JP2010148269A - 保護継電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】三要素保護継電器において過負荷および短絡の判別とデルタ結線における欠相および断線の判別もすることができる保護継電システムを提供する。
【解決手段】保護継電システムは、2次コイルを巻装した環状鉄心に三相電源線のR相およびS相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させたクロス貫通変流器11と、三相電源線のT相に設けられた変流器12と、クロス貫通変流器11から入力される合成電流IR-Sと変流器12から入力されるT相電流ITとに基づいて三相電源線における過負荷、短絡、反相、欠相および断線の発生を検出する3Eリレー20とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護継電システムに関し、特に、三要素保護継電器を用いて三相交流回路における過負荷、短絡、反相、欠相および断線の発生を検出するのに好適な保護継電システムに関する。
従来、たとえば図14に示すように、三要素保護継電器である三相誘導電動機用3Eリレー110(以下、「3Eリレー110」と称する。)は、三相電源線(三相交流回路)のR相、S相およびT相にそれぞれ設けられた第1乃至第3の変流器(CT)11〜13から入力されるR相、S相およびT相電流IR,IS,ITの値と三相電源線に設けられた計器用変成器(VT)2から入力されるR相、S相およびT相電圧VR,VS,VTの値とに基づいて以下に示すようにして過負荷、反相および欠相を検出すると、三相電源線のR相、S相およびT相にそれぞれ設けられた第1乃至第3の遮断器31〜33を遮断するための第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を第1乃至第3の遮断器31〜33にそれぞれ出力する。
(1)過負荷検出
R相、S相およびT相電流IR,IS,ITの最大値が設定値以上であるか否か。
(2)反相検出
(a)電流反相検出タイプ:R相、S相およびT相電流IR,IS,ITの値が設定値以下であるか否か。
(b)電圧反相検出タイプ:R相、S相およびT相電圧VR,VS,VTの値が設定値以下であるか否か。
(3)欠相検出
R相、S相およびT相電流IR,IS,ITの最小値が設定値以上であるか否か。
なお、下記の特許文献1には、三相交流入力を直流変換する機能を有した検出部を備え、検出部の出力の三相の平均実効値と過電流レベル整定回路の整定値を比較器で比較して過電流を判定するとともに、検出部の出力の三相の平均実効値と各相の実効値を3個の比較器で各々比較して欠相を判定する三相誘導電動機用2Eリレーにおいて、交流回路に高調波が含有し、そのピーク値が変動しても不要動作および動作遅延が起こらず、安定して動作できるようにするために、検出部を、熱電対を有し、周波数に関係無く交流入力の実効値に比例した直流起電力を得る熱電形変換器で構成した三相誘導電動機用2Eリレーが開示されている。
特開平9−298832号公報
しかしながら、従来の3Eリレー110は、R相、S相およびT相電流IR,IS,ITの値およびR相、S相およびT相電圧VR,VS,VTの値に基づいて過負荷、反相および欠相を検出しているので、過負荷および短絡を判別することができないとともに、デルタ結線における欠相および断線を判別することができないという問題があった。
本発明の目的は、三要素保護継電器において過負荷および短絡の判別とデルタ結線における欠相および断線の判別もすることができる保護継電システムを提供することにある。
本発明の保護継電システムは、三相交流回路の第1および第2の相にそれぞれ流れる第1および第2の相電流(IR,IS)の差電流(IR-S)と該三相交流回路の第3の相に流れる第3の相電流(IT)とに基づいて、該三相交流回路における過負荷、短絡、反相、欠相および断線の発生を検出する三要素保護継電器(20)を具備することを特徴とする。
ここで、2次コイルを巻装した環状鉄心に前記三相交流回路の前記第1および第2の相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させたクロス貫通変流器(11)と、前記三相交流回路の前記第3の相に設けられた変流器(12)とをさらに具備し、前記三要素保護継電器が、前記クロス貫通変流器から入力される合成電流(IR-S)の電流変化率(KR-S)、位相変化角(ΔθR-S)および位相差(α)と前記変流器から入力される相電流(IT)の電流変化率(KT)とに基づいて、前記三相交流回路における過負荷および短絡の発生を検出し、前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率とに基づいて前記三相交流回路における反相の発生を検出し、前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率に基づいてスター結線された前記三相交流回路における欠相・断線の発生を検出し、前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率とに基づいてデルタ結線された前記三相交流回路における欠相および断線の発生を検出してもよい。
前記三要素保護継電器が、前記合成電流の電流変化率が所定の過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相変化角が過負荷・短絡検出位相変化角範囲内の値であると、「前記三相交流回路において過負荷が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値未満であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において第1−第2相短絡が発生した」と判定し、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第3の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において第2−第3相短絡が発生した」と判定し、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第4の過負荷・短絡検出位相差範囲の値であると、「前記三相交流回路において第3−第1相短絡が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第1の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相変化角が過負荷・短絡検出位相変化角範囲内の値でないと、「前記三相交流回路において三相短絡が発生した」と判定してもよい。
前記三要素保護継電器が、前記合成電流の電流変化率および前記相電流の電流変化率が共に所定の反相検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の反相検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において反相が発生した」と判定してもよい。
前記三要素保護継電器が、前記合成電流の電流変化率が所定の欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の欠相・断線検出位相差範囲内の値であると、「スター結線された前記三相交流回路において第1の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第1の相欠相が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の欠相・断線検出位相差範囲内の値であると、「スター結線された前記三相交流回路において第2の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第2の相欠相が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が所定の欠相・断線検出電流変化率値以下であると、「スター結線された前記三相交流回路において第3の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第3の相欠相が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が所定の第1の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、前記相電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流率値よりも大きいと、「デルタ結線された前記三相交流回路において第1・第2の相断線が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲および前記第1の断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が所定の第2の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の断線検出位相差範囲内の値であると、「デルタ結線された前記三相交流回路において第2・第3の相断線が発生した」と判定し、前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲および前記第1の断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が前記第2の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の断線検出位相差範囲内の値であると、「デルタ結線された前記三相交流回路において第3・第1の相断線が発生した」と判定してもよい。
