JP2004149330A - 炭素含有れんが及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐酸化性および耐食性を維持しつつも、従来からの課題であった“実用上消化の問題のない炭素含有れんが”を提供すること。
【解決手段】耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金の含有量が外掛けで0.1〜10重量%であり、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛け気孔率が13%以下である炭素含有れんがにおいて、アルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%含有させてなる炭素含有れんが、及び、その製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金の含有量が外掛けで0.1〜10重量%であり、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛け気孔率が13%以下である炭素含有れんがにおいて、アルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%含有させてなる炭素含有れんが、及び、その製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気炉,転炉,取鍋などの各種溶融金属容器に適用される炭素含有れんが及びその製造方法に関し、特に、耐消化性並びに耐食性,耐酸化性に優れた炭素含有れんが及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素含有れんがは、炭素を含有することで、スラグと濡れにくい性質や高熱伝導性などの特徴から、優れた耐食性及び耐スポーリング性を有し、各種溶融金属容器の内張材として広く使用されている。
【0003】
しかし、炭素は酸化しやすい欠点を有することから、炭素が酸化した後は組織脆化が進行し、溶鋼摩耗による損傷や溶融スラグによる侵食などによって、損傷が著しく増大することがある。
上述のような炭素含有れんがに付随する問題点を解決するために、例えば、特許文献1(特開昭55−107749号公報)や特許文献2(特公昭60−2269号公報)等には、炭素より大きい酸素親和力を有する金属Al粉末をMgO−Cれんがへ添加することで、耐酸化性の改良や更に強度付与すること等の方法が開示されている。
【0004】
上述の従来技術では、実機使用時において、金属Al粉末は酸化して酸化物を形成し、これらの酸化物の生成時における体積膨張によって、れんが組織が緻密化する。その結果、れんがの通気率が低下することで、耐酸化性が向上するものである。
しかし、炭素含有れんがへ添加された金属Al粉末は、使用中の加熱状況下において、れんが中の炭素成分や気孔中に存在する少量の窒素成分と反応して、Al4C3やAlNを生成する。この中間生成物であるAl4C3,AlNは、炉末期頃までれんが中に残存する。そして、このAl4C3,AlNが水分や水蒸気と接触すると、次の式(1),式(2)のような水和反応(消化)が進行して、れんがの組織が著しく劣化し、場合によっては、崩壊や膨張,亀裂発生に至るなどの問題がある。
式(1)・・・・Al4C3+12H2O→3CH4+4Al(OH)3
式(2)・・・・AlN+3H2O→NH3+Al(OH)3
【0005】
このように炭素含有れんがが消化現象に起因する組織の劣化,崩壊や亀裂発生が生じるものであると、例えば、炉が間欠的に操業されているような場合には、低温時に空気中の湿分によって、炉の内張りれんがが劣化し、あるいは亀裂を発生し、炉の寿命を大幅に短くしてしまうことになる。
また、炉の使用中は温度が下がることなく、組織劣化や亀裂が発生しなかった場合でも、使用後のれんがを再利用しようとするときには、大きな問題である。即ち、再利用するために一旦保管しておくと、その間に湿分と反応してれんががボロボロに崩壊してしまうことがしばしばあり、逆に、崩壊前に再利用を図ると、例えば使用後れんがを含む再生れんが中で崩壊が発生し、再生れんがそのものが形をとどめることができなくなる。従って、消化性物質であるAl4C3やAlNをれんが中に保有している使用後れんがは、事実上再利用が困難である。
【0006】
Al4C3やAlNの生成,残存は、特に緻密な組織を有する炭素含有れんがにおいて顕著である。該れんがが緻密な組織を有しない場合には、通気性が高いため、COガス,CO2ガス等の酸化性ガスが組織内に侵入しやすくなり、金属Alの酸化が進行して、消化性物質の生成,残存が起こらない。逆に、該れんがが緻密な組織を有する場合、通気性が低いためにCOガス,CO2ガス等の酸化性ガスが組織内に侵入しにくくなり、Al4C3やAlNの酸化が進行せずに組織中に長期に渡って残存する。
このような組織の緻密性の違いによる反応性の差は、該れんがが加熱されたときの気孔率によってほぼ決定され、例えば、1000℃で加熱した後に13%を超える見掛気孔率を有するれんがの場合には、消化性物質の生成,残存が起こらず、消化の問題も起こりにくい。即ち、前記式(1),(2)で示す消化反応による崩壊や膨張,亀裂発生といった実用上の問題は、特に緻密な炭素含有れんがにおいて問題となるものであり、本発明が解決しようとする課題も、特に緻密な炭素含有れんがを対象とするものである。
【0007】
上記炭素含有れんがにおける問題に対する対策として、前掲の特許文献1(特開昭55−107749号公報)には、金属Al粉末に加えて更に金属Si粉末を併用添加することで、前記水和反応(消化)を防止できると記載されている。
【0008】
また、消化防止を目的とした例として、例えば、特許文献3(特開平5−148011号公報)には、「黒鉛含有量が3〜50重量%のMgO−Cれんがに、水面被覆面積が10,000m2/g以下の鱗片状の金属Al片を1〜10重量%添加すること」が開示されている。更に、特許文献4(特開平7−195317号公報)には、「粉末状もしくは鱗片状の易酸化性金属、或いは、該易酸化性金属と共に酸化物微粉末を揮発性有機溶媒中に分散させ、該懸濁液を耐火性骨材,炭素質原料に添加し、混練すること」が開示されている。
また、特許文献5(特開平10−287464号公報)には、「シアンカップリング剤で表面を被覆し、100〜200℃で乾燥したMgO,CaOを少なくとも一種含む炭素含有れんがの製造方法」が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献6(特開昭54−11113号公報)には、「フェノール樹脂または変成フェノール樹脂とアルカリ土類金属の水酸化物,アルカリ金属珪酸塩,アルカリ金属アルミン酸塩とを併用するカーボン質耐火物」が開示されている。
また、特許文献7〜10(特開平1−141872号公報,特開平2−267150号公報,特開平2−267159号公報,特開平3−141152号公報)などには、「耐火骨材と炭素とからなる耐火原料にガラス質材料を添加してなる耐火物」が開示されている。
【0010】
一方、不定形耐火物においては、一般にケイ酸塩,燐酸塩,セメントなどが使用されており、例えば、特許文献11(特開昭52−154818号公報)や特許文献12(特開平3−33068号公報)などに「不定形耐火物へのケイ酸アルカリの使用」が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭55−107749号公報(特許請求の範囲第1項,第2項,第1表)
【特許文献2】
特公昭60−2269号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献3】
特開平5−148011号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開平7−195317号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開平10−287464号公報(請求項1)
【特許文献6】
特開昭54−11113号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開平1−141872号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献8】
特開平2−267150号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開平2−267159号公報(特許請求の範囲第2項)
【特許文献10】
特開平3−141152号公報(特許請求の範囲第3項)
【特許文献11】
特開昭52−154818号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献12】
特開平3−33068号公報(第1表,第2表)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特許文献2(特公昭60−2269号公報)に開示されている“金属Al粉末の添加”によって、また、特許文献1(特開昭55−107749号公報)に開示されている“金属Al粉末に加えて更に金属Si粉末を併用添加”することで、極僅かに消化防止効果は認められるものの、例えば、間欠操業などの場合、消化が進行して損傷が増大することがあり、また、使用後のれんがを再生利用しようとするとき、短期の保管中でも消化が生じてれんがが崩壊し、実用上使用できないと言う問題があった。
【0013】
