JP2010140664A - 焼結正極体の製造方法、および焼結正極体 - Google Patents
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Abstract
【課題】Liの拡散抵抗が低い焼結正極体を製造するための焼結正極体の製造方法、およびその製造方法により作製された焼結正極体を提供する。
【解決手段】層状岩塩構造を有するLi含有酸化物(LiCoO2)と、LaとZrを含む添加物(Li7La3Zr2O12)とを混合して成形する。そして、成形体を焼結することで焼結正極体を作製する。作製された焼結正極体は、Li(Co―Zr)O2結晶とLaCoO3結晶を有する。この焼結正極体を用いて作製された非水電解質二次電池は、内部抵抗が低く、容量維持率が高い。
【選択図】図3
【解決手段】層状岩塩構造を有するLi含有酸化物(LiCoO2)と、LaとZrを含む添加物(Li7La3Zr2O12)とを混合して成形する。そして、成形体を焼結することで焼結正極体を作製する。作製された焼結正極体は、Li(Co―Zr)O2結晶とLaCoO3結晶を有する。この焼結正極体を用いて作製された非水電解質二次電池は、内部抵抗が低く、容量維持率が高い。
【選択図】図3
Description
本発明は、非水電解質二次電池の正極層として利用される正極焼結体の製造方法、および、その製造方法により得られる焼結正極体に関する。
携帯機器といった比較的小型の電気機器の電源に非水電解質二次電池が利用されている。非水電解質二次電池として、代表的には、充放電にリチウムイオンを利用したリチウムイオン電池が挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1のリチウムイオン電池は、正極層としてLi含有酸化物の正極活物質粒子を成形して焼結した焼結体(正極焼結体)を利用している。特許文献1では、焼結正極体はバインダーなどの電池反応に寄与しない物質を含有させることなく形成されているため活物質密度が高くできるとしている。そのため、焼結正極体を使用すれば、良好なエネルギー密度を有するリチウムイオン電池を得ることができると考えられる。
しかし、焼結正極体は、Liイオンの拡散抵抗が高い傾向にあるため、電池の正極層として使用したときに、電池の内部抵抗を増加させる。
例えば、代表的なLi含有酸化物であるLiCoO2は、1000℃ぐらいの温度から分解して、Co3O4などの副産物になる。副産物は、焼結正極体においてLiイオンの拡散抵抗を高くする要因であり、その副産物の生成は高温になるほど顕著になる。そのため、Li含有酸化物を焼結する際は、その温度を950℃以下ぐらいに抑えることが望ましい。一方で、焼結の温度が低いと、Li含有酸化物の粒子同士の相互拡散が起こり難いため、十分に焼結が進行せずLiイオンの拡散抵抗が高い焼結正極体になるという問題がある。これらのことから、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体を製造するための焼結正極体の製造方法、およびその製造方法により作製された焼結正極体を提供することにある。
(1)本発明は、非水電解質二次電池の正極層として利用される焼結正極体の製造方法であって、層状岩塩構造を有するLi含有酸化物と、LaとZrを含む添加物とを混合して成形する工程と、成形体を焼結する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、添加物は、LaとZrの複合化合物でも良いし、Laの化合物(Zrを含まない)とZrの化合物(Laを含まない)との混合物でも良いし、前記複合化合物と混合物とを両方用いても良い。
上記本発明の焼結正極体の製造方法によれば、焼結時にLi含有酸化物中にZrが拡散する。このZrの拡散によりLi含有酸化物の粒子間の相互拡散が生じ易くなるため、焼結が促進される。その結果、十分に焼結された、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体を得ることができる。
また、本発明の焼結正極体の製造方法によれば、焼結時にLaを含む酸化物の結晶が生成する。このLaを含む酸化物の結晶は、焼結体の導電性を向上させる役割を果たす。そのため、電池としたときの特性に優れる正極構造体を作製することができる。
(2) 本発明の焼結正極体の製造方法において、焼結は750〜950℃×3〜12時間の条件で行うことが好ましい。