本発明の保護継電システムは、以下に示す効果を奏する。
(1)2次コイルを巻装した環状鉄心に三相交流回路の第1および第2の相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させたクロス貫通変流器を用いることにより、三要素保護継電器にはクロス貫通変流器からの合成電流と変流器からの相電流との2つの電流を入力すればよいので、三要素保護継電器の入力変換器の数を減らすことができる。
(2)合成電流の電流変化率、位相変化角および位相差と相電流の電流変化率とに基づいて三相交流回路における過負荷および短絡の発生を検出することにより、三要素保護継電器において過負荷および短絡の判別をすることができる。
(3)合成電流の電流変化率および位相差と相電流の電流変化率とに基づいて三相交流回路における欠相および断線の発生を検出することにより、三要素保護継電器においてデルタ結線された三相交流回路における欠相および断線の判別をすることができる。
上記の目的を、三要素保護継電器が、2次コイルを巻装した環状鉄心に三相交流回路の第1および第2の相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させたクロス貫通変流器から入力される合成電流と三相交流回路の第3の相に設けられた変流器から入力される相電流とに基づいて、三相交流回路における過負荷、短絡、反相、欠相および断線の発生を検出することにより実現した。
以下、本発明の保護継電システムの実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による保護継電システムは、図1に示すように、三相電源線のR相およびS相がクロスするように貫通されたクロス貫通変流器11と、三相電源線のT相に設けられた変流器12と、クロス貫通変流器11から入力される合成電流IR-Sと変流器12から入力されるT相電流ITとに基づいて三相電源線における過負荷、短絡、反相、欠相および断線を検出する三相誘導電動機用3Eリレー20(以下、「3Eリレー20」と称する。)とを具備する。
ここで、クロス貫通変流器11は、2次コイルを巻装した環状鉄心に三相電源線のR相およびS相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させた貫通形変流器である。
すなわち、三相電源線のR相はクロス貫通変流器11の極性方向(環状鉄心の第1の開口面から環状鉄心の第2の開口面への方向)に貫通されているが、三相電源線のS相はクロス貫通変流器11の反極性方向(環状鉄心の第2の開口面から環状鉄心の第1の開口面への方向)に貫通されている。
したがって、正常時におけるR相、S相およびT相電流IR,IS,IT並びに合成電流IR-SをIR0,IS0,IT0およびI(R-S)0で表すと、R相電流IR0およびS相電流IS0は図2に示すように120°の位相差でクロス貫通変流器11の環状鉄心を逆向きに貫通して流れる(すなわち、R相電流IR0はクロス貫通変流器11の環状鉄心を極性方向に貫通して流れ、S相電流IS0はクロス貫通変流器11の環状鉄心を反極性方向に貫通して流れる)ため、クロス貫通変流器11から3Eリレー20に入力される合成電流I(R-S)0はR相電流IR0とS相電流IS0との差電流(ベクトル差)となり、合成電流I(R-S)0の値|I(R-S)0|はR相電流IR0の値|IR0|(S相電流IS0の値|IS0|)の31/2倍となる。
(R-S)0=IR0−IS0
|I(R-S)0|=|IR0−IS0|=31/2×|IR0|(=31/2×|IS0|)
3Eリレー20は、クロス貫通変流器11から入力される合成電流IR-Sの電流変化率KR-S、位相変化角ΔθR-Sおよび位相差α(T相電流ITの位相θTに対する位相差であり、遅れ位相を正の値で進み位相を負の値で示す。以下同様)と変流器12から入力されるT相電流ITの電流変化率KTとに基づいて過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡を検出する。
また、3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sおよび位相差αとT相電流ITの電流変化率KTとに基づいてR−S相反相、S−T相反相およびT−R相反相を検出する。
さらに、3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sおよび位相差αとT相電流ITの電流変化率KTとに基づいて、スター結線された三相電源線におけるR相欠相・断線、S相欠相・断線およびT相欠相・断線を検出するとともに、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sおよび位相差αとT相電流ITの電流変化率KTとに基づいて、デルタ結線された三相電源線におけるR相欠相、S相欠相、T相欠相、RS相断線、ST相断線およびTR相断線を検出する。
3Eリレー20は、以上のようにして過負荷などを検出すると、第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を第1乃至第3の遮断器31〜33にそれぞれ出力する。
次に、3Eリレー20における過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡の検出方法について、図3および図4を参照して詳しく説明する。
なお、以下では、説明の簡単のために、R相、S相およびT相電流IR,IS,ITの定格電流値を“1”とし、R相、S相およびT相電圧VR,VS,VTの定格電圧値を“1”とする。また、正常時のR相、S相およびT相電流IR0,IS0,IT0の値をR相、S相およびT相電流IR,IS,ITの定格電流値(すなわち、|IR0|=|IS0|=|IT0|=1)とし、正常時のR相電流IR0の位相θR0を0°とする。さらに、過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡の検出値を定格電流の115%以上とする。
(1)正常時の合成電流I(R-S)0およびT相電流IT0
正常時の合成電流I(R-S)0の値|I(R-S)0|および位相θ(R-S)0と正常時のT相電流IT0の値|IT0|および位相θT0とは(1−1)式から(1−4)式でそれぞれ表される(図2参照)。
|I(R-S)0|=|IR0−IS0|=31/2×|IR0|=31/2×1=31/2 (1−1)
θ(R-S)0=330° (1−2)
|IT0|=1 (1−3)
θT0=240° (1−4)
(2)過負荷時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
過負荷が発生して定格電流値(この例では、正常時のR相、S相およびT相電流IR0,IS0,IT0)の1.15倍のR相、S相およびT相電流IR,IS,ITが三相電源線のR相、S相およびT相にそれぞれ流れたとすると、過負荷時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-S、位相θR-Sおよび位相変化角ΔθR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差α(=θR-S−θT)は(2−1)式から(2−8)式でそれぞれ表される(図3参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=31/2×|IR|=31/2×(1.15×|IR0|)
=31/2×(1.15×1)=31/2×1.15 (2−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(31/2×1.15)/31/2
=1.15 (2−2)
θR-S=330° (2−3)
ΔθR-S=θR-S−θ(R-S)0=330°−330°=0° (2−4)
|IT|=1.15×|IT0|=1.15 (2−5)
T=|IT|/|IT0|=1.15/1=1.15 (2−6)
θT=240° (2−7)
α=θR-S−θT=330°−240°=90° (2−8)
(3)R−S相短絡時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
