かって搬送する第2搬送手段220が設けられている。
このように第1搬送手段210によって記録シートSは、搬送方向Xの一方側から支持部材200上に搬送され、支持部材200によって支持されてインクジェット式記録ヘッド1から噴射されたインク滴が着弾される。また、インク滴が着弾された記録シートSは、第2搬送手段220によって、装置本体4の外部に排出される。なお、本実施形態では、搬送方向Xにおいて、インクジェット式記録ヘッド1に対して上流側に第1搬送手段210が設けられ、下流側に第2搬送手段220が設けられている構成を例示したが、記録シートSは、搬送方向Xに往復移動しながら印刷されるようにしてもよい。すなわち、記録シートSが第2搬送手段220側から第1搬送手段210側に向かって搬送されてもよい。この場合には、搬送方向Xにおいて、第2搬送手段220側が上流側となり、第1搬送手段210側が下流側となる。
ここで、第1搬送手段210は、図11に示すように、図示しない駆動モーター等の駆動手段によって回転駆動される第1搬送ローラー211と、第1搬送ローラー211に従動する第1従動ローラー212と、を具備する。
このような第1搬送ローラー211は、搬送方向Xにおいて、インクジェット式記録ヘッド1よりも第1の方向D1のD1A側に設けられている。このような第1搬送ローラー211は、搬送された記録シートSを平面視した際に、すなわち、液体噴射方向である第3の方向D3(Z方向)から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1とは重ならない位置に設けられている。つまり、第1搬送ローラー211は、第3の方向D3から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1の配線基板170とは重ならない位置に設けられている。言い換えると、インクジェット式記録ヘッド1と第1搬送ローラー211とは、液体噴射方向である第3の方向D3において互いに相対向しない位置に配置されている。ただし、第1搬送ローラー211は、詳しくは後述するが、インクジェット式記録ヘッド1から搬送方向Xに離れた位置に配置されていると、第1搬送ローラー211と第2搬送手段220の第2搬送ローラー221との搬送方向Xの間隔が遠くなってしまい、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との間で保持する記録シートSの姿勢の固定が困難にある。したがって、第1搬送ローラー211は、できるだけインクジェット式記録ヘッド1に近接して設けるのが好ましい。ちなみに、例えば、第3の方向D3(Z方向)から平面視した際に、第1搬送ローラー211を、インクジェット式記録ヘッドに重なる位置に配置する場合、第1搬送ローラー211に従動する第1従動ローラー212を配置するスペースが確保できずに、インクジェット式記録ヘッド1と第1従動ローラー212とが互いに干渉してしまう。また、第1従動ローラー212を配置するスペースを確保するために、インクジェット式記録ヘッド1と支持部材200とを第3の方向D3(Z方向)に離して配置すると、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔が広くなり、インクジェット式記録装置Iが第3の方向D3(Z方向)に大型化してしまうと共に、噴射されたインク滴の着弾位置ずれの発生や、高速印刷が実行できないなどの不具合が生じる。本実施形態では、第1搬送ローラー211を、第3の方向D3から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1に重ならない位置に配置することで、インクジェット式記録装置Iの小型化、着弾位置ずれの抑制及び高速印刷を実現することができる。
一方、第2搬送手段220は、第2搬送ローラー221と、ガイド部材222と、ガイド部材222内に設けられて、第2搬送ローラー221に従動する第2従動ローラー223と、を具備する。
第2搬送ローラー221は、図示しない駆動モーター等の駆動手段によって回転駆動される。また、第2搬送ローラー221は、搬送された記録シートSを平面視した際に、すなわち、液体噴射方向である第3の方向D3から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1に重なる位置で、且つインクジェット式記録ヘッド1の配線基板170に重ならない位置に設けられている。すなわち、第2搬送ローラー221は、第3の方向D3において、インクジェット式記録ヘッド1に相対向する領域のうち、配線基板170に相対向する領域の外側、つまり相対向しない領域に配置されている。
このように、第2搬送ローラー221をインクジェット式記録ヘッド1に相対向する領域のうち、配線基板170に相対向しない領域に配置することで、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との記録シートSの搬送方向Xの距離を短くすることができる。そして、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との記録シートSの搬送方向Xの距離を短くすることで、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との間での記録シートSの姿勢の固定が容易になって、印刷品質を向上することができると共に高速印刷が可能となる。また、インクジェット式記録装置Iの搬送方向Xの小型化を図ることができる。これに対して、第2搬送ローラー221を第1搬送ローラー211と同様に、インクジェット式記録ヘッド1に第3の方向D3で相対向しない領域に設けると、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との距離が遠くなり、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との間での記録シートSの姿勢の固定が困難になり、着弾位置ずれが発生して印刷品質が低下すると共に、高速印刷ができなくなる。
また、ガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置する空間を確保するために、インクジェット式記録ヘッド1を支持部材200から第3の方向D3に離して配置すると、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔が広くなり、インクジェット式記録装置Iが第3の方向D3(Z方向)に大型化してしまうと共に、噴射されたインク滴の着弾位置ずれの発生や、高速印刷が実行できないなどの不具合が生じる。本実施形態では、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔を広くすることなく、第2搬送ローラー221をインクジェット式記録ヘッド1に相対向する領域のうち、配線基板170に相対向しない領域に配置することで、インクジェット式記録ヘッド1と記録シートSとの間にガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置する空間を確保することができる。
