JP2010137279A - タンディッシュへのコーティング層の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 中子離型時に剥離しにくいこと、内張り耐火物に焼付きにくいこと、鋼を汚染しにくいこと、及び施工時に作業環境を悪化させにくいことを満足するタンディッシュへのコーティング層の形成方法を提供する。
【解決手段】 本発明のダンディッシュへのコーティング層の形成方法は、(a)タンディッシュに中子3を挿入する工程と、(b)単糖類及び/又は二糖類よりなる糖を2〜10質量%、ガラス類を0.1〜2質量%それぞれ含み、残部は耐火性粉体を主体とした乾式コーティング材4を、タンディッシュの内張り耐火物2と中子3との間の隙間に充填する工程と、(c)中子3を介して、乾式コーティング材4を100〜400℃に加熱した後、中子3をタンディッシュから取り除く工程とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タンディッシュへのコーティング層の形成方法に関する。
鋼の連続鋳造で使用されるタンディッシュは、鉄皮の内側に、内張り耐火物が設けられた構造をもつ。さらに、タンディッシュの内張り耐火物に、その保護や残鋼処理の容易化等の目的で、コーティング層が形成される。コーティング層は、耐火性粉体と結合剤とを含むコーティング材よりなる。
コーティング材の施工は、通常、これに施工水を加え、内張り耐火物への吹き付け又はこて塗りによって行われる。しかし、施工水は、コーティング材よりなる施工体を加熱し乾燥しても完全には抜けきれない。このため、施工水が原因した水素ピックアップによる鋼の品質低下を招く懸念がある。
そこで、施工水を用いずにコーティング層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。即ち、まず、タンディッシュに中子を挿入する。次に、タンディッシュの内張り耐火物と中子との間の隙間に、施工水を添加していない乾粉状のコーティング材を充填する。次に、中子を介してコーティング材を加熱し、硬化させた後、中子をタンディッシュから取り除く。これによりコーティング層が得られる。
その後、タンディッシュが使用に供される。タンディッシュの使用中、溶鋼からの受熱でコーティング層内の結合剤がボンドを形成し、コーティング層に強度が発現する。
本明細書においては、施工水を用いずに施工されるコーティング材を、乾式コーティング材と呼ぶことにする。
従来の乾式コーティング材は、結合剤に、フェノールレジン、リン酸塩、及びケイ酸塩から選択される一種以上を主に用いていた(例えば、特許文献1〜3参照)。
なお、タンディッシュ用の乾式コーティング材ではないが、類似の構成をもつものとして、耐火性粉体と、多糖類を含む結合剤とよりなる粉末状の焼付け補修材が知られている(特許文献4参照)。
特開2006−7317号公報 特許第2567770号公報 特許第3342427号公報 特開平4−331776号公報
(1)乾式コーティング材の加熱は中子を介して間接的に行われ、かつタンディッシュの稼働率の関係から、加熱期間を充分にとれない。このため、乾式コーティング材を高々100〜400℃にしか加熱できず、その硬化が不充分となりやすい。しかも、乾式コーティング材は、内張り耐火物等と異なって薄く施工される。このため、中子を取り除く際等に、コーティング層に剥離や崩壊が生じやすい。
この点、結合剤がリン酸塩、ケイ酸塩、又はフェノールレジンよりなる従来の乾式コーティング材は、100〜400℃の低温域では、充分な保形性を発現しにくいため、上記剥離等の問題を起こしやすい。また、特許文献4に開示される多糖類は、リン酸塩等に比べると、低温域でも保形性を発現しやすいが、上記剥離等を防止するには不充分である。
本発明の目的の一つは、中子を取り除く際等に剥離等が生じにくいコーティング層を形成する技術を提供することである。
(2)タンディッシュへの中子の挿入に先立ち、内張り耐火物の表面から、前回形成したコーティング層を除去する必要がある。前回形成したコーティング層が内張り耐火物に強く焼き付いていると、その除去が困難となるばかりか、コーティング層と共に内張り耐火物まで除去され、内張り耐火物の寿命低下を招く。
