JP2023032312A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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【課題】安定的な吐出特性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】一実施形態に係る液体吐出ヘッドは、ベースと、前記ベースに配置され、第1方向に並んで配置されるとともに液体を吐出するノズルに連通する複数の圧力室、及び複数の前記圧力室の間に配される複数のダミー室を構成する複数の溝と、を有する、アクチュエータと、複数の前記圧力室の両側部に配されるとともに前記圧力室に連通する共通室と、前記圧力室との間に配され、前記第1方向に延び、前記圧力室及び前記ダミー室と前記共通室との間に配置される梁部と、前記ベースに設けられ前記梁部を支持する支持部と、を有し、前記圧力室の前記共通室に連通する連通口の一部を塞ぐ壁部を備える、絞り部材と、を備える、サイドシュータ型の液体吐出ヘッドである。【選択図】図4
Description
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
近年、インクジェットヘッドにおいて、高生産性が求められ、高速化や液滴量増加が課題となっている。例えば、シェアモードシェアードウォール式のインクジェットヘッドは、ハイパワーとなり、高粘度インクの吐出や大きな液滴の吐出に向いている。シェアモードシェアウォール式のインクジェットヘッドにおいては、同じ駆動柱を2つの圧力室で共有し、複数配列される室のうちの1/3を圧力室として同時に駆動する所謂3サイクル駆動が一般的である。また、駆動する圧力室の両側をダミー圧力室として、1つの圧力室を独立した2つの駆動柱で駆動する独立駆動ヘッドも開発されている。例えば、圧電体に多数の溝を形成し、1本おきに出入り口を塞ぎ、出入り口が塞がれない溝を圧力室とし、塞がれた溝を空気室として、独立駆動とする構造が開発されている。
このようなインクジェットヘッドにおいては、インク滴が吐出した後、共通液室から圧力室にインクが補給される。このとき、ノズルでオーバーシュートしてメニスカスが盛り上る現象が発生する。共通液室からノズルに至る流路の流体抵抗が小さいほどオーバーシュートは大きくなり、このオーバーシュートが収まらないとメニスカスが安定した状態で吐出をすることができない。したがって、インクジェットヘッドにおいて高速化するには、メニスカスの盛り上りを早く収束させ、安定的な吐出特性を確保することが求められる。
本発明が解決しようとする課題は、安定的な吐出特性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供することである。
一実施形態に係る液体吐出ヘッドは、ベースと、前記ベースに配置され、第1方向に並んで配置されるとともに液体を吐出するノズルに連通する複数の圧力室、及び複数の前記圧力室の間に配される複数のダミー室を構成する複数の溝と、を有する、アクチュエータと、複数の前記圧力室の両側部に配されるとともに前記圧力室に連通する共通室と、前記圧力室との間に配され、前記第1方向に延び、前記圧力室及び前記ダミー室と前記共通室との間に配置される梁部と、前記ベースに設けられ前記梁部を支持する支持部と、を有し、前記圧力室の前記共通室に連通する連通口の一部を塞ぐ壁部を備える、絞り部材と、を備える、サイドシュータ型の液体吐出ヘッドである。
以下に、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッド10の構成について、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るインクジェットヘッドを示す斜視図であり、図2はインクジェットヘッドの一部の分解斜視図である。図3はインクジェットヘッドの一部を拡大して示す断面図であり、図4はインクジェットヘッドの一部を拡大して示す斜視図である。図5はインクジェットヘッドの一部の構成を拡大して示す側面図である。図6及び図7はアクチュエータ22の断面図であり、図6は圧力室を通り図7はダミー室を通る位置の断面図をそれぞれ示す。図8及び図9は絞り部材の側面図である。図10はインクジェットヘッドの製造工程の説明図であり、カバー部23及び絞り部材24を省略して内部構造を示す。図中X、Y、Zは互いに直交する第1方向、第2方向、及び3方向をそれぞれ示す。なお、本実施形態において、インクジェットヘッド10のノズル28や圧力室31の並列方向がX軸に、圧力室31の延出方向がY軸に、液体の吐出方向がZ軸に、それぞれ沿う姿勢を基準として方向の説明を記載するが、これに限られるものではない。