R相−S相間の短絡事故(R−S相短絡)が発生すると、三相電源線のR相およびS相にR相事故電流IFRおよびS相事故電流IFSが逆方向に流れるが、三相電源線のT相には正常時のT相電流IT0が流れたままとなる。
したがって、定格電流値(この例では、正常時のR相およびS相電流IR0,IS0)の1.15倍のR相およびS相事故電流IFR,IFSが流れたとすると、R−S相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(3−1)式から(3−7)式でそれぞれ表される(図4(a)参照)。なお、R相、S相およびT相事故電流IFR,IFS,IFTのインピーダンス角θ=75°とする。
|IR-S|=|IFR−IFS|=2×|IFR|=2×(1.15×|IR0|)
=2×(1.15×1)=2.3 (3−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(2.3)/31/2(=1.328) (3−2)
θR-S=45° (3−3)
|IT|=|IT0|=1 (3−4)
T=|IT|/|IT0|=1/1=1 (3−5)
θT=240° (3−6)
α=θR-S−θT=45°−240°=−195°=165° (3−7)
(4)S−T相短絡時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
S相−T相間の短絡事故(S−T相短絡)が発生すると、三相電源線のS相およびT相にS相事故電流IFSおよびT相事故電流IFTが逆方向に流れるが、三相電源線のR相には正常時のR相電流IR0が流れたままとなる。
したがって、定格電流値(この例では、正常時のS相およびT相電流IS0,IT0)の1.15倍のS相およびT相事故電流IFS,IFTが流れたとすると、S−T相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(4−1)式から(4−7)式でそれぞれ表される(図4(b)参照)。
|IR-S|=|IR0−IFS|=|IR0−1.15IS0
=(|IR02+|1.15IS02−2×|IR0|×|1.15IS0|×cos165°)1/2
=(12+1.152−2×1×1.15×cos165°)1/2
=2.132 (4−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=2.132/31/2=1.231 (4−2)
θR-S=353° (4−3)
|IT|=|IFT|=|1.15IT0|=1.15 (4−4)
T=1.15/1=1.15 (4−5)
θT=360°−(90°−75°)=345° (4−6)
α=θR-S−θT=353°−345°=8° (4−7)
また、定格電流値よりも過大なS相およびT相事故電流IFS,IFTが流れたとすると、S−T相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(4−11)式から(4−17)式でそれぞれ表される(図4(b)の一点鎖線参照)。
|IR-S|=|−IFS|≫|1.15IS0|≫1.15 (4−11)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|≫1.15/31/2(=0.664) (4−12)
θR-S=345° (4−13)
|IT|=|IFT|≫|1.15IT0|≫1.15 (4−14)
T≫1.15/1≫1.15 (4−15)
θT=360°−(90°−75°)=345° (4−16)
α=θR-S−θT=345°−345°=0° (4−17)
(5)T−R相短絡時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
T相−R相間の短絡事故(T−R相短絡)が発生すると、三相電源線のT相およびR相にT相事故電流IFTおよびR相事故電流IFRが逆方向に流れるが、三相電源線のS相には正常時のS相電流IS0が流れたままとなる。
したがって、定格電流値(この例では、正常時のT相およびR相電流IT0,IR0)の1.15倍のT相およびR相事故電流IFT,IFRが流れたとすると、T−R相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(5−1)式から(5−7)式でそれぞれ表される(図4(c)参照)。
|IR-S|=|IFR−IS0|=|1.15IR0−IS0
=(|1.15IR02+|IS02−2×|1.15IR0|×|IS0|×cos15°)1/2
=(1.152+12−2×1.15×1×cos15°)1/2
=0.318 (5−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=0.318/31/2=0.183 (5−2)
θR-S=50.4° (5−3)
|IT|=|IFT|=1.15×|IT0|=1.15 (5−4)
T=|IT|/|IT0|=1.15/1=1.15 (5−5)
θT=(240°−30°)+75°=285° (5−6)
α=θR-S−θT=50.4°−285°=−234.6°
=125.4° (5−7)
また、定格電流値よりも過大なT相およびR相事故電流IFT,IFRが流れたとすると、T−R相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(5−11)式から(5−17)式でそれぞれ表される(図4(c)の一点鎖線参照)。
|IR-S|=|IFR|≫1.15×|IR0|≫1.15 (5−11)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|≫1.15/31/2(=0.664) (5−12)
θR-S=105° (5−13)
|IT|=|IFT|≫1.15×|IT0|≫1.15 (5−14)
T≫1.15/1≫1.15 (5−15)
θT=(240°−30°)+75°=285° (5−16)
α=θR-S−θT=105°−285°=−180°
=180° (5−17)
(6)三相短絡時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相短絡事故(三相短絡)が発生すると、三相電源線のR相、S相およびT相にR相事故電流IFR、S相事故電流IFSおよびT相事故電流IFTが位相差120°でそれぞれ流れる。
したがって、定格電流値(この例では、正常時のR相、S相およびT相電流IR0,IS0,IT0)の1.15倍のR相、S相およびT相事故電流IFR,IFS,IFTが流れたとすると、三相短絡時の合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-S、位相θR-Sおよび位相変化角ΔθR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(6−1)式から(6−8)式でそれぞれ表される(図4(d)参照)。
|IR-S|=|IFR−IFS|=31/2×|IFR|=31/2×(|1.15IR0|)
=31/2×(1.15×1)=31/2×1.15
(=1.992) (6−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(31/2×1.15)/31/2
=1.15 (6−2)
θR-S=45° (6−3)
ΔθR-S=θR-S−θ(R-S)0=45°−330°=−285°=75° (6−4)
|IT|=|IFT|=|1.15IT0|=1.15×1=1.15 (6−5)
T=|IT|/|IT0|=1.15/1=1.15 (6−6)
θT=240°+75°=315° (6−7)
α=θR-S−θT=45°−315°=−270°=90° (6−8)
(7)過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡の検出
合成電流IR-Sの位相θR-Sがアーク抵抗の影響により−45°〜15°の範囲で変動することを考慮する。
(a)過負荷の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1.15)が所定の過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)以上であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=90°)が第1の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、80°〜100°)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-S(=0°)が所定の過負荷・短絡検出位相変化角範囲(たとえば、−30°〜30°)内の値であると、「過負荷が発生した」と判定する。
