JP2016068539A - 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - Google Patents

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Kenji Otsuka
賢治 大塚
松尾 泰秀
Yasuhide Matsuo
泰秀 松尾
慧 忠地
Satoshi Tadachi
慧 忠地
峰宏 今村
Minehiro Imamura
峰宏 今村
寛之 ▲土▼屋
寛之 ▲土▼屋
Hiroyuki Tsuchiya
智弘 林
Toshihiro Hayashi
智弘 林
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Abstract

【課題】耐液体性が高く、流路内を確実に親水化することができ、気泡排出性を向上して、液体の噴射不良を抑制した液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。【解決手段】第1流路18が設けられた第1流路部材15と、前記第1流路部材15に接着剤205によって接着された第2流路部材45と、を具備する液体噴射ヘッドであって、少なくとも前記第1流路部材15と前記第2流路部材45との接着部分において露出された前記接着剤205の表面に、前記第1流路18に供給される液体の前記接着剤205に対する接触角よりも小さい接触角となる親水性樹脂及び界面活性剤を含む表面処理膜210を設ける。【選択図】 図4

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通する流路と、流路内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備し、圧力発生手段によって流路内のインクに圧力変化を生じさせることで、ノズル開口からインクをインク滴として噴射する。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、流路を形成する流路部材同士を接着剤によって接合しており、流路内の内壁の一部、例えば、流路部材同士を接着する接着剤が流路内に露出した表面が撥水性(撥液性)を有する場合、撥水性を有する領域にインク内の気泡が付着し、インクの充填不良によるインク噴射不良が発生するという問題がある。
また、流路内のインクを排出させるクリーニング動作を行っても、流路の撥水性を有する領域に付着した気泡を排出するのは困難であり、クリーニング動作による無駄なインクの消費が増大してしまう。また、流路内に付着した気泡が成長して大型化して初めて液体と共に排出されるため、排出されるタイミングを制御するのが困難であるという問題がある。
このため、接着剤の表面を含む流路内に親水膜を設けるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−56752号公報
しかしながら、接着剤はインクに対して耐性が高いものを用いる必要があるものの、耐インク性が高い接着剤は親水膜を形成する処理液に対する撥水性も高くなる傾向があり、接着剤の表面に親水膜を良好に形成するのが困難であるという問題がある。
また、接着剤の流路内への流出量(表面積)は、流路が微細化及び高密度化してもほとんど変わらないため、流路が微細化及び高密度化するほど、流路に対する流出した接着剤の表面積の割合が大きくなり、接着剤の表面に付着した気泡による影響が大きくなる。そして、微細化及び高密度化した流路に、粘度の高い処理液を供給して親水膜を形成する場合、流路に供給する処理液の詰まりが発生して、処理液を十分に充填することができず、親水膜の形成が困難になるという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに限定されず、他のマイクロデバイスにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、耐液体性が高く、流路内を確実に親水化することができ、気泡排出性を向上して、液体の噴射不良を抑制した液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、第1流路が設けられた第1流路部材と、前記第1流路部材に接着剤によって接着された第2流路部材と、を具備する液体噴射ヘッドであって、少なくとも前記第1流路部材と前記第2流路部材との接着部分において露出された前記接着剤の表面には、前記第1流路に供給される液体の前記接着剤に対する接触角よりも小さい接触角となる親水性樹脂及び界面活性剤を含む表面処理膜が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、界面活性剤によって撥水性を有する接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜を形成することができる。また、接着剤として耐液体性が高く、高い撥水性を有する接着剤を用いることができるため、接着剤の液体によるダメージを抑制することができる。
ここで、前記親水性樹脂が、水溶性樹脂を含むことが好ましい。これによれば、接着剤の表面に水溶性樹脂を含む親水性樹脂を有する表面処理膜を形成することができる。また、水溶性樹脂を含む親水性樹脂を用いることで、微細化及び高密度化された流路内にも水溶性樹脂を供給して、表面処理膜を形成することができる。
また、前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールであることが好ましい。これによれば、ポリビニルアルコールからなる水溶性樹脂を含む親水性樹脂を用いることで、確実に親水化することができる。また、水溶性樹脂を含む親水性樹脂を用いることで、微細化及び高密度化された流路内にも水溶性樹脂を供給して、表面処理膜を形成することができる。
また、前記表面処理膜が、前記接着剤の表面から前記第1流路の内面に亘って連続して設けられていることが好ましい。これによれば、第1流路部材の材料に拘わらず、第1流路の内面を親水化することができる。
また、前記接着剤がノニオン系材料であり、前記界面活性剤がノニオン系活性剤であることが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に表面処理膜を確実に形成することができる。