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、いわゆるサイドシュータ型のシェアモードシェアウォール方式インクジェットヘッドである。インクジェットヘッド10は、インクを吐出するための装置であり、例えばインクジェットプリンタの内部に搭載される。例えばインクジェットヘッド10は圧力室31とダミー室32が交互に配される独立駆動式のインクジェットヘッドである。ダミー室32は、インクが供給されない空気室であり、ノズル28を備えない。
インクジェットヘッド10は、アクチュエータベース11と、ノズルプレート12と、フレーム13と、を備えている。アクチュエータベース11は、基材の一例である。インクジェットヘッド10の内部に、液体の一例としてのインクが供給されるインク室27が形成される。
さらに、インクジェットヘッド10は、インクジェットヘッド10を制御する回路基板17や、インクジェットヘッド10とインクタンクとの間の経路の一部を形成するマニホールド18などの部品を備える。
図2に示すように、アクチュエータベース11は、基板21と、一対のアクチュエータ22と、カバー部23と、壁部である絞り部材24と、を備える。
基板21は、例えばアルミナなどのセラミックスによって矩形の板状に形成される。基板21は平坦な実装面を有する。基板の実装面に一対のアクチュエータ22が接合されている。基板21には複数の供給孔25と排出孔26とが形成されている。
図2に示すように、アクチュエータベース11の基板21には、パターン配線211が形成される。パターン配線211は、例えばニッケル薄膜によって形成される。パターン配線211は、共通パターンや個別パターンを有し、アクチュエータ22に形成された電極層34に接続される所定のパターン形状に構成される。
供給孔25は、基板21の中央部であって一対のアクチュエータ22の間において、アクチュエータ22の長手方向に並んで設けられている。供給孔25は、マニホールド18のインク供給部に連通する。供給孔25は、インク供給部を介してインクタンクに接続される。供給孔25はインクタンクのインクをインク室27に供給する。
排出孔26は、供給孔25及び一対のアクチュエータ22を挟んで、二列に並んで設けられている。排出孔26は、マニホールド18のインク排出部に連通する。排出孔26は、インク排出部を介してインクタンクに接続される。排出孔26はインク室27のインクをインクタンクに排出する。
一対のアクチュエータ22は、基板21の実装面に接着される。一対のアクチュエータ22は供給孔25を挟んで二列に並んで基板21に設けられている。各アクチュエータ22は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成された板状の二つの圧電体によってそれぞれ形成される。前記二つの圧電体は、分極方向がその厚さ方向に互いに逆向きになるように貼り合わされる。アクチュエータ22は、例えば熱硬化性を有するエポキシ系接着剤によって基板21の実装面に接着される。図2に示すように、アクチュエータ22は、二列に並ぶノズル28に対応して、インク室27内において平行に並んで配置される。アクチュエータ22は、インク室27を、供給孔25が開口する第1共通室271と、排出孔26が開口する二つの第2共通室272とに区切る。
アクチュエータ22は、断面台形状に形成される。アクチュエータ22の側面部221は、第2方向及び第3方向に対して傾斜する傾斜面を有する。すなわち、アクチュエータ22は第2方向に直交する断面視が台形状に構成される。アクチュエータ22の頂部は、ノズルプレート12に接着される。アクチュエータ22は、複数の圧力室31と、複数のダミー室32と、を備える。アクチュエータ22は、複数の側壁部33を有し、側壁部33の間に、圧力室31及びダミー室32を構成する溝を有する。言い換えると、側壁部33は、圧力室31及びダミー室32を形成する溝の間に駆動素子として形成される。
溝の底面部と基板21の主面とは傾斜する側面部221によって繋がる。圧力室31とダミー室32とは、交互に配置される。圧力室31およびダミー室32は、アクチュエータ22の長手方向と交差する方向にそれぞれ延び、アクチュエータ22の長手方向である第1方向(図中X軸)において複数並列する。
なお、圧力室31の形状とダミー室32の形状とが異なっていても良い。側壁部33は、圧力室31とダミー室32の間に形成され、駆動信号に応じて変形することで、圧力室31の容積を変化させる。