また、前掲の特許文献3(特開平5−148011号公報)では、鱗片状の金属Al片を添加することで、ある程度のAl4C3やAlNの生成が抑制できても、消化してれんがを崩壊するのに十分なAl4C3やAlNが生成しているため、実用上は殆ど効果がないに等しい。
さらに、前掲の特許文献4(特開平7−195317号公報)では、鱗片状の易酸化性金属と共に酸化物粉末を揮発性有機溶剤に分散させ、この分散物を混練時に添加することが開示されているが、製造の際、易酸化性金属の発火の危険性を伴う上、微粉部分の分散性に劣り、実際上消化の問題を解決できるものではない。(なお、前掲の特許文献5(特開平10−287464号公報)は、金属Alを添加しない材質に関するものであって、MgO骨材及びCaO骨材の消化防止を狙ったものであり、本発明の意図する“金属Alを添加した炭素含有れんがにおける耐消化性向上技術”とは、全く異なるものである。)
【0014】
また、前掲の特許文献6(特開昭54−11113号公報)では、「フェノール樹脂をバインダーとして用いる含炭素耐火物に、アルカリ金属の珪酸塩,アルミン酸塩を添加する方法」が示されているが、これも金属Alを添加しない材質に関するものであって、本発明の意図する“金属Alを添加した材質(炭素含有れんが)における耐消化性向上技術”とは全く異なるものである。
また、前掲の特許文献7〜10(特開平1−141872号公報,特開平2−267150号公報,特開平2−267159号公報,特開平3−141152号公報)では、炭素含有耐火物にガラスやフラックスを添加する例が開示されているが、ここでのガラスやフラックスの作用は、熱間で溶融して炭素を被覆し耐酸化性を向上させるものである。従って、本発明の“緻密な組織を有する炭素含有れんがにおける金属Alとアルカリ金属化合物との相互作用による耐消化性向上技術”とは、目的も作用効果も異なる技術である。
【0015】
以上のように、これまでの特許文献1〜5等の従来技術では、耐消化性に関してある程度の改善は可能であるが、“実用上消化の問題のない炭素含有れんが”については開発されていない。(なお、前掲の特許文献11(特開昭52−154818号公報)や特許文献12(特開平3−33068号公報)などに、「不定形耐火物へのケイ酸ナトリウムの使用」が開示されているが、ケイ酸ナトリウムの使用目的は、高温下での容積安定性および接着性の改善(特許文献11)、混練物の流動性を消失させることによる保形性の確保(特許文献12)などであり、後に詳記するように、本発明の「炭素含有れんがへ適用されるアルカリ金属化合物」とは、添加目的ならびに作用効果が全く異なっている。)
【0016】
本発明は、上記点に鑑み成されたものであって、その目的とするところは、高い耐酸化性および耐食性を維持するために、緻密な組織をもち、且つ金属Alを添加した炭素含有れんがにおいて、従来からの課題であった“高温に曝された後の冷却時に、水分,湿分による消化現象、すなわち、れんがの崩壊や膨張,亀裂発生などの問題”を、実用上全く生じることのない「炭素含有れんがおよびその製造方法」を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための技術的構成として、本発明に係る炭素含有れんがは、「耐火性骨材および炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金の含有量が外掛けで0.1〜10重量%であり、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛け気孔率が13%以下である炭素含有れんがにおいて、アルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%含有させてなること」を特徴とする(請求項1)。
【0018】
また、本発明に係る炭素含有れんがは、
・前記アルカリ金属化合物が、アルコール類,グリコール類または水に可溶であること(請求項2)、
・前記アルカリ金属化合物が、ケイ酸アルカリであって、その含有量がアルカリ金属酸化物換算で外掛けで0.03〜5重量%であること(請求項3)、
・前記耐火性骨材の少なくとも一部にマグネシアを含むこと(請求項4)、
・前記金属Al及び/又はAlを含む合金の少なくとも一部が、0.1mm以
下の粒度を有すること(請求項5)、
を特徴としている。
【0019】
一方、本発明に係る炭素含有れんがの製造方法は、上記請求項1〜5の炭素含有れんがを製造する方法であって、「耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金を外掛けで0.1〜10重量%添加し、更にアルカリ金属化合物を添加し、加圧成形する」ことを特徴とする(請求項6)。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、それに先立って、本発明について、作用効果を含めて更に詳細に説明する。
【0021】
本発明者等は、上述の課題
(目的)に鑑み、耐消化性並びに耐食性,耐酸化性に優れる炭素含有れんがの開発を意図して、鋭意検討を行った結果、金属Al及び/又はAl合金を添加した緻密な炭素含有れんがに、更に“アルカリ金属化合物”を含有させることで、実用上消化の問題のない炭素含有れんがを得ることができることを見い出した。
【0022】
本発明の炭素含有れんがにおいて使用される「アルカリ金属化合物」の機能は、アルカリ金属化合物が高温下で蒸発・ガス化して揮発する際の“酸化作用あるいは触媒作用”によって、Alの酸化が促進されてAl2O3を生成し、中間生成物であるAl4C3やAlNが残存しない効果を生ずる。即ち、アルカリ金属化合物を添加することにより、消化性反応物の生成を防止できることから、“実用する上で消化の問題が起こらない炭素含有れんが”を得ることができる。
【0023】
また、本発明は、加圧成形される緻密なれんがに関するものであり、上記の作用効果は、特に“加圧成形される緻密な炭素含有れんが”において、顕著な効果を発揮するものである。
一般に、耐火物は、緻密であるほど高い耐食性,耐酸化性を有し、炭素含有れんがにおいても、耐食性や耐酸化性改善のために緻密性の向上が図られてきている。本発明の炭素含有れんがにおいても、高い耐食性と耐酸化性を付与するために、れんがの緻密性を一定以上の水準に保つことを必須とする。
【0024】
ここで、前述のように、炭素含有れんがに添加されたAlは、該れんがが緻密な場合に酸化が十分に進行せず、消化性物質であるAl4C3やAlNが生成、残存する。このため、消化による崩壊や膨張,亀裂発生などの実用上の問題は、特に緻密な炭素含有れんがにおいて起こるものである。
本発明の炭素含有れんがは、この緻密な組織を有するれんがにおいて消化を防止することに成功したものであり、この点に本発明の特徴がある。本発明の緻密な組織を有する炭素含有れんがは、高温下での気孔率が低いために、添加したアルカリ金属化合物が高温下で蒸発・ガス化して揮散する際に該れんが組織内にガス状で長期間、かつ高濃度で充満するものと推測される。そのために、そのAlに対する酸化作用あるいは触媒作用が十分に発揮されてAlの酸化が促進され、緻密な組織を有しながらも、消化性物質であるAl4C3やAlNの生成,残存が防止される効果が得られるものと思われる。この意味において、本発明の炭素含有れんがは、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛気孔率が13%以下(より好ましくは12%以下)の緻密な組織を有することを必要とする。
【0025】
すなわち、本発明では、Alの酸化反応が進行する高温下での緻密性並びに耐食性,耐酸化性を左右する高温下での緻密性が重要となるため、れんが特性として、特に加熱後の気孔率を重視し、上記のように規定するものである。
該見掛気孔率が13%を超えると、耐食性,耐酸化性が低下して本発明が意図する高耐食性,高耐酸化性が得られないため好ましくないと共に、高温下での通気性が高いために本発明で問題としている消化性物質の生成,残存も起こりにくくなるため、本発明の目的とする問題解決の対象とはならない。
【0026】
なお、ここで、1000℃で還元雰囲気で加熱するのは、Al4C3やAlNが最も旺盛に生成する温度領域であるからであり、3時間の加熱で十分に気孔率の違い、即ち、緻密さの程度を判別することができるからである。
還元雰囲気での加熱とは、コークス粒などのカーボン粒(あるいは粉末)中にサンプルを埋設した状態で加熱する操作を意味している。実際の窯炉では、個々のれんがは同種の炭素含有れんがに隣接しており、従って、直接空気に触れていることは少なく、実際の窯炉と類似の状況における加熱条件として、上記のような還元雰囲気での加熱が好ましい。
【0027】
一方、不定形耐火物においては、一般にケイ酸塩,燐酸塩,セメントなどが使用されており、例えば、前記したように、「不定形耐火物へのケイ酸アルカリの使用」が開示されている(前掲の特許文献10,同11参照)。
しかし、これらの例におけるケイ酸アルカリの使用目的は、高温下での容積安定性および接着性の改善(特許文献10)、混練物の流動性を消失させることによる保形性の確保(特許文献11)などである。
【0028】
また、不定形耐火物は、水を使用し振動や吹付力による充填など、圧力の非常に小さい条件下で成形されるため、高い気孔率(約15%以上)を有するものである。従って、不定形耐火物は、高気孔率で通気性が高いことから、添加された金属Al粉末は、容易に酸化し、加熱状況下において、消化性生成物(Al4C3,AlN)を生成,残存しにくい。よって、不定形耐火物では、これらに起因する消化反応による崩壊や膨張,亀裂発生といった、実用上の問題は発生せず、本発明の目的とする問題解決の対象とならないものである。また、不定形耐火物は、高気孔率であるため、容易にスラグの侵入が起こりやすく、高温下で低融点物質を形成し、耐食性の低下並びに耐火物組織の劣化が進行しやすい。
