JP6640937B1 - 焼付け補修材 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、特に流動性の向上を狙って、流動助剤としてアセト酢酸アニリドを添加した焼付け補修材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。アセト酢酸アニリドはピッチとの相溶性が高いので、熱間でピッチと溶け合って優れた流動促進作用を発現する。
そこで、本発明の課題は、燃焼時間が短く、かつ十分な流動性を確保できる焼付け補修材を提供することにある。
耐火材料100質量%に対して、ピッチを5質量%以上40質量%以下、流動助剤を1質量%以上20質量%以下含む焼付け補修材において、
前記流動助剤は、パラクミルフェノール、シクロヘキサノンオキシム、フルオレン及びデヒドロ酢酸の少なくとも1つである第1の流動助剤と、
アセト酢酸アニリド及びアセトアニリドの少なくとも1つである第2の流動助剤と、を含み、
前記流動助剤100質量%中に占める割合で、前記第1の流動助剤の含有量が50質量%以上97.5質量%以下、前記第2の流動助剤の含有量が2.5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする焼付け補修材。
また、第2の流動助剤であるアセト酢酸アニリドのみを使用した場合、前述のとおり燃焼時間が長くなるという問題があったが、第1の流動助剤は揮発性に優れることから、第1の流動助剤と第2の流動助剤とを併用することで、燃焼時間を短くすることができる。
以上のとおり本発明によれば、燃焼時間が短く、かつ十分な流動性を確保できる焼付け補修材を提供することができる。
ピッチとしては焼付け補修材に一般的に適用されているものを適用できるが、保管性及び流動性の点から、軟化点が100℃以上300℃以下のものを適用することが好ましい。
本発明において添加する第1の流動助剤は、パラクミルフェノール、シクロヘキサノンオキシム、フルオレン及びデヒドロ酢酸の少なくとも1つであり、前述のとおり例えば300℃程度の温度領域で残渣を有しないという性質を有する。一方、本発明において添加する第2の流動助剤は、アセト酢酸アニリド及びアセトアニリドの少なくとも1つであり、前述のとおり例えば300℃程度の温度領域で残渣を有するという性質を有する。
なお、このような第2の流動助剤の残渣成分を含む集積層による温度上昇抑制効果(流動性低下抑制効果)は、焼付け補修施工時の被補修体の温度が1000℃を超える高温であるほど顕著となる。すなわち、被補修体の温度が高温であるほど、その被補修体からの輻射熱により焼付け補修材の温度上昇(流動性低下)が急速に進むところ、本発明によれば第2の流動助剤の残渣成分を含む集積層が輻射熱を軽減することから急速な温度上昇が抑えられ、その結果、焼付け補修材の流動性の低下が抑制されることになる。一般的に焼付け補修施工時の被補修体の温度は800〜1300℃程度であるが、本発明は、被補修体の温度が1100℃以上の場合に特に効果を発揮する。
第1の流動助剤及び第2の流動助剤の好ましい含有量は、流動助剤100質量%中に占める割合で、第1の流動助剤の含有量が50質量%以上95質量%以下、第2の流動助剤の含有量が5質量%以上50質量%以下である。
第1の流動助剤及び第2の流動助剤の更に好ましい含有量は、流動助剤100質量%中に占める割合で、第1の流動助剤の含有量が60質量%以上85質量%以下、第2の流動助剤の含有量が15質量%以上40質量%以下である。
ここで、揮発性に優れるか否かについては、例えば、「昇温速度10℃/分において300℃以下でほぼ100%揮発するか否か」を指標とすることができる。すなわち、第1の流動助剤は、昇温速度10℃/分において300℃以下でほぼ100%揮発するという性質を有する。なお、例えば図2のパラクミルフェノールの結果に示すように、反応完了と思われる熱重量変化(TG)の終点が−100%に到達しない場合もあるため、上記指標は「ほぼ100%揮発するか否か」とした。