複数の圧力室31は、頂部に接合されるノズルプレート12の複数のノズル28に連通する。圧力室31の第2方向の両端はインク室27に連通する。すなわち、一方の端部はインク室27の第1共通室271に開口し、他方の端部は、インク室27の第2共通室272に開口する。このため、圧力室31の一方の端部からインクが流入し、他方の端部からインクが流出する。なお、圧力室31は絞り部材24によって第2方向両端の開口が一部塞がれて流路抵抗が増加する絞り部240を有する。
ダミー室32は第3方向における一方側が頂部に接合されるノズルプレート12によって塞がれ、第2方向の両側がカバー部23によって塞がれる。
カバー部23は、ダミー室32を構成する溝の第2方向の両端にそれぞれ設けられ、ダミー室32の開口を塞ぐ。例えばカバー部23はダミー室32の入口に感光性樹脂を塗布して硬化させて構成される。あるいはカバー部23は、側壁部33に接着されたプレートで構成されていてもよい。なお、圧力室31を構成する溝はカバー部23によって完全には覆われず、溝の一部が第1共通室271及び第2共通室272に対して開口する。カバー部23は例えば感光性樹脂材により構成される。例えばダミー室32を構成する溝に感光性樹脂を充填し、硬化させることにより、カバー部23が形成される。
絞り部材24は、圧力室31の両端に設けられる。絞り部材24は所定の厚みを有するとともに、コ字状に形成されたプレート状部材である。絞り部材24は、基板21に支持される一対の支柱部241と、一対の支柱部241間に掛け渡される壁部としての梁部242と、を一体に備える。例えば、絞り部材24は、PI(ポリイミド)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料や、ジルコニア・アルミナなどのセラミック材料の型部品で構成され、あるいはマシナブルセラミックスを切削加工して作成される。絞り部材24は梁部242が圧力室31の両端の共通室である第1共通室271及び第2共通室272との連通口の一部を塞ぐことで、圧力室31の第2方向に直交する流路の断面積を縮小して流体抵抗を増加する絞り部240を形成する。
支柱部241は、アクチュエータ22の第1方向の両端部にそれぞれ配置される。支柱部241は、側壁部33の傾斜面に沿って延びる。支柱部241は側壁部33に接合されるともに、先端面が基板21の例えば配線等のない平面部位に接合される。
梁部242は第1方向に延び、互いに離間する支柱部241間を接続する。梁部242は、アクチュエータ22の傾斜した側面部221に対向配置され、側面部221に接合される。例えば梁部242は、第1方向において圧力室31及びダミー室32が並ぶ領域よりも長い所定の長さを有するとともに、アクチュエータ22の側面部221において頂部から、圧力室31の底面よりも頂部側の所定位置まで延びる一定の幅寸法を有する。梁部242は、圧力室31の入り口及び出口を部分的に塞ぐことで、流路が狭まる絞り部240を形成する。梁部242は、圧力室31を構成する溝の深さ方向である第3方向においてノズルプレート12側の領域に位置し、第1方向の全長に渡って形成される。梁部242の、アクチュエータ22の頂部側とは反対側の端縁は、圧力室31の底部よりもノズルプレート12側の位置に配置される。すなわち、梁部242は、第3方向において、圧力室31のノズルプレート12側の部位を閉塞する一方で、圧力室31の底部側の所定幅は塞がずに開口する。すなわち、梁部242は、圧力室31の出入口となる連通口を部分的に塞ぐことで、流路が狭まる絞り部240を形成する。
なお、絞り部240の流体抵抗は、大きくしすぎると、インク滴吐出後の補給が遅くなり、高速化を阻害することになる。また、メニスカスの盛り上りは、インク粘度、吐出体積、駆動周波数などにより異なる。したがって、絞り部240の寸法や位置は、インク補給条件やメニスカスの盛り上がりの特性に応じた流路抵抗となるよう設定される。
複数のダミー室32は例えばカバー部23により両端が塞がれる。すなわち、インク室27の第1共通室271とダミー室32の入口との間、及びダミー室32の出口と第2共通室272との間にそれぞれカバー部23が配され、ダミー室32の両端はインク室27と隔てられている。このため、ダミー室32はインクが流入しない空気室を構成する。
アクチュエータベース11の圧力室31及びダミー室32にはそれぞれ電極層34が設けられている。電極層34は、例えばニッケル薄膜によって形成される。電極層34は溝の底部から基板21上に至り、パターン配線211に接続される。
ノズルプレート12は、例えばポリイミド製の矩形のフィルムによって形成される。ノズルプレート12は、アクチュエータベース11の実装面に対向する。ノズルプレート12には、ノズルプレート12を厚さ方向に貫通する、複数のノズル28が形成される。