【0029】
従って、本発明に使用するアルカリ金属化合物の作用効果は、緻密な組織を有する加圧成形される“金属Alを含有する炭素含有れんが”において、特にその消化防止効果を顕著に発揮するものであり、不定形耐火物へ適用されるアルカリ金属化合物とは、添加目的ならびに作用効果が全く異なっている。
【0030】
また、MgO骨材を含有した炭素含有れんがにおいては、加熱される前の段階では、MgO骨材の消化反応は起こりにくいものの、加熱されると、れんがの気孔率が増加することで通気性が増大し、水分又は水蒸気の影響を受けた際に、MgO骨材の消化(水和反応)が進行することがある。そのため、金属Al無添加の炭素含有れんがでも、MgO骨材の消化反応によってれんが組織が崩壊に至ることもある。
【0031】
本発明では、アルカリ金属化合物を含有することで、これらMgO骨材の消化も抑制できることを見いだした。
MgO骨材の消化抑制効果は、アルカリ金属化合物の添加によってAlの酸化が促進され、MgO骨材と反応してスピネルを形成し、れんが組織の緻密化が進行することによると考えられる。緻密化の進行によって通気性が低下し、水蒸気が組織内に侵入しにくくなると共に、生成したスピネルがMgO粒子を保護する効果も加わって、MgO骨材の水和反応が抑制されるものと推定される。
故に、本発明の炭素含有れんがにおいては、アルカリ金属化合物を添加することで、金属Al由来の消化性物質の生成防止のみならず、MgO粒子の消化抑制も可能になる。
【0032】
また先に、使用後の炭素含有れんがを回収して再度原料として再利用することは、実際上困難であることを記載した。再利用するためには、回収した後に水和処理(Al4C3やAlNの消化を完了させる処理)を行い、更にその後乾燥しなければならず、コストが掛かること、および水和処理に伴い品質が低下することが問題であった。
本発明の炭素含有れんがは、使用後でも消化による組織劣化や崩壊、亀裂発生を生じない特徴を有するので、使用後れんがを再利用するにあたって何の処理も必要とせず、通常の原料で行なうのと同様に、必要に応じて粉砕して使用すればよく、コストおよび品質の両面に優れたリサイクルが可能となる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に使用するアルカリ金属化合物は、目的とする前記の作用効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、代表的なものとして、水酸化カリウム,水酸化ナトリウム,水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩、アルミン酸カリウム,アルミン酸ナトリウムなどのアルミン酸アルカリ塩、燐酸カリウム,燐酸ナトリウム,燐酸リチウムなどの燐酸アルカリ塩、珪酸カリウム,珪酸ナトリウム,珪酸リチウムなどの珪酸アルカリ塩や、炭酸水素アルカリ塩,硫酸アルカリ塩,アルギン酸アルカリ塩,塩化ナトリウム,フッ化リチウムなどのハロゲン化物、アジ化物などを挙げることができる。
【0034】
アルカリ金属化合物として、珪酸カリウムなどのシリカ成分を含有するものを使用した場合には、このシリカ成分が炭素質原料の表面を被覆することで、上記の効果に加えて、耐酸化性も改善される。中でも最も安価で入手しやすいものとして珪酸ナトリウムを用いる場合には、この複合効果を十分に得る意味から、SiO2/Na2O比(モル比)が0.5〜4(より好ましくは1.5〜4)の範囲で使用することが好適である。
【0035】
使用するアルカリ金属化合物は、原料混合物100重量部に対して、アルカリ金属酸化物換算で外掛0.03〜5重量%(より好ましくは0.05〜3重量%)の範囲が望ましい。
アルカリ金属化合物の含有量が、アルカリ金属酸化物換算で、外掛0.03重量%未満では、耐消化性の効果が得られにくいため好ましくない。また、5重量%を超えると、熱間において、アルカリ成分が揮発することによって生成する気孔量が増大して強度が低下するため、溶銑や溶鋼摩耗による損傷が増大したり、耐食性の低下も著しくなるために好ましくない。
【0036】
また、本発明で使用するアルカリ金属化合物は、粉末状あるいは液状で用いることができる。粉末状で用いる際には、本発明の意図する作用効果を十分に得るために、組織中に均一に分散させることが望ましく、この意味から、少なくとも一部に0.2mm以下(より望ましくは0.1mm以下)の粒度のものを含むことが望ましい。
また、樹脂の溶剤であるアルコール類,グリコール類,グリセリンあるいは水に溶解するアルカリ金属化合物を粉末状で添加し、混合,混練操作中に溶解させて使用することによって、より一層アルカリ金属化合物を均一に分散させることができるため効果的である。また、アルカリ金属化合物を液状で用いることは更に望ましく、高い分散性が得られ、金属との反応性が向上して確実に耐消化性改善効果を得ることができるため、アルカリ金属化合物の必要量もより少なくなり、アルカリ金属酸化物換算で0.03〜3重量%の含有量で十分な作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、アルカリ金属化合物を含むものとしてガラスやフラックスがあるが、これらのガラス物質は、加熱によって溶融状態のままであり、成分の分解が生じにくいためAl4C3やAlNの生成抑制の効果が殆どなく、消化防止効果は極めて僅かである。また、アルコール類や水などの溶媒に溶解させて使用することもできないため、期待する効果を得ようとすると、添加量を多くする必要が生じ、耐食性の低下をもたらす等の不具合が生じやすくなる。
【0038】
また、アルミナ,スピネルなどの骨材中に含まれる微量のNa2O,K2Oなどのアルカリ金属化合物は、上記のAl4C3やAlNの生成抑制効果およびMgO骨材の消化防止効果が少ないものである。
従って、本発明の炭素含有れんがにおいて主眼とするアルカリ金属化合物が意味するところは、外掛けで添加するアルカリ金属化合物に由来するものであって、例えばアルミナ,スピネルなどの骨材中に含まれるNa2O,K2Oなどのアルカリ金属化合物は、その対象としない。すなわち、本発明で規定するアルカリ金属酸化物換算での含有量外掛0.03〜5重量%は、骨材以外で添加されたアルカリ金属化合物から算出される“アルカリ金属酸化物の換算量”である。
【0039】
本発明に使用できる耐火性骨材としては、マグネシア,アルミナ,スピネル,カルシア,シリカ,クロミア,ジルコニア,チタニアなどの酸化物やそれらの複合酸化物、炭化珪素,窒化珪素,酸窒化珪素,窒化硼素,炭化硼素,硼化ジルコニウムからなる焼結あるいは電融原料など、一般に使用される耐火性原料(耐火性骨材)を任意に使用することができる。
【0040】
本発明に使用できる炭素質原料は、特に限定されないが、一般に使用されるものとして、鱗状黒鉛,土状黒鉛などの天然黒鉛やコークスなどの人造黒鉛,電極屑,炭素繊維,熱分解炭素などを挙げることができる。
【0041】
また、本発明の炭素含有れんがにおいては、炭素質原料の酸化防止や強度向上等を目的に、原料混合物(耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料)100重量部に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金を外掛けで0.1〜10重量%(より好ましくは、外掛けで0.5〜5重量%)の範囲で使用することが望ましい。
添加量が0.1重量%未満では、酸化防止や強度向上効果が得られにくいため好ましくなく、一方、10重量%を超えると、高温下での弾性率が過剰となることがあるため好ましくない。
【0042】
また、使用する金属Al及び/又は金属Alを含む合金は、少なくともその一部に0.1mm以下(より好ましくは0.05mm以下)の粒度のものを用いることが望ましい。
0.1mmより大きい金属を多く使用すると、アルカリ金属化合物の作用が金属粒子内部まで及びにくく、Alの酸化促進効果が十分得られなくなるため好ましくない。また、0.1mmより大きい金属を多く使用すると、金属粒子からのAlガスの蒸発が増大し、組織中に拡散したAlガスがアルカリ金属化合物の表面に沈着,反応して安定化させるなど、本発明の作用効果において重要なアルカリ金属化合物の蒸発・ガス化を阻害する可能性もあるため好ましくない。更には、Alが蒸発した後には0.1mmを超える大きさの空隙が組織中に形成されるため、耐食性,等が低下するため好ましくない。
【0043】
本発明で使用できる金属Alを含む合金としては、強度付与や耐酸化性改善といった使用目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば代表的なものとして、Al−Si合金,Al−Mg合金,Al−Mg−Si合金,Al−Ti合金などが挙げられる。
【0044】
本発明の炭素含有れんがにおいて、原料混合物を構成する耐火性骨材と炭素質原料の配合割合は、特に限定されるものではないが、耐火性骨材10〜99重量%(より好ましくは60〜97重量%)、炭素質原料1〜90重量%(より好ましくは3〜40重量%)の範囲内が望ましい。
ここで、耐火性骨材の配合量が99重量%を超えると、即ち、炭素質原料の使用量が1重量%未満であると、耐スポーリング性が低下し、また、スラグ浸潤を防止する効果が不十分となるために好ましくない。また、耐火性骨材の配合量が10重量%未満、即ち、炭素質原料の配合量が90重量%を超えると、酸化損傷による組織劣化や摩耗損傷が起こりやすくなり、また、れんがの熱伝導率が増大して溶融金属の温度低下をもたらすために好ましくない。
