JP2010141691A - 導波管・伝送線路変換器、およびアンテナ装置 - Google Patents

導波管・伝送線路変換器、およびアンテナ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な薄型構造で高周波回路の差動型の信号を導波管に伝送することができる導波管・伝送線路変換器およびアンテナ装置を提供する。
【解決手段】差動信号を入力または出力する差動対端子を有する高周波回路と、差動信号を入力または出力する差動対端子にそれぞれ接続される2つの伝送線路と、短絡壁で短絡された端部及び横断面方向に対向する2つの壁を有する導波管と、2つの伝送線路にそれぞれ接続され、2つの前記壁から略等距離の位置に配置される2つの給電ピンと、を具備し、2つの給電ピンは、互いが導波管の管内波長の略1/2倍離れて、導波管の内部に配置され、2つの給電ピンの一方は、端部より管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に配置される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導波管・伝送線路変換器、および導波管・伝送線路変換器を用いたアンテナ装置に関する。
高周波では波長が短く、導波路の長さ当たりのロスが大きいため、導波管アンテナを構成するにはアンテナと高周波回路を近接させ、給電のロスを少なくすることが必要である。また、波長が短くなるにつれてアンテナが小さくなるため、高い製作精度が要求される。さらに、通信装置全体の小型・軽量化が求められているため、アンテナだけでなく、給電回路や高周波回路の小型・軽量化が要求される。
これらの要求に対応する技術として、導波管アレイと給電回路と高周波回路を一体化したスロットアレイアンテナとその製造法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術では、誘電体平行平板を切断して得られる誘電体角材の表面に導体層を蒸着することによって導波管を構成する。この導波管を複数接合した後に、フォトリソグラフィ技術を用いてスロット等の開口を接合した導波管に転写することでスロットアレイと給電回路を構成する。また、接合した導波管に、多層配線構造を有した高周波回路を積層する。
上述したように導波管アレイと給電回路と高周波回路を一体化した構成とすることで、給電回路を小型に構成することができる。従って、アンテナと高周波回路を可能な限り隣接させることができ、通信装置全体を小型・軽量化することができる。さらに、特許文献1に記載された技術では、フォトリソグラフィ技術とセラミック加工技術を応用しており、従来の機械加工よりも高い加工精度を実現できる。
特開2005−204344号公報
上記特許文献1に記載される技術の場合、高周波回路の信号を導波管に伝送するために、高周波回路層、給電層をそれぞれ1層ずつ設けなければならず、複雑で導波管全体が厚い構造となってしまうという問題がある。また、高周波回路の信号がシングルエンド型であることを想定しており、同相雑音に強い差動型の信号を導波管に伝送するためには、バラン等を使用してシングルエンド型に変換する必要がある。
この発明は、上記の問題を解決するために達成され、簡易な薄型構造で高周波回路の差動型の信号を導波管に伝送することができる、導波管・伝送線路変換器およびアンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は差動信号を入力または出力する差動対端子を有する高周波回路と、前記差動信号を入力または出力する差動対端子にそれぞれ接続される2つの伝送線路と、短絡壁で短絡された端部及び横断面方向に対向する2つの壁を有する導波管と、2つの前記伝送線路にそれぞれ接続され、2つの前記壁から略等距離の位置に配置される2つの給電ピンと、を具備し、2つの前記給電ピンは、互いが前記導波管の管内波長の略1/2倍離れて、前記導波管の内部に配置され、2つの前記給電ピンの一方は、前記端部より前記管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に配置される、ことを特徴とする導波管・伝送線路変換器を提供する。
本発明により、簡易な薄型構造で高周波回路の差動型の信号を導波管に伝送することができる、導波管・伝送線路変換器およびアンテナ装置が実現できる。
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1に示す導波管・伝送線路変換器によると、導波管1は矩形状に構成され、短絡された第1端部2及び開放された第2端部3並びに上下壁4、5及び対向する側壁6,7を有する。この矩形導波管1の上壁4に高周波回路モジュール8が配置される。この高周波回路モジュール8は、受信回路、送信回路又は送受信回路を有している。受信回路を有しており、信号を受信する場合には入力部、送信回路を有しており、信号を送信する場合には出力部として動作する差動対端子を有する。また、高周波回路モジュール8が送受信回路を有している場合は、入力部として動作する差動対端子及び、出力部として動作する差動対端子をそれぞれ有していてもよい。また、ひとつの差動対端子を、送受信に応じて入力部/出力部として動作するよう切り替えてもよい。なお、差動対とは、互いに逆位相の信号が流れる信号線や回路が対になったものである。