複数のノズル28は、圧力室31と同数設けられ、圧力室31にそれぞれ対向して配置される。ノズル28は、第1方向に沿って複数並び、一対のアクチュエータ22に対応して2列に配列される。各ノズル28はそれぞれ軸が第3方向に延びる筒状に構成される。例えばノズル28は径が一定であっても、中央部または先端部にかけて縮径する形状であってもよい。ノズル28は、一対のアクチュエータ22に形成される圧力室31の延出方向の中途部に対向配置され、圧力室31にそれぞれ連通する。ノズル28は、各圧力室31の、長手方向中央部に1つずつ、配置される。
フレーム13は、例えばニッケル合金によって矩形の枠状に形成される。フレーム13は、アクチュエータベース11の実装面とノズルプレート12との間に介在する。フレーム13は、アクチュエータベース11の実装面とノズルプレート12とにそれぞれ接着される。すなわち、ノズルプレート12は、フレーム13を介してアクチュエータベース11に取り付けられている。
マニホールド18は、アクチュエータベース11のノズルプレート12とは反対側に接合される。マニホールド18の内部に、供給孔25に連通する流路であるインク供給部や排出孔26に連通する流路であるインク排出部が形成される。
回路基板17は、フィルムキャリアパッケージ(FCP)である。回路基板17は、複数の配線が形成されるとともに、柔軟性を有する樹脂製のフィルム51と、フィルム51の複数の配線に接続されたIC52と、を有する。IC52はフィルム51の配線やパターン配線211を介して電極層34に電気的に接続される。
以上のように構成されたインクジェットヘッド10の内部において、アクチュエータベース11と、ノズルプレート12と、フレーム13とに囲まれるインク室27が形成される。すなわち、インク室27は、アクチュエータベース11とノズルプレート12との間に形成される。例えばインク室27は、2つのアクチュエータ22によって第2方向において3つの区間に仕切られ、排出孔26が開口する共通室としての二つの第2共通室272と、供給孔25が開口する共通室としての第1共通室271と、を有する。第1共通室271及び第2共通室272は、複数の圧力室31に連通している。
以上のように構成されたインクジェットヘッド10において、供給孔、圧力室、及び排出孔を通って、インクはインクタンクとインク室27との間で循環する。例えばインクジェットプリンタの制御部から入力された信号によって、駆動IC52がフィルム51の配線を介して圧力室31の電極層34に駆動電圧を印加することにより、圧力室31の電極層34と、ダミー室32の電極層34との間に電位差を生じさせることで、側壁部33を選択的にシェアモード変形させる。圧力室31とダミー室32の間に形成された側壁部33を駆動信号に応じて変形することで、圧力室31の容積を変化させる。
側壁部33がシェアモード変形することにより、当該電極層34が設けられた圧力室31の容積が増加し、圧力が減少する。これにより、当該圧力室31にインク室27のインクが流入する。
圧力室31の容積が増加した状態で、IC52が圧力室31の電極層34に逆電位の駆動電圧を印加する。これにより、側壁部33がシェアモード変形して当該電極層34が設けられた圧力室31の容積が減少し、圧力が増加する。これにより、圧力室31の中のインクが加圧され、ノズル28から吐出される。
インクジェットヘッド10の製造方法について図10を参照して説明する。まず板状の基板21に複数の溝を形成する圧電部材を接着剤等で貼り付け、ダイシングソーやスライサー等を使用した機械加工を施して所定形状の外形を有するアクチュエータベース11を成形する。なお、例えば予め複数枚分の厚さのブロック状のベース部材を形成してから分割し、所定形状のアクチュエータベース11を複数枚製造してもよい。
続いて、圧力室31やダミー室32を構成する溝の内面や基板21の表面に電極層34やパターン配線211を形成する。以上により、図10に示すように、アクチュエータベース11の表面に、電極層34、及びパターン配線211が所定箇所にそれぞれ形成される。そして、カバー部23を所定箇所に形成することによってダミー室32の両端を塞ぐ。例えばダミー室32を構成する溝に感光性樹脂を充填し、硬化させることにより、カバー部23が形成される。さらに、アクチュエータ22の側面部221に所定形状に作成された絞り部材24を接着する。絞り部材24は、PIやPETなどの樹脂材料や、ジルコニアやアルミナなどのセラミック材料の型部品で構成され、あるいはマシナブルセラミックスを切削加工して、予め作成される。
さらに、アクチュエータベース11をマニホールド18に組み付け、アクチュエータベース11の基板21の一方の面に、熱可塑性樹脂の接着シートにより、フレーム13を貼付ける。