【0045】
本発明の炭素含有れんがには、必要に応じて、バインダーとしてレゾール型あるいはノボラック型のフェノール樹脂を使用することができる。
フェノール樹脂を使用する場合、その添加量は、特に限定されるものではないが、2.3重量%以下(より好ましくは2.0重量%以下)の範囲内が望ましい。フェノール樹脂の添加量が2.3重量%を超えると、該炭素含有れんがが加熱された際にれんが組織内に形成されるフェノール樹脂由来のカーボンの量が多くなり、該カーボンがれんが中に添加されているアルカリ金属化合物を含む物質を被覆する頻度が増大する。れんが中で生成するフェノール樹脂由来のカーボンは、炭素化が十分に進行しないために反応活性が高く、そのために、先に詳述したアルカリ金属化合物が蒸発・ガス化する際の酸化作用あるいは触媒作用が該カーボンとの相互作用で消耗・減縮され、Alの酸化促進効果が十分に発揮されにくくなるため好ましくない。
【0046】
また、本発明の炭素含有れんがには、必要に応じて、前記フェノール樹脂以外の他のバインダーを使用することもできる。使用できるバインダーは特に限定されないが、無機、有機の結合効果を発揮するものであって、例えば、フラン樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂類、ピッチやタール等の芳香族系有機高分子化合物、ステアリン,パルチミン酸などのグリセリド、脂肪,脂肪油などの脂肪族誘導体、ソルビトール,マンニトールなどの6価ポリオール、マルトース,トレハロース,アミロースなどの糖類やその加水分解物、あるいは、糊材,パルプ廃液,廃糖蜜などを使用することができる。
これらのバインダーの添加量も特に限定されるものではないが、有機系バインダーの場合、前記したフェノール樹脂と同様の理由により、2.3重量%以下(より好ましくは2.0重量%以下)の範囲内とすることが好ましい。
【0047】
また、本発明の炭素含有れんがには、炭素質原料の酸化防止等の目的で、“金属Al及び/又はAlを含む合金”の他に、シリコン,マグネシウム,チタン,クロム,ジルコニウム,ホウ化物などの金属または非酸化物、あるいは、それらの合金や混合物を任意に併用することができる。
これらの金属の使用量は、0.1〜10重量%(好ましくは0.5〜5重量%)の範囲内である。金属の使用量が上記範囲外であると、その酸化防止や強度向上効果を十分に発揮することができなかったり、高温下での弾性率が過剰となることがあるために好ましくない。
【0048】
本発明に係る炭素含有れんがの製造方法は、上記耐火性骨材,炭素質原料,金属Al及び/又はAlを含む合金およびアルカリ金属化合物を添加し、必要に応じてバインダーを加えて混合,混練を行い、得られた坏土を加圧成形機を用いて加圧成形して製造するのもである。加圧成型機には、フリクション式プレス,油圧式プレス,ラバープレスなどを用いることが望ましい。また、成形時の雰囲気ガス圧力は、特に限定されるものでなく、大気圧下での成形も可能であるが、緻密な組織を得るためには、雰囲気ガス圧力を大気圧未満に減圧した状態で坏土を加圧成形することがより望ましい。成形体は、必要に応じて、加熱処理または焼成処理などの熱処理を行い、製品とすることができる。
【0049】
以上詳述したように、本発明の炭素含有れんがは、加熱された後に緻密な組織を有するれんがにおいて、添加している金属Al及び/又は金属Alを含む合金由来の消化性反応物の生成,残存をアルカリ金属化合物の併用添加によって防止することに成功したものであり、緻密な組織を維持しながら消化の問題を解決する方法を見いだした点に本発明の最大の特徴がある。
上述した手法を用いることによって、従来対策が困難であった緻密なれんがにおいて発生する消化による崩壊,膨張や亀裂発生といった実用上の問題を初めて解決することが可能となり、本発明を完成するに至ったものである。
【0050】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例1〜13によって限定されるものではない。
【0051】
(実施例1〜13,比較例1〜10)
本発明品(実施例1〜13)および比較品(比較例1〜9)の各供試試料を、以下の表1〜3に示す配合割合で原料混合物を混練した後、並形形状にプレス成形し、250℃で12時間乾燥することにより得た。また、比較例10は、表3に示す配合割合で水を適量加えて混練した後、各種試験用形状に鋳込み、養生の後、250℃で12時間乾燥して供試試料(比較例10)とした。なお、表1〜3中の「アルカリ金属酸化物量」は、Na2OあるいはK2Oに換算した値である。
【0052】
得られた本発明品(実施例1〜13)および比較品(比較例1〜10)の各供試試料の諸特性、即ち「見掛気孔率」「かさ比重」「圧縮強さ」「1000℃/3h 還元雰囲気で加熱した後の見掛気孔率」「熱間強度」を測定し、その測定結果を表1〜3に併記した。また、次に示す「耐消化性試験」「耐食性試験」「酸化試験」を行い、その試験結果を同じく表1〜3に併記した。(なお、「圧縮強さ」は、数字が高い方が良好であり、「溶損指数」および「酸化指数」は、後記するとおり、数字が小さい方が良好である。)
【0053】
「耐消化性試験」
予め1500℃/3h還元雰囲気で加熱したものをサンプルとし、その後、密閉容器中130℃−0.3MPa飽和水蒸気圧下で3時間保持のオートクレーブ試験を行った。試験後のれんが組織は、消化試験後の外観と圧縮強さから、[良 ◎(変化なし)>○(微亀裂あり)>△(亀裂あり)>×(崩壊) 悪]の評価指標で表示した。なお、「◎〜○」は、実用する上で問題が起こらないレベルであり、「△〜×」は、実用する上で問題が起こるレベルである。
【0054】
「耐食性試験」
酸素−プロパン加熱の回転ドラムを使用して、1650℃−5時間にわたり実施し、1時間毎に、侵食剤として「CaO:50重量%、SiO2:30重量%、Al2O3:10重量%、MgO:10重量%」の組成を有する合成スラグを投入した。
耐食性の評価は、耐食性試験後の試料切断面写真から侵食量を測定して判断したものであり、“溶損指数”で表示した。なお、この溶損指数は、数字が小さい方が良好であることを示す。
【0055】
「酸化試験」
炉床回転式電気炉を用いて1300℃/3h大気雰囲気で実施し、酸化試験後の試料切断面写真から酸化層を測定して判断したものであり、“酸化指数”で表示した。なお、この酸化指数は、数字が小さい方が良好であることを示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表1〜3に記載する結果から、次のことが理解できる。
即ち、実施例1〜13(本発明品)は、耐消化性に優れ、かつ耐食性,耐酸化性にも優れることが分かる。より詳細に説明すると、実施例3〜5(本発明品)は、比較例1(従来品)に比べて、耐消化性が格段に優れており、かつ高い耐食性,耐酸化性が維持されている。また、実施例6(本発明品)は、比較例2,3(従来品)に比べて耐消化性に優れており、かつ高い耐食性,耐酸化性を有していることが分かる。
【0060】
図1に、耐消化性の試験結果の一例として、(A)「実施例3と比較例1」、および、(B)「実施例6と比較例3」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示す。図1の(A),(B)から明らかなように、従来品の比較例1,3は、消化によってれんがサンプルが崩壊,粉化しているが、本発明の実施例3,6は、亀裂発生や膨張,崩壊といった劣化の兆候が全く見られず、耐消化性が顕著に改善されていることが理解できる。
【0061】
また、実施例7〜9(本発明品)は、比較例4(従来品)と比較して、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れることが分かる。また、実施例11,12(本発明品)は、比較例5,6(従来品)に比べて、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れている。さらに、実施例13(本発明品)は、比較例7〜9(従来品)と比較して、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れることが分かる。
【0062】
以上の事実から、本発明の炭素含有れんがは、従来品に比較して、耐消化性に優れ、かつ同時に耐食性,耐酸化性に優れるという特徴を有していることが明確である。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、以上詳述したとおり、金属Al及び/又は金属Alを含む合金を添加し、かつ加熱された後に緻密な組織を有する炭素含有れんが及びその製造方法において、アルカリ金属化合物を併用添加することを特徴とし、これにより、耐食性および耐酸化性を維持しつつも、耐消化性に優れた、即ち、実用上消化の問題のない炭素含有れんがを提供することができる。
従って、本発明によれば、従来対策が困難であった緻密なれんがにおける“崩壊,膨張,亀裂発生”といった、実用上の消化の問題を解決することが可能となったものであり、その工業的な価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐消化性の試験結果の一例を示すものであって、(A)は、「実施例3,比較例1」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示し、(B)は、「実施例6,比較例3」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気炉,転炉,取鍋などの各種溶融金属容器に適用される炭素含有れんが及びその製造方法に関し、特に、耐消化性並びに耐食性,耐酸化性に優れた炭素含有れんが及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素含有れんがは、炭素を含有することで、スラグと濡れにくい性質や高熱伝導性などの特徴から、優れた耐食性及び耐スポーリング性を有し、各種溶融金属容器の内張材として広く使用されている。