このため、コーティング層は、焼付け補修材等の一般の補修用不定形耐火物と異なり、下地、即ち内張り耐火物への焼付きがある程度小さいことが望まれる。なお、単に結合剤の量を抑えるだけでは、焼付きの問題は緩和しうるが、中子を介しての加熱段階で充分な保形性が得られないこととなるため、上記問題(1)が深刻化する。
本発明の他の目的は、内張り耐火物への過剰な焼付きが起こりにくいコーティング層を形成する技術を提供することである。
(3)結合剤にフェノールレジンや多糖類を多く使用したものは、それが受鋼後も残炭としてコーティング層内に残りやすいため、カーボンピックアップによる鋼の汚染を招く懸念がある。また、結合剤にリン酸塩やケイ酸塩を多く使用したものは、それらが含有する結晶水に起因した水素ピックアップの問題を招く懸念がある。
本発明のさらに他の目的は、鋼を汚染しにくいコーティング層を形成する技術を提供することである。
(4)乾式コーティング材の施工は、焼付け補修材等の一般の補修材の施工と異なり、施工要員が近くにいる状況下で行われる。このため、できるだけ作業環境を悪化しないことが求められる。この点、結合剤にフェノールレジンを多く使用した乾式コーティング材は、強い臭気を発生させるため、作業環境上好ましいとは言い難い。
本発明のさらに他の目的は、コーティング層の施工時における作業環境の悪化を防止することである。
本発明の一観点によれば、(a)タンディッシュに中子を挿入する工程と、(b)単糖類及び/又は二糖類よりなる糖を2〜10質量%、ガラス類を0.1〜2質量%それぞれ含み、残部は耐火性粉体を主体とした乾式コーティング材を、タンディッシュの内張り耐火物と中子との間の隙間に充填する工程と、(c)中子を介して、乾式コーティング材を100〜400℃に加熱した後、中子を前記タンディッシュから取り除く工程とを有するダンディッシュへのコーティング層の形成方法が提供される。
単糖類及び/又は二糖類は、レジンや多糖類に比べると融点が低く、100〜400℃の低温域においても充分な保形性を発現することができる。このため、中子を取り除く際等に、施工体に剥離や崩壊が生じることを防止できる。
単糖類及び/又は二糖類、並びにガラス類は、加熱時に殆ど刺激臭を生じないため、作業環境の悪化を防止することができる。
単糖類及び/又は二糖類は、タンディッシュ使用時の温度、具体的には600℃以上の温度で焼失し、残炭も殆ど残さない。このため、カーボンピックアップによる鋼の汚染を招く懸念が殆どない。
タンディッシュ使用時、単糖類及び/又は二糖類が焼失する温度付近で、ガラス類がボンドを形成し、コーティング層に適度な強度を付与する。中子を介しての加熱段階において必要な保形性の発現は単糖類及び/又は二糖類が担うため、ガラス類を多く添加する必要がなく、2質量%以下に制限することができる。このため、過剰なボンドの生成に起因した内張り耐火物への焼付きの問題を防止することができる。
図1(a)〜(d)に、タンディッシュの模式的な部分断面図を示す。以下、図1を参照して、鉄皮1と内張り耐火物2とを有するタンディッシュに、コーティング層5を形成する手順について説明する。
図1(a)に示すように、まず、タンディッシュの底面に乾式コーティング材4を敷き詰めた後、タンディッシュ内に中子3を挿入する(中子挿入工程)。中子3は、タンディッシュの内面形状に対応した外面形状を有する中空容器状をなしており、例えば、鉄板等の金属板で構成されている。
図1(b)に示すように、次に、内張り耐火物2と中子3との間の隙間に、乾式コーティング材4を充填する(充填工程)。この際、空隙を無くして密に充填するために、乾式コーティング材4に振動を付与しながら充填することが好ましい。
乾式コーティング材4は、単糖類及び/又は二糖類よりなる糖、並びにガラス類を結合剤として含み、残部は耐火性粉体を主体としたものである。
図1(c)に示すように、次に、中子3を介して、中子3の内側から乾式コーティング材4を100〜400℃、好ましくは、150〜250℃に加熱する(加熱工程)。加熱には、例えばバーナーや温風機が用いられる。加熱時間は、例えば2〜20分である。
加熱によって乾式コーティング材4が硬化し、保形性を発現する。乾式コーティング材4中の単糖類及び/又は二糖類は融点が低いため、100〜400℃の低温域においても充分な保形性を発現することができる。