焼結温度が1000℃以上の高温になると、Li含有酸化物から生成される副産物が生成し易い。これに対して、750〜950℃といった低温域で焼結を行うと、正極活物質として機能するLi含有酸化物が焼結時に分解し難くなるため、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体を得ることができる。ここで、本発明の製造方法では、焼結時のZrの拡散により焼結が進行し易いため、上記のような低温域でも十分に焼結された焼結正極体を得ることができる。
(3) 本発明の焼結正極体の製造方法において、Li含有酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、およびLiNiO2の少なくとも1種であることが好ましい。
これらLiCoO2、LiMnO2、およびLiNiO2は、層状岩塩構造の物質として代表的であり、正極活物質として優れた特性を有する。そのため、Li含有酸化物として上記物質を使用すれば、電池としたときに正極層として優れた特性を発揮する焼結正極体を製造することができる。
(4) 本発明の焼結正極体の製造方法において、添加物は、Li7La3Zr2O12であることが好ましい。
Li7La3Zr2O12(以下、LLZとする)は、焼結正極体を作製する上でLaとZrが非常に好ましい含有比率(モル比)で含まれる。そのため、添加物としてLLZを使用すれば、電池としたときに正極層として優れた特性を発揮する焼結正極体を製造することができる。
なお、添加物として、Laの化合物(Zrを含まない)とZrの化合物(Laを含まない)との混合物を使用する場合、これら混合物におけるLi、La、ZrおよびOの含有比率がLLZと同じとなるようにすれば良い。このようにすれば、添加物としてLLZを使用するのと同じように優れた焼結正極体を製造できると考えられる。
(5) 本発明の焼結正極体の製造方法において、Li含有酸化物と添加物との合計に占める添加物の割合は、1質量%〜15質量%であることが好ましい。
添加物の割合が上記の範囲であれば、低温域での焼結が進行し易く、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体を製造することができる。添加物の添加量が下限を下回れば、添加物を添加する効果が低くなる。逆に添加物の添加量が上限を上回れば、焼結正極体の結晶構造が焼結正極体のLiイオンの拡散抵抗を増加させるような結晶構造に転ずる。
(6) 本発明は、非水電解質二次電池の正極層として利用される焼結正極体であって、Li(α−Zr)O2結晶と、LaαO3結晶とを有することを特徴とする。但し、αは、Co、Ni、およびMnの少なくとも一種を含む。
本発明の焼結正極体中のLi(α−Zr)O2結晶が生成しているということは、LiαO2の層状岩塩構造が維持された状態でαの一部がZrに置換された状態にあり、焼結が十分行われていることを示している。そのため、本発明の焼結正極体は、Liイオンの拡散抵抗が小さい。また、焼結正極体中のLiαO3は焼結正極体の導電性を向上させる役割を果たす。これらのことから、本発明の焼結正極体を使用すれば、放電容量などの電池特性に優れる非水電解質二次電池を作製できる。
(7) 本発明の焼結正極体において、Li(α−Zr)O2結晶とLaαO3結晶の体積比率は、1:0.01〜0.15であることが好ましい。
両結晶の比率を上記の割合とした焼結正極体は、Liイオンの拡散抵抗が小さく、しかも導電性に優れる。このような体積比率とするには、焼結正極体を作製する際、LaとZrを含む添加物の量を調節すれば良い。
(8) 本発明の焼結正極体において、焼結正極体の空隙率は3体積%〜15体積%であることが好ましい。
空隙率を上記の範囲とした焼結正極体は、強度に優れ、電池としたときに破損が生じ難い。また、この焼結正極体は、体積あたりの正極活物質の量が多く、電池の放電容量を高くすることができる。空隙率を上記範囲とするには、Li含有酸化物を高圧(例えば、40MPa以上)で成形したり、Li含有酸化物を焼結する際の温度および時間の少なくとも一方を、本発明の焼結正極体の製造方法に規定する範囲内で高くすれば良い。その他、成形体を作製する際に使用するLi含有酸化物の平均粒径を小さくすることも空隙率を上記範囲とすることに有効である。
本発明の焼結正極体の製造方法によれば、Liイオンの拡散抵抗が低い焼結正極体を製造することができる。また、本発明の焼結正極体によれば、内部抵抗が低く、放電容量が高い非水電解質二次電池を製造することができる。
本発明の焼結正極体の製造方法により焼結正極体を作製し、その焼結正極体を使用した非水電解質二次電池を下記の試験に基づいて評価した。
<リチウムイオン電池の全体構成>