(b)R−S相短絡の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1.328)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)以上であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1)が過負荷・短絡検出電流変化率値未満であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=165°)が所定の第2の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、120°〜180°)内の値であると、「R−S相短絡が発生した」と判定する。
(c)S−T相短絡の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1.231)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)以上であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差(=8°)が第3の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、0°〜27.7°)内の値であると、「S−T相短絡が発生した」と判定する。
また、3Eリレー20は、定格電流値よりも過大なS相およびT相事故電流IFS,IFTが流れたときのために、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(≫0.664)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)未満であっても、T相電流ITの電流変化率KT(≫1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差(=0°)が第3の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、0°〜27.7°)内の値であると、「S−T相短絡が発生した」と判定する。
(d)T−R相短絡の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.183)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)未満であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差(=125.4°)が第4の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、119.6°〜180°)内の値であると、「T−R相短絡が発生した」と判定する。
また、3Eリレー20は、定格電流値よりも過大なT相およびR相事故電流IFT,IFRが流れたときのために、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(≫0.664)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)以上であっても、T相電流ITの電流変化率KT(≫1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差(=180°)が第4の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、119.6°〜180°)内の値であると、「T−R相短絡が発生した」と判定する。
(e)三相短絡の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値(たとえば、1.15)以上であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1.15)が過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=90°)が第1の過負荷・短絡検出位相差範囲(たとえば、80°〜100°)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-S(=75°)が所定の過負荷・短絡検出位相変化角範囲(たとえば、−30°〜30°)内の値でないと、「三相短絡が発生した」と判定する。
次に、3Eリレー20におけるR−S相反相、S−T相反相およびT−R相反相の検出方法について、図5を参照して詳しく説明する。
(1)正常時の合成電流I(R-S)0およびT相電流IT0
正常時の合成電流I(R-S)0の値|I(R-S)0|および位相θ(R-S)0とT相電流IT0の値|IT0|および位相θT0と合成電流I(R-S)0の位相差αとは(7−1)式から(7−5)式でそれぞれ表される(図5(a)参照)。
|I(R-S)0|=|IR0−IS0|=31/2×|IR0|=31/2 (7−1)
θ(R-S)0=330° (7−2)
|IT0|=1 (7−3)
θT0=240° (7−4)
α=θ(R-S)0−θT0=330°−240°=90° (7−5)
(2)R−S相反相時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のR相およびS相が逆になる(R−S相反相)と、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(8−1)式から(8−7)式でそれぞれ表される(図5(b)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=31/2×|IR|=31/2×|IR0|=31/2×1
=31/2 (8−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=31/2/31/2=1 (8−2)
θR-S=150° (8−3)
|IT|=|IT0|=1 (8−4)
T=|IT|/|IT0|=1/1=1 (8−5)
θT=240° (8−6)
α=θR-S−θT=150°−240°=−90° (8−7)
(3)S−T相反相時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のS相およびT相が逆になる(S−T相反相)と、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(9−1)式から(9−7)式でそれぞれ表される(図5(c)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=31/2×|IR|=31/2×|IR0|=31/2×1
=31/2 (9−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=31/2/31/2=1 (9−2)
θR-S=30° (9−3)
|IT|=|IT0|=1 (9−4)
T=|IT|/|IT0|=1/1=1 (9−5)
θT=120° (9−6)
α=θR-S−θT=30°−120°=−90° (9−7)
(4)T−R相反相時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のT相およびR相が逆になる(T−R相反相)と、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(10−1)式から(10−7)式でそれぞれ表される(図5(d)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=31/2×|IR|=31/2×|IR0|=31/2×1
=31/2 (10−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=31/2/31/2=1 (10−2)
θR-S=270° (10−3)
|IT|=|IT0|=1 (10−4)
T=|IT|/|IT0|=1/1=1 (10−5)
θT=360° (10−6)
α=θR-S−θT=270°−360°=−90° (10−7)
(5)反相の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1)およびT相電流ITの電流変化率KT(=1)が共に所定の反相検出電流変化率範囲(たとえば、0.9〜1.1)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=−90°)が所定の反相検出位相差範囲(たとえば、−150°〜−90°)内の値であると、「反相が発生した」と判定する。
次に、3Eリレー20におけるスター結線された三相電源線のR相欠相・断線、S相欠相・断線およびT相欠相・断線の検出方法について、図6を参照して詳しく説明する。
(1)正常時の合成電流I(R-S)0およびT相電流IT0
正常時の合成電流I(R-S)0の値|I(R-S)0|および位相θ(R-S)0とT相電流IT0の値|IT0|および位相θT0と合成電流I(R-S)0の位相差αとは上記(7−1)式から上記(7−5)式でそれぞれ表される(図5(a)参照)。