また、単糖類及び/又は二糖類、並びにガラス類は、加熱時に刺激臭を殆ど生じないため、作業環境の悪化を防止することができる。
図1(d)に示すように、次に、中子3をタンディッシュから取り除く(中子離型工程)。これにより、コーティング層5が得られる。
コーティング層5の厚さは、例えば、20〜100mm程度と薄い。このため、中子3をタンディッシュから取り除く際に、コーティング層5に剥離等が生じるのを防止することが重要な課題であった。
この点、加熱工程で、既に乾式コーティング材4中の単糖類及び/又は二糖類が充分な保形性を発現しているため、中子3を取り除く際に、コーティング層5に剥離が生じることを防止できる。
次に、タンディッシュを使用に供すべく、所定位置まで移送する(移送工程)。移送時にコーティング層5が衝撃を受けることがあるが、上述のように、この段階でコーティング層5が既に充分な保形性を発現しているため、移送時に受ける衝撃によっても、コーティング層5に剥離が生じにくい。
次に、タンディッシュが使用に供される(タンディッシュ使用工程)。タンディッシュの使用時、溶鋼からの受熱でコーティング層5の温度が、例えば1000℃以上に達する。
単糖類及び/又は二糖類は、分子量が小さく、500〜1000℃で焼失し、残炭も殆ど残さない。このため、カーボンピックアップによる鋼の汚染を招く懸念が殆どない。
ガラス類が、単糖類及び/又は二糖類が焼失する温度付近でボンドを形成し、コーティング層5に適度な強度を付与する。
次に、タンディッシュの使用の継続によってコーティング層5が損耗すると、再びコーティング層を形成し直す。そのために、まず、タンディッシュの使用を止めた後、内張り耐火物2の表面から、残鋼と前回形成したコーティング層5の残留物とを除去し(付着物除去工程)、再び上述した中子挿入工程に戻る。
中子離型工程〜移送工程までの間のコーティング層5の剥離を防止するのに必要な保形性の発現は、単糖類及び/又は二糖類が担うため、ガラス類を多く添加する必要がない。このため、過剰なボンドの形成に起因した内張り耐火物2への焼付きを防止でき、付着物除去工程で内張り耐火物2まではぎとられることを防止できる。
なお、タンディッシュを新規に製造する際は、付着物除去工程が不要であることは言うまでもない。
以下、乾式コーティング材の構成について具体的に説明する。
上述したように、乾式コーティング材は、単糖類及び/又は二糖類よりなる糖、並びにガラス類を結合剤として含み、残部は耐火性粉体を主体としてなる。
単糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、及びマンノース等から選択される一種以上を用いることができる。
二糖類としては、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、及びトレハロース等から選択される一種以上を用いることができる。
単糖類及び/又は二糖類よりなる糖の配合量は、乾式コーティング材全体に占める割合で、2〜10質量%とする。
2質量%未満だと、保形性の発現が不充分となるため、中子離型工程〜移送工程の間のコーティング層5の剥離を防止することができない。
10質量%を超えると、中子離型工程〜移送工程の間のコーティング層5の剥離は防止できるが、タンディッシュ使用時に単糖類及び/又は二糖類の焼失に伴って形成される空隙の量が多くなるため、コーティング層5の強度低下を招き、充分な耐用寿命を確保できない。
ガラス類としては、例えば、硼砂、フリット、ケイ酸ガラス、リン酸ガラス、ホウ酸ガラス、アルミン酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウリン酸ガラス、及びチタン酸塩ガラス等から選択される一種以上を用いることができる。なお、フリットとは、ホウ酸塩、ケイ酸塩、及びリン酸塩の一種以上よりなる混合物を溶融し、急冷粉砕して得られるガラス粉末をいう。
ガラス類は、タンディッシュ使用時に、単糖類及び/又は二糖類が焼失する温度付近から溶融軟化してボンドを形成し、コーティング層に適度な強度を付与する。糖の焼失によって一時的にコーティング層の保形性が低下しうるため、ガラス類が溶融軟化してボンドを形成する温度は、できるだけ糖の焼失温度に近い程好ましい。