図1は、試験に使用するコイン型リチウムイオン電池(非水電解質二次電池)の概略的な縦断面図である。このリチウムイオン電池100は、正極集電体12、正極層(焼結正極体)11、負極層21、および、両電極間に配置される固体電解質層(SE層)31を備える。さらに、この電池100は、正極層11とSE層31との間にリチウムイオンの偏りを緩衝する緩衝層41を備える。このような構成を備えるリチウムイオン電池100を以下のように作製した。
図1は、試験に使用するコイン型リチウムイオン電池(非水電解質二次電池)の概略的な縦断面図である。このリチウムイオン電池100は、正極集電体12、正極層(焼結正極体)11、負極層21、および、両電極間に配置される固体電解質層(SE層)31を備える。さらに、この電池100は、正極層11とSE層31との間にリチウムイオンの偏りを緩衝する緩衝層41を備える。このような構成を備えるリチウムイオン電池100を以下のように作製した。
<焼結正極体の作製>
(試料1)
正極活物質として、層状岩塩構造のLi含有酸化物であるLiCoO2を用意した。LiCoO2の平均粒径をレーザー散乱法により測定した結果、4μmであった。なお、正極活物質としては、LiCoO2の他、LiMnO2やLiNiO2、LiCo0.5Ni0.5O2など、LiαO2(αは、Co、NiおよびMnの少なくとも一種)で表される化合物を使用できる。
(試料1)
正極活物質として、層状岩塩構造のLi含有酸化物であるLiCoO2を用意した。LiCoO2の平均粒径をレーザー散乱法により測定した結果、4μmであった。なお、正極活物質としては、LiCoO2の他、LiMnO2やLiNiO2、LiCo0.5Ni0.5O2など、LiαO2(αは、Co、NiおよびMnの少なくとも一種)で表される化合物を使用できる。
次に、焼結正極体を作製するにあたり、正極活物質に添加する添加物を以下の手順により作製した。まず、炭酸コバルト(Li2CO3)、酸化ランタン(La2O3)、および酸化ジルコニウム(ZrO2)をモル比で10:3:2の割合で乳鉢に投入し、混合した。この混合物をアルミナ坩堝に移して、800℃×3時間焼成し、その焼結粉末を再び乳鉢中で摩砕した。さらに、摩砕した粉末をアルミナ坩堝に移して1000℃×3時間焼成し、添加物を得た。
添加物の組成をICP(Inductively coupled plasma)分析により求めた結果、Li:La:Zr:O=7:3:2:12であるLi7La3Zr2O12(以下、LLZとする)であった。さらに、添加物をX線回折により解析した結果、図2に示す回折パターンを示し、ガーネット型結晶であることが確認できた。図2の回折パターンは、ガーネット型結晶であるLi5La3Nb2O12(JCPDS No.84−1753)の回折パターンと比較して、約0.2°低角側に全体的にシフトしていたが、全体的な形状は同じである。そのため、作製したLLZは、ガーネット型結晶であると言える。
次に、2gの上記LiCoO2と、0.25gの上記LLZとをボールミルにより混合した。混合物に占めるLLZの割合(LLZ/(LiCoO2+LLZ))は、約11質量%である。この混合物を直径20mmの金型に入れ、40MPaの圧力で加圧成形した。そして、成形体を電気炉で900℃×6時間焼成し、焼結正極体を作製した。得られた焼結正極体の質量とサイズを測定し、焼結正極体の嵩密度を算出した結果、理論密度の95%(空隙率5%)であった。
また、焼結正極体をX線回折により解析した結果を図3に示す。図3は、LiCoO2にLLZを添加して焼結した焼結正極体のX線回折図であって、白丸は、LiCoO2(Li(Co―Zr)O2に同じ)のピークを、黒三角は、LaCoO3のピークを示す。この図に示すように、試料1の焼結正極体の回折図では、LiCoO2結晶とLaCoO3結晶の回折ピークのみが確認でき、その他の化合物の結晶の回折ピークは確認できなかった。さらに、焼結正極体断面研磨面のSEM−EDX(走査型電子顕微鏡における元素分析)解析により、Li(Co―Zr)O2結晶とLaCoO3結晶の体積比率を算出したところ、1:0.10であった。この体積比率は、Li含有酸化物に添加する添加物の割合に依存する。
(比較試料)
比較試料として、LiCoO2のみからなる焼結正極体を作製した。作製条件は、金型内にLiCoO2を2.25g投入する以外は、試料1の作製条件と同様であった。作製した比較試料の嵩密度を求めたところ75%であり、試料1の焼結が十分に進んでいないことが判った。
比較試料として、LiCoO2のみからなる焼結正極体を作製した。作製条件は、金型内にLiCoO2を2.25g投入する以外は、試料1の作製条件と同様であった。作製した比較試料の嵩密度を求めたところ75%であり、試料1の焼結が十分に進んでいないことが判った。