【0003】
しかし、炭素は酸化しやすい欠点を有することから、炭素が酸化した後は組織脆化が進行し、溶鋼摩耗による損傷や溶融スラグによる侵食などによって、損傷が著しく増大することがある。
上述のような炭素含有れんがに付随する問題点を解決するために、例えば、特許文献1(特開昭55−107749号公報)や特許文献2(特公昭60−2269号公報)等には、炭素より大きい酸素親和力を有する金属Al粉末をMgO−Cれんがへ添加することで、耐酸化性の改良や更に強度付与すること等の方法が開示されている。
【0004】
上述の従来技術では、実機使用時において、金属Al粉末は酸化して酸化物を形成し、これらの酸化物の生成時における体積膨張によって、れんが組織が緻密化する。その結果、れんがの通気率が低下することで、耐酸化性が向上するものである。
しかし、炭素含有れんがへ添加された金属Al粉末は、使用中の加熱状況下において、れんが中の炭素成分や気孔中に存在する少量の窒素成分と反応して、Al4C3やAlNを生成する。この中間生成物であるAl4C3,AlNは、炉末期頃までれんが中に残存する。そして、このAl4C3,AlNが水分や水蒸気と接触すると、次の式(1),式(2)のような水和反応(消化)が進行して、れんがの組織が著しく劣化し、場合によっては、崩壊や膨張,亀裂発生に至るなどの問題がある。
式(1)・・・・Al4C3+12H2O→3CH4+4Al(OH)3
式(2)・・・・AlN+3H2O→NH3+Al(OH)3
【0005】
このように炭素含有れんがが消化現象に起因する組織の劣化,崩壊や亀裂発生が生じるものであると、例えば、炉が間欠的に操業されているような場合には、低温時に空気中の湿分によって、炉の内張りれんがが劣化し、あるいは亀裂を発生し、炉の寿命を大幅に短くしてしまうことになる。
また、炉の使用中は温度が下がることなく、組織劣化や亀裂が発生しなかった場合でも、使用後のれんがを再利用しようとするときには、大きな問題である。即ち、再利用するために一旦保管しておくと、その間に湿分と反応してれんががボロボロに崩壊してしまうことがしばしばあり、逆に、崩壊前に再利用を図ると、例えば使用後れんがを含む再生れんが中で崩壊が発生し、再生れんがそのものが形をとどめることができなくなる。従って、消化性物質であるAl4C3やAlNをれんが中に保有している使用後れんがは、事実上再利用が困難である。
【0006】
Al4C3やAlNの生成,残存は、特に緻密な組織を有する炭素含有れんがにおいて顕著である。該れんがが緻密な組織を有しない場合には、通気性が高いため、COガス,CO2ガス等の酸化性ガスが組織内に侵入しやすくなり、金属Alの酸化が進行して、消化性物質の生成,残存が起こらない。逆に、該れんがが緻密な組織を有する場合、通気性が低いためにCOガス,CO2ガス等の酸化性ガスが組織内に侵入しにくくなり、Al4C3やAlNの酸化が進行せずに組織中に長期に渡って残存する。
このような組織の緻密性の違いによる反応性の差は、該れんがが加熱されたときの気孔率によってほぼ決定され、例えば、1000℃で加熱した後に13%を超える見掛気孔率を有するれんがの場合には、消化性物質の生成,残存が起こらず、消化の問題も起こりにくい。即ち、前記式(1),(2)で示す消化反応による崩壊や膨張,亀裂発生といった実用上の問題は、特に緻密な炭素含有れんがにおいて問題となるものであり、本発明が解決しようとする課題も、特に緻密な炭素含有れんがを対象とするものである。
【0007】
上記炭素含有れんがにおける問題に対する対策として、前掲の特許文献1(特開昭55−107749号公報)には、金属Al粉末に加えて更に金属Si粉末を併用添加することで、前記水和反応(消化)を防止できると記載されている。
【0008】
また、消化防止を目的とした例として、例えば、特許文献3(特開平5−148011号公報)には、「黒鉛含有量が3〜50重量%のMgO−Cれんがに、水面被覆面積が10,000m2/g以下の鱗片状の金属Al片を1〜10重量%添加すること」が開示されている。更に、特許文献4(特開平7−195317号公報)には、「粉末状もしくは鱗片状の易酸化性金属、或いは、該易酸化性金属と共に酸化物微粉末を揮発性有機溶媒中に分散させ、該懸濁液を耐火性骨材,炭素質原料に添加し、混練すること」が開示されている。
また、特許文献5(特開平10−287464号公報)には、「シアンカップリング剤で表面を被覆し、100〜200℃で乾燥したMgO,CaOを少なくとも一種含む炭素含有れんがの製造方法」が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献6(特開昭54−11113号公報)には、「フェノール樹脂または変成フェノール樹脂とアルカリ土類金属の水酸化物,アルカリ金属珪酸塩,アルカリ金属アルミン酸塩とを併用するカーボン質耐火物」が開示されている。
また、特許文献7〜10(特開平1−141872号公報,特開平2−267150号公報,特開平2−267159号公報,特開平3−141152号公報)などには、「耐火骨材と炭素とからなる耐火原料にガラス質材料を添加してなる耐火物」が開示されている。
【0010】
一方、不定形耐火物においては、一般にケイ酸塩,燐酸塩,セメントなどが使用されており、例えば、特許文献11(特開昭52−154818号公報)や特許文献12(特開平3−33068号公報)などに「不定形耐火物へのケイ酸アルカリの使用」が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭55−107749号公報(特許請求の範囲第1項,第2項,第1表)
【特許文献2】
特公昭60−2269号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献3】
特開平5−148011号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開平7−195317号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開平10−287464号公報(請求項1)
【特許文献6】
特開昭54−11113号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開平1−141872号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献8】
特開平2−267150号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開平2−267159号公報(特許請求の範囲第2項)
【特許文献10】
特開平3−141152号公報(特許請求の範囲第3項)
【特許文献11】
特開昭52−154818号公報(特許請求の範囲第1項)
【特許文献12】
特開平3−33068号公報(第1表,第2表)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特許文献2(特公昭60−2269号公報)に開示されている“金属Al粉末の添加”によって、また、特許文献1(特開昭55−107749号公報)に開示されている“金属Al粉末に加えて更に金属Si粉末を併用添加”することで、極僅かに消化防止効果は認められるものの、例えば、間欠操業などの場合、消化が進行して損傷が増大することがあり、また、使用後のれんがを再生利用しようとするとき、短期の保管中でも消化が生じてれんがが崩壊し、実用上使用できないと言う問題があった。
【0013】
また、前掲の特許文献3(特開平5−148011号公報)では、鱗片状の金属Al片を添加することで、ある程度のAl4C3やAlNの生成が抑制できても、消化してれんがを崩壊するのに十分なAl4C3やAlNが生成しているため、実用上は殆ど効果がないに等しい。
さらに、前掲の特許文献4(特開平7−195317号公報)では、鱗片状の易酸化性金属と共に酸化物粉末を揮発性有機溶剤に分散させ、この分散物を混練時に添加することが開示されているが、製造の際、易酸化性金属の発火の危険性を伴う上、微粉部分の分散性に劣り、実際上消化の問題を解決できるものではない。(なお、前掲の特許文献5(特開平10−287464号公報)は、金属Alを添加しない材質に関するものであって、MgO骨材及びCaO骨材の消化防止を狙ったものであり、本発明の意図する“金属Alを添加した炭素含有れんがにおける耐消化性向上技術”とは、全く異なるものである。)
【0014】
また、前掲の特許文献6(特開昭54−11113号公報)では、「フェノール樹脂をバインダーとして用いる含炭素耐火物に、アルカリ金属の珪酸塩,アルミン酸塩を添加する方法」が示されているが、これも金属Alを添加しない材質に関するものであって、本発明の意図する“金属Alを添加した材質(炭素含有れんが)における耐消化性向上技術”とは全く異なるものである。
また、前掲の特許文献7〜10(特開平1−141872号公報,特開平2−267150号公報,特開平2−267159号公報,特開平3−141152号公報)では、炭素含有耐火物にガラスやフラックスを添加する例が開示されているが、ここでのガラスやフラックスの作用は、熱間で溶融して炭素を被覆し耐酸化性を向上させるものである。従って、本発明の“緻密な組織を有する炭素含有れんがにおける金属Alとアルカリ金属化合物との相互作用による耐消化性向上技術”とは、目的も作用効果も異なる技術である。