また、前記接着剤がイオン化材料であり、前記界面活性剤が、アニオン系活性剤又はカチオン系活性剤であることが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に表面処理膜を確実に形成することができる。
また、前記接着剤がノニオン系材料の場合、当該接着剤がシリコーン系接着剤であり、前記親水性樹脂がポリビニルアルコールであり、前記界面活性剤がジメチルシリコーンエステル型のノニオン系活性剤であることが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜を確実に形成することができる。
また、前記接着剤が、イオン化材料の場合、当該接着剤がエポキシ系接着剤であり、前記親水性樹脂がポリビニルアルコールであり、前記界面活性剤がカルボン酸型及びスルホン酸型の少なくとも一方のアニオン系活性剤、又は、アミン型のカチオン系活性剤であることが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜を確実に形成することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、耐液体性に優れ、気泡排出性を向上して、液体の噴射不良を抑制した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、第1流路が設けられた第1流路部材と、前記第1流路部材に接着剤によって接着された第2流路部材と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記第1流路に供給される液体の前記接着剤に対する接触角よりも小さい接触角となる親水性樹脂及び界面活性剤を含む処理液を前記第1流路内に供給して、少なくとも前記第1流路部材と前記第2流路部材との接着部分において露出された前記接着剤の表面に表面処理膜を設けることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、界面活性剤を含む処理液を供給するだけで、撥水性を有する接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜を容易に且つ確実に形成することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図である。また、図3は図2のA−A′線断面図であり、図4は図3の要部を拡大した断面図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIIは、ヘッド本体11、ヘッド本体11の一方面側に固定されたケース部材40、ヘッド本体11の他方面側に固定されたカバーヘッド130等の複数の部材を備える。本実施形態では、ヘッド本体11は、流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、保護基板30と、コンプライアンス基板45と、を具備する。
ヘッド本体11を構成する流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrOあるいはAlを代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlOのような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された本実施形態の凹部である圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの両方に直交する方向を第3の方向Zと称する。なお、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いのそれぞれ直交する方向としたが、特にこれに限定されず、直交以外の角度で交差する方向であってもよい。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側には、連通板15と、ノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に第1接着剤201によって接合された連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に第2接着剤202によって接合されたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけで良いので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12の各々に対して独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやニッケルなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。本実施形態では、ノズルプレート20として、連通板15と同じシリコン単結晶基板を用いた。
ここで、流路形成基板10と連通板15とを接着する第1接着剤201及び連通板15とノズルプレート20とを接着する第2接着剤202としては、例えば、ノニオン(非イオン性)系材料や、イオン化材料などを用いることができる。ノニオン系材料としては、例えば、シリコーン系接着剤やポリエチレン等の熱可塑性接着剤が挙げられる。また、イオン化材料としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤が挙げられる。ちなみに、インクの種類にもよるが、耐インク性が比較的高い接着剤は、シリコーン系接着剤であるが、シリコーン系接着剤に代表されるノニオン系接着剤は、特に撥水性が高くなる。すなわち、耐インク性が高い接着剤は、インクに対する撥水性も高くなる傾向があり、接着剤の露出した表面に気泡が付着し易くなってしまうものの、耐インク性が高いことから、接合領域からのインクの漏出や接着強度の低下が発生し難い。