高周波回路モジュール8の差動信号を入力または出力する差動対端子には、2つの伝送線路9が接続される。2つの伝送線路9は、差動対として動作する。伝送線路9は、高周波回路モジュール8に接続される2つの引出線路9aとこれら引出線路9aの端部から導波管1の軸方向に互いに反対方向にそれぞれ延びている2つの導出線路9bとで構成される。これら導出線路9bの先端部に2つの給電ピン10がそれぞれ接続される。給電ピン10は、例えば銅、アルミ、銀、金等での金属で構成される。これら2つの給電ピン10は導波管1の軸zに沿った縦断面、即ちzy平面と略平行に導波管1の内部に配置される。この場合、2つの給電ピン10の一方が導波管の第1の端部2より管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に配置され、2つの給電ピン10が、対向する側壁6,7から略等距離の位置に、互いに管内波長の略2分の1波長離れて導波管1の軸方向に並べて配置される。給電ピン10の長さは使用する周波数に応じて適宜設定される。
高周波回路モジュール8は、送信回路、受信回路または送受信回路を含んでおり、送信時には、低周波回路からの入力を高周波に変換し、アンテナへの入力信号を生成する。受信時には、アンテナからの入力信号を低周波信号に変換する。
導波管1は、金属壁によって囲まれた導波路であるが、壁が金属ポストで形成されたポスト壁導波管でもよい。導波管1は最も低い遮断周波数を有する基本モードであるTE10モードが伝搬するサイズを持つように構成される。図1のように導波管1の横断面の開口の横の長さをa、縦の長さをbとする。所望の動作周波数をf、動作周波数fにおける自由空間の波長をλ、高速をcとすると、導波管1の横の長さはλ/2<aとなる範囲で決定される。a≒2bである通常の導波管において、より高次のモードを遮断する場合は、導波管1の横の長さはλ/2<a<λとなる範囲で決定される。
管内波長(λgとする)とは、導波管の軸方向zの波長であり、遮断波長をλとすると、次式(1)で与えられる。
Figure 2010141691
TE10モードの遮断波長は、2aで与えられる。
図1の導波管・伝送線路変換器の動作について説明する。
図1の導波管・伝送線路変換器の断面を示す図2では、座標系は図1に示している座標系と同一である。なお、図2では、図1の高周波回路モジュール8および伝送線路9を省略している。図示する電界強度および電界の向きはTE10モードの場合を表している。電界強度は図2に示す0の位置を0としている。また、図2のx軸方向は、図1の導波管1の横断面の開口の横方向に、y軸方向は、縦方向に相当する。すなわち、xy平面は、図1の導波管1の横断面に相当する。
xy平面をみると、導波管1のx方向の導波管1の内壁の位置が電界の節(最小)となり、導波管1の断面方向、即ちx方向に対向する壁6,7から略等距離になる位置が電界の腹(最大)となる。
yz平面をみると、導波管1の第1の端部2の位置が電界の節(最小)となり、導波管1の第1の端部2から管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置が電界の腹(最大)となる。yz平面における隣り合う電界の腹は逆位相となっている。
給電ピン10には互いに逆位相の差動信号が流れており、互いに逆位相の電界を発生させることができる。図2のように給電ピン10を配置すれば、TE10モードの電界強度が最大の位置で、かつTE10モードの電界の向きに合った位置に電界を発生させることになり、導波管1にTE10モードの信号を発生させることができる。
なお、上記の動作説明では送信時の場合を説明したが、受信時の場合には逆の動作が得られ、導波管1のTE10モードの信号を給電ピン10の差動信号に容易に変換できることは言うまでもない。なお、図1では高周波回路モジュール8が導波管1の上に搭載されているが、別の場所に配置されてもよい。
このように、導波管1の内部のTE10モードにおける電界分布に合った位置に2つの給電ピン10を配置することにより、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1の基本モードであるTE10モードの信号との変換を容易に行うことができる。高周波回路モジュール8から直接に導波管1に給電できるため、複雑な構造が不要となり、小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