そして、組立てられたフレーム13、アクチュエータ22の側壁部33の頂部222、及びカバー部23及び絞り部材24が同一面となるよう研磨する。そして、側壁部33の頂部222、フレーム13、カバー部23及び絞り部材24の研磨面にノズルプレート12を接着して取り付ける。このとき、圧力室31にノズル28が対向するように位置決めを行う。さらに、図1に示すように基板21の主面に形成されたパターン配線211に、フレキシブルプリント基板を介して駆動ICチップ52や回路基板17を接続することで、インクジェットヘッド10が完成する。
以下に、インクジェットヘッド10を備えるインクジェットプリンタ100の一例について、図20を参照して説明する。インクジェットプリンタ100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、搬送装置115と、制御部116と、を備える。
以下に、インクジェットヘッド10を備えるインクジェットプリンタ100の一例について、図20を参照して説明する。インクジェットプリンタ100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、搬送装置115と、制御部116と、を備える。
インクジェットプリンタ100は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る所定の搬送路Aに沿って、吐出対象物である記録媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行う液体吐出装置である。
筐体111は、インクジェットプリンタ100の外郭を構成する。筐体111の所定箇所に、用紙Pを外部に排出する排出口を備える。
媒体供給部112は複数の給紙カセットを備え、各種サイズの用紙Pを複数枚積層して保持可能に構成される。
媒体排出部114は、排出口から排出される用紙Pを保持可能に構成された排紙トレイを備える。
画像形成部113は、用紙Pを支持する支持部117と、支持部117の上方に対向配置された複数のヘッドユニット130と、を備える。
支持部117は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト118と、搬送ベルト118を裏側から支持する支持プレート119と、搬送ベルト118の裏側に備えられた複数のベルトローラ120と、を備える。
支持部117は、画像形成の際に、搬送ベルト118の上面である保持面に用紙Pを支持するとともに、ベルトローラ120の回転によって所定のタイミングで搬送ベルト118を送ることにより、用紙Pを下流側へ搬送する。
ヘッドユニット130は、複数(4色)のインクジェットヘッド10と、各インクジェットヘッド10上にそれぞれ搭載された液体タンクとしてのインクタンク132と、インクジェットヘッド10とインクタンク132とを接続する接続流路133と、循環部である循環ポンプ134と、を備える。ヘッドユニット130は、インクタンク132と、インクジェットヘッド10の内部に作りこまれた圧力室31、ダミー室32、及びインク室27において液体を常時循環させる循環型のヘッドユニットである。
本実施形態において、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド10と、これらの各色のインクをそれぞれ収容するインクタンク132を備える。インクタンク132は接続流路133によってインクジェットヘッド10に接続される。接続流路133は、インクジェットヘッド10の供給口に接続される供給流路と、インクジェットヘッド10の排出口に接続される回収流路と、を備える。
また、インクタンク132には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結される。そして、インクジェットヘッド10とインクタンク132との水頭値に対応して、負圧制御装置はインクタンク132内を負圧制御することで、インクジェットヘッド10の各ノズル28に供給されたインクを所定形状のメニスカスを形成する。
循環ポンプ134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。循環ポンプ134は、供給流路に設けられている。循環ポンプ134は、配線により制御部116の駆動回路に接続され、CPU(Central Processing Unit)による制御によって制御可能に構成される。循環ポンプ134は、インクジェットヘッド10とインクタンク132を含む循環流路で液体を循環させる。
搬送装置115は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る搬送路Aに沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置115は、搬送路Aに沿って配置される複数のガイドプレート対121と、複数の搬送用ローラ122と、を備えている。