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、流路形成基板10の振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを有する圧電アクチュエーター300が設けられている。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が流路内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段であって、詳しくは後述する半導体素子である駆動回路120によって駆動される駆動素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としている。もちろん、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。すなわち、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。なお、上述した例では、振動板50が弾性膜51及び絶縁体膜52で構成されたものを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方を設けたものであってもよく、また、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
また、圧電アクチュエーター300の第2電極80からは、引き出し配線であるリード電極90の一端がそれぞれ接続されている。リード電極90の他端部は、振動板50上であって、第2の方向Yで隣り合う圧電アクチュエーター300の列の間に引き出されている。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列の間に第2の方向Yに2つ並んで形成されている。また、保護基板30には、第2の方向Yで並設された2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出されたリード電極90の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121とが、32内で電気的に接続されている。なお、流路形成基板10と保護基板30とは、例えば、第3接着剤203によって接合することができる。なお、第3接着剤203は、流路内に露出されていないため、耐インク性が低い材料を用いてもよいが、漏出したインクに接触する虞があるため、耐インク性が高い材料を用いるのが好ましい。
また、このような構成のヘッド本体11には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体11と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体11とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体11とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。また、ケース部材40と連通板15とは、第4接着剤204によって接合されている。この第4接着剤204についても、上述した第1接着剤201及び第2接着剤202と同様に、ノニオン系材料、イオン化材料を用いることができるが、流路内に一部が露出される第1接着剤201、第2接着剤202及び第4接着剤204は、耐インク性が高い材料を用いるのが好ましい。また、流路内に露出される第1接着剤201、第2接着剤202及び第4接着剤204は、同じ材料を用いるのが好ましい。これにより、詳しくは後述する表面処理膜210が、第1接着剤201、第2接着剤202及び第4接着剤204の流路内に露出した表面に良好に形成することができる。もちろん、第1接着剤201、第2接着剤202及び第4接着剤204は、異なる材料を用いてもよい。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。このようなコンプライアンス基板45は、連通板15に第5接着剤205を介して接合されている。この第5接着剤205は、上述した第1接着剤201等と同様に、ノニオン系材料、イオン化材料を用いることができる。また、第5接着剤205は、第1接着剤201等と同様に、流路内に一部が露出されるため、耐インク性が高い接着剤を用いるのが好ましい。また、上述した第4接着剤204と同様に、第5接着剤205として、第1接着剤201等と同じ材料を用いることで、第5接着剤205の表面に表面処理膜210を良好に形成することができる。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。
また、インクジェット式記録ヘッドIIの少なくとも流路内に露出する接着剤、本実施形態では、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面には、表面処理膜210が設けられている。本実施形態では、流路の内面及び流路内に露出する第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面に亘って連続して表面処理膜210を設けるようにした。ここで、流路とは、ケース部材40の導入路44からノズル開口21に至るまでのことであり、導入路44、マニホールド100、供給連通路19、圧力発生室12、ノズル連通路16及びノズル開口21を含むものである。また、流路の内面、特にシリコン単結晶基板で形成された流路形成基板10、連通板15及びノズルプレート20には、特に図示していないが、耐インク性を有する保護膜が形成されている。保護膜としては、例えば、窒化膜、酸化膜、金属膜等が挙げられる。