【0015】
以上のように、これまでの特許文献1〜5等の従来技術では、耐消化性に関してある程度の改善は可能であるが、“実用上消化の問題のない炭素含有れんが”については開発されていない。(なお、前掲の特許文献11(特開昭52−154818号公報)や特許文献12(特開平3−33068号公報)などに、「不定形耐火物へのケイ酸ナトリウムの使用」が開示されているが、ケイ酸ナトリウムの使用目的は、高温下での容積安定性および接着性の改善(特許文献11)、混練物の流動性を消失させることによる保形性の確保(特許文献12)などであり、後に詳記するように、本発明の「炭素含有れんがへ適用されるアルカリ金属化合物」とは、添加目的ならびに作用効果が全く異なっている。)
【0016】
本発明は、上記点に鑑み成されたものであって、その目的とするところは、高い耐酸化性および耐食性を維持するために、緻密な組織をもち、且つ金属Alを添加した炭素含有れんがにおいて、従来からの課題であった“高温に曝された後の冷却時に、水分,湿分による消化現象、すなわち、れんがの崩壊や膨張,亀裂発生などの問題”を、実用上全く生じることのない「炭素含有れんがおよびその製造方法」を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための技術的構成として、本発明に係る炭素含有れんがは、「耐火性骨材および炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金の含有量が外掛けで0.1〜10重量%であり、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛け気孔率が13%以下である炭素含有れんがにおいて、アルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%含有させてなること」を特徴とする(請求項1)。
【0018】
また、本発明に係る炭素含有れんがは、
・前記アルカリ金属化合物が、アルコール類,グリコール類または水に可溶であること(請求項2)、
・前記アルカリ金属化合物が、ケイ酸アルカリであって、その含有量がアルカリ金属酸化物換算で外掛けで0.03〜5重量%であること(請求項3)、
・前記耐火性骨材の少なくとも一部にマグネシアを含むこと(請求項4)、
・前記金属Al及び/又はAlを含む合金の少なくとも一部が、0.1mm以
下の粒度を有すること(請求項5)、
を特徴としている。
【0019】
一方、本発明に係る炭素含有れんがの製造方法は、上記請求項1〜5の炭素含有れんがを製造する方法であって、「耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金を外掛けで0.1〜10重量%添加し、更にアルカリ金属化合物を添加し、加圧成形する」ことを特徴とする(請求項6)。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、それに先立って、本発明について、作用効果を含めて更に詳細に説明する。
【0021】
本発明者等は、上述の課題
(目的)に鑑み、耐消化性並びに耐食性,耐酸化性に優れる炭素含有れんがの開発を意図して、鋭意検討を行った結果、金属Al及び/又はAl合金を添加した緻密な炭素含有れんがに、更に“アルカリ金属化合物”を含有させることで、実用上消化の問題のない炭素含有れんがを得ることができることを見い出した。
【0022】
本発明の炭素含有れんがにおいて使用される「アルカリ金属化合物」の機能は、アルカリ金属化合物が高温下で蒸発・ガス化して揮発する際の“酸化作用あるいは触媒作用”によって、Alの酸化が促進されてAl2O3を生成し、中間生成物であるAl4C3やAlNが残存しない効果を生ずる。即ち、アルカリ金属化合物を添加することにより、消化性反応物の生成を防止できることから、“実用する上で消化の問題が起こらない炭素含有れんが”を得ることができる。
【0023】
また、本発明は、加圧成形される緻密なれんがに関するものであり、上記の作用効果は、特に“加圧成形される緻密な炭素含有れんが”において、顕著な効果を発揮するものである。
一般に、耐火物は、緻密であるほど高い耐食性,耐酸化性を有し、炭素含有れんがにおいても、耐食性や耐酸化性改善のために緻密性の向上が図られてきている。本発明の炭素含有れんがにおいても、高い耐食性と耐酸化性を付与するために、れんがの緻密性を一定以上の水準に保つことを必須とする。
【0024】
ここで、前述のように、炭素含有れんがに添加されたAlは、該れんがが緻密な場合に酸化が十分に進行せず、消化性物質であるAl4C3やAlNが生成、残存する。このため、消化による崩壊や膨張,亀裂発生などの実用上の問題は、特に緻密な炭素含有れんがにおいて起こるものである。
本発明の炭素含有れんがは、この緻密な組織を有するれんがにおいて消化を防止することに成功したものであり、この点に本発明の特徴がある。本発明の緻密な組織を有する炭素含有れんがは、高温下での気孔率が低いために、添加したアルカリ金属化合物が高温下で蒸発・ガス化して揮散する際に該れんが組織内にガス状で長期間、かつ高濃度で充満するものと推測される。そのために、そのAlに対する酸化作用あるいは触媒作用が十分に発揮されてAlの酸化が促進され、緻密な組織を有しながらも、消化性物質であるAl4C3やAlNの生成,残存が防止される効果が得られるものと思われる。この意味において、本発明の炭素含有れんがは、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛気孔率が13%以下(より好ましくは12%以下)の緻密な組織を有することを必要とする。
【0025】
すなわち、本発明では、Alの酸化反応が進行する高温下での緻密性並びに耐食性,耐酸化性を左右する高温下での緻密性が重要となるため、れんが特性として、特に加熱後の気孔率を重視し、上記のように規定するものである。
該見掛気孔率が13%を超えると、耐食性,耐酸化性が低下して本発明が意図する高耐食性,高耐酸化性が得られないため好ましくないと共に、高温下での通気性が高いために本発明で問題としている消化性物質の生成,残存も起こりにくくなるため、本発明の目的とする問題解決の対象とはならない。
【0026】
なお、ここで、1000℃で還元雰囲気で加熱するのは、Al4C3やAlNが最も旺盛に生成する温度領域であるからであり、3時間の加熱で十分に気孔率の違い、即ち、緻密さの程度を判別することができるからである。
還元雰囲気での加熱とは、コークス粒などのカーボン粒(あるいは粉末)中にサンプルを埋設した状態で加熱する操作を意味している。実際の窯炉では、個々のれんがは同種の炭素含有れんがに隣接しており、従って、直接空気に触れていることは少なく、実際の窯炉と類似の状況における加熱条件として、上記のような還元雰囲気での加熱が好ましい。
【0027】
一方、不定形耐火物においては、一般にケイ酸塩,燐酸塩,セメントなどが使用されており、例えば、前記したように、「不定形耐火物へのケイ酸アルカリの使用」が開示されている(前掲の特許文献10,同11参照)。
しかし、これらの例におけるケイ酸アルカリの使用目的は、高温下での容積安定性および接着性の改善(特許文献10)、混練物の流動性を消失させることによる保形性の確保(特許文献11)などである。
【0028】
また、不定形耐火物は、水を使用し振動や吹付力による充填など、圧力の非常に小さい条件下で成形されるため、高い気孔率(約15%以上)を有するものである。従って、不定形耐火物は、高気孔率で通気性が高いことから、添加された金属Al粉末は、容易に酸化し、加熱状況下において、消化性生成物(Al4C3,AlN)を生成,残存しにくい。よって、不定形耐火物では、これらに起因する消化反応による崩壊や膨張,亀裂発生といった、実用上の問題は発生せず、本発明の目的とする問題解決の対象とならないものである。また、不定形耐火物は、高気孔率であるため、容易にスラグの侵入が起こりやすく、高温下で低融点物質を形成し、耐食性の低下並びに耐火物組織の劣化が進行しやすい。
【0029】
従って、本発明に使用するアルカリ金属化合物の作用効果は、緻密な組織を有する加圧成形される“金属Alを含有する炭素含有れんが”において、特にその消化防止効果を顕著に発揮するものであり、不定形耐火物へ適用されるアルカリ金属化合物とは、添加目的ならびに作用効果が全く異なっている。
【0030】
また、MgO骨材を含有した炭素含有れんがにおいては、加熱される前の段階では、MgO骨材の消化反応は起こりにくいものの、加熱されると、れんがの気孔率が増加することで通気性が増大し、水分又は水蒸気の影響を受けた際に、MgO骨材の消化(水和反応)が進行することがある。そのため、金属Al無添加の炭素含有れんがでも、MgO骨材の消化反応によってれんが組織が崩壊に至ることもある。
【0031】
本発明では、アルカリ金属化合物を含有することで、これらMgO骨材の消化も抑制できることを見いだした。
MgO骨材の消化抑制効果は、アルカリ金属化合物の添加によってAlの酸化が促進され、MgO骨材と反応してスピネルを形成し、れんが組織の緻密化が進行することによると考えられる。緻密化の進行によって通気性が低下し、水蒸気が組織内に侵入しにくくなると共に、生成したスピネルがMgO粒子を保護する効果も加わって、MgO骨材の水和反応が抑制されるものと推定される。