(2)R相欠相・断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のR相の欠相または断線(R相欠相・断線)が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(11−1)式から(11−7)式でそれぞれ表される(図6(a)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=|IS|=|IS0|×cos30°
=1×(31/2/2)=31/2/2 (11−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(31/2/2)/31/2=0.5 (11−2)
θR-S=270° (11−3)
|IT|=|IT0|×cos30°=1×cos30°=31/2/2 (11−4)
T=|IT|/|IT0|=(31/2/2)/1=31/2/2
(=0.866) (11−5)
θT=270° (11−6)
α=θR-S−θT=270°−270°=0° (11−7)
(3)S相欠相・断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のS相の欠相または断線(S相欠相・断線)が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(12−1)式から(12−7)式でそれぞれ表される(図6(b)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=|IR|=|IR0|×cos30°
=1×(31/2/2)=31/2/2 (12−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(31/2/2)/31/2=0.5 (12−2)
θR-S=30° (12−3)
|IT|=|IT0|×cos30°=1×cos30°=31/2/2 (12−4)
T=|IT|/|IT0|=(31/2/2)/1=31/2/2
(=0.866) (12−5)
θT=210° (12−6)
α=θR-S−θT=30°−210°=−180°(=180°) (12−7)
(4)T相欠相・断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のT相の欠相または断線(T相欠相・断線)が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θT-合成電流IR-Sの位相差αとは(13−1)式から(13−7)式でそれぞれ表される(図6(c)参照)。
|IR-S|=|IR−IS|=|IR|+|IS
=|IR0|×cos30°+|IS0|×cos30°
=1×cos30°+1×cos30°
=2×(1×cos30°)=31/2 (13−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=31/2/31/2=1 (13−2)
θR-S=330° (13−3)
|IT|=0 (13−4)
T=|IT|/|IT0|=0/1=0 (13−5)
θT=240° (13−6)
α=θR-S−θT=330°−240°=90° (13−7)
(5)R相欠相・断線、S相欠相・断線およびT相欠相・断線の検出
(a)R相欠相・断線の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.5)が所定の欠相・断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.4〜0.6)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=0°)が所定の第1の欠相・断線検出位相差範囲(たとえば、−30°〜30°)内の値であると、「R相欠相・断線が発生した」と判定する。
(b)S相欠相・断線の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.5)が欠相・断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.4〜0.6)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=180°)が所定の第2の欠相・断線検出位相差範囲(たとえば、150°〜210°)内の値であると、「S相欠相・断線が発生した」と判定する。
(c)T相欠相・断線の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=1)が欠相・断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.4〜0.6)内の値でなく、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=0)が所定の欠相・断線検出電流変化率値(たとえば、0.1)以下であると、「T相欠相・断線が発生した」と判定する。
次に、3Eリレー20におけるデルタ結線された三相電源線のR相欠相、S相欠相、T相欠相、RS相断線、ST相断線およびTR相断線の検出方法について、図7を参照して詳しく説明する。
(1)正常時の合成電流I(R-S)0およびT相電流IT0
正常時の合成電流I(R-S)0の値|I(R-S)0|および位相θ(R-S)0とT相電流IT0の値|IT0|および位相θT0と合成電流I(R-S)0の位相差αとは上記(7−1)式から上記(7−5)式でそれぞれ表される(図5(a)参照)。
(2)R相欠相、S相欠相およびT相欠相の検出
3Eリレー20は、上述したスター結線された三相電源線のR相欠相・断線、S相欠相・断線およびT相欠相・断線の検出と同様にして、三相電源線のR相欠相、S相欠相およびT相欠相を検出する。
(3)RS相断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のRS相断線が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(14−1)式から(14−7)式でそれぞれ表される(図7(a)参照)。
|IR-S|=|IR−IS
=(|IR2+|IS2−2×|IR|×|IS|×cos60°)1/2
={(|IR0|/31/22+(|IS0|/31/22−2×(|IR0|/31/2)×(|IS0|/31/2)×cos60°}1/2
={(1/31/22+(1/31/22−2×(1/31/2)×(1/31/2)×cos60°}1/2
=(1/3+1/3−1/3)1/2=1/31/2 (14−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(1/31/2)/31/2=0.333 (14−2)
θR-S=330° (14−3)
|IT|=1 (14−4)
T=|IT|/|IT0|=1/1=1 (14−5)
θT=240° (11−6)
α=θR-S−θT=330°−240°=90° (14−7)
(4)ST相断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のST相断線が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(15−1)式から(15−7)式でそれぞれ表される(図7(b)参照)。
|IR-S|=|IR−IS
={|IR2+|IS2−2×|IR|×|IS|×cos150°}1/2
={|IR02+(|IS0|/31/22−2×|IR0|×(|IS0|/31/2)×cos150°}1/2
={12+(1/31/22−2×1×(1/31/2)×cos150°}1/2
=(1+1/3+1)1/2=(7/3)1/2 (15−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(7/3)1/2/31/2
=71/2/3(=0.882) (15−2)
θR-S=349.1° (15−3)
|IT|=1/31/2 (15−4)
T=|IT|/|IT0|=(1/31/2)/1
=1/31/2(=0.577) (15−5)
θT=210° (15−6)
α=θR-S−θT=349.1°−210°=139.1° (15−7)
(4)TR相断線時の合成電流IR-SおよびT相電流IT
三相電源線のTR相断線が発生すると、合成電流IR-Sの値|IR-S|、電流変化率KR-Sおよび位相θR-SとT相電流ITの値|IT|、電流変化率KTおよび位相θTと合成電流IR-Sの位相差αとは(16−1)式から(16−7)式でそれぞれ表される(図7(c)参照)。
|IR-S|=|IR−IS
={|IR2+|IS2−2×|IR|×|IS|×cos150°}1/2
={(|IR0|/31/22+|IS02−2×(|IR0|/31/2)×|IS0|×cos150°}1/2
={(1/31/22+12−2×(1/31/2)×1×cos150°}1/2
=(1/3+1+1)1/2=(7/3)1/2 (16−1)
R-S=|IR-S|/|I(R-S)0|=(7/3)1/2/31/2
=71/2/3(=0.882) (16−2)
θR-S=310.9° (16−3)
|IT|=1/31/2 (16−4)