このような表面処理膜210としては、親水性樹脂と、界面活性剤とを含むものを用いることができる。親水性樹脂は、表面処理膜210を形成する接着剤、本実施形態では、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204、第5接着剤205に対する液体の接触角に対して、小さな接触角となる樹脂、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)に代表される水溶性樹脂を用いるのが好ましい。特に、親水性樹脂として水溶性樹脂を用いることで、表面処理膜210を形成する際の水溶液として比較的粘度の低い水溶液を形成し易く、低粘度の水溶液によって微細化及び高密度化されたな流路内への水溶液の供給を容易に行って、表面処理膜210を確実に形成することができる。また、親水性樹脂のその他の例としては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリシラザン、親水性シランカップリング剤の主成分、ポリアクリル酸共重合体(PMA)、ポリメタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、界面活性剤は、両親媒性を有するものであり、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205がノニオン系材料の場合、例えば、(ポリエーテル変性)ジメチルシロキサンエステル型のノニオン系活性剤を用いるのが好ましい。すなわち、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205がノニオン系材料の場合、例えば、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205はシリコーン系接着剤、親水性樹脂はポリビニルアルコール、界面活性剤はジメチルシリコーンエステル型のノニオン系活性剤を用いるのが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜210を確実に形成することができる。もちろん、親水性樹脂は、水溶性樹脂を含むものであればよく、水溶性樹脂に加えて非水溶性樹脂を含むものを用いてもよい。また、親水性樹脂は、非水溶性樹脂のみで構成されていてもよい。なお、非水溶性樹脂とは、難水溶性樹脂、非水溶性樹脂の両方を含むものである。
また、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205がイオン化材料の場合には、カルボン酸型、スルホン酸型のアニオン系活性剤、又は、アミン型等のカチオン系活性剤を用いるのが好ましい。すなわち、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205がイオン化材料の場合、例えば、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205はエポキシ系接着剤、親水性樹脂がポリビニルアルコール、界面活性剤はカルボン酸型及びスルホン酸型の少なくとも一方のアニオン系活性剤、又は、アミン型のカチオン系活性剤を用いるのが好ましい。これによれば、所定の材料の接着剤の表面に親水性を有する表面処理膜210を確実に形成することができる。
このように表面処理膜210を形成する接着剤の材料に合わせて、界面活性剤を適宜選択し、界面活性剤と親水性樹脂とによって表面処理膜210を成膜することで、流路の内壁面上と流路内に露出する第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面上とに亘って表面処理膜を連続して形成することができる。つまり、界面活性剤は、接着剤の材料と、表面処理膜210となる親水性樹脂とによって規定されるものである。
したがって、本実施形態では、流路の内壁面を連続して表面処理膜210で覆うことができ、流路内に気泡が捕捉される領域を低減させて、気泡排出性を向上して、流路内へのインクの充填不良を抑制することができる。特に、比較的高い撥水性を有する接着剤の表面を親水性を有する表面処理膜210で覆うことで、接着剤の表面での気泡の捕捉を抑制することができる。また、気泡排出性を向上することで、ノズル開口21からインクと共に気泡を吸引してクリーニング動作を行わせる時間を短縮することができ、インクの無駄な消費を抑制することができる。
また、本実施形態では、第3の方向Zにおいて、上側(鉛直方向上)からマニホールド100にインクが供給され、マニホールド100から圧力発生室12に下側(鉛直方向下)から上側に向かってインクが供給されるため、第2マニホールド部18と供給連通路19との接続する部分における角部(ノズル開口21側)に気泡が滞留し易い。しかしながら、本実施形態では、コンプライアンス基板45と連通板15とを接着する第5接着剤205の表面に表面処理膜210を設けることで、特に気泡が滞留し易い領域である第2マニホールド部18の角部に気泡が捕捉されるのを抑制して、気泡排出性を向上することができる。
ちなみに、本実施形態では、流路を形成する流路部材である流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、ケース部材40及びコンプライアンス基板45を接着する第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の流路内に露出する全ての接着剤の表面に表面処理膜210を形成するようにした。したがって、例えば、特許請求の範囲に記載の第1流路部材を連通板15とすれば、連通板15に接着剤を介して接着された部材、すなわち、流路形成基板10、ノズルプレート20、ケース部材40及びコンプライアンス基板45から選択される少なくとも一つが第2流路部材に相当する。そして、本実施形態では、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205を同じ材料で形成して、流路内に露出した各接着剤の表面に表面処理膜210を設けるようにしたが、接着剤として、比較的耐インク性が低くても良い場所については、比較的耐インク性が低く、且つ比較的親水性が高い接着剤を用いれば、表面に表面処理膜210が設けられていなくてもよい。
なお、このような表面処理膜210の形成方法について、図5を参照して説明する。なお、図5は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