故に、本発明の炭素含有れんがにおいては、アルカリ金属化合物を添加することで、金属Al由来の消化性物質の生成防止のみならず、MgO粒子の消化抑制も可能になる。
【0032】
また先に、使用後の炭素含有れんがを回収して再度原料として再利用することは、実際上困難であることを記載した。再利用するためには、回収した後に水和処理(Al4C3やAlNの消化を完了させる処理)を行い、更にその後乾燥しなければならず、コストが掛かること、および水和処理に伴い品質が低下することが問題であった。
本発明の炭素含有れんがは、使用後でも消化による組織劣化や崩壊、亀裂発生を生じない特徴を有するので、使用後れんがを再利用するにあたって何の処理も必要とせず、通常の原料で行なうのと同様に、必要に応じて粉砕して使用すればよく、コストおよび品質の両面に優れたリサイクルが可能となる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に使用するアルカリ金属化合物は、目的とする前記の作用効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、代表的なものとして、水酸化カリウム,水酸化ナトリウム,水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩、アルミン酸カリウム,アルミン酸ナトリウムなどのアルミン酸アルカリ塩、燐酸カリウム,燐酸ナトリウム,燐酸リチウムなどの燐酸アルカリ塩、珪酸カリウム,珪酸ナトリウム,珪酸リチウムなどの珪酸アルカリ塩や、炭酸水素アルカリ塩,硫酸アルカリ塩,アルギン酸アルカリ塩,塩化ナトリウム,フッ化リチウムなどのハロゲン化物、アジ化物などを挙げることができる。
【0034】
アルカリ金属化合物として、珪酸カリウムなどのシリカ成分を含有するものを使用した場合には、このシリカ成分が炭素質原料の表面を被覆することで、上記の効果に加えて、耐酸化性も改善される。中でも最も安価で入手しやすいものとして珪酸ナトリウムを用いる場合には、この複合効果を十分に得る意味から、SiO2/Na2O比(モル比)が0.5〜4(より好ましくは1.5〜4)の範囲で使用することが好適である。
【0035】
使用するアルカリ金属化合物は、原料混合物100重量部に対して、アルカリ金属酸化物換算で外掛0.03〜5重量%(より好ましくは0.05〜3重量%)の範囲が望ましい。
アルカリ金属化合物の含有量が、アルカリ金属酸化物換算で、外掛0.03重量%未満では、耐消化性の効果が得られにくいため好ましくない。また、5重量%を超えると、熱間において、アルカリ成分が揮発することによって生成する気孔量が増大して強度が低下するため、溶銑や溶鋼摩耗による損傷が増大したり、耐食性の低下も著しくなるために好ましくない。
【0036】
また、本発明で使用するアルカリ金属化合物は、粉末状あるいは液状で用いることができる。粉末状で用いる際には、本発明の意図する作用効果を十分に得るために、組織中に均一に分散させることが望ましく、この意味から、少なくとも一部に0.2mm以下(より望ましくは0.1mm以下)の粒度のものを含むことが望ましい。
また、樹脂の溶剤であるアルコール類,グリコール類,グリセリンあるいは水に溶解するアルカリ金属化合物を粉末状で添加し、混合,混練操作中に溶解させて使用することによって、より一層アルカリ金属化合物を均一に分散させることができるため効果的である。また、アルカリ金属化合物を液状で用いることは更に望ましく、高い分散性が得られ、金属との反応性が向上して確実に耐消化性改善効果を得ることができるため、アルカリ金属化合物の必要量もより少なくなり、アルカリ金属酸化物換算で0.03〜3重量%の含有量で十分な作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、アルカリ金属化合物を含むものとしてガラスやフラックスがあるが、これらのガラス物質は、加熱によって溶融状態のままであり、成分の分解が生じにくいためAl4C3やAlNの生成抑制の効果が殆どなく、消化防止効果は極めて僅かである。また、アルコール類や水などの溶媒に溶解させて使用することもできないため、期待する効果を得ようとすると、添加量を多くする必要が生じ、耐食性の低下をもたらす等の不具合が生じやすくなる。
【0038】
また、アルミナ,スピネルなどの骨材中に含まれる微量のNa2O,K2Oなどのアルカリ金属化合物は、上記のAl4C3やAlNの生成抑制効果およびMgO骨材の消化防止効果が少ないものである。
従って、本発明の炭素含有れんがにおいて主眼とするアルカリ金属化合物が意味するところは、外掛けで添加するアルカリ金属化合物に由来するものであって、例えばアルミナ,スピネルなどの骨材中に含まれるNa2O,K2Oなどのアルカリ金属化合物は、その対象としない。すなわち、本発明で規定するアルカリ金属酸化物換算での含有量外掛0.03〜5重量%は、骨材以外で添加されたアルカリ金属化合物から算出される“アルカリ金属酸化物の換算量”である。
【0039】
本発明に使用できる耐火性骨材としては、マグネシア,アルミナ,スピネル,カルシア,シリカ,クロミア,ジルコニア,チタニアなどの酸化物やそれらの複合酸化物、炭化珪素,窒化珪素,酸窒化珪素,窒化硼素,炭化硼素,硼化ジルコニウムからなる焼結あるいは電融原料など、一般に使用される耐火性原料(耐火性骨材)を任意に使用することができる。
【0040】
本発明に使用できる炭素質原料は、特に限定されないが、一般に使用されるものとして、鱗状黒鉛,土状黒鉛などの天然黒鉛やコークスなどの人造黒鉛,電極屑,炭素繊維,熱分解炭素などを挙げることができる。
【0041】
また、本発明の炭素含有れんがにおいては、炭素質原料の酸化防止や強度向上等を目的に、原料混合物(耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料)100重量部に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金を外掛けで0.1〜10重量%(より好ましくは、外掛けで0.5〜5重量%)の範囲で使用することが望ましい。
添加量が0.1重量%未満では、酸化防止や強度向上効果が得られにくいため好ましくなく、一方、10重量%を超えると、高温下での弾性率が過剰となることがあるため好ましくない。
【0042】
また、使用する金属Al及び/又は金属Alを含む合金は、少なくともその一部に0.1mm以下(より好ましくは0.05mm以下)の粒度のものを用いることが望ましい。
0.1mmより大きい金属を多く使用すると、アルカリ金属化合物の作用が金属粒子内部まで及びにくく、Alの酸化促進効果が十分得られなくなるため好ましくない。また、0.1mmより大きい金属を多く使用すると、金属粒子からのAlガスの蒸発が増大し、組織中に拡散したAlガスがアルカリ金属化合物の表面に沈着,反応して安定化させるなど、本発明の作用効果において重要なアルカリ金属化合物の蒸発・ガス化を阻害する可能性もあるため好ましくない。更には、Alが蒸発した後には0.1mmを超える大きさの空隙が組織中に形成されるため、耐食性,等が低下するため好ましくない。
【0043】
本発明で使用できる金属Alを含む合金としては、強度付与や耐酸化性改善といった使用目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば代表的なものとして、Al−Si合金,Al−Mg合金,Al−Mg−Si合金,Al−Ti合金などが挙げられる。
【0044】
本発明の炭素含有れんがにおいて、原料混合物を構成する耐火性骨材と炭素質原料の配合割合は、特に限定されるものではないが、耐火性骨材10〜99重量%(より好ましくは60〜97重量%)、炭素質原料1〜90重量%(より好ましくは3〜40重量%)の範囲内が望ましい。
ここで、耐火性骨材の配合量が99重量%を超えると、即ち、炭素質原料の使用量が1重量%未満であると、耐スポーリング性が低下し、また、スラグ浸潤を防止する効果が不十分となるために好ましくない。また、耐火性骨材の配合量が10重量%未満、即ち、炭素質原料の配合量が90重量%を超えると、酸化損傷による組織劣化や摩耗損傷が起こりやすくなり、また、れんがの熱伝導率が増大して溶融金属の温度低下をもたらすために好ましくない。
【0045】
本発明の炭素含有れんがには、必要に応じて、バインダーとしてレゾール型あるいはノボラック型のフェノール樹脂を使用することができる。
フェノール樹脂を使用する場合、その添加量は、特に限定されるものではないが、2.3重量%以下(より好ましくは2.0重量%以下)の範囲内が望ましい。フェノール樹脂の添加量が2.3重量%を超えると、該炭素含有れんがが加熱された際にれんが組織内に形成されるフェノール樹脂由来のカーボンの量が多くなり、該カーボンがれんが中に添加されているアルカリ金属化合物を含む物質を被覆する頻度が増大する。れんが中で生成するフェノール樹脂由来のカーボンは、炭素化が十分に進行しないために反応活性が高く、そのために、先に詳述したアルカリ金属化合物が蒸発・ガス化する際の酸化作用あるいは触媒作用が該カーボンとの相互作用で消耗・減縮され、Alの酸化促進効果が十分に発揮されにくくなるため好ましくない。
【0046】
また、本発明の炭素含有れんがには、必要に応じて、前記フェノール樹脂以外の他のバインダーを使用することもできる。使用できるバインダーは特に限定されないが、無機、有機の結合効果を発揮するものであって、例えば、フラン樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂類、ピッチやタール等の芳香族系有機高分子化合物、ステアリン,パルチミン酸などのグリセリド、脂肪,脂肪油などの脂肪族誘導体、ソルビトール,マンニトールなどの6価ポリオール、マルトース,トレハロース,アミロースなどの糖類やその加水分解物、あるいは、糊材,パルプ廃液,廃糖蜜などを使用することができる。