T=|IT|/|IT0|=(1/31/2)/1
=1/31/2(=0.577) (16−5)
θT=270° (16−6)
α=θR-S−θT=310.9°−270°=40.9° (16−7)
(5)RS相断線、ST相断線およびTR相断線の検出
(a)RS相断線の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.333)が所定の第1の断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.2〜0.4)内の値であり、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=1)が欠相・断線電流変化率値(たとえば、0.1)よりも大きいと、「RS相断線が発生した」と判定する。
(b)ST相断線の検出
3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.882)が欠相・断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.4〜0.6)および第1の断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.2〜0.4)内の値でなく、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(=0.577)が所定の第2の断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.5〜0.7)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=139.1°)が所定の第1の断線検出位相差範囲(たとえば、110°〜170°)内の値であると、「ST相断線が発生した」と判定する。
(c)TR相断線の検出
そこで、3Eリレー20は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-S(=0.882)が欠相・断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.4〜0.6)および第1の断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.2〜0.4)内の値でなく、かつ、T相電流ITの電流変化率KT(==0.577)が第2の断線検出電流変化率範囲(たとえば、0.5〜0.7)内の値であり、かつ、合成電流IR-Sの位相差α(=40.9°)が所定の第2の断線検出位相差範囲(たとえば、10°〜70°)内の値であると、「TR相断線が発生した」と判定する。
次に、3Eリレー20の構成について、図8を参照して説明する。
3Eリレー20は、図8に示すように、入力変換器21と、アナログ入力部22と、メモリ23と、電流変化率算出部24と、位相変化角算出部25と、位相差算出部26と、リレー演算処理部27と、整定・表示部28と、入出部29と、外部機器I/F部30とを備える。
ここで、入力変換器21は、クロス貫通変流器11から入力される合成電流IR-Sおよび変流器12から入力されるT相電流ITのレベルをアナログ入力部22の処理に適したレベルに変換する。
アナログ入力部22は、バンドパスフィルタとサンプリングホールド回路とマルチプレクサ回路とアナログ/ディジタル変換器とを備え、入力変換器21から入力されるアナログの合成電流IR-SおよびT相電流ITをディジタルの合成電流IR-SおよびT相電流ITに変換する。
メモリ23は、アナログ入力部22によってディジタルデータに変換された合成電流IR-SおよびT相電流ITを格納するためのものである。
電流変化率算出部24は、メモリ23に格納されているR相、S相およびT相電流IR,IS,ITの定格電流値に基づいて、アナログ入力部22から入力される合成電流IR-SおよびT相電流ITの電流変化率KR-S,KTを算出する。
位相変化角算出部25は、アナログ入力部22から入力される合成電流IR-Sの位相θR-Sからメモリ23に格納されている正常時の合成電流I(R-S)0の位相θ(R-S)0を引くことにより、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-Sを算出する。
位相差算出部26は、アナログ入力部22から入力される合成電流IR-Sの位相θR-Sからアナログ入力部22から入力されるT相電流ITの位相θTまたはメモリ23に格納されている正常時のT相電流IT0の位相θT0を引くことにより、合成電流IR-Sの位相差αを算出する。
リレー演算処理部27は、電流変化率算出部24によって算出された合成電流IR-Sの電流変化率KR-SおよびT相電流ITの電流変化率KTと位相変化角算出部25によって算出された合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-Sと位相差算出部26によって算出された合成電流IR-Sの位相差αと基づいて過負荷、過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡、三相短絡、R−S相反相、S−T相反相、T−R相反相、スター結線された三相電源線におけるR相欠相・断線、S相欠相・断線、T相欠相・断線、デルタ結線された三相電源線におけるR相欠相、S相欠相、T相欠相、RS相断線、ST相断線およびTR相断線を検出すると、第1乃至第3の遮断器31〜33(図1参照)をそれぞれ遮断するための第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を生成し、生成した第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を入出力部29および外部機器インターフェース部30を介して第1乃至第3の遮断器31〜33にそれぞれ出力する。
整定・表示部28は、過負荷・短絡検出電流変化率値、過負荷・短絡検出位相変化角範囲、第1乃至第4の過負荷・短絡検出位相差範囲、反相検出電流変化率範囲、反相検出位相差範囲、欠相・断線検出電流変化率範囲、欠相・断線検出電流変化率値、第1および第2の欠相・断線検出位相差範囲、第1および第2の断線検出電流変化率範囲並びに第1および第2の断線検出位相差範囲に基づいてリレー整定処理を行うとともに、整定値などを外部に表示する。
次に、以下に示す条件下におけるリレー演算処理部27の動作について説明する。
(1)過負荷・短絡検出電流変化率値=1.15、過負荷・短絡検出位相変化角範囲=−30°〜30°、第1の過負荷・短絡検出位相差範囲=80°〜100°、第2の過負荷・短絡検出位相差範囲=120°〜180°、第3の過負荷・短絡検出位相差範囲=0°〜27.7°、第4の過負荷・短絡検出位相差範囲=119.6°〜180°
(2)反相検出電流変化率範囲=0.9〜1.1、反相検出位相差範囲=−150°〜−90°
(3)欠相・断線検出電流変化率範囲=0.4〜0.6、欠相・断線検出電流変化率=0.1、第1の欠相・断線検出位相差範囲=−30°〜30°、第2の欠相・断線検出位相差範囲=150°〜210°
(4)第1の断線検出電流変化率範囲=0.2〜0.4、第2の断線検出電流変化率範囲=0.5〜0.7、第1の断線検出位相差範囲=110°〜170°、第2の断線検出位相差範囲=10°〜70°
まず、過負荷時または短絡事故発生時のリレー演算処理部27の動作について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sが過負荷・短絡検出電流変化率値(=1.15)以上であるか否かを調べ(ステップS11)、電流変化率KR-Sが過負荷・短絡検出電流変化率値以上であると、T相電流ITの電流変化率KTが過負荷・短絡検出電流変化率値以上であるか否かを調べ(ステップS12)、電流変化率KTが過負荷・短絡検出電流変化率値以上であると、合成電流IR-Sの位相差αが第1の過負荷・短絡検出位相差範囲(=80°〜100°)内の値であるか否かを調べる(ステップS13)。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの位相差αが第1の過負荷・短絡検出位相差範囲(=80°〜100°)内の値であると、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-Sが過負荷・短絡検出位相変化角範囲(−30°〜30°)内の値であるか否かを調べる(ステップS14)。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-Sが過負荷・短絡検出位相変化角範囲(−30°〜30°)内の値であると、「過負荷が発生した」と判定し(ステップS19a)、一方、合成電流IR-Sの位相変化角ΔθR-Sが過負荷・短絡検出位相変化角範囲内の値でないと、「三相短絡が発生した」と判定する(ステップS19e)。