複数のガイドプレート対121は、それぞれ、搬送される用紙Pを挟んで対向配置される一対のプレート部材を備え、用紙Pを搬送路Aに沿って案内する。
搬送用ローラ122は、制御部116の制御によって駆動されて回転することで、用紙Pを搬送路Aに沿って下流側に送る。なお、搬送路Aには用紙の搬送状況を検出するセンサが各所に配置される。
制御部116は、コントローラであるCPU等の制御回路と、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
以上のように構成されたインクジェットプリンタ100において、制御部116は、例えばインターフィースにおいてユーザが操作入力部の操作による印刷指示を検出すると、搬送装置115を駆動して用紙Pを搬送するとともに、所定のタイミングでヘッドユニット130に対して印字信号を出力することで、インクジェットヘッド10を駆動する。インクジェットヘッド10は吐出動作として、画像データに応じた画像信号により、ICに駆動信号を送り、配線を介して圧力室31の電極層34に駆動電圧を印加してアクチュエータ22の側壁部33を選択的に駆動してノズル28からインクを吐出し、搬送ベルト118上に保持された用紙Pに画像を形成する。また、液体吐出動作として、制御部116は、循環ポンプ134を駆動することで、インクタンク132とインクジェットヘッド10とを通る循環流路で液体を循環させる。循環動作により、インクタンク132内のインクは、循環ポンプ134が駆動されることにより、インクタンク132のインクが、マニホールド18のインク供給部を通って、供給孔25からインク室27の第1共通室271に供給される。このインクは、一対のアクチュエータ22の複数の圧力室31と、複数のダミー室32とに供給される。インクは、圧力室31とダミー室32とを通ってインク室27の第2共通室272に流入する。このインクは、排出孔26から、マニホールド18のインク排出部を通ってインクタンク132に排出される。
上述した実施形態によれば周安定的な吐出特性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供できる。すなわち、上記実施形態に係るインクジェットヘッド10は、圧力室31に絞り部材24を備えることで、圧力室31の入り口及び出口が圧力室31内部や第1共通室271、第2共通室272よりも流路抵抗が大きい。具体例として、圧力室31の共通室である第1共通室271や第2共通室272に開口する開口部が、圧力室31の流路断面積より小さい。このため、インクジェットヘッド10において液体吐出を行った際のメニスカスの盛り上がりが小さくなる。したがって、メニスカスの復帰が早くなり次弾への影響が軽減でき、吐出安定性が向上できる。
図11は、絞り(絞り部240)を備えるインクジェットヘッド110の試験例1と、絞りを備えていないインクジェットヘッド1010の試験例2である。図12は、試験例1に係る絞りを有するインクジェットヘッド110の周波数特性を示し、図13は、比較例2としての絞りを備えないインクジェットヘッド1010の周波数特性を示す。図12及び図13においてそれぞれノズルの吐出速度と、周波数との関係を、1drop、3dropの場合について、それぞれ示している。
ここで、試験例1にかかるインクジェットヘッド110は、圧力室31の延出方向である第2方向の両側が共通室に連通し、第2方向の一方から他方に流体が流れる流路を構成するとともに、圧力室31の延出方向の中途部にノズル28が開口するサイドシュータ型である。
図13に示されるように試験例2に係るインクジェットヘッド1010においては、低周波領域では吐出速度はフラットであるが、周波数が高くなるにつれて吐出速度が減少傾向にあり、低周波領域と高周波領域で吐出速度に差異がある。試験例2に係るインクジェットヘッド1010の1dropにおいては、25kHzまでは、吐出速度はフラットであるが、25kHz以上で周波数が高くなるにつれて吐出速度が減少傾向である。また、試験例2に係るインクジェットヘッド1010の3dropにおいては、15kHzまでは、吐出速度はフラットであるが、15kHz以上で周波数が高くなるにつれて吐出速度が減少傾向である。したがって、印刷のパターンによって着弾位置にズレが生じる。このように吐出速度に差異が大きいと、メニスカスの盛り上りが収まるのに時間がかかり、印字品質低下を引き起こすため、高速駆動することができない。
一方、図12に示すように、絞り部を有するインクジェットヘッド110では、1drop及び3drop共に吐出速度がフラットな傾向にある。これは、共通液からノズル間の流体抵抗が大きくなり、メニスカスの盛り上がりが小さくなるためである。