図2に熱重量変化(TG)の測定結果を示している。第1の流動助剤であるパラクミルフェノール、シクロヘキサノンオキシム、フルオレン及びデヒドロ酢酸については、いずれも300℃付近での熱重量変化(TG)がほぼ−100%であり残渣を有しないことが確認された。一方、第2の流動助剤であるアセト酢酸アリニドについては、300℃付近での熱重量変化(TG)が−80%程度であり、残渣を有することが確認された。なお、第2の流動助剤であるアセトアリニドについては熱重量変化(TG)を測定していないが、アセトアリニドはアセト酢酸アリニドと構造が類似しており、後述する実施例(表1)においても、アセトアリニドはアセト酢酸アリニドと同様の作用効果を奏していることから、アセト酢酸アリニドも300℃付近で残渣を有するものと考えられる。
ここで、残渣の有無を300℃付近で評価したのは、ピッチの揮発分の消失完了温度が約450℃であることから、このピッチの消失完了温度より若干低温の温度領域における残渣が前述の集積層の形成に寄与すると考えられるためである。
焼付け完了後の施工体の面積を求め、比較例1の面積を100とした指数で評価した。この流動性指数が大きいほど流動性が良いということである。具体的には、流動性指数が105超の場合を○(良)、流動性指数が100超105以下の場合を△(可)、流動性指数が100以下の場合を×(不可)とした。
[燃焼時間]
焼付け補修施工後、ピッチの燃焼による発煙が終了するまでの時間を燃焼時間とし、比較例1の燃焼時間を100とした指数で評価した。この燃焼時間指数が小さいほど燃焼時間が短いということである。具体的には、燃焼時間指数が95未満の場合を○(良)、95以上100未満の場合を△(可)、燃焼時間指数が100以上の場合を×(不可)とした。
[緻密性]
焼付け完了後の施工体の気孔率で評価した。気孔率はJIS−R2205−1992に準拠して測定した。具体的には、気孔率が30%未満の場合を○(良)、気孔率が30%以上32%未満の場合を△(可)、気孔率が32%以上の場合を×(不可)とした。
[総合評価]
各評価が全て○の場合を〇、各評価のいずれかに×がなく、△を含む場合を△、各評価のいずれか1つが×の場合を×とし、総合評価が○又は△の場合を合格、総合評価が×の場合を不合格とした。
比較例2は流動助剤として第2の流動助剤のみを添加した例、比較例3は第2の流動助剤の添加量が過多な例で、いずれも流動性が低下するとともに燃焼時間も長くなった。
比較例4は流動助剤の添加量が過多な例で、緻密性が低下した。
比較例5は流動助剤を添加していない例で、流動性が低下するとともに燃焼時間も長くなった。
比較例6はピッチの添加量が過少な例で、焼付け補修材としての体をなさず、各評価を実施できなかった。
比較例7はピッチの添加量が過多な例で、燃焼時間が長くなり緻密性も十分ではなかった。
Claims (3)
- 耐火材料100質量%に対して、ピッチを5質量%以上40質量%以下、流動助剤を1質量%以上20質量%以下含む焼付け補修材において、
前記流動助剤は、パラクミルフェノール、シクロヘキサノンオキシム、フルオレン及びデヒドロ酢酸の少なくとも1つである第1の流動助剤と、
アセト酢酸アニリド及びアセトアニリドの少なくとも1つである第2の流動助剤と、を含み、
前記流動助剤100質量%中に占める割合で、前記第1の流動助剤の含有量が50質量%以上97.5質量%以下、前記第2の流動助剤の含有量が2.5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする焼付け補修材。 - 前記流動助剤100質量%中に占める割合で、前記第1の流動助剤の含有量が50質量%以上95質量%以下、前記第2の流動助剤の含有量が5質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の焼付け補修材。
- 前記流動助剤100質量%中に占める割合で、前記第1の流動助剤の含有量が60質量%以上85質量%以下、前記第2の流動助剤の含有量が15質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の焼付け補修材。
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