ステップS12において電流変化率KTが過負荷・短絡検出電流変化率値未満であると、リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの位相差αが第2の過負荷・短絡検出位相差範囲(=120°〜180°)内の値であるか否かを調べ(ステップS15)、位相差αが第2の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「R−S相短絡が発生した」と判定する(ステップS19b)。
ステップS11において電流変化率KR-Sが過負荷・短絡検出電流変化率値未満であると、リレー演算処理部27は、T相電流ITの電流変化率KTが過負荷・短絡検出電流変化率値以上であるか否かを調べる(ステップS16)。
ステップS13において位相差αが第1の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値でないか、ステップS16において電流変化率KTが過負荷・短絡検出電流変化率値以上であると、リレー演算処理部27は、位相差αが第3の過負荷・短絡検出位相差範囲(=0°〜27.7°)内の値であるか否かを調べ(ステップS17)、位相差αが第3の過負荷・短絡検出位相差範囲であると、「S−T相短絡が発生した」と判定する(ステップS19c)。
一方、位相差αが第3の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値でないと、リレー演算処理部27は、位相差αが第4の過負荷・短絡検出位相差範囲(=119.6°〜180°)内の値であるか否かを調べ(ステップS18)、位相差αが第4の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「T−R相短絡が発生した」と判定する(ステップS19d)。
リレー演算処理部27は、以上のようにして過負荷、三相短絡、R−S相短絡、S−T相短絡またはT−R相短絡の発生を検出すると、第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を出力する(ステップS20)。
次に、反相発生時のリレー演算処理部27の動作について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sが反相検出電流変化率範囲(=0.9〜1.1)内の値であるか否かを調べ(ステップS21)、電流変化率KR-Sが反相検出電流変化率範囲内の値であると、T相電流ITの電流変化率KTが反相検出電流変化率範囲内の値であるか否かを調べ(ステップS22)、電流変化率KTが反相検出電流変化率範囲内の値であると、合成電流IR-Sの位相差αが反相検出位相差範囲(=−150°〜−90°)内の値であるか否かを調べる(ステップS23)。
リレー演算処理部27は、位相差αが反相検出位相差範囲内の値であると、「反相が発生した」と判定して(ステップS24)、第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を出力する(ステップS25)。
次に、スター結線における欠相・断線発生時のリレー演算処理部27の動作について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲(=0.4〜0.6)内の値であるか否かを調べ(ステップS31)、電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であると、合成電流IR-Sの位相差αが第1の欠相・断線検出位相差範囲(=−30°〜30°)または第2の欠相・断線検出位相差範囲(=150°〜210°)内の値であるか否かを調べる(ステップS32,S33)。
リレー演算処理部27は、位相差αが第1の欠相検出位相差範囲内の値であると、「R相欠相・断線が発生した」と判定し(ステップS35a)、一方、位相差αが第2の欠相検出位相差範囲内の値であると、「S相欠相・断線が発生した」と判定する(ステップS35b)。
ステップS31において電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲内の値でないと、リレー演算処理部27は、T相電流ITの電流変化率KTが欠相・断線検出電流変化率値(=0.1)以下であるか否かを調べ(ステップS34)、電流変化率KTが欠相・断線検出電流変化率値以下であると、「T相欠相・断線が発生した」と判定する(ステップS35c)。
リレー演算処理部27は、以上のようにしてR相欠相・断線、S相欠相・断線またはT相欠相・断線の発生を検出すると、第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を出力する(ステップS36)。
次に、デルタ結線における欠相または断線発生時のリレー演算処理部27の動作について、図12および図13に示すフローチャートを参照して説明する。
リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲(=0.4〜0.6)内の値であるか否かを調べ(ステップS41)、電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であると、合成電流IR-Sの位相差αが第1の欠相・断線検出位相差範囲(=−30°〜30°)または第2の欠相・断線検出位相差範囲(=150°〜210°)内の値であるか否かを調べる(ステップS42,S43)。
リレー演算処理部27は、位相差αが第1の欠相検出位相差範囲内の値であると、「R相欠相が発生した」と判定し(ステップS49a)、一方、位相差αが第2の欠相検出位相差範囲内の値であると、「S相欠相が発生した」と判定する(ステップS49b)。
ステップS41において電流変化率KR-Sが欠相・断線検出電流変化率範囲内の値でないと、リレー演算処理部27は、T相電流ITの電流変化率KTが欠相・断線検出電流変化率値(=0.1)以下であるか否かを調べる(ステップS44)。
リレー演算処理部27は、電流変化率KTが欠相・断線検出電流変化率値以下であると、「T相欠相が発生した」と判定する(ステップS49c)。
一方、ステップS44において電流変化率KTが欠相・断線検出電流変化率値よりも大きいと、リレー演算処理部27は、合成電流IR-Sの電流変化率KR-Sが第1の断線検出電流変化率範囲(=0.2〜0.4)内の値であるか否かを調べ(図13のステップS45)、電流変化率KR-Sが第1の断線検出電流変化率範囲内の値であると、「RS相断線が発生した」と判定する(ステップS49d)。
一方、ステップS45において電流変化率KR-Sが第1の断線検出電流変化率範囲内の値でないと、リレー演算処理部27は、T相電流ITの電流変化率KTが第2の断線検出電流変化率範囲(=0.5〜0.7)内の値であるか否かを調べ(ステップS46)、電流変化率KTが第2の断線検出電流変化率範囲内の値であると、合成電流IR-Sの位相差αが第1の断線検出位相差範囲(=110°〜170°)または第2の断線検出位相差範囲(=10°〜70°)内の値であるか否かを調べる(ステップS47)。
リレー演算処理部27は、位相差αが第1の断線検出位相差範囲内の値であると、「ST相断線が発生した」と判定し(ステップS49e)、一方、位相差αが第2の断線検出位相差範囲内の値であると、「TR相断線が発生した」と判定する(ステップS49f)。
リレー演算処理部27は、以上のようにしてR相欠相、S相欠相、T相欠相、RS相断線、ST相断線またはTR相断線の発生を検出すると、第1乃至第3のトリップ信号T1〜T3を出力する(ステップS50)。
以上の説明ではR相、S相およびT相電流IR,IS,ITの定格電流値を基準として合成電流IR-Sの電流変化率KR-SおよびT相電流ITの電流変化率KTを求めたが、負荷の変動が小さい場合などでは1サイクル前の正常時のR相、S相およびT相電流IR0,IS0,IT0の値を基準として合成電流IR-Sの電流変化率KR-SおよびT相電流ITの電流変化率KTを求めてもよい。
また、三相電源線のR相およびS相に設けたクロス貫通変流器11から合成電流IR-Sを3Eリレー20に入力するとともに三相電源線のT相に設けた変流器12からT相電流ITを3Eリレー20に入力したが、低電圧の三相電源線の場合には変流比が1:1のクロス貫通変流器11および変流器12を3Eリレー20に内蔵させてもよい。