この点、糖の焼失温度が500〜1000℃であることを考慮すると、ガラス類の融点も500〜1000℃であることが好ましい。上述したガラス類の具体例の中でも、硼砂は、融点が約740℃程度と低いため特に好ましい。また、ホウケイ酸ガラスも、同程度に融点が低いため好ましい。
ガラス類の配合量は、乾式コーティング材全体に占める割合で0.1〜2質量%とする。
0.1質量%未満だと、充分な量のボンドを形成できず、強度が不充分となるため、コーティング層の耐用寿命が短くなる。
2質量%を超えると、ボンドの生成が過剰となり、内張り耐火物への焼付きを防止することができない。
耐火性粉体としては、例えば、マグネシアクリンカー、溶融マグネシア、マグネサイト、マグネシア質れんが屑等のマグネシア質原料、ドロマイトクリンカーやドロマイト質れんが屑等のドロマイト質原料、カルシアクリンカー等のカルシア質原料、電融アルミナ、ボーキサイト等のアルミナ質原料、スピネルクリンカー等のスピネル質原料、及び無定形シリカ等のシリカ質原料から選択される一種以上を用いることができる。
耐火性粉体は、粒径3mm以上の粗粒を含むことが好ましい。仮にコーティング層内に亀裂が生じても、粗粒においてその伝播を阻止し、剥離を防止できる。粗粒の配合量は、耐火性粉体100質量%に占める割合で5質量%以上が好ましい。粗粒の最大粒径は5mmであることが好ましい。
耐火性粉体はまた、単糖類及び/又は二糖類による保形性の発現を助長する等の理由から、最密充填構造に近い粒度構成をもつことが好ましい。
具体的には、耐火性粉体100質量%は、粒径3mm以上5mm未満の粗粒:5〜25質量%、好ましくは9〜22質量%、粒径1mm以上3mm未満の中粒:20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%、粒径75μm未満の超微粒:15〜40質量%、好ましくは18〜30質量%、粒径75μm以上1mm未満の微粒:残部、よりなる粒度構成をもつことが好ましい。
単糖類及び/又は二糖類は、多糖類等に比べると、溶融時の粘性が小さいため、耐火性粉体が最密充填構造に近い粒度構成を有していても、耐火性粉体中にむらなく行き渡ることができ、保形性発現の効果をいかんなく発揮することができる。この結果、耐火性粉体に密充填構造をもたせたことと相まって、特に良好な保形性が得られる。
なお、結合剤を主に多糖類で構成した場合、多糖類は溶融時の粘性が高いため、耐火性粉体が最密充填構造に近い粒度構成を有していると、耐火性粉体中にむらなく行き渡ることができず、強度むらが生じ、却って剥離等の問題が生じやすくなる。
また、結合剤を主にリン酸塩、ケイ酸塩、又はレジンで構成した場合、耐火性粉体が最密充填構造に近い粒度構成を有していると、ボンド生成時の発現強度が過剰となって、上述した付着物除去工程での除去が困難となる。
なお、本発明では、タンディッシュ使用時にボンドを形成する結合剤として、ガラス類を使用し、かつその使用量を2質量%以下に制限したため、耐火性粉体が密充填構造を有していても、上述した付着物除去工程での除去が困難となることはない。
単糖類及び/又は二糖類よりなる糖、並びにガラス類以外の残部は、耐火性粉体のみで構成することが最も好ましいが、乾式コーティング材に、これら以外の他の添加物(但し、フェノールレジン、リン酸塩、ケイ酸塩、及び多糖類は除く。)を、本発明の効果を損なわない範囲で少量、具体的には、乾式コーティング材全体に占める割合で、好ましくは合計1質量%以下の範囲で含めてもよい。
他の添加物としては、例えば、有機繊維や有機湿潤剤が挙げられる。
有機繊維は、コーティング層の熱膨張応力を緩和する効果をもつ。有機繊維の具体例としては、例えば、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、SML繊維等が挙げられる。
有機湿潤剤は、発塵防止の効果をもつ。有機湿潤剤の具体例としては、例えば、石炭又は石油系のオイル、植物オイル、動物オイル等が挙げられる。
表1及び2に、本発明の実施例及び比較例による乾式コーティング材の構成と試験結果とを示す。
以下、表1及び2の項目について説明する。