≪リチウムイオン電池の作製≫
上記のようにして作製した焼結正極体(試料1および比較試料)を15000番台の研磨紙により研磨した。焼結正極体の研磨された表面を微分干渉顕微鏡で観察した結果、ボイドは殆ど観察されなかった(10視野(1視野は20×20μm)中、0.5μm以上のボイドは観察されず)。また、焼結正極体の研磨された表面の算術平均粗さRa(JIS B0601 01)を触針式面粗さ計により測定した結果、20nm以下の平滑な面となっていることが判った。
上記のようにして作製した焼結正極体(試料1および比較試料)を15000番台の研磨紙により研磨した。焼結正極体の研磨された表面を微分干渉顕微鏡で観察した結果、ボイドは殆ど観察されなかった(10視野(1視野は20×20μm)中、0.5μm以上のボイドは観察されず)。また、焼結正極体の研磨された表面の算術平均粗さRa(JIS B0601 01)を触針式面粗さ計により測定した結果、20nm以下の平滑な面となっていることが判った。
次に、焼結正極体の一方の面に、蒸着法によりAlからなる正極集電体12を形成した。正極集電体12の厚さは、0.1μmであった。正極集電体12としては、Alの他、Niやステンレスなどを使用できる。
さらに、正極層11となる酸化物焼結体の他方の面に、スパッタ法によりLiNbO3からなる緩衝層41を形成した。この緩衝層41は、SE層31に硫化物を使用した際に、SE層31と正極層11との界面近傍で空乏層が形成されるのを抑制する役割を有する。緩衝層41としては、LiNbO3の他、LixLa(2−X)/3TiO3(X=0.1〜0.5)、Li4Ti5O12、Li3.6Si0.6P0.4O4、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、Li1.8Cr0.8Ti1.2(PO4)3、LiTaO3または、Li1.4In0.4Ti1.6(PO4)3などを単独あるいは組み合わせて使用できる。
次に、緩衝層41の上に、真空蒸着法により硫化物であるLi2SとP2S5を含むSE層31を形成した。SE層31の厚さは、10μmであった。SE層31としては、Li2SとP2S5の他、Li、P、O、NからなるLi−P−O−Nなどを使用できる。イオウを含まないSE層31であれば、上述した緩衝層41は、特に設ける必要はない。
最後に、SE層31の上に、真空蒸着法によりLiからなる負極層21を形成して、リチウムイオン電池100を完成させた。負極層21の厚さは1μmであった。この負極層21は、集電体を兼ねるので、本実施例においては、負極集電体を省略している。負極層21としては、Liの他、AlやSi、C、Sn、Bi、Inなどを使用できる。
以上のようにして作製した発電要素をコイン型容器に仕込んで、リチウムイオン電池を完成させた。完成したリチウムイオン電池について以下の試験を行った。
<試験1>
作製した試験電池に対して、大気中にて充放電試験を行い、電池の容量維持率を求めた。充放電試験は、カットオフ電圧を3V―4.2V、電流密度を1mA/cm2として行った。容量維持率は、試験中最も高かった放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合(%)である。その結果、試料1を使用した電池の容量維持率は80%であり、比較試料を使用した電池の容量維持率は20%であった。
作製した試験電池に対して、大気中にて充放電試験を行い、電池の容量維持率を求めた。充放電試験は、カットオフ電圧を3V―4.2V、電流密度を1mA/cm2として行った。容量維持率は、試験中最も高かった放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合(%)である。その結果、試料1を使用した電池の容量維持率は80%であり、比較試料を使用した電池の容量維持率は20%であった。
また、1サイクル目の放電開始後60秒間の電圧降下により電池の内部抵抗値を算出した。その結果、試料1を使用した電池の内部抵抗値は100Ω・cm2、比較試料を使用した電池の抵抗値は100000Ω・cm2であった。
以上の結果から焼結正極体を作製する際、LiCoO2にLLZを添加した試料1を使用した電池は、LLZを添加しなかった比較試料を使用した電池に比べて、電池性能に優れていた。
<試験2>
次に、LLZの添加量を変化させた複数の焼結正極体(試料2〜5)を作製した。そして、これら試料2〜5を正極層として使用する複数の試験電池を作製し、各試験電池の内部抵抗値と容量維持率を試験1と同様の条件により求めた。試験2の結果と、試験1の試料1の結果を合わせて表1に記載する。