また図14は圧力室に絞りを設けた試験例1と絞りを設けない試験例2のメニスカス復帰のシミュレーション結果を示している。図14によれば、ノズルのメニスカス状態は低周波の場合、インク滴を吐出してから次弾が吐出されるまでに十分な時間があり、絞り有無に関わらずメニスカスの復帰を待ってから安定状態で吐出が可能である。一方、高周波の場合、ドット(インク滴)を吐出してから次弾が吐出されるまでの時間が短いために、メニスカスの復帰前に次弾の吐出が始まる。このため、絞りを設けないインクジェットヘッド1010の場合には、吐出した後、メニスカスの盛り上がりが大きくなり、次弾の吐出までにメニスカス復帰できず、吐出速度が低下する。それに対して、絞りを設けた場合はメニスカスの盛り上がりが小さくなるため、メニスカスの復帰が早くなり次弾への影響が軽減できる。よってこれらのシミュレーション結果から、圧力室31と共通室との間に絞りを設けることでインクジェットヘッド110吐出安定性向上に繋がると言える。
図15は試験例1としてのサイドシュータ型のインクジェットヘッド110と、インク出入り口が一端でノズルが他端に形成された試験例3としてのシェアモードシェアードウォール式エンドシュータ型のインクジェットヘッド2010の、説明図である。
図16乃至図19は試験例3としてのエンドシュータ型のインクジェットヘッド2010と、サイドシュータ型の試験例1のインクジェットヘッド110においてそれぞれ絞りを設けた場合の、シミュレーション特性比較した図である。図16は駆動波形、図17はノズル流速振動、図18は吐出体積、図19はメニスカスの復帰特性を、それぞれ示す。
また、試験例3にかかるインクジェットヘッド2010は、圧力室31の延出方向である第2方向の一端側が共通室に連通し、他端部が閉じ、流路の端部にノズルが開口するエンドシュータ型とした。すなわち、インクジェットヘッド2010は第2方向の一方からノズル28に向けて流れる流路を構成する。
試験例3としての片側から供給するエンドシュータ型のインクジェットヘッド2010と、両側供給のサイドシュータ型の試験例1としてのインクジェットヘッド110は、吐出体積、ノズル流速振動、メニスカス復帰特性を揃えた時の駆動電圧は両側供給のサイドシュータ型の構成が最も低いため、両側供給は片側供給に対して、駆動効率の観点から優位性が高いと言える。すなわち、圧力室の中央にノズルがあり、インクの出入り口が両端にある、所謂サイドシュータ型のインクジェットヘッド110の方が、エンドシュータ型のインクジェットヘッド2010よりも吐出効率が優れている。
また、上記実施形態においては、インクジェットヘッドの基板21の配線等のない平面に絞り部材24が支持される構成としたため、絞り部材24の位置精度を向上でき、絞りの大きさの精度を向上できる。
なお、一般的に、シェアモードシェアードウォール式のインクジェットヘッドにおいては、例えば圧力室が圧電体にダイヤモンドカッターで形成された微細な溝で構成されるため、圧力室の一部分の断面を小さくすることが困難であるが、上記実施形態によれば、絞り部材24は支柱部241と梁部242を有する単純な形状であり、安価で作成できる。また作成の工程が少なく接合や位置合わせが容易である。また、絞り部材24を形成するための微細加工が不要であるため、容易に絞り部240を形成することができる。また、上記実施形態にかかるインクジェットヘッド10においては、圧力室31の出入口となる連通口において部分的に絞りを形成するため、圧力室31を全体的に縮幅するよりも圧力室31の体積を確保しやすい。したがって、圧力室を全体的に縮幅する構成と比べてノズルや液滴の大きさに制約が少なく、吐出性能を維持しやすい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上記実施形態においては、基板21の主面部分に複数の溝を備えるアクチュエータ22を配した例を示したが、これに限られるものではない。たとえば基板21の端面に、アクチュエータを備える構成であってもよい。また、ノズル列の数も上記実施形態に限られるものではなく、1列、あるいは3列以上備える構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、基板21に圧電部材131からなる積層圧電体を備えたアクチュエータベース11を例示したが、これに限るものではない。例えば基板を用いずに圧電部材のみでアクチュエータベース11を形成しても良い。また、2枚の圧電部材を用いずに、1枚の圧電部材としてもよい。またダミー室32は共通室である第1共通室271や第2共通室272に連通していてもよい。また供給側と排出側が逆であってもよく、あるいは切り替え可能に構成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、一例として、圧力室31の一方側が供給側であり、他方側が排出側であり、流体が圧力室の一方側から流入して他方側から流出する循環型のインクジェットヘッドを例示したがこれに限られるものではない。例えば非循環型としてもよい。また、例えば圧力室31の両側の共通室が供給側であって、両側から流入する構成であってもよい。すなわち、圧力室31の両側から流体が流入し、圧力室31の中央に配置されるノズル28から流出する構成であってもよい。この場合にあっても、圧力室31の両側の入口部分に絞り部240を設けることによって、流体抵抗が増加し、吐出効率が改善できる。