耐火性粉体には、粒径3mm以上5mm未満の粗粒:15質量%、粒径1mm以上3mm未満の中粒:25質量%、粒径75μm未満の超微粒:35質量%、粒径75μm以上1mm未満の微粒:残部、よりなるように最密充填構造に近い粒度構成に調整したマグネシアクリンカーを用いた。
臭気の少なさは、200℃に熱したれんが上に所定量の乾式コーティング材を盛ったときの臭気の発生度合いを官能評価し、臭気が殆ど感じられない場合を○、やや臭気が感じられた場合を△、臭気が感じられた場合を×として、三段階評価した。この評価が良好なほど、加熱工程で作業環境が悪化しにくい。
強度は、圧縮強さに基づいて評価した。圧縮強さは、乾式コーティング材を、内寸40×40×160mmの金枠に充填し、金枠ごとT℃の雰囲気中に20分間放置した後、金枠から取り出した試験片につき、JISR2206の規定に準じて測定した。
低温強度は、各例の乾式コーティング材についての、上記Tが200℃である場合の圧縮強さを表2の実施例1についての該圧縮強さで割って100倍した指数に基づいて評価した。その指数が、130以上の場合を◎、80以上130未満の場合を○、60以上80未満の場合を△、60未満の場合を×とした。この評価が良好なほど、中子離型工程〜移送工程までの間で、コーティング層に剥離等が生じにくい。
高温強度は、各例の乾式コーティング材についての、上記Tが1000℃である場合の圧縮強さを表2の実施例1についての該圧縮強さで割って100倍した指数に基づいて評価した。その指数が、100以上の場合を◎、80以上100未満の場合を○、60以上80未満の場合を△、60未満の場合を×とした。この評価が良好なほど、タンディッシュ使用工程でコーティング層に発現する強度が大きく、その耐用寿命が長い。
焼付きにくさは、次の要領で評価した。1500℃に熱したアルミナ質れんが上の鉄管内に乾式コーティング材を充填し、30分間保持する。次に、鉄管を取り外し、乾式コーティング材とれんがとの接合面のせん断強度を測定し、各測定値を表2の実施例1についての測定値で割って100倍した指数を求める。その指数が、110未満の場合を◎、110以上130未満の場合を○、130以上150未満の場合を△、150以上の場合を×とした。この評価が良好なほど、付着物除去工程で、コーティング層と共に内張り耐火物がはぎ取られにくい。
残炭の少なさは、結合剤の残炭率によって評価した。結合剤の残炭率とは、所定量の結合剤を1000℃まで毎分50℃の割合で昇温した後の質量を、元の質量で割った値をいう。残炭率が0の場合を○、0.001未満を△、0.001以上を×とした。残炭が少ない程、カーボンピックアップによる鋼の汚染の懸念が少ない。
Figure 2010137279
比較例1は、単糖類の配合量が、本発明規定の下限値(2質量%)より少ないため、低温強度が小さい。このため、中子離型工程〜移送工程までの間に、コーティング層に剥離等が生じる懸念がある。
比較例2は、単糖類の配合量を、本発明規定の上限値(10質量%)より多くしたもので、高温強度が不充分となっている。これは、単糖類の配合量が多すぎたため、高温域で単糖類の焼失に伴って形成される空隙の割合が高くなり、高温強度を低下させる要因となったためと考えられる。高温強度が不充分であると、タンディッシュ使用工程でコーティング層に充分な耐用寿命を確保できない。
比較例3は、ガラス類の配合量が、本発明規定の下限値(0.1質量%)よりも少ないため、高温域で充分な量のボンドを形成できず、高温強度が小さい。
比較例4は、ガラス類の配合量が、本発明規定の上限値(2質量%)より多いため、高温強度には優れるが、過剰な量のボンドの形成により、焼付きにくさに劣る。
比較例5は、糖として多糖類のみを用いたもので、単糖類や二糖類を用いる場合に比べると、残炭の少なさに劣る。
また、比較例5は、低温強度にも劣る。これは、多糖類の溶融開始は単糖類や二糖類の溶融開始より遅いため、加熱期間が限られた条件下では、その溶融物が耐火性粉体中に拡散する期間を充分に確保できなかったためと考えられる。また、多糖類の溶融物は、単糖類や二糖類の溶融物に比べて粘性が高いため、密充填構造をもつ耐火性粉体内にむらなく行き渡ることができず、強度むらが生じたことも考えられる。
比較例6は、結合剤にフェノールレジンのみを用いたもので、臭気の少なさ、低温強度、焼付きにくさ、及び残炭の少なさの点で劣る。