本発明の一実施例による保護継電システムの構成を示す図である。 図1に示したクロス貫通変流器11および変流器12から3Eリレー20に正常時に入力される合成電流IR-SおよびT相電流ITについて説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20における過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡の検出方法について説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20における過負荷、R−S相短絡、S−T相短絡、T−R相短絡および三相短絡の検出方法について説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20におけるR−S相反相、S−T相反相およびT−R相反相の検出方法について説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20におけるスター結線された三相電源線のR相欠相・断線、S相欠相・断線およびT相欠相・断線の検出方法について説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20におけるデルタ結線された三相電源線のR相欠相、S相欠相、T相欠相、RS相断線、ST相断線およびTR相断線の検出方法について説明するための図である。 図1に示した3Eリレー20の構成を示すブロック図である。 過負荷時または短絡事故発生時の図8に示したリレー演算処理部27の動作について説明するためのフローチャートである。 反相発生時の図8に示したリレー演算処理部27の動作について説明するためのフローチャートである。 スター結線における欠相・断線発生時の図8に示したリレー演算処理部27の動作について説明するためのフローチャートである。 デルタ結線における欠相または断線発生時の図8に示したリレー演算処理部27の動作について説明するためのフローチャートである。 デルタ結線における欠相または断線発生時の図8に示したリレー演算処理部27の動作について説明するためのフローチャートである。 従来の三相誘導電動機用3Eリレー110について説明するための図である。
符号の説明
1〜13 第1乃至第3の変流器
2 計器用変成器
1〜33 第1乃至第3の遮断器
11 クロス貫通変流器
12 変流器
20,110 3Eリレー
21 入力変換器
22 アナログ入力部
23 メモリ
24 電流変化率算出部
25 位相変化角算出部
26 位相差算出部
27 リレー演算処理部
28 整定・表示部
29 入出部
30 外部機器I/F部
R,IS,IT R相、S相およびT相電流
R0,IS0,IT0 正常時のR相、S相およびT相電流
R-S 合成電流
(R-S)0 正常時の合成電流
FR,IFS,IFT R相、S相およびT相事故電流
R,VS,VT R相、S相およびT相電圧
1〜T3 第1乃至第3のトリップ信号
θR,θS,θT,θR-S 位相
θR0,θT0,θ(R-S) 0 正常時の位相
θ インピーダンス角
R-S,KT 電流変化率
α 位相差
S11〜S18,S19a〜S19d,S20〜S25,S31〜S34,S35a〜S35c,S41〜S48,S49a〜S49f,S50 ステップ

Claims (5)

  1. 三相交流回路の第1および第2の相にそれぞれ流れる第1および第2の相電流(IR,IS)の差電流(IR-S)と該三相交流回路の第3の相に流れる第3の相電流(IT)とに基づいて、該三相交流回路における過負荷、短絡、反相、欠相および断線の発生を検出する三要素保護継電器(20)を具備することを特徴とする、保護継電システム。
  2. 2次コイルを巻装した環状鉄心に前記三相交流回路の前記第1および第2の相を逆向きにかつ任意の角度でクロスさせて貫通させたクロス貫通変流器(11)と、
    前記三相交流回路の前記第3の相に設けられた変流器(12)とをさらに具備し、
    前記三要素保護継電器が、
    前記クロス貫通変流器から入力される合成電流(IR-S)の電流変化率(KR-S)、位相変化角(ΔθR-S)および位相差(α)と前記変流器から入力される相電流(IT)の電流変化率(KT)とに基づいて、前記三相交流回路における過負荷および短絡の発生を検出し、
    前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率とに基づいて前記三相交流回路における反相の発生を検出し、
    前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率に基づいてスター結線された前記三相交流回路における欠相・断線の発生を検出し、
    前記合成電流の電流変化率および位相差と前記相電流の電流変化率とに基づいてデルタ結線された前記三相交流回路における欠相および断線の発生を検出する、
    ことを特徴とする、請求項1記載の保護継電システム。
  3. 前記三要素保護継電器が、
    前記合成電流の電流変化率が所定の過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相変化角が過負荷・短絡検出位相変化角範囲内の値であると、「前記三相交流回路において過負荷が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値未満であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において第1−第2相短絡が発生した」と判定し、
    前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第3の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において第2−第3相短絡が発生した」と判定し、
    前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第4の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において第3−第1相短絡が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、前記相電流の電流変化率が該過負荷・短絡検出電流変化率値以上であり、かつ、該合成電流の位相差が第1の過負荷・短絡検出位相差範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相変化角が過負荷・短絡検出位相変化角範囲内の値でないと、「前記三相交流回路において三相短絡が発生した」と判定する、
    ことを特徴とする、請求項2記載の保護継電システム。
  4. 前記三要素保護継電器が、前記合成電流の電流変化率および前記相電流の電流変化率が共に所定の反相検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の反相検出位相差範囲内の値であると、「前記三相交流回路において反相が発生した」と判定することを特徴とする、請求項2または3記載の保護継電システム。
  5. 前記三要素保護継電器が、
    前記合成電流の電流変化率が所定の欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の欠相・断線検出位相差範囲内の値であると、「スター結線された前記三相交流回路において第1の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第1の相欠相が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の欠相・断線検出位相差範囲内の値であると、「スター結線された前記三相交流回路において第2の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第2の相欠相が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が所定の欠相・断線検出電流変化率値以下であると、「スター結線された前記三相交流回路において第3の相欠相・断線が発生した」または「デルタ結線された前記三相交流回路において第3の相欠相が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が所定の第1の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、前記相電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流率値よりも大きいと、「デルタ結線された前記三相交流回路において第1・第2の相断線が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲および前記第1の断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が所定の第2の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第1の断線検出位相差範囲内の値であると、「デルタ結線された前記三相交流回路において第2・第3の相断線が発生した」と判定し、
    前記合成電流の電流変化率が前記欠相・断線検出電流変化率範囲および前記第1の断線検出電流変化率範囲内の値でなく、かつ、前記相電流の電流変化率が前記第2の断線検出電流変化率範囲内の値であり、かつ、該合成電流の位相差が所定の第2の断線検出位相差範囲内の値であると、「デルタ結線された前記三相交流回路において第3・第1の相断線が発生した」と判定する、
    ことを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載の保護継電システム。
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