例えば、吐出する液体は印字用のインクに限られるものではなく、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
また、上記実施形態において、インクジェットヘッドは、インクジェットプリンタ等の液体吐出装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、安定的な吐出特性を確保することができる液体吐出ヘッドを提供できる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…インクジェットヘッド、11…アクチュエータベース、12…ノズルプレート、13…フレーム、17…回路基板、18…マニホールド、21…基板、22…アクチュエータ、23…カバー部、24…絞り部材(壁部)、25…供給孔、26…排出孔、27…インク室、31…圧力室、32…ダミー室、33…側壁部、34…電極層、51…フィルム、52…駆動ICチップ、100…インクジェットプリンタ、111…筐体、112…媒体供給部、113…画像形成部、114…媒体排出部、115…搬送装置、116…制御部、117…支持部、118…搬送ベルト、119…支持プレート、120…ベルトローラ、121…ガイドプレート対、122…搬送用ローラ、130…ヘッドユニット、132…インクタンク、133…接続流路、134…循環ポンプ、211…パターン配線、221…側面部、222…頂部、240…絞り部、241…支柱部(支持部)、242…梁部、271…第1共通室、272…第2共通室。
Claims (5)
- ベースと、
前記ベースに配置され、第1方向に並んで配置されるとともに液体を吐出するノズルに連通する複数の圧力室、及び複数の前記圧力室の間に配される複数のダミー室を構成する複数の溝と、を有する、アクチュエータと、
複数の前記圧力室の両側部に配されるとともに前記圧力室に連通する共通室と、前記圧力室との間に配され、前記第1方向に延び、前記圧力室及び前記ダミー室と前記共通室との間に配置される梁部と、前記ベースに設けられ前記梁部を支持する支持部と、を有し、前記圧力室の前記共通室に連通する連通口の一部を塞ぐ壁部を備える、絞り部材と、
を備える、サイドシュータ型の液体吐出ヘッド。 - 前記第1方向に並んで配列され前記圧力室に連通する複数の前記ノズルを有するノズルプレートと、
前記ダミー室を塞ぐカバー部と、を備え、
前記圧力室はそれぞれ前記第1方向と交差する第2方向に延出し、
前記圧力室の前記第2方向における一方側と他方側にそれぞれ前記共通室が配され、
前記絞り部材は前記第2方向の両端にそれぞれ配置されるとともに、
前記圧力室の前記第2方向における中途部に対応する位置に前記ノズルが配される、
請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記支持部が前記ベースの前記圧力室が並ぶ圧力室列の両端にそれぞれ配置される請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記絞り部材は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記溝の底部側とは反対側の前記ノズルプレート側の領域を塞ぎ、前記底部側の領域を開口する、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記アクチュエータは、前記圧力室及び前記ダミー室の間に形成される複数の側壁を有し、前記溝の底部側の面が前記ベースに接合され、
前記絞り部材は、樹脂材料またはセラミックスを含み、
前記壁部は前記側壁に接合され、
前記支持部は前記ベースに接合される、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
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2021
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