比較例7は、比較例6のフェノールレジンの一部を多糖類に置き換えたもので、比較例6に比べると、臭気の少なさ、焼付きにくさ、及び残炭の少なさの点で改善されたが、その改善は不充分であり、総合評価としては、好ましいとはいえない。
比較例8は、比較例7の多糖類を単糖類に置き換えたもので、比較例7に比べると、低温強度は改善されたが、依然として、臭気の少なさ、焼付きにくさ、及び残炭の少なさの点で劣るため、好ましいとはいえない。
比較例9は、結合剤にリン酸塩のみを用いたもので、低温強度及び焼付きにくさの点で劣る。
比較例10は、比較例9のリン酸塩の一部を多糖類に置き換えたもので、比較例9に比べると、焼付きにくさの点で改善されたが、その改善は不充分であり、総合評価としては好ましいとはいえない。
比較例11は、比較例10の多糖類を単糖類に置き換えたもので、比較例10に比べると、低温強度は改善されたが、依然として、焼付きにくさ、及び残炭の少なさの点で劣るため、好ましいとはいえない。
Figure 2010137279
実施例1〜18は、いずれも総合評価において優れる。
実施例1〜5は、単糖類の配合量を、本発明規定の範囲で変化させたものである。単糖類の配合量が4質量%以上の場合に、低温強度が特に良好になっている。また、単糖類の配合量が8質量%以下の場合に高温強度が特に良好になっている。この結果から、低温強度と高温強度と兼ね合いを考慮すると、単糖類及び/又は多糖類の配合量は4〜8質量%が特に好ましいと考えられる。
実施例6〜12は、ガラス類の配合量を、本発明規定の範囲で変化させたものである。ガラス類の配合量が0.7質量%以上の場合に、高温強度が特に良好になっている。また、ガラス類の配合量が1.8質量%以下の場合に、焼付きにくさが特に良好になっている。この結果から、高温強度と焼付きにくさの兼ね合いを考慮すると、ガラス類の配合量は0.7〜1.8質量%が特に好ましいと考えられる。
実施例13は、実施例3の単糖類を二糖類に置き換えたもので、実施例3の方が実施例12よりも低温強度に優れることから、糖としては、二糖類よりも単糖類が好ましいといえる。この理由の一つとして、単糖類の方が、二糖類よりも溶融時の粘性が小さく、耐火性粉体内にむらなく行き渡ることができることが考えられる。
実施例14は、糖として単糖類と二糖類とを併用したもので、低温強度の点で実施例3には劣るが、実施例13と同様、良好な結果を得ている。
実施例15は、実施例3の硼砂をホウケイ酸ガラスに置き換えたもので、実施例3の方が実施例12よりも高温強度に優れていることから、ガラス類としては、ホウケイ酸ガラスよりも硼砂が好ましいといえる。この理由の一つとして、硼砂の溶融時の粘性が、ホウケイ酸ガラス等の他のガラス類に比べると小さいため、最密充填構造に近い粒度構成をもつ耐火性粉体内にむらなく行き渡ることができることが考えられる。
実施例16〜18は、単糖類及び/又は二糖類、ガラス類、及び耐火性粉体以外の他の添加物として、有機繊維及び/又は有機湿潤剤を添加したもので、総合評価において実施例3と遜色がないことから、これら他の添加物の配合量が合計1質量%以下の場合、本発明の作用効果が損なわれないことが確認された。
以上、本発明の具体例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、種々の組み合わせ及び改良が可能なことは当業者に自明であろう。
タンディッシュと中子との位置関係を模式的に示した部分断面図である。
符号の説明
1…鉄皮
2…内張り耐火物
3…中子
4…乾式コーティング材
5…コーティング層

Claims (1)

  1. (a)タンディッシュに中子を挿入する工程と、
    (b)単糖類及び/又は二糖類よりなる糖を2〜10質量%、ガラス類を0.1〜2質量%それぞれ含み、残部は耐火性粉体を主体とした乾式コーティング材を、前記タンディッシュの内張り耐火物と前記中子との間の隙間に充填する工程と、
    (c)前記中子を介して、前記乾式コーティング材を100〜400℃に加熱した後、前記中子を前記タンディッシュから取り除く工程と
    を有するダンディッシュへのコーティング層の形成方法。
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