まず、図5に示すように、インクジェット式記録ヘッドIIの流路内に処理液220を通水又は充填保持する。処理液220としては、本実施形態では、界面活性剤が添加されたポリビニルアルコール(PVA)水溶液を用いた。このように、処理液としてPVA水溶液を用いることで、処理液220の粘度を低下させて、流路内に処理液220が詰まるのを抑制して、全ての流路内に亘って確実に処理液220を通水及び充填することができる。すなわち、処理液220として原液(高濃度)のPVAを用いた場合には、処理液220の粘度が高くなり、処理液220が詰まって全ての流路に処理液220を通水及び充填することができなくなってしまう。ちなみに、処理液220の詰まりは、マニホールド100から個別流路、すなわち、供給連通路19、圧力発生室12、ノズル連通路16への接続部分などの流路抵抗が高くなる部分において発生し易い。したがって、特に個別流路が微細化及び高密度化された構成の場合、処理液220の詰まりが発生し易い。本実施形態では、処理液220として、水溶性樹脂の水溶液、すなわち、PVA水溶液を用いることで、処理液220の粘度を低下させて、微細化及び高密度化された流路内に確実に処理液220を充填することができる。
また、処理液220に界面活性剤を用いることで、比較的高い撥水性を有する第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面に表面処理膜210を確実に形成することができる。すなわち、処理液220に界面活性剤が添加されていないと、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面は撥水性を有することからPVA水溶液を撥水し、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面に表面処理膜210を形成できなくなってしまうからである。
このように界面活性剤は、第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面に親水性を有する表面処理膜210を形成するために添加するものであり、上述したように接着剤の材料及び親水性樹脂の材料に合わせて、その材料は適宜選択できるものである。
なお、PVAは、濃度が低すぎると表面処理膜が薄くなり、濃度が高すぎると粘度が高くなってしまう。したがって、PVAの濃度は1.0〜5.0wt%が好ましく、1.0〜3.0wt%が好適である。ちなみに、PVAの粘度は、分子量によって規定されるものであり、分子量が小さいと濡れ性が向上されるものの、流路内にインクを通水した際にインクに直ぐに溶けてしまい、表面処理膜210の表面処理膜としての機能が維持されない。したがって、PVAとしては、分子量がある程度大きなものを用いた方が、表面処理膜210の表面処理膜としての機能を長時間に亘って維持することができ、気泡排出性を向上することができる。
また、界面活性剤は、少なすぎると接着剤の表面に形成される表面処理膜210が比較的薄く形成されることや形成されない領域が発生するため、0.1wt%以上が好ましい。また、界面活性剤は、多すぎると表面処理膜210が厚くなり、表面処理膜210の自己応力で剥離してしまう虞があるため、1.0wt%以下とするのが好ましい。
したがって、本実施形態では、処理液220として、例えば、平均分子量が900〜1000、完全けん化型のPVAが1.0〜5.0wt%となるPVA水溶液に、ポリエーテル変性ジエチルシロキサンからなる界面活性剤を0.1〜1.0wt%添加したものを用いた。
なお、処理液220の通水又は充填は、ノズル開口21側から処理液220を吸引してもよく、また、導入路44側から処理液220を圧送するようにしてもよい。
そして、流路内に処理液220を通水又は充填保持した後は、流路から処理液220を排出し、乾燥させることで、図4に示すように、流路の内面及び第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面に亘って連続した表面処理膜210が形成される。なお、乾燥は、常温放置による自然乾燥であっても、加熱乾燥であっても、流路内にエアーを送風したエアー乾燥であってもよい。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIIでは、インクを噴射する際に、インクカートリッジ2から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。このとき、流路内及び第1接着剤201、第2接着剤202、第4接着剤204及び第5接着剤205の表面には、親水性を有する表面処理膜210が設けられているため、インクに含まれる気泡は、流路の途中で捕捉され難く、ノズル開口21から排出され易い。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
なお、流路内にインクを通すことで、PVAを含む表面処理膜210は、インクに溶解して除去される。すなわち、表面処理膜210は、インクの初期充填時に形成されていればよい。ちなみに、インクジェット式記録ヘッドIIに試験的にインクや試験液を通水した後、インクや試験液を除去して出荷する場合には、出荷前に再度、表面処理膜210を設けるようにすればよい。すなわち、インクの噴射を行わせるための最初の初期充填時に表面処理膜210が設けられていれば、初期充填時にインク充填不良が発生し難く、インクの噴射不良が発生し難い。このように、本実施形態では、表面処理膜210は、インクジェット式記録ヘッドIIの組み立て後に流路内に処理液220を通水又は充填保持することで容易に形成することができるため、組み立て途中で形成する場合に比べて容易に且つ何度でも表面処理膜210を形成することができる。また、表面処理膜210を形成する度にインクジェット式記録ヘッドIIを分解する必要がない。
また、ヘッド本体11の液体噴射面20a側には、本実施形態の保護板であるカバーヘッド130が設けられている。カバーヘッド130は、コンプライアンス基板45の連通板15とは反対面側に接合されており、コンプライアンス部49の流路(マニホールド100)とは反対側の空間を封止する。なお、カバーヘッド130には、ノズル開口21を露出する露出開口部131が設けられている。本実施形態では、露出開口部131は、ノズルプレート20を露出する大きさ、つまり、コンプライアンス基板45と同じ開口を有する。