<第2の実施形態>
図3を参照して第2の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を説明する。第2の実施形態は第1の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。
図3に示す導波管・伝送線路変換器によると、導波管1は図1と同様に矩形状に構成され、短絡された第1端部2及び開放された第2端部3並びに上下壁4、5及び対向する側壁6,7を有する。この矩形導波管1の上壁4に高周波回路モジュール8が配置される。この高周波回路モジュール8は第1の実施形態の高周波回路モジュール8と同様な構成を有しているので詳細な説明は省略する。
高周波回路モジュール8の差動信号を入力または出力する差動対端子には2つの伝送線路9が接続される。2つの伝送線路9は、差動対として動作する。伝送線路9は高周波回路モジュール8に接続される2つの引出線路9aとこれら引出線路9aの端部から導波管1の軸zに対して横方向xに互いに対向してそれぞれ延びている2つの導出線路9bとで構成される。これら導出線路9bの先端部に2つの給電ピン10がそれぞれ接続される。
2つの給電ピン10は導波管1の軸zに対して直交する方向に沿った縦断面、即ちxy平面と略平行に導波管1の内部に配置される。この場合、2つの給電ピン10が導波管の第1の端部2より管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に横断面方向に並べて配置され、2つの側壁6,7の間隔の略4分の1の距離だけ2つの側壁6,7からそれぞれ離れた位置に配置される。
導波管1はTE20モードが伝搬するサイズとなっている。図3に示す導波管1の横断面の開口の横の長さをa、縦の長さをbとする。所望の動作周波数をf、動作周波数fにおける自由空間の波長をλ、高速をcとすると、導波管1の横の長さはλ<aとなる範囲で決定される。
管内波長(λgとする)は、遮断波長をλとすると、第1の実施形態と同様に式(1)によって与えられる。TE20モードの遮断波長は、aで与えられる。
図3の導波管・伝送線路変換器の動作について説明する。
図3の導波管・伝送線路変換器の断面を示す図4では、座標系は図3に示している座標系と同一である。なお、図4では、図3の高周波回路モジュール8および伝送線路9を省略している。図示する電界強度および電界の向きはTE20モードの場合を表している。電界強度は図4に示す0の位置を0としている。
xy平面をみると、導波管1のx方向の導波管1の内壁の位置が電界の節となり、導波管1のx方向に対向する側壁6,7から側壁6,7の間隔の略4分の1の距離の位置が電界の腹となる。xy平面における隣り合う電界の腹は逆位相となっている。
yz平面をみると、導波管1の第1の端部2の位置が電界の節となり、導波管1の第1の端部2から管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置が電界の腹となる。
2つの給電ピン10には互いに逆位相の差動信号が流れており、互いに逆位相の電界を発生させることができる。図4のように給電ピン10を配置すれば、TE20モードの電界強度が最大の位置で、かつTE20モードの電界の向きに合った位置に電界を発生させることになり、導波管1にTE20モードの信号を発生させることができる。
なお、上記の動作説明では送信時の場合を説明したが、受信時の場合には逆の動作が得られ、導波管1のTE20モードの信号を給電ピン10の差動信号に容易に変換できることは言うまでもない。
なお、図3では高周波回路モジュール8が導波管1の上に搭載されているが、別の場所に配置されていてもよい。
このように、導波管1内部のTE20モードにおける電界分布に合った位置に給電ピン8を配置することにより、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1のTE20モードの信号との変換を容易に行うことができる。高周波回路モジュール8から直接に導波管1に給電できるため、複雑な構造が不要であり、小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
<第3の実施形態>
図5を参照して第3の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器を説明する。第3の実施形態は第1の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図5の導波管・伝送線路変換器では、図1の高周波回路モジュール8が誘電体基板11に搭載され、伝送線路9および給電ピン10が誘電体基板11に形成されている。
図5の導波管・伝送線路変換器の動作原理は図1の導波管・伝送線路変換器と同様であるので省略する。
図5の高周波回路モジュール8が誘電体基板11に搭載され、伝送線路9および給電ピン10が誘電体基板11に形成されていることにより、伝送線路9や給電ピン10を導波管1に直接形成せずに誘電体基板1に形成するので、通常の基板作製プロセスで伝送線路9や給電ピン10を形成することが可能となり、容易に給電構造を製造できる。
伝送線路9は、例えばマイクロストリップ線路、コプレーナ導波路等に容易にすることができ、放射しにくい伝送線路構造も構成できる。給電ピン10はビアホールとして誘電体基板11に形成することができる。
<第4の実施形態>
図6を参照して第4の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を説明する。第4の実施形態は第3の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図6の導波管・伝送線路変換器は、図3の高周波回路モジュール8が誘電体基板11に搭載され、伝送線路9および給電ピン10が誘電体基板11に形成されている。
図6の導波管・伝送線路変換器の動作原理は図3の導波管・伝送線路変換器と同様であるので省略する。
図6の高周波回路モジュール8が誘電体基板11に搭載され、伝送線路9および給電ピン10が誘電体基板11に形成されていることにより、伝送線路9や給電ピン10を導波管1に直接形成せずに誘電体基板11に形成するので、通常の基板作製プロセスで伝送線路9や給電ピン10を形成することが可能となり、容易に給電構造を製造できる。
伝送線路9は、例えばマイクロストリップ線路、コプレーナ導波路等に容易にすることができ、放射しにくい伝送線路構造も構成できる。給電ピン10は誘電体基板11の内部のビアホールとして形成することができる。
<第5の実施形態>
図7を参照して第5の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を説明する。第5の実施形態は第3の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図7の導波管・伝送線路変換器では、図5の高周波回路モジュール8、伝送線路9、給電ピン10、誘電体基板11が導波管1の内部に設けられている。具体的には、誘電体基板11が導波管1の下壁5の上に配置され、この誘電体基板11に高周波回路モジュール8、伝送線路9及び給電ピン10が取り付けられる。この場合、給電ピン10は誘電体基板に11に孔を形成し、これらの孔に埋め込まれ、ビアホールとして形成することができる。伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の端部は導波管1の内壁に接続されている。
図7の導波管・伝送線路変換器の動作について説明する。
図7の導波管・伝送線路変換器の断面を示す図8では、座標系は図7に示している座標系と同一である。なお、図8では、図7の高周波回路モジュール8および伝送線路9を省略している。図示する電界強度および電界の向きはTE10モードの場合を表している。電界強度は図2に示す0の位置を0としている。
xy平面をみると、導波管1のx方向の導波管1の内壁の位置が電界の節となり、導波管1の断面方向、即ちx方向に対向する壁6,7から略等距離になる位置が電界の腹となる。
yz平面をみると、導波管1の第1の端部2の位置が電界の節となり、導波管1の第1の端部2から管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置が電界の腹となる。yz平面における隣り合う電界の腹は逆位相となっている。
給電ピン10には互いに逆位相の差動信号が流れており、互いに逆位相の電界を発生させることができる。図2のように給電ピン10を配置すれば、TE10モードの電界強度が最大の位置で、かつTE10モードの電界の向きに合った位置に電界を発生させることになり、導波管1にTE10モードの信号を発生させることができる。
また、図8のように給電ピン10を配置すれば、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に高周波回路モジュール8が配置されるため、導波管1の内部の電界に与える影響が少ない。導波管1の外部と接続する配線も、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に配置すれば、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。
なお、上記の動作説明では送信時の場合を説明したが、受信時の場合には逆の動作が得られ、導波管1のTE10モードの信号を給電ピン10の差動信号に容易に変換できることは言うまでもない。
このように、導波管1の内部のTE10モードにおける電界分布に合った位置に給電ピン10を配置することにより、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1の基本モードであるTE10モードの信号との変換を容易に行うことができる。高周波回路モジュール8から直接に導波管1に給電できるため、複雑な構造が不要となり、小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
高周波回路モジュール8、伝送線路9、給電ピン10、誘電体基板11が導波管1の内部に設けられるので、導波管1の外部に高周波回路モジュール8や給電構造を設ける必要がなくなり、より小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
また、伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の端部が導波管1の内壁すなわち広い金属面に接続されているので、接続されずにオープンになっている場合よりも、伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の方が低インピーダンスになっているようにみえ、給電ピン10に電流がのり易くなる。したがって、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1のTE10モードの信号との変換をより容易に行うことができる。
また、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に高周波回路モジュール8が配置されるため、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。導波管1の外部と接続する配線も、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に配置すれば、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。
図7の高周波回路モジュール8及び誘電体基板11を省略したモデルにおいて、高周波回路モジュール8との伝送線路9の接続部分に第1ポート(差動対)、導波管1の第1の端部2と逆側の端部3の横断面とにそれぞれ第2ポートを設け、a=3.8mm、b=1.9mmとした際の、Sパラメータの電磁界シミュレーション結果を図9に示す。また、第1ポート(差動対)に差動信号を入力した際の導波管1の内部の電界強度分布の電磁界シミュレーション結果を図10に示す。図10に示す座標系は、図8に示す座標系と同様である。a=3.8mmなので、c/(2a)で表されるTE10モードの遮断周波数は39.5GHzである。
図9は、Sパラメータ11、S22が小さい程、第1及び第2ポートのそれぞれに入力された信号が反射せず、第1及び第2ポートそれぞれに信号が返ってこないということを示している。また、図9では、SパラメータS21、S12が大きい程、それぞれ第1ポートから第2ポートに、第2ポートから第1ポートに信号が通過しているということを示している。図9をみると、50GHz程度から70GHz程度までSパラメータS11、S22が小さく、SパラメータS21、S12が大きい結果が得られているのが確認できる。
図10を参照すると、第1ポートに信号を入力したことで、導波管1の内部にTE10モードの電界が現われているのが確認できる。動作周波数は給電ピン10の高さによって調整できる。
図9、図10の電磁界シミュレーション結果より、図7、図8のように導波管1の内部のTE10モードにおける電界分布に合った位置に給電ピン10を配置することにより、差動信号を導波管1の基本モードであるTE10モードの信号に容易に変換できるということが確認できる。
<第6の実施形態>
図11を参照して第6の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を説明する。第6の実施形態は第4の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図11の導波管・伝送線路変換器は、図6の高周波回路モジュール8、伝送線路9、給電ピン10、誘電体基板11が導波管1の内部に設けられている。具体的には、誘電体基板11が導波管1の下壁5の上に配置され、この誘電体基板11に高周波回路モジュール8、伝送線路9及び給電ピン10が取り付けられる。伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の端部は導波管1の内壁に接続されている。
図11の導波管給電構造の動作について説明する。
図11の導波管・伝送線路変換器の断面を示す図12では、座標系は図11に示している座標系と同一である。なお、図12では、図11の高周波回路モジュール8および伝送線路9を省略している。図示する電界強度および電界の向きはTE20モードの場合を表している。電界強度は図12に示す0の位置を0としている。
xy平面をみると、導波管1のx方向の導波管1の内壁の位置が電界の節となり、導波管1のx方向に対向する側壁6,7から側壁6,7の間隔の略4分の1の距離の位置が電界の腹となる。xy平面における隣り合う電界の腹は逆位相となっている。
yz平面をみると、導波管1の第1の端部2の位置が電界の節となり、導波管1の第1の端部2から管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置が電界の腹となる。
2つの給電ピン10には互いに逆位相の差動信号が流れており、互いに逆位相の電界を発生させることができる。図12のように給電ピン10を配置すれば、TE20モードの電界強度が最大の位置で、かつTE20モードの電界の向きに合った位置に電界を発生させることになり、導波管1にTE20モードの信号を発生させることができる。
また、図12のように給電ピン10を配置すれば、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に高周波回路モジュール8が配置されるため、導波管1の内部の電界に与える影響が少ない。導波管1の外部と接続する配線も、電界強度の小さい2つの給電ピン8のそれぞれからの距離が略等しい部分に配置すれば、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。
なお、上記の動作説明では送信時の場合を説明したが、受信時の場合には逆の動作が得られ、導波管1のTE20モードの信号を給電ピン10の差動信号に容易に変換できることは言うまでもない。
このように、導波管1の内部のTE20モードにおける電界分布に合った位置に給電ピン10を配置することにより、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1のTE20モードの信号との変換を容易に行うことができる。高周波回路モジュール8から直接に導波管1に給電できるため、複雑な構造が不要となり、小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
高周波回路モジュール8、伝送線路9、給電ピン10、誘電体基板11が導波管1の内部に設けられていることにより、導波管1の外部に高周波回路モジュール8や給電構造を設ける必要がなくなり、より小型な導波管・伝送線路変換器が実現できる。
また、伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の端部が導波管1の内壁すなわち広い金属面に接続されているので、接続されずにオープンになっている場合よりも、伝送線路9と接続されている給電ピン10の部分と逆側の方が低インピーダンスになっているようにみえ、給電ピン10に電流がのり易くなる。したがって、高周波回路モジュール8の差動信号と導波管1のTE20モードの信号との変換をより容易に行うことができる。
また、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に高周波回路モジュール8が配置されるため、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。導波管1の外部と接続する配線も、電界強度の小さい2つの給電ピン10のそれぞれからの距離が略等しい部分に配置すれば、導波管1の内部の電界に与える影響を少なくできる。
図11において、高周波回路モジュール8、誘電体基板11を省略したモデルに、高周波回路モジュール8との伝送線路9の接続部分に第1ポート(差動対)、導波管1の第1の端部2とは逆側の端部3の横断面に第2ポートを設け、a=7.0mm、b=1.9mmとした際の、Sパラメータの電磁界シミュレーション結果を図13に示す。また、第1ポートに信号を入力した際の導波管1の内部の電界強度分布の電磁界シミュレーション結果を図14に示す。図14に示す座標系は、図12に示す座標系と同様である。a=7.0mmなので、c/aで表されるTE20モードの遮断周波数は42.9GHzである。
図13は、SパラメータS11、S22が小さい程、第1及び第2ポートのそれぞれに入力された信号が反射せず、第1及び第2ポートそれぞれに信号が返ってこないということを示している。また、図13では、SパラメータS21、S12が大きい程、それぞれ第1ポートから第2ポートに、第2ポートから第1ポートに信号が通過しているということを示している。図13をみると、50GHz程度から70GHz程度までSパラメータS11、S22が小さく、SパラメータS21、S12が大きい結果が得られているのが確認できる。
図14を参照すると、第1ポートに信号を入力したことで、導波管1の内部にTE20モードの電界が現われているのが確認できる。動作周波数は給電ピン10の高さによって調整できる。
図13、図14の電磁界シミュレーション結果より、図11、図12のように導波管1の内部のTE20モードにおける電界分布に合った位置に給電ピン10を配置することにより、差動信号を導波管1のTE20モードの信号に容易に変換できるということが確認できる。
<第7の実施形態>
図15を参照して第7の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を説明する。第7の実施形態は第6の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図15の導波管・伝送線路変換器は、図11の導波管1の内部に、第1の端部2と逆側に、導波管1の横断面方向の略中間に給電ピン10と略平行な面をもつ金属壁12が更に設けられる構造を有する。即ち、導波管1の内部であって、導波管1の側壁5,6間の中間の位置、即ちa/2の位置に金属壁12が給電ピン10の前方に平行に配置される。これにより、2本の給電ピン10の前方に金属壁によって仕切られた2つの導波路がそれぞれ形成される。なお、金属壁12は金属ポストで形成されたポスト壁でもよい。
図15の導波管・伝送線路変換器の動作は図11の動作と同様であり、図15の導波管・伝送線路変換器の電界分布は図12と同様である。図15の導波管・伝送線路変換器の導波管1の内部は、図12のように、x方向に互いに逆位相のTE10モードの2つの電界分布が並んで形成される。
図15のように導波管1の横断面方向の略中間に給電ピン10と略平行な面をもつ金属壁12を設けることで、2つ並んだ互いに逆位相のTE10モードの電界分布が金属壁7によってアイソレートされ、一方のTE10モードが乱れても他方に影響を与えないようにすることができる。なお、図3、図6の導波管給電構造に金属壁7を設けても同様の効果が得られる。
<第8の実施形態>
図16を参照して第8の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を説明する。第8の実施形態は第5の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図16のアンテナ装置は、図7の導波管1の第1の端部2とは逆側に電波を放射するための開口面13を設けている。開口面13はテーパ構造により広げてホーンアンテナを構成してもよい。
図16のように導波管1に開口面13を設けることで、導波管1を伝搬してきた電磁波が開口面13より放射され、高周波回路モジュール8と一体化された給電構造が小型である開口面アンテナが実現できる。
なお、上記では送信時についてのみ述べているが、受信時でもよい。なお、図1、図5の導波管・伝送線路変換器に開口面13を設けても同様の効果が得られる。
<第9の実施形態>
図17を参照して第9の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を説明する。第9の実施形態は第7の実施形態と同じ部分については同じ参照符号を付している。図17のアンテナ装置は、図15の導波管1の第1の端部2とは逆側に電磁波を放射するためのスロット14を設け、導波管1の第2の端部3は短絡されている。
金属壁7を挟んで左右のスロット14は対称的に配置されている。図17の導波管1の内部では、金属壁7を挟んで左右に互いに逆位相のTE10モードの2つの電界分布が並んで形成されるので、金属壁7を挟んで左右のスロット14を対称的に配置することで、複数のスロット14のそれぞれからの放射の向きが揃えられる。図17のアンテナ装置は+y方向に最大放射が得られる。最大放射方向を傾けたい場合は、図17のようにスロット14を対称的に配置する必要はない。実施形態では、スロットは導波管の軸方向に縦長に形成されているが横長に形成しても良く、形状に限定されない。
図17のように導波管1にスロット14を設けることで、導波管1を伝搬してきた電磁波がスロット14より放射され、高周波回路モジュール8と一体化された給電構造が小型となる開口面アンテナが実現できる。
なお、図17ではスロット10がz方向に平行に配置されているが、垂直でも斜めでもよい。また、図17では第2の端部3が短絡されているが、オープンとしてもよいし、抵抗等を装荷してもよい。
スロットは図1、図3、図5、図6、図7、図11の実施形態の導波管・伝送線路変換器に設けても、高周波回路モジュール8と一体化された給電構造が小型となるスロットアンテナが実現できる。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
第1の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 図1の導波管・伝送線路変換器の断面および動作を表す図 第2の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 図3の導波管・伝送線路変換器の断面および動作を表す図 第3の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 本発明の第4の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 本発明の第5の実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 図7の導波管・伝送線路変換器の断面および動作を表す図 図7の導波管・伝送線路変換器の簡易モデルのSパラメータのシミュレーション結果を示す図 図7の導波管・伝送線路変換器の簡易モデルの電界強度分布のシミュレーション結果を示す図 本発明の第6実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 図11の導波管・伝送線路変換器の断面および動作を表す図 図11の導波管・伝送線路変換器の簡易モデルのSパラメータの電磁界シミュレーション結果を示す図 図11の導波管・伝送線路変換器の簡易モデルの電界強度分布の電磁界シミュレーション結果を示す図 本発明の第7実施形態に係る導波管・伝送線路変換器の概略構成を示す図 本発明の第8実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す図 本発明の第9実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す図
符号の説明
1…導波管、2…第1端部、3…第2端部、4…上壁、5…下壁、6、7…側壁、8…高周波回路モジュール、9…伝送線路、10…給電ピン、11…誘電体基板、12…金属壁、13…開口面、14…スロット

Claims (10)

  1. 差動信号を入力または出力する差動対端子を有する高周波回路と、
    前記差動対端子にそれぞれ接続される2つの伝送線路と、
    短絡壁で短絡された端部及び横断面方向に対向する2つの壁を有する導波管と、
    2つの前記伝送線路にそれぞれ接続され、2つの前記壁から略等距離の位置に配置される2つの給電ピンと、
    を具備し、
    2つの前記給電ピンは、互いが前記導波管の管内波長の略1/2倍離れて、前記導波管の内部に配置され、
    2つの前記給電ピンの一方は、前記端部より前記管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に配置される、
    ことを特徴とする導波管・伝送線路変換器。
  2. 差動信号を入力または出力する差動対端子を有する高周波回路と、
    前記差動対端子にそれぞれ接続される、2つの伝送線路と、
    短絡壁で短絡された端部及び横断面方向に対向する2つの壁を有する導波管と、
    2つの前記伝送線路にそれぞれ接続され、2つの前記壁の間隔の略1/4の距離だけ前記壁からそれぞれ離れた位置にそれぞれ配置される2つの給電ピンと、
    を具備し、
    2つの前記給電ピンは、互いが前記導波管の管内波長の略1/2倍離れて、かつ前記端部より前記管内波長の略(1+2α)/4(αは、0以上の整数)倍離れた位置に前記導波管の内部に配置されることを特徴とする導波管・伝送線路変換器。
  3. 2つの前給電ピンと略平行な面をもつ金属壁が、2つの前記壁の略中間に設けられた、請求項2に記載の導波管・伝送線路変換器。
  4. 前記高周波回路が誘電体基板に搭載され、前記伝送線路及び前記給電ピンが、前記誘電体基板に形成されたことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導波管・伝送線路変換器。
  5. 前記高周波回路、前記伝送線路、前記給電ピンおよび前記誘電体基板が前記導波管内部に設けられたことを特徴とする、請求項4に記載の導波管・伝送線路変換器。
  6. 2つの前記給電ピンの終端が前記導波管の内壁に接続されたことを特徴とする、請求項5の導波管・伝送線路変換器。
  7. 前記給電ピンはビアホールとして前記誘電体基板に形成される、請求項5又は6の導波管・伝送線路変換器。
  8. 前記壁の間隔は、λ/2(λ:自由空間の波長)より大きいことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項の導波管・伝送線路変換器。
  9. 前記伝送線路はマイクロストリップ線路又はコプレーナ導波路により構成される、請求項1乃至8のいずれか1項の導波管・伝送線路変換器。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載された導波管・伝送線路変換器の前記導波管の前記第1の端部と逆側の端部に放射スロット又は開口が少なくとも1つ以上設けられた、アンテナ装置。
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