具体的には、上述したように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、流路部材130が、配線基板170を保持した保持部材140よりも第1の方向D1のD1A側に突出して設けられている。したがって、第2搬送ローラー221は、第3の方向D3(Z方向)において、流路部材130の保持部材140よりも第1の方向D1(X方向)のD1A側に突出した領域に相対向して配置されている。すなわち、流路部材130の保持部材140よりも第1の方向D1のD1A側に突出した領域と記録シートSとの間には空間が形成されているため、この空間内にガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置することができる。すなわち、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、配線基板170の第1の方向D1の幅を流路部材130よりも狭くすることで、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔を広げることなく、流路部材130と記録シートSとの間に空間を形成して、この空間にガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置することができるものである。これに対して、例えば、配線基板170の第1の方向D1の幅を流路部材130と同等の幅で形成すると、インクジェット式記録ヘッド1の保持部材140の第1の方向D1の幅を流路部材130と同等の幅で形成する必要がある。このため、配線基板170と記録シートSとの間には、ガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置する空間を確保できない。また、ガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置する空間を確保するために、インクジェット式記録ヘッド1と支持部材200とを第3の方向D3(Z方向)に離して配置すると、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔が広くなり、インクジェット式記録装置IがZ方向に大型化してしまうと共に、インク滴の着弾位置ずれの発生や、高速印刷が実行できないなどの不具合が生じる。また、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔を広げることなく、第2搬送手段220を配置する空間を確保するために、第1の方向D1の幅が広い配線基板170を第3の方向D3において記録シートSから離れた位置に配置することも考えられるものの、インクジェット式記録ヘッド1が第3の方向D3に大型化してしまう。また、ヘッド本体150と配線基板170とが離れて配置されると、これらを接続する配線部材121を長くしなくてはならない。配線部材121は、高価な部品であるため、配線部材121が長くなると、高コストになってしまう。
本実施形態では、配線基板170の第1の方向D1の幅を、流路部材130よりも狭くすることで、液体噴射面20aと記録シートSとの間隔を短くした状態で、ガイド部材222及び第2従動ローラー223を配置する空間を確保しつつ、配線基板170とヘッド本体150とを第3の方向D3(Z方向)に近づけて配置することができる。したがって、インクジェット式記録ヘッド1及びインクジェット式記録装置Iの第3の方向D3(Z方向)の小型化を図ることができると共に配線部材121を短くしてコストを低減することができる。また、第2搬送手段220をインクジェット式記録ヘッド1の外側、すなわち、Z方向で相対向する領域の外側に設けることなく、第1搬送手段210と第2搬送手段220との距離を短くすると共に、インクジェット式記録ヘッド1の液体噴射面20aと記録シートSとの間隔を短くすることができるため、インク滴の着弾位置ずれを抑制し、高速印刷が可能となる。
また、本実施形態では、第2搬送ローラー221は、流路部材130に相対向する位置に設けられているため、第2搬送ローラー221は、記録シートSを平面視した際に、すなわち、液体噴射方向である第3の方向D3(Z方向)から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1の流路1351に重なる位置に配置されていることになる。すなわち、上述したように、流路部材130に設けられた流路形成部材135は、内部にフィルターや、弁体、加熱手段等の各機能部が設けられた機能部材であるため、各機能部を配置する領域や、各機能部への流路1351を引き回す領域が必要である。このため、流路部材130は、第1の方向D1の幅が保持部材140よりも大きな幅で形成されている。したがって、第2搬送ローラー221は、実質的に流路部材130の流路1351に第3の方向D3(Z方向)で相対向して配置される。もちろん、流路1351の配置によっては、第2搬送ローラー221は、流路1351に第3の方向D3(Z方向)で相対向する位置に配置されていなくてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述した物に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1では、配線基板170の可撓性基板400が接続されるコネクター173を搬送方向Xと一致する第1の方向D1に対して、直交する第2の方向D2(Y方向)に設け、可撓性基板400が第2の方向D2(Y方向)に導出されるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、コネクター173を第1の方向D1に設け、可撓性基板400が第1の方向D1と一致する搬送方向Xに導出されてもよい。ただし、可撓性基板400が第1の方向D1に導出されるためには、インクジェット式記録ヘッド1の保持部材140が第1の方向D1に大型化する虞があり、第1搬送ローラー211と第2搬送ローラー221との距離が離れる虞がある。
また、本実施形態では、第1搬送手段210の第1搬送ローラー211を記録シートSのインク滴が着弾する面、いわゆる印刷面とは反対側の裏面に設け、第1従動ローラー212を印刷面側に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1搬送ローラー211を印刷面側に設け、第1従動ローラー212を裏面に設けるようにしてもよい。また、第2搬送手段220についても同様に、第2搬送ローラー221を印刷面側に設け、第2従動ローラー223等を裏面側に設けるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、第1搬送ローラー211が、第3の方向D3から平面視した際に、インクジェット式記録ヘッド1に重なる位置に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1搬送ローラー211及び第2搬送ローラー221の少なくとも一方が第3の方向D3から平面視した際にインクジェット式記録ヘッド1に重なる位置に設けられていればよい。すなわち、第2搬送ローラー221のみがインクジェット式記録ヘッド1に重なる位置に配置されていてもよく、第1搬送ローラー211及び第2搬送ローラー221の両方がインクジェット式記録ヘッド1に重なる位置に背馳されていてもよい。
また、上述した実施形態1では、第2搬送手段220として、1組の第2搬送ローラー221及び第2従動ローラー223を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、2組以上の第2搬送ローラー221及び第2従動ローラー223を設けるようにしてもよい。この場合には、全ての第2搬送ローラー221がインクジェット式記録ヘッド1に重なる位置で、且つ配線基板170に重ならない位置に配置されている必要はなく、少なくとも第1搬送手段210側の第2搬送ローラー221が、インクジェット式記録ヘッド1に重なる位置で、且つ配線基板170に重ならない位置に配置されていればよい。
さらに、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、上記実施の形態においては、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に適用できる。