これらのバインダーの添加量も特に限定されるものではないが、有機系バインダーの場合、前記したフェノール樹脂と同様の理由により、2.3重量%以下(より好ましくは2.0重量%以下)の範囲内とすることが好ましい。
【0047】
また、本発明の炭素含有れんがには、炭素質原料の酸化防止等の目的で、“金属Al及び/又はAlを含む合金”の他に、シリコン,マグネシウム,チタン,クロム,ジルコニウム,ホウ化物などの金属または非酸化物、あるいは、それらの合金や混合物を任意に併用することができる。
これらの金属の使用量は、0.1〜10重量%(好ましくは0.5〜5重量%)の範囲内である。金属の使用量が上記範囲外であると、その酸化防止や強度向上効果を十分に発揮することができなかったり、高温下での弾性率が過剰となることがあるために好ましくない。
【0048】
本発明に係る炭素含有れんがの製造方法は、上記耐火性骨材,炭素質原料,金属Al及び/又はAlを含む合金およびアルカリ金属化合物を添加し、必要に応じてバインダーを加えて混合,混練を行い、得られた坏土を加圧成形機を用いて加圧成形して製造するのもである。加圧成型機には、フリクション式プレス,油圧式プレス,ラバープレスなどを用いることが望ましい。また、成形時の雰囲気ガス圧力は、特に限定されるものでなく、大気圧下での成形も可能であるが、緻密な組織を得るためには、雰囲気ガス圧力を大気圧未満に減圧した状態で坏土を加圧成形することがより望ましい。成形体は、必要に応じて、加熱処理または焼成処理などの熱処理を行い、製品とすることができる。
【0049】
以上詳述したように、本発明の炭素含有れんがは、加熱された後に緻密な組織を有するれんがにおいて、添加している金属Al及び/又は金属Alを含む合金由来の消化性反応物の生成,残存をアルカリ金属化合物の併用添加によって防止することに成功したものであり、緻密な組織を維持しながら消化の問題を解決する方法を見いだした点に本発明の最大の特徴がある。
上述した手法を用いることによって、従来対策が困難であった緻密なれんがにおいて発生する消化による崩壊,膨張や亀裂発生といった実用上の問題を初めて解決することが可能となり、本発明を完成するに至ったものである。
【0050】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例1〜13によって限定されるものではない。
【0051】
(実施例1〜13,比較例1〜10)
本発明品(実施例1〜13)および比較品(比較例1〜9)の各供試試料を、以下の表1〜3に示す配合割合で原料混合物を混練した後、並形形状にプレス成形し、250℃で12時間乾燥することにより得た。また、比較例10は、表3に示す配合割合で水を適量加えて混練した後、各種試験用形状に鋳込み、養生の後、250℃で12時間乾燥して供試試料(比較例10)とした。なお、表1〜3中の「アルカリ金属酸化物量」は、Na2OあるいはK2Oに換算した値である。
【0052】
得られた本発明品(実施例1〜13)および比較品(比較例1〜10)の各供試試料の諸特性、即ち「見掛気孔率」「かさ比重」「圧縮強さ」「1000℃/3h 還元雰囲気で加熱した後の見掛気孔率」「熱間強度」を測定し、その測定結果を表1〜3に併記した。また、次に示す「耐消化性試験」「耐食性試験」「酸化試験」を行い、その試験結果を同じく表1〜3に併記した。(なお、「圧縮強さ」は、数字が高い方が良好であり、「溶損指数」および「酸化指数」は、後記するとおり、数字が小さい方が良好である。)
【0053】
「耐消化性試験」
予め1500℃/3h還元雰囲気で加熱したものをサンプルとし、その後、密閉容器中130℃−0.3MPa飽和水蒸気圧下で3時間保持のオートクレーブ試験を行った。試験後のれんが組織は、消化試験後の外観と圧縮強さから、[良 ◎(変化なし)>○(微亀裂あり)>△(亀裂あり)>×(崩壊) 悪]の評価指標で表示した。なお、「◎〜○」は、実用する上で問題が起こらないレベルであり、「△〜×」は、実用する上で問題が起こるレベルである。
【0054】
「耐食性試験」
酸素−プロパン加熱の回転ドラムを使用して、1650℃−5時間にわたり実施し、1時間毎に、侵食剤として「CaO:50重量%、SiO2:30重量%、Al2O3:10重量%、MgO:10重量%」の組成を有する合成スラグを投入した。
耐食性の評価は、耐食性試験後の試料切断面写真から侵食量を測定して判断したものであり、“溶損指数”で表示した。なお、この溶損指数は、数字が小さい方が良好であることを示す。
【0055】
「酸化試験」
炉床回転式電気炉を用いて1300℃/3h大気雰囲気で実施し、酸化試験後の試料切断面写真から酸化層を測定して判断したものであり、“酸化指数”で表示した。なお、この酸化指数は、数字が小さい方が良好であることを示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表1〜3に記載する結果から、次のことが理解できる。
即ち、実施例1〜13(本発明品)は、耐消化性に優れ、かつ耐食性,耐酸化性にも優れることが分かる。より詳細に説明すると、実施例3〜5(本発明品)は、比較例1(従来品)に比べて、耐消化性が格段に優れており、かつ高い耐食性,耐酸化性が維持されている。また、実施例6(本発明品)は、比較例2,3(従来品)に比べて耐消化性に優れており、かつ高い耐食性,耐酸化性を有していることが分かる。
【0060】
図1に、耐消化性の試験結果の一例として、(A)「実施例3と比較例1」、および、(B)「実施例6と比較例3」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示す。図1の(A),(B)から明らかなように、従来品の比較例1,3は、消化によってれんがサンプルが崩壊,粉化しているが、本発明の実施例3,6は、亀裂発生や膨張,崩壊といった劣化の兆候が全く見られず、耐消化性が顕著に改善されていることが理解できる。
【0061】
また、実施例7〜9(本発明品)は、比較例4(従来品)と比較して、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れることが分かる。また、実施例11,12(本発明品)は、比較例5,6(従来品)に比べて、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れている。さらに、実施例13(本発明品)は、比較例7〜9(従来品)と比較して、耐食性,耐酸化性,耐消化性に同時に優れることが分かる。
【0062】
以上の事実から、本発明の炭素含有れんがは、従来品に比較して、耐消化性に優れ、かつ同時に耐食性,耐酸化性に優れるという特徴を有していることが明確である。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、以上詳述したとおり、金属Al及び/又は金属Alを含む合金を添加し、かつ加熱された後に緻密な組織を有する炭素含有れんが及びその製造方法において、アルカリ金属化合物を併用添加することを特徴とし、これにより、耐食性および耐酸化性を維持しつつも、耐消化性に優れた、即ち、実用上消化の問題のない炭素含有れんがを提供することができる。
従って、本発明によれば、従来対策が困難であった緻密なれんがにおける“崩壊,膨張,亀裂発生”といった、実用上の消化の問題を解決することが可能となったものであり、その工業的な価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐消化性の試験結果の一例を示すものであって、(A)は、「実施例3,比較例1」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示し、(B)は、「実施例6,比較例3」のオートクレーブ試験後のサンプル外観写真を示す。
Claims (6)
- 耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金の含有量が外掛けで0.1〜10重量%であり、1000℃で3時間還元雰囲気で加熱した後の見掛け気孔率が13%以下である炭素含有れんがにおいて、アルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%含有させてなることを特徴とする炭素含有れんが。
- 前記アルカリ金属化合物が、アルコール類,グリコール類または水に可溶であることを特徴とする請求項1に記載の炭素含有れんが。
- 前記アルカリ金属化合物がケイ酸アルカリであって、その含有量が、アルカリ金属酸化物換算で、外掛けで0.03〜5重量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭素含有れんが。
- 前記耐火性骨材の少なくとも一部にマグネシアを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素含有れんが。
- 前記金属Al及び/又はAlを含む合金の少なくとも一部が0.1mm以下の粒度を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素含有れんが。
- 耐火性骨材及び炭素質原料からなる耐火性原料100重量%に対して、金属Al及び/又はAlを含む合金を外掛けで0.1〜10重量%添加し、更にアルカリ金属化合物を添加し、加圧成形することを特徴とする炭素含有れんがの製造方法。
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