また、カバーヘッド130は、本実施形態では、ヘッド本体11の側面(液体噴射面20aとは交差する面)を覆うように、液体噴射面20a側から端部が屈曲して設けられている。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、流路内及び流路に露出された接着剤の表面に亘って表面処理膜が設けられているが、特にこれに限定されず、例えば、流路を形成する材料によっては表面処理膜が形成されていなくてもよい。すなわち、少なくとも流路内に露出する接着剤の表面に表面処理膜が設けられていてもよい。なお、表面処理膜は、流路内に露出された接着剤の表面の全面に亘って形成されているものに限定されず、例えば、接着剤の表面に一様に形成されていればよい。
さらに、上述した実施形態では、流路形成基板10とノズルプレート20とが連通板15を介して接合された構成を例示したが、特にこれに限定されず、流路形成基板10とノズルプレート20とが直接接合されていてもよい。
また、上述した実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドIIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図6は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図6に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッドIIを有するインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニット1とも言う)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1は、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッドII(ヘッドユニット1)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるインクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッドIIとをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 II インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 1 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、 10 流路形成基板(第1流路部材)、 11 ヘッド本体、 12 圧力発生室、 15 連通板(第2流路部材)、 16 ノズル連通路(第1流路)、 17 第1マニホールド部(第1流路)、 18 第2マニホールド部(第1流路)、 19 供給連通路(第1流路)、 20 ノズルプレート(第2流路部材)、 20a 液体噴射面、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 40 ケース部材(第2流路部材)、 45 コンプライアンス基板(第2流路部材)、 50 振動板、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 100 マニホールド、 120 駆動回路、 130 カバーヘッド、 201 第1接着剤、 202 第2接着剤、 203 第3接着剤、 204 第4接着剤、 205 第5接着剤、 210 表面処理膜、 220 処理液

Claims (10)

  1. 第1流路が設けられた第1流路部材と、
    前記第1流路部材に接着剤によって接着された第2流路部材と、を具備する液体噴射ヘッドであって、
    少なくとも前記第1流路部材と前記第2流路部材との接着部分において露出された前記接着剤の表面には、前記第1流路に供給される液体の前記接着剤に対する接触角よりも小さい接触角となる親水性樹脂及び界面活性剤を含む表面処理膜が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記親水性樹脂が、水溶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記表面処理膜が、前記接着剤の表面から前記第1流路の内面に亘って連続して設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記接着剤がノニオン系材料であり、
    前記界面活性剤がノニオン系活性剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記接着剤がイオン化材料であり、
    前記界面活性剤が、アニオン系活性剤又はカチオン系活性剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記接着剤がノニオン系材料の場合、当該接着剤がシリコーン系接着剤であり、前記親水性樹脂がポリビニルアルコールであり、前記界面活性剤がジメチルシリコーンエステル型のノニオン系活性剤であることを特徴とする請求項5記載の液体噴射ヘッド。
  8. 前記接着剤が、イオン化材料の場合、当該接着剤がエポキシ系接着剤であり、前記親水性樹脂がポリビニルアルコールであり、前記界面活性剤がカルボン酸型及びスルホン酸型の少なくとも一方のアニオン系活性剤、又は、アミン型のカチオン系活性剤であることを特徴とする請求項6記載の液体噴射ヘッド。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  10. 第1流路が設けられた第1流路部材と、前記第1流路部材に接着剤によって接着された第2流路部材と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記第1流路に供給される液体の前記接着剤に対する接触角よりも小さい接触角となる親水性樹脂及び界面活性剤を含む処理液を前記第1流路内に供給して、少なくとも前記第1流路部材と前記第2流路部材との接着部分において露出された前記接着剤の表面に表面処理膜を設けることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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