次に、LLZの添加量を変化させた複数の焼結正極体(試料2〜5)を作製した。そして、これら試料2〜5を正極層として使用する複数の試験電池を作製し、各試験電池の内部抵抗値と容量維持率を試験1と同様の条件により求めた。試験2の結果と、試験1の試料1の結果を合わせて表1に記載する。
ここで、表1におけるLLZ添加量(質量%)は、LLZ/(LiCoO2+LLZ)である。また、表1には記載していないが、焼結正極体に占めるLaαO3の体積割合は、焼結正極体を作製する際に添加したLLZの添加量の数値とほぼ同じであった。これは、焼結正極体を作製するための材料であるLiCoO2の比重と、LLZの比重と、焼結正極体に形成されるLaαO3の比重とがほぼ同じであり、かつ、焼結時にLLZがほぼ完全に分解してLaαO3になるからである。
表1の結果から、LLZの添加量が1〜15質量%である試料1〜3は、空隙率が小さく、十分に焼結されていた。そのため、試料1〜3を使用した電池は、内部抵抗値が低く、容量維持率も高かった。これに対して、試料4は、空隙率が大きく、十分焼結されていないため、電池としたときに内部抵抗値が高く、容量維持率も低かった。また、試料5は、空隙率が小さく、十分に焼結されているものの、電池としたときの内部抵抗値が高かった。これは、試料5の焼結正極体において、LaCoO3結晶の析出量が大きいため、このLaCoO3結晶が抵抗として作用したからであると推察される。但し、試料4も試料5も、LiCoO2のみからなる比較試料を使用した電池に比べて、内部抵抗値は低く、容量維持率は高かった。
<試験3>
試料1に対して焼結時の温度を700℃、750℃、800℃、850℃と変化させた焼結正極体を作製した。これら焼結正極体を使用して、試料1と同様にして電池を作製し、その電気抵抗値を測定した。
試料1に対して焼結時の温度を700℃、750℃、800℃、850℃と変化させた焼結正極体を作製した。これら焼結正極体を使用して、試料1と同様にして電池を作製し、その電気抵抗値を測定した。
電気抵抗値の測定の結果、700℃で焼結した焼結正極体の電気抵抗値はおよそ10000Ω・cm2であった。これに対し、750℃、800℃、850℃で焼結した焼結正極体は、900℃で焼結した試料1と殆ど変わらない電気抵抗値を示した。これらのことから、750〜950℃といった低温域で焼結を行っても、十分に焼結された焼結正極体を得られることが判った。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更して実施することが可能である。
本発明焼結正極体は、携帯機器などの電源となる非水電解質二次電池として好適に利用することができる。
100 リチウムイオン電池(非水電解質二次電池)
11 正極層 12 正極集電体
21 負極層
31 固体電解質層(SE層)
41 緩衝層
11 正極層 12 正極集電体
21 負極層
31 固体電解質層(SE層)
41 緩衝層
Claims (8)
- 非水電解質二次電池の正極層として利用される焼結正極体の製造方法であって、
層状岩塩構造を有するLi含有酸化物と、LaとZrを含む添加物とを混合して成形する工程と、
成形体を焼結する工程と、
を含むことを特徴とする焼結正極体の製造方法。 - 焼結は、750〜950℃で3〜12時間の条件で行うことを特徴とする請求項1に記載の焼結正極体の製造方法。
- 前記Li含有酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、およびLiNiO2の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結正極体の製造方法。
- 前記添加物は、Li7La3Zr2O12であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結正極体の製造方法。
- 前記Li含有酸化物と添加物との合計に占める添加物の割合は、1質量%〜15質量%であることを特徴とする請求項4に記載の焼結正極体の製造方法。
- 非水電解質二次電池の正極層として利用される焼結正極体であって、
Li(α−Zr)O2結晶と、LaαO3結晶とを有することを特徴とする焼結正極体。
但し、αは、Co、Ni、およびMnの少なくとも一種を含む。 - 前記Li(α−Zr)O2結晶とLaαO3結晶の体積比率が、1:0.01〜0.15であることを特徴とする請求項6に記載の焼結正極体。
- 焼結正極体の空隙率が3体積%〜15体積%であることを特徴とする請求項6または7に記載の